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JP2005335964A - 複合酸化物半導体膜及びその形成方法 - Google Patents

複合酸化物半導体膜及びその形成方法 Download PDF

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JP2005335964A JP2004152848A JP2004152848A JP2005335964A JP 2005335964 A JP2005335964 A JP 2005335964A JP 2004152848 A JP2004152848 A JP 2004152848A JP 2004152848 A JP2004152848 A JP 2004152848A JP 2005335964 A JP2005335964 A JP 2005335964A
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Abstract

【課題】 可視光応答性のある複合酸化物半導体膜の形成方法を提供する。
【解決手段】 基体20に複合酸化物半導体膜を形成する膜形成方法である。タンタルからなる第1ターゲット部11a及びインジウムからなる第2ターゲット部11bを備えたターゲット材11へ向けてイオンビームを照射するスパッタイオン照射工程と、基体20に向けて少なくとも酸素イオンを含むイオンビームを照射するアシストイオン照射工程とを併用することで、基体20にタンタル酸インジウムを構成成分とする複合酸化物半導体膜を形成する。
【選択図】 図6

Description

本発明は複合酸化物半導体膜及び複合酸化物半導体膜の形成方法に係り、特に可視光線に応答し、水素製造用,水分解用及び有害物質分解用の光触媒薄膜等に用いることが可能な複合酸化物半導体膜及びその形成方法に関する。
地球温暖化や地球資源枯渇の問題から、新エネルギー源の開発が盛んに行われている。なかでも、太陽エネルギーは年間エネルギー消費量の1万倍に相当するともいわれ、その効率的な利用のための研究が活発である。代表的な研究に光触媒がある。光触媒は、太陽光と水から、水素と酸素をクリーンに製造することができるため、エネルギー創出の有望な手段として注目されている。
光触媒反応は下記式に示すように、エネルギー蓄積型の反応である。
Figure 2005335964
この種の光触媒は、そのバンドギャップ以上のエネルギーを吸収すると、正孔と電子を生成する。これにより、酸化反応や還元反応をともなって、酸素や水素を発生させると考えられている。
エネルギー源となる太陽光は、波長500nm付近に放射の最大強度をもっており、波長400nm〜750nmの可視光領域のエネルギー量は、全太陽光の約43%と考えられている。これに対して、波長400nm以下の紫外線領域のエネルギー量は全太陽光の5%にも満たないと考えられている。したがって、太陽光を効率よく利用するためには、可視光線に応答する可視光応答性の光触媒が望まれている。
しかし、紫外線を照射したときに水素と酸素の双方を生成できる半導体光触媒は、従来からよく知られているが、可視光線に応答する可視光応答性の半導体光触媒について充分に研究されているとは必ずしもいえない。
光触媒は、上述の新エネルギー分野の他にも、農薬や悪臭物質などの有機物の分解除去、固体表面のセルフクリーニングなどの数多くの応用例があるが、その大部分は二酸化チタンによる光触媒である。しかし、二酸化チタンは、可視光線線に対しては、その分解機能やセルフクリーニング効果が十分に発現されているものではなかった。
以上の点から、可視光線に応答するインジウム含有複合酸化物半導体からなる光触媒が注目されるようになった(例えば、特許文献1)。
特開2003―19437号公報(第3−5頁)
上記特許文献1では、インジウム含有複合酸化物半導体からなる光触媒を得ることができるが、得られるインジウム含有複合酸化物半導体からなる光触媒は、焼成物や、その粉砕物や、その粉砕物であった。このため、光触媒材料/製品として応用できる範囲が限定的だった。また、1200度の高温での焼成工程を必要としていた。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、可視光応答性のある膜状の複合酸化物半導体である複合酸化物半導体膜及びその形成方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の複合酸化物半導体膜は、基体に形成される薄膜であって、タンタル酸インジウムを構成成分としたことを特徴とする。
このように本発明の複合酸化物半導体膜はタンタル酸インジウムを構成成分としているため、可視光応答性のある酸化物半導体を膜の状態で得ることが可能となる。
上記課題を解決するために、請求項2に記載の複合酸化物半導体膜は、基体に形成される薄膜であって、前記基体の表面に厚さ50nm以上1000nm以下で形成され、タンタル酸インジウムを構成成分としたことを特徴とする。
このように本発明の複合酸化物半導体膜は、50nm以上1000nm以下で形成され、タンタル酸インジウムを構成成分としているため、可視光応答性のある酸化物半導体の薄膜を、光触媒薄膜として有望な膜厚50nm以上1000nm以下の膜の状態で得ることが可能となる。
上記課題を解決するために、請求項3に記載の複合酸化物半導体膜は、基体に形成される薄膜であって、前記基体の表面に厚さ50nm以上100nm以下で形成され、タンタル酸インジウムを構成成分としたことを特徴とする。
このように本発明の複合酸化物半導体膜は、50nm以上100nm以下で形成され、タンタル酸インジウムを構成成分としているため、可視光応答性のある酸化物半導体を膜厚50nm以上100nm以下の膜の状態で得ることが可能となる。
また、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載の複合酸化物半導体膜において、前記基体は酸化マグネシウム、ケイ素、ガラスのうちのいずれか1つからなると好適である。
上記課題を解決するために、請求項5に記載の複合酸化物半導体膜の形成方法は、基体に複合酸化物半導体膜を形成する膜形成方法において、タンタル及びインジウムからなるターゲット材、またはタンタルの酸化物及びインジウムの酸化物からなるターゲット材へ向けてイオンビームを照射するスパッタイオン照射工程と、前記基体に向けて少なくとも酸素イオンを含むイオンビームを照射するアシストイオン照射工程とを併用することで、前記基体にタンタル酸インジウムを構成成分とする複合酸化物半導体膜を形成することを特徴とする。
このような方法により、可視光応答性のある酸化物半導体を膜の状態で得ることが可能となる。
上記課題を解決するために、請求項6に記載の複合酸化物半導体膜の形成方法は、基体に複合酸化物半導体膜を形成する膜形成方法において、タンタルからなる第1ターゲット部及びインジウムからなる第2ターゲット部を備えたターゲット材へ向けてイオンビームを照射するスパッタイオン照射工程と、前記基体に向けて少なくとも酸素イオンを含むイオンビームを照射するアシストイオン照射工程とを併用することで、前記基体にタンタル酸インジウムを構成成分とする複合酸化物半導体膜を形成することを特徴とする。
このような方法により、可視光応答性のある酸化物半導体を膜の状態で得ることが可能となる。
このとき、請求項6に記載の複合酸化物半導体膜の形成方法において、前記スパッタイオン照射工程では、前記ターゲットへ向けたイオンビームの照射方向における前記第1ターゲット部と前記第2ターゲット部の投影面積比が2:1ないし3:1の範囲にあるターゲット材へ向けてイオンビームを照射すると好適である。
このように、前記スパッタイオン照射工程において、前記第1ターゲット部と前記第2ターゲット部の投影面積比が2:1ないし3:1の範囲にあるターゲット材へ向けてイオンビームを照射することで、可視光応答性のある酸化物半導体を膜の状態で得ることが可能となる。
このとき、請求項6又は請求項7に記載の複合酸化物半導体薄膜の形成方法において、前記スパッタイオン照射工程では、前記第1ターゲット部と前記第2ターゲット部のうちの少なくともいずれか一方が複数に分割されたターゲット材へ向けてイオンビームを照射すると好適である。
このように、第1ターゲット部と第2ターゲット部のうちの少なくともいずれか一方が複数に分割されているため、第1ターゲット部と第2ターゲット部のうちの少なくともいずれか一方の数を増減させることで、第1ターゲット部と第2ターゲット部の比率を容易に変更することができる。したがって、第1ターゲット部と第2ターゲット部との比率に応じた形状のターゲット材を改めて製造する場合に比べて、第1ターゲット部と第2ターゲット部との比率の変更を低コストで、且つ迅速に行うことが可能になる。
また、請求項5乃至請求項8のうちいずれか1つに記載の複合酸化物半導体膜の形成方法において、前記スパッタイオン照射工程では、前記ターゲット材へ向けてアルゴンを含むイオンビームを照射すると好適である。
また、請求項5乃至請求項8のうちいずれか1つに記載の複合酸化物半導体膜の形成方法において、スパッタイオン照射工程及びアシストイオン照射工程を、前記前記基体の温度を室温〜710℃以下の範囲に保って行うと好適である。
以上のように、本発明の複合酸化物半導体膜によれば、タンタル酸インジウムを構成成分とした薄膜を得ることができる。
また、本発明の複合酸化物半導体膜の形成方法によれば、インジウム含有複合酸化物半導体からなる光触媒の焼成物を得るために従来必要であった温度に比べて低温で、可視光応答性のある膜状のインジウム含有複合酸化物半導体を得ることができ、光触媒薄膜として活用することが可能となる。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する部材,配置等は本発明を限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
図1は、本発明の複合酸化物半導体膜を形成するために用いる成膜装置の概略図である。図2乃至図5は、本発明の複合酸化物半導体膜を形成するために用いるターゲットの各実施形態を説明する斜視図である。図6,図7は、本発明の実施例により得られた複合酸化物半導体膜のX線回折パターンを示すグラフである。
図1は、本発明の複合酸化物半導体膜を形成するために用いる成膜装置の一実施形態を示すものである。図1に示すように、本実施形態では、成膜装置100としてイオンビームスパッタを行うイオンビームスパッタ装置を用いる。
成膜装置100は、真空槽1と、ターゲットホルダ2と、基体ホルダ3と、スパッタイオンビーム源4と、アシストイオンビーム源5と、を備えている。
真空槽1は、公知のスパッタ装置で通常用いられるようなステンレススチール製の略直方体形状を備える中空体であり、アースされている。真空槽1の内部の空間は、スパッタによる成膜を行う空間である膜形成室1Aとなっている。真空槽1には排気用の排気口が設けられ、該排気口を介して真空ポンプが接続されている。真空ポンプ6を作動させることで、膜形成室1Aを真空状態にすることができる。本実施形態では、真空ポンプ6と真空槽1との間には制御バルブ6aが設けられ、この制御バルブ6aの開閉によって膜形成室1Aの圧力調整を行う。
ターゲットホルダ2は、ターゲット10を保持するものであり、真空槽1の内部に設けられている。ターゲットホルダ2は、真空槽1の外壁に支えられた支持棒(図示せず)によって支持され、真空槽1を介してアースされている。ターゲットホルダ2には、ターゲット10が固着具、例えばボルトで固定されている。ターゲット10は、後述のスパッタイオンビーム源4,基板20に面した状態でターゲットホルダ2に固定されている。ターゲット10の構成については後述する。本実施形態では、後述のスパッタイオンビーム源4を用いて、このターゲット10に対してイオンビームスパッタを行う。
基体ホルダ3は、ターゲットホルダ2に設けられるターゲット10に面した状態で、膜形成室1Aに配置されている。基体ホルダ3は、本発明の基体に相当する基板20を保持するものである。基体ホルダ3は、真空槽1の外壁に支持され、真空槽1を介してアースされている。基体ホルダ3には、ヒーター(図示せず)が設けられている。このヒーターで基板20を加熱可能な構成となっている。本実施形態では、ヒーターへ供給する電流値を制御することで、基板20の温度を調整可能にしている。
基板20は、ボルトや固定フランジ、板バネ等の固定具を用いて基体ホルダ3に保持される。このとき、基板20は、ターゲット10,後述のアシストイオンビーム源5に面した状態で固定されている。基板20の材料としては、酸化マグネシウム(MgO)やケイ素(Si)、又はガラス等種々の材質のものを用いることができる。酸化マグネシウム(MgO)からなる基板20を用いると、タンタル酸インジウムを構成成分とした複合酸化物半導体薄膜がエピタキシャル成長し易いため、本実施形態では、酸化マグネシウム(MgO)からなる基板20を用いている。なお、本実施形態では、基体として板状の基板20を用いているが、他の形状であってもよい。
スパッタイオンビーム源4は、公知のものと同様に、プラズマを発生させるプラズマ発生手段と、発生させたプラズマからイオンをスパッタイオンビーム源4の外へ引き出す引き出し電極を備えている。また、スパッタイオンビーム源4には、配管を介してスパッタガスボンベ4aが接続されている。スパッタガスボンベ4aには、スパッタガスが収容されている。スパッタイオンビーム源4としては、例えば、株式会社シンクロン社製KIS−50を用いればよい。
スパッタガスとしては、ヘリウム(He)やネオン(Ne)やアルゴン(Ar)やクリプトン(Kr)やキセノン(Xe)等が収容される。スパッタガスは、配管を介してスパッタガスボンベ4aからスパッタイオンビーム源4へ供給され、スパッタイオンビーム源4のプラズマ発生手段でプラズマ化される。スパッタイオンビーム源4は、引き出し電極で発生させた電界によってスパッタガスのプラズマからイオンを引き出し、加速させて、スパッタガスのイオンの流れであるイオンビームを生成する。スパッタイオンビーム源4は、このイオンビームをターゲット10へ照射する向きで、真空槽1の外壁に挿嵌されている。
本実施形態では、スパッタ率を大きくするため等の理由から、スパッタガスボンベ4aにアルゴン(Ar)を収容し、スパッタイオンビーム源4からターゲット10へ向けてアルゴンイオンを照射している。
アシストイオンビーム源5は、公知のものと同様に、プラズマを発生させるプラズマ発生手段と、発生させたプラズマからイオンをアシストイオンビーム源5の外へ引き出す引き出し電極を備えている。また、アシストイオンビーム源5には、配管を介してアシストガスボンベ5aが接続されている。アシストガスボンベ5aには、アシストガスが収容される。アシストイオンビーム源5としては、例えば、株式会社シンクロン社製KIS−50を用いればよい。
アシストガスとしては、酸素(O)や、酸素(O)とアルゴン(Ar)の混合ガス等を用いることができる。アシストガスとして酸素(O)とアルゴン(Ar)の混合ガスを用いる場合には、アシストガスボンベ5aを複数設けて、酸素(O)とアルゴン(Ar)を別々のアシストガスボンベ5aに収容するようにするとよい。アシストガスは、配管を介してアシストガスボンベ5aからアシストイオンビーム源5へ供給され、アシストイオンビーム源5のプラズマ発生手段でプラズマ化される。アシストイオンビーム源5は、引き出し電極で発生させた電界によってアシストガスのプラズマからアシストガスのイオンを引き出し、加速させて、アシストガスのイオンの流れであるイオンビームを生成する。アシストイオンビーム源5は、このイオンビームを基板20へ照射する向きで、真空槽1の外壁に挿嵌されている。
本実施形態では、このようにアシストガスボンベ5aに酸素ガスからなるアシストガス、又は酸素(O)ガス及びアルゴン(Ar)ガスからなるアシストガスが収容され、アシストイオンビーム源5から基板20へ向けて、酸素イオンを含むイオンビームを照射する。これにより、基板20表面に堆積している飛散物質の酸化・結晶成長が促進される。
なお、真空槽1には、シャッター7,8,9が軸支されている。シャッター7は、スパッタイオンビーム源4とターゲット10の間に位置する閉状態と、スパッタイオンビーム源4とターゲット10の間から退避した開状態との間で回動する。シャッター8は、アシストイオンビーム源5と基板20の間に位置する閉状態と、アシストイオンビーム源5と基板20の間から退避した開状態との間で回動する。シャッター9は、ターゲット10と基板20の間に位置する閉状態と、ターゲット10と基板20の間から退避した開状態との間で回動する。
ターゲット10の構成について説明する。図2は、本実施形態のターゲット10を説明する斜視図である。本実施形態のターゲット10は、ターゲット材11とバッキングプレート12とで構成されている。図2に示すように、本実施形態のターゲット材11は、ターゲット片11aと、ターゲット片11bとを備えて構成されている。ターゲット片11bは、複数片に分割されていている。図2に示した例では、ターゲット片11bは、ターゲット片11b,11b,11b,11b,11b,11bで構成されている。なお、ターゲット片11aは、本発明の第1ターゲット部に相当し、ターゲット片11bは本発明の第2ターゲット部に相当する。
ターゲット片11aの形状は特に限定されるものではないが、本実施形態のターゲット片11aの形状は円板形である。ターゲット片11aの形状は円板形に限らず、直方体状であってもよいし、その他の形状であってもよい。ターゲット片11aは、タンタル(Ta)で形成されている。ターゲット片11b〜11bの形状は、それぞれ短冊板状をしている。ターゲット片11b〜11bは、インジウム(In)で形成されている。ターゲット片11a,11bの製法は特に限定されるものではなく、鋳造・圧延、切断加工、熱処理、粉末冶金等で製造される。
バッキングプレート12は、円板状に形成された銅製の部材である。
本実施形態では、スパッタイオンビーム源4からターゲット材11をみたときのターゲット片11aとターゲット片11bの投影面積比、言い換えると、スパッタイオンビーム源4からターゲット材11へ向けたイオンビームの照射方向における投影面積比が、2:1〜3:1となるように(すなわち、タンタル(Ta)とインジウム(In)の比が、2:1〜3:1となるように)、ターゲット片11aとターゲット片11bの形状が設定されている。
ターゲット片11aは、インジウム(In)やインジウム系合金のボンディング材を用いてバッキングプレート12にボンディングされている。ターゲット片11b〜11bは、ターゲット片11aの表面に取着されている。本実施形態では、ターゲット片11b〜11bをターゲット片11aに押し付けることで、ターゲット片11b〜11bをターゲット片11aの表面に取着している。なお、ターゲット片11b〜11bがずれたり、ターゲット材11から脱落したりしないように、ターゲット片11b〜11bの端を屈曲させて、ターゲット片11b〜11bがターゲット片11aの表面から側面,バッキングプレート12の裏面にかけて巻き込むようにして固定すると好適である。本実施形態では、このようにターゲット片11b〜11bを、ターゲット片11aに押し付け、屈曲させることでターゲット片11aに取着しているが、インジウム(In)やインジウム系合金をボンディング材として用いて、ターゲット片11aとターゲット片11b〜11bをボンディングすることもできる。
また、本実施形態では、バッキングプレート12がアースされる。このため、バッキングプレート12とボンディングされているタンタル(Ta)からなるターゲット片11aや、インジウム(In)からなるターゲット片11b〜11bもアースされる。したがって、本実施形態では、帯電しやすい酸化物からなるターゲットを用いて成膜する場合等と異なり、成膜する際にターゲット材11が帯電することによる異常放電の発生を抑制することができ、異常放電を抑制して安定した成膜を行うことができる。
図2の実施形態では、ターゲット片11b〜11bが、短冊板状をしたターゲット片11b〜11bの長手方向が並行になった状態で、ターゲット片11aの直径方向の中央付近にまとまって配置されている例を示した。ターゲット片11b〜11bの配置は、図2に例示した配置に限らず、スパッタイオンビーム源4からターゲット材11をみたときのターゲット片11aとターゲット片11bの投影面積比が、2:1〜3:1となるように(すなわち、タンタル(Ta)とインジウム(In)の比が、2:1〜3:1となるように)配置されていれば、他の配置とすることができる。ただし、いずれの配置にする場合でも、できるだけスパッタされるタンタル(Ta)とインジウム(In)の分布に斑が生じないように配置すると好適である。
図2に例示した以外のターゲット片11aとターゲット片11bの配置は、種々考えられる。例えば、ターゲット片11b〜11bのそれぞれの長手方向が並行になるように、間隔をあけて縞状に配置することもできる。また、ターゲット片11aとターゲット片11bの配置としては、図3乃至図5に例示した実施形態の構成とすることもできる。図3乃至図5に例示した実施形態の場合も、スパッタイオンビーム源4からターゲット材11をみたときのターゲット片11aとターゲット片11bの投影面積比が、2:1〜3:1となるように(すなわち、タンタル(Ta)とインジウム(In)の比が、2:1〜3:1となるように)、ターゲット片11aとターゲット片11bの形状が設定される。
図3に示した例では、ターゲット片11bはターゲット片11b11〜11b16に分割されている。図3では、短冊板状をしたターゲット片11b11〜11b16の長手方向が、円板状をしたターゲット片11aの周縁から中心へ向くように配置されている。図3に例示した場合にも、ターゲット片11b〜11bを、ターゲット片11aに押し付け、屈曲させることでターゲット片11aに取着することもできるし、ボンディング材を用いて、ターゲット片11aとターゲット片11b〜11bをボンディングすることもできる。
図4に示した例では、ターゲット片11bが複数の小片に分割されている。そして、ターゲット片11aの表面に、分割されたターゲット片11bの小片を格子状に配置している。図4に示す例では、ボンディング材を用いて、ターゲット片11aとターゲット片11bをボンディングしている。
図5(a)はターゲット10の分解斜視図、図5(b)はターゲット10を組付けた状態を示す斜視図である。図5に示した例では、ターゲット片11aとターゲット片11bが、ともにバッキングプレート12にボンディングされている。図5に示した例では、ターゲット片11aは扇板状のターゲット片11a,11a,と、棒状(または短冊板状)のターゲット片11a,11aに分割されている。ターゲット片11bは、棒状(または短冊板状)のターゲット片11b21,11b22,11b23に分割されている。
図2乃至図5いずれの実施形態においても、ターゲット片11bが複数に分割されているため、ターゲット片11bの分割片の一部を取り外したり、分割片を足したり、分割片の大きさを変更したりすることができ、これにより、スパッタイオンビーム源4からターゲット材11をみたときのターゲット片11aとターゲット片11bの投影面積比を調整することができる。特に、図2や図3の実施形態のように、短冊板状のターゲット片11b〜11bを用いれば、ターゲット片11b〜11bの長さを変えるだけで容易に所望の投影面積をもつターゲット片11bを準備できる。また、図4実施形態のように、分割されたターゲット片11bの小片を格子状に配置すれば、小片の数を増減することで、容易に所望の投影面積をもつターゲット片11bを準備できる。
このように、ターゲット片11aとターゲット片11bの投影面積比を調整することで、スパッタされるタンタル(Ta)とインジウム(In)の量の調整を簡便かつ迅速に行うことができるため、所望の構造・組成の複合酸化物半導体薄膜の形成するための、最適なタンタル(Ta)とインジウム(In)の量の比を迅速に決定することができる。特に、ターゲット片11aとターゲット片11bの投影面積比を変更するたびに、新たな材料組成を有するターゲット材を製造又は購入する必要がないため経済的である。
上述の図2乃至図5を用いて説明した実施の形態では、ターゲット材11がターゲット片11aとターゲット片11bとを備えて構成され、ターゲット片11bの分割片の数を増減させたり、分割片の大きさを変更したりして、ターゲット片11aとターゲット片11bの投影面積比を調整可能にして、スパッタされるタンタル(Ta)とインジウム(In)の量の調整を簡便かつ迅速に行うことができるようにしていた。しかし、タンタル(Ta)とインジウム(In)の量の調整を行う必要がない場合等には、タンタル(Ta)とインジウム(In)が所定の割合で混合されて形成されたターゲット材11を用いることもできる。例えば、粉末状のタンタル(Ta)及びインジウム(In)を2:1〜3:1の体積比で混合して、高圧で押し固めて形成したターゲット材11や、これを焼結させたターゲット材11を用いることもできる。
また、タンタル(Ta)の酸化物及びインジウム(In)の酸化物からなるターゲット材11を用いることもできる。例えば、タンタル(Ta)の酸化物粉末とインジウム(In)の酸化物粉末を混合して、高圧で押し固めて形成したターゲット材11や、これを焼結させたターゲット材11を用いることもできる。また、例えば、タンタル(Ta)の酸化物の板とインジウム(In)の酸化物の板を組み合わせたターゲット材11を用いることもできる。
成膜装置100には、上述の構成の他にも、基板20に形成されている膜の膜厚を測定するために、膜厚測定手段(図示せず)が設けられている。本実施形態では、基体ホルダ3に膜厚測定手段として水晶振動子モニタを設置している。水晶振動子モニタの共振周波数変化を測定することで、成膜中に膜厚のモニタリングを行っている。膜厚測定手段として、投光部と受光部を備えたものを用いることもできる。この場合には、投光部から発した光を基板20に形成された薄膜に照射し、その反射光を受光部で受光し、光学的に膜厚のモニタリングを行う。
以上に説明した成膜装置100を用いて、基板20表面にタンタル酸インジウムを構成成分とした複合酸化物半導体薄膜を形成する方法を説明する。
先ず、基体ホルダ3に、基板20を保持させる。また、ターゲットホルダ2に、ターゲット10を取り付ける。
次に、真空槽1の内部を、膜形成室1Aの全圧が約1×10−4Pa以下になるように真空ポンプ6で減圧する。また、基板20の温度が室温〜約700℃になるように、基体ホルダ3のヒーター(図示せず)を制御する。
続いて、シャッター7を開状態にして、スパッタイオンビーム源4にスパッタガスボンベ4aからスパッタガスを供給し、スパッタイオンビーム源4を作動させて、プリスパッタリングを行う。すなわち、シャッター7を開状態にして、シャッター8,9を閉状態にして、ターゲット10に対するプリスパッタリングを行い、ターゲット10の表面の浄化・安定化を行う。このプリスパッタリングの最中又は前又は後に、基板20の温度を一旦約700℃にして、基板20の浄化(ガス出し)も行う。なお、プリスパッタの最中は、アシストイオンビーム源5は作動させていない。
続いて、シャッター8を開状態にして、アシストイオンビーム源5にアシストガスボンベ5aからアシストガスを供給し、アシストイオンビーム源5を作動させる。
続いて、膜形成室1Aの圧力及びスパッタイオンビーム源4,アシストイオンビーム源5が安定状態になったら、シャッター9も開状態にして、スパッタイオンビーム源4及びアシストイオンビーム源5を同時に作動させた状態でイオンビームスパッタを行う。なお、スパッタイオンビーム源4及びアシストイオンビーム源5を間欠的に作動させたり、シャッター7,8の開閉を制御したりすることで、スパッタイオンビーム源4やアシストイオンビーム源5からのイオンビームの照射を間欠的に行ったり、必要なタイミングだけ行ったりすることもできる。
スパッタイオンビーム源4から照射されたイオンがターゲット10の表面に照射されることで、高いエネルギーを持つイオンがターゲットに衝突し、スパッタを引き起こす。スパッタによりターゲット10から生じた原子や粒子など飛散物質は、あらゆる方向に飛散して、その一部が基板20に堆積する。そして、基板20表面に堆積している飛散物質は、アシストイオンビーム源5から照射されたイオンビームで叩かれ、緻密化するとともに、イオンビームに含まれる酸素イオンと反応し、酸化・結晶成長が促進され、成膜が行われる。成膜の最中は、基板20の温度を、室温〜約700℃に保持する。
成膜中は、膜厚測定手段によって、形成された膜の膜厚をモニタする。そして、基板20に50nm〜1000nm程度の膜厚の膜が形成されたところで、シャッター7,8,9を閉状態にし、スパッタイオンビーム源4,アシストイオンビーム源5の作動を終了させ、基板20及び形成された薄膜の冷却を行い、成膜を終了する。
以上のように、ターゲット10に対するスパッタイオンビーム源4からのスパッタガスイオンの照射と、基板20に対するアシストイオンビーム源5からのアシストガスイオンの照射によって、基板20の表面にタンタル酸インジウムを構成成分とした複合酸化物半導体薄膜を形成することができる。
次に、以上説明した成膜装置100を用いて、基板20表面にタンタル酸インジウムを構成成分とした複合酸化物半導体薄膜を形成した実験例を説明する。
基体ホルダ3には、酸化マグネシウム(MgO)からなる基板20を取り付けた。ターゲットホルダ2に、図2に示したターゲット10を取り付けた。タンタル(Ta)からなるターゲット片11aとして、直径150mm,厚さ5mmのものを用いた。インジウム(In)からなるターゲット片11b〜11bとして、巾10mm,厚さ1mm,長さ75mm〜150mmのものを用いた。そして、スパッタイオンビーム源4からターゲット材11をみたときのターゲット片11aとターゲット片11bの投影面積比が約3:1となるように、ターゲット片11aとターゲット片11bを配置した。
本実験例では、ターゲット片11b〜11bは、ターゲット片11aの表面に取着した。すなわち、ターゲット片11b〜11bをターゲット片11aに押し付けるとともに、ターゲット片11b〜11bの端を屈曲させて、ターゲット片11b〜11bをターゲット片11aの表面から側面,バッキングプレート12の裏面にかけて巻き込ませた。また、ターゲット片11b〜11bをバッキングプレート12の裏面でクリップ止めした。バッキングプレート12とターゲット片11aとは、インジウム(In)のボンディング材を用いてボンディングした。
次に、膜形成室1Aの全圧が約1×10−4Pa以下になるように、真空ポンプ6で減圧した。
続いて、シャッター7を開状態にして、スパッタイオンビーム源4にスパッタガスボンベ4aからスパッタガスを供給し、スパッタイオンビーム源4を作動させて、プリスパッタリングを行う。そして、基板20の温度を一旦約700℃にして30分程度保持した後、基板20の温度を約400℃に保った。
続いて、シャッター8を開状態にして、アシストイオンビーム源5にアシストガスボンベ5aからアシストガスとして酸素(O)を供給し、アシストイオンビーム源5を作動させる。
そして、膜形成室1Aの圧力及びスパッタイオンビーム源4,アシストイオンビーム源5が安定状態になったら、シャッター9も開状態にして、スパッタイオンビーム源4及びアシストイオンビーム源5を同時に作動させた状態でイオンビームスパッタを行うことで成膜を行った。
本実験例では、スパッタイオンビーム源4,アシストイオンビーム源5として、株式会社シンクロン社製KIS−50を使用した。スパッタイオンビーム源4へは、3cm/minでアルゴンガスを供給するとともに、加速電圧を1.2kV,加速電流を15mAとした。アシストイオンビーム源5へは、7cm/minで酸素ガスを供給するとともに、加速電圧を0.2kV,加速電流を10mAとした。
成膜中は、膜形成室1Aの圧力は、アルゴンの分圧が約3.0×10−5Torr(4.0×10−3Pa)、酸素の分圧が約3.3×10−5Torr(4.4×10−3Pa)、全圧が約6.3×10−5Torr(8.4×10−3Pa)であった。また、成膜中は、基板20の温度を400℃±10℃に保った。
また、成膜中は、膜厚測定手段(水晶振動子モニタ)によって、形成された膜の膜厚をモニタした。そして、基板20に50nm(又は100nm)程度の膜厚の膜が形成されたところで、シャッター7,8,9を閉状態にし、スパッタイオンビーム源4,アシストイオンビーム源5の作動を終了させて成膜を終了した。
図6,7に、本実験例で形成した複合酸化物半導体膜のX線回折パターンを示す。
図6には、本実験例の結果とともに、成膜前の基板20のX線回折パターンも示している。図6中(a)で指し示した上段のチャートが本実験例の結果であり、基板20表面に形成されている膜のX線回折パターンを示す。図6中(b)で指し示した下段のチャートは、比較のために示した基板20のX線回折パターンである。
図6中に示したように、JCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards)のファイルを用いた同定の結果、図6中(a)のチャートにタンタル酸インジウムのピークが確認された。図6の結果から明らかなように、本実験例により基板20表面に作成した膜はタンタル酸インジウムを構成成分とした膜であることがわかる。
図7には、本実験例の結果とともに、アシストイオンビーム源5を作動させることなく成膜した膜のX線回折パターンも示している。図7中(a)で指し示した上段のチャートは、本実験例の結果であり、図7中(a)のチャートと同じである。図7中(b)で指し示した下段のチャートが、比較例として、アシストイオンビーム源5を作動させることなく成膜した膜のX線回折パターンも示している。なお、比較例では、スパッタイオンビーム源4を本実験例と同条件で作動させ、アシストイオンビーム源5は作動させずに成膜している。
図7中に示したように、JCPDSファイルを用いた同定の結果、図7中(a)のチャートにタンタル酸インジウムのピークが確認された。一方で、JCPDSのファイルを用いた同定の結果、図7中(b)のチャートには酸化インジウムのピークが確認されたものの、タンタル酸インジウムのピークは確認できなかった。図7の結果から明らかなように、本実験例で行ったように、アシストイオンビーム源5を用いて酸素イオンを基板20に向けて照射しながら成膜することで、基板20表面にタンタル酸インジウムを構成成分とした膜を形成可能であることがわかる。
上記の実験例1の他に、成膜装置100を用いて、基板20表面にタンタル酸インジウムを構成成分とした複合酸化物半導体薄膜を形成した他の実験例を説明する。
上記の実験例1と、本実験例が異なる点は、上記の実験例1では、スパッタイオンビーム源4からターゲット材11をみたときのタンタル(Ta)からなるターゲット片11aと、インジウム(In)からなるターゲット片11bの投影面積比が約3:1となるように、ターゲット片11aとターゲット片11bを配置していた。これに対して、本実験例2では、スパッタイオンビーム源4からターゲット材11をみたときのタンタル(Ta)からなるターゲット片11aと、インジウム(In)からなるターゲット片11bの投影面積比が約2:1となるように、ターゲット片11aとターゲット片11bを配置した点である。他の条件・方法は、上記の実験例1と同様である。
図8に、本実験例2で形成した複合酸化物半導体膜のX線回折パターンを示す。図8には、本実験例2の結果とともに、上記の実験例1の結果と、成膜前の基板20のX線回折パターンも示している。図8中(a)で指し示した上段のチャートが上記実験例1の結果であり、図8中(b)で指し示した中段のチャートが本実験例2の結果であり、図8中(c)で指し示した下段のチャートが比較のために示した基板20のX線回折パターンである。
図8中に示したように、JCPDSのファイルを用いた同定の結果、本実験例2の結果を示す図8中(b)のチャートに、タンタル酸インジウムのピークが確認された。図8の結果から明らかなように、本実験例2により基板20表面に作成した膜はタンタル酸インジウムを構成成分とした膜であることがわかる。
上記の実験例2の他に、成膜装置100を用いて、基板20表面にタンタル酸インジウムを構成成分とした複合酸化物半導体薄膜を形成した他の実験例を説明する。
上記の実験例2と、本実験例3が異なる点は、上記の実験例2では、成膜中は、基板20の温度を400℃±10℃に保ったが、本実験例3では、成膜中は、基板20の温度を300℃±10℃、又は700℃±10℃に保った点である。他の条件・方法は、上記の実験例2と同様である。
図9に、本実験例3で形成した複合酸化物半導体膜のX線回折パターンを示す。図9には、本実験例3の結果とともに、上記の実験例2の結果も示している。図9中(a)で指し示した上段のチャートが、成膜中に基板20の温度を700℃±10℃に保った場合の本実験例3の結果である。図9中(c)で指し示した下段のチャートが、成膜中に基板20の温度を300℃±10℃に保った場合の本実験例3の結果である。図9中(b)で指し示した中段のチャートが上記実験例2の結果である。
図9中に示したように、JCPDSのファイルを用いた同定の結果、本実験例3の結果を示す図9中(a),(b)のチャートに、タンタル酸インジウムのピークが確認された。図9の結果から明らかなように、本実験例3により基板20表面に作成した膜はタンタル酸インジウムを構成成分とした膜であることがわかる。
以上に説明した実施の形態から把握できる、特許請求の範囲に記載した以外の発明として、例えば、次の(1),(2)に示す薄膜形成方法が考えられる。
(1) 請求項6又は請求項7に記載の前記スパッタイオン照射工程において、前記第2ターゲット部が前記第1ターゲット部に着脱可能に取着されたターゲット材へ向けてイオンビームを照射することを特徴とする複合酸化物半導体膜の形成方法。
このように、スパッタイオン照射工程において、第2ターゲット部が第1ターゲット部に着脱可能に取着されたターゲット材を用いることで、第2ターゲット部を第1ターゲット部から取り外して、異なる大きさの第2ターゲット部を取り付け直すことを容易に行うことが可能になる。したがって、第1ターゲット部と第2ターゲット部との比率に応じた形状のターゲット材を改めて製造する場合に比べて、第1ターゲット部と第2ターゲット部との比率の変更を低コストで、且つ迅速に行うことが可能になる。
(2) 請求項6又は請求項7に記載の前記スパッタイオン照射工程において、複数に分割された前記第2ターゲット部が前記第1ターゲット部に着脱可能に取着されたターゲット材へ向けてイオンビームを照射することを特徴とする複合酸化物半導体膜の形成方法。
このように、スパッタイオン照射工程において、複数に分割された前記第2ターゲット部が前記第1ターゲット部に着脱可能に取着されたターゲット材を用いることで、第1ターゲット部に取着する第2ターゲット部の数の変更を容易に行うことが可能になる。したがって、第1ターゲット部と第2ターゲット部との比率に応じた形状のターゲット材を改めて製造する場合に比べて、第1ターゲット部と第2ターゲット部との比率の変更を低コストで、且つ迅速に行うことが可能になる。
複合酸化物半導体膜を形成するために用いる成膜装置の概略図である。 複合酸化物半導体膜を形成するために用いるターゲットの斜視図である。 複合酸化物半導体膜を形成するために用いる他の実施形態に係るターゲットの斜視図である。 複合酸化物半導体膜を形成するために用いる、さらに他の実施形態に係るターゲットの斜視図である。 複合酸化物半導体膜を形成するために用いるさらに他の実施形態に係るターゲットの斜視図である。 本発明の実施例1により得られた複合酸化物半導体膜のX線回折パターンを示すグラフである。 本発明の実施例1により得られた複合酸化物半導体膜のX線回折パターンを示すグラフである。 本発明の実施例2により得られた複合酸化物半導体膜のX線回折パターンを示すグラフである。 本発明の実施例3により得られた複合酸化物半導体膜のX線回折パターンを示すグラフである。
符号の説明
1・・・真空槽
1A・・・膜形成室
2・・・ターゲットホルダ
3・・・基体ホルダ
4・・・スパッタイオンビーム源
4a・・・スパッタガスボンベ
5・・・アシストイオンビーム源
5a・・・アシストガスボンベ
6・・・真空ポンプ
7,8,9・・・シャッター
10・・・ターゲット
11・・・ターゲット材
11a,11b・・・ターゲット片
11a,11a,11a,11a・・・ターゲット片
11b,11b,11b,11b,11b,11b・・・ターゲット片
11b,11b12,11b13,11b14,11b15,11b16・・・ターゲット片
11b21,11b22,11b23・・・ターゲット片
12・・・バッキングプレート
20・・・基板
100・・・成膜装置

Claims (10)

  1. 基体に形成される薄膜であって、タンタル酸インジウムを構成成分としたことを特徴とする複合酸化物半導体膜。
  2. 基体に形成される薄膜であって、前記基体の表面に厚さ50nm以上1000nm以下で形成され、タンタル酸インジウムを構成成分としたことを特徴とする複合酸化物半導体膜。
  3. 基体に形成される薄膜であって、前記基体の表面に厚さ50nm以上100nm以下で形成され、タンタル酸インジウムを構成成分としたことを特徴とする複合酸化物半導体膜。
  4. 前記基体は酸化マグネシウム、ケイ素、ガラスのうちのいずれか1つからなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1つに記載の複合酸化物半導体膜。
  5. 基体に複合酸化物半導体膜を形成する膜形成方法において、
    タンタル及びインジウムからなるターゲット材、またはタンタルの酸化物及びインジウムの酸化物からなるターゲット材へ向けてイオンビームを照射するスパッタイオン照射工程と、前記基体に向けて少なくとも酸素イオンを含むイオンビームを照射するアシストイオン照射工程とを併用することで、前記基体にタンタル酸インジウムを構成成分とする複合酸化物半導体膜を形成することを特徴とする複合酸化物半導体膜の形成方法。
  6. 基体に複合酸化物半導体膜を形成する膜形成方法において、
    タンタルからなる第1ターゲット部及びインジウムからなる第2ターゲット部を備えたターゲット材へ向けてイオンビームを照射するスパッタイオン照射工程と、前記基体に向けて少なくとも酸素イオンを含むイオンビームを照射するアシストイオン照射工程とを併用することで、前記基体にタンタル酸インジウムを構成成分とする複合酸化物半導体膜を形成することを特徴とする複合酸化物半導体膜の形成方法。
  7. 前記スパッタイオン照射工程では、前記ターゲットへ向けたイオンビームの照射方向における前記第1ターゲット部と前記第2ターゲット部の投影面積比が2:1ないし3:1の範囲にあるターゲット材へ向けてイオンビームを照射することを特徴とする請求項6に記載の複合酸化物半導体膜の形成方法。
  8. 前記スパッタイオン照射工程では、前記第1ターゲット部と前記第2ターゲット部のうちの少なくともいずれか一方が複数に分割されたターゲット材へ向けてイオンビームを照射することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の複合酸化物半導体膜の形成方法。
  9. 前記スパッタイオン照射工程では、前記ターゲット材へ向けてアルゴンを含むイオンビームを照射することを特徴とする請求項5乃至請求項8のうちいずれか1つに記載の複合酸化物半導体膜の形成方法。
  10. 前記スパッタイオン照射工程及び前記アシストイオン照射工程を、前記基体の温度を室温〜710℃以下の範囲に保って行うことを特徴とする請求項5乃至8のうちいずれか1つに記載の複合酸化物半導体膜の形成方法。
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