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JP2006081396A - 3相モータ用の回転駆動制御装置 - Google Patents

3相モータ用の回転駆動制御装置 Download PDF

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JP2006081396A JP2005306616A JP2005306616A JP2006081396A JP 2006081396 A JP2006081396 A JP 2006081396A JP 2005306616 A JP2005306616 A JP 2005306616A JP 2005306616 A JP2005306616 A JP 2005306616A JP 2006081396 A JP2006081396 A JP 2006081396A
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Minoru Kurosawa
稔 黒澤
Kunihiro Kawachi
邦浩 河内
Yasuhiko Konoue
康彦 鴻上
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Abstract

【課題】 電気角180°毎に誘起電圧が一時的に極性反転を起すようなタイプのモータであっても逆転を起すことなく起動させることができる回転駆動装置を提供する。
【解決手段】 いずれか2つの相のコイルに電流を流し無通電相に誘起される電圧の極性を検出して、検出された誘起電圧の極性に基づいて起動時の通電相を決定するモータの起動制御において、無通電相の誘起電圧の極性の他に誘起電圧のレベルを検出してその大小関係を判定して誘起電圧の極性と誘起電圧のレベルの大小関係に基づいて起動時の通電相を決定する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、ブラシレスモータの駆動制御技術さらには3相直流モータの起動制御および正弦波電流駆動に適用して有効な技術に関するものであって、たとえばハードディスク(ハード・ディスク・ドライブ)装置のようなディスク型記憶媒体を回転駆動するスピンドルモータの駆動制御装置に利用して有効な技術に関するものである。
ハードディスク装置における磁気ディスクの回転には、一般にスピンドルモータと呼ばれるブラシレスの3相直流モータが用いられており、スピンドルモータで磁気ディスクを高速で回転させ、この回転している磁気ディスクにリード/ライト用の磁気ヘッドを磁気ディスクの表面に近接させて径方向へ移動させながら情報の書込みまたは読み取りを行なっている。
従来、ブラシレスモータの駆動制御においては、ホール素子を用いてロータとステータとの位置関係を検出し、検出された位置関係から通電を開始するコイル相を決定することでモータの逆転を防止するようにした方式がある。しかしながら、ホール素子を用いたロータ位置検出器をモータに設けると小型化が困難になるため、ハードディスク装置ではセンサレスのモータが多用されるようになって来ている。このようなセンサレスモータは、回転を開始する際にロータとステータとの位置関係が分からないとロータが逆転するおそれがある。
そこで、いずれか2相のコイルにロータが反応しない程度の短いパルス電流をそれぞれ流して非通電相に現われる誘起電圧の極性を検出してロータとステータの位置関係を判定し、誘起電圧の極性が電気角で180°毎に切り替わる特性を利用して通電を開始する相を決定することにより、センサレスモータの起動時の逆転を回避するようにした制御方式が本出願人によって提案されている(特許文献1参照)。
一方、ハードディスク装置においては、高記録密度化を達成するためスピンドルモータの低振動化と、作業環境の向上のためスピンドルモータの低騒音化が要求されており、低振動化、低騒音化には正弦波電流駆動が有効である。そこで、各相のコイルに正弦波状の電流を流すことでロータを円滑に回転させるようにした発明が提案されている。
また、多相直流モータはコイルに生じる逆起電圧と同位相で駆動電流を流したときに最も大きなトルクが得られる。そこで、コイルの逆起電圧を検出して回転駆動制御を行なう方式が一般に採用されていた。
しかしながら、コイルの逆起電圧を検出して回転駆動制御を行なう方式においては、逆起電圧を検出するためにコイルに電流を流さない無通電期間を設けなくてはならず、それによって回転ムラが生じ、騒音や振動発生の原因となる。そこで、逆起電圧を検出せずにコイルの電流を検出して駆動波形を形成する方式が提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開平2001−275387号公報 特開平2001−314090号公報
近年、多相直流モータには、構造的な工夫によって振動、騒音、回転ムラを抑制するため、ロータのマグネットの着磁方法や鉄心の形状等を変えたさまざまなモータが市場に出現している。本発明者らは、最近提供されるようになった幾つかの多相直流モータについて、非通電相に現われる誘起電圧の極性から通電開始相を決定する特許文献1に開示されている起動制御方式を適用したところ、モータが逆転を起すことがあることを見出しその原因を調べた。その結果、多くのモータは図22(B)〜(D)に示すように電気角180°毎に誘起電圧の極性が切り替わるが、図22(E)〜(G)に示すように、逆起電圧のゼロクロス点近傍で一時的に誘起電圧の極性が反転するモータがあり、かかるモータに特許文献1に開示されている起動制御方式を適用すると逆転を起すおそれがあることが明らかになった。
また、従来の3相直流モータの正弦波電流駆動方式には、以下に述べるような課題があることが本発明者らによって明らかにされた。図23は、従来の正弦波電流駆動方式におけるコイルに流れる電流の検出タイミングを示す。図23において、Vu,Vv,Vwは各コイルに印加される電圧(=逆起電力)の1周期分(電気角で360度)の波形、UPWM,VPWM,WPWMは各コイルのドライバをPWM制御するパルス信号の波形、CSは各コイルのドライバをPWM制御するパルス信号を生成するための三角波キャリア信号の波形をそれぞれ示す。
図23に示されているように、電気角1周期はVu,Vv,Vwの大小関係に応じて6つの区間1〜6に分類される。また、各期間内はUPWM,VPWM,WPWMのハイ/ロウに応じて6つの状態が存在する。電流検出は電源からモータを介し流れる直流電流がこのUPWM,VPWM,WPWMの極性により異なることを利用して行われる。UPWM,VPWM,WPWMが同一極性の場合には3相の出力が全てハイまたはロウになるため直流電流は流れない。またUPWM,VPWM,WPWMの極性のうち1相が異なる場合にはその1相のコイル電流に相当する直流電流が流れ、これによりコイル電流の検出が行われる。なお、各区間において、いずれか2つのコイルの電流が分かれば残りのコイル電流は計算(例えばiu=−iv−iw)により求めることができ、これにより3相のコイル電流の検出を実現する。
図24には、図23のうち区間2と区間3の境界部分を拡大した波形が示されている。従来の3相直流モータの正弦波電流駆動方式におけるコイルに流れる電流の検出は、図24に示されているように、3つのコイル駆動電圧Vu,Vv,Vwのうち中間の電圧(図24ではVv)がキャリア信号CSと交差するタイミングt1と該タイミングから所定時間Δtだけ遅延したタイミングt2に同期してサンプリングパルスSHを生成し、このサンプリングパルスSHによって行なうものであった。
このようなサンプリングタイミングは、Vu,Vv,Vwの値がそれぞれ離れている各区間1〜6の中央付近では問題ないが、各区間の境界近傍ではVu,Vv,Vwのうちいずれか2つ(図24ではVvとVw)の値が近く直流電流を検出できる期間が短いため、僅かなサンプリングタイミングのずれによって誤ったコイルの電流を検出するおそれがある。特に、Vu,Vv,Vwの値が小さい低回転数の状態においては、各コイルの駆動電圧の振幅が小さいため各電圧値の差が少なくなり正確な電流の検出がさらに困難になる。
本発明の目的は、電気角180°毎に誘起電圧が一時的に極性反転を起すようなタイプのモータであっても逆転を起すことなく起動させることができる回転駆動装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、正弦波電流駆動方式による多相直流モータの同期駆動制御において、各コイルに流れる電流を正確に検出して精度の高い制御電圧を各コイルに印加してモータを円滑に回転させることができる回転駆動装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、正確な正弦波波形の電流をコイルに流すことができ、これによって回転むらが少なく高密度の磁気記憶が可能になるとともに、低騒音で回転するスピンドルモータを備えた磁気ディスク装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにそのほかの目的と特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、いずれか2つの相のコイルに電流を流し非通電相に誘起される電圧の極性を検出して、検出された誘起電圧の極性に基づいて起動時の通電相を決定するモータの起動制御において、非通電相の誘起電圧の極性の他に誘起電圧のレベルを検出してその大小関係を判定して誘起電圧の極性と誘起電圧のレベルの大小関係に基づいて起動時の通電相を決定するようにしたものである。
上記した手段によれば、誘起電圧の極性の検出結果のみならず誘起電圧のレベルの大小判定結果をも勘案して起動時の通電相を決定するため、電気角180°毎に誘起電圧が一時的に極性反転を起すような特殊なタイプのモータであっても逆転を起すことなく起動させることができるようになる。
本願の他の発明は、コイルに駆動電流を流すドライバ回路をPWM制御信号で制御してコイルに正弦波状の電流を流してモータを回転駆動する多相直流モータの回転駆動制御装置において、PWM制御信号を生成するための比較用三角波キャリア信号として正相と逆相の信号を生成し、各相コイルのうちドライバ回路により中間のレベルの電圧が印加される相コイルのPWM制御信号は、他の相のコイルのPWM制御信号を生成するために用いる三角波キャリア信号と逆相をなすキャリア信号を用いて生成するようにしたものである。
上記した手段によれば、無通電期間を設けることなくモータを正弦波電流で駆動することができ、低振動、低騒音でモータを回転させることができる。また、正弦波電流駆動方式による多相直流モータの同期駆動制御において、各コイルに流れる電流を正確に検出して精度の高い制御電圧を各コイルに印加してモータを円滑に回転させることができる。さらに、各相のコイルに印加すべき電圧値が接近している低回転数状態においても正確な正弦波電流駆動が可能となり、これによりモータ起動直後の加速中においても最大の駆動トルクでモータを回転させることができ、相切替えタイミングの外部入力を行う同期駆動等による加速に比べて起動時間を短縮することができる。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
すなわち、本発明に従うと、誘起電圧の極性のみならず誘起電圧のレベルを検出してその大小関係を判定して起動時の通電相を決定するため、誘起電圧が一時的に極性反転を起すようなタイプのモータであっても逆転を起すことなく起動させることができるようになる。
また、正弦波電流駆動方式による多相直流モータの駆動制御において、無通電期間を設けることなく各コイルに流れる電流を正確に検出して精度の高い制御電圧を各コイルに印加して正弦波電流を流してモータを円滑に回転させることができ、これによって回転むらが少なく低騒音、低振動でモータを回転させることができ、磁気ディスク装置のスピンドルモータの回転駆動制御装置に適用した場合には高密度の磁気記憶が可能になる。
さらに、各相のコイルに印加すべき電圧値が接近している低回転数状態においても正確な正弦波電流駆動が可能となり、これによりモータ起動直後の加速中においても最大の駆動トルクでモータを回転させることができ、相切替えタイミングの外部入力を行なう同期駆動等による加速に比べて定常回転状態に至るまでの起動時間を短縮することができるという効果が得られる。
以下、本発明の好適な実施態様を、図面を参照しながら説明する。
図1は、3相ブラシレス直流モータにおける駆動回路と起動制御回路の概略構成を示す。
図1において、Lu,Lv,LwはそれぞれモータMTのU相、V相、W相の3つの相のステータコイル、B-emf(U),B-emf(V),B-emf(W)は各相コイルLu,Lv,Lwの逆起電圧を電圧源として表わしたものである。また、110は各コイルの端子に電圧を印加して駆動電流を流すための出力ドライバ回路で、M1〜M3は各相のコイルに電流を流し込む高電位側の出力トランジスタ、M4〜M6は各相のコイルから電流を引き込む低電位側の出力トランジスタ、111〜113は出力トランジスタM1〜M6にゲート電圧を印加してコイルの駆動電流を制御するプリドライバである。上記低電位側の出力トランジスタM4〜M6のソース端子は共通接続されて電流センス抵抗Rsnsを介して接地電位点に接続されており、電源からモータを介し流れる直流電流がセンス抵抗Rsnsに流されるように構成されている。
120は、上記出力ドライバ回路110に対して出力電流を制御するPWM信号を生成し供給する出力電流制御部で、該出力電流制御部120には前記電流センス抵抗Rsnsにより検出された直流電流に応じた電圧がフィードバックされ、図示しないコントローラから供給される電流指令値と一致するように出力ドライバ回路110に対するPWM制御のためのパルス信号UPWM,VPWM,WPWMを生成して出力する。
130は、いずれか2つの相コイルに流した電流に応じて非通電相のコイルに誘起される誘起電圧を検出する誘起電圧検出部で、この誘起電圧検出部130は、誘起電圧を検出しようとするコイルを選択する3つのスイッチからなる選択回路131と、該選択回路で選択されたコイルの一方の端子電圧と各コイルの一端が共通に接続されたセンタータップCTの電圧との電位差を増幅して出力する差動アンプ132と、差動アンプの出力に含まれるノイズをカットするフィルタ133と、差動アンプ133の出力電圧をAD変換してディジタル信号に変換するAD変換回路134とから構成されている。
140は誘起電圧検出部130により検出された誘起電圧の極性を判定するとともに、検出された誘起電圧が所定のレベルよりも大きいか小さいかを判定する極性検出部、150は極性検出部140の出力をデコードして電流を流す相を判定し通電相を示す信号を前記出力電流制御部120に対して供給するデコーダ部、160は所定の制御手順に従って制御部全体を制御するシーケンサで、このシーケンサ160には前記デコーダ部150から判定結果や正転を示す信号、逆転を示す信号が供給され、これらの信号に応じて各部を制御する信号を生成し出力する。
次に、本実施例の起動制御回路におけるモータ起動時の通電相の決定の仕方について説明する。本実施例では、例えば図2(a)に示すように、V相コイルLvからW相コイルLwに向ってロータが反応しないような微少電流を流してそのときU相コイルLuに生じる誘起電圧をVm+を検出し、続いて図2(b)に示すように、W相コイルLwからV相コイルLvに向って電流を流してそのときU相コイルLuに生じる誘起電圧をVm−を検出して、それらの和をとり、その値が「正」か「負」かを判定する。
次に、U相コイルLuからV相コイルLvに向って電流を流してそのときW相コイルLwに生じる誘起電圧をVm+を検出し、続いてV相コイルLvからU相コイルLuに向って電流を流してそのときW相コイルLwに生じる誘起電圧をVm−を検出して、それらの和をとり、その値が「正」か「負」かを判定する。さらに、W相コイルLwからU相コイルLuに向って電流を流してそのときV相コイルLvに生じる誘起電圧をVm+を検出し、続いてU相コイルLuからW相コイルLwに向って電流を流してそのときV相コイルLvに生じる誘起電圧をVm−を検出して、それらの和をとり、その値が「正」か「負」かを判定する。
現在提供されている一般的な3相直流モータの非通電相誘起電圧は、図3に示すように、逆起電圧の波形Aに対して位相が電気角で約90°進んだ波形Bとなる。誘起電圧が図3にような特性を有するモータを起動する場合には、図4に示されているように、各相の誘起電圧の極性を検出して、U,V,Wの各相の誘起電圧の極性が「負」「負」「正」のときは通電相をV相→U相と、U,V,Wの各相の誘起電圧の極性が「正」「負」「正」のときは通電相をW相→U相と、U,V,Wの各相の誘起電圧の極性が「正」「負」「負」のときは通電相をW相→V相と、U,V,Wの各相の誘起電圧の極性が「正」「正」「負」のときは通電相をU相→V相と、U,V,Wの各相の誘起電圧の極性が「負」「正」「負」のときは通電相をU相→W相と、U,V,Wの各相の誘起電圧の極性が「負」「正」「正」のときは通電相をV相→W相と決定して電流を流すように出力ドライバ回路を制御することによってモータを起動させることができる。かかる起動方法は、特開平2001−275387号公報で開示されている起動方法である。
ところで、近年騒音や振動を低減するためさまざまな3相直流モータが提供されるようになって来ており、それらの中には、図5に示すように、逆起電圧の位相に対して誘起電圧の極性が切り替わるポイントは図3と同じ(電気角−90°)であるが、逆起電圧の位相0°と180°の位置で誘起電圧の極性が一時的に反転するようなモータがあることが分かった。このような特性を有するモータの各相コイルの誘起電圧の極性は、図6の下の表のようになる。図4示されている表と比較すると明らかなように、図6の表でメッシュが付されている部分はすべて極性が「負」または「正」になっており極性判定結果が相違している。そのため、特開平2001−275387号公報で開示されている起動方法ではモータを正しい方向へ回転させることができない場合が生じる。
本実施例の起動制御回路においては、検出された誘起電圧の極性のみならずそのレベルを図5に破線で示すような参照レベル±VTHで判定することにより、誘起電圧が図5のような特性を有するモータであっても確実に起動させることができるように構成されている。
図7には、本実施例の起動制御回路における誘起電圧の極性およびレベル判定結果と通電相を示す。図7より、電気角−160°〜−140°と−40°〜−20°と+80°〜+100°ではU,V,Wの各相の誘起電圧の極性がすべて「負」であり、極性だけではロータがどの位置にあるか識別できないが、U,V,Wの各相の誘起電圧のレベルはそれぞれ電気角−160°〜−140°では「大」「大」「小」、−40°〜−20°では「小」「大」「大」、+80°〜+100°では「大」「小」「大」と、異なっており、レベルの判定結果をも参照すれば通電相を決定できることが分かる。
本実施例の起動制御回路において、極性検出部140とデコーダ150とシーケンサ160によって、上記のような誘起電圧の極性およびレベル判定結果に基づく通電相の決定を行なうように構成されている。以下、極性検出部140とデコーダ部150の構成と動作を図8および図9を用いて、またシーケンサ160による起動制御手順を図10のフローチャートを用いて説明する。
図8は、極性検出部140の構成例を示す。この実施例の極性検出部140は、誘起電圧検出部130で検出されADコンバータ134でディジタル値に変換された誘起電圧値を累積加算する積算レジスタ141と、検出された誘起電圧の極性を判定する極性判定用コンパレータ142と、該コンパレータ142の判定結果を保持する極性レジスタ143と、検出された誘起電圧を絶対値に変換する絶対値回路144と、変換された絶対値と参照レベルVTHとを比較して検出された誘起電圧が所定のレベル以上か否かを判定するレベル判定用コンパレータ145と、該コンパレータ145の判定結果を保持するレベル判定レジスタ146と、極性判定用コンパレータ142と極性レジスタ143との間に設けられたセレクタ147と、レベル判定用コンパレータ145とレベル判定レジスタ146との間に設けられたセレクタ148とを備えている。
極性レジスタ143とレベル判定レジスタ146はそれぞれ各相コイルU,V,Wに対応した判定結果を保持する3個のレジスタREG−U,REG−V,REG−Wにより構成されており、シーケンサ160からのラッチ指令信号LAT1により判定結果をラッチする。
セレクタ147とセレクタ148はそれぞれシーケンサ160から前記誘起電圧検出部130のセレクタ131へ供給される選択信号SELによって制御され、前記誘起電圧検出部130によって検出された相の結果が対応するレジスタにそれぞれ格納され、極性レジスタ143からは各相の誘起電圧の極性を示す信号Upole,Vpole,Wpoleがデコーダ部150へ、またレベル判定レジスタ146からは各相の誘起電圧のレベルが参照レベルVTHよりも高いか低いかを示す信号Ulevel,Vlevel,Wlevelがデコーダ部150へ出力される。
図9は、デコーダ部150の構成例を示す。この実施例のデコーダ部150は、上記極性判定部140からの極性を示す信号Upole,Vpole,Wpoleと誘起電圧のレベルの高低を示す信号Ulevel,Vlevel,Wlevelをデコードして図7の表の上2つの欄の状態(正負判定と大小レベル判定)に対応して3番目の欄のような各相の極性(正負)を示す信号Upole2,Vpole2,Wpole2を生成し出力する第1デコーダ151と、該第1デコーダ151の結果を保持するレジスタ152と、第1デコーダ151の出力信号Upole2,Vpole2,Wpole2に基づいて図7の表の最下欄の通電方向に従って各相のコイルを駆動制御させる信号UON,VON,WON,UHIZ,VHIZ,WHIZを生成し出力する第2デコーダ153と、第1デコーダ151の出力信号Upole2,Vpole2,Wpole2とレジスタ152に保持されている一つ前の第1デコーダ151の出力信号Upole2,Vpole2,Wpole2とに基づいてロータが正転しているか逆転しているか判定する回転判定部154とを備えている。レジスタ152はシーケンサ160からのラッチ指令信号LAT2によりデコード結果をラッチする。
また、上記第1デコーダ151は、極性を示す信号Upole,Vpole,Wpoleが図7の表のように3つとも同一状態(「正」「正」「正」または「負」「負」「負」)になる場合が生じていないときは、レベルの判定結果を参照しないで極性の判定結果のみに基づいて出力信号Upole2,Vpole2,Wpole2を生成するように構成されている。これにより、一時的な極性反転を起す特殊なモータのみならず一時的な極性反転を起さない一般的なモータも正しく起動させることができる。
第2デコーダ153から出力される信号UON,VON,WONはそれがハイレベルの時は対応する相のコイル端子に電圧Vspnを印加して電流を流し込み、ロウレベルの時は対応する相のコイル端子を接地点に接続して電流を引き込むことを意味している。また、UHIZ,VHIZ,WHIZはハイレベルの時は対応する相のコイル端子をハイインピーダンスにするつまり非通電相とすることを意味する。回転判定部154は、ロータが正転していると判定した時は正転していることを示す信号を、また逆転していると判定したときは逆転アラーム信号を出力する。正転信号はシーケンサ160に、また逆転アラーム信号はシーケンサ160と図外のコントローラに供給される。
次に、シーケンサ160による起動制御手順を図10のフローチャートを用いて説明する。
シーケンサ160は起動制御を開始すると、先ず、図8の極性判定部140に設けられているAD変換結果を累積保持する積算レジスタ141をリセットする(ステップS1)。その後、ロータが反応しないような短いパルスの電流をV相からW相のコイルへ流しそのとき相互誘導現象で「U相」のコイルに現われる誘起電圧の検出を規定回数行ない、検出された誘起電圧をAD変換回路134で変換した結果を上記積算レジスタ141に累積させるとともに、電流の向きを変えて同一動作を繰り返し、積算レジスタの値に基づいてU相の誘起電圧の極性とレベル判定を行ないその結果をレジスタ143,146にラッチさせる(ステップS2,S3)。
次に、再び積算レジスタ141をリセットしてから、ロータが反応しないような短いパルスの電流をU相からW相のコイルへ流し、今度は「V相」のコイルに現われる誘起電圧の検出を規定回数行ない、検出された誘起電圧をAD変換回路134で変換した結果を上記積算レジスタ141に累積させるとともに、電流の向きを変えて同一動作を繰り返し、積算レジスタの値に基づいてV相の誘起電圧の極性とレベル判定を行ないその結果をレジスタ143,146にラッチさせる(ステップS4〜S6)。
その後さらに、積算レジスタ141をリセットしてから、ロータが反応しないような短いパルスの電流をU相からV相のコイルへ流し、今度は「W相」のコイルに現われる誘起電圧の検出を規定回数行ない、検出された誘起電圧をAD変換回路134で変換した結果を上記積算レジスタ141に累積させるとともに、電流の向きを変えて同一動作を繰り返し、積算レジスタの値に基づいてW相の誘起電圧の極性とレベル判定を行ないその結果をレジスタ143,146にラッチさせる(ステップS7〜S9)。
続いて、レジスタ143,146の出力信号をデコーダ部150の第1デコーダ151でデコードして各相の誘起電圧の極性を確定するとともに極性判定結果をレジスタ152にラッチさせた後、第2デコーダ153で通電相(通電の方向)を決定する(ステップS10,S11)。それから、デコーダ部150の回転判定部154で現在の極性と前回の極性とを比較してロータが正転しているか否か判定する(ステップS12)。
例えば、図4の表の電気0°〜60°に着目すると、3相の極性検出結果は「正」「正」「負」である。従って、次に検出される3相の極性は「正」「正」「負」または「負」「正」「負」のはずである。ここで、3相の極性検出結果が「正」「負」「負」であれば、逆転していると判定することができる。他の電気角についても同様である。そして、逆転していると判定した時はアラーム信号を出力し、正転していると判定した時は正転カウンタをインクリメント(+1)する(ステップS13,S14)。なお、逆転アラーム信号が出力された時は、しばらく時間をおいてロータが完全に停止した後、再度ステップS1から起動制御が実行される。
しかる後、正転カウンタの値を参照してロータが規定回数もしくは所定の電気角以上回転したか判定し、回転していないときは検出された3相の誘起電圧極性をレジスタ152にラッチさせる(ステップS15,S16)。それから、ステップS11で確定した通電相に対して比較的短い所定時間の通電を行ない、通電カウンタをインクリメントして符号1に従ってステップS1へ戻る(ステップS17,S18)。そして、上記動作を繰返し、再びステップS15へ来た時にロータが規定回数もしくは所定の電気角(例えば360°)以上回転したと判定したならば、符号2に従ってステップS19へ移行する。
ステップS19では、通電カウンタの値を参照して規定回数の通電が終了したか判定し、規定回数の通電が終了していないとき比較的短い所定時間の通電を行ない通電カウンタをインクリメントする(ステップS20,S21)。それから、シーケンサ160がデコーダ部150のレジスタに保持されている判定結果に基づいて次に誘起電圧を検出するセンス相を決定し、それに応じた選択信号SELを出力する(ステップS22)。
ここでは、図4の表に示されているように、通電を行なった相に対応して次期検出相を決定する。例えば、通電を行なった相が「U相→V相」であった場合、次に検出する相をU相とする。ロータが正転していれば次に極性が変化する相は一義的に決まるからであり、このステップS22を実行する際には既にロータが正転していることが確定しているためである。
従って、始動時とは異なりそれ以降は1相のセンスのみで通電相を決定することが可能となる。図10のフローでは、ステップS22でセンス相を決定したなら次のステップS23で極性検出部140内の積算レジスタ141をリセットしてから、決定されている相について誘起電圧の極性の検出とレベルの判定を行ない、判定結果をレジスタ143,146にラッチさせる(ステップS24,S25)。このように1相のみの検出に切り替えることにより、通電相の検出のための時間を減らしその分加速のための通電時間を長くすることができるので、定常回転に至るまでの時間を短縮することができる。
その後、ステップS26で検出された極性とレベル判定結果とから次の通電相をシーケンサ160により決定してステップS19へ戻り、上記動作を繰り返す。ここで、ステップS25でラッチした判定結果が前回と同じであればステップS22で前回と同じ相(例えばU相)がセンス相として選択されて同一の相に対する通電(例えばU相→V相)が行なわれ、ステップS25でラッチした判定結果が前回と異なればステップS22で次に期待される相(例えばW相)がセンス相として選択され、それに応じた相に対して通電(例えばU相→W相)がステップS20にて行なわれる。これにより徐々にロータの回転速度が加速されて行く。そして、ステップS19で規定回数の通電が終了したと判定したときは、起動制御を終了して通常駆動制御へ移行する。この実施例では、規定回数の通電が終了すると定常状態での回転数の約5%に以上になるように規定回数の値が設定されている。
なお、上記実施例では、誘起電圧の極性検出結果のみでは通電相を決定できない場合に誘起電圧のレベル判定結果を加味して通電相を決定するようにしているが、誘起電圧のレベル判定を省略し、3相の誘起電圧検出結果のうち2相の検出結果が予想される結果である時は残り1相の検出結果を無視して、ロータを回転させるために電流を流す相コイルと通電の方向を決定するようにしてもよい。
例えば、図7の表を参照すると分かるように、電気角−160°〜−140°と−40°〜−20°と+80°〜+100°ではU,V,Wの各相の誘起電圧の極性がすべて「負」であり、極性だけではロータがどの位置にあるか識別できないが、最初の判定でオール「負」またはオール「正」のときはいずれかの位置にあると擬制して通電相を決定しロータを少し動かしてやれば、正しく判定できる位置(3相のうち極性が1つだけ異なる位置)に移動する。従って、この状態から正しい相と向きに電流を流すことで、2相の検出結果が予想される結果である時は残り1相の検出結果を無視しても正しい方向へ回転させることができる。
図11は、3相直流モータの定常時の駆動制御を行なう制御回路の概略構成を示す。出力ドライバ回路110は、図1に示されている出力ドライバ回路110と同じ回路である。図1の起動制御回路によりモータが所定の回転数以上になると、図11の制御回路からの制御パルスUPWM,VPWM,WPWMが出力ドライバ回路110に供給されてコイルに正弦波駆動電流が流れモータを駆動する。
図11の制御回路は、上記出力ドライバ回路110の低電位側の出力トランジスタM4〜M6の共通ソース端子に接続された電流センス抵抗Rsnsより変換された電圧に基づいて各コイルに流れる電流を再現する電流再現部220と、図示しないコントローラから供給される電流指令値と前記電流再現部220で再現された電流とに基づいて各相のコイルに印加する正弦波状の電圧値Vu,Vv,Vwを生成するベクトル制御部230と、該ベクトル制御部230で生成された電圧値Vu,Vv,Vwと回転数を示す信号ωとから各相のドライバをPWM(パルス幅変調)制御するパルス信号UPWM,VPWM,WPWMを生成して上記プリドライバ111〜113に供給するPWM信号生成部240と、電圧値Vu,Vv,Vwの中で中間の電位の相を示す信号MU,MV,MWとUPWM,VPWM,WPWMを適切に遅延させた出力ドライバ回路110からのディレイ信号DU,DV,DWとに基づいて電流再現部220におけるコイル電流値のサンプルホールド信号を生成するサンプルホールド信号生成部250とから構成されている。
ベクトル制御部230では電流再現部220により検出されたコイルの電流とコントローラ(CPU)から供給される電流指示値との差を検出し、この差が「0」となるように電圧値Vu,Vv,Vwを生成し、PWM信号生成部240により出力トランジスタを駆動するPWM信号が生成されてコイルに流される出力電流の制御が行われる。例えば検出された電流が電流指示値よりも少ないときは、電圧値Vu,Vv,Vwの振幅が大きくなることでPWM信号のデューティが大きくされてより多くの電流をコイルに流すように制御が行なわれ、検出された電流が電流指示値よりも多いときは、電圧値Vu,Vv,Vwの振幅が小さくなることでPWM信号のデューティが小さくされてコイルに流す電流を減らすように制御が行なわれる。
なお、PWM信号は電気角360度の範囲で複数個(例えば48個)のパルスで構成されるように生成する。つまり、ロータが電気角で360度回転する間に形成される48個のパルスによって出力トランジスタが48回オン、オフ制御され、その48個のパルスのそれぞれの幅は正弦波状に発生させた電圧値Vu,Vv,Vwに応じて順に変化し、その正弦波振幅が制御される
図12には、PWM信号生成部240の構成例が示されている。
本実施例のPWM信号生成部240は、ベクトル制御部30から供給されるモータの回転を示す信号ωに従って互いに位相が180°ずれた正相と逆相の三角波キャリア信号を生成する三角波生成回路241と、該三角波生成回路241により生成された正相の三角波キャリア信号と逆相の三角波キャリア信号のいずれかを選択するセレクタSEL1,SEL2,SEL3からなるキャリア選択回路242と、選択されたキャリア信号とベクトル制御部230で生成された電圧値Vu,Vv,Vwとを比較して電圧値に応じたパルス幅を有するパルス信号UPWM,VPWM,WPWMを出力するコンパレータ243a,243b,243cと、ベクトル制御部230から供給される電圧値Vu,Vv,Vwを相互に比較して中間の電位の相を示す信号MU,MV,MWを生成する中間電圧判定回路244とからなる。
中間電圧判定回路244は、ベクトル制御部230から供給される電圧値Vu,Vv,Vwを2つずつ比較して大小を判定するコンパレータCMP1,CMP2,CMP3と、これら3つのコンパレータの出力およびその反転信号のいずれか入力とする3入力ANDゲートG1〜G6と、これらのゲートのうちG1とG2、G3とG4、G5とG6の出力の論理和をとるORゲートG11,G12,G13とから構成されており、ORゲートG11,G12,G13から出力される信号MU,MV,MWのうち電圧値Vu,Vv,Vwの中間の電位の相に対応したいずれか1つの信号がハイレベルにされるように構成されている。そして、これらの信号MU,MV,MWが図11のサンプルホールド信号生成部250に供給される。三角波生成回路241は、例えば発振回路と積分回路とインバータとから構成することができる。
次に、本実施例のモータ駆動制御回路の動作を、図13〜図15のタイムチャートを用いて説明する。
本実施例においては、三角波生成回路241により正相と逆相の2つの三角波キャリア信号が生成され、中間電圧判定回路244からの出力信号MU,MV,MWによって制御されるセレクタSEL1〜SEL3によりコンパレータ243a,243b,243cに正相または逆相の三角波キャリア信号が供給される。具体的には、電圧値Vu,Vv,Vwのうち中間の電位の相に対応したコンパレータには逆相の三角波キャリア信号が供給され、高い電位と低い電位の相に対応したコンパレータには正相の三角波キャリア信号が供給され、供給された三角波キャリア信号と電圧値Vu,Vv,Vwとを比較してパルス信号UPWM,VPWM,WPWMが生成される。
これによって、中間電圧判定回路44の出力信号MU,MV,MWは、電圧値Vu,Vv,Vwに応じて図13に示すように変化する。また、パルス信号UPWM,VPWM,WPWMは、例えば図13の区間2と3の境界付近を拡大して示す図14のように、電圧値Vu,Vv,VwのうちV相の電圧Vvが中間電位である場合には、V相のパルス信号VPWMが正相の三角波キャリア信号のみに基づいて生成される図24のパルス信号VPWMと位相が180°ずれた信号となる。
そして、本実施例では、電圧値Vu,Vv,Vwの中間の電位の相を示す信号MU,MV,MWが図11のサンプルホールド信号生成部250に供給されて電流値のサンプリングタイミングを与える信号が生成される。そのため、サンプルホールド信号生成部250で生成されるサンプルホールド信号SHは、図14に示すように、逆相の三角波キャリア信号に基づいて生成されたパルス信号VPWMの立上りと立下りに同期した信号の2つとなる。これにより、電圧値Vu,Vv,Vwのうち2つの電圧(図14ではVvとVw)が近い場合にも、検出相(図14ではU相とW相)のコイルの電流値を検出する期間を充分に確保することができるようになる。
また、本実施例のサンプルホールド信号生成部250では、これらのサンプルホールド信号SHから所定時間遅延したサンプルホールド信号をさらに生成し、連続して2つの相のコイルの電流値をそれぞれ2回ずつ検出する。そして、電流再現部220では、1区間に検出された2つの電流値の平均をとって再現電流iuc,ivc,iwcとして出力するように構成されている。これによって、精度の高い電流検出とそれによる精度の高い回転駆動制御が可能になる。本実施例のように、逆相の三角波キャリア信号に基づいて生成されたパルス信号VPWMの立上りと立下りに同期したサンプルホールド信号とそれから所定時間遅延したサンプルホールド信号の両方でコイルの電流の検出を行なう代わりに、パルス信号立上りと立下りに同期したサンプルホールド信号のみでコイルの電流の検出を行なうようにしてもよい。
図14(F)には、本実施例のモータ駆動制御回路においてセンス抵抗Rsnsにより検出される電流の波形を示す。この電流波形と図24(F)の従来のモータ駆動制御回路において検出される電流波形とを比較すると、本実施例の方が、サンプルホールド信号SHにより余裕を持って正確な電流値をサンプリングできることが分かる。しかも、本実施例においては、図23に対応するタイミングを示す図15と図23とを比較すると明らかなように、パルス信号UPWM,VPWM,WPWMの位相関係がずれることにより、図23では検出不能であった区間においてもそれぞれ計算で求めていた相の電流を検出することができるようになる。なお、本実施例においても、各区間で2つの相のコイル電流をセンス抵抗で検出し、残りの相のコイル電流は計算(例えばiu=−iv−iw)によって求めるようにしてもよい。
図16には、サンプルホールド信号生成部250の構成例が示されている。図において、UPWM,VPWM,WPWMはPWM信号生成部220から出力ドライバ回路110へ供給されるパルス信号、MU,MV,MWはベクトル制御部230からPWM信号生成部220へ出力される電圧値Vu,Vv,Vwのうち中間の電位である相を示す信号、DU,DV,DWは出力ドライバ回路110から出力されるPWM信号の遅延信号である。
サンプルホールド信号生成部250は、パルス信号UPWM,VPWM,WPWMと中間電位相を示す信号MU,MV,MWをそれぞれ入力とするANDゲートG21,G22,G23と、信号MU,MV,MWと遅延信号DU,DV,DWをそれぞれ入力とするANDゲートG24,G25,G26と、ANDゲートG21〜G23の出力の論理和をとるORゲートG31と、ANDゲートG24〜G26の出力の論理和をとるORゲートG32と、ORゲートG31の出力信号MPWMとG32の出力信号DPWMの立上りエッジおよび立下りエッジをそれぞれ検出してエッジトリガ信号を生成するエッジトリガ信号生成回路51,52と、生成されたエッジトリガ信号の論理和をとりサンプルホールド信号SHとして出力するORゲートG33とから構成されている。
出力ドライバ回路110から帰還される遅延信号DU,DV,DWは、それぞれ出力ドライバ回路110でパルス信号UPWM,VPWM,WPWMを所定量(Δt)だけ遅延させた信号であるため、ORゲートG31の出力信号MPWMの立上りエッジおよび立下りエッジを検出して生成されたエッジトリガ信号と、ORゲートG32の出力信号DPWMの立上りエッジおよび立下りエッジを検出して生成されたエッジトリガ信号とは、図17に示すように、常にΔtだけ時間差をおいた信号となり、正確なサンプリングが可能になる。
図18には、出力ドライバ回路110のうちU相のコイルに電圧を印加する出力トランジスタM1,M2に対応したプリドライバ回路111の構成例が示されている。
プリドライバ回路111は、PWM信号生成部220から供給されるパルス信号UPWMにより相補的にオン、オフされるスイッチSW1,SW2と、該スイッチSW1,SW2と直列に接続された定電流源Ic1,Ic2と、該定電流源Ic1,Ic2の接続ノードN1と接地点との間に接続された積分容量C3と、該ノードN1の電位が正相入力端子にまたコイルが接続される出力端子の電圧と基準電圧Vrefとの差電圧を抵抗R1とR2の比で分割した電圧が負相入力端子に入力され入力電位差に応じた電流を出力するgmアンプAMP0と、該gmアンプの正相側出力電流を電圧に変換する抵抗R3と、gmアンプの負相側出力電流を電圧に変換する抵抗R4と、変換された電圧に応じて出力トランジスタM1,M2のゲートを駆動するボルテージフォロワとして動作する一対のバッファアンプAMP1,AMP2と、バッファアンプAMP1,AMP2の非反転入力端子と電源電圧端子との間に接続された位相補償用の容量C1,C2と、定電流源Ic1,Ic2の接続ノードN1の電位と基準電圧Vrefとを比較するコンパレータCMP4とから構成されている。
gmアンプAMP0の負相側入力端子には、コイルが接続される出力端子の電圧が抵抗R2を介してフィードバックされており、これにより出力電圧のスルーレートおよび動作遅延時間がgmアンプAMP0の正相側入力電位のスロープで決まるように動作する。バッファアンプAMP1,AMP2を設けているのは、出力トランジスタM1,M2はそのサイズが大きいのでゲート容量も大きく、所望の特性を保持したままgmアンプAMP0の出力で直接駆動するには駆動力が足りなくなるためである。他のプリドライバ回路112,113も図18のプリドライバ回路111と同様な構成を有する。
この実施例の出力ドライバ回路111は、上記積分容量C3によって、入力パルス信号UPWMが立上り、立下りに所定の傾斜を有する信号に変換され、gmアンプAMP0に入力される。また、gmアンプAMP0に入力される信号の傾斜は、積分容量C3の容量値と定電流源Ic1,Ic2に流れる電流値によって決定される。この所定の傾斜を有する信号と基準電圧VrefとをコンパレータCMPによって比較して遅延信号DUが生成される。そのため、入力パルス信号UPWMがずれるとそれに応じて遅延信号DUもずれるため、図17に示されているサンプルホールド信号SHの時間差Δtが常に一定にされ、最適のタイミングで検出電流をサンプリングすることができる。また、積分容量C3によって生成されるスロープがばらつくことで出力段の動作遅延時間がばらついても遅延信号DU,DV,DWが同様にばらつくため、最適のタイミングを常に確保することができる。
図19には、ベクトル制御部230の構成例を示す。
ベクトル制御部230は、再現電流iuc,ivc,iwcを2相DC電流id,iqに座標変換するuvw/dq変換回路231と、変換された電流id,iqと電流指令値とが等しくなるように電圧Vd,Vqを調整する電流制御回路232と、Vd,Vqを逆座標変換して3相交流電圧Vu,Vv,Vwを生成するdq/uvw変換回路233と、Vd,Vqおよびid,iqと回転信号ωとから軸誤差Δθを演算する軸誤差演算回路234と、位相制御回路235および積分回路236とから構成されており、位相制御回路235と積分回路236により軸誤差Δθが「0」になるようにPLL(フェーズロックドループ)制御が行なわれる。
なお、ベクトル制御部230は、適切なトルクでモータを駆動するために電流再現部220からの再現電流iuc,ivc,iwcとコントローラからの電流指令値に基づいて3相正弦波電圧値Vu,Vv,Vwの振幅と位相を制御するもので、図19のベクトル制御部230は公知のベクトル制御部と同様の構成であるので詳しい説明は省略する。位相制御回路235で検出された回転信号ωは図外のコントローラに対しても供給され、コントローラは検出された回転数に応じて電流指令値を送ってくる。
次に、正弦波駆動方式による回転駆動制御回路の他の実施例を、図20を用いて説明する。
この実施例の回転駆動制御回路の構成は、図11の実施例の回転駆動制御回路とほぼ同様である。図11の実施例回路と異なる点は、PWM制御を3相すべてに対して行なう代わりに、1相(図20ではU相)はコイル指令電圧(Vu)をハイレベルに固定して制御信号(UPWM)をデューティ100%に固定された信号として、2相(V相とW相)に対してのみデューティを変化させるPWM制御を行なうようにした回転駆動制御回路に本発明を適用したものである。
本発明を2相PWM制御に適用した場合にも、正相と逆相の三角波キャリア信号が生成される。正相と逆相の三角波キャリア信号でPWM制御信号VPWM,WPWMを生成することにより、電圧値VvとVwが接近している場合にも電流検出を正確に行なうことができる。また、電流検出のためのサンプルホールド信号SHは、各キャリア信号の頂点のタイミングに合わせて生成すればよい。この実施例を適用するとPWM制御信号の生成が2相分だけでよいとともに、サンプリングされた電流の平均化も不要であるため、回路が大幅に簡略化されるという利点がある。なお、1相をハイレベルに固定する代わりにロウレベルに固定させてもよい。
図21は、本発明を適用したモータ駆動制御回路を用いたスピンドルモータ制御系の他、ボイスコイルモータ制御系および磁気ヘッド駆動制御系を有する磁気ディスクシステムの一例としてのハードディスク装置全体の一構成例をブロック図で示したものである。
図21において、310は磁気ディスク300を回転させるスピンドルモータ、320は先端に磁気ヘッド(書込み磁気ヘッドおよび読出し磁気ヘッドを含む)HDを有するアーム、330はこのアーム320を回動可能に保持するキャリッジで、上記ボイスコイルモータ340はキャリッジ330を移動させることで磁気ヘッドを移動させるとともに、磁気ヘッドの中心をトラックの中心に一致させるようにモータ駆動制御回路410がサーボ制御を行なう。
モータ駆動制御回路410は、前記実施例で説明したような機能を有するスピンドルモータ駆動制御回路と磁気ヘッドをディスクの径方向へ移動させるボイスコイルモータ駆動制御回路とが一体となった半導体集積回路であり、コントローラ420から供給される制御信号に従って動作し、磁気ヘッドを所望のトラックへシーク移動させたり磁気ヘッドの相対速度を一定にするように、ボイスコイルモータ340とスピンドルモータ310をサーボ制御する。
430は上記磁気ヘッドHDによって検出された磁気の変化に応じた電流を増幅して読出し信号を信号処理回路(データチャネルプロセッサ)440へ送信したり信号処理回路440からの書込みパルス信号を増幅して磁気ヘッドHDの駆動電流を出力するリード・ライトICである。
また、450は信号処理回路440から送信されてくる読出しデータを取り込んで誤り訂正処理を行なったりホストからの書込みデータに対して誤り訂正符号化処理を行なって信号処理回路440へ出力したりするハードディスク・コントローラである。上記信号処理回路440は、ディジタル磁気記録に適した変調/復調処理や磁気記録特性を考慮した波形整形等の信号処理を行なうとともに、上記磁気ヘッドHDの読出信号から位置情報を読み取る。
460は本システムと外部装置との間のデータの受渡しおよび制御等を行なうインタフェース・コントローラで、上記ハードディスク・コントローラ450はインタフェース・コントローラ460を介してパソコン本体のマイクロコンピュータなどのホストコンピュータに接続される。470は磁気ディスクから高速で読み出されたリードデータを一時的に記憶するバッファ用のキャッシュメモリである。マイクロコンピュータからなるシステムコントローラ420は、ハードディスク・コントローラ450からの信号に基づいて、いずれの動作モードか判定し、動作モードに対応してシステム各部の制御を行なうとともに、ハードディスク・コントローラ450から供給されるアドレス情報に基づいてセクタ位置などを算出したりする。
以上、本発明者によってなされた発明を実施態様にもとづき具体的に説明したが、本発明は上記実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記実施例のモータ駆動制御回路では、3相直流モータを駆動制御する回路を例にとって説明したが、モータは3相以外の多相直流モータであっても本発明を適用することができる。
また、実施例においては、コイルに駆動電流を流すドライバ回路を制御するPWM制御信号を生成するための三角波キャリア信号として正相と逆相の信号を生成すると説明したが、三角波キャリア信号は波形信号として生成する必要はなく、例えばアップダウンカウンタを用いて三角波の信号と同等の機能を提供する三角波情報を生成して使用することができる。また、カウンタを用いる場合、三角波キャリア信号と指令電圧値とを比較してPWM信号を生成するコンパレータの代わりに演算回路を使用することができる。
また、以上の説明では主として、本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるハードディスク記憶装置のモータドライバ装置に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、例えばレーザビームプリンタのポリゴンミラーを回転させるモータや軸流ファンモータなどのブラシレスモータを駆動するモータ駆動制御装置に広く利用することができる。
本発明を適用して有効な3相直流モータにおける駆動回路と起動制御回路の概略構成を示す回路構成図である。 実施例の起動制御回路におけるロータの位置を検出するための通電方法と非通電相の誘起電圧の検出方法を示す説明図である。 一般的な3相直流モータにおける非通電相に誘起される電圧と逆起電圧の位相関係を示す波形図である。 一般的な3相直流モータにおける誘起電圧の極性と逆起電圧の位相関係を示す波形図である。 特殊な3相直流モータにおける非通電相に誘起される電圧と逆起電圧の位相関係を示す波形図である。 特殊な3相直流モータにおける誘起電圧の極性と逆起電圧の位相関係を示す波形図である。 特殊な3相直流モータにおける誘起電圧の極性およびレベルの大きさと逆起電圧の位相関係を示す波形図である。 実施例のモータ駆動制御回路の極性検出部の構成例を示すブロック図である。 実施例のモータ駆動制御回路のデコーダ部の構成例を示すブロック図である。 実施例のモータ駆動制御回路におけるシーケンサによる起動制御手順の一例を示すフローチャートである。 本発明を適用して有効な3相直流モータにおける起動後の駆動制御を行なう駆動制御回路の概略構成を示す回路構成図である。 図11のモータ駆動制御回路におけるPWM信号生成部の構成例を示すブロック図である。 PWM信号生成部により生成される中間電位の相を示す信号MU,MV,MWのタイミングを示すタイムチャートである。 実施例のモータ駆動制御回路における三角波キャリア信号とPWM制御信号並びにサンプルホールド信号のタイミングを示すタイムチャートである。 実施例のモータ駆動制御回路における電気角360°を電圧値の大小に応じて6つに分けた各区間での各相のPWM制御信号のレベルと検出可能な電流との関係を示すタイムチャートである。 図11のモータ駆動制御回路におけるサンプルホールド信号生成部の構成例を示すブロック図である。 図16のサンプルホールド信号生成部内の信号と出力されるサンプルホールド信号との関係を示すタイムチャートである。 図11のモータ駆動制御回路における出力ドライバ回路の構成例を示す回路構成図である。 図11のモータ駆動制御回路におけるベクトル制御部の構成例を示すブロック図である。 本発明を適用した正弦波駆動方式による回転駆動制御回路の他の実施例における三角波キャリア信号とPWM制御信号並びにサンプルホールド信号のタイミングを示すタイムチャートである。 本発明を適用したモータ駆動制御回路を用いたシステムの一例としてのハードディスク装置の一構成例を示すブロック図である。 一般的な3相直流モータと特殊な3相直流モータにおける誘起電圧の極性と逆起電圧の位相関係を示す波形図である。 従来の3相直流モータの正弦波駆動方式における電気角360°を電圧値の大小に応じて6つに分けた各区間での各相のPWM制御信号のレベルと検出可能な電流との関係を示すタイムチャートである。 従来の3相直流モータの正弦波駆動方式における三角波キャリア信号とPWM制御信号並びにサンプルホールド信号のタイミングを示すタイムチャートである。
符号の説明
Lu,Lv,Lw コイル
110 出力ドライバ回路
120 出力電流制御回路
130 誘起電圧検出部
140 極性検出部
150 デコーダ部
160 シーケンサ
220 電流再現部
230 ベクトル制御部
240 PWM信号生成部
240 サンプルホールド信号生成部
300 磁気ディスク
310 スピンドルモータ
320 アーム
330 キャリッジ
340 ボイスコイルモータ

Claims (5)

  1. 3相コイルを有する3相直流モータと、
    上記3相コイルの第一相、第二相、及び第三相に対応した第一、第二、及び第三指示電圧を生成するために上記3相コイルを流れる総電流を検出する電流検出部と、
    上記第一指示電圧が第二指示電圧と第三指示電圧との間の大きさである時に、逆相三角波と上記第一指示電圧とを比較することにより第一PWM信号を生成し、正相三角波と上記第二指示電圧とを比較することにより第二PWM信号を生成するPWM信号生成部と、
    上記第一及び第二PWM信号に基づいて上記3相直流モータを駆動するドライバ回路と、を有し、
    上記PWM信号生成部は、上記第二指示電圧が第一指示電圧と第三指示電圧との間の大きさである時に、上記逆相三角波と上記第二指示電圧とを比較することにより第二PWM信号を生成し、上記正相三角波と上記第一指示電圧とを比較することにより第一PWM信号を生成する3相モータ用の回転駆動制御装置。
  2. 上記PWM信号生成部は、上記第三指示電圧が第一指示電圧と第二指示電圧との間の大きさである時に、上記逆相三角波と上記第三指示電圧とを比較することにより第三PWM信号を生成し、上記正相三角波と上記第一指示電圧とを比較することにより第一PWM信号を生成し、上記正相三角波と上記第二指示電圧とを比較することにより第二PWM信号を生成する請求項1に記載の3相モータ用の回転駆動制御装置。
  3. 上記総電流を検出するタイミングを与えるサンプルホールド信号が、各相のうち指示電圧値が中間である相のPWM信号の立上りまたは立下りに同期するように生成されることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の3相モータ用の回転駆動制御装置。
  4. 上記ドライバ回路に供給される3相のPWM信号のうち上記第三PWM信号はデューティが100%に固定された信号とされ、残りの2つの相のPWM信号は互いに逆相関係の三角波を用いて生成されることを特徴とする請求項1記載の3相モータ用の回転駆動制御装置。
  5. 上記総電流を検出するタイミングを与えるサンプルホールド信号が、上記逆相及び正相三角波それぞれのピーク点に同期するように生成されることを特徴とする請求項4に記載の3相モータ用の回転駆動制御装置。
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