JP2005331858A - 光学ユニット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アッベ数が50〜60のプラスチック製のレンズを少なくとも1つと、
所定の構造単位(A)および/または(B)で示されるペンタシクロペンタデカンジメタノール、あるいはさらに所定の構造単位(C)で示されるジオールと、炭酸エステルとを、触媒として、亜鉛化合物、スズ化合物、鉛化合物、ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物の中から選ばれた少なくとも一種を用いて溶融重縮合してなるポリカーボネート製のレンズを少なくとも1つ有することにより、前記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
例えば、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、小型のデジタルカメラなどに搭載される小型撮像モジュールでは、コントラスト20%における解像度が150本/mm以上さらには200本/mm程度以上の解像度が要求される。
また、光学ユニットを搭載する携帯電話等の小型軽量化およびコストダウンのためには、プラスチックレンズを用いるのが好ましい。
脂環式ポリオレフィン樹脂は、アッベ数が50〜60程度であるため、例えば、アッベ数がこれよりも低い(例えば30程度)ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂製のレンズと組み合わせて色収差を補正する光学設計を行うことが考えられる。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は固有複屈折が0.106と大きく(非特許文献1参照)、前述のような高解像度の光学ユニットには用いることができない。
井手文雄、「ここまできた透明樹脂」、工業調査会、p.29、2001年。
そのため、150本/mm以上のような高い解像度が要求される光学ユニットでは、コストが高くなり、かつ、重さ等の点で不利であることが分かっていても、ガラス製のレンズを使用せざるを得ないのが現状である。
前記第1のレンズは、下記式(A)および下記式(B)で示されるペンタシクロペンタデカンジメタノールの少なくとも一方、あるいはさらに下記一般式(C)で示されるジオールと、炭酸エステルとを、触媒として、亜鉛化合物、スズ化合物、鉛化合物、ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物の中から選ばれた少なくとも一種を用いて溶融重縮合してなるポリカーボネート製のレンズであり、前記第2のレンズは、アッベ数が50〜60のプラスチック製のレンズであることを特徴とする光学ユニットを提供する。
また、本発明の光学ユニットにおいて、前記第2のレンズとなるアッベ数が50〜60のプラスチックが、脂環式ポリオレフィン樹脂であるのが好ましく、また、前記光学ユニットを構成する各レンズの少なくとも2つは、光学的な作用を有するレンズ部の周囲にフランジ部を有し、かつ、このフランジ部は、少なくとも1つの他のレンズのフランジ部と互いに嵌合可能であり、さらに、前記フランジ部を嵌合されるレンズ同士は、互いのフランジ部の嵌合により、互いの光軸を一致する形状を有するのが好ましく、さらに、前記フランジ部を嵌合されるレンズ同士は、前記フランジ部を含む互いの光軸方向の当接により、互いの光軸方向の間隔を適正に決定されるのが好ましい。
また、本発明の光学ユニットにおいて、少なくとも前記第1のレンズは、その表面全面に防湿皮膜を有するのが好ましく、また、前記防湿皮膜は、スパッタリングによって形成されたSi−O系膜、もしくは、塩化ビニリデンを有する膜であるのが好ましい。
しかも、第1のレンズとなるポリカーボネートは、このような優れた光学特性を有する上に、光弾性係数が低く、かつ、成形性や流動性にも優れるので、高い設計自由度でレンズを作成することができ、例えば、前述のようなフランジ部による位置決めを行うレンズも、好適に成形できる。その上、第1のレンズとなるポリカーボネートは、耐熱性および耐衝撃性も高く、透明性や色調も良好であるので、高品位な光学ユニットを実現できる。
この光学ユニット10は、鏡筒12に、レンズ14およびレンズ16を組み込み、レンズ押さえ18で固定してなるものである。また、レンズ14およびレンズ16の間には、スペーサ20が配置される。
鏡筒12において、最も小径の領域は、その内径がレンズ16の外径よりも若干大きい略同一となっている。また、最も大径の領域は、その内径がレンズ14の外径よりも若干大きい略同一となっている。
レンズ14は、本発明における第1のレンズで、後述するポリカーボネート製のレンズである。また、レンズ16は、本発明における第2のレンズで、アッベ(Abbe)数が50〜60のプラスチック製のレンズである。
スペーサ20は、上下端に両レンズのフランジ部に当接する部分を有する略円筒状の部材で、前述のように鏡筒12内においてレンズ14とレンズ16との間に挿入される。従って、スペーサ20の高さ(光軸方向の長さ)を選択することにより、レンズ14とレンズ16との光軸方向の両者の間隔(光軸方向の位置決め)を適正にできる。
また、鏡筒12、レンズ14およびレンズ16、スペーサ20は、共に、鏡筒12にレンズを適正に組み込んだ状態で、レンズ14とレンズ16の光軸が一致するように成形される。
この第1のレンズは、下記式(A)および下記式(B)で示されるペンタシクロペンタデカンジメタノールの少なくとも一方と、炭酸ジエステルとを、下記所定の触媒を用いて溶融重縮合してなるポリカーボネートを形成材料とするレンズ; もしくは、下記式(A)および下記式(B)で示されるペンタシクロペンタデカンジメタノールの少なくとも一方ならびに下記一般式(C)で示されるジオールと、炭酸エステルとを、下記所定の触媒を用いて溶融重縮合してなるポリカーボネートを形成材料とするレンズ; である。
また、使用する全てのPCPDMやジオールは可能な限り高純度のものが好ましい。
炭酸ジエステルは、前記PCPDM(式(A)および/または式(B))および一般式(C)で示されるジオールの総計1モルに対して0.97〜1.10モルの比率で用いられることが好ましく、特に、0.99〜1.04モルの比率で用いるのが好ましい。
これらの化合物の形態としては、酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸塩、アセチルアセトナート、フェノキシド、アルコキシドおよび水素化物等が例示され、単独もしくは複数の化合物の組み合わせとして用いられる。
中でも、特に好ましい触媒としては、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナート、酢酸第一スズ、塩化第二スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズラウレート、ジブチルスズジメトキシド、酢酸第一鉛、オキシ酢酸ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、塩化ジルコニウム、ジルコニウムフェノキシド、ジルコニウムブトキシド及びハフニウムアセチルアセトナートが挙げられる。
すなわち、PCPDM(式(A)および/または式(B))、炭酸ジエステルおよび前記触媒、あるいはさらに式(C)で示されるジオールを、撹拌・混合し、加熱下に常圧または減圧下で副生成物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.3〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めて、ジオールと炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には、1mmHg以下の減圧下、200〜300℃の温度で重縮合反応を行う。合計反応時間は2〜9時間であることが好ましい。
このような反応は、連続式で行っても良く、バッチ式で行っても良い。
その際のポリカーボネートの流動性は、大きすぎても小さすぎても成形性に問題が生じる。例えば、高化式フローテスター(280℃、160kgf/cm2、ノズル径1mm×10mm)測定で、15〜90×10-2ml/secの範囲が好ましい。15×10-2ml/sec未満では、流動性が悪く金型への充填不良やフローマークが生じる場合があり、90×10-2ml/secを超えると金型剥離不良やソリを生じやすい。
具体的には、直径50μm以上のダストが実質上検出されず、直径0.5〜50μmのダストが3×104 以下、無機および有機残留塩素が2ppm以下、残留アルカリ金属が2ppm以下、残存水酸基200ppm以下、残存窒素量5ppm以下、残存モノマー20ppm以下等の基準を可能な限り満たすように精製されるのが好ましい。また、低分子量体除去や溶媒除去のため抽出等の後処理を行ってもよい。
さらにはコスト等の点から、一般的に光学部品の材料として用いられるポリカーボネートと、性能を損なわない範囲で任意に混合して使用することも事も可能である。
このポリカーボネートは、これらの特性により、成形性に優れ、成形不良を生じることがなく、様々な形状のレンズを高い精度で成形することができ、しかも、光弾性係数が低いので、高い設計自由度でレンズを作成することができ、例えば、後述するようなフランジ部による位置決めを行うレンズも、好適に成形できる。しかも、このポリカーボネートは、このような優れた特性を有する上に、耐熱性および耐衝撃性も高く、透明性や色調も良好であるので、高品位な光学ユニットを実現できる。
また、このようなポリカーボネートからなる第1のレンズは、複屈折が低く、例えば、射出成形によって、光学面の半径9mm、中心部の厚さ2.5mmのレンズとした際に、レタデーションが0〜120nm程度となる。同じ形状のレンズを汎用のポリカーボネート(ビスフェノールA型のPC)材料で射出成形した場合のレタデーションが、200〜400nmであることを考えると、本発明における第1のレンズは、複屈折が低いことがわかる。ここで、レタデーションは、偏光板(直交ニコル)に挟んで干渉色を基準サンプルと比較することで求める。
また、第1のレンズの吸水性は、約0.3%以下であり、吸湿による屈折率変化が生じ難く、かつ、寸法安定性にも優れる。
第1のレンズ(光学ユニット10のレンズ14)の形成材料となる前記ポリカーボネートのアッベ数が45〜49程度であるので、第1のレンズを低アッベ数レンズとし、この第2のレンズをいわゆる高アッベ数レンズとして用いることにより、色収差を好適に補正した光学設計を行うことができる。しかも、アッベ数が50〜60のプラスチックとしては、例えば、前述の脂環式ポリオレフィン等、複屈折等の少ない良好な光学特性を有する光学部品の形成材料として好適な材料が知られており、かつ、前述のように、第1のレンズは、複屈折も非常に小さい。従って、本発明によれば、ガラスレンズを用いる必要なく、プラスチックレンズのみで、前述のような高解像度を要求される用途にも好適に対応する、高精度な光学ユニットを実現できる。
このようなプラスチック材料としては、メタクリル樹脂(PMMA)、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、オレフィン・マレイミド交互共重合体、ポリ(1,3−シクロヘキサンジエン)、ポリ(シクロヘキサン)、脂環式ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、高解像度用途の光学ユニットのレンズとして好ましい特性を有することから、脂環式ポリオレフィン樹脂が好ましい。脂環式ポリオレフィン樹脂は、嵩高い脂環式構造から分子骨格が形成されており、PMMAと同様に複屈折が低く、しかも低吸水性および耐熱性という点ではPMMAより優れている。
従って、色収差を補正するために、前記ポリカーボネートからなる第1のレンズと組み合わせて光学ユニットを構成しても、解像度に悪影響を及ぼすことがない。
第2のレンズは、押出成形、射出成形、ブロ−成形、圧縮成形、湿式成形など公知の成形法で成形可能であるが、射出成形が好ましく、射出成形条件は、例えば、ポリマー温度240〜290℃、金型温度100〜130℃、金型内冷却保持時間30秒〜5分が好ましい。
ここで、射出成形で成形されるプラスチック製のレンズには、金型のゲートに相当する位置にゲート跡と呼ばれる形状が存在する。このゲート跡とレンズの光軸との位置関係は、レンズの光学設計および射出成形装置や射出成形条件から特定することができる。従って、第1のレンズと第2のレンズとの2つのゲート跡を指標として、両レンズの光軸合わせができるように、ゲートの位置や形状を設定するのが好ましい。これにより、両レンズのゲート跡を組み合わせの目印として、レンズの光軸合わせを比較的容易に行うことが可能となる。また、ゲートの形状を工夫することで、目印としてのゲート跡を識別し易くすることもできる。
また、3枚以上のレンズを有する場合には、レンズとして第1のレンズおよび第2のレンズのみを用いて光学ユニットを構成してもよく、あるいは、第1のレンズおよび第2のレンズに加え、これとは異なるレンズを有してもよい。さらに、本発明の光学ユニットにおいて、第1のレンズと第2のレンズとは、同数であっても異なる数であってもよい。
すなわち、本発明の光学ユニットは、少なくとも1つの第1のレンズ、および、少なくとも1つの第2のレンズを有するものであれば、それ以外は、各種の数および種類のレンズを組み合わせて構成することができる。なお、本発明においては、第1のレンズと第2のレンズとの間に、他の異なるレンズを有してもよいが、光学設計の点で、第1のレンズと第2のレンズとは、隣接して配置されるのが好ましい。
すなわち、本発明の光学ユニットは、非常に高い形状の自由度でレンズを設計し、高精度に成形することができる。本発明においては、これを利用して、好ましい態様として、前述のように、レンズ部の周辺のフランジ部を有するレンズにおいて、互いのフランジ部を嵌合することによって複数のレンズを組み合わせ、かつ、この嵌合により、光軸を一致(光軸と直交する方向の位置合わせ)するように、各レンズを成形して、レンズユニットを構成するのが好ましい。
図3に示す光学ユニット24は、レンズ26、レンズ28、およびレンズ30の3つのレンズを有するものである。一例として、レンズ26およびレンズ30は本発明における第2のレンズで、レンズ28は本発明における第1のレンズである。なお、本発明においては、第1のレンズおよび第2のレンズ以外のレンズを有してもよいのは、前述のとおりであり、従って、例えば、レンズ26を第2のレンズ、レンズ30を第1のレンズとして、レンズ28を他の異なるレンズとしてもよい。しかしながら、光学設計の点では、第1のレンズと第2のレンズとが隣接して配置されるのが好ましいので、従って、このフランジ同士を嵌合する構成においては、図示例の光学ユニット24のように、第1のレンズと第2のレンズとが互いに嵌合する構成が好ましい。
また、この光学ユニット24は、これらのレンズのみで構成されるのに限定はされず、前記光学ユニット10と同様、鏡筒や鏡筒内にレンズを固定するためのレンズ押さえ等を有してもよいのは、もちろんである。
具体的には、レンズ26はレンズ部26aとフランジ部26bとから、レンズ28はレンズ部28aとフランジ部28bとから、レンズ30はレンズ部30aとフランジ部30bとから、それぞれ構成され、いずれも円形(光軸方向から見た形状)である。
図示例においては、レンズ26のフランジ部26bは、レンズ28のフランジ部28bの上方の内側(光軸側)に嵌合(嵌入)可能であり、レンズ30のフランジ部30bは、レンズ28のフランジ部28bの下方の内側に嵌合可能である。
各レンズは、このようにフランジ部を嵌合して組み立てた状態で、互いの光軸を一致し、図示例においては好ましい態様として、さらに光軸方向の互いの位置関係も適正になる形状を有する。
これにより、レンズ26、28および30を互いのフランジを嵌合して組み合わせるだけで、光軸と直交する方向の位置決定を行って互いの光軸を一致し、好ましくはさらに光軸方向の位置決定も行って、光学ユニット24を形成することができ、さらに、組み合わせ後は、1つのレンズと同様に扱うことができるので、組み合わせ後のレンズ間の偏芯も防止できる。
特に、レンズ26のフランジ部26bとレンズ28のレンズ部28aとの当接面や、レンズ30のフランジ部30bとレンズ28のレンズ部28aとの当接面のように、光軸方向の位置決めを行う面(基準面)には、割り線が存在しないように、各レンズの成形を行うのが好ましい。
これにより、基準面に存在する割り線によるレンズ同士の位置関係の誤差、およびこれに起因する光軸方向の位置ズレやレンズ間偏芯を防止し、より高精度な組レンズの結像レンズを作製することが可能となる。
その際には、基準面に連続する角部を曲面(いわゆるRを付ける)として、この位置に割り面を形成する手段、基準面に連続する角部を切欠いた形状として、この位置に割り面を形成する手段、等により、割り線を基準面から逃がす方法が好適に利用される。
無機材料で形成される多層膜としては、レンズ側からZrO2層とSiO2層の合計光学的膜厚がλ/4、ZrO2層の光学的膜厚がλ/4、最表層のSiO2層の光学的膜厚がλ/4の、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に成膜する積層構造が例示される。ここで、λは設計波長であり、通常520nmが用いられる。最表層は、屈折率が低く、かつ反射防止膜に機械的強度を付与できることからSiO2とすることが好ましい。
無機材料で反射防止膜を形成する場合、成膜方法は例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法等を採用することができる。
また、汚れ防止膜としては、含フッ素有機重合体のような撥水撥油性材料を使用することができる。
したがって、レンズの吸湿および脱湿を防止するために、レンズ表面に防湿皮膜を形成することが好ましい。防湿皮膜が形成されたレンズを使用することにより、本発明の光学ユニットは、環境変化、より具体的には環境の湿度変化によって、レンズの光学性能が変動することを防止できる。
また、防湿皮膜は、光学ユニットを形成するプラスチックレンズ全てが有するのが好ましいのは、もちろんであるが、前記ポリカーボネートからなる第1のレンズは、第2のレンズとして好適な脂環式ポリオレフィンから形成されるレンズに比べ、吸湿性の点で若干劣る。従って、本発明においては、少なくとも、第1のレンズが防湿皮膜を有するのが好ましい。
防湿皮膜として好適な無機材料の一例として、SiO2 、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti2O3、Al2O3、Ta2O5、CeO2、MgO、Y2O3、SnO2、MgF2、WO3、InとSnの混合酸化物からなる混合物が挙げられる。
これら無機材料で防湿皮膜を形成する場合、できるだけ緻密な構造を有し、かつ目的とする波長の光線の吸収が少ないことが好ましい。このため、上記の無機材料の中でも、SiOからなるガラス質膜であるのが好ましい。
さらに、ゾル−ゲル法などの湿式の成膜法を利用する際における溶液の塗布方法にも、特に限定は無く、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等各種の塗布方法が利用可能であるが、レンズ表面全体に防湿皮膜を成膜できる等の点で、ディップコート(浸漬塗布)が好ましく例示される。
ゾル−ゲル法による場合、防湿皮膜は、例えば、アルコキシシラン化合物を加水分解することにより得られるが、市販品では日本ダクロシャムロック社製のソルガード(SolGard)TM等を用いることができる。
また、塗料を用いる湿式の成膜法において、塗料の塗布方法には、特に限定はなく、スプレー塗布、刷毛による塗布、ディップコートなど、各種の方法が利用可能であるが、レンズ表面全体に防湿皮膜を成膜できる等の点で、ディップコートが好ましく例示される。特に、塗布成膜法により有機材料からなる防湿皮膜を形成する場合、その膜厚は、上述した100〜10000nmであるのがより好ましい。この理由は、上記限定理由がより顕著だからである。
また、一般的に、無機材料からなる防湿皮膜は硬質でピンホールやクラック等が多く、逆に、有機材料からなる防湿皮膜はある程度の弾性を有する。そのため、防湿皮膜として複合膜を用いる場合、下層に無機材料からなる防湿皮膜、上層に有機材料からなる防湿皮膜を設けることにより、無機材料からなる防湿皮膜のピンホール等を有機材料からなる防湿皮膜が好適に埋めて、結果的に欠陥の無い皮膜を形成でき、無機材料からなる防湿皮膜の防湿性能を完全に生かした非常に高い防湿性能を発現できる。しかも、弾性を有する有機材料からなる防湿皮膜が、外部からのストレスに対する耐性や、熱等によるレンズの膨張/収縮に対して無機材料からなる防湿皮膜を保護する保護膜としても作用するので、強度も十分に確保して、長期にわたって良好な耐湿性を発揮できる。
PCPDM52.5g(0.2モル)、ジフェニルカーボネート43.7g(0.204モル)、および酢酸亜鉛2.2×10-4g(1.2×10-6モル)を撹拌機および留出装置付きの300ml四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下760mmHgの下、180℃に加熱し、20分間撹拌した。
その後、減圧度を150mmHgに調整すると同時に60℃/hrの速度で200℃まで昇温を行い、20分間その温度に保持し溶融重縮合を行った。さらに、75℃/hrの速度で225℃まで昇温し、昇温終了の20分後、その温度で保持しながら1時間かけて減圧度を1mmHgとした。その後、60℃/hrの速度で235℃まで昇温し、1mmHg、235℃で40分加熱攪拌を行い、合計3.5時間撹拌下で反応を行った。
反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み常圧に戻し、生成したポリカーボネート樹脂を取り出した。生成したポリカーボネート樹脂はMw=64300、YI=1.79であった。なお、Mwはポリスチレン換算重量平均分子量であり、クロロホルムを展開溶媒としてGPCにより測定した。また、YIとはイエローインデックスであり、直径40mm×厚さ3mmのプレス試験片を成形し、色差計により測定した。
このレンズ14のレタデーションを、レンズを偏光板(直交ニコル)に挟んで、干渉色を基準サンプルと比較することにより求めた。その結果、レンズ14のレターデーションは50〜100nmであった。
PCPDM52.5g(0.2モル)に変えて、PCPDM26.2g(0.1モル)およびトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール19.6g(0.1モル)を使用した以外は、前記第1のレンズPC1と全く同様にしてポリカーボネート樹脂を生成した。生成したポリカーボネート樹脂はMw=61400、YI=1.82であった。
前記第1のレンズPC1と同様にして、アッベ数を測定したところ、このポリカーボネート樹脂のアッベ数は48であった。
さらに、前記PC1と同様にしてレターデーションを測定したところ50〜100nmであった。
ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂(AD−5503(帝人化成株式会社製)、アッベ数30(25℃、カタログ値))を用い、ポリマー温度280℃、金型温度130℃、保持圧力60MPa、冷却保持時間240秒の条件で射出成形を行い、前記PC1と同形状のレンズを作製した。
前記PC1と同様にして、このレンズのレターデーションを測定したところ200〜400nmであった。
ゼオネックス(ZEONEX)TM480R(日本ゼオン株式会社製 アッベ数56.2(25℃、カタログ値)、吸水率0.01%未満)を用い、ポリマー温度280℃、金型温度125℃、保持圧力80MPa、冷却保持時間130秒で射出成形して、図1に示す光学ユニット10のレンズ16(第2のレンズ)を成形した。なお、このレンズ14は、レンズ部(光学面)の半径は6.4mm、同中心厚さ2.9mmとした。
前記PC1と同様にして、このレンズのレターデーションを測定したところ0〜150nmであった。
レンズ14として第1のレンズPC1を、レンズ16として第2のレンズを用いて、図1に示す光学ユニット10を作製した(実施例1)。
また、レンズ14として第1のレンズPC2を、レンズ16として第2のレンズを用いて、図1に示す光学ユニット10を作製した(実施例2)。
さらに、レンズ14として比較レンズを、レンズ16として第2のレンズを用いて、図1に示す光学ユニット10を作製した(比較例)。
図4において、コリメート光源40から出た平行光線は、評価用のチャート42を通過して光学ユニット10に入射する。このチャート42は、複屈折を持たない透明なガラス板に、図5に示すような碁盤目状の線が記入されたものである。
コンピュータ48には、予めコンピュータで作成した、理論上複屈折がゼロの光学ユニット10でチャート42を撮影した際に得られる画像データ(基準データ)が保存されている。コンピュータ48によって、画像演算プログラムを用いて、この基準データと取り込んだ画像データとの差分画像を求め、差分画像の面積および形状から、画質低下を評価した。すなわち、複屈折による画質低下が大きい程、基準データと取り込んだ画像データとの差異が大きく、差分画像の形状が明瞭となり、かつ、大面積となる。
評価は、以下のとおりである。
△; 僅かな差分画像が認められる。すなわち、基準データと取り込んだ画像データとの差異が僅かに認められる。
×; 差分画像がハッキリと認められる。すなわち、基準データと取り込んだ画像データとの差異がハッキリと認められる。
結果を下記表に示す。
12 鏡筒
14,16,26,28,30 レンズ
18 レンズ押さえ
20 スペーサ
40 コリメート光源
42 チャート
44 CDカメラ
46 接続アダプタ
48 コンピュータ
Claims (9)
- 少なくとも第1のレンズと第2のレンズとを備える光学ユニットであって、
前記第1のレンズは、下記式(A)および下記式(B)で示されるペンタシクロペンタデカンジメタノールの少なくとも一方、あるいはさらに下記一般式(C)で示されるジオールと、炭酸エステルとを、触媒として、亜鉛化合物、スズ化合物、鉛化合物、ジルコニウム化合物およびハフニウム化合物の中から選ばれた少なくとも一種を用いて溶融重縮合してなるポリカーボネート製のレンズであり、
前記第2のレンズは、アッベ数が50〜60のプラスチック製のレンズであることを特徴とする光学ユニット。
- 前記触媒が、一般式ZnX2 、SnX2 、SnX4 、RII 2 SnO、RII 2 SnX2 、RII 2 Sn(ORIII)2 、PbX2 、PbX4 、ZrOX2 、ZrX4 、Zr(ORII)4 、HfX4 およびHf(ORII)4 (Xは、ハロゲン原子または炭素数1から18のカルボキシル基、アセチルアセトナート基または水素原子を表し、RIIおよびRIIIは、各々独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6から10のアリール基を表す。)の中から選ばれた少なくとも一種である請求項1に記載の光学ユニット。
- 前記触媒の量が、前記式(A)、(B)および(C)の総計1モルに対して10-9〜10-3モルである請求項1または2に記載の光学ユニット。
- 前記第2のレンズとなるアッベ数が50〜60のプラスチックが、脂環式ポリオレフィン樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の光学ユニット。
- 前記光学ユニットを構成する各レンズの少なくとも2つは、光学的な作用を有するレンズ部の周囲にフランジ部を有し、かつ、このフランジ部は、少なくとも1つの他のレンズのフランジ部と互いに嵌合可能であり、さらに、前記フランジ部を嵌合されるレンズ同士は、互いのフランジ部の嵌合により、互いの光軸を一致する形状を有する請求項1〜4のいずれかに記載の光学ユニット。
- 前記フランジ部を嵌合されるレンズ同士は、前記フランジ部を含む互いの光軸方向の当接により、互いの光軸方向の間隔を適正に決定される請求項4に記載の光学ユニット。
- 少なくとも前記第1のレンズは、その表面全面に防湿皮膜を有する請求項1〜6のいずれかに記載の光学ユニット。
- 前記防湿皮膜は、スパッタリングによって形成されたSi−O系膜である請求項7に記載の光学ユニット。
- 前記防湿皮膜は、塩化ビニリデンを有する膜である請求項7に記載の光学ユニット。
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