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JP2005513109A6 - ポックスウイルス含有調合物およびその調製方法 - Google Patents

ポックスウイルス含有調合物およびその調製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、(i)オルトポックスウイルス、アビポックスウイルス、パラポックスウイルス、カプリポックスウイルスおよびスイポックスウイルス属の1つのポックスウイルス、(ii)ジサッカライド、(iii)薬学的に許容可能なポリマー、および任意に(iv)緩衝液を含む調合物、特に水性調合物 に関する。水性調合物 は、結果として、安定した、凍結乾燥ポックスウイルス含有調製物となる、凍結乾燥工程に特に好適である。本発明はさらに、凍結乾燥ポックスウイルス含有調製物の調製のための方法、およびそのようにして得られた生成物に関する。

Description

本発明は、(i)オルトポックスウイルス、アビポックスウイルス、パラポックスウイルス、カプリポックスウイルスおよびスイポックスウイルス属のうち1つのポックスウイルス、(ii)ジサッカライド、(iii)薬学的に許容可能なポリマー、および任意に(iv)緩衝液を含む調合物、特に水性調合物 に関する。この水性調合物は、結果として、安定した、凍結乾燥ポックスウイルス含有調製物となる、凍結乾燥処理にとりわけ好適である。本発明はさらに、凍結乾燥ポックスウイルス含有調製物の調製のための方法、およびそのようにして得られた生成物に関する。
ポックスウイルスには、脊椎動物および無脊椎動物細胞の細胞質内で複製する、複合DNAの発現ウイルスの大きなファミリーが含まれる。ヒトにおいて、天然痘が今まで、もっとも重要なポックスウイルス感染であった。天然痘の原因物は、オルトポックスウイルス属の1つである、痘瘡ウイルスである。ポックスウイルスのファミリーにおいて、オルトポックスウイルス属の1つである、ワクシニアウイルスが、天然痘に対して免疫する生ワクチンとして使用された。ワクシニアウイルスによる世界的に成功したワクチン接種によって、痘瘡ウイルスの撲滅となった(天然痘の世界的撲滅。天然痘撲滅の証明に関する世界委員会の最終報告書。History of Public Health,No.4,Geneva:World Health Organization,1980)。同時に、ほとんどの感染痘瘡ウイルスのストックが破壊された。しかしながら、天然痘および天然痘様疾患を含むポックスウイルスが、再び主要な健康問題となる可能性があることは排除できない。したがって、痘瘡ウイルスに基づくワクチンのような、ポックスウイルス感染、特に痘瘡感染に対して安定なワクチンを産出することができることが必要である。
過去、ワクシニアウイルスもまた、組換え体遺伝子発現のため、および組換え体生ワクチンとしての可能性ある使用のために、ウイルスベクターを遺伝子工学的に修飾するためにも使用されてきた(Mackett,M.,Smith,G.L.and Moss,B.[1982]P.N.A.S.USA 79,7415−7419;Smith,G.L.,Mackett,M.and Moss,B.[1984] Biotechnology and Genetic Engineering Reviews 2,383−407)。これは、DNA組換え体技術を用いて、ワクシニアウイルスのゲノム内へ誘導される外来抗原をコードしているとりわけDNA配列(遺伝子)が必要である。遺伝子が、ウイルスの生存周期に必須ではないウイルスDNA内の部位に統合される場合、新規に産出された組換え体ワクシニアウイルスが、感染性になる可能性があり、すなわち、ウイルスが、外来細胞に感染し、したがって、統合DNA配列を発現することが可能である(欧州特許EP 83286号およびEP110385号)。この方法で調製された組換え体ワクシニアウイルスを、一方では、感染性疾患の予防のための生ワクチンとして、他方では、真核細胞における異種タンパク質の調製のために使用可能である。組換え体ワクシニアウイルスの他の例は、自殺遺伝子、リボザイム遺伝子またはアンチセンス遺伝子のような治療遺伝子を含有するウイルスである。
修飾ワクシニアウイルスアンカラ(Modified Vaccinia Virus Ankara;MVA)は、特に安全であることが知られている。MVAは、ニワトリ胎児繊維芽細胞における、ワクシニアウイルス(CVA)のアンカラ種の、長期連続継代によって産出されてきた(Mayr A.,Hochstein−Mintzel,V.and Stickl,H.[1975] Infection 3,6−14の概論;スイス特許第568,392号を参照)。ブタベスト条約(Budapest Treaty)の要求に沿って寄託されたMVAウイルス株の例は、寄託番号第ECACC V94012707号にて、European Collecti8on of Animal Cell Cultures(ECACC)、Salisbury(UK)にて寄託されたMVA 572、および寄託番号ECACC V00120707にて寄託されたMVA575、および寄託番号ECACC V00083008号のMVA−BNである。
MVAは、弱毒性が大きいために、すなわち良好な免役原性を維持しながらの病原性または感染性の減少によって区別される。MVAウイルスは、野生型CVA株と比較して、ゲノム内での修飾を決定するために解析されてきた。合計31,000塩基対のゲノムDNAの6つの主な欠失(欠失I、II、III、IV、VおよびVI)が同定された(Meyer,H.,Sutter,G.and Mayr A.[1991]J.Gen.Virol.72,1031−1038)。得られたMVAウイルスは、鳥類細胞への、強い宿主細胞制限となる。さらに、MVAは、その極度の弱毒性によって特徴づけられる。種々の動物モデルで試験する場合、MVAは、免疫抑制動物においてでさえ、無発病性であると証明された。より重要なことは、MVA株の優れた特性が、広範囲の臨床試験で示されてきたことである(Mayr et al.,Zbl.Bakt.Hyg.I,Abt.Org.B 167,375−390[1987]、Stickl et al.,Dtsch.med.Wschr.99,2386−2392[1974])。高リスクの患者を含む、120,000人以上のヒトでのこれらの試験の間、MVAワクチンの使用に関して、なんの副作用もなかった。ワクチンとして有用な組換え体MVAがすでに構築されており(国際特許第WO97/02355号)、臨床試験で使用されている。国際特許第WO98/13500号は、デングウイルス抗原をコードしているDNA配列を含み、発現可能である組換え体MVAを開示している。外来DNAの発現配列を、MVAゲノム内の天然に存在する欠失の部位にて、ウイルスDNA内に組み換えた。強い弱毒性および増強された安全性特性を示しているMVA株が、株MBA−BNであり、寄託番号第V0083008号にて、European Collection of Animal Cell Cultures(ECACC),Salisbury,UKにて寄託されている。
さらに、他のポックスウイルスである、ワクシニアウイルスが、哺乳動物細胞内へ遺伝的情報を伝達するために、ベクターとして使用されてきた。これに関連してホウルポックスウイルスのようなアビポックスウイルス類の参考文献が作成される。ゲノム内にHIV遺伝子を含むホウルポックスウイルスは、米国特許第5,736,368号および第6,051,410号にて開示されている。
ワクチンとして好適な調製物を含むポックスウイルスを調製するための工程は、当業者に公知である(例えば、Joklik W.K.,Virology(1962),18,9−18;Richter,K.H.,Abhandlungen aus dem Bundesgesundheitsamt(1970),9,53−57)。公知の精製により、溶液を含む水性のポックスウイルス、または沈殿物を含むポックスウイルスが得られる。これらの溶液および沈殿物内のポックスウイルスは安定しておらず、すなわちウイルスの感染性が急速に減少する。しかしながら、特にワクチンを、流通構造が限定されている熱帯領域にて輸送する必要がある場合に、ワクチンを無菌形態で保存し、分布可能である。凍結乾燥生成物は、4℃〜25℃の範囲での温度にて保存可能である。これは、−20℃以下で保存する必要のある、液体調合物のための標準の保存条件と比較して、明らかな利点である(「低温保存と凍結乾燥プロトコール(Cryopreservation and freeze−drying protocol)」、Day J,McLellan M;Methods in Molecular Biology,38,1995,Humana Press)。
ポックスウイルス、特にワクシニアウイルスの凍結乾燥のための工程、および本目的のために好適な調製物および溶液を含むウイルスは、公知である(Burke et al.,Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems(1999),16,1−83)。一般的な用語で、ワクチンの凍結乾燥には、凍結乾燥のために好適な水性調合物を含むワクチンの凍結、続く減圧、低温条件下での、昇華による水の除去、さらに続く減圧および高温条件下での脱離による水の除去が含まれる。
凍結乾燥のための公知のポックスウイルス含有調合物は、非常に不利な点を持つ。凍結乾燥のための調製物を含む多くの公知のワクシニアウイルスは、ペプトンまたはヘマセルを含み、これらはしばしば動物由来である。しかしながら、BSEのような動物疾患が、ペプトン、ゼラチンまたはヘマセルのような動物生成物を介して、動物からヒトへ伝播する可能性がある懸念が存在する。さらに、凍結乾燥のための調合物を含む公知のウイルスにおけるポックスウイルスは精製されてきていない。したがって、本技術分野で公知の凍結乾燥のための調製物を含むポックスウイルスは、とりわけ多量の、それぞれ細胞または組織培養の細胞から、および細胞培養の間に使用したウシ血清から由来するタンパク質を含む。
当業者にはまた、動物由来の添加化合物(例えばペプトンまたはヘマセル)を含まない凍結乾燥調製物は既知である。この場合、調製物は、以下の化合物のみ、または特定の組み合わせで含む。グルタミン酸ナトリウム、ソルビトール、ラクトース、塩、アミノ酸およびグリセリン。しかしながら、凍結乾燥工程の後に得られた生成物はしばしば不安定であり、すなわちウイルスタイターの総欠損が、保存の間受け入れがたいほど高い。さらに、ポックスウイルスは、これらの調合物のいくつかの場合に凝集を形成すること、および他の化合物が、凍結の前または間に沈殿することが示されてきた。
米国特許第3,577,526号は、スクロース内に分散したワクチンの粉末ウイルス物質を作り出すという事実によって特徴づけられる、天然痘ワクチンを開示している。スクロースの量は、20〜40%の範囲である。本調合物はさらに、5%デキストランを含む。用語粉末ウイルスは、パルプおよび小膿疱から由来するウイルスを意味する。基本的に、固まりを崩壊させ、死髪および皮膚から脂肪を分離するために、リンパ液が粉末化される。したがって、ワクチン調製物のタンパク質負荷が非常に高く、ウイルスの安定化に寄与する。
安定な凍結乾燥生成物を導く凍結乾燥のための、ポックスウイルス含有調合物、特に水性ポックスウイルス含有調合物 を提供することが本発明の目的であり、この際 、ポックスウイルスは好ましくは精製されるか、または少なくとも部分的に精製されたウイルスである。ポックスウイルスが凝集する傾向になく、化合物が凍結の前、または間に沈殿することのない、水性ポックスウイルス調合物を提供することが、本発明のさらなる目的である。少量の非ポックスウイルス関連タンパク質を含む、ポックスウイルス含有調合物 、特に水性ポックスウイルス含有調合物 を提供することが、本発明のさらなる目的である。安定な、凍結乾燥ポックスウイルス含有調製物、および前記調製物を得るための方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。
本発明は、ポックスウイルス含有調合物、特に水性ポックスウイルス含有調合物 を提供する。前記調合物 、特に水性調合物 は、前記ポックスウイルスの凍結乾燥に好適であり得る。さらに、本発明は、凍結乾燥、ポックスウイルス含有生成物を提供する。本発明による調合物、特に水性調合物 は、ポックスウイルス、ジサッカライド、薬学的に許容可能なポリマーおよび任意にさらに緩衝液を含む。本発明による凍結乾燥調合物は、ペプトン、ゼラチン、ヘマセルのような動物由来の安定化添加物を含まないか、または(細胞培養系のような)ウイルスを増幅するために使用した系から由来した多量のタンパク質を含まないので、調合物内のウイルスは、驚くべきことに安定であり、すなわち凍結乾燥調製物中のポックスウイルスが、室温または37℃のような高い保存温度においてでさえ、長期間感染性のままである。
他に言及しない限り、本明細書で使用するところの用語「室温(room temperature)」は、20〜25℃の温度に相当する。
凍結乾燥すべきポックスウイルスは、オルトポックスウイルス類、パラポックスウイルス類、アビポックスウイルス類、カプリポックスウイルス類およびスイポックスウイルス類からなる群より選択した任意のポックスウイルスである。これらのウイルスは、ヒトまたは動物に対するワクチンとして有用であり得る(Virology,3rd edition,1995,ed.in Chief:Fields,B.N.)。とりわけ好ましいポックスウイルスは、オルトポックスウイルス属およびアビポックスウイルス属のウイルスである。アビポックスウイルスに属しているポックスウイルスの好ましい例は、カナリポックスウイルスおよびホウルポックスウイルスである。オルトポックスウイルスファミリーに属している好ましい例は、コウポックスウイルスおよびワクシニアウイルスである。
本発明による調合物に含まれるポックスウイルスは、天然に存在するポックスウイルス、弱毒化ポックスウイルスまたは組換え体ポックスウイルスでありうる。
天然痘に対するヒトのワクチン接種のために、調合物内のポックスウイルスは、好ましくはワクシニアウイルス株である。この目的のために好適なワクシニアウイルス株の例は、株Temple of Heaven、Copenhagen、Paris、Budapest,、Dairen、Gam、MRIVP、Per、Tashkent、TBK、Tom、Bern、Patwadangar、BIEM、B−15、Lister、EM−63、New York City Board of Health、Elstree、IkedaおよびWRである。もっとも好ましいワクシニアウイルス株は、修飾ワクシニアウイルス株アンカラ(Ankara)(MVA)およびその誘導体であり、とりわけ、番号第V00083008号にてECACCに寄託された株、および株Elstreeである。
本発明による調合物内のポックスウイルスは、好ましくは、ワクチン接種すべき動物または対象内で、十分病原性ではないポックスウイルスである。この目的のために、弱毒化ウイルス株を使用するか、またはワクチン接種されるべき種からは異なる宿主種で、本来複製し、異種宿主内では病原性ではないポックスウイルスを使用するか、いずれかが好ましい。
「弱毒化ウイルス(attenuated virus)」は、病原性ウイルスから由来するが、宿主生物の感染に際して、非弱毒化親ウイルスにくらべてより低い死亡率および疾病率を導くウイルスである。弱毒化ポックスウイルスの例は、当業者に公知である。もっとも好ましいのは、修飾ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)である。典型的なMVA株は、それぞれ寄託番号第ECACC V00120707号および第ECACC V94012707号にて、European Collection of Animal Cell Culturesに寄託された、MVA575およびNVA572である。もっとも好ましいのは、MVA−BNまたはその誘導体であり、国際特許第WO02/42480号(PCT/EP01/13628)にて記述された。この明細書の内容は、本明細書に、参考文献にて含まれている。MVA−BNは、寄託番号第ECACC V00083008号にて、European Collection of Animal Cell Culturesにて寄託された。
ヒトが異種宿主であり、ヒトにおいて病原性ではないポックスウイルスの例は、ホウルポックスウイルスまたはカナリポックスウイルスである。
用語「組換え体ウイルス(recombinant virus)」は、ウイルスゲノム内に、ウイルスゲノムのもとからある部分ではない異種の遺伝子が挿入されている任意のウイルスを意味する。異種遺伝子は、治療的遺伝子、免疫応答を誘導するための、少なくとも1つのエピトープを含むペプチドをコードしている遺伝子、アンチセンス発現カセット、またはリボザイム遺伝子でありうる。組換え体ウイルスを構築するための方法は、当業者に公知である。もっとも好ましいポックスウイルスベクターはMVAであり、特にMVA575およびMVA−BNである(上記を参照のこと)。
ポックスウイルスがどのようにして複製し、感染細胞培養から回収されうるかは当業者に公知である。一般的に、第一段階で、真核細胞に、本発明による調合物の部分であることを意図するポックスウイルスを感染させる。前記真核細胞は、それぞれのポックスウイルスに感染しやすく、感染ウイルスの複製および産出を可能にする細胞である。そのような細胞は、すべてのポックスウイルスに関する技術分野の当業者に公知である。MVAに関して、この種類の細胞に関する例は、ニワトリ胎児繊維芽細胞(CEF)(Drexler I.et al.,J.Gen.Virol.(1998),79,347−352)である。CEF細胞は、当業者に公知の条件下で培養可能である。好ましくは、CEF細胞を、血清フリーの培地内で培養する。インキュベーション時間は、好ましくは37℃±2℃で、48〜96時間である。感染のために、ポックスウイルスを、0.05〜1 TCID50(TCID=組織培養感染用量)の感染多重度(MOI)にて使用し、インキュベーションを、同じ温度にて48〜72時間実施する。
感染の進展は、細胞変性効果(CPE)、典型的には感染細胞の有意な円形化を見ることによって観察可能である。
ポックスウイルスに、2つの異なる形態、感染細胞の細胞質内で、細胞膜に接着するポックスウイルス(細胞内飽和ビリオン(IMV))、および外在したウイルス(細胞外エンベロープビリオン(EEV))が存在することが知られている(Vanderplasschen A.et al.,J.Gen.Virol.(1998)79,877−887)。両方のウイルス形態が、本発明による調合物内で使用可能である。EEVは、遠心分離によって、上清みから簡単に得ることができ、またジサッカライドおよび薬学的に許容可能なポリマーを含む水性調合物中に直接懸濁しうる。しかしながら、ウイルス含有画分は、細胞残留物および他の含有物を含みうる。特にヒトのワクチン接種のために、ウイルスが本発明の調合物に含まれる前に、さらに精製されることが好ましい。ポックスウイルスの精製のための方法は、当業者に公知である。精製段階は、例えばバッチ遠心(例えばスクロースクッションを使用する)、または連続フロー超遠心(スクロース勾配)、超遠心(例えば500kDaより大きなポアサイズであるが、0.1μm以下の大きさの膜を用いるクロス−フロー濾過)、カラムクロマトグラフィー(例えばイオン交換、疎水性相互作用、サイズ排除または組み合わせ)、または上記のいくつかまたはすべての組み合わせでありうる(Masuda N.et al.,J Bacteriol(1981)147,1095−1104)。
IMVsを得るために、細胞を、第一段階で回収し、第二段階で分離しなければならない。感染細胞が、懸濁培養液中で回収できる場合、感染細胞は、遠心によって簡単に回収可能である。感染細胞が、1つ以下の原型の接着細胞の場合、細胞を分離段階にかける前に、細胞を回収、すなわち培養バイアルより細胞を除去することが可能である。回収方法は、当業者に公知である。有用な技術は、機械的な方法(例えばゴム細胞スクレーパーを使用することによる)、物理的方法(例えば15℃以下に凍結し、培養管を+15℃以上で融解する)、または生化学的方法(細胞を培養管から脱離させるために、例えばトリプシンのような酵素で処理する)である。酵素をこの目的のために使用する場合、酵素がまた、長期間のインキュベーション時間の後に、ウイルスに障害を与える可能性があるので、インキュベーション時間を制御すべきである。
細胞の分離のための方法がまた、当業者に公知である。前述した凍結−融解方法により、すでに部分的な細胞の分離ができている。細胞の分離のための他の方法には、超音波の使用が含まれる。細胞の超音波処理により、ウイルス含有ホモジネートができる。
動物のワクチン接種のために、ポックスウイルス含有ホモジネートを、本発明による調合物で使用可能である。しかしながら、少なくとも部分的に精製されたポックスウイルスを使用することが、さらに好ましい。以上で概略したような精製方法は、当業者に公知である。
ポックスウイルスは、10〜10 TCID50/mlの濃度範囲、好ましくは例えば10〜5×10 TCID50/mlの濃度範囲、もっとも好ましくは10〜10 TCID50/mlの濃度範囲で、調合物、特に水性調合物 中に含まれる。実際の濃度は、ヒトまたは動物に対して投与すべきウイルスの量に依存し、言い換えれば投与すべきウイルスの種類に依存する。ワクシニアウイルス株Elstreeに関して、ヒトに対する典型的なワクチン接種用量は、2.5×10 TCID50を含む。ワクシニアウイルスMVA−BNに関しては、ヒトに対する典型的なワクチン接種用量は、1×10 TCID50を含む。
以上で指摘したように、本発明の調合物による調合物 中のポックスウイルスは、好ましくは精製された、または少なくとも部分的に精製したウイルスである。用語「精製された、または少なくとも部分的に精製されたウイルス」は、本発明による調合物中で使用したウイルスが、(米国特許第3,577,526号にて開示されたような)天然痘の撲滅まで使用されたワクチンで使用したような、未精製ウイルス(「丸ウイルス(ground virus)」のものよりも高い純度を持つことを意味する。そのようなより高い純度は、例えば1つ以上の他の方法、(例えばスクロースクッションを用いる)バッチ遠心または連続−フロー超遠心(スクロース勾配)、超遠心(例えば500kDaより大きな孔径であるが、0.1μm以下の大きさの膜を用いるクロス−フロー濾過)、カラムクロマトグラフィー(例えばイオン交換、疎水性相互作用、サイズ排除または組み合わせ)によって得ることが可能である。とりわけ好ましいのは、超遠心および/またはスクロースクッションを用いることによるバッチ遠心である。より一般的な用語にて、用語「精製された、または少なくとも部分的に精製されたウイルス」は、総タンパク質mgあたり少なくとも10、好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも10、さらにより好ましくは5×10 TCID50のタイターを持つ、(MVAまたはElstreeを含む調製品のような)ウイルス調製品を意味する。株Elastreeの典型的な調製品は、総タンパク質mgあたり8×10 TCID50のタイターを持つ。ポックスウイルス含有調製品のタイターを決定する方法は、当業者に公知であり、これらの方法の1つを、実施例項にて概略する。総タンパク質含量は、好ましくはKjeldahl(Lynch,J.M.and Barbano,D.M.,「日用品におけるタンパク質決定のための参照方法としての、Kjeldahl窒素解析(Kjeldahl nitrogen analysis as a reference method for protein determination in dairy products.)」J AOAC Int.1999 Nov−Dec;82(6):1389−98、概略)の方法にしたがって決定される。総タンパク質含量は、ウイルスタンパク質および細胞タンパク質の合計であることを注意すべきである。
未精製ウイルス調製品内の多量の非ウイルスタンパク質が、先行技術調合物の安定性に寄与していたと考えられたので、精製した、または部分的に精製したウイルス、ジサッカライドおよび薬学的に活性なポリマーを含む調合物が安定であることは思いがけないことであった。
本発明による調合物、特に水性調合物 は、ジサッカライドを含む。凍結乾燥の間、良好な生物保護性を与えるが、低い崩壊温度を持ち、しばしば崩壊をともなって凍結乾燥される、グルコースのようなモノサッカライドと比較して、ジサッカライドは、モノサッカライドに比べてより高い崩壊温度を示している、効果的な凍結乾燥保護材であることが示されてきた。
本発明による調合物に含まれるジサッカライドは、約−25℃〜−35℃の範囲の崩壊温度(Tc)を持つ、薬学的に許容可能なジサッカライドである。典型的な崩壊温度は、スクロースに関して−31℃、トレハロースに関して−28.5℃、およびラクトースに関して−30.5℃である。本発明による全調合物に関する典型的な崩壊温度は、好ましくは、−50℃〜−20℃の範囲である。好ましい副範囲は、例えば37℃〜−30℃、−36℃〜−31℃、または−35.7℃〜−31.2℃である。
好ましいジサッカライドは、トレハロース、ラクトースおよびスクロースからなる群より選択される。もっとも好ましいのはスクロースである。ジサッカライド、好ましくはスクロースが、好ましくは10〜100g/lの範囲、より好ましくは20〜80g/lの範囲、もっとも好ましくは25〜60g/lの範囲で、本発明による調合物、特に水性調合物 中に含まれる。スクロースに関して、典型的な濃度は、45g/lである。
本発明による調合物、特に水性調合物 はさらに、薬学的に許容可能なポリマーを含む。ポリマーは、好ましくは、デキストランおよびポリビニルピロリドン(PVP)からなる群より選択される。使用するポリマーは、本発明による調合物内で水溶性であるべきである。デキストランを使用する場合、その分子量は、好ましくは20,000〜100,000の範囲、より好ましくは30,000〜70,000の範囲、もっとも好ましくは36,000〜44,000の範囲である。もっとも好ましいデキストランは、平均分子量40,000である。デキストランの濃度は、1〜50g/lの範囲、好ましくは2〜40g/lまたは3〜30g/lの範囲である。好ましいよい結果が、5〜50g/l、5〜40g/l、または5〜30g/lの範囲で観察された。またより好ましくは、8〜30g/lの範囲である。もっとも好ましい範囲は、10〜27g/lである。好ましい濃度に関する例は、18.9g/lである。以上で示したようなデキストランの好ましい濃度および濃度範囲、とりわけ5〜50g/lの範囲および相当する副範囲は、調合物の崩壊温度が、比較的高いという特定の利点を持ち、工業規模で工程を実施することを可能にする。PVPを使用する場合、その分子量は、好ましくは、50,000〜400,000の範囲、より好ましくは70,000〜360,000の範囲である。PVPの濃度は、5〜200g/lの範囲、より好ましくは5〜100g/lの範囲、もっとも好ましくは10〜40g/lの範囲である。
本発明のよる調合物、特に水性調合物 は、さらに緩衝液を含みうる。以上で指摘したように、ポックスウイルスが凝集せず、乾燥に際して沈殿が起きない水性ポックスウイルス含有調合物を提供することが本発明の目的の1つであった。予期せず、そのような望まない効果が、水性調合物 内のリン酸を含む緩衝液の存在と相関することが示されてきた。リン酸が乳緩衝液の例は、PBS(リン酸緩衝食塩水)およびリン酸緩衝液である。結果として、本発明の特定の目的は、リン酸緩衝液を含まない凍結乾燥のための水性調合物によって解決される。したがって、本発明による調合物 内に含まれる緩衝液は、好ましくは、TRIS、TBS、MOPS、HEPESおよび(重)炭酸緩衝液からなる群より選択される。もっとも好ましい緩衝液は、TRISおよびTBSである。
緩衝液は、必要な緩衝液用量を与えるのに十分である濃度で使用する。TRIS緩衝液に関して、好ましい濃度範囲は、1〜50mMであり、もっとも好ましい濃度は10mMである。pHは好ましくは、一方でヒトまたは動物における投与のために薬学的に許容可能であり、他方で、ウイルスに対して有害ではない値に適合する。したがって、pHは、6.0〜9.0の範囲、より好ましくは7.2〜7.8の範囲であるべきである。もっとも好ましいpHは7.4である。
リン酸を含まない緩衝液を用いることによる、予期せぬ良好な結果が、調合物内のウイルスが未精製、精製または部分的に精製されたウイルスであるかどうかにかかわらず得られた。精製または部分的に精製したウイルスが好ましい。
本発明による調合物、特に水性調合物 は、NaClのような塩を含みうる。NaClに対する典型的な濃度は、10〜200mMの範囲である。好ましいNaCl濃度に関する例は、140mMである。
本発明による調合物、特に水性調合物 はさらに、L−グルタミン酸塩を含みうる。塩は、好ましくは一カリウム塩または一ナトリウム塩である。L−グルタミン酸塩の濃度は、好ましくは0.05〜0.5g/lの範囲、より好ましくは0.1〜0.15g/lの範囲である。
本発明によるいくつかの特に好ましい水性調合物を、以下の表1で列記する。表1で列記したすべての調合物 において、緩衝液は、10mM TRIS、pH7.4、140mM NaClである。
Figure 2005513109
本発明による水性調合物は、凍結乾燥に好適である。投与のために、凍結乾燥品は、適切な溶媒によって再構成されなければならない。1つの実施様態にしたがって、化合物を水溶液に移すために、無菌水を凍結乾燥品に加える。好ましくは、加える水は、凍結乾燥の間に除去される水量より多いか、または少なく対応する。したがって、本実施様態にしたがって、再構成生成物の組成は、初期水性調合物とより同一であるか、同一性は少ない。したがって、本発明による調合物 をワクチンとして使用することが、本発明の範囲内である。他の実施様態にしたがって、凍結乾燥品はまた、適切な量で使用しうる、任意の他の薬学的に許容可能な希釈液中で再構成しうる。本例の方法によって、希釈液は、フェノール、グリセロールおよび緩衝液から選択した1つ以上の化合物を含む水であり得る。再構成生成物中のフェノールの濃度は、例えば0.5%である。以上で指摘したように、緩衝液は好ましくは、リン酸緩衝液ではない。
まとめると、本発明の本観点はとりわけ、以下の特に好ましい実施様態に関する。(I)オルトポックスウイルス、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルスおよびスイポックスウイルスからなる群より選択した、精製した、または部分的に精製したポックスウイルス、ジサッカライド、薬学的に許容可能なポリマーおよび任意に緩衝液を含むか、またはからなる、調合物、特に水性調合物 であり、この際 緩衝液は、好ましくはリン酸緩衝液ではない。好ましくは前記ポリマーは、好ましくは以上で特定したような量での、デキストランである。(II)オルトポックスウイルス、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルスおよびスイポックスウイルスからなる群より選択した、精製した、または部分的に精製したポックスウイルス、ジサッカライド、薬学的に許容可能なポリマーおよび任意に緩衝液を含むか、またはからなる、調合物、特に水性調合物 であり、この際 緩衝液は、好ましくはリン酸緩衝液でなく、ポックスウイルスが好ましくは精製した、または部分的に精製したウイルスである。好ましくは前記ポリマーは、好ましくは以上で特定したような量での、デキストランである。(III)オルトポックスウイルス、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルスおよびスイポックスウイルスからなる群より選択した、精製した、または部分的に精製したポックスウイルス、ジサッカライド、薬学的に許容可能なポリマーおよび任意に緩衝液を含むか、またはからなる、調合物、特に水性調合物 であり、この際 ポリマーは、以上で特定したような、例としては好ましくは5〜40g/lの範囲である量でのデキストランである。好ましくは緩衝液はリン酸緩衝液ではない。好ましくは、ポックスウイルスは精製された、または部分的に精製されたウイルスである。
以上の選択肢(I)、(II)および(III)の文中で使用するところの用語「からなる(consisting)」は、上述した化合物のみからなる調合物、およびさらに1つ以上の塩を含む調合物 に関する。以上で定義した化合物からなる調合物(I)、(II)および(III)に添加しうる塩の例は、KCl、NaCl、グルタミン酸ナトリウムである。したがって、以上で定義した調合物(I)、(II)および(III)の定義中の用語「からなる」は、1つ以上の塩を含む可能性を除外しない。
例として、本発明の特定の実施様態は、オルトポックスウイルス、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルスおよびスイポックスウイルスからなる群より選択した、精製した、または部分的に精製したポックスウイルス、ジサッカライド、薬学的に許容可能なポリマーおよび緩衝液を含む水性調合物を含み、そこでジサッカライドは、以上で特定した量でのスクロースであり、前記ポリマーは、以上で定義した量のデキストランであり、前記緩衝液はリン酸緩衝液ではない。例として、本発明の他の特定の実施様態は、オルトポックスウイルス、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルスおよびスイポックスウイルスからなる群より選択した、精製した、または部分的に精製したポックスウイルス、ジサッカライド、薬学的に許容可能なポリマーおよび緩衝液を含む水性調合物を含む。ポックスウイルスは好ましくは精製された、または部分的に精製されたポックスウイルスである。ジサッカライド、ポリマーおよび緩衝液の好ましい量および例は、以上で概略している。
ポックスウイルスを含むそのような調合物、特に水性調合物 をどのように投与可能か、どのような量のウイルスをワクチン接種に使用するかは、当業者の技術の範囲内である。以上で指摘したように、ワクチンは、とりわけ弱毒化または非病原性、非組換え体ポックスウイルスを使用する場合に、ポックスウイルス自体に対する免疫応答を誘導するために使用しうる。ポックスウイルスが組換え体ポックスウイルスである場合、免疫応答が、ポックスウイルスベクターによって発現された組換え体タンパク質/ペプチドに対して、さらに発生する。
以上で使用したような用語「調合物(formulation)」は、他に言及しない限り、液体調合物 、好ましくは水性調合物を意味する。濃度または濃度範囲は、「mM」、「g/l」定義され、そこで、これは、それぞれの調合物 が液体または水性調合物 であることの示唆である。用語「水性調合物」は、希釈液が水であるような調合物を意味する。しかしながら、本発明の目的はまた、液体を除去することによって、液体または水性調合物 から得ることが可能な乾燥調合物 もカバーしており、前記除去のために使用した方法には関わらない。したがって、本発明は、凍結乾燥以外の方法によって得る乾燥調合物をカバーする。
とりわけ、本発明はさらに、本発明の調合物、特に水性調合物 を凍結乾燥することを特徴とする、安定な、ポックスウイルス含有調製物を調製するための方法に関する。本発明の明細書にて、用語「安定な、ポックスウイルス含有調製物(stable,poxvirus−containing composition)」および「凍結乾燥ポックスウイルス含有調製物(freeze−dried poxvirus containing composition)」は、他に言及しない限り、相互互換的に使用される。用語「安定な、ポックスウイルス含有調製物」は、28日間の間、37℃でのインキュベーション温度でのウイルスタイターの総欠損が、0.5ログ以下、好ましくは0.4ログ以下である、ポックスウイルス含有調製物を定義するために使用する。ウイルスタイターを定義するための詳細なプロトコール、したがって、ウイルスタイターの総欠損を実施例項で示す。しかしながら、ウイルスタイターを決定するための任意の他のプロトコールも使用可能である。
凍結乾燥の方法は、一般的に当業者に公知である(Day,J.and McLellan,M.,Methods in Molecular Biology,Humana Press,(1995)vol.38)。
凍結乾燥工程は通常、以下の段階からなり、さらに詳細に以下で説明する。
1.ワクチン調製
2.試料凍結
3.第一乾燥(昇華)
4.第二乾燥(吸収)
5.生成物密封および除去
6.ワクチン保存
7.再構成
ワクチン調製:ワクチンとして使用すべきポックスウイルスの産出および増幅は、以上で詳細に説明してきた。ポックスウイルスは任意に精製される。本発明による調合物は、以上で定義したジサッカライド、ポリマーおよび任意に緩衝液、L−グルタミン酸および任意にさらなる添加物を、ポックスウイルス調製品に加えることによって得る。
試料凍結:
試料の凍結は、溶液中で成分を固定化し、それによって、圧力を低下させた時の生成物の浮き上がりを予防する。凍結は、水をまず核とし、続いて氷結晶が発達し、結果として氷と溶媒濃縮物の混合物となる、二段階工程である。温度を減少させ、冷却した懸濁液を撹拌することによって氷核化が促進される。核化と対照的に、温度を上昇させ、それによって懸濁液粘度を減少させることによって、氷の発達が促進される。正確な凍結パターンにかかわらず、培地全体での氷の増殖により、結果として、溶媒濃縮物が増加する。溶液中または懸濁液中のバイオポリマー類は、これらの溶媒の濃度の増加への曝露によってダメージを受けるか、不活性化する。急速な冷却によって、生物生成物の濃縮物への曝露が最小化される。臨界温度(ガラス伝達温度)以上で、重量粘度が、ガラスが軟化および歪曲するのに十分な程減少しうる。これを乾燥させ、バイアル内で、無型棒状残余物が形成される。歪曲化の温度は、崩壊温度と言われる。より特別には、崩壊温度は、マトリックスの間質領域中の水の移動度が顕著になる温度として定義される。歪曲化をさけるために、凍結温度は、水性調合物の崩壊温度より低くなるべきである。崩壊温度は、例えば異なる温度解析によってのような、当業者に公知の方法によって決定可能である(Jennings,T.A.,「凍結乾燥、紹介と基本的原理(Lyophilization,Introduction and Basic Principles.)」Interpharm Press,Denver,CO,US,1999,ISBN 1−57491−081−7、ページ132−134)。
温度が低すぎる場合、ウイルスからの水拡散が阻害され得、細胞内氷による損害が起こりうる。結果として、当業者は、水性調合物の崩壊温度以下であるいくつかの凍結温度を実験的に試験し、感染性ポックスウイルスの最も高いタイターを持つ、凍結乾燥生成物を導く温度を試験する。
第一乾燥(昇華):
第一乾燥は、溶媒(氷)の凍結マトリックスからの昇華を促進する凍結乾燥工程の部分である。第一乾燥工程は、凍結乾燥器が、必要なコンデンサー温度およびチャンバー圧に達した後に開始する。チャンバー内の圧力は通常1mbarより低く、好ましくは0.2mbarより低い。典型的に、圧力は、0.04〜0.12mbarの範囲である。本明細書において、これらの条件は時折、「低圧(low pressure)」と呼ばれる。
棚温度は、生成物マトリックス中の氷の昇華が起こるように増加し、生成物温度が、全第一乾燥工程を通して、完全にマトリックスが凍結されることを確実にし、崩壊なしの凍結乾燥を確実とするために、調合物の崩壊温度より有意に低い温度である。温度は、全第一乾燥工程の間、一定の間、そのままでありうる。あるいは、棚温度は、第一乾燥の間、一定に増加しうる。しかしながら、生成物の温度は、全第一乾燥工程の間、崩壊温度以下でなければならない。第一乾燥の終わりで、乾燥生成物は、まだ、5%以上の湿度(w/w)を含みうる。生物学的増殖または化学反応をもはやサポートしない湿度を持つ生成物を得るために、第二乾燥段階を実施する必要がある。
第二乾燥(吸収):
第二乾燥の間、水蒸気を、第二乾燥の間に形成したケーキの表面より吸収する。これは、水がケーキ表面より吸収されるように、チャンバーがまだ定圧であるまま、温度をあげることによって達成される。
第二乾燥のための棚温度は、生成物の安定性によって決定され、0℃〜+30℃の範囲であり得る。生成物温度は通常、−5℃〜30℃である。より好ましくは、温度は、5℃〜20℃である。第二乾燥は2段階で行いうる。第一段階で、生成物温度は、−5℃〜+15℃であり、好ましくは0℃〜+10℃の範囲であり、より好ましくは2℃〜+7℃の範囲である。第二段階は、第一段階の第二乾燥よりも高い温度で行う。温度は、0℃〜30℃の範囲、好ましくは+5℃〜+20℃の範囲である。また、調合物の残存する湿度は、生成物の必要性に依存する。最適な生成物安定性を達成するために、いくつかの生成物はより高い、いくつかの生成物はより低い湿度を必要とする。最適な残存する湿度ならびにそれに達する温度は、実験的に決定されるべきである。
第二乾燥工程は、望む湿度が達成されるまで継続する。生成物の湿度を決定するための方法は当業者に公知である。特に、電量Karl−Fischer滴定を使用可能である(Jennings,T.A.,「凍結乾燥、紹介と基本的原理(Lyophilization,Introduction and Basic Principles.)」Interpharm Press,Denver,CO,US,1999,ISBN 1−57491−081−7、415−418頁)。残存する湿度は好ましくは、5%以下、より好ましくは0.5〜4%の範囲、より好ましくは1〜3%の範囲である。
生成物密封および除去:
全ての生成物含有バイアルを、当業者に公知の方法にしたがって密封する。バイアルを非常に低圧(例えば0.04〜2.56mbar)にて、直接凍結乾燥器内で密封可能である。また、窒素またはヘリウムのような化学的に不活性な基体を使用することで、通常の圧力以上または以下でバイアルを密封することも可能である。典型的には、バイアルを、900mbarの圧力で、窒素大気下で密封してよい。バイアルを、好ましくはブチルゴムストッパーを用いてしめる。いったん生成物を密封したならば、系を大気圧に戻すことが可能であり、棚を開放可能である。その後、バイアルをさらに長期間の保存のために、アルミニウムキャップで密封してよい。
ワクチン保存:
凍結乾燥生成物を、室温(25℃)にて保存可能であり、少なくとも18週間、好ましくは少なくとも20週間以上、好ましくは少なくとも22週間、この温度で維持する。「特定の時間の間、特定の温度で安定である(stable at a certain temperature for a certain period of time)」は、この時間の間、この温度でのウイルスタイターの欠損が0.5ログ以下であることを意味する。しかしながら、冷却が可能である場合、凍結乾燥生成物を4℃のようなより低温で保存することが好ましい。好ましくは、生成物を暗所で保存する。不可能な場合、保存のために、着色ガラスまたは任意の他のバイアルを使用することが好まく、これにより光への不利益な曝露を避ける。
再構成:
凍結乾燥生成物の再構成のために、適切な量の溶媒を、凍結乾燥生成物に加え、結果として、薬学的に許容な調合物を、ヒトまたは動物に投与可能にする。溶媒は好ましくは水である。通常、溶媒を、凍結乾燥工程の間、溶媒欠損量に十分に相当する量で、調合物に加える。
本発明はまた、本発明による工程によって得られる凍結乾燥生成物に関する。
したがって、本発明による凍結乾燥生成物は、(i)ポックスウイルス、好ましくはオルトポックスウイルス属またはアビポックスウイルス属、(ii)ジサッカライド、(iii)薬学的に許容可能なポリマー、および任意に(iv)緩衝液を含み、前記ポックスウイルス、前記ジサッカライド、前記ポリマーおよび前記緩衝液は、以上で定義している。
凍結乾燥生成物中の典型的な組成を、以下の表2で示す。表2で示した全ての調合物で、ウイルスの量は5×10 TCID50/mlである。
Figure 2005513109
本発明による凍結乾燥生成物を、ワクチンの調製のために使用する。この目的のために、凍結乾燥生成物を、上述したように再溶解/再構成し、当業者に公知の方法にしたがって、ヒトまたは動物に投与する。
図面の簡単な説明
図1は31℃の温度での、MVA含有凍結乾燥調合物の安定性を示している。試験した調合物 はGT23(実施例項および表6を参照のこと)である。本発明による水性調合物におけるウイルスタイターを、凍結乾燥前に測定する。凍結乾燥は、T23に関して記述したように作製した(実施例および表6を参照のこと)。凍結乾燥後、調合物を31℃にて保存した。示した時間点で、凍結緩衝調合物 を再構成し、ウイルスタイターを再び測定した。
図2及び3はインキュベーション温度が、図2において37℃、図3において45℃であったことを除いて、図1の文中で記述したのと同様の実験の結果を示している。
[実施例]
以下の実施例で、本発明をさらに詳述する。しかしながら、これらの実施例は本発明を何ら限定することを意図するものではない。
修飾ワクシニアウイルス株アンカラ(MVA)を含む調合物の凍結乾燥
本実施例において、MVAを含む本発明による調合物を、異なる条件下で凍結乾燥した。凍結乾燥生成物を、異なる温度で保存した。調製におけるMVAの安定性を、凍結乾燥品の再構成の後にMVAのタイターを測定し、凍結乾燥前のMVAタイターと比較することによって解析した。ウイルスタイターにおける異なる保存時間の影響を決定した。MVA含有調合物のタイターの決定のためのプロトコールを実施例2で示す。
1.実験設定:
ワクチン調製/調合物
本発明による凍結乾燥工程を試験するために、いくつかのMVA調製品を使用した。凍結乾燥実験(表6中、GT1〜4、6〜10、および13〜15行目)のために、修飾ワクシニアウイルス株アンカラ(MVA)を使用した。ウイルスを、36%および40%スクロースクッション遠心、続いてpH9での1mM Tris−緩衝液中の再懸濁によって精製した。
凍結乾燥実験GT1〜4(表6)において、添加物は使用しなかった。使用した緩衝液系は、10mM Tris+pH7.4での140mM NaClであった。GT6(表6)での凍結乾燥開始に際して、異なる添加物を、緩衝液を変えること無しに使用した。
異なる添加物を含む2つの異なる調合物を選択した。希釈緩衝液を加えることによって、添加物をウイルス含有溶液に加えた。使用した希釈緩衝液の組成は、以下の表3および4で示している。希釈緩衝液1(DSG)の添加により、本発明の水性調合物が得られる。希釈緩衝液2(DGG)の使用により、比較解析のために使用した調合物 が得られる。
Figure 2005513109
Figure 2005513109
これらの希釈緩衝液を、最終調合物にて異なる濃度で使用した。希釈緩衝液1(DSG)を、16.7%、23%、30%および40%(v/v)で使用し、希釈緩衝液2は20%(v/v)で使用した。最終調合物のTCID50/mlを、生理学的Tris緩衝液(10mM Tris−緩衝液、140mM NaCl、pH7.4)で、5×10TCID50/mlに調整した。
試料凍結
試料を、凍結乾燥器(クリスト(Christ)凍結乾燥器、アルファ2〜4型)内で凍結させた。スクロース(DSG)を含む調合物に関しては、異なる凍結温度(−30℃〜−45℃)の比較により、完全なケーキ構造を得るために、懸濁液を、本調合物 の崩壊温度以下である、−40℃まで凍結させなければならないことが示された。凍結乾燥器内で凍結する場合、約3.5〜4.5時間以内に−40℃に達した(約20℃から開始)。
第一乾燥
スクロース(DSG)を含む調合物に関し、約−30℃〜−37℃の崩壊温度は、スクロースの崩壊温度(−31℃)を考慮に入れて仮定された。したがって、生成物温度を、−37℃〜−41℃の範囲の値に調整し、完全な凍結マトリックスを確かにした。0.04〜0.12mbarの圧力(水相ダイアグラム中、−50℃および−40℃)を使用した。
第一乾燥の間の昇華の原動力は、その温度差によって作り出される、生成物と凍結乾燥器のコンデンサーの間の圧力差である。自然の法則としては、水の温度が減少するときに、水上の圧力も減少するということである。特定の水温はいつも特定の圧力に関係している。コンデンサーを、−83℃〜−89℃の範囲に設定した。チャンバー内の圧力および棚温度は、生成物温度を調節する。このことは、コンデンサーの温度が固定されているので、第一乾燥の長さは、とりわけ簡単には短くできないことを示している。生成物温度の上昇に関して、調合物のTcが制限因子である。
第二乾燥
第二乾燥のための温度を、生成物の安定性によって決定した。また、調合物の残存する湿度は、生成物の要求に依存する。最適な生成物安定性を得るために、時折より高い湿度、また時折低い湿度が必要である。最適な残存する湿度ならびにそれに達するまでの時間は、実験的に測定しなければならない。第二乾燥を、生成物が0℃以上の温度に達した時に開始するので、第二乾燥は2段階で実施した。第一段階において、棚温度を、生成物温度が0℃以上(4〜6℃の範囲)である様式で、数時間(4〜7時間の範囲)調節した。そのような様式で、第一乾燥の後に残っている、すべての可能性のある存在する氷が融解した。第二乾燥を開始するために、そのような穏やかな条件を使用することによって、生成物に対するダメージが最小化されうる。その後、第二段階を、生成物温度を、20〜30時間、18〜21℃の範囲の値まで上昇させることによって開始した。第二段階のための時間は、凍結乾燥生成物の必要とする残存する湿度に非常に依存する。異なる残存する湿度を得るために、異なる時間を使用した。凍結乾燥物質の残存する湿度を測定するためのアッセイとして、電量分析Karl−Fischer滴定を使用した(Jennings,T.A.,「凍結乾燥、紹介と基本的原理Lyophilization,Introduction and Basic Principles.)」Interpharm Press,Denver,CO,US,1999,ISBN 1−57491−081−7、415−418頁)。
生成物密封および除去
処理が進行する間に産出されたすべての生成物を、凍結乾燥器内で直接、非常に低圧(0.04〜2.56mbar)下で密封した。バイアルを、ブチルゴムストッパーを用いて閉じた。いったん生成物を密封し、系を室温に戻し、棚を開放した。その後、バイアルを、長期間保存のために、アルミニウムキャップで密封した。
ワクチン保存
調合物実施の重要な観点は、棚安定なワクチンを産出することである。安定性に影響を与える因子には、残存する湿度、密封環境組成、および温度、湿度および光を含む保存条件が含まれる。
処理が進行する間に産出された異なるバッチを、すべて4℃および室温で保存した。さらに、いくつかのバッチをまた、31℃、37℃および45℃で保存した。
すべての試料を暗所で保存した。
再構成
凍結乾燥試料を、オートクレーブMilli−Q水にて再構成した。より特別には、水(1.2ml)を、シリンジを用いて試料に添加した。懸濁液を、穏やかに撹拌して混合した。再構成はただ数秒間だけかかった。再構成生成物のウイルスタイターを測定し、凍結乾燥前のウイルスタイターと比較した。
加速された安定性試験
調合物GT23(表6を参照のこと)の安定性を、31℃、37℃および45℃で査定した。ウイルスタイターを、定期的にモニタした。結果を図1〜3に示している。
2.結果と結論:
MVAを、異なる添加物を使用するか、使用せずに凍結乾燥した。添加物無しの調合物は、不安定であるということが示された(表6を参照のこと)。この文中において、試料は、タイターが0.5ログ以上落ちなかった場合に安定であると考えられる。したがって、用語「特定の時間間隔で、特定の温度において安定(stable at a certain temperature for a certain period of time)」は、この温度でのウイルスタイターの欠損が、この時間間隔で、0.5ログ以下であることを意味している。示唆した温度での示唆した時間間隔の、ウイルスタイターの欠損が0.5ログ以上である場合に、調合物は「不合格である(fail)」。デキストランおよびグルコースを含む調合物 は、室温で、非常に低い安定性を示した。異なる濃度のスクロースおよびデキストランを含む、本発明による調合物が安定であることが証明された。本発明による調合物 内のMVAの安定性は、4℃および室温にて少なくとも25週間である。
表6で、添加物を含まない調合物の安定性(表6、GT1〜4)は非常に小さかった。数週間後に、その本来の開始タイターの0.5ログを欠損し、これは許容可能ではない。
20%(v/v)DGGを含む調合物は、凍結乾燥工程の間、物質が崩壊するので、許容可能ではない(データは示していない)。この崩壊は、グルコースの低いTcによって説明可能であり、高いTc(−11℃)を持つデキストランの使用によって、明白に増強はしなかった。第一乾燥に関して、凍結乾燥設備のもっとも低い可能な温度(−45℃)を使用した。したがって、グルコースのTc以下の温度に低下させることは不可能であった。30%(v/v)DGGを含む調合物は崩壊しなかった。この現象は、おそらく、第一乾燥に関して使用した温度より高い値まで、Tcを増加させる、デキストランのより大きな総量による。
物質は崩壊しなかったが、とりわけ室温での安定性は、満足するものではなく、これは、グルコースの低固体状態Tcによる可能性がある(表6、GT10)。
希釈緩衝液1(DSG)を、ほとんどの実験で使用した。この添加物での安定性は非常に良好である。スクロースの高いTc(−30℃)のために、本調合物において、崩壊は問題ではなかった。凍結乾燥物質の安定性は、常に良好であった(表6)。調合物 中の16.7%、20%、23%、28.6%、30%および40%(v/v)DSGの使用の間に大きな差はなかった。4℃および室温での安定性が、すべての6調合物に関して証明された。30%および40%DSGでの凍結乾燥生成物は、わずかにより安定性を持った。
調合物の1つ(処理GT23、表6を参照のこと)を、加速された安定性試験にて、詳細に解析した。結果を図1〜3に示し、以下の表5にて要約している。
Figure 2005513109
31℃にて、ワクチンを約1ヶ月保存したが、まだ規格に適合した(ウイルスタイターの欠損が0.5ログ以下)。ただし高い温度においてさえ、1ヶ月以上ワクチンを保存可能である可能性があり、これは、亜熱帯領域でとりわけ興味深いものであり得る。
古い天然痘ワクチンに関して、WHOは、安定性の見積もりのための方法を推奨した。ワクチンが37℃にて4週間以内に1ログ以下欠損した場合、4℃で保存した時に、少なくとも1年間安定であると過程された(古いワクチンの使用に関する採用基準は、1ログ以下の欠損であった)。示したように、本発明による式GT23はこの基準を充たしている。
修飾ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)の滴定
修飾ワクシニアウイルスアンカラ(MVA)の滴定を96ウェルフォーマットで、10倍希釈を使用する、TCID50に基づくアッセイで実施する。アッセイのエンドポイントにて、感染細胞を、抗ワクシニアウイルス抗体および適切な染色溶液を用いて視覚化する。
2〜3日齢初代CEF(ニワトリ胎児繊維芽)細胞を、7% RPMI中で、1×10細胞/mlまで希釈した。10倍希釈を、希釈あたり8複製で実施する。希釈に続いて、100μlを、96ウェルプレートのウェルあたりでまく。ついで細胞を、37℃、5%COにて、一晩インキュベートする。
ウイルス含有溶液の希釈を、胎児ウシ血清無しのRPMIを用いて、10倍ステップ(適切なように10−1〜10−12)で実施する。ついで、それぞれのウイルス試料100μlを、細胞含有ウェルに加える。96ウェルプレートを、5% COとともに、37℃にて5日間インキュベートして、感染およびウイルス複製を可能にする。
細胞を、ワクシニアウイルス特異的抗体で、感染の5日後に染色する。特異的抗体の検出のために、セイヨウワサビ ペルオキシダーゼ(HRP)共役第二抗体を使用する。MVA特異的抗体は、抗ワクシニアウイルス抗体、ウサギポリクローナル、IgG画分(カルテット(Quartett)、Berlin、Germany #9503−2057)である。第二抗体は、抗ウサギIgG抗体、HRP共役ヤギポリクローナル(プロメガ(Promega)、Mannheim、Germany、#W4011)である。着色反応は、公知の技術にしたがって実施する。
着色反応で陽性である細胞を含むすべてのウェルを、TCID50の計算のために、陽性であると記録した。
タイターを、Spearman[1]およびKaerber[2]の式を用いることによって計算する。すべてのアッセイパラメータが一定に保持されるので、以下の単純化した式を使用する。
Figure 2005513109
a=最後のカラムの希釈因子、すべての8つのウェルがポジティブである。
χ=カラムa+1における陽性ウェルの数
χ=カラムa+2における陽性ウェルの数
χ=カラムa+3における陽性ウェルの数

表6:異なる凍結乾燥処方中のポックスウイルスの安定性データ
Figure 2005513109
Figure 2005513109
Figure 2005513109
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図1は31℃の温度での、MVA含有凍結乾燥調合物の安定性を示している。 図2はインキュベーション温度が37℃であったことを除いて、図1の文中で記述したのと同様の実験の結果を示している。 図3はインキュベーション温度が45℃であったことを除いて、図1の文中で記述したのと同様の実験の結果を示している。

Claims (23)

  1. (i)オルトポックスウイルス類、パラポックスウイルス類、アビポックスウイルス類、カプリポックスウイルス類およびスイポックスウイルス類からなる群より選択された、精製または部分的に精製されたポックスウイルス、(ii)ジサッカライド、および(iii)薬学的に許容可能なポリマーを含む調合物。
  2. さらに緩衝液を含む、請求項1に記載の調合物。
  3. 前記ポックスウイルスがワクシニアウイルスであることを特徴とする請求項1又は2記載の調合物。
  4. 前記ワクシニアウイルスが、株Elstreeおよび修飾ワクシニアウイルス株アンカラ(MVA)から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の調合物。
  5. ポックスウイルスが組換え体ポックスウイルスであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の調合物。
  6. 前記ジサッカライドが、スクロース、ラクトースおよびトレハロースのからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の調合物。
  7. 前記ジサッカライドの濃度が、10〜100g/lの範囲であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の調合物。
  8. 薬学的に許容可能なポリマーが、デキストランおよびポリビニルピロリドン(PVP)から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の調合物。
  9. デキストランが、30,000〜70,000の範囲の分子量、および1〜50g/lの濃度を持つことを特徴とする、請求項8に記載の調合物。
  10. リン酸緩衝液が、緩衝液としてのぞかれることを特徴とする、請求項2〜9のいずれかに記載の調合物。
  11. 調合物がさらに、グルタミン酸を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の調合物。
  12. 前記調合物の崩壊温度が、−37℃〜−30℃の範囲であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の調合物。
  13. ポックスウイルスが、MVA株または株Elstreeであり、前記ジサッカライドがスクロースであり、前記ポリマーがデキストランであり、前記緩衝液がリン酸緩衝液ではないことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の調合物。
  14. ワクチンとしての、請求項1〜13のいずれかに記載の調合物。
  15. ワクチンの調製のための、請求項1〜13のいずれかに記載の調合物の使用方法。
  16. 請求項1〜13のいずれかに記載の調合物が凍結乾燥されることを特徴とする調製物を含む安定なポックスウイルスを調製するための方法。
  17. 以下の、
    (i)請求項1〜13のいずれかにて定義したような調合物を、前記調合物 の崩壊温度以下の温度まで凍結し、凍結生成物マトリックスを得ること、
    (ii)低圧および生成物温度で、凍結生成物 の第一乾燥をして、生成物マトリックス内の氷の昇華を可能にすること、この際、前記生成物温度は、調合物 の崩壊温度より低い、
    (iii)生成物の残余水分が5%以下になるまで、低圧および0℃〜30℃の範囲内での生成物温度にて第二乾燥させること、
    の段階を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 請求項16〜17のいずれかに記載の方法によって入手可能な、凍結乾燥生成物。
  19. (i)ポックスウイルス、(ii)ジサッカライド、(iii)薬学的に許容可能なポリマー、および任意に(iv)緩衝液を含む、凍結乾燥生成物であって、前記ポックスウイルス、前記ジサッカライド、前記ポリマーおよび前記緩衝液が、請求項1〜6、8、10〜11のいずれかにて定義されたようなものである、凍結乾燥生成物。
  20. 残余水分含量が、1〜3%の範囲であることを特徴とする、請求項18〜19のいずれかに記載の、凍結乾燥生成物。
  21. ワクチンの調製のための、請求項18〜20のいずれかに記載の凍結乾燥生成物の使用方法。
  22. 前記生成物を、適切な量の薬学的に許容可能な溶媒中に溶解することを特徴とする、請求項18〜20のいずれかに記載の凍結乾燥生成物の再構成のための方法。
  23. 請求項1〜13のいずれかに記載の調合物、請求項14に記載のワクチン、または請求項22に記載の方法によって得た再構成生成物を用いて必要な、ヒトを含む動物のワクチン接種方法。
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