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JP2006082370A - 積層板および配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】パワー素子の搭載に対応し放熱性が求められる配線板に好適な積層板を提供する。
【解決手段】樹脂絶縁層の両面に銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板を一体化した構成とし、前記樹脂絶縁層は、熱伝導率が4W/m・K以上であり、樹脂絶縁層の両面に一体化した前記銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板は、両者の総厚みが800μm以上であることを特徴とする。樹脂絶縁層の厚みは、好ましくは、300μm以下である。
【化1】
Figure 2006082370

【選択図】 なし

Description

本発明は、放熱性が良好でそりの発生も小さい配線板に好適な積層板と当該積層板を用いた配線板に関する。
電子機器に搭載する配線板は、電子機器の軽薄短小化に伴う微細配線・高密度実装の技術が求められる一方で、発熱に対応する高放熱の技術も求められている。特に、各種制御・操作に大電流を使用する自動車などにおける電子回路では、導電回路の抵抗に起因する発熱やパワー素子からの発熱が非常に多く、配線板の放熱特性は高レベルであることが必須となってきている。
その対策として、シート状の繊維基材に熱硬化性樹脂を保持した絶縁層に厚い銅箔を一体化した積層板を用意し、これを回路加工した配線板がある(例えば、特許文献1の段落番号0002の記載)。
しかし、上記回路板は、絶縁層の熱伝導率が絶対的に低いために、絶縁層に熱がこもり、回路や素子からの発熱を逃がすことができない。また、上記積層板は、シート状の繊維基材に半硬化状態の熱硬化性樹脂を保持したプリプレグの層と厚い銅箔ないし銅板(例えば、厚さ300μm)を重ねて加熱加圧成形により一体化して製造するが、前記プリプレグが硬化した絶縁層は熱膨張係数が大きいことに起因して、成形後の積層板にそりが発生する。さらに、配線板に半田付によりパワー素子などを実装すると、絶縁層の熱膨張・収縮の応力が半田付部にかかり、半田付部にクラックが発生するなどの心配もある。
特開2003−198103号公報
本発明が解決しようとする課題は、パワー素子の搭載に対応し放熱性が求められる配線板に好適な積層板を提供することである。すなわち、積層板の熱伝導率を高くすること、また、そりの発生を小さくすることである。
上記課題を達成するために、本発明に係る積層板は、樹脂絶縁層の両面に銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板を一体化した構成であり、前記樹脂絶縁層は、熱伝導率が4W/m・K以上であり、樹脂絶縁層の両面に一体化した前記銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板は、両者の総厚みが800μm以上であることを特徴とする。
樹脂絶縁層の厚みは、好ましくは、300μm以下である。
本発明に係る配線板は、上記積層板において、片面の銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板が所定の電気配線に加工されたものである。
本発明に係る配線板は、電気配線に加工された一方の面の銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板上にパワー素子が実装される。パワー素子から発生した熱は、電気配線に加工された銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板から樹脂絶縁層を介して反対面の銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板に伝わり放散される。このとき、銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板を用いる場合には、樹脂絶縁層の熱伝導率と銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板の総厚みを上記のように規定しておくことが重要である。
樹脂絶縁層の熱伝導率が4W/m・Kより小さくなると、樹脂絶縁層には熱がこもりやすくなり、配線とは反対面に位置する銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板からの放熱が促進されない。樹脂絶縁層には熱がこもりやすいという観点から、樹脂絶縁層の厚みを好ましくは300μm以下にすると、熱の伝導が一層良好になる。また、樹脂絶縁層の両面に一体化した銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板は、その総厚みを規定することが重要であり、総厚みが800μmより小さいと、配線板の厚さ方向の熱伝導が不十分となる。樹脂絶縁層を介して両面に位置する銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板の個々の厚みは、熱伝導性には影響を与えないので、総厚みを800μm以上とする限りは適宜設定すればよい。
配線板の熱伝導性が良くなることから、また、銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板の熱膨張率が小さいことから、配線板の熱膨張は抑えられ、熱膨張率に起因する配線板のそりや半田付部クラックも起こりにくくなる。このような熱伝導性が良好で優れた放熱性を有し熱膨張も小さい配線板は、大電流を流すことができ、そりや半田付部クラックも生じにくいため、自動車機器や大型機械用の配線板に好適である。
本発明を実施するに当り、熱伝導率が4W/m・K以上の樹脂絶縁層は、例えば、以下のようにして構成することができる。
すなわち、無機充填材を含有し(式1)で示す分子構造のエポキシ樹脂モノマを配合したエポキシ樹脂組成物の硬化物層とし、前記無機充填材は、熱伝導率20W/m・K以上であって、樹脂固形分100体積部に対し10〜100体積部の量で絶縁層中に存在するようにする。
Figure 2006082370
上記(式1)で示す分子構造のエポキシ樹脂モノマは、ビフェニル骨格あるいはビフェニル誘導体の骨格をもち、1分子中に2個以上のエポキシ基をもつエポキシ化合物全般である。エポキシ樹脂モノマの硬化反応を進めるために、硬化剤を配合する。硬化剤は、例えば、アミン化合物やその誘導体、酸無水物、イミダゾールやその誘導体、フェノール類又はその化合物や重合体などである。また、エポキシ樹脂モノマと硬化剤の反応を促進するために、硬化促進剤を使用することができる。硬化促進剤は、例えば、トリフェニルホスフィン、イミダゾールやその誘導体、三級アミン化合物やその誘導体などである。
上記硬化剤や硬化促進剤を配合したエポキシ樹脂組成物に配合する熱伝導率20W/m・K以上の無機充填材は、金属酸化物又は水酸化物あるいは無機セラミックス、その他の充填材であり、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、酸化亜鉛、炭化タングステン、アルミナ、酸化マグネシウム等の無機粉末充填材、合成繊維、セラミックス繊維等の繊維質充填材、着色剤等である。これら無機充填材は2種類以上を併用してもよい。
無機充填材は、樹脂固形分100体積部に対し10〜100体積部の量となるように配合する。前記無機充填材の熱伝導率と配合量の下限値は、樹脂絶縁層の熱伝導率を4W/m・K以上にするために必要である。また、エポキシ樹脂組成物に配合する無機充填材が少ないと、無機充填材をエポキシ樹脂組成物中に均一に分散させることが難しくなる。熱伝導性の確保と共にこの点においても、無機充填材配合量の下限値の規定は重要である。一方、無機充填材の配合量を多くすると、エポキシ樹脂組成物の粘性が増大して取り扱いが難しくなるので、無機充填材配合量の上限値は、このような観点から規定する。
尚、無機充填材の熱伝導率が30W/m・K以上であれば、樹脂絶縁層の熱伝導率をさらに高くできるので好ましい。また、無機充填材は、その形状が、粉末(塊状、球状)、短繊維、長繊維等いずれであってもよいが、平板状のものを選定すると、高熱伝導率の無機充填材自身が樹脂中で積み重なった状態で存在することになり、積層板の熱伝導性をさらに高くできるので好ましい。上記エポキシ樹脂組成物には、そのほか必要に応じて難燃剤や希釈剤、可塑剤、カップリング剤等を配合することができる。
樹脂絶縁層の形成は、まず、上記エポキシ樹脂組成物をキャリアフィルムに塗布し加熱乾燥して半硬化状態にしたフィルムないしシートにするか、上記エポキシ樹脂組成物を必要に応じ溶剤に希釈してワニスを調製しこれをシート状繊維基材に含浸し、加熱乾燥して半硬化状態にしたプリプレグを準備する。そして、これらを加熱加圧成形して絶縁層とする。前記加熱加圧成形に当っては、銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板を前記半硬化状態のフィルムないしシート又はプリプレグ層の両面に配置し、これらを加熱加圧成形により一体化して積層板する。
エポキシ樹脂組成物を溶剤に希釈してワニスを調製する場合、溶剤の配合・使用が、エポキシ樹脂硬化物の熱伝導性に影響を与えることはない。
上記プリプレグを製造するために使用するシート状繊維基材は、ガラス繊維や有機繊維で構成された織布や不織布である。アラミド繊維やアルミナ繊維からなるシート状繊維基材にエポキシ樹脂組成物を保持し絶縁層を構成すると、これらの繊維は線膨張係数が小さいために、温度変化による積層板の寸法変化を少なくし、そりの発生を抑える上で好都合である。
絶縁層と一体化され積層板を構成する銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板は、樹脂絶縁層の両面に配置する総厚みが800μm以上であることが必須である。ただし、総厚みが800μm以上であれば、絶縁層の両面で厚みが違っていても同じであってもよい。
加熱加圧成形により樹脂絶縁層と一体化する銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板は、樹脂絶縁層の一方の面に配置するものは、予め所定の配線回路に加工されたものであってもよい。
以下、本発明に係る実施例を示し、本発明について詳細に説明する。尚、以下の実施例および比較例において、「部」とは「質量部」を意味する。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、本実施例に限定されるものではない。
実施例1
エポキシ樹脂モノマ成分としてビフェニル骨格をもつエポキシ樹脂モノマ(ジャパンエポキシレジン製「YL6121H」,エポキシ当量175)100部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。前記「YL6121H」は、既述の分子構造式(式1)において、R=−CH,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマと分子構造式(式1)において、R=−H,n=0.1であるエポキシ樹脂モノマを等モルで含有するエポキシ樹脂モノマである。
硬化剤として1,5−ジアミノナフタレン(和光純薬製「1,5−DAN」,アミン当量40)22部を用意し、これをメチルイソブチルケトン(和光純薬製)100部に100℃で溶解し、室温に戻した。
上記のエポキシ樹脂モノマ溶液と硬化剤溶液を混合・撹拌して均一なワニスにし、さらに無機充填材として窒化ホウ素(電気化学工業製「GP」,平均粒子径:8μm,熱伝導率60W/m・K,粒子形状:平板状)107部(樹脂固形分100体積部に対し50体積部に相当)を加えて混練しエポキシ樹脂ワニスを調製した。
このエポキシ樹脂ワニスを、厚さ100μmのガラス繊維織布に含浸し加熱乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグ6枚の両側に400μm厚の銅−モリブデン合金箔(合金組成は、銅:15質量% モリブデン:85質量%,熱膨張係数:7ppm/℃,熱伝導率:255W/m・K)を重ね、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧形成して一体化し、厚さ1.4mmの積層板を得た。図1に示すように、この積層板をエッチング加工して、樹脂絶縁層3の片面に電気配線2を形成し、他面の銅−モリブデン合金箔1をそのままとして、配線板とする。
実施例1で得た積層板について熱伝導率およびそり量を測定した結果を、エポキシ樹脂組成物の配合組成と共に表1にまとめて示す。
熱伝導率:積層板からφ50mmの板状試料を切り出し、熱流計法(JIS−A1412準拠)にて測定した。熱伝導率が大きいことは、放熱性が優れていることを示している。
そり量:125℃〜−40℃の範囲で冷熱サイクル試験を行ない、1000サイクル後の平面に対するそり量を測定した。
冷熱サイクル:図1に示すように、配線板にセラミックチップ5を半田4により実装し、125℃〜−40℃の範囲で冷熱サイクル試験を行ない、1000サイクル後の半田付部クラック発生の有無を調べた。サンプル数はn=10とし、1000サイクル後にクラックが発生していないものを〇、1〜2個クラックが発生したものを△、3個以上クラックが発生したものを×とした。
比較例1
「YL6121H」の代わりにビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製「EP828」,エポキシ当量185)を用いる以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。積層板の熱伝導率は、2W/m・Kと実施例1に比べ大きく減少した。
実施例2〜4
実施例1のプリプレグ重ね枚数を4枚(実施例2)、3枚(実施例3)、1枚(実施例4)とする以外は実施例1と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
各実施例の積層板からφ50mmの板状試料を切り出し、積層板の熱伝導率を測定した結果、絶縁層が薄くなるほど高い値を示した。
実施例5〜7
エポキシ樹脂ワニスを含浸させるシート状繊維基材を、ガラス繊維織布からガラス繊維不織布(実施例5)、アラミド繊維不織布(実施例6)、アルミナ繊維不織布(実施例7)のそれぞれに変更する以外は、実施例4と同様にしてプリプレグおよび積層板を得た。
各実施例の積層板からφ50mmの板状試料を切り出し、積層板の熱伝導率を測定した結果、アルミナ繊維不織布を用いた場合(実施例7)には熱伝導率をさらに大きくできることがわかった。配線板のそり量に関しては、いずれの実施例も小さく、アラミド繊維不織布およびアルミナ繊維不織布を用いた場合には、樹脂絶縁層の熱膨張率が小さくなる結果、冷熱サイクル試験の結果も、良好であった。
実施例8〜9
実施例6において、銅−モリブデン合金箔厚みを両面とも1000μm(実施例8)、および上層1300μm,下層1500μm(実施例9)にする以外は、実施例6と同様にして積層板を得た。
実施例8における積層板は、熱伝導率80W/m・Kであり、そりもほとんど見られず、冷熱サイクル試験の結果も良好であった。また、実施例9における積層板は、熱伝導率が特に大きく、そのほかは実施例6における積層板の特性とほぼ同等の結果となった。
比較例2
実施例6において、両面の銅−モリブデン合金箔を銅箔に変更し、厚みを上層、下層とも70μmにする以外は、実施例6と同様にして積層板を得た。この積層板の熱伝導率は6W/m・Kであり、配線板のそりも大きくなった。
比較例3
実施例6において、両面の銅−モリブデン合金箔の厚みを上層300μm、下層400μmにする以外は、実施例6と同様にして積層板を得た。この積層板の熱伝導率は8W/m・Kであり、配線板のそりも大きくなった。
比較例4
実施例6において、窒化ホウ素の添加量を45部として樹脂絶縁層の熱伝導率を3W/m・Kとする以外は、実施例6と同様にして積層板を得た。この積層板の熱伝導率は6W/m・Kであり、配線板のそりも大きくなった。
Figure 2006082370
Figure 2006082370
配線板にセラミックチップを半田付した状態を示す説明図である。
符号の説明
1は銅−モリブデン合金箔
2は電気配線
3は樹脂絶縁層
4は半田
5はセラミックチップ

Claims (6)

  1. 樹脂絶縁層とその両面に一体化した銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板で構成される積層板であり、
    前記樹脂絶縁層は、熱伝導率が4W/m・K以上であり、樹脂絶縁層の両面に一体化した前記銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板は、両者の総厚みが800μm以上であることを特徴とする積層板。
  2. 樹脂絶縁層は、無機充填材を含有し(式1)で示す分子構造のエポキシ樹脂モノマを配合したエポキシ樹脂組成物の硬化物であり、
    前記無機充填材は、熱伝導率20W/m・K以上であって、樹脂固形分100体積部に対し10〜100体積部の量で絶縁層中に存在することを特徴とする請求項1記載の積層板。
    Figure 2006082370
  3. エポキシ樹脂組成物の硬化物がシート状の繊維基材に保持されたものであることを特徴とする請求項2記載の積層板。
  4. シート状の繊維基材が、アラミド繊維又はアルミナ繊維で構成されたものであることを特徴とする請求項3記載の積層板。
  5. 樹脂絶縁層の厚みが、300μm以下である請求項1〜4記載のいずれかに記載の積層板。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層板において、片面の銅−モリブデン合金箔ないし銅−モリブデン合金板が所定の電気配線に加工されている配線板。
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