JP2006055833A - 吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 不飽和単量体を架橋重合した吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤であって、生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上、質量平均粒子径(D50)が200〜400μm、150μm未満の粒子が0〜2質量%、可溶分劣化増加量が0〜15質量%、かつ劣化試験液での1時間可溶分が0.1〜30質量%の吸水剤である。
【選択図】 なし
Description
酸基および/またはその塩含有不飽和単量体を架橋重合した吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤であって、下記(a)〜(d)を満たす粒子状吸水剤。
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
(d)上記式で示す可溶分劣化増加量が0〜15質量%で、且つ劣化試験液での1時間可溶分が0.1〜30質量%。
酸基および/またはその塩含有不飽和単量体を架橋重合した吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤であって、下記(a)〜(c)および(e)を満たす粒子状吸水剤。
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
(e)上記式で示す可溶分劣化増加倍率が1〜4倍で、且つ劣化試験液での1時間可溶分が0.1〜30質量%。
酸基および/またはその塩含有不飽和単量体を架橋重合した吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤であって、下記(a)〜(c)および(f)、(g)を満たす粒子状吸水剤。
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
(f)生理食塩水中での16時間可溶分が0.1〜10質量%
(g)生理食塩水への4.8kPaでの高加圧下吸収倍率(AAP4.8kPa)が21g/g以上。
未中和アクリル酸および/またはその塩を単量体の主成分とする不飽和単量体水溶液を架橋剤および連鎖移動剤の存在下に架橋重合する工程、
重合して得られた下記(a)〜(c)を満たす吸水性樹脂粒子をさらに表面架橋する工程
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
を含む、ことを特徴とする。
未中和アクリル酸を単量体の主成分とする濃度10〜30質量%の不飽和単量体水溶液を架橋剤の存在下に架橋重合する工程
重合後に中和する工程
中和して得られた下記(a)〜(c)を満たす吸水性樹脂粒子をさらに表面架橋する工程、
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
を含む、ことを特徴とする。
未中和アクリル酸および/またはその塩を単量体の主成分とする不飽和単量体水溶液を架橋剤の存在下に架橋重合する工程、
重合して得られた下記(a)〜(c)を満たす吸水性樹脂粒子をさらに表面架橋する工程
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%、および
(i)重合時、(ii)重合後の表面架橋前、(iii)表面架橋時、(iv)表面架橋後からなる群から選択される1以上の時期にキレート剤を添加する工程、
を含む、ことを特徴とする。
本発明の吸水性樹脂とは、ヒドロゲルを形成しうる水膨潤性水不溶性の架橋重合体のことであり、例えば、水膨潤性とはイオン交換水中において必須に自重の5倍以上、好ましくは50倍から1000倍という多量の水を吸収するものを指す。また、水不溶性とは水可溶分、すなわち1時間可溶分が50質量%以下、さらには後述の範囲のものを指す。なお、これらの測定法は実施例で規定する。
本発明で吸水剤とは吸水性樹脂を主成分とする、水性液体を吸収するための固化剤である。水性液体としては、水に限らず、尿、血液、糞、廃液、湿気や蒸気、氷、水と有機溶媒ないし無機溶媒の混合物、雨水、地下水など、水を含むものを特に制限なく吸水することができるが、好ましくは、尿、特に人尿である。本発明では、吸水性樹脂をそのまま吸水剤として使用することもでき、また、必要により添加剤や水などを含有していてもよい。吸水剤における吸水性樹脂の含有量は、吸水剤の70〜100質量%、好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。その他の含有成分としては通常は水が主成分ないし必須とされ、さらには後述の添加剤が使用される。
吸水性樹脂を構成する不飽和単量体(以下単に単量体と略す)としては、アクリル酸および/またはその塩を主成分として使用するが、その他の単量体を併用してもよく、その他の単量体だけから吸水性樹脂を得てもよい。このような他の単量体としては、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソブチレン、ラウリル(メタ)アクリレート等の水溶性または疎水性不飽和単量体がある。これらは1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明で使用する吸水性樹脂は架橋重合体であるが、架橋構造の形成は、架橋性単量体を使用しない自己架橋型であってもよく、いわゆる架橋性単量体などの内部架橋剤を使用してもよい。物性面からは、一分子中に2個以上の重合性不飽和基や2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合又は反応させることが好ましい。なお、架橋重合体であるため水不溶性となる。
本発明に用いられる吸水性樹脂を得るために上述の単量体を重合するに際して使用される開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酢酸カリウム、過酢酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過炭酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤や、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン等の光重合開始剤を用いることができる。これら重合開始剤の使用量は物性面から0.001〜2モル%、好ましくは0.01〜0.1モル%(対全単量体)である。これらの重合開始剤が0.001モル%未満の場合には未反応の残存単量体が多くなり、一方、重合開始剤が2モル%を超える場合には重合の制御が困難となるので好ましくない。
本発明ではバルク重合や沈殿重合を行うことが可能であるが、物性面から上記単量体を水溶液とすることによる、水溶液重合や逆相懸濁重合を行うことが好ましい。単量体を水溶液とする場合の該水溶液(以下、単量体水溶液と称する)中の単量体の濃度は、水溶液の温度や単量体によって決まり、特に限定されるものではないが、好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。また、上記水溶液重合を行う際には、水以外の溶媒を必要に応じて併用してもよく、併用して用いられる溶媒の種類は、特に限定されるものではない。重合後は必要により粉砕すればよい。
本発明では、重合時に必須に連鎖移動剤を使用してもよい。前述の前記不飽和単量体、内部架橋剤、重合開始剤に加えて水溶性連鎖移動剤を存在させて重合することで、得られる吸水性樹脂を本発明の吸水剤として用いた場合、吸収能が高く、尿に対する安定性に優れる吸収体を得ることが可能になる。連鎖移動剤を併用する場合は、内部架橋剤の配合量を多くでき、架橋密度の増加によって耐尿劣化を向上させることができる。
上記重合方法で得られた架橋重合体は、含水ゲル状架橋重合体であり、必要に応じてゲルを粉砕し、さらに乾燥される。乾燥は通常熱媒温度60℃〜250℃、好ましくは100℃〜220℃、より好ましくは120℃〜200℃の温度範囲で行われる。乾燥時間は重合体の表面積、含水率、および乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう選択される。なお、本発明では、乾燥後の架橋重合体を吸水性樹脂と称する。
本発明で使用する吸水性樹脂は、本発明の粒子状吸水剤を得るために、好ましくは特定の粒度に調整される。
上記(9)の粉砕・分級および粒度制御によって、除去された微粒子は、より大きな粒子または粒子状凝集物に再生し、本発明の吸水性樹脂として用いることができる。米国特許6228930号、同5264495号、同4950692号、同5478879号および欧州特許844270号などに記載の方法を用いることが可能であるが、このように再生された吸水性樹脂は実質的に多孔質構造を有する。
本発明で用いられる吸水性樹脂は、好ましくは、前記製法1〜3に代表されるように、特定の粒度分布に調整し、得られた特定吸収倍率の吸水性樹脂をさらに表面架橋したものでもよい。本発明で使用する吸水性樹脂は、例えば、かかる表面架橋によってその吸収倍率(CRC)が低下し、通常、表面架橋前の吸収倍率(CRC)の95〜50%、さらには90〜60%にまで低下する。なお、吸収倍率(CRC)の低下は、架橋剤の種類や量、反応温度や時間などで適宜調整することができる。
本発明で使用する吸水性樹脂は、上記工程に加えてさらに造粒してもよい。このような造粒工程としては、表面架橋処理した吸水性樹脂に、水を加えて含水率1〜10質量%を保ったまま加熱し、必要により前記方法で粉砕する方法が好適である。このような造粒を行なって、吸水性樹脂を特定の粒度に調整することもできる。
本発明の粒子状吸水剤には、キレート剤、特に多価カルボン酸およびその塩を配合することが出来る。
本発明ではさらに、上記したキレート剤以外にも、下記の(A)植物成分、(B)有機酸の多価金属塩、(C)無機微粒子((D)複合含水酸化物を含む)等を微量成分として添加し、これにより本発明の吸水剤に種々の機能を付与させることも出来る。添加方法は、添加剤が溶液の場合には、水溶液で添加する態様、水分散液で添加する態様、そのまま添加する態様、添加剤が粉体の場合には、それが水不溶性場合には、水分散液で添加する態様、そのまま添加する態様があり、粉体が水溶性の場合には、上記溶液の場合と同様の方法で添加することができる。
本発明にかかる吸水剤は、消臭性を発揮させるために、上記量で植物成分を配合することが出来る。本発明において用いることが出来る植物成分は、好ましくは、ポリフェノール、フラボンおよびその類、カフェインから選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、タンニン、タンニン酸、五倍子、没食子および没食子酸から選ばれるすくなくとも一種であることがさらに好ましい。
本発明にかかる吸水剤は、粉体流動性の向上、吸湿後の流動性維持のために上記量で多価金属塩、特に有機酸の多価金属塩を配合することが出来る。
本発明にかかる吸水剤は、吸湿後の流動性維持のために無機微粒子、特に水不溶性無機微粒子を配合することが出来る。本発明に使用される無機粉末としては、具体的には例えば、二酸化珪素や酸化チタン等の金属酸化物、天然ゼオライトや合成ゼオライト等の珪酸(塩)、カオリン、タルク、クレー、ベントナイト等が挙げられる。これらの群から選ばれる1種または2種以上が用いられる。このうち二酸化珪素および珪酸(塩)がより好ましく、コールターカウンター法により測定された平均粒子径が0.001〜200μmの二酸化珪素および珪酸(塩)がさらに好ましい。
本発明にかかる吸水剤は、優れた吸湿流動性(吸水性樹脂または吸水剤が吸湿した後の粉体の流動性)を示し、さらに、優れた消臭性能を発揮させるために亜鉛と珪素、または、亜鉛とアルミニウムを含む複合含水酸化物を配合することが出来る。
抗菌剤、水溶性高分子、水不溶性高分子、水、有機微粒子など、その他添加剤は特に本発明の吸水剤が得られる限り、その添加は任意である。
上記製法1〜3などを製法の一例とする本発明の粒子状吸水剤は、従来にない新規な性能を示す新規な吸水剤である。
酸基および/またはその塩含有不飽和単量体を架橋重合した吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤であって、下記(a)〜(d)を満たす粒子状吸水剤。
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
(d)上記式で示す可溶分劣化増加量が0〜15質量%で、且つ劣化試験液での1時間可溶分が0.1〜30質量%。
酸基および/またはその塩含有不飽和単量体を架橋重合した吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤であって、下記(a)〜(c)および(e)を満たす粒子状吸水剤。
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
(e)上記式で示す可溶分劣化増加倍率が1〜4倍で、且つ劣化試験液での1時間可溶分が0.1〜30質量%。
酸基および/またはその塩含有不飽和単量体を架橋重合した吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤であって、下記(a)〜(c)および(f)、(g)を満たす粒子状吸水剤。
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
(f)生理食塩水中での16時間可溶分が0.1〜10質量%
(g)生理食塩水への4.8kPaでの高加圧下吸収倍率(AAP4.8kPa)が21g/g以上。
(i)生理食塩水への1.9kPaでの加圧下吸収倍率(AAP1.9kPa)
本発明の吸水剤は、生理食塩水に対する荷重が1.9kPaの圧力下(荷重下)での加圧下吸収倍率が好ましくは20g/g以上、より好ましくは25g/g以上、さらに好ましくは30g/g以上、特に好ましくは35g/g以上である。加圧下吸収倍率が20g/gよりも小さいと、本発明の効果が発揮できない恐れがある。なお、上限は特に問わないが、製造の困難によるコストアップから60g/g程度で十分である場合もある。
本発明の吸水剤は嵩比重(JIS K−3362で規定)は好ましくは0.40〜0.90g/ml、より好ましくは0.50〜0.80g/mlの範囲に調整される。また(h)600〜150μmの間の粒子が全体の好ましくは90〜100質量%、より好ましくは95〜100質量%、さらに好ましくは98〜100質量%とされる。粒度分布の(l)対数標準偏差(σζ)は好ましくは0.20〜0.40、より好ましくは0.20〜0.38、特に好ましくは0.20〜0.36とされる。この範囲で、おむつに使用した場合に高物性が得られる。
本発明の吸水剤は、後述の実施例に記載する吸湿流動性が低いため、粉体取り扱い性に優れたものである。吸湿流動性は、好ましくは0〜30質量%以下、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、特に好ましくは0〜5質量%である。吸湿流動性が30質量%より大きい場合は、例えばオムツなどを製造する場合、粉体の流動性が悪くなるためオムツの製造が困難になるなどの弊害がある。これら吸湿流動性は前記の添加剤の使用で達成される。
本発明の吸水剤の吸収速度は60秒以下、好ましくは1〜55秒、より好ましくは2〜50秒である。吸収速度が60秒を超える場合、オムツ等の吸収体に吸水性樹脂を使用した場合に十分な吸収能力を発揮しない場合もある。
本発明の粒子状吸水剤の用途は特定に限定されないが、好ましくは、吸収体および吸収性物品に使用される。
吸水剤0.20gを不織布製の袋(60mm×85mm)に均一に入れ、25±2℃に調温した生理食塩水中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン製、型式H−122小型遠心分離機)を用いて250G(250×9.81m/s2)で3分間水切りを行った後、袋の質量W2(g)を測定した。また、吸水剤を用いないで同様の操作を行い、そのときの質量W1(g)を測定した。そして、これら質量W1、W2から、次式に従って、吸収倍率(g/g)を算出した。
400メッシュのステンレス製金網(目の大きさ38μm)を円筒断面の一辺(底)に溶着させた内径60mmのプラスチック製支持円筒の底の金網上に、吸水剤0.900gを均一に散布し、その上に外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒との壁面に隙間が生じずかつ上下の動きは妨げられないピストン(cover plate)を載置し、支持円筒と吸水剤とピストンの質量W3(g)を測定した。このピストン上に、吸水剤に対して、ピストンを含め4.8kPa(約50g/cm2、約0.7psi)の荷重を均一に加えることができるように調整された荷重を載置し、測定装置一式を完成させた。直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mm、厚さ5mmのガラスフィルターを置き、25±2℃に調温した生理食塩水をガラスフィルターの上部面と同レベルになるように加えた。その上に直径9cmの濾紙(トーヨー濾紙(株)製、No.2)を1枚載せて表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
上記(b)において、吸水剤に対してピストンを含めて均一に加える荷重を、1.9kPa(約20g/cm2、約0.3psi)に変更する以外は、同じ操作を行い、同じ計算を用いることで、加圧下吸収倍率(AAP1.9kPa)を算出した。
吸水剤を、850μm、710μm、600μm、500μm、425μm、300μm、212μm、150μm、106μm、45μmのJIS標準ふるいで分級篩い分けし、粒子径150μm未満の質量百分率を実測するとともに、各粒度の残留百分率Rを対数確率紙にプロットした。これにより、R=50質量%に相当する粒径を質量平均粒子径(D50)として読み取った。また、対数標準偏差(σζ)は下記の式で表され、σζの値が小さいほど粒度分布が狭いことを意味する。
まず、生理食塩水中での1時間および16時間の可溶分(以下、それぞれ1時間可溶分、16時間可溶分と称す。)の測定前の準備を記す。pH4.0、pH7.0、pH10.0の緩衝液で、pH電極を校正する。次に、ブランクとして予め調整された生理食塩水50mlを100mlのガラスビーカーに計り取り、長さ30mmのスターラーチップで攪拌しながら、pH10になるまで0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してブランクの水酸化ナトリウム水溶液滴下量Vab(ml)を求めた。引き続き攪拌しながら、pH2.7になるまで0.1mol/Lの塩酸水溶液を滴下して、ブランクの塩酸滴下量Vbb(ml)を求めた。
予め調製した生理食塩水に、0.05質量%となるようにL−アスコルビン酸を添加し、劣化試験液を作成した。具体的には、999.5gの生理食塩水に0.50gのL−アスコルビン酸を溶解して、劣化試験液を調製した。
予め調整された0.90質量%塩化ナトリウム水溶液(生理食塩水)の1000質量部に食品添加物である食用青色1号0.02質量部を添加し、液温30℃に調整した。その生理食塩水50mlを100mlビーカーに計り取り、長さ40mmで太さ8mmの円筒型攪拌子で600rpmで攪拌する中に、吸水剤2.0gを投入し、吸収速度(秒)を測定した。終点は、JIS K 7224−1996年度「高吸水性樹脂の吸水速度試験方法 解説」に記載されている基準に準じ、吸水剤が生理食塩水を吸液してスターラーチップを試験液で覆うまでの時間を吸収速度(秒)として測定した。
吸水剤2gを底面の直径52mm、高さ22mmのアルミニウムカップの底に均一に散布し、あらかじめ25℃、相対湿度90%に調整した恒温恒湿器(タバイエスペック製PLATIOOUS LUCIFER PL−2G)にすばやく入れ、60分間放置した。その後、吸湿した吸水剤を直径7.5cm、目開き2000μmのJIS標準ふるいに移す。この時、吸湿した吸水剤がアルミカップに強固に付着し、ふるいに移せない場合は、吸湿しブロッキングを起こした状態の吸水剤を、できるだけ崩さないように注意しながら剥がし取ってふるいに移す。これをすぐに、振動分級器(IIDA SIEVE SHAKER、TYPE:ES−65型、SER.No.0501)により8秒間ふるい、ふるい上に残存した吸水剤の質量W5(g)およびふるいを通過した吸水剤の質量W6(g)を測定した。下記式により、吸湿流動性(質量%)を算出した。吸湿流動性が低いほど、吸湿した場合の流動性に優れており、粉体の取り扱い性等が向上する。
成人20人より集めた人尿50mlを蓋付きの120mlのポリプロピレンカップに加え、そこに吸水剤2.0gを添加することにより膨潤ゲルを形成させた。人尿は排泄後2時間以内のものを用いた。この容器に蓋をし、膨潤ゲルを37℃に保った。液吸収から6時間後に蓋を開け、カップの上部から約3cmの位置から成人20名のパネラーが臭いをかぐことにより、消臭効果を判定した。判定は、下記の判定基準を用いて各人6段階で得点を記載し平均値を求めた。なお吸水剤を添加せず人尿だけで、同様の操作を行ったものを標準品とし、その臭いを5として消臭効果を評価した。
1:やっと感知できるにおい
2:感知できるが許容できる臭い
3:楽に感知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
(j)吸収体性能評価(10分戻り量と劣化戻り量)
吸水剤を、吸収体として性能評価するために評価用吸収体を作成し戻り量評価を行った。
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液1500g(単量体濃度24質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9)4.3gを溶解し反応液とした。得られた反応液を長さ320mm×横幅220mm×高さ50mmのサイズのステンレス製バットに注入した。このとき反応液の厚みは17mmであった。該ステンレス製バットを、窒素導入口、排気口、および重合開始剤投入口を設けたポリエチレンフィルムで上部をシールした後、30℃のウォーターバスに浸け、反応液の温度を30℃に調整しながら、該反応液に窒素ガスを導入して液中の溶存酸素を除いた。その後は、窒素ガスを反応容器の上部空間に導入し、反対側から排気しつづけた。重合開始剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドの10質量%水溶液を5.1g、過硫酸ナトリウムの10質量%水溶液を2.5g、L−アスコルビン酸の1質量%水溶液を0.4g、および過酸化水素の0.35質量%水溶液を2.2g注入して、マグネティックスターラーで十分混合した。重合開始剤投入後1分で重合が開始したので、ステンレス製バットを液温12℃のウォーターバスにバットの底から10mmの高さまで浸ける操作を断続的に繰り返して重合温度をコントロールした。重合開始後55分で重合ピーク80℃を示したので、ゲルを熟成するため液温70℃のウォーターバスにバットの底から10mmの高さまで浸け60分間保持した。得られた含水ゲル状重合体を9.5mmの口径を有するダイスを付けたミートチョッパー(株式会社平賀製作所No.32型ミートチョッパー)で粉砕し、50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、160℃で60分間熱風乾燥した。次いで乾燥物をロールミルで粉砕し、目開き710μmと150μmの金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(a)を得た。得られた吸水性樹脂(a)の無加圧下吸収倍率(CRC)、質量平均粒子径(D50)、150μm未満の粒子の割合(%)を表1に示す。なお、以下の参考例で得られた吸水性樹脂(b)〜(l)についても同様に評価を行い、表1に示す。
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度40質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9)4.0gを溶解し反応液とした。次いで、シグマ型羽根を2本有する内容積10Lのジャケット付きステンレス製双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウムの10質量%水溶液29.8g及びL−アスコルビン酸の1質量%水溶液1.5gを添加したところ、1分後に重合が開始した。重合開始後15分で重合ピーク温度93℃を示し、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は1〜4mmの粒子に細分化されていた。この細分化された含水ゲル状重合体を50メッシュ(目の大きさ300μm)の金網上に広げ、160℃で60分間熱風乾燥した。次いで、乾燥物をロールミルを用いて粉砕し、さらに目開き710μmと150μmの金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(b)を得た。
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度38質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9)2.5gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を参考例2と同様に脱気したのち、参考例2の反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウムの10質量%水溶液29.8g及びL−アスコルビン酸の1質量%水溶液1.5gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。重合開始後17分で重合ピーク温度86℃を示し、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は約1〜4mmの粒子に細分化されていた。この含水ゲル状重合体を参考例2と同様に乾燥・粉砕し、さらに目開き710μmと150μmの金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(c)を得た。
75モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度33質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9)19.6g、亜リン酸二ナトリウム・5水和物36.3gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を参考例2と同様に脱気したのち、参考例2の反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウムの10質量%水溶液20.5g及びL−アスコルビン酸の1質量%水溶液1.0gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。重合開始後17分で重合ピーク温度85℃を示し、重合を開始して60分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は約1〜4mmの粒子に細分化されていた。この含水ゲル状重合体を参考例2と同様に乾燥・粉砕し、さらに目開き600μmと150μmの金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(d)を得た。
70モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液5500g(単量体濃度30質量%)に、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数9)20.0g、フォスフィン酸ナトリウム3.3gを溶解し反応液とした。次に、この反応液を参考例2と同様に脱気したのち、参考例2の反応器に、上記反応液を供給し、反応液を30℃に保ちながら系を窒素ガス置換した。続いて、反応液を撹拌しながら、過硫酸ナトリウムの10質量%水溶液22.6g及びL−アスコルビン酸の1質量%水溶液1.1gを添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。重合開始後18分で重合ピーク温度82℃を示し、重合を開始して40分後に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体は約1〜4mmの粒子に細分化されていた。この含水ゲル状重合体を参考例2と同様に乾燥・粉砕し、さらに目開き600μmと150μmの金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(e)を得た。
アクリル酸水溶液1500g(単量体濃度20質量%)に、テトラアリルオキシエタン1.9gを溶解し反応液とし、得られた反応液を参考例1のステンレス製バットに注入した。このとき反応液の厚みは17mmであった。該ステンレス製バットを、参考例1と同様にシールした後、20℃のウォーターバスに浸け、反応液の温度を20℃に調整しながら、該反応液に窒素ガスを導入して液中の溶存酸素を除いた。その後は、窒素ガスを反応容器の上部空間に導入し、反対側から排気しつづけた。続いて、反応液をマグネティックスターラーで撹拌しながら、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドの10質量%水溶液を8.3g、L−アスコルビン酸の5質量%水溶液を0.6g、および過酸化水素の3.5質量%水溶液を2.1g添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。重合反応中はバットの下面から冷却・加熱を繰り返したところ重合開始後35分でピーク温度75℃を示し、重合開始後90分に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体を約5cm角にはさみでカットした後、得られた約5cm角の含水ゲル状重合体を参考例1と同じミートチョッパーに一定速度で供給しながら22質量%の炭酸ナトリウム水溶液702gを一定速度で供給し、ゲル粉砕しながら同時に後中和を行った。該ミートチョッパーから排出された粉砕ゲルは、フェノールフタレイン液をゲルにかけても赤色を呈色しない状態まで約70℃の雰囲気で保持された後、参考例1と同様に乾燥・粉砕され、さらに目開き600μmと150μmの金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(f)を得た。
参考例2で得られた含水ゲル状重合体の乾燥物を、参考例2と同様のロールミルを用いて参考例2より細かくなる粉砕条件に設定して粉砕し、さらに目開き425μmと150μmの金網で分級・調合することで不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(g)を得た。
参考例3で得られた含水ゲル状重合体の乾燥物を、参考例3と同様のロールミルを用いて参考例3より細かくなる粉砕条件に設定して粉砕し、さらに目開き500μmと150μmの金網で分級・調合することで不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(h)を得た。
参考例2で得られた含水ゲル状重合体の乾燥物を、参考例2と同様のロールミルを用いて参考例2より粗くなる粉砕条件に設定して粉砕し、さらに目開き850μmと106μmの金網で分級・調合することで不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(i)を得た。
参考例3で得られた含水ゲル状重合体の乾燥物を、参考例9と同様のロールミルを用いて参考例9よりさらに粗くなる粉砕条件に設定して粉砕し、さらに目開き850μmと150μmの金網で分級・調合することで不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(j)を得た。
参考例4において、亜リン酸二ナトリウム・5水和物を添加しなかった以外は参考例4と同様の操作を行い、吸水性樹脂(11)を得た。
参考例1で得られた吸水性樹脂(1)をそのまま吸水剤(1)として用いた。吸水剤(1)の無加圧下吸収倍率、4.8kPaでの高加圧下吸収倍率、生理食塩水中での16時間可溶分、1.9kPaでの加圧下吸収倍率、耐尿性評価結果、吸収速度評価、粒度分布を表2〜4に示した。
参考例2で得られた吸水性樹脂(2)100質量部に、ジエチレントリアミン5酢酸水溶液を2質量部、ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウムが吸水性樹脂(2)に対して50ppmとなるように噴霧混合した。得られた混合物を60℃で1時間硬化し、吸水剤(2)を得た。吸水剤(2)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水性液の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた吸水剤(2)は造粒されていた。
参考例3で得られた吸水性樹脂(3)100質量部に、ジエチレントリアミン5酢酸水溶液を2質量部、ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウムが吸水性樹脂(3)に対して100ppmとなるように噴霧混合した。得られた混合物を60℃で1時間硬化し、吸水剤(3)を得た。吸水剤(3)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水性液の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた吸水剤(3)は造粒されていた。
参考例4で得られた吸水性樹脂(4)100質量部に、水2質量部を噴霧混合した。得られた混合物を60℃で1時間硬化し、吸水剤(4)を得た。吸水剤(4)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた吸水剤(4)は造粒されていた。
実施例4において、参考例4で得られた吸水性樹脂(4)を参考例5で得られた吸水性樹脂(5)に変えた以外は同様の操作を行い、吸水剤(5)を得た。吸水剤(5)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた吸水剤(5)は造粒されていた。
実施例4において、参考例4で得られた吸水性樹脂(4)を参考例6で得られた吸水性樹脂(6)に変えた以外は同様の操作を行い、吸水剤(6)を得た。吸水剤(6)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた吸水剤(6)は造粒されていた。
実施例2において、参考例2で得られた吸水性樹脂(2)を参考例7で得られた吸水性樹脂(7)に変えた以外は同様の操作を行い、吸水剤(7)を得た。吸水剤(7)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた吸水剤(7)は造粒されていた。
実施例3において、参考例3で得られた吸水性樹脂(3)を参考例8で得られた吸水性樹脂(8)に変えた以外は同様の操作を行い、吸水剤(8)を得た。吸水剤(8)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた吸水剤(8)は造粒されていた。
実施例2において、参考例2で得られた吸水性樹脂(2)を参考例9で得られた吸水性樹脂(9)に変えた以外は同様の操作を行い、比較用吸水剤(1)を得た。比較用吸水剤(1)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた比較用吸水剤(1)は造粒されていた。
実施例3において、参考例3で得られた吸水性樹脂(3)を参考例10で得られた吸水性樹脂(10)に変えた以外は同様の操作を行い、比較用吸水剤(2)を得た。比較用吸水剤(2)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた比較用吸水剤(2)は造粒されていた。
実施例2において、ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム水溶液を水に変えた以外は同様の操作を行い、比較用吸水剤(3)を得た。比較用吸水剤(3)を実施例1と同様に評価し結果を表2〜4に示し、さらに吸湿流動性を評価し、結果を表5に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた比較用吸水剤(3)は造粒されていた。
実施例3において、ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム水溶液を水に変えた以外は同様の操作を行い、比較用吸水剤(4)を得た。比較用吸水剤(4)を実施例1と同様に評価し結果を表2〜4に示し、さらに吸湿流動性を評価し、結果を表5に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた比較用吸水剤(4)は造粒されていた。
実施例4において、参考例4で得られた吸水性樹脂(4)を参考例11で得られた吸水性樹脂(11)に変えた以外は同様の操作を行い、比較用吸水剤(5)を得た。比較用吸水剤(5)を実施例1と同様に評価し、結果を表2〜4に示した。なお、水の噴霧混合および硬化工程を経たことによって、得られた比較用吸水剤(5)は造粒されていた。
実施例1で得られた吸水剤(1)100質量部に微粒子状のステアリン酸アルミニウム(関東化学株式会社製)0.3質量部を添加・混合(ドライブレンド)して、吸水剤(9)を得た。得られた吸水剤(9)の粒度分布を測定したところほとんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の吸水剤(1)と同じ値を示した。また、耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も混合前の吸水剤(1)と同じ値を示した。吸水剤(9)の無加圧下吸収倍率、1.9kPaでの加圧下吸収倍率、生理食塩水中での16時間可溶分、耐尿性評価、吸収速度評価、4.8kPaでの高加圧下吸収倍率、吸湿流動性を測定し、表5に示した。
実施例2で得られた吸水剤(2)100質量部に微粒子状の二酸化ケイ素(商品名・アエロジル200(1次粒子の平均粒子径12nm);日本アエロジル株式会社製)0.3質量部を添加・混合(ドライブレンド)して、吸水剤(10)を得た。得られた吸水剤(10)の粒度分布を測定したところほとんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の吸水剤(2)と同じ値を示した。また、耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も混合前の吸水剤(2)と同じ値を示した。吸水剤(10)を実施例9と同様に評価し、結果を表5に示した。
実施例10において、微粒子状の二酸化ケイ素を微粒子状のステアリン酸アルミニウムに変更した以外は同様の操作を行い、吸水剤(11)を得た。得られた吸水剤(11)の粒度分布を測定したところほとんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の吸水剤(2)と同じ値を示した。また、耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も混合前の吸水剤(2)と同じ値を示した。吸水剤(11)を実施例9と同様に評価し、結果を表5に示した。
実施例10において、実施例2で得られた吸水剤(2)を実施例3で得られた吸水剤(3)に変更した以外は同様の操作を行い、吸水剤(12)を得た。得られた吸水剤(12)の粒度分布を測定したところほとんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の吸水剤(3)と同じ値を示した。また、耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も混合前の吸水剤(3)と同じ値を示した。吸水剤(12)を実施例9と同様に評価し、結果を表5に示した。
実施例10において、実施例2で得られた吸水剤(2)を実施例3で得られた吸水剤(3)に、微粒子状の二酸化ケイ素を微粒子状のステアリン酸アルミニウムに変更した以外は同様の操作を行い、吸水剤(13)を得た。得られた吸水剤(13)の粒度分布を測定したところほとんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の吸水剤(3)と同じ値を示した。また、耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も混合前の吸水剤(3)と同じ値を示した。吸水剤(13)を実施例9と同様に評価し、結果を表5に示した。
実施例4で得られた吸水剤(4)100質量部に微粒子状の二酸化ケイ素(商品名・アエロジル200)0.3質量部を添加・混合(ドライブレンド)して、吸水剤(14)を得た。得られた吸水剤(14)の粒度分布を測定したところほとんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の吸水剤(4)と同じ値を示した。また、耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も混合前の吸水剤(4)と同じ値を示した。吸水剤(14)を実施例9と同様に評価し、結果を表5に示した。
実施例5で得られた吸水剤(5)100質量部に微粒子状のステアリン酸マグネシウム(関東化学株式会社製)0.3質量部を添加・混合(ドライブレンド)して、吸水剤(15)を得た。得られた吸水剤(15)の粒度分布を測定したところほとんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の吸水剤(5)と同じ値を示した。また、耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も混合前の吸水剤(5)と同じ値を示した。吸水剤(15)を実施例9と同様に評価し、結果を表5に示した。
実施例10において、実施例2で得られた吸水剤(2)を実施例6〜8で得られた吸水剤(6)〜(8)に変更することにより、吸水剤(16)〜(18)をそれぞれ得た。得られた吸水剤(16)〜(18)の粒度分布を測定したところ、どれもほとんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の吸水剤(6)〜(8)とそれぞれ同じ値を示した。また、耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も混合前の吸水剤(6)〜(8)と同じ値を示した。吸水剤(16)〜(18)を実施例9と同様に評価し、結果を表5に示した。
実施例10において、実施例2で得られた吸水剤(2)を比較例1、2で得られた比較用吸水剤(1)、(2)に変更することにより、比較用吸水剤(6)、(7)をそれぞれ得た。得られた比較用吸水剤(6)、(7)の粒度分布を測定したところ、どちらもほとんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の比較用吸水剤(1)、(2)とそれぞれ同じ値を示した。また、耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も混合前の比較用吸水剤(1)、(2)と同じ値を示した。比較用吸水剤(6)、(7)を実施例9と同様に評価し、結果を表5に示した。
参考例2で得られた吸水性樹脂(2)100質量部に、ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウム水溶液とツバキ科植物の葉抽出物の15質量%水溶液(製品名:FS−80MO、販売者:白井松新薬株式会社(所在地:滋賀県甲賀郡水口町宇川37−1))からなる水溶液2質量部(ジエチレントリアミン5酢酸ナトリウムが吸水性樹脂(2)に対して50ppm、ツバキ科植物の葉抽出物の15質量%水溶液が吸水性樹脂(2)に対して0.1%となるように調整)を噴霧混合した。得られた混合物を60℃で1時間硬化し、吸水剤(19)を得た。得られた吸水剤(19)の粒度分布は、ツバキ科植物の葉抽出物の15質量%水溶液を添加していない実施例10と同じであった。また、吸水剤(19)の無加圧下吸収倍率、1.9kPaでの加圧下吸収倍率、消臭テスト、生理食塩水中での16時間可溶分、耐尿性評価、4.8kPaでの高加圧下吸収倍率を測定し、表6に示した。
実施例10において、微粒子状の二酸化ケイ素を亜鉛と珪素の複合含水酸化物(商品名:CERATIOX SZ−100、チタン工業株式会社製、亜鉛と珪素の含有質量比:82/18、平均粒子径:0.36μm)に変更した以外は同様の操作を行い、吸水剤(20)を得た。得られた吸水剤(20)の粒度分布は吸水剤(10)と同じであった。また、吸水剤(20)を吸水剤(19)と同様に評価し、結果を表6に示した。
実施例19において、参考例2で得られた吸水性樹脂(2)を、参考例3で得られた吸水性樹脂(3)に変更した以外は同様の操作を行い、吸水剤(21)を得た。得られた吸水剤(21)の粒度分布は吸水剤(12)と同じであった。また、吸水剤(21)を吸水剤(19)と同様に評価し、結果を表6に示した。
実施例12において、微粒子状の二酸化ケイ素を亜鉛と珪素の複合含水酸化物(商品名:CERATIOX SZ−100、チタン工業株式会社製、亜鉛と珪素の含有質量比:82/18、平均粒子径:0.36μm)に変更した以外は同様の操作を行い、吸水剤(22)を得た。得られた吸水剤(22)の粒度分布は吸水剤(12)と同じであった。また、吸水剤(22)を吸水剤(19)と同様に評価し、結果を表6に示した。
実施例2で得られた吸水剤(2)を吸収体として性能評価するために上記(j)吸収体性能評価の方法に従って評価用吸収体(1)を作成し、10分戻り量および劣化戻り量を測定した。結果を表7に示した。
実施例23で用いた吸水剤(2)を、実施例13、16〜18で得られた吸水剤(13)、(16)〜(18)に変更することにより、評価用吸収体(2)〜(5)をそれぞれ得た。
実施例23で用いた吸水剤(2)を、比較例3〜7で得られた比較用吸水剤(3)〜(7)に変更することにより、比較評価用吸収体(1)〜(5)を得た。
アクリル酸水溶液1500g(単量体濃度20%)に、N,N’−メチレンビスアクリルアミド3.1gを溶解し反応液とし、得られた反応液を参考例1のステンレス製バットに注入した。このとき反応液の厚みは17mmであった。該ステンレス製バットを、参考例1と同様にシールした後、20℃のウォーターバスに漬け、反応液の温度を20℃に調整しながら、該反応液に窒素ガスを導入して液中の溶存酸素を除去した。その後は、窒素ガスを反応容器の上部空間に導入し、反対側から排気しつづけた。続いて、反応液をマグネティックスターラーで攪拌しながら、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドの10質量%水溶液を20.0g、L−アスコルビン酸の1質量%水溶液を18.0g、および過酸化水素の3.5質量%水溶液を20.0g添加したところ、およそ1分後に重合が開始した。重合反応中はバットの下面から冷却・加熱を繰り返したところ重合開始後12分でピーク温度60℃を示し、重合開始後100分に含水ゲル状重合体を取り出した。得られた含水ゲル状重合体を約5cm角にはさみでカットした後、得られた約5cm角の含水ゲル状重合体を参考例1と同じミートチョッパーに一定速度で供給しながら40質量%の水酸化ナトリウム水溶液749gを一定速度で供給し、ゲル粉砕しながら同時に後中和を行った。該ミートチョッパーから排出された粉砕ゲルは、フェノールフタレイン液をゲルにかけても赤色を呈色しない状態まで約70℃の雰囲気で保持された後、参考例1と同様に乾燥・粉砕され、さらに目開き710μmと150μmの金網で分級、調合することにより、不定形破砕状の吸水性樹脂粉末(l)を得た。得られた吸水性樹脂(l)の無加圧下吸収倍率(CRC)、質量平均粒子径(D50)、150μm未満の粒子の割合(%)を表1に示す。
実施例28で得られた吸水剤(23)100質量部に微粒子状のステアリン酸カルシウム(日本油脂株式会社)0.1質量部を添加・混合(ドライブレンド)して、吸水剤(24)を得た。得られた吸水剤(24)の粒度分布を測定したところほどんど変わっておらず、質量平均粒子径(D50)、対数標準偏差(σζ)および粒子径150μm未満の質量百分率は、混合前の吸水剤(23)と同じ値を示した。さらに耐尿性評価および生理食塩水中での16時間可溶分も、混合前の吸水剤(23)と同じ値を示した。吸水剤(24)を実施例9と同様に評価し、結果を表5に示した。
実施例28で得られた吸水剤(23)を吸収体として性能評価するために上記(j)吸収体性能評価の方法に従って評価用吸収体(6)を作成し、10分戻り量および劣化戻り量を測定した。結果を表7に示した。
Claims (19)
- 酸基および/またはその塩含有不飽和単量体を架橋重合した吸水性樹脂を主成分とする粒子状吸水剤であって、下記(a)〜(c)および(f)、(g)を満たす粒子状吸水剤。
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
(f)生理食塩水中での16時間可溶分が0.1〜10質量%
(g)生理食塩水への4.8kPaでの高加圧下吸収倍率(AAP4.8kPa)が21g/g以上。 - 吸水性樹脂はさらに表面架橋されてなる、請求項1〜3の何れかに記載の粒子状吸水剤。
- さらに(h)粒子状吸水剤の90〜100質量%が600〜150μm範囲にある、請求項1〜4の何れかに記載の粒子状吸水剤。
- さらに(i)生理食塩水への1.9kPaでの加圧下吸収倍率(AAP1.9kPa)が20g/g以上である、請求項1〜5の何れかに記載の粒子状吸水剤。
- さらに(j)生理食塩水へのボルテックス吸水速度が60秒以下である、請求項1〜6の何れかに記載の粒子状吸水剤。
- さらに(k)吸湿ブッロキング率が0〜20質量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の粒子状吸水剤。
- さらに(l)粒度分布の対数標準偏差が0.20〜0.40である、請求項1〜8のいずれかに記載の粒子状吸水剤。
- 主成分の吸水性樹脂以外に、キレート剤、消臭剤、多価金属塩、無機微粒子から選ばれる1以上の微量成分をさらに含む請求項1〜9の何れかに記載の粒子状吸水剤。
- 前記キレート剤が、アミノカルボン酸およびその塩から選ばれる請求項10記載の粒子状吸水剤。
- 前記消臭剤が植物成分である請求項10に記載の粒子状吸水剤。
- 前記多価金属塩が有機酸の多価金属塩である請求項10に記載の粒子状吸水剤。
- 前記無機微粒子が複合含水酸化物である請求項10に記載の粒子状吸水剤。
- 吸水性樹脂の粒子形状が不定形破砕状である請求項1〜14の何れかに記載の粒子状吸水剤。
- 糞、尿または血液の吸収性物品であって、請求項1〜18の何れかに記載の粒子状吸水剤および親水性繊維を含んで成形された吸収性物品。
- 請求項1〜15の何れかに記載の粒子状吸水剤の製造方法であって、
未中和アクリル酸および/またはその塩を単量体の主成分とする不飽和単量体水溶液を架橋剤および連鎖移動剤の存在下に架橋重合する工程、
重合して得られた下記(a)〜(c)を満たす吸水性樹脂粒子をさらに表面架橋する工程
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
を含む、粒状吸水剤の製造方法。 - 請求項1〜15の何れかに記載の粒子状吸水剤の製造方法であって、
未中和アクリル酸を単量体の主成分とする濃度10〜30質量%の不飽和単量体水溶液を架橋剤の存在下に架橋重合する工程、
重合後に中和する工程、
中和して得られた下記(a)〜(c)を満たす吸水性樹脂粒子をさらに表面架橋する工程、
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%
を含む、粒子状吸水剤の製造方法。 - 請求項1〜15の何れかに記載の粒子状吸水剤の製造方法であって、
未中和アクリル酸および/またはその塩を単量体の主成分とする不飽和単量体水溶液を架橋剤の存在下に架橋重合する工程、
重合して得られた下記(a)〜(c)を満たす吸水性樹脂粒子をさらに表面架橋する工程
(a)生理食塩水への無加圧下吸収倍率(CRC)が32g/g以上
(b)質量平均粒子径(D50)が200〜400μm
(c)150μm未満の粒子が0〜2質量%および
(i)重合時、(ii)重合後の表面架橋前、(iii)表面架橋時、(iv)表面架橋後からなる群から選択される1以上の時期にキレート剤を添加する工程、
を含む、粒子状吸水剤の製造方法。
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