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JP2005292184A - 光学ユニット - Google Patents

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JP2005292184A
JP2005292184A JP2004102874A JP2004102874A JP2005292184A JP 2005292184 A JP2005292184 A JP 2005292184A JP 2004102874 A JP2004102874 A JP 2004102874A JP 2004102874 A JP2004102874 A JP 2004102874A JP 2005292184 A JP2005292184 A JP 2005292184A
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carbon atoms
optical unit
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JP2004102874A
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Fumiyuki Suzuki
文行 鈴木
Tadashi Mochizuki
正 望月
Noriko Sakaeba
範子 榮羽
Yukinobu Kano
志進 叶
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】2以上のプラスチック製レンズを有し、高解像度で色収差が補正された光学ユニットを提供する。
【解決手段】 少なくとも第一のプラスチック製レンズと第二のプラスチック製レンズとを備える光学ユニットであって、
(1)第一のプラスチック製レンズは、特定の式(A)、式(B)及び式(C)で表される構造単位を有し、式(A)の構造単位が全構造単位中5〜40mol%であり、かつ極限粘度が0.30〜0.50dl/gであるポリカーボネートを含有する組成物を成形して得られ、
(2)第二のプラスチック製レンズのアッべ数が45〜60であることを特徴とする光学ユニット。
【選択図】なし

Description

本発明は、銀塩カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話組み込み用小型カメラ等に使用される高解像度用途の光学ユニットに関し、詳しくは、2以上のプラスチック製レンズを有し、かつ、高解像度で色収差が補正された光学ユニットに関する。
近年の撮像用半導体の急速な高解像度化とコストダウンにより、それに使用される光学ユニットにも高解像度化とともに小型軽量化とコストダウンが求められている。小型軽量化およびコストダウンのためには、光学ユニットに使用するレンズとして、プラスチック製のレンズを採用することが望ましく、低解像度の用途においては、構成するレンズを全てプラスチック製レンズとした光学ユニットが普及している。
しかしながら、プラスチック材料は、ガラスに比べて複屈折が大きく、光学ユニットのレンズとして使用した場合、これが解像度に悪影響するという問題があった。低解像度の用途においては、要求される解像度が低いため問題とされなかったが、高解像度(例えば、空間周波数(MTF)でコントラスト20%における解像度が150本/mm以上さらには200本/mm程度以上)用途においては、所望の解像度が得られないため、光学ユニットを構成する全てのレンズをプラスチック製のレンズとすることはできなかった。
光学ユニットの光学設計においては、互いにアッベ(Abbe)数が異なる複数のレンズを組み合わせて使用することにより色収差を補正することが知られている。高解像度用途の光学ユニットの場合、アッべ数が適切に異なる組合せで、上記したプラスチックレンズの複屈折の問題をも解決できるプラスチック製レンズの組合せは知られていない。
このため、互いにアッベ数が異なるプラスチック製とガラス製レンズとを組み合わせることで、色収差を補正している。
脂環式ポリオレフィン樹脂は、市販品として、日本ゼオン社製のゼオネックス(ZEONEX)TM、JSR株式会社製のアートン(ARTON)TM、三井化学株式会社製のアペル(APEL)TM等が知られ、光学ユニット用レンズに使用されている。
また、アッベ数45〜60の脂環式ポリオレフィン樹脂製のレンズと、アッベ数がこれよりも低い(例えば30程度)ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂製のレンズとを組み合わせて色収差を補正することが行われている。しかし、ポリカーボネート樹脂は固有複屈折が0.106と大きく(非特許文献1参照)、高解像度の光学ユニットには適用することができなかった。
一方、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、小型のデジタルカメラに搭載される小型撮像モジュールは、通常、撮像素子(通常、CCDセンサ)を保持する保持部材(以下、CCDホルダとする)と、結像レンズを保持する鏡筒とを組み合わせることで構成される。
このような小型撮像モジュールは、一般的に、貫通孔を有するCCDホルダを用い、CCDホルダの貫通孔の一端にCCDセンサを固定し、他端側から結像レンズを保持する鏡筒を挿入/固定することで組み立てられる。
高解像力を有する結像レンズは、単レンズで実現することは困難である。そのため、通常は、複数のレンズを組み合わせた組レンズとして、目的とする解像力や精度を有する結像レンズを実現する。
このような、複数のレンズを組み合わせてなる結像レンズ(光学ユニット)は、通常、互いに外径の異なるレンズ複数のレンズと、各レンズ径に対応するサイズのレンズ保持部を階段状に形成してなる鏡筒とを用い、レンズ径に応じて、順次、鏡筒に各レンズを組み込み、各レンズを鏡筒に固定することによって構成される。
井手文雄、「ここまできた透明樹脂」、工業調査会、p.29、2001年。
高解像度用途の光学ユニットの場合、アッべ数が適切に異なる組合せで、上記したプラスチックレンズの複屈折の問題をも解決できるプラスチック製レンズの組合せは知られていない。
また、高画質な画像を撮影するためには、鏡筒に組み込まれた各レンズの光軸が適正に一致している必要がある。特に、小型撮像ユニットでは、前述のような高い解像力が光学ユニットに要求されるため、若干でも各レンズ間の光軸にズレ(以下、レンズ間偏芯とする)があると、非常に大きな画質劣化の原因となる。
ところが、鏡筒とレンズとの間には、鏡筒にレンズを組み込むための間隙(クリアランス)を有する。そのため、この中で、組み込んだレンズが移動してしまい、レンズ間偏芯が生じてしまう。
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、アッべ数が適切に異なるプラスチック製レンズの組合せで高解像度の光学ユニットを提供しようとする。
また、プラスチック製レンズを組み合わせるだけで、光軸と直交方向の互いの位置決めを行って各レンズの光軸を一致させることができ、かつ、その後のレンズ間の光軸のズレも生じることがない光学ユニット(レンズユニット)を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は以下の各発明を提供する。
[1]少なくとも第一のプラスチック製レンズと第二のプラスチック製レンズとを備える光学ユニットであって、
(1)第一のプラスチック製レンズは、後述の式(A)、式(B)及び式(C)で表される構造単位を有し、式(A)の構造単位が全構造単位中5〜40mol%であり、かつ極限粘度が0.30〜0.50dl/gであるポリカーボネートを含有する組成物を成形して得られ、
(2)第二のプラスチック製レンズのアッべ数が45〜60である光学ユニット。
[2]上記ポリカーボネートの分子末端が、後述の式(D)で表される一価フェノールより誘導される上記[1]記載の光学ユニット。
[3]上記第一と第二のプラスチック製レンズとは、光学的な作用を有するレンズ部の周囲にフランジ部を有し、かつ、第一と第二のプラスチックレンズのフランジ部はそれぞれ、第二と第一のプラスチックレンズのフランジ部それぞれとまたは第一と第二のプラスチック製レンズの間に設けられるスペーサと嵌合可能であり、さらに、第一と第二のレンズとは、前記フランジ部相互の嵌合またはスペーサとフランジ部との嵌合によって組み合わされた状態で互いの光軸を一致する形状を有する上記[1]または[2]に記載の光学ユニット。
[4]上記レンズは、互いの前記フランジ部の嵌合またはスペーサとフランジ部との嵌合によって、他のレンズと組み合わせた状態で、互いの光軸方向の位置が適正となる形状を有する上記[3]に記載の光学ユニット。
[5]少なくとも前記第一のプラスチック製レンズがその表面全面に防湿皮膜を有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光学ユニット。
[6]上記防湿皮膜は、スパッター法で形成されたSi−O系膜である上記[5]に記載の光学ユニット。
[7]上記防湿皮膜は、塩化ビニリデンを有する膜である上記[5]に記載の光学ユニット。
このような本発明のレンズユニットにおいて、前記レンズは、互いの前記フランジ部の嵌合によって他のレンズと組み合わせた状態で、互いの光軸方向の位置が適正となる形状を有するのが好ましく、さらに、前記レンズは射出成形によって形成されたものであり、組み合わせた状態で他のレンズと光軸方向で接触する面、および、組み合わせた状態で他のレンズと光軸に直交する方向で接触する面の少なくとも一方には、入れ子の割り線を有さないのが好ましい。
本発明の光学ユニットは、2以上のプラスチック製レンズの組合せで構成され、色収差が補正され、複屈折による解像度への悪影響が生じることがなく、高解像度用途の光学ユニットとして優れている。
本発明の光学ユニットは、全てのレンズがプラスチック製レンズで構成されれば、小型軽量化が要求される用途に好適である。
また、本発明の光学ユニットは、第一のプラスッチック製レンズの材料が、流動性に優れた特定のポリカーボネート材料であるため、より低温で射出成形することができ、かつ射出成形の際の成形性に優れている。このため、レンズの生産性に優れており、光学ユニットのコストダウンが可能である。
しかも、この特定のポリカーボネート材料は、流動性に優れているにもかかわらず、光学ユニットを構成するレンズとして充分な機械強度を持つ。
また、射出成形の際の成形性に優れるので、様々な形状のレンズを成形して用いることができる。このようなレンズとして、レンズの光軸合わせ構造や、レンズの光軸方向における位置合わせ構造を有するレンズを使用することで、光学ユニットを組み立てる際にレンズの光軸合わせや、レンズの光軸方向における位置合わせを容易に行うことができる。また、射出成形により製造されるレンズの特徴であるゲート跡を光軸合わせの目印とすれば、光軸合わせを容易に行うことができる。
少なくとも第二のプラスチックレンズの表面全体に防湿皮膜が形成された本発明の光学ユニットは、環境変化、より具体的には光学ユニットが置かれる環境の湿度の変化でレンズの光学性能が変化することを防止できる。
<光学ユニット>
以下、図面を参照して本発明の光学ユニットの一例を説明する。
図1は、本発明の光学ユニットの1実施形態の側部断面図である。本発明の光学ユニットは、少なくとも第一のプラスチック製レンズ2と第二のプラスチック製レンズ3とを備える。プラスチック製レンズは後述する特定の特性を有する2以上のレンズであればよく。同じ特性のレンズを複数枚有したりその他のレンズをさらに有することで3、4、5枚以上等如何なる組合せでもよく、必要な場合はガラス製レンズと2以上のプラスチック製レンズとを組み合わせても良い。図1に示す光学ユニット1は、円筒状の鏡筒5内に2枚のプラスチック製レンズ2,3が収納されている。
以下、図の説明において、光学ユニット1の撮影光の入射側を前部、その反対側を後部とする。2は撮影光の入射側すなわち前部に位置する第一のプラスチック製レンズであり、3は後部に位置する第二のプラスチック製レンズである。鏡筒4内において、2枚のレンズ2,3は、スペーサ6を介して固定されている。スペーサ6は、レンズ2,3の互いの光学方向における位置を適正に位置合わせしている。前部側に位置するレンズ2は、脱落を防止するためレンズ押さえ7により固定されている。
<第一のプラスチック製レンズ>
本発明の光学ユニットにおいて、第一のプラスチック製レンズは、下記式(A)〜(C)で表される構造単位を有し、式(A)の構造単位が全構造単位中5〜40モル%であり、かつ極限粘度が0.30〜0.50dl/gであるポリカーボネートを含有する組成物を成形して得られる。
Figure 2005292184
Figure 2005292184
Figure 2005292184

{(C)式中Wは、
Figure 2005292184
であり、R1 〜R4 は各々独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数7〜17のアラルキル基である。但し、これらの基が炭素を有する場合には、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン、ジメチルポリシロキシ基、及びアルキルアリールポリシロキシ基で置換されているものも含む。
Yは、
Figure 2005292184
であり、ここにR5 及びR6 は各々独立に、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数6〜12アリール基を表すか、R5及びR6 が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表す。但し、これらの基が炭素を含有する場合は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素で置換されているものも含む。a は0〜20の整数、b は1〜100の整数を表す。)
本発明の組成物が含有するポリカーボネートは、ビスフェノールAからポリカーボネートを製造する際に用いられている公知の方法、例えば二価フェノールとホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、あるいは二価フェノールとビスアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)などの方法で製造することができる。
前者のホスゲン法においては、通常酸結合剤および溶媒の存在下において、本発明における式(A)を誘導する1,1'−ビ−2-ナフトール、式(B)を誘導する4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール、及び式(C)を誘導する二価フェノールとホスゲンとを反応させる。酸結合剤としては、例えばピリジンや、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが用いられる。また、溶媒としては、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、キシレンなどが用いられる。さらに、縮重合反応を促進するために、トリエチルアミンのような三級アミン触媒および第四級アンモニウム塩などの触媒を、また重合度調節には、フェノール、p−t−ブチルフェノール、p-クミルフェノール、式(D)で表されるフェノール類等一官能基化合物を分子量調節剤として加える。
Figure 2005292184

(式中、R7 は炭素数4〜20のアルキル基を示し、R8 〜R9は各々独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。Zはエステル基、エーテル基、カルボニル基を表すか、単に結合を表す。)
さらに、所望に応じ亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイトなどの酸化防止剤や、フロログルシン、イサチンビスフェノール、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、α,α',α"-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリイソプロピルベンゼンなど分岐化剤を小量添加してもよい。反応は通常0〜150℃、好ましくは5〜40℃の範囲とするのが適当である。反応時間は反応温度によって左右されるが、通常0.5分〜10時間、好ましくは1分〜2時間である。また、反応中は、反応系のpHを10以上に保持することが望ましい。
一方、エステル交換法においては、1,1'−ビ−2-ナフトールと4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノールと式(C)を誘導する二価フェノールとビスアリールカーボネートとを混合し、減圧下で高温において反応させる。この時、p−t−ブチルフェノール、p-クミルフェノール、式(D)で表されるフェノール類等の一官能基化合物を分子量調節剤として加えてもよい。反応は通常150〜350℃、好ましくは200〜300℃の範囲の温度において行われ、また減圧度は最終的には1mmHg以下にすることが好ましく、エステル交換反応により生成した該ビスアリールカーボネートから由来するフェノール類を系外へ留去させる。反応時間は反応温度や減圧度などによって左右されるが、通常1〜6時間程度である。反応は窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく。また、所望に応じ、酸化防止剤や分岐化剤を添加して反応を行ってもよい。
ホスゲン法とエステル交換法では、式(A)構造を誘導する化合物および式(B)構造を誘導する化合物の反応性を考慮した場合、ホスゲン法の方が好ましい。
ポリカーボネートの製造に使用される式(C)を誘導する二価フェノールとしては、具体的には4,4'−ビフェニルジオール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルファイド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノ−ルA;BPA )、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノ−ルZ;BPZ )、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3,5-ジブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3-ブロモフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3-クロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3-メチルフェニル)プロパン(ジメチルビスフェノールA;DMBPA )、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3,5-ジメチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)−1-フェニルエタン(ビスフェノールAP;BPAP)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3-アリルフェニル)プロパン、α,ω−ビス[2-(p-ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3-(o-ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、9,9-ビス(3-メチル−4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ−3-アリルフェニル)プロパン、3,3,5-トリメチル−1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、6,6'−ジヒドロキシ−3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダン、1,1,3-トリメチル−3-(4-ヒドロキシフェニル)−インダン−5-オール、6,6'−ジヒドロキシ−4,4,4',4'7,7'-ヘキサメチル-2,2'-スピロビクロマンなどが例示される。これらは、2種類以上併用することも可能である。
また、これらの中でも特に、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)−1-フェニルエタン、9,9-ビス(3-メチル−4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,3,5-トリメチル−1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、6,6'−ジヒドロキシ−3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビインダンから選ばれることが好ましい。これらは、2種類以上併用して用いてもよい。
更に、分子量調節剤としては、流動性改良に効果の期待できる式(D)で表される一価フェノールが好ましく、具体的には、n−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デカニルフェノール、テトラデカニルフェノール、ヘプタデカニルフェノール、オクタデカニルフェノール等の長鎖アルキル置換フェノール;ヒドロキシ安息香酸ブチル、ヒドロキシ安息香酸オクチル、ヒドロキシ安息香酸ノニル、ヒドロキシ安息香酸デカニル、ヒドロキシ安息香酸ヘプタデカニル等のヒドロキシ安息香酸長鎖アルキルエステル;ブトキシフェノール、オクチルオキシフェノール、ノニルオキシフェノール、デカニルオキシフェノール、テトラデカニルオキシフェノール、ヘプタデカニルオキシフェノール、オクタデカニルオキシフェノール等の長鎖アルキルオキシフェノール類が例示される。
ホスゲン法を採用する場合は、ホスゲン吹き込み終了後に反応を効率よく行うため第四級アンモニウム塩を少量添加することが好ましい。具体的には、テトラメチルアンモニウムクロライド、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムアイオダイドなどが例示される。これらのうちトリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライドが好ましい。この第四級アンモニウム塩は、使用される全ビスフェノール類に対して、一般に0.0005〜 5mol%使用されることが好ましい。第四級アンモニウム塩の添加後、3〜10分後に、トリエチルアミンのような三級アミン及び分子量調節剤を添加して重合させることが好ましい。三級アミンの添加量は、全ビスフェノール類に対して、0.01〜1.0mol% である。また、分子量調節剤の添加量は、全ビスフェノール類に対して、3 〜10mol%である。
これらの反応で合成されたポリカーボネート重合体は、押出成形、射出成形、ブロ−成形、圧縮成形、湿式成形など公知の成形法で成形可能であるが、射出成形が好ましく、極限粘度が0.30〜0.50dl/gの範囲であることが好ましい。
また、本発明の式(A)の構造単位は成形性、耐熱性、低複屈折性を考慮すると全構造単位中5 〜40mol%が好ましい。式(A)の構造単位が5mol%未満では、複屈折性改善効果は小さく、40mol%を超えるとガラス転移温度上昇により成形条件が狭くなるため成形不良や分子配向による複屈折増加をおこしやすい。
更に、式(B)の構造単位は全構造単位中10〜90mol%が好ましい。式(B)が10mol%未満では流動性改善効果が小さく、90mol%を超えると流動性が上がりすぎ、成形性が悪くなる。
ポリカーボネートを含有する組成物は、射出成形で成形されるのが好ましいが、その際の流動性は大きすぎても小さすぎても成形性に問題が生じる。例えば高化式フローテスター(280 ℃、160kgf/cm2、ノズル径1mm ×10mm)測定で、15〜90×10-2cc/secの範囲が好ましい。15×10-2cc/sec未満では、流動性が悪く金型への充填不良やフローマークが生じる場合があり、90×10-2cc/secを超えると金型剥離不良やソリを生じやすい。
ポリカーボネートを含有する組成物は、高度に精製されたものが好ましい。具体的には、直径50μm以上のダストが実質上検出されず、直径0.5〜50μmのダストが3×104 以下、無機および有機残留塩素が2ppm以下、残留アルカリ金属が2ppm以下、残存水酸基200ppm以下、残存窒素量5ppm以下、残存モノマー20ppm以下等の基準を可能な限り満たすように精製される。また、低分子量体除去や溶媒除去のため抽出等の後処理が行われてもよい。
ポリカーボネートを含有する組成物は、押出や射出成形時に必要な安定性や離型性を確保するため、所望に応じて、ヒンダードフェノール系やホスファイト系酸化防止剤;シリコン系、脂肪酸エステル系、脂肪酸系、脂肪酸グリセリド系、密ろう等天然油脂などの滑剤や離型剤;ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ジベンゾイルメタン系、サリチレート系等の光安定剤;ポリアルキレングリコール、脂肪酸グリセリド等帯電防止剤などを適宜併用してよく、さらにはコスト等から、一般の汎用のポリカーボネートを性能を損なわない範囲で任意に混合して使用する事も可能である。また、射出成形する場合の成形温度は、限定されるものではないが、流動性の観点から250〜360℃が好ましく、より好ましくは250〜260℃であり、金型温度は90〜120℃、金型内冷却保持時間は30秒〜5分が好ましい。
第一のプラスッチック製レンズの材料は、流動性に優れた特定のポリカーボネート材料であり、従来汎用のビスフェノールA型のポリカーボネートより低温で射出成形することができ、かつ射出成形の際の成形性に優れている。
成形温度は240〜260℃であり、せん断速度は、100〜1000s-1である。この温度範囲において、せん断速度と粘度との関係がニュートン流体に近い特性を有する。低温成形が可能なので、ポリマーの熱劣化(着色)が少なく、成形に要するエネルギーが少なくてすむ。このため、レンズの生産性に優れており、光学ユニットのコストダウンが可能である。また、この特定のポリカーボネート材料は、流動性に優れているにもかかわらず、光学ユニットを構成するレンズ用途に充分な機械強度を有する。
また、第一のプラスチック製レンズのアッベ数は、23〜35で低アッベ数レンズとして使用できる。
第一のプラスチック製レンズのレタデーションは、例えば、光学面の半径9mm,中心部の厚さ2.5mmのレンズを射出成形した場合に、0〜120nm程度で、同じ形状のレンズを汎用のポリカーボネート(ビスフェノールA型のPC)材料で射出成形した場合のレタデーションが、200〜400nmであることを考えると、複屈折が低いことがわかる。ここで、レタデーションは、偏光板(直交ニコル)に挟んで干渉色を基準サンプルと比較することで求める。
第一のプラスチック製レンズの吸水性は、約0.3%以下であり、汎用のポリカーボネート(ビスフェノールA型のPC)材料の吸水性が0.3%程度に対して、0.25%程度である。
本発明の光学ユニットを構成する第一と第二のプラスチック製レンズは、好ましくは射出成形で製造される。射出成形で成形されるプラスチック製レンズには、金型のゲートに相当する位置にゲート跡と呼ばれる形状が存在する。このゲート跡とレンズの光軸との位置関係は、レンズの光学設計および射出成形装置・射出成形条件から特定することができるので、第一と第二のプラスチック製レンズとの2つのゲート跡を指標として2つのレンズの光軸合わせができるように第一と第二のプラスチック製レンズとの製造時に射出成形条件を設定することが好ましい。このようにすれば、第一と第二のプラスチック製レンズのゲート跡を組み合わせて目印にすることで、レンズの光軸合わせを比較的容易に行うことができる。ゲートの形状を工夫することで、目印としてのゲート跡を識別し易くすることもできる。
<第二のプラスチック製レンズ>
本発明の光学ユニットの第二のプラスチック製レンズは、アッベ数45〜60のレンズである。用いるプラスチック材料は、複屈折および吸水性が低く、寸法安定性に優れた透明なプラスチック材料であることが好ましい。このようなプラスチック材料としては、メタクリル樹脂(PMMA)、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、オレフィン・マレイミド交互共重合体、ポリ(1,3−シクロヘキサンジエン)、ポリ(シクロヘキサン)、脂環式ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、高解像度用途の光学ユニットのレンズとして好ましい特性を有することから脂環式ポリオレフィン樹脂が好ましい。脂環式ポリオレフィン樹脂は、嵩高い脂環式構造から分子骨格が形成されており、PMMAと同様に複屈折が低く、しかも低吸水性および耐熱性という点ではPMMAより優れている。
このような脂環式ポリオレフィン樹脂としては、具体的には特開平5−279554号、特表2001−072870号、特開平6−107735号、特開平6−136035号、および特開平09−263627号に開示されるノルボルネン系の脂環式ポリオレフィン樹脂、特開2004−51949号、特開2003−313177号、特開2003−327630号、特開2004−51949号、特願2002−293492号の開示されるメタクリル基を側鎖にもつノルボルネン誘導体をメタロセン触媒等で開環重合させた後、水素化して得られる脂環式ポリオレフィン樹脂、特開2001−26693号、特開2001−26682号、特開2003−321591号、特開2003−313247号、特開2002−332312号、特開2002−275314号、特開2002−105131号に開示されるエチレンとシクロオレフィンの共重合体からなる脂環式ポリオレフィン樹脂が挙げられ、市販品としては、日本ゼオン社製のゼオネックス(ZEONEX)TM、JSR株式会社製のアートン(ARTON)TM、三井化学株式会社製のアペル(APEL)TMが挙げられる。
第二のプラスチック製レンズは、高解像度用途の光学ユニットのレンズ材料として好適な以下の特性を有しているのが好ましい。
上記した脂環式ポリオレフィン樹脂は、複屈折が少ないことを特徴とする。具体的には、例えば、光学面の半径6.4mm,中心部の厚さ2.9mmのレンズを射出成形した場合に、レタデーションが、0〜150nm程度で低複屈折である。色収差を補正するために、第一のプラスチック製レンズと組み合わせて使用しても解像度に悪影響を及ぼすことがない。
JIS K7209に従って測定した飽和吸水率が好ましくは0.4%以下、さらには0.01%未満であるのがより好ましい。湿度による屈折率変化が生じにくく、レンズの寸法安定性にも優れるのが好ましい。
また、脂環式ポリオレフィン樹脂は、光学弾性率が低い。具体的には、光学弾性係数が7.0×10-13cm2/dyne以下である。光学弾性係数の低い材料を用いて射出成形した成形体は、光学弾性係数が高い材料から成形した成形体と比較した場合、成形体に内在する分子の歪が同程度であったとしても、複屈折が成形体に現れにくい特性を有する。したがって、光学弾性係数の低い材料は、複屈折の少ない成形体を得るうえで好ましい。
第二のプラスチックレンズは、押出成形、射出成形、ブロ−成形、圧縮成形、湿式成形など公知の成形法で成形可能であるが、射出成形が好ましく、射出成形条件は、例えば、ポリマー温度240〜290℃、金型温度100〜130℃、金型内冷却保持時間30秒〜5分が好ましい。
本発明の光学ユニットは、第一のプラスチック製レンズと、第二のプラスチック製レンズでアッベ数45〜60のレンズとを組み合わせるので色収差が適切に補正される。第一のプラスチック製レンズのアッべ数は限定されないが、第二のレンズよりもアッベ数が小さい(例えばアッベ数23〜30程度)のが好ましい。組み合わせるレンズの枚数はそれぞれ1枚ずつに限定されず、任意の数の組合せが可能である。
また、光学ユニットは、その用途、すなわち銀塩カメラ、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話組み込み用小型カメラ等にとって好ましい他の機構を有していてもよい。このような機構としては、具体的には、焦点合わせ機構、ズーム機構等が挙げられる。
<フランジ部を有するレンズ>
上記の第一と第二のプラスチック製レンズは、光学的な作用を有するレンズ部の周囲にフランジ部を有していてもよい。この第一と第二のプラスチック製レンズのフランジ部はそれぞれ、第二と第一のプラスチック製レンズのフランジ部それぞれとまたは第一と第二のプラスチック製レンズの間に設けられるスペーサと嵌合可能であり、さらに、第一と第二のレンズとは、前記フランジ部相互の嵌合またはスペーサとフランジ部との嵌合によって組み合わされた状態で互いの光軸を一致する形状を有する。スペーサは好ましくはレンズ部を有さないフランジ部の構成とすることができる。
本発明の光学ユニットは、構成するレンズがプラスチック製であるため、以下に述べる光軸合わせに有用な構造を容易に製造することができる。
上記構成を有する本発明によれば、複数のレンズを有する光学ユニットにおいて、各レンズのフランジ部またはスペーサとしてのフランジ部を嵌合して組み合わせるだけで、光軸と直交する方向の位置決定を行って互いの光軸を一致し、好ましくはさらに光軸方向の位置決定も行って、結像レンズ等とすることができる。また、組み合わせた後は、1つのレンズと同様に扱うことができるので、組合せ後のレンズ間の光軸のズレも防止できる。
図2は、フランジ部である光軸合わせ構造を有する第一のプラスチックレンズの1実施形態を示しており、(a)はレンズの平面図であり、(b)はレンズの側部断面図である。
図2(a)、(b)に示すレンズ28は、その中心に位置し、光学的作用をするレンズ部28aと、該レンズ28の周囲に設けられたフランジ部28bからなる。該フランジ部28bは、光学ユニットを構成する他のレンズに設けられたフランジ部と嵌合可能であり、該他のレンズのフランジ部とともに光軸合わせ構造をなす。
図3に示すように、光学ユニット1は、レンズ26、レンズ28、およびレンズ30の3枚のレンズで形成される。
レンズ26はレンズ部26aとフランジ部26bとから、レンズ28はレンズ部28aとフランジ部28bとから、レンズ30はレンズ部30aとフランジ部30bとから、それぞれ構成され、いずれも円形(光軸方向から見た形状)である。
図示例においては、レンズ26のフランジ部26bは、レンズ28のフランジ部28bの上方の内側(光軸側)に嵌合(嵌入)可能であり、レンズ30のフランジ部30bは、レンズ28のフランジ部28bの下方の内側に嵌合可能である。
光学ユニット1は、レンズ26のフランジ部26bを上方からレンズ28のフランジ部28bに嵌合して、フランジ部28bのフランジ面(光軸方向の表面)をレンズ部28aの上面に当接し、他方、レンズ30のフランジ部30bを下方からレンズ28のフランジ部28bに嵌合して、フランジ部30bのフランジ面をレンズ部28aの下面に当接し、組み立てられる。
各レンズは、このようにフランジ部を嵌合して組み立てた状態で、互いの光軸を一致し、図示例においては好ましい態様として、さらに光軸方向の互いの位置関係も適正になる形状を有する。
本発明の光学ユニットは、このような構成を有することにより、互いのフランジ部を嵌合して組み立てるだけで、各レンズの光軸合わせを行い、あるいはさらに光軸方向の位置決めを行うことができ、さらに、互いの光軸のズレ(以下、レンズ間偏芯とする)も防止することができる。
組レンズを用いて高画質な画像を撮影するためには、全てのレンズの光軸が適正に位置している必要が有るのは、当然のことである。
通常、携帯電話等に用いられる小型撮像モジュールでは、高い解像度が要求されるために、ガラスのレンズを用いている。ガラスのレンズでは、複雑な形状のレンズを成形することはできない。そのため、従来の小型撮像モジュールでは、特開2002−82272号公報などに開示されるように、径の異なる複数の円形のレンズを組み合わせて、段階的に径が異なるレンズ収容部を有する階段状の鏡筒に組み込んでいる。
ところが、通常のレンズユニットでは、鏡筒にレンズを組み込むための遊びを有するため、組み込む際にレンズの光軸がズレてしまい、光軸を一致させることが、困難である。
本発明においては、ガラスでは成形が不可能な複雑な形状のレンズでも、高精度な成形を行って前述のような解像力を有するレンズを作成することが可能となった。
本発明の光学ユニットは、これを利用したものであり、レンズを、フランジ部で嵌合して組み合わせ可能にすると共に、フランジ部を嵌合して組み合わせた状態で光軸が一致する形状とし、好ましくは、さらにフランジ部の厚さ(光軸方向の厚さ)を組み合わせるレンズの互いの光軸方向の位置に対応する厚さとして、フランジ部を嵌合して組み合わせた状態で、光軸方向の位置も適正になる形状とし、このようなレンズを組み合わせて、光学ユニット1を形成する。
従って、本発明によれば、レンズ26、28および30を互いのフランジを嵌合して組み合わせるだけで、光軸と直交する方向(以下、x−y方向とする)の位置決定を行って互いの光軸を一致し、好ましくはさらに光軸方向の位置決定も行って、結像レンズである光学ユニット1とすることができ、さらに、組み合わせ後は、1つのレンズと同様に扱うことができるので、組み合わせ後のレンズ間の偏芯も防止できる。
ここで、レンズ26、28および30は、互いに光軸方向に当接する面およびx−y方向に当接する面、すなわち、レンズの位置を決定する基準面には、入れ子の割り線(鋳型の見切り線(parting line))が存在しないのが好ましい。言い換えれば、基準面には割り線が存在しないように、基準面から逃した位置に割り面を作ってレンズの金型を作製して、各レンズの成形を行うのが好ましい。
特に、レンズ26のフランジ部26bとレンズ28のレンズ部28aとの当接面や、レンズ30のフランジ部30bとレンズ28のレンズ部28aとの当接面のように、光軸方向の位置決めを行う面(基準面)には、割り線が存在しないように、各レンズの成形を行うのが好ましい。
前述のように、レンズ26、28および30からなる光学ユニット1では、レンズ同士のフランジ部を嵌合し、また、レンズ同士でフランジ部とレンズ部とを当接して、光軸方向およびx−y方向の位置決めを行うことにより、互いの光軸を一致し、かつ、光軸方向の位置決めを行う。従って、基準面に割り線が存在すると、レンズ同士の位置関係に誤差が生じ、光軸方向の位置やレンズ間偏芯が生じてしまう可能性が有る。
すなわち、基準面に割り線が存在しないことにより、より高精度な組レンズの結像レンズを作製することが可能となる。
なお、このようにレンズ形状が複雑になる可能性の高い場合には、成形精度や製造の都合上、基準面に連続する部分に金型の割り面を形成した方が有利な場合も多い。
その際には、基準面に連続する角部を曲面(Rを付ける)として、この位置に割り面を形成する手段、基準面に連続する角部を切欠いた形状として、この位置に割り面を形成する手段、等により、割り線を基準面から逃がす方法が好適に利用される。
図示例において、光学ユニット1は3枚のレンズ26、28および30で構成されるが、本発明は、これに限定はされず、レンズは2枚以下でも、4枚以上でもよい。
また、互いに嵌合可能であれば、レンズ(レンズ部およびフランジ部)の形状は円形に限定はされず、各種の形状が利用可能である。
さらに、図示例においては、好ましい態様として、フランジ部の厚さを各レンズ同士の光軸方向の位置に応じた厚さとすることにより、フランジ部とレンズ部とを当接することで光軸方向の位置決めも行っている。しかしながら、本発明は、これに限定はされず、例えば、各レンズ同士の光軸方向の位置決めは、当接部の間にスペーサ等の光軸方向の位置決め部材を配置する等の方法で行ってもよい。
<防湿膜を有するレンズ>
上記の第一または第二のプラスチック製レンズは、その表面全面に防湿皮膜をさらに有していても良い。図2の(b)図には防湿皮膜14が誇張して記載されている。
防湿皮膜14は、レンズ部28aのみならず、フランジ部28bも含めて、レンズ28の表面全面に設けるのが好ましい。
ここで、防湿皮膜14は、単層膜であっても良いし、多層膜であっても良い。単層膜は、無機系皮膜であっても、有機系皮膜であっても良い。さらに、多層膜も、無機系皮膜の多層膜であっても、有機系皮膜の多層膜であっても良いし、また、無機系皮膜と有機系皮膜との複合膜であっても良い。
無機系皮膜には、特に限定はなく、十分な透明性を有し、かつ、透湿性が低い、もしくは透湿性を示さないものであれば、無機材料を主成分とする各種の薄膜が利用可能である。
好適な無機材料の一例として、SiO2 、SiO、ZrO2 、TiO2、TiO、Ti23 、Al23 、Ta25 、CeO2 、MgO、Y23 、SnO2、MgF2 、WO3 、InとSnの混合酸化物からなる混合物が挙げられる。
何れの皮膜であっても、無機系皮膜は、できるだけ緻密な構造を有し、かつ目的とする波長の光線の吸収が少ない皮膜であるのが好ましい。
ここで、防湿皮膜14は、無機系皮膜を用いる場合には、SiOからなるガラス質膜であるのが好ましい。すなわち、防湿皮膜14に単層膜として、または多層膜や多層複合膜の一部として無機系皮膜を用いる場合には、無機系皮膜は、特に、SiOからなるガラス質膜であるのが好ましい。
また、無機系皮膜の膜厚には特に限定はなく、無機系皮膜の組成や、単層膜としてもちいるか多層膜として用いるか、多層複合膜として有機系皮膜と組み合わせるかに応じて、必要な透明性が確保でき、かつ目的とする防湿性能を発揮できる膜厚を、適宜、設定すればよい。
無機系皮膜を防湿皮膜14として用いる場合の膜厚は、10nm〜1000nm(1μm)であるのが好ましい。この膜厚は、特に、無機系皮膜の単層膜または無機系皮膜のみの多層膜の膜厚、もしくは有機系皮膜との多層複合膜の場合の無機系皮膜のみの合計厚さを意味する。この膜厚がこのような範囲であれば、防湿性能に影響を与えるピンホールの数が少ないからである。すなわち、無機系皮膜の膜厚を上記範囲に限定する理由は、膜厚が、10nmより薄いとピンホールの発生の懸念があるし、また、1000nmより厚くしても、防湿性という観点からは、その寄与は最早少ないし、膜厚を厚くすると、生産性が低下する、特に乾式成膜法では生産性が低下するし、また、残留応力によりクラックが入りやすくなるからである。
このような無機系皮膜の形成方法には、特に限定は無く、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(Chemical Vapor Deposition) 等の各種の乾式成膜法や、ゾル−ゲル法などの各種の湿式成膜法が利用可能であり、形成する無機系皮膜の組成や膜厚等に応じて、適宜、選択すればよい。特に、乾式成膜法による無機皮膜の膜厚は、上述した10nm〜1μmであるのがより好ましい。この理由は、上記限定理由がより顕著だからである。
さらに、ゾル−ゲル法などの湿式の成膜法を利用する際における溶液の塗布方法にも、特に限定は無く、ディップコート、スプレーコート、スピンコート等各種の塗布方法が利用可能であるが、容易にレンズ28の全面に溶液を塗布、すなわち無機系皮膜を成膜できる等の点で、ディップコート(浸漬塗布)が好ましく例示される。
ゾルーゲル法による場合、無機系皮膜は、例えば、アルコキシシラン化合物を加水分解することにより得られるが、市販品では日本ダクロシャムロック社製のソルガード(SolGard)TM等を用いることができる。
なお、有機系皮膜には、特に限定はなく、十分な透明性を有し、かつ、透湿性が低い、もしくは透湿性を示さないものであれば、有機材料を主成分とする各種の薄膜が利用可能である。
好適な有機系皮膜の一例として、ポリ塩化ビニリデンや塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体などを主成分とする皮膜、日本ゼオン社製のゼオネックス(ZEONEX)TMなどのシクロオレフィン系樹脂を主成分とする皮膜、旭硝子社製のサイトップ(CYTOP)TMやデュポン社製のテフロン(登録商標)AF(TeflonAF)などの非晶フッ素樹脂(アモルファスフルオロポリマー)を主成分とする皮膜、住友3M社製のノベック(Novec)TMなどのフッ素系樹脂を主成分とする皮膜、信越化学工業の信越シリコーンKR251、KR400、KR114A等のシリコーン系樹脂を主成分とする皮膜等が例示される。
ここで、防湿皮膜14は、有機質皮膜を用いる場合には、塩化ビニリデン膜であるのが好ましい。すなわち、防湿皮膜14に単層膜としてまたは多層膜や多層複合膜の一部として有機質皮膜を用いる場合には、有機質皮膜は、特に、塩化ビニリデン膜であるのが好ましい。
また、有機系皮膜の膜厚には特に限定はなく、有機質皮膜の組成や、単層膜として用いるか多層膜として用いるか、多層複合膜として無機系皮膜と組み合わせるかに応じて、必要な透明性が確保でき、かつ、目的とする防湿性能を発揮できる膜厚を、適宜、設定すればよい。
有機系皮膜を防湿皮膜14として用いる場合の膜厚は、100nm〜10000nm(10μm)であるのが好ましい。この膜厚は、特に、有機系皮膜の単層膜または有機系皮膜のみの多層膜の膜厚、もしくは、無機系皮膜との多層複合膜の場合の有機系皮膜のみの合計厚さを意味する。この膜厚がこのような範囲であれば、防湿性能に影響を与えるピンホールの数が少ないからである。すなわち、有機系皮膜の膜厚を上記範囲に限定する理由は、膜厚が、100nmより薄いとピンホールができやすくなり、また、10μmより厚くしても、防湿性という観点からは、その寄与は最早少ないし、極端に厚いと厚みが不均一となりやすく、光学性能が低下するからである。
さらに、有機系皮膜の光学特性としては、光線透過性が良好で、屈折率が低いことが好ましい。屈折率が低いと入射光の表面反射によるロスが少なく、結果として光線透過率が向上するからである。光学的な設計を適切に行い、防湿皮膜に、機能反射防止、ハードコート等の機能を併せ持たせることも可能である。
このような有機系皮膜の形成方法には、特に限定は無く、皮膜となる樹脂成分を溶解あるいは分散してなる塗料を調整して塗布/乾燥する成膜法などの各種の湿式成膜法や、プラズマ重合やCVDなどの各種の乾式成膜法が利用可能であり、形成する皮膜の組成や膜厚等に応じて、適宜、選択すればよい。
また、塗料を用いる湿式の成膜法において、塗料の塗布方法には、特に限定はなく、スプレー塗布、刷毛による塗布、ディップコートなど、各種の方法が利用可能であるが、先と同様、容易にレンズの全面に溶液を塗布すなわち有機系皮膜を成膜できる等の点で、ディップコートが好ましく例示される。
特に、塗布成膜法による無機皮膜の膜厚は、上述した100nm〜10μmであるのがより好ましい。この理由は、上記限定理由がより顕著だからである。
なお、本発明の防湿皮膜14として、無機系皮膜と有機系皮膜との複合皮膜を用いる場合には、有機系皮膜の成膜に先立ち、必要に応じて、無機系皮膜と有機系皮膜との密着性を向上させるために、無機系皮膜の表面にアンカーコート等の密着性向上処理を施してもよい。
防湿皮膜14の膜厚、すなわち防湿皮膜を形成する無機系皮膜および/または有機系皮膜の膜厚は、均一であるのが最も好ましいが、特に限定的ではなく、全面にわたって皮膜が設けられ、レンズ28、特にレンズ部28aの内部に水分分布の偏りを生じさせることのない防湿性があれば、必ずしも均一である必要はなく、目的とする防湿性が得られれば、基本的に、レンズ部28a等の光学的に作用する領域のみが、光学特性に対応する所定の膜厚となっていればよく、例えば、フランジ部28b等の光線透過に関与しない縁や端部領域の膜厚が他の領域に比して厚いもしくは薄い等の構成であってもよい。また、防湿皮膜14の膜厚は、レンズ部28a等の光学的に作用する領域も、必ずしも均一な膜厚である必要はなく、要求される光学特性に対応できれば、ある程度の膜厚分布を有してもよい。
本発明において、防湿皮膜14として、無機系皮膜と有機系皮膜とを併用した多層膜を用いる場合には、特に、優れた防湿性を発現する。その理由は定かでは無いが、無機系皮膜と有機系皮膜との両者は、互いに異なる積層原理や皮膜構成を有するので、互いの欠陥や欠点を埋め合うあるいは補い合うと共に、それぞれの皮膜が有する防湿性能を相乗的に得ることができ、その結果、非常に優れた耐湿性を得ることができると考えられる。
また、一般的に、無機系皮膜は硬質でピンホールやクラック等が多く、逆に、有機系皮膜はある程度の弾性を有する。そのため、防湿皮膜14として多層膜を用いる場合、下層に無機系皮膜、上層に有機系皮膜を設けることにより、無機系皮膜のピンホール等を有機系皮膜が好適に埋めて、結果的に欠陥の無い皮膜を形成でき、無機系皮膜の防湿性能を完全に生かした非常に高い防湿性能を発現できる。しかも、弾性を有する有機系皮膜が、外部からのストレスに対する耐性や、熱等によるレンズ28の膨張/収縮に対して無機系皮膜を保護する保護膜としても作用するので、強度も十分に確保して、長期にわたって良好な耐湿性を発揮できる。
また、本発明の光学ユニットにおいて、第一または第二のプラスチックレンズは、所望の特性を与えるためのその他の構造を有してもよい。このような構成としては、具体的には、例えば反射防止膜、ハードコート、汚れ防止皮膜、または特定の波長の光線、例えば赤外線や紫外線をカットするフィルタ等が挙げられる。
反射防止膜は、無機被膜、有機被膜の単層または多層で構成される。無機被膜と有機被膜との多層構造であってもよい。反射防止膜は光透過性基材の一面側又は両面に設けることができる。両面に設ける場合、両面の反射防止膜は、同じ構成であっても別の構成であっても良い。例えば、一方の面の反射防止膜を多層構造とし、他方の面側の反射防止膜を簡略化して単層構造とすることも可能である。
無機被膜の材料としては、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti23、Ti25、Al23、Ta25、CeO2、MgO、Y23、SnO2、MgF2、WO3等の無機物が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を併用して用いることができる。これらの中では、光透過性基材が熱可塑性樹脂である場合は、低温で真空蒸着が可能なSiO2、ZrO2、TiO2、Ta25が好ましい。
無機被膜の多層膜としては、光透過性基材側からZrO2層とSiO2層の合計光学的膜厚がλ/4、ZrO2層の光学的膜厚がλ/4、最表層のSiO2層の光学的膜厚がλ/4の屈折率が高い層と屈折率が低い層とを交互に成膜する積層構造を例示することができる。ここで、λは設計波長であり、通常520nmが用いられる。最表層は、屈折率が低く、固い被膜を形成できるSiO2とすることが好ましい。
無機被膜の成膜方法は、例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法等を採用することができる。有機被膜の材料は、例えばFFP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等を挙げることができ、光透過性基材やハードコート膜の屈折率を考慮して選定される。成膜方法は、真空蒸着法の他、スピンコート法、ディップコート法などの量産性に優れた塗装方法で成膜することができる。
ハードコートは、公知の紫外線硬化もしくは電子線硬化のアクリル系もしくはエポキシ系の樹脂を用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。但し、これらの実施例は説明を目的とするものであり、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(第一のプラスチック製レンズPC1の製造)
8.8%(w/v) の水酸化ナトリウム水溶液58リットルに、1,1'−ビ−2-ナフトール2.86Kg(以下BNP と略称、10mol )と4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール6.92Kg(以下BPM と略称、20mol )とビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン3.52Kg(以下BPBPと略称、10mol )及びハイドロサルファイト10g を加え溶解した。これにメチレンクロライド36リットルを加え、15℃に保ちながら撹拌しつつ、ホスゲン5kg を50分かけて吹き込んだ。吹き込み終了後、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド5g(0.022mol)を加え5分間激しく撹拌して反応液を乳化させ、次にp-ターシャルブチルフェノール360g(以下PTBPと略称、2.4mol)を加え、さらに20mlのトリエチルアミン(0.14mol) を加え、約1時間撹拌し重合させた。重合液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液の導電率が10μS以下になるまで水洗を繰り返した後、精製樹脂液を得た。得られた精製樹脂液を、強攪拌されている45℃の温水に樹脂液をゆっくり滴下し、溶媒を除去しつつ重合物を固形化した。固形物を濾過後、乾燥して白色粉末状重合体を得た。この重合体は、塩化メチレンを溶媒とする濃度0.5g/dlの溶液の温度20℃における極限粘度[η]は0.36dl/gであった。得られた上記重合体を赤外線吸収スペクトルより分析した結果、1770cm-1付近の位置にカルボニル基による吸収、1240cm-1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、カーボネート結合を有することが確認された。また、3650〜3200cm-1の位置に水酸基由来の吸収はほとんど認められなかった。このポリカーボネート中のモノマーをGPC分析で測定した場合、いずれのモノマーも20ppm 以下であった。これらを総合した結果、この重合体は下記構造単位からなるポリカーボネート重合体と認められた。
Figure 2005292184
得られたポリカーボネート粉末にステアリン酸モノグリセリド300ppmを添加し、50μmポリマーフィルターを付けたベント付き50mm押出機にて300℃で押出し、溶融ペレット化を行った。得られたペレットをポリマー温度250℃で、金型温度110℃、及び保持圧力50MPa、冷却保持時間120秒の条件で、図1の第一のプラスチックレンズ2に示す光学面の半径9mm、中心厚さ2.5mmのレンズ形状に射出成形した。レンズのレタデーションは、0〜50nmであった。
(第一のプラスチック製レンズPC2の製造)
BNP を4,58Kg(16mol )に変更し、BPBPの代わりに1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン1.07Kg(以下BPZ と略称、4mol)、PTBPの代わりにp-ヘプタデカニルフェノール797g(以下PHPDP と略称、2.4mol)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。得られた重合体の極限粘度[η]は0.37dl/gで、赤外吸収スペクトル分析等よりこの重合体は下記構造単位からなるポリカーボネート重合体と認められた。結果を表1に示した。
Figure 2005292184
(第二のプラスチック製レンズZEOの製造)
第二のプラスチックレンズの材料には、アッベ数56.2(25℃、カタログ値)、吸水率0.01%未満のゼオネックス(ZEONEX)TM480R(日本ゼオン株式会社製)を使用し、ポリマー温度280℃、金型温度125℃、保持圧力80MPa、冷却保持時間130秒で射出成形し、図1のレンズ3(光学面の半径6.4mm,中心部厚さ2.9mm)を得た。レンズのレタデーションは、0〜150nmであった。
(実施例1、2)
射出成形により得られた第一および第二のプラスチック製レンズを用いて、図1に示す光学ユニット1を組み立てて、レンズの複屈折による解像度への影響を以下の手順で評価した。
(1)複屈折による解像度への影響評価
図4は、評価に使用した装置の模式図である。図4において、コリメート光源8から出た平行光線は、撮影用のチャート10を通過して光学ユニット1に入射する。該チャート10は図5に示すように、複屈折を持たない透明なガラス板に碁盤目状に線が記入されたものである。ただし、複屈折による解像度への影響評価に使用するパターンとしては、図5に示す撮影チャート以外も使用可能であり、例えば、図6や図7に示す撮影チャートも使用可能である。使用する撮影チャートの選択は、光学ユニットの用途や、要求される解像度に応じて適宜選択可能である。
このチャート10を、図1に示す光学ユニット1を用いて、CCDカメラ12に結像させて撮影する。光学ユニット1とCCDカメラ12とは、焦点距離の調整機構と絞り機構を有するアダプタ11により接続されている。CCDカメラ12により撮影された画像は、電子データとしてコンピュータ13に取り込まれる。コンピュータ13には、予め複屈折ゼロの基準データが保存されており、該基準データと取り込んだ画像データとを画像演算プログラムを用いて比較し、基準データに対する画像の低下を以下の基準にしたがって評価した。なお、基準データは、理論上複屈折ゼロの画像データとして、コンピュータ上で作成したものである。結果を表2に示した。
○ 画像低下がほとんど認められない場合。
△ 画像低下がある程度認められる場合。
× 画像低下がはっきり認められる場合。
(比較例1)
第一のプラスチック製レンズ材料として、ビスフェノールA型のポリカーボネート樹脂(AD−5503(帝人化成株式会社製)、アッベ数30(25℃、カタログ値)を使用して、ポリマー温度280℃、金型温度130℃、保持圧力60MPa、冷却保持時間240秒でBPA型PCを射出成形した以外は、実施例1と同様に実施した。レンズの複屈折による解像度への影響評価の結果を表2に示す。
Figure 2005292184
Figure 2005292184
表1中に記載した略称は下記である。
1,1'−ビ−2-ナフトール BNP
4,4'-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスフェノール BPM
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン BPBP
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン BPZ
図1は、本発明の光学ユニットの1実施形態の側部断面図である。 図2(a)は、光軸合わせ構造を有する第一または第二のプラスチックレンズの平面図であり、(b)は該レンズの側部断面図である。 図3は、本発明の光学ユニットの別の1実施形態の側部断面図であり、光軸合わせ構造を有するレンズが使用されている。 図4は、レンズの複屈折による画像への影響を評価する装置の模式図である。 図5は、図4の装置の構成要素である撮影チャートの平面図である。 図6は、撮影チャートの別の1例を示す平面図である。 図7は、撮影チャートの別の1例を示す平面図である。
符号の説明
1:光学ユニット
2,3,4:レンズ
5:鏡筒
6:スペーサ
7:レンズ押さえ
8:コリメート光源
10:撮影用チャート
11:接続アダプタ
12:CCDカメラ
13:コンピュータ
14:防湿皮膜
26,28,30 レンズ
26a,28a,30a レンズ部
26b,28b,30b フランジ部

Claims (7)

  1. 少なくとも第一のプラスチック製レンズと第二のプラスチック製レンズとを備える光学ユニットであって、
    (1)第一のプラスチック製レンズは、下記式(A)、式(B)及び式(C)で表される構造単位を有し、式(A)の構造単位が全構造単位中5〜40mol%であり、かつ極限粘度が0.30〜0.50dl/gであるポリカーボネートを含有する組成物を成形して得られ、
    (2)第二のプラスチック製レンズのアッべ数が45〜60であることを特徴とする光学ユニット。
    Figure 2005292184

    Figure 2005292184

    Figure 2005292184


    {(C)式中Wは、
    Figure 2005292184


    であり、R1 〜R4 は各々独立に、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数7〜17のアラルキル基である。但し、これらの基が炭素を有する場合には、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から選ばれるハロゲン、ジメチルポリシロキシ基、及びアルキルアリールポリシロキシ基で置換されているものも含む。
    Yは、
    Figure 2005292184

    であり、ここにR5 及びR6 は各々独立に、水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又は炭素数6〜12アリール基を表すか、R5及びR6 が一緒に結合して、炭素環または複素環を形成する基を表す。但し、これらの基が炭素を含有する場合は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素で置換されているものも含む。a は0〜20の整数、b は1〜100の整数を表す。}
  2. 前記ポリカーボネートの分子末端が、下記式(D)で表される一価フェノールより誘導される請求項1記載の光学ユニット。
    Figure 2005292184

    (式中、R7 は炭素数4〜20のアルキル基を示し、R8 〜R9は各々独立に、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。Zはエステル基、エーテル基、カルボニル基を表すか、単に結合を表す。)
  3. 前記第一と第二のプラスチック製レンズとは、光学的な作用を有するレンズ部の周囲にフランジ部を有し、かつ、第一と第二のプラスチックレンズのフランジ部はそれぞれ、第二と第一のプラスチックレンズのフランジ部それぞれとまたは第一と第二のプラスチック製レンズの間に設けられるスペーサと嵌合可能であり、さらに、第一と第二のレンズとは、前記フランジ部相互の嵌合またはスペーサとフランジ部との嵌合によって組み合わされた状態で互いの光軸を一致する形状を有すること特徴とする請求項1または2に記載の光学ユニット。
  4. 前記レンズは、互いの前記フランジ部の嵌合またはスペーサとフランジ部との嵌合によって、他のレンズと組み合わせた状態で、互いの光軸方向の位置が適正となる形状を有する請求項3に記載の光学ユニット。
  5. 少なくとも前記第一のプラスチック製レンズがその表面全面に防湿皮膜を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学ユニット。
  6. 前記防湿皮膜は、スパッター法で形成されたSi−O系膜であることを特徴とする請求項5に記載の光学ユニット。
  7. 前記防湿皮膜は、塩化ビニリデンを有する膜であることを特徴とする請求項5に記載の光学ユニット。
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