JP2006071423A - X線検査装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 X線検査装置10では、制御コンピュータ20が、X線ラインセンサ14における検出結果に基づいてX線画像を形成し、このX線画像に基づいて異物混入の検査を行う装置において、全体のX線画像における各部の明るさを抽出して背景部分と思われる部分を特定する。制御コンピュータ20は、背景部分として特定された部分と、X線ラインセンサ14の1ライン分に相当するX線画像の部分の最大明るさとを比較して、その1ライン分に相当するX線画像の部分の補正の可否を決定する。
【選択図】 図6
Description
すなわち、上記公報に開示されたX線検査装置では、ラインセンサの端部の検出素子のデータに基づいて補正を行うため、被検査物がコンベアの幅方向において偏った位置で搬送されて、そのラインセンサの端部上を通過した場合には、X線強度の変動を補正する基準となる適正な数値を得ることができない。また、このようなコンベア上における被検査物の偏りを検知するためには、余計な検出素子等が必要となる。
ここで、本発明のようにラインセンサにおけるX線の透過量の検出結果に基づいてX線画像を作成するX線検査装置では、X線照射器の劣化等によって微小な放電やX線の出力の不安定化が生じることがある。このようなX線の出力の不安定化は、一時的なX線照射量の減少に起因して発生するX線画像中にラインセンサの長手方向に延びる暗いスジとして現れ、検査精度の低下を招来する。
第2の発明に係るX線検査装置は、第1の発明に係るX線検査装置であって、背景特定部は、全体のX線画像に含まれる部分のうち最大明るさの部分を背景部分として特定する。
これにより、X線画像の中から背景部分を容易に特定することができる。
第3の発明に係るX線検査装置は、第1の発明に係るX線検査装置であって、背景特定部は、全体のX線画像に基づいて明るさのヒストグラムを作成し、ヒストグラムに現れる極大点のうち、最も明るい側の極大点となる明るさの部分を背景部分として特定する。
ここで、X線画像における最も明るい部分を背景部分として特定する場合には、X線の照射量のばらつき等に起因して、この最も明るい部分もばらつくおそれがある。
第4の発明に係るX線検査装置は、第1の発明に係るX線検査装置であって、背景特定部は、全体のX線画像に基づいて明るさのヒストグラムを作成し、最頻値となる明るさの部分を背景部分として特定する。
ここで、X線画像全体における最も明るい部分を背景部分として特定する場合には、X線の照射量のばらつき等に起因して、この最も明るい部分もばらつくおそれがある。
これに対して、本発明のX線検査装置のように、X線画像全体における最も明るい部分よりもばらつきの少ないヒストグラムにおける最頻値の明るさの部分を背景部分として特定することで、背景として特定される部分をより正確に特定し、高精度な補正を行うことが可能になる。
ここでは、X線画像を補正する際に、X線画像全体から背景部分として特定された明るさと、ラインセンサの1ラインごとに得られるX線画像から抽出される明るさとを比較して補正を行う。具体的には、背景特定部によって特定された背景部分の明るさと、1ラインごとのX線画像の最も明るい部分の明るさ、あるいは1ラインごとのX線画像の最頻値となる明るさ等と比較して補正を行う。
第6の発明に係るX線検査装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係るX線検査装置であって、1ラインごとのX線画像から抽出される明るさが、特定された背景の明るさに対して所定の割合を下回る明るさである場合には、検査を中止するように制御する制御部を、さらに備えている。
これにより、X線を照射する照射部の出力の不安定が大きい場合には、異常発生として認識して検査を中止して、X線源を交換する等の措置を採ることができる。
ここでは、異常発生時には検査不能である旨を表示部に表示させる。
これにより、作業者に対して異常発生を認識させて、早急に出力が不安定でない正常なX線源に交換する等の措置を採らせることができる。
[X線検査装置全体の構成]
本実施形態のX線検査装置10は、図1に示すように、食品等の商品の生産ラインにおいて品質検査を行う装置の1つである。X線検査装置10は、連続的に搬送されてくる商品に対してX線を照射し、商品を透過したX線量に基づいて商品に異物が混入しているか否かの検査を行う。
シールドボックス11は、商品Gの入口側と出口側の双方の面に、商品を搬出入するための開口11aを有している。このシールドボックス11の中に、コンベア12、X線照射器13、X線ラインセンサ14、制御コンピュータ20などが収容されている。
また、開口11aは、図1に示すように、シールドボックス11の外部へのX線の漏洩を防止するために、遮蔽ノレン16によって塞がれている。この遮蔽ノレン16は、鉛を含むゴム製のノレン部分を有しており、商品が搬出入されるときには商品によって押しのけられる。
〔コンベア〕
コンベア12は、シールドボックス11内において商品を搬送するものであって、図6の制御ブロックに含まれるコンベアモータ(駆動機構)12fによって駆動される。コンベア12による搬送速度は、作業者が入力した設定速度になるように、制御コンピュータ20によるコンベアモータ12fのインバータ制御によって細かく制御される。
コンベアベルト12aは、無端状ベルトであって、ベルトの内側からコンベアフレーム12bによって支持されている。そして、コンベアモータ12fの駆動力を受けて回転することで、ベルト上に載置された物体を所定の方向に搬送する。
X線照射器13は、図3に示すように、コンベア12の上方に配置されており、コンベアフレーム12bに形成された開口部12cを介して、コンベア12の下方に配置されたX線ラインセンサ(受光部、ラインセンサ)14に向かって扇形形状にX線を照射する(図3の斜線部参照)。
X線ラインセンサ14は、コンベア12(開口部12c)の下方に配置されており、商品Gやコンベアベルト12aを透過してくるX線を検出する。このX線ラインセンサ14は、図3および図7に示すように、コンベア12による搬送方向に直交する向きに一直線に水平配置された複数の画素14aから構成されている。
〔モニタ〕
モニタ26は、フルドット表示の液晶ディスプレイである。また、モニタ26は、タッチパネル機能を有しており、初期設定や不良判断に関するパラメータ入力などを促す画面を表示する。
さらに、モニタ26は、後述するX線照射量の不安定化によってX線画像に形成される暗いスジ部分を補正する前後のX線画像や、X線照射器13の照射量の不安定化によって検査不能である旨の表示を行う。
制御コンピュータ(制御部、画像作成部、背景特定部、補正部)20は、CPU21において、制御プログラムに含まれる画像処理ルーチン、検査判定処理ルーチンなどを実行する。また、制御コンピュータ20は、CF(コンパクトフラッシュ(登録商標))25等の記憶部に、不良商品に対応するX線画像や検査結果、X線画像の補正用データ等を保存蓄積する。
そして、CPU21、ROM22、RAM23、CF25などは、アドレスバス,データバス等のバスラインを介して相互に接続されている。
ロータリエンコーダ12gは、コンベアモータ12fに装着され、コンベア12の搬送速度を検出して制御コンピュータ20に送信する。
光電センサ15は、被検査物である商品GがX線ラインセンサ14の位置にくるタイミングを検出するための同期センサであり、コンベアを挟んで配置される一対の投光器および受光器から構成されている。
〔X線画像作成〕
制御コンピュータ20は、光電センサ15からの信号を受けて、商品Gが扇状のX線照射部(図3に示す斜線部分参照)を通過するときに、X線ラインセンサ14によるX線透視像信号(図7参照)を細かい時間間隔で取得する。そして、制御コンピュータ20は、画像形成部として、それらのX線透視像信号に基づいて、X線ラインセンサ14の1ラインごとに商品Gとその背景部分とを含むX線画像を作成する。すなわち、X線ラインセンサ14の各画素14aから細かい時間間隔をあけて各時刻のデータを得て、それぞれのデータからX線画像が作成される。そして、これら複数のX線画像を時間経過順に組み合わせることで、図4(a)および図4(b)に示すように、商品Gの全体とその背景部分とを含む全体の2次元画像が形成される。
本実施形態のX線検査装置10では、制御コンピュータ20によって形成された2次元画像に対して所定の補正を行う。
すなわち、X線照射器13によるX線照射量は、X線照射器13内のX線管の経年劣化によって放電が発生したり、X線照射量の不安定化を招いたりすることがある。このような照射量の不安定は、制御コンピュータ20によって形成される全体のX線画像の一部に暗いスジとなって現れ(図4(b)参照)、この暗いスジの部分を異物と判定してしまう等、高精度な異物検出を行うための障害となるおそれがある。なお、このような暗いスジは、X線照射量が一時的に減少することで、X線ラインセンサ14の1ライン分のX線画像の全体が暗くなることで、全体のX線画像の一部に暗いスジとして現れるものである。このため、図4(b)に示すように、X線ラインセンサ14の1ライン分に対応する暗いスジが図中の縦方向に現れる。
具体的には、まず、制御コンピュータ20は、背景特定部として、X線ラインセンサ14において検出されたX線量に基づいて形成される全体のX線画像から、各画素14a、各時間の明るさを抽出する。そして、図5に示すヒストグラムを作成して、最も明るい側の極大点(または最頻値)となる明るさ(BG)の部分(画素14a)を背景部分として特定する。
次に、制御コンピュータ20は、全体のX線画像から背景部分として特定した画素14aに相当するX線画像の部分の明るさと、X線ラインセンサ14の1ライン分のX線画像から抽出される最も明るい部分の明るさ(背景部分)とを比較する。この結果、最も明るい部分の明るさが、制御コンピュータ20が背景部分として特定した部分の明るさと同程度の明るさである場合、換言すれば、全体のX線画像の背景部分が、1ライン分のX線画像における背景部分と明るさが同程度である場合には、このラインは暗いスジ部分ではないと認識して、このラインについては補正しない。
なお、上記peekとは、X線画像における明るさのヒストグラムにおいて、最も明るい側の極大点または最頻値となる明るさ(BG)の部分をいう。
次に、このp(y)を用いて、以下の関係式(2)から補正係数r(y)を導出する。
r(y)=p(y)/BG ・・・・・(2)
そして、上記関係式(2)によって得られた補正係数r(y)を用いて、以下の関係式(3)によって各画素14aにおける明るさf(x,y)から補正後の明るさg(x,y)を得ることができる。
すなわち、上記関係式(2)では、全体のX線画像の中で暗いスジ部分となっていない1ライン分のX線画像については、p(y)とBGとが同程度となるため、r(y)≒1となるはずである。よって、この場合には、上記関係式(3)によって、f(x,y)≒g(x,y)となる。一方、暗いスジ部分となった1ライン分のX線画像については、p(y)がBGよりも小さくなるため、r(y)<1となる。よって、この場合には、上記関係式(3)によって、f(x,y)<g(x,y)となり、補正後の明るさg(x,y)を補正前の明るさf(x,y)よりも明るくすることができる。
〔異物混入検査〕
制御コンピュータ20では、CPU21で実施される異物検査ルーチンとして、上記のようにして暗いスジ部分を補正により除去された後のX線画像を画像処理して、複数の判断方式によって商品の良・不良(異物が混入していないかどうか)を判断する。判断方式には、例えば、トレース検出方式、2値化検出方式、マスク2値化検出方式などがある。これらの判断方式で判断した結果、1つでも不良と判断するもの(図7に示す異物像)があれば、その商品Gは不良品と判断される。
トレース検出方式は、被検出物の大まかな厚さに沿って基準レベル(閾値)を設定し、像がそれよりも暗くなったときに商品G内に異物が混入していると判断する方式である。この方式では、比較的小さな異物を検出して商品不良を検出することができる。
これにより、X線出力の制限手段をハードウェアとして実現し、X線源側に制限手段を設けることができる。例えば、X線出力をディップスイッチで設定してX線出力をアナログ電圧で制御する場合には、その設定に対するハード的なX線源のアナログ電圧の入力制限に加えて、X線出力をコントロールする。このとき、ホスト側に対してもそのX線の照射量に関する制限情報を送信してソフトウェアでも認識できるようにすることで操作時における人為的な設定ミスによるX線漏洩を防止することができる。また、X線ラインセンサ14における検出値によって照射量を制御したり、リファレンス用テーブルを参照して明らかな出力オーバーの場合にもX線出力異常としてX線照射器13からのX線照射を停止させる。
(1)
本実施形態のX線検査装置10では、制御コンピュータ20が、X線ラインセンサ14における検出結果に基づいてX線画像を形成し、このX線画像に基づいて異物混入の検査を行う装置において、全体のX線画像における各部の明るさを抽出して背景部分と思われる部分を特定する。そして、この背景部分として特定された部分と、X線ラインセンサ14の1ライン分に相当するX線画像の部分の最大明るさとを比較して、その1ライン分に相当するX線画像の部分の補正の可否を決定する。
(2)
本実施形態のX線検査装置10では、制御コンピュータ20が、X線ラインセンサ14における各画素14aの検出結果に基づいて作成された全体のX線画像における各部の明るさのデータからヒストグラムを作成し(図5参照)、最も明るい側の極大点となる明るさを有する部分を背景部分として特定する。
(3)
本実施形態のX線検査装置10では、制御コンピュータ20が、全体のX線画像から背景部分として特定した部分の明るさと、X線画像における1ラインごとの最大明るさとを比較して補正の可否を決定する。
本実施形態のX線検査装置10では、制御コンピュータ20が、1ラインごとのX線画像の最大明るさ(p(y))が背景部分として特定した部分の明るさ(BG)の半分に満たない場合(r(y)<0.5)には、X線照射部13の照射量異常として検査を中止させる。
(5)
本実施形態のX線検査装置10では、上述したように、制御コンピュータ20が、X線照射器13からの照射量異常と判定した場合(r(y)<0.5の条件を満たす状態)には、モニタ26に検査不能状態である旨を表示する。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
上記実施形態では、X線画像の補正を行う際において、X線画像に基づいて明るさのヒストグラムを作成し、このヒストグラムに現れる極大点のうち、最も明るい側の極大点となる明るさの部分を背景部分として特定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
ただし、上記実施形態のようにヒストグラムを作成して最も明るい極大点の明るさの部分を背景として特定する方法は、統計的データを用いて背景部分を特定することになるため、比較的ばらつきの大きい最大明るさの部分を背景として特定する方法と比較して、ばらつきの少ない正確な補正を実施することができる点でより好ましい。
上記実施形態では、X線画像の各部における明るさに基づいてヒストグラムを作成し、その最も明るい側の極大点となる明るさに相当する部分を背景部分として特定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ヒストグラムにおける最頻値となる明るさの部分を背景部分として特定してもよい。この場合でも、上記実施形態のX線検査装置10と同様の効果を得ることができる。ただし、ヒストグラムの最頻値となる明るさの部分を背景部分として特定した場合には、X線画像の大部分が物品に相当するような場合には、最頻値の明るさの部分は背景部分よりも暗い物品に相当する部分になってしまうため、適切な背景部分の特定ができなくなるおそれがある。よって、物品の大きさに関係なく正確な背景部分の特定を行うことを考慮すれば、上記実施形態のように、最も明るい側の極大点に相当する明るさの部分を背景部分として特定することがより好ましい。
上記実施形態では、X線画像の補正において、r(y)<0.5という条件を満たす場合に、制御コンピュータ20が、X線照射器13からのX線の照射を停止させて検査を禁止するとともに、モニタ26に検査不能状態である旨を表示させる例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
11 シールドボックス
11a 開口
12 コンベア
12a コンベアベルト
12b コンベアフレーム
12c 開口部
12e スリット
12f コンベアモータ
12g ロータリエンコーダ
13 X線照射器(照射部)
14 X線ラインセンサ(受光部、ラインセンサ)
14a 画素
15 光電センサ
16 遮蔽ノレン
20 制御コンピュータ(制御部、画像形成部、背景特定部、補正部)
21 CPU
22 ROM(記憶部)
23 RAM(記憶部)
24 USB(外部接続端子)
25 CF(コンパクトフラッシュ(登録商標)、記憶部)
26 モニタ(表示部)
G 商品
Claims (7)
- 物品に対してX線を照射し、その透過量を検出して前記物品の検査を行うX線検査装置であって、
前記物品に対してX線を照射する照射部と、
前記照射部から前記物品に対して照射されたX線の透過量を検出するラインセンサと、
前記ラインセンサにおいて1ライン分ごとに得られた透過量に基づいてX線画像を作成する画像形成部と、
前記1ライン分のX線画像を組み合わせた全体のX線画像における各部の明るさを抽出して背景部分を特定する背景特定部と、
前記背景特定部によって特定された背景部分の明るさに基づいて前記X線画像を1ライン分ごとに補正する補正部と、
を備えているX線検査装置。 - 前記背景特定部は、前記全体のX線画像に含まれる部分のうち最大明るさの部分を背景部分として特定する、
請求項1に記載のX線検査装置。 - 前記背景特定部は、前記全体のX線画像に基づいて明るさのヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムに現れる極大点のうち、最も明るい側の極大点となる明るさの部分を背景部分として特定する、
請求項1に記載のX線検査装置。 - 前記背景特定部は、前記全体のX線画像に基づいて明るさのヒストグラムを作成し、最頻値となる明るさの部分を背景部分として特定する、
請求項1に記載のX線検査装置。 - 前記補正部は、前記背景特定部において特定された背景部分の明るさと、1ラインごとのX線画像から抽出される明るさとを比較して補正を行う、
請求項1から4のいずれか1項に記載のX線検査装置。 - 前記1ラインごとのX線画像から抽出される明るさが、前記特定された背景の明るさに対して所定の割合を下回る明るさである場合には、検査を中止するように制御する制御部を、
さらに備えた、
請求項1から5のいずれか1項に記載のX線検査装置。 - 前記制御部が検査を中止するように制御すると検査不能である旨を表示する表示部を、さらに備えている、
請求項6に記載のX線検査装置。
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