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JP2005313752A - ガス発生器 - Google Patents

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JP2005313752A JP2004133437A JP2004133437A JP2005313752A JP 2005313752 A JP2005313752 A JP 2005313752A JP 2004133437 A JP2004133437 A JP 2004133437A JP 2004133437 A JP2004133437 A JP 2004133437A JP 2005313752 A JP2005313752 A JP 2005313752A
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Masahiro Yoshida
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

【課題】部品点数を抑え、製造及び組立工数を低減させ、低コストなエアバッグモジュールを実現することが可能なガス発生器を提供することである。
【解決手段】筒状のハウジング4と、前記ハウジング4内に充填される、燃焼により高温ガスを発生させるガス発生剤5と、前記ハウジング4内に装着されるフィルタ材7と、前記ハウジング4の一端部3に装着され、該ハウジング4内のガス発生剤5を点火燃焼させる点火器10と、を有してなるガス発生器1において、車両に取り付けるための頭付ボルト30a,30bを前記ハウジング4に直接設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の安全装置に用いられる小型筒状のガス発生器に関するものである。
自動車の衝突時に生じる衝撃から乗員を保護するための安全装置の1つとして、サイド用エアバッグが知られている。このサイド用エアバッグは、ガス発生器が発生する多量の高温・高圧ガスにて作動するものである。従来、このサイド用エアバッグに使用されるガス発生器がガスを発生する方式として、高圧のガスが保持されたボンベと、各ボンベ中の高圧のガスに熱を供給するための少量の火薬組成物により大量の高温・高圧ガスを放出せしめるハイブリッド方式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−253100号公報
特許文献2には、このようなハイブリッド方式のガス発生器を用いたエアバッグモジュールを車両に取り付ける部材として、頭付ボルトと筒状のケースを使用する発明が開示されている。具体的には、シリンダ状のガス発生器が収納された筒状のケースの孔部に内側から頭付ボルトを装着して頭付ボルトのネジ部をケースの外に突出させ、ガス発生器とケースとで頭付ボルトの頭部を挟持しながら頭付ボルトを車両に係合・固定することでガス発生器を車両に取り付ける構成である。
特開平10−001018号公報
ガス発生器を車両に取り付けるには、上述したような筒状のケース等の取り付け部材を別途用いる必要があり、エアバッグモジュールの大型化、重量化、高コスト化を招くという問題がある。
本発明の目的は、部品点数を抑え、製造及び組立工数を低減させ、低コストなエアバッグモジュールを実現することが可能なガス発生器を提供することである。
課題を解決するための手段及び効果
本発明のガス発生器は、筒状のハウジングと、前記ハウジング内に充填される、燃焼により高温ガスを発生させるガス発生剤と、前記ハウジング内に装着されるフィルタ材と、前記ハウジングの一端部に装着され、該ハウジング内のガス発生剤を点火燃焼させる点火器と、を有してなるガス発生器において、車両に取り付けるための頭付ボルトを前記ハウジングに直接設けたことを特徴とし、サイド用エアバッグに好適に使用できる。
本発明によれば、取り付け部材を別途用いることなく、ガス発生器を車両に取り付けることができるため、エアバッグモジュールの小型化、軽量化、低コスト化を図れるという利点がある。このような構成は、従来のハイブリッド式ガス発生器では安全上採用することができなかった。また、取り付け部材が頭付ボルトであるため、車両への取り付け固定作業は、エアバッグモジュールから突出したネジ部にナットを締め付ける一回の作業だけで済ませることができ、作業効率が極めて良い。
本発明においては、前記頭付ボルトを溶接により前記ハウジングに溶着させることが好ましい。これによると、接着剤等で接着させることに比べて、ガス発生器と頭付ボルトとの接合強度を高めることができる。
本発明においては、前記ハウジングの外周面と同程度の曲率を有する湾曲部を前記頭付ボルトの頭部に形成することが好ましい。これによると、頭付ボルトと筒状のハウジングとの密着性を高め、接合を容易にできるとともに、接合強度を高めることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係るガス発生器の実施形態について説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1はガス発生器の断面図である。ガス発生器1は、筒状のハウジング4と、ハウジング4内を燃焼室6とフィルタ室8に区画する仕切り部材9と、燃焼室6内のガス発生剤5を着火燃焼させる点火器10と、を有し、ハウジング4の外周上には頭付ボルト30a,30bが溶接等により溶着されている。フィルタ室8にはフィルタ材7が装着される。
ハウジング4は、一端部3が開放し、その他端部2が閉塞した有底筒状である。一端部3は、好ましくは円筒状である。ハウジング4の他端部2は、丸みを帯びた形状、角ばった形状等何でも良いが、図面にあるような平底形状(図1参照)又は凸曲面形状が好ましい。このため、ハウジング4内の圧力が上昇した場合であっても、変形することがない。また、他端部2がこのように閉塞しているため、一端部3のみを封止すればよく、部品点数を減少することができるとともに、封止部分を一端部3の一箇所のみとすることができるため、ガス発生器1の安全性を高めるとともに、小型化することが可能となる。また、ハウジング4の形状は、その周面が図2に示すようなストレートな筒状であるが、仕切り部材9を後述する方法でかしめて固定する場合、図1のような凹凸のある筒状となる。尚、ハウジング4は、例えばステンレス、アルミニウム、鉄等の金属で形成されている。
また、ハウジング4の他端部2の外周にはガス放出孔11が設けられている。ガス放出孔11は、ガス放出時にガス発生器に推進力を生じない位置、例えばフィルタ室8の円筒部20に設けることが好ましく、また、複数個設けられても良く、同一外周上に90度毎に4個設けられるのが好ましい。これらガス放出孔11から、燃焼室6内でガス発生剤5の燃焼により発生した高温・高圧のガスが、フィルタ室8に装着されているフィルタ材7を通過して、冷却、ろ過されて放出される。
仕切り部材9は、平たい環状板で、孔18を有する。この仕切り部材9は、一端部3からハウジング4内の所定の位置に挿入された後、ハウジング4の外周部分からかしめられることで、ハウジング4内で固定され、ハウジング4内をフィルタ室8とガス発生剤室(燃焼室)6とに仕切っている。サイド用エアバッグ等を膨張させるのに好適に使用される本実施形態のガス発生器1では、ガス発生剤5等の薬剤を比較的多く使用するので、仕切り部材9を用いてフィルタ室8と燃焼室6とを仕切ることで、ガス発生剤5の燃焼熱によるフィルタ材7の損傷を防止することが好ましい。仕切り部材9は、例えば、ステンレス、鉄等でできている。
燃焼室6内には、円柱状のガス発生剤5及びエンハンサ剤14が、直接接触しつつ、ガス発生剤5の層とエンハンサ剤14の層の2層にわけられて充填されている。エンハンサ剤14は、クッション材15によって、振動により粉状化しないように保護されている。
ガス放出孔11が位置するハウジング4の内周側、仕切り部材9のどちらか一方又は双方には、例えばアルミニウムテープ等のシール部材16が貼付される。これによりハウジング4内をシールしている。シール部材16は、仕切り部材9の上面に貼付され、ガス放出孔11側には貼付されないことが好ましい。シール部材16は、孔18の径よりも4mm以上大きいものであっても良い。仕切り部材9への貼り付けは、簡便であり、この貼り付けは、ガス発生器1の製造コストの低減になりうる。
ハウジング4の一端部3には、点火器10を保持するホルダ12が装着されて、ハウジング4の一端部3を閉鎖している。点火器10としては、塞栓がプラスチック、樹脂で形成されているものが好ましい。これによって、低コスト化が可能となるからである。もちろん、従来から用いられている、塞栓がガラスで形成されているものを使用することもできる。また、ホルダ12は、ハウジング4の一端部3に嵌挿され、ハウジング4の軸端部13とともにかしめられることによって、ハウジング4に保持されて、ハウジング4の一端部3を閉鎖する。
ハウジング4には車両に取り付けるための取り付け部材として頭付ボルト30a,30bが、ハウジング4に穿孔されたガス放出孔11に被らないようにハウジング4の周面上の同一軸方向に並設して溶接等により溶着されている。図2に第1実施形態のガス発生器のハウジング4の外観を示す。頭付ボルト30a,30b間の距離w1は、車両(図示せず)に設けられたエアバッグ取付用穴間の距離w1と等しい。また、頭付ボルト30a,30bの長さh1は、エアバッグモジュールを介して車両にナットで取り付けるのに適宜な長さである。この頭付ボルト30a,30bの頭部には、図3に示すように、ハウジング4の外周面と同程度の曲率R1を有する湾曲部101が形成されており、ハウジング4の外周φ1に略密着できる。なお、頭付ボルトの数は2つでなくても良い。頭付ボルト30a,30bは鉄やステンレス等、ハウジングに溶接し易い金属が好ましい。
図1において、フィルタ材7は、例えば、メリヤス編み金網、平織り金網やクリンプ織り金属線材の集合体によって、例えば円柱状又は円筒状の形状のもの、好ましくは円筒状のものが用いられる。ハウジング4の他端部2が平底形状を有するガス発生器では、フィルタ材7は、円筒状又は円柱状の形状を有するものが好ましく、図1では、円筒状の形状を有するものが例示されている。また、このフィルタ材7は、ハウジング4の他端部2の先端部分に当接して装着されている。そして、ハウジング4内を区画する金属等によって形成されている仕切り部材9によってハウジング4の他端部2に押えられて固定されている。
クッション材15には、点火器10からの火炎の威力を遅延なく、確実にエンハンサ剤14に伝達するための十字状の切欠きが形成されている。クッション材15としては、例えば、セラミックスファイバー、発泡シリコン等で形成されたシリコンゴムやシリコン発泡体等の弾性材を用いて形成することが好ましい。
ここで、点火器10について図4〜図6を用いて説明する。
点火器10は、図4に示すように、1対の互いに絶縁された電極ピン82,83を有する塞栓84と、塞栓84に取り付けられる薄膜ブリッジ85とで構成されている。そして、電極ピン82,83を通して薄膜ブリッジ85に電流を供給し、薄膜ブリッジ85を作動させて第1管体89内に装填されている火薬86,87を着火する構造となっている。
塞栓84は、ステンレス、アルミニウム、銅、鉄等の金属で形成されている。また、この塞栓84から延伸する1対の電極ピン82,83は、塞栓84と同様に ステンレス、アルミニウム、銅、鉄等の金属で形成されている。そして、これら電極ピン82,83は、塞栓84内では、ガラス、樹脂等の絶縁体91でその周囲が覆われ、互いに絶縁されている。また、これら電極ピン82,83の端面は、塞栓84の頭部95と略同一面となるように設けられている。
図5は、薄膜ブリッジ85が塞栓84の凹部92に埋設されている部分の拡大平面図である。図6は、図5におけるA−A’線断面を示す図である。
薄膜ブリッジ85は、図5及び図6に示すように、塞栓84に形成された凹部92に埋設され、塞栓84及び電極ピン82,83と略同一面となるように設置されている。凹部92は、その溝深さh10が、通常0.2mmを超え1mm以下、好ましくは0.2mmを越え0.75mm以下、より好ましくは0.2mmを越え0.5mm以下であるため、薄膜ブリッジ85が埋設された場合に、電極ピン82,83の頭部との段差h20を1mm以下、好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.2mm以下とすることによって、ワイヤーボンディングのループ高さh30を低くすることができる。また、図6に示すように、ワイヤー88を寝かした状態でワイヤー88の周面を用いて接続する、いわゆる横付けが容易に行える。このように、ワイヤー88のループ高さh30が通常1mm以下、好ましくは0.5mm以下、更に好ましくは0.2mm以下であるため、ワイヤー88に火薬等の装填時に押し付け圧力が作用した場合であっても、ワイヤー88の断線を防止することができる。なお、ワイヤー88としては、金又はアルミニウムが好ましい。これによって、電極ピン82,83から薄膜ブリッジ85に確実に電流を供給することが可能となる。また、ワイヤー88の線径は通常10μm〜500μm、好ましくは20μm〜500μm、更に好ましくは100μm〜500μmとすることにより、より確実に電極ピン82,83から薄膜ブリッジ85に電流を供給することが可能となる。
薄膜ブリッジ85と、電極ピン82,83を接合するワイヤー88は、図5に示すように、薄膜ブリッジ85の電極パッド96の表面に掛け渡されるようにして接続されている。この際、前述したように、薄膜ブリッジ85と塞栓84及び電極ピン82,83の頭部95とが略均一面となるように塞栓84の凹部92に設置されているため、いわゆる横付けでワイヤー88を接合することができる。また、この場合、図中に1点鎖線(AとA’の間の線)で示すように、一方の電極パッド96からワイヤー88を塞栓84のヘッダー金属部94に接続することで、アースを取ることが容易に行われる。なお、これら、ワイヤー88によって電極ピン82,83とワイヤーボンディングされる電極パッド96は、反応性金属、例えば、チタン等と、反応性絶縁物、例えば、ホウ素等を交互に積層した積層体93の表面に熱蒸着等によって形成された金、アルミニウム、ニッケル、チタン等で構成されている。
薄膜ブリッジ85は、発熱抵抗体、反応性物質を使用したリアクティブ型ブリッジ、ショック型ブリッジ等いずれのものでも使用することができる。これらは、Si基板やAl等のセラミックス基板上にLIGA(Lithographie Galva-noformung, Abfprmung(X線を利用した微細加工技術))プロセスや、スパッタリング等の公知技術によって形成されている。特に、リアクティブ型ブリッジは、小エネルギーで安定して作動するという点で好ましい。
本実施形態に示すリアクティブ型の薄膜ブリッジ85は、図6に示すように、基板97の表面に形成された反応性金属、例えば、チタン等と、反応性絶縁物、例えば、ホウ素等を交互に積層した積層体93によるブリッジとその表面を覆う金属等の導電性材料で形成される電極パッド96とで構成されている。図5、図6において電極パッド96は、積層体93の上に位置している。
積層体93に使用される反応性金属としては、チタンの他に、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム等がある。また、反応絶縁物としては、ホウ素の他に、カルシウム、マンガン、シリコン等がある。このような積層体93を有する薄膜ブリッジ85は、ブリッジ部に電流が流れて活性化すると、反応性金属と反応性絶縁物が反応し、ホットプラズマとなって放出される。そして、このプラズマは、装填されている火薬を効率良く着火することができる。
本実施形態に係る点火器10は、図4に示すように、まず、第1管体89内に火薬86,87を装填した後、薄膜ブリッジ85を塞栓84に形成された凹部92に設置して、電極ピン82,83とワイヤー88によってワイヤーボンディングによって接続した後、第1管体89に嵌合する。このとき、塞栓84を火薬86側に押し付けるようにした場合であっても、以上説明してきたように、薄膜ブリッジ85と塞栓84内に埋設されて、電極ピン82,83といわゆる横付けといわれるワイヤーボンディングで接続されているため、断線等するおそれがない。このようにして、第1管体89に塞栓84を嵌合した後、この第1管体89を第2管体90に挿入し、ホルダ98内にインサート成形する。これによって、自動車等の各種安全装置に用いられるガス発生器用の点火器等に好適に使用できる。
以上のように構成される点火器10は、電極ピン82,83に電流が供給されることによって、薄膜ブリッジ85が作動し、従来の電橋線によるものに比べ、約1/10の速さである数μ秒単位で効率良く火薬86,87を点火することが可能となる。また、薄膜ブリッジ85で発生した熱エネルギーにより効率良く火薬を点火することができるため、点火遅れ等のバラツキの低減が可能となる。
なお、点火器10は、前述の実施形態に限定されるものでなく、電極ピン82,83と薄膜ブリッジ85とをワイヤーボンディングによって確実に接続することができるため、例えば、電極ピン82,83のいずれか一方と、薄膜ブリッジ85との間にASIC(Application specific integrated circuit)等を介在させ、同様にワイヤーボンディングによって接続することも可能である。
このようなガス発生器に収納されるガス発生剤5としては、非アジド系組成物であって、例えば燃料と、酸化剤と、添加剤(バインダ、スラグ形成剤、燃焼調整剤)とで構成されるものを使用することができる。
燃料としては、例えば含窒素化合物が挙げられる。含窒素化合物としては、例えばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体、ウレア誘導体、アンミン錯体から選ばれる1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。
トリアゾール誘導体の具体例としては、例えば5−オキソ−1,2,4−トリアゾール、アミノトリアゾール等を挙げることができる。テトラゾール誘導体の具体例としては、例えばテトラゾール、5−アミノテトラゾール、硝酸アミノテトラゾール、ニトロアミノテトラゾール、5,5’−ビ−1H−テトラゾール、5,5’−ビ−1H−テトラゾールジアンモニウム塩、5,5’−アゾテトラゾールジグアニジウム塩等が挙げられる。グアニジン誘導体の具体例としては、例えばグアニジン、ニトログアニジン、シアノグアニジン、トリアミノグアニジン硝酸塩、硝酸グアニジン、硝酸アミノグアニジン、炭酸グアニジン等が挙げられる。アゾジカルボンアミド誘導体の具体例としては、例えばアゾジカルボンアミド等が挙げられる。ヒドラジン誘導体の具体例としては、例えばカルボヒドラジド、カルボヒドラジド硝酸塩錯体、蓚酸ジヒドラジド、ヒドラジン硝酸塩錯体等が挙げられる。ウレア誘導体としては、例えばビウレットが挙げられる。アンミン錯体としては、例えばヘキサアンミン銅錯体、ヘキサアンミンコバルト錯体、テトラアンミン銅錯体、テトラアンミン亜鉛錯体等が挙げられる。
これらの含窒素化合物の中でもテトラゾール誘導体及びグアニジン誘導体から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、特にニトログアニジン、硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール、硝酸アミノグアニジン、炭酸グアニジンが好ましい。
ガス発生剤5中におけるこれら含窒素化合物の配合割合は、分子式中の炭素原子、水素原子及びその他の酸化される原子の数によって異なるが、通常20〜70重量%の範囲が好ましく、30〜60重量%の範囲が特に好ましい。また、ガス発生剤に添加される酸化剤の種類により、含窒素化合物の配合割合の絶対数値は異なる。しかしながら、含窒素化合物の配合割合の絶対数値が、完全酸化理論量より多いと発生ガス中の微量CO濃度が増大する、一方、含窒素化合物の配合割合の絶対数値が、完全酸化理論量及びそれ以下になると発生ガス中の微量NO濃度が増大する。従って両者の最適バランスが保たれる範囲が最も好ましい。
酸化剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニウムから選ばれたカチオンを含む硝酸塩、亜硝酸塩、過塩素酸塩の少なくとも1種から選ばれた酸化剤が好ましい。硝酸塩以外の酸化剤、即ち亜硝酸塩、過塩素酸塩等のエアバッグインフレータ分野で多用されている酸化剤も用いることができるが、硝酸塩に比べて亜硝酸塩分子中の酸素数が減少すること又はバッグ外へ放出されやすい微粉状ミストの生成を減少させる等の観点から硝酸塩が好ましい。硝酸塩としては、例えば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム、相安定化硝酸アンモニウム、塩基性硝酸銅等を挙げることができ、硝酸ストロンチウム、相安定化硝酸アンモニウム、塩基性硝酸銅がより好ましい。
ガス発生剤5中の酸化剤の配合割合は、用いられる含窒素化合物の種類と量により絶対数値は異なるが、30〜80重量%の範囲が好ましく、特に上記のCO及びNO濃度に関連して40〜75重量%の範囲が好ましい。
添加剤であるバインダは、ガス発生剤の燃焼挙動に大幅な悪影響を与えないものであれば何れでも使用可能である。バインダとしては、例えば、カルボキシメチルセルロースの金属塩、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、ニトロセルロース、微結晶性セルロース、グアガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、澱粉等の多糖誘導体、ステアリン酸塩等の有機バインダ、二硫化モリブデン、合成ヒドロキシタルサイト、酸性白土、タルク、ベントナイト、ケイソウ土、カオリン、シリカ、アルミナ等の無機バインダを挙げることができる。
バインダの配合割合はプレス成型の場合0〜10重量%の範囲が好ましく、押出成型においては2〜15重量%の範囲であることが好ましい。添加量が多くなるに従い成型体の破壊強度が強くなる。ところが、組成物中の炭素原子及び水素原子の数が増大し、炭素原子の不完全燃焼生成物である微量COガスの濃度が高くなり、発生ガスの品質が低下する。また、ガス発生剤の燃焼を阻害することから、最低量での使用が好ましい。特に15重量%を超える量では酸化剤の相対的存在割合の増大を必要とし、ガス発生化合物の相対的割合が低下し、実用できるガス発生器システムの成立が困難となる。
また、添加剤として、バインダ以外の成分としては、スラグ形成剤を配合することができる。スラグ形成剤は、ガス発生剤中の特に酸化剤成分から発生する金属酸化物との相互作用により、ガス発生器1内のフィルタ材7でのろ過を容易にするために添加される。
スラグ形成剤としては、例えば、窒化珪素、炭化珪素、酸性白土、シリカ、ベントナイト系、カオリン系等のアルミノケイ酸塩を主成分とする天然に産する粘土、合成マイカ、合成カオリナイト、合成スメクタイト等の人工的粘土、含水マグネシウムケイ酸塩鉱物の一種であるタルク等から選ばれるものを挙げることができ、これらの中でも酸性白土又はシリカが好ましく、特に酸性白土が好ましい。スラグ形成剤の配合割合は0〜20重量%の範囲が好ましく、2〜10重量%の範囲が特に好ましい。多すぎると線燃焼速度の低下及びガス発生効率の低下をもたらし、少なすぎるとスラグ形成能を十分発揮することができない。
ガス発生剤5の好ましい組合せとしては、5−アミノテトラゾール、硝酸ストロンチウム、合成ヒドロタルサイト、及び窒化珪素を含むガス発生剤、または、硝酸グアニジン、硝酸ストロンチウム、塩基性硝酸銅、酸性白土を含むガス発生剤が挙げられる。
また、必要に応じて燃焼調節剤を添加してもよい。燃焼調整剤としては金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト、或いはヘキソーゲン、オクトーゲン、5−オキソ−3−ニトロ−1,2,4−トリアゾールといった化合火薬が使用可能である。燃焼調整剤の配合割合は0〜20重量%の範囲が好ましく、2〜10重量%の範囲が特に好ましい。多すぎるとガス発生効率の低下をもたらし、また、少なすぎると十分な燃焼速度を得ることができない。
以上のような構成によるガス発生剤5は、プレス成型或いは押出成型による成型体が好ましく、より好ましくは押出成型体で、その形状としては、例えば、ペレット状(一般に、医薬品の1つの形状である錠剤の形にあたるもの)、円柱状、筒状、ディスク状又は両端が閉鎖された中空体形状等が挙げられる。筒状には、円筒状が挙げられ、円筒状には単孔円筒状、多孔円筒状が挙げられる。両端が閉鎖された中空体形状には、両端が閉鎖された円筒状が含まれる。なお、ガス発生剤5の成型体の両端が閉鎖された状態とは、両端に開いた孔が外から内への力2つによって閉鎖された状態のことをいう。孔は、完全に塞がった状態でも、塞ぎきれていない状態でもいずれでも良い。
この、両端が閉鎖された中空体形状のガス発生剤5の製造方法の一例を説明する。前記した含窒素化合物、酸化剤、スラグ形成剤及びバインダで構成される非アジド系組成物は、まず、V型混合機、またはボールミル等によって混合される。更に水、又は溶媒(例えば、エタノール)を添加しながら混合し、湿った状態の薬塊を得ることができる。ここで、湿った状態とは、ある程度の可塑性を有する状態であり、水又は溶媒を好ましくは10〜25重量%、より好ましくは13〜18重量%含有している状態にあるものをいう。この後、この湿った状態の薬 塊をそのまま押出成型機(例えば、ダイス及び内孔用ピンを出口に備えたもの)により、外径が、好ましくは1.4mm〜4mmで、より好ましくは1.5mm〜3.5mmであり、内径が、好ましくは0.3mm〜1.2mmであり、より好ましくは0.5mm〜1.2mmの中空筒状成型体に押出成型する。その後、押出成型機で押出された中空筒状成型体を一定間隔で押圧して両端が閉鎖された筒状成型体が得られる。通常は、該中空筒状成型体を一定間隔で押圧した後、それぞれ閉鎖された窪み部分で折るようにして切断した後、通常、50〜60度の範囲で4〜10時間乾燥し、次いで、通常、105〜120度の範囲で6〜10時間乾燥という2段階による乾燥を行うことにより、端部が閉鎖された状態で、内部に空間を有した筒状のガス発生剤を得ることができる。このように得られたガス発生剤の長さは、通常、1.5〜8mmの範囲にあり、好ましくは1.5〜7mmの範囲にあり、より好ましくは2〜6.5mmの範囲にある。
また、ガス発生剤の線燃焼速度は定圧条件下で測定され、経験的に以下のVielleの式に従う。
r=aP
ここで、rは線燃焼速度、aは定数、Pは圧力、nは圧力指数を示す。この圧力指数nは、Y軸の燃焼速度の対数に対するX軸の圧力の対数プロットによる勾配を示すものである。
本実施形態に係るガス発生器に用いられるガス発生剤の好ましい線燃焼速度の範囲は、70kgf/cm下で3〜60mm/秒であり、より好ましくは5〜35mm/秒であり、また、好ましい圧力指数の範囲はn=0.90以下、より好ましくはn=0.75以下、特に好ましくはn=0.60以下である。
また、線燃焼速度を測定する方法としては、ストランドバーナ法、小型モータ法、密閉圧力容器法が一般に挙げられる。具体的には所定の大きさにプレス成型した後、表面にリストリクターを塗布することにより得られた試験片を用いて、ヒューズ切断法等により、高圧容器中で燃焼速度を測定する。この時、高圧容器内の圧力を変数に線燃焼速度測定し、上記Vielleの式から圧力指数を求めることができる。
ガス発生剤が、非アジド系ガス発生剤形成されているため、使用される原料は人体有害性の小さいものである。また、燃料成分、酸化剤成分を選択することにより、発生ガスモル当たりの発熱量を抑えることができ、ガス発生器の小型、軽量化が可能となる。
以上のように構成されるガス発生剤5と接して、燃焼室6内に充填されるエンハンサ剤14は、エンハンサ剤として、一般に用いられている次のような組成物を含むものが用いられる。B/KNOに代表される金属粉、酸化剤を含む組成物、含窒素化合物/酸化剤/金属粉を含む組成物、或いは、前述のガス発生剤5と同様の組成物等が挙げられる。含窒素化合物としては、ガス発生剤の燃料成分(アミノテトラゾール、硝酸グアニジン等)として使用可能なものが挙げられる。酸化剤としては、例えば硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸ストロンチウム等の硝酸塩が挙げられる。金属粉としては、例えばホウ素、マグネシウム、アルミニウム、マグナリウム(マグネシウム−アルミニウム合金)、チタン、ジルコニウム、タングステン等が挙げられる。好ましい組合せとしては、5−アミノテトラゾール、硝酸カリウム、ホウ素を含むもの、硝酸グアニジン、硝酸カリウム、ホウ素等を挙げることができる。そして、必要に応じて、成型用バインダを0〜10%重量含んでもよい。
また、エンハンサ剤14の形状は、プレス成型或いは押出成型による成型体が好ましく、より好ましくは押出成型体で、その形状は、ペレット状(一般に、医薬品の錠剤の形にあたるもの)、円柱状、筒状、ディスク状又は両端が閉鎖された中空体形状等が挙げられる。筒状には、例えば円筒状が挙げられ、円筒状には、例えば単孔円筒状、多孔円筒状等が挙げられる。両端が閉鎖された中空体形状には、両端が閉鎖された円筒状が含まれる。エンハンサ剤14の大きさは、1mm以上が好ましい。
そして、これらガス発生剤5及びエンハンサ剤14は、燃焼室6内に互いに接触させて充填されている。このため、ガス発生剤5の充填状況の違いによるエンハンサ剤14とガス発生剤5との距離の差が生じないため、ガス発生器1の性能を安定させることができる。また、エンハンサ剤14を好ましくは円柱状とすることで、粉状や顆粒状に比べ、エンハンサ剤14が充填される時に、ガス発生剤5の隙間に入って行きにくいために運搬中や、自動車等に取り付けた後であっても、燃焼室6内で、これらが混合することを抑制できる。このため、ガス発生器の性能をより確実に安定なものとすることができる。
上記の構成において、ガス発生器の製造方法について図1〜図3を用いて説明する。
図1において、ガス放出孔11が設けられた筒状のハウジング4を用意する。
次にハウジング4の外周であって、ハウジング4に穿孔されたガス放出孔11に被らない位置に頭付ボルト30a,30bを溶接等により溶着する。
次に、ハウジング4内に、その一端部3より、フィルタ材7、ガス発生剤5、エンハンサ剤14、クッション材15の順に充填し、点火器10がかしめ固定されているホルダ12を嵌挿する。フィルタ材7とガス発生剤5の間に、必要により仕切り部材9を設ける。
次に、上記構成のガス発生器を車両に取り付ける手順を説明する。
まず、ガス発生器をエアバッグ(図示せず)及びカバー(図示せず)内に挿入する。頭付ボルト30a,30bのネジ部はエアバッグ及びカバー内の締め付け孔(図示せず)を貫通する。このネジ部を車両のエアバッグ取り付け用孔に挿入してナットで締め付けることで、車両への取り付け固定が完了する。
次に、上記の構成におけるガス発生器の作動について図1を用いて説明する。
衝突センサが自動車の衝突を検出すると、ガス発生器1は点火器10に信号を送り、発火させる。点火器10の火炎は、クッション材15を破裂、開口した後、燃焼室6内に噴出して、エンハンサ剤14に着火し、ガス発生剤5を強制的に着火燃焼させることで、高温ガスを発生させる。このガス発生剤5の着火燃焼は、ハウジング4の端部3からフィルタ材7側へ順次移行する。
燃焼室6内での燃焼が進んで、燃焼室6が所定内圧まで上昇すると、燃焼室6内で発生した高温ガスは、孔18を通り、フィルタ材7内へ入り、ここでスラグ捕集と冷却を経て、清浄なガスとなる。この清浄なガスは、ガス放出孔11から放出される。
これによって、ガス放出孔11から放出される十分に冷却された清浄なガスは、エアベルトやエアバッグ等の内部に直接導入され、瞬時に膨張する。
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態のガス発生器を図7、図8を用いて説明する。尚、第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付記してその説明を省略する。第2実施形態の構成が第1実施形態と異なる点は、ガス発生器のハウジングの形状と、フィルタ材の形状が異なる点である。第2実施形態のガス発生器21の構成を図7に、ハウジングの形状を図8に示す。ハウジング24の他端部2が丸みを帯びた形状(ボウル形状)を有するガス発生器では、フィルタ材27は、他端部2に丸みを帯びた形状、好ましくは他端部2に丸みを帯びた円柱状又は円筒状の形状を有するものが使用される。図7では、他端部2に丸みを帯びた円柱状の形状を有するものが例示される。その他の点は第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態のガス発生器を図9を用いて説明する。本実施形態のガス発生器31は第1実施形態のガス発生器1と構成が異なり、筒状ハウジング34内は、ガス発生剤5が充填される燃焼室6とフィルタ材7が装着されるフィルタ室8に区画されておらず、フィルタ材37は長尺円筒状であって、ハウジング34の略全長に渡って配置され、筒状のフィルタ材37の内部に燃焼空間Sを形成している。
ハウジング34の周面には、燃焼空間Sから図示しないエアバッグ内に通じる複数のガス放出孔11が形成されている。ハウジング34の一端側に設けられた蓋部材39から他端部2に至る軸方向に渡って所定間隔毎に複数のガス放出孔11が順次形成されている。ハウジング34には車両に取り付けるための取り付け部材として頭付ボルト30a,30bが、ハウジング34に穿孔された前記ガス放出孔11に被らないように周面上の同一軸方向に並設して溶接等により溶着されている。前記複数のガス放出孔11は、頭付ボルト30a,30bの取り付け位置からハウジング34の周方向に180度の角度を隔てる部位に向かうにつれてガス放出孔11の開口密度が増加するように形成されていることが好ましい。前記ガス放出孔11の開口密度の増加は、前記取り付け部材の取り付け位置からハウジング34の周方向に180度の角度を隔てる部位に向かうにつれて、一つのガス放出孔11の径を大きくしていくことで行ってもよい。また、複数のガス放出孔11が同径の場合、前記取り付け部材の取り付け位置からハウジング34の周方向に180度の角度を隔てる部位に向かうにつれてガス放出孔11の個数を多くして増加させても良い。
また、ペレット状のガス発生剤5は円筒状のフィルタ材37の内部の燃焼空間Sに収納されている。
また、点火器38は、図示しない衝突センサからの衝突検出信号によって点火される点火具36と、この点火具36の点火により着火される顆粒状のエンハンサ剤14とからなる。点火具36は、蓋部材39に形成された収納孔33内に密閉状態でカシメ固定されている。この収納孔33は筒状のフィルタ材37の内部空間へ通じている。また、エンハンサ剤14は、鍔付きキャップ35内に収納されている。
鍔付きキャップ35の突出部35aは、前記フィルタ材37の内部空間内に装入されている。また、鍔付きキャップ35の突出部35aには、エンハンサ剤14の火炎をフィルタ材37内に噴出させる貫通孔35bを有する。鍔付きキャップ35の鍔部35cは、ハウジング34の内周まで延びており、蓋部材39とフィルタ材37とで挟持されることで、ハウジング34の燃焼空間Sを外部から密閉している。
次に、上記の構成における第3実施形態のガス発生器31の作動について図9を用いて説明する。衝突センサが自動車の衝突を検出すると、点火器38の点火具36を点火することで、エンハンサ剤14を着火する。このエンハンサ剤14の着火炎は、鍔付きキャップ35の貫通孔35bから燃焼空間Sへ噴出され、蓋部材39側から他端部2の方向に向かってガス発生剤5を燃焼させることで、高温ガスを発生させる。
燃焼空間Sで発生した高温ガスは、フィルタ材37に流入し、ここでスラグ捕集と冷却を経て、清浄なガスとなる。この清浄なガスは、ガス放出孔11から放出される。これによって、ガス放出孔11から放出される十分に冷却された清浄なガスは、エアベルトやエアバッグ等の内部に直接導入され、瞬時に膨張する。その他の構成は第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
[第4実施形態]
次に、本発明に係る第4実施形態のガス発生器を図10を用いて説明する。第4実施形態の構成が第3実施形態と異なる点は、フィルタ材の構成と、蓋部材39の構成である。
フィルタ材47は、ハウジング44の他端部2と蓋部材49の間で軸方向に連設された2つの円筒状のフィルタユニット47A,47Bから構成されている。フィルタユニット47Aは、ハウジング44の他端部2側に位置されている。フィルタユニット47Bは、フィルタユニット47Aに連続して蓋部材49側に配置されている。また、フィルタ材47は、フィルタユニット47Bをフィルタユニット47Aに対して高温ガスを通し難い構造とすることで、ハウジング44の軸方向でガスの通過性能を変化させている。
また、蓋部材49は、ハウジング44の一端部3を径内方に折り曲げることによりかしめ固定されている。その他の点は第3実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
[第5実施形態]
次に、本発明に係る第5実施形態のガス発生器を図11を用いて説明する。第5実施形態の構成が第3実施形態及び第4実施形態と異なる点は、フィルタ材の構成である。
フィルタ材57は、ハウジング44の他端部2と蓋部材49の間で軸方向に連設された3つの円筒状のフィルタユニット57A,57B,57Cから構成されている。フィルタユニット57Aは、ハウジング44の他端部2側に位置されている。フィルタユニット57Bは、フィルタユニット57Aに連続してハウジング44の軸方向中央に配置されている。フィルタユニット57Cは、フィルタユニット57Bに連続して蓋部材49側に配置されている。また、フィルタ材57は、フィルタユニット57Cをフィルタユニット57Bに対して高温ガスを通し難い構造とし、フィルタユニット57Bをフィルタユニット57Aに対して高温ガスを通し難い構造とすることで、ハウジング44の軸方向でガスの通過性能を3段階に変化させている。その他の点は第3実施形態及び第4実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
[第6実施形態]
次に、本発明に係る第6実施形態のガス発生器を図12を用いて説明する。第6実施形態の構成が第1実施形態と異なる点は、フィルタ材とハウジングと頭付ボルトの構成である。
ハウジング64は他端部2側の空間68が縮径した構成となっており、空間68はガス放出孔11により外部と連通している。また、フィルタ材67は筒状ではなくて芯を有し、ハウジング64の中程であって、仕切部材76と仕切部材79とに挟まれて固定されている。仕切部材79はフィルタ材67が詰まったフィルタ室8と燃焼室6とを仕切っており、孔74を有し、フィルタ材67を他端部2方向に付勢している。仕切部材76は空間68とフィルタ室8とを仕切っており、孔73とその孔73をシールするシール部材72を有してハウジング64の縮径部位にカシメ固定された仕切板76aと、フィルタ材67を一端部3方向に付勢する板バネの役目をする仕切板76bとからなる。ガス発生剤5とエンハンサ剤14は金網65により分離されて、互いに交じり合わないようにされている。
頭付ボルト60aはハウジング64に溶接された頭付ボルト60bよりもネジ部が長く、180度の間隔で穿孔された2つのガス放出孔11を貫通している。これにより、頭付ボルト60aはハウジング64を挟んでエアバッグモジュールに係合して好適にハウジング64を固定するとともに、溶接等の加工を必要としない。尚、頭付ボルト60aのネジ部の径はガス放出孔11の径と略同じであり、ガス放出孔11内でぐらつくことなくハウジング64を固定することが好ましい。また、頭付ボルト60aの頭部は縮径していないハウジング64の最大径φ1から突出せずに、ガス発生器の外形を大きくするものではないことが好ましい。この構成によれば、フィルタ材67の容積が第1実施形態に比べて大きいため、フィルタのスラグ捕集と冷却の効果を顕著にできるとともに、頭付ボルトをガス放出孔に貫通させるため、溶着に必要なコストを抑えて容易にハウジングに係合できる。尚、頭付ボルト60aは頭部或いはネジ部がハウジング64に溶接等で溶着されても良い。その他の点は第1実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
[第7実施形態]
次に、本発明に係る第7実施形態のガス発生器を図13を用いて説明する。第7実施形態の構成が第6実施形態と異なる点は、ハウジング74の外部からかしめ部75をかしめることで、フィルタ材67を固定しており、仕切部材79を使用しない点である。その他の点は第6実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
以上のように、本発明のガス発生器は、ガス発生器本来の機能を損なうことなく、取り付け部材である頭付ボルトを直接ガス発生器のハウジングに設けた構成になっている。これにより、従来別途必要であった取り付け部材を用いずにエアバッグモジュールを車両に取り付けることができる。また、エアバッグモジュールの車両への取り付け固定作業は、頭付ボルトのネジ部にナットを締め付ける一回の作業だけで済ませることができ、作業効率が極めてよい。また、ガス発生器の製造において、ガス発生剤等の薬剤を充填する前に取り付け部材である頭付ボルトをハウジングに取り付けるので、作業上安全である。
また、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明はその趣旨を超えない範囲において変更が可能である。即ち、頭付ボルトが溶接によりハウジングに溶着されていなくても良い。また、頭付ボルトの頭部に湾曲部が形成されていなくても良い。この場合であっても、頭付ボルトとハウジングとの接合強度に問題がなければ、ガス発生器として好適に使用できる。
更に、上記実施形態においてパイロ方式のガス発生器を例にとり説明したが、ハイブリッド方式のガス発生器にも好適に適用可能である。
本発明に係る第1実施形態のガス発生器の断面図である。 第1実施形態のガス発生器の外観を示す正面図である。背面図は正面図と対称に表われるため省略する。 第1実施形態のガス発生器の外観を示す底面図である。 第1実施形態のガス発生器の外観を示す上面図である。 第1実施形態のガス発生器の外観を示す右側面図である。 第1実施形態のガス発生器の外観を示す左側面図である。 本発明に係る頭付ボルトの外観を示す図である。 第1実施形態のガス発生器に用いられる点火器の断面図である。 図4の一部を拡大した要部平面を示す図である。 図5におけるA−A’線断面を示す図である。 本発明に係る第2実施形態のガス発生器の断面図である。 第2実施形態のガス発生器の外観を示す正面図である。背面図は正面図と対称に表われるため省略する。 第2実施形態のガス発生器の外観を示す底面図である。 第2実施形態のガス発生器の外観を示す上面図である。 第2実施形態のガス発生器の外観を示す右側面図である。 第2実施形態のガス発生器の外観を示す左側面図である。 本発明に係る第3実施形態のガス発生器の断面図である。 本発明に係る第4実施形態のガス発生器の断面図である。 本発明に係る第5実施形態のガス発生器の断面図である。 本発明に係る第6実施形態のガス発生器の断面図である。 本発明に係る第7実施形態のガス発生器の断面図である。
符号の説明
1 ガス発生器
2 他端部
3 一端部
4 ハウジング
5 ガス発生剤
6 燃焼室
7 フィルタ材
8 フィルタ室
9 仕切り部材
10 点火器
11 ガス放出孔
12 ホルダ
13 軸端部
14 エンハンサ剤
15 クッション材
16 シール部材
18 孔
19 空間
20 円筒部
30a,30b 取り付け部材(頭付ボルト)

Claims (3)

  1. 筒状のハウジング(4)と、
    前記ハウジング(4)内に充填される、燃焼により高温ガスを発生させるガス発生剤(5)と、
    前記ハウジング(4)内に装着されるフィルタ材(7)と、
    前記ハウジング(4)の一端部(3)に装着され、該ハウジング(4)内のガス発生剤(5)を点火燃焼させる点火器(10)と、を有してなるガス発生器(1)において、
    車両に取り付けるための頭付ボルト(30a,30b)を前記ハウジング(4)に直接設けることを特徴とするガス発生器。
  2. 前記頭付ボルト(30a,30b)を溶接により前記ハウジング(4)に溶着させる請求項1に記載のガス発生器。
  3. 前記ハウジング(4)の外周面と同程度の曲率(R1)を有する湾曲部(101)を前記頭付ボルト(30a,30b)の頭部に形成する請求項1又は2に記載のガス発生器。
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