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JP2006075883A - 突起付h形鋼の製造方法 - Google Patents

突起付h形鋼の製造方法 Download PDF

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JP2006075883A
JP2006075883A JP2004264360A JP2004264360A JP2006075883A JP 2006075883 A JP2006075883 A JP 2006075883A JP 2004264360 A JP2004264360 A JP 2004264360A JP 2004264360 A JP2004264360 A JP 2004264360A JP 2006075883 A JP2006075883 A JP 2006075883A
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Hidemi Aoki
秀未 青木
Yoshiaki Maki
義明 牧
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JFE Steel Corp
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JFE Steel Corp
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Abstract

【課題】フランジ厚にかかわりなく、優れた靱性を有し、かつかかる靱性や強度等の特性値のばらつきが小さい突起付H形鋼を得る。
【解決手段】フランジ外面に突起を有する突起付H形鋼の製造に際し、フランジ厚に応じて500〜750℃の範囲から冷却停止温度を設定すると共に、0≦(フランジ外面の冷却水量/フランジ内面の冷却水量)≦3の範囲でフランジの外面および内面を水冷する。
【選択図】なし

Description

本発明は、突起付H形鋼の製造方法に関し、特にフランジの外面および内面の冷却方法に工夫を加えることによって、靱性を向上させると共に、かかる靱性や強度等の特性値のばらつきの低減を図ろうとするものである。
路面覆工板として用いられるH形鋼は、路上を通行する自動車や歩行者のスリップや転倒を防止するために、フランジ表面に突起が設けられている。
また、鉄筋コンクリート構造物において、強度的に鉄筋の過密配筋が必要となる場合、この過密配筋によって施工性が悪化し、工期が長期化するだけでなく、コスト高となるため、鉄筋の代わりに突起を設けたH形鋼をフランジ外面に用いる場合がある。
このようなフランジ外面に突起を有するH形鋼は、ロール表面に溝を有するロールを用いて、熱間圧延を施すことにより製造される。しかしながら、熱間圧延によってH形鋼に突起を安定して形成するのは容易ではない。
例えば、特許文献1では、覆工板に用いられる突起付H形鋼を製造する場合、突起を形成するための溝付ロールの溝の配置や圧下量の配分などを適正化することによって、その安定製造を図っている。
ところで、従来の突起付H形鋼において、覆工板として用いられる場合の必要性能は、JIS G 3101「一般構造用圧延鋼材」に規定されている SS400の性能で満足されていた。
また、鉄筋の代替として用いられる場合には、JIS G 3106「溶接構造用圧延鋼材」に規定されている SM490YAの性能で満足されていた。
しかしながら、上記したSS400およびSM490YAでは、その性能に関し、引張強度、耐力、延びといった機械的性質については保証すべき基準値が設けられているものの、鋼材の靱性を表わす衝撃吸収エネルギー値については特に要求されていない。
そのため、従来の突起付H形鋼は、靱性に関しては必ずしも優れた性能を有しているわけではなかった。
ところが、近年、鉄筋の代替材として使用される突起付H形鋼に関しては、寒冷地で使用されたり、また従来よりも厚肉のH形鋼の適用が求められるようになってきた。
これらの用途に適用する場合には、構造体の性能を保証するために、構造体の主要部材である突起付H形鋼に対して、靱性の保証が要求されるようになってきた。
従来の突起付H形鋼は、SS400やSM490YAなどの機械的性能をそなえる範囲で、できるだけ低コストで突起を安定して形成できるような成分と製造方法が採用されてきた。
SS400やSM490YAの機械的性能を保証するには、特別な合金を多く含まない一般的な炭素鋼で十分であるが、突起を安定して形成するには、突起を有しないH形鋼に比べて高温での圧延が必要となるため、一般的な炭素鋼では十分な靱性が得られないという問題があった。
すなわち、一般的な炭素鋼を高温で圧延すると、オーステナイトの粗粒再結晶域で圧延が終了するため、変態完了後のフェライト・パーライト組織が粗粒組織となり、その結果、十分な靱性が得られなかったのである。
上記の問題を解決する手段として、特許文献2において、突起を形成するのに必要かつ十分な圧延温度を定め、この圧延温度の下でも十分な靱性値を得られるように、鋼材の成分組成を調整すると共に、圧延後に加速冷却を行うことにより、必要最小限のコストアップで、突起の安定形成と、引張り強さ、降伏点および延びの確保、さらには靱性(衝撃吸収エネルギー値)の改善を図っている。
具体的には、フランジ厚が16mm以上の突起付H形鋼において、突起を形成する際の仕上圧延のフランジ温度を800℃以上とし、この条件下でも0℃における衝撃吸収エネルギー vEo:27J以上を保証するために、厳密に成分組成を調整すると共に、圧延後の加速冷却を冷却速度:6〜40℃/s、冷却停止温度:500〜750℃の条件で行うものである。
しかしながら、上記特許文献2では、板厚に応じた具体的な冷却条件については特に考慮が払われていないため、冷却停止温度が500〜750℃の範囲に収まっている場合でも、製品の厚みによっては、所望の機械的性質が得られない場合があった。
一方、H形鋼のフランジの冷却については、例えば特許文献3に記載されているように、フランジの外面側(突起付H形鋼の場合の突起を形成する側)から冷却水を噴射することによって冷却するのが一般的である。
しかしながら、突起付H形鋼において、突起を形成した側から冷却水の噴射を行うと、突起の山に冷却水が衝突するケースと突起の谷に冷却水が衝突するケースがランダムに発生する。このため、鋼材の長手方向での温度不均一が発生し、鋼材全体を所望の管理温度範囲内に制御することは極めて難しい。
そのため、冷却不足による強度不足部分や過冷却による強度過大部分が発生し、不適合製品が発生する場合があった。
特開昭50−124861号公報 特願2003−045847号明細書 特許第2837056号公報
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、H形鋼のフランジ厚に応じて、冷却停止温度を管理すると共に、フランジの内・外面の冷却水量を適宜調整することによって、フランジ厚にかかわりなく、優れた靱性を得ると共に、かかる靱性や強度等の特性値のばらつきを低減させた、突起付H形鋼の有利な製造方法を提案することを目的とするものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)フランジ外面に突起を有する突起付H形鋼の製造に際し、フランジ厚に応じて500〜750℃の範囲から冷却停止温度を設定すると共に、0≦(フランジ外面の冷却水量/フランジ内面の冷却水量)≦3の範囲でフランジの外面および内面を水冷することを特徴とする突起付H形鋼の製造方法。
(2)C:0.12〜0.15mass%、
Si:0.25〜0.40mass%、
Mn:1.40〜1.60mass%、
Nb:0.020 〜0.040 mass%、
V:0.015 〜0.040 mass%および
Ni:0.10〜0.30mass%
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼材を、熱間圧延によりH形鋼に成形するに際し、フランジ外面に突起を付与する仕上げ圧延温度を 800℃以上にすると共に、その後の冷却を、冷却開始時のフランジ温度:800 ℃以上、冷却速度:6〜40℃/sの条件下で行うものとし、その際、フランジ厚に応じて500〜750℃の範囲から冷却停止温度を設定すると共に、0≦(フランジ外面の冷却水量/フランジ内面の冷却水量)≦3の範囲でフランジの外面および内面を水冷することを特徴とする、突起付H形鋼の製造方法。
フランジ厚tfに応じて、冷却停止温度を下記のとおりに設定することを特徴とする上記(1)または(2)記載の突起付H形鋼の製造方法。

tf<30mm 冷却停止温度:600〜750℃
30mm≦tf<35mm 冷却停止温度:580〜730℃
35mm≦tf<40mm 冷却停止温度:560〜700℃
40mm≦tf 冷却停止温度:500〜650℃
本発明によれば、フランジ冷却時の温度のバラツキを小さくすることができ、その結果フランジの機械的性質のバラツキも抑えられるので、不良品の発生率が減少できる。
従って、本発明によれば、優れた靱性を有する突起付H形鋼をより低コストで製造できるだけでなく、納期までに安定して供給することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明の好適成分組成範囲について述べると、次のとおりである。
C:0.12〜0.15mass%
Cは、低コストで強度を得るのに有利な元素であるので、0.12mass%以上含有させることが好ましい。しかしながら、含有量が0.15mass%を超えると靱性の低下を招くので、Cは0.12〜0.15mass%程度とするのが好適である。
なお、C量を低く抑えたことによる機械的強度の低下については、後述するNbおよびVで補償することができる。
Si:0.25〜0.40mass%
Siは、脱酸剤として0.25mass%以上含有させることが好ましい。しかしながら、含有量が0.40mass%を超えると靱性の低下を招くので、Siは0.25〜0.40mass%程度とするのが好適である。
Mn:1.40〜1.60mass%
Mnは、強度と靱性を向上させるために1.40mass%以上含有させることが好ましい。しかしながら、含有量が1.60mass%を超えるとJIS 規格値外れとなるので、Mnは1.40〜1.60mass%程度とするのが好適である。
Nb:0.020 〜0.040 mass%
Nbは、炭窒化物を形成することによって、引張り強さや降伏点の向上に有効に寄与するが、含有量が 0.020mass%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.040mass%を超えると靱性が劣化するので、Nbは 0.020〜0.040 mass%程度とするのが好適である。
V:0.015 〜0.040 mass%
Vも、Nbと同様、炭窒化物の形成によって、引張り強さや降伏点を向上させる有用元素であるが、含有量が 0.015mass%に満たないとその添加効果に乏しく、一方 0.040mass%を超えると延びが低下するので、Vは 0.015〜0.040 mass%程度とするのが好適である。
Ni:0.10〜0.30mass%
Niは、靱性の向上のために0.10mass%以上含有させることが好ましい。しかしながら、含有量の増加と共にコストアップの弊害が生じるので、Niは0.10〜0.30mass%程度とするのが好適である。
次に、本発明の好適製造条件について説明する。
鋼の溶製法および鋳造法については特に制限はなく、従来公知の方法いずれもが適合する。また、H形鋼に成形するための熱間圧延条件も特に制限されることはなく、常法に従って行えば良い。
但し、フランジ外面に突起を付与するための仕上げ圧延温度およびその後の冷却(加速冷却)については、以下の条件を満足させることが好ましい。
仕上げ圧延温度:800 ℃以上
この仕上げ温度が 800℃に満たないと、安定して突起を形成することが難しいので、 800℃以上とすることが好ましい。
冷却開始時のフランジ温度:800 ℃以上
仕上げ圧延時の鋼材の温度は、突起を安定して形成する目的から、上述したとおり 800℃以上としているため、圧延直後の鋼材のフランジ温度も 800℃以上となる。本発明では、圧延直後に鋼材の冷却を開始することによって生産能率の低下を防止することを目的としているので、冷却開始時のフランジ温度も 800℃以上とすることが好ましい。
冷却速度:6〜40℃/s
冷却速度は、これを制御することによって変態挙動を制御し、所望の組織形態とすることができる。フェライト変態によるフェライト・パーライト組織を得て、フェライト分率の向上により引張り強さや降伏点を向上させるためには、6℃/s以上の冷却速度とすることが好ましい。しかしながら、冷却速度が40℃/sを超えて大きくなると変態挙動が変化し、ベイナイト変態あるいはマルテンサイト変態が生じて引張り強さが上昇し過ぎる弊害が生じるので、冷却速度は6〜40℃/s程度とするのが好適である。
冷却停止温度:500〜750 ℃
本発明では、この冷却停止温度を、フランジ厚に応じて500〜750℃の範囲から的確に選択することが重要である。
ここに、全体としての冷却停止温度範囲を500〜750℃の範囲に限定した理由は次のとおりである。
加速冷却における冷却停止温度を低下させることは、フェライト・パーライト変態において組織を微細化する効果があり、靱性の向上と共に引張り強さや降伏点の向上を図るためには、冷却停止温度は 750℃以下とする必要がある。しかしながら、冷却停止温度が 500℃未満になるとフランジの傘折れ形状が大きくなるだけでなく、引張り強さが上昇し過ぎる弊害が生じるので、冷却停止温度は 500〜750 ℃の範囲に制御するものとした。
フランジ外・内面の冷却水量比(フランジ外面の冷却水量/フランジ内面の冷却水量):0〜3
また、本発明では、フランジ外面および内面に対する冷却水量の比を、0≦(フランジ外面の冷却水量/フランジ内面の冷却水量)≦3の範囲で調整することが重要である。
H形鋼の冷却に際し、フランジ外面側からのみ冷却した場合、冷却停止温度のばらつきは、およそ±100℃であり、機械的性質を満足するための冷却停止温度の管理範囲(150℃)から外れる場合が生じる。
従って、冷却停止温度を管理範囲内に制御するためには、フランジ外面側の冷却の比率を抑制し(好ましくは75%以下)、一方冷却停止温度のばらつきを発生しにくいフランジ内面側からの冷却を増強する(好ましくは25%以上)ことが望ましい。
従って、理想的にはフランジ内面側からの冷却を100%とすることであるが、フランジ内面側の冷却のみでは所望の冷却能力が得られない場合があるので、かような場合にはフランジ外面側からの冷却を併用するわけである。
ちなみに、フランジ厚tfに応じた好適な冷却停止温度は次のとおりである。
tf<30mm 冷却停止温度:600〜750℃
30mm≦tf<35mm 冷却停止温度:580〜730℃
35mm≦tf<40mm 冷却停止温度:560〜700℃
40mm≦tf 冷却停止温度:500〜650℃
上記したような成分調整および制御冷却を行うことにより、フランジ厚が16mm以上の突起付H形鋼において、仕上げ圧延温度:800 ℃以上の条件下で安定して突起が形成できるだけでなく、引張り強さが 490 MPa以上、610 MPa 以下、降伏点が 355 MPa以上、延びが19%以上、そして0℃における衝撃吸収エネルギー V0 が27J以上という優れた機械的性能を、かような特性値のバラツキなしに安定して得ることができる。
なお、本発明で対象とする突起付H形鋼は、そのフランジ厚が特に限定されることはないが、本発明は、突起高さの形成効率が低下するとされる、フランジ厚が16mm以上(好ましくは42mm以下)の厚肉のH形鋼に適用して特に好適である。
表1〜4に示す成分組成になる鋼材を、同じく表1〜4に示す種々の冷却方法並びに種々の冷却停止温度条件下で熱間圧延することにより、断面寸法(ウェブ高さ×フランジ幅×ウェブ厚×フランジ厚)が350×333×35×40(mm)、340×328×30×35(mm)、332×324×26×31(mm)、320×323×25×25(mm)の突起付H形鋼を製造した。なお、冷却速度は全長で6〜40℃/sとなるようにした。
かくして得られた突起付H形鋼の突起高さ、引張り強さ、降伏点、延びおよび0℃における衝撃吸収エネルギーvEoについて調べた結果を、表1〜4に併記する。
なお、かかる特性値の測定は、鋼材の先端部(Top)、中央部(Mid)および尾端部(Bot)について行い、そのバラツキを測定した。
また、突起高さの要求性能下限値は2.1mm、引張り強さ、降伏点、延びおよび0℃にお ける衝撃吸収エネルギーvEoの許容値はそれぞれ、490〜610MPa、355MPa以上、19%以上、27J以上である。
Figure 2006075883
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表1〜4から明らかなように、発明例はいずれも長手位置3ケ所において、フランジ厚の如何にかかわらず、突起高さが2.1mm以上を満足するだけでなく、引張り強さ≧490MPa、降伏点≧355MPa、延び≧19%および0℃における衝撃吸収エネルギーvEo≧27Jを満足しており、衝撃靱性値を保証した突起付H形鋼として十分使用に耐え得る。
また、発明例はいずれも、長手方向における各特性値のバラツキが小さい。

Claims (3)

  1. フランジ外面に突起を有する突起付H形鋼の製造に際し、フランジ厚に応じて500〜750℃の範囲から冷却停止温度を設定すると共に、0≦(フランジ外面の冷却水量/フランジ内面の冷却水量)≦3の範囲でフランジの外面および内面を水冷することを特徴とする突起付H形鋼の製造方法。
  2. C:0.12〜0.15mass%、
    Si:0.25〜0.40mass%、
    Mn:1.40〜1.60mass%、
    Nb:0.020 〜0.040 mass%、
    V:0.015 〜0.040 mass%および
    Ni:0.10〜0.30mass%
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼材を、熱間圧延によりH形鋼に成形するに際し、フランジ外面に突起を付与する仕上げ圧延温度を 800℃以上にすると共に、その後の冷却を、冷却開始時のフランジ温度:800 ℃以上、冷却速度:6〜40℃/sの条件下で行うものとし、その際、フランジ厚に応じて500〜750℃の範囲から冷却停止温度を設定すると共に、0≦(フランジ外面の冷却水量/フランジ内面の冷却水量)≦3の範囲でフランジの外面および内面を水冷することを特徴とする、突起付H形鋼の製造方法。
  3. フランジ厚tfに応じて、冷却停止温度を下記のとおりに設定することを特徴とする請求項1または2記載の突起付H形鋼の製造方法。

    tf<30mm 冷却停止温度:600〜750℃
    30mm≦tf<35mm 冷却停止温度:580〜730℃
    35mm≦tf<40mm 冷却停止温度:560〜700℃
    40mm≦tf 冷却停止温度:500〜650℃
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