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JP2005304877A - 皮膚貼付用粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 手切れ性に優れ、かつ、良好な肌合いを有する皮膚貼付用粘着シートを提供することを目的とする。
【解決手段】 皮膚貼付用粘着シートは、基材が、パルプ繊維と、150℃で熱融着しない繊維とを有する混合繊維を用いてなり、かつ、一定間隔で空孔を有し、この空孔の開口部が化学系バインダーで塞がれている。この空孔は、径が0.5mm〜1.5mmであることが好ましい。また、この化学系バインダーは、ガラス転移温度が0〜30℃であることが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、皮膚貼付用粘着シートに関し、特に、手切れ性、良好な肌触りを有する皮膚貼付用粘着シートに関する。
医療用の粘着シートは、一般に、基材の片面に粘着剤層が形成された構造を有しており、この基材として不織布が使用されている粘着シートは数多く存在する。このように基材が不織布からなる粘着シートは、経済的に安価であり、機械的強度や粘着性等の特性に優れたものも存在する。しかしながら、医療用粘着シートには、手で切断できるハンドカット性が要求される場合も多い。ハンドカット性を改善した粘着シートについて従来から種々の報告がなされている。
特表平7−503290号公報には、伸張性非破壊ステープル繊維及びバインダー繊維を不規則に織編した繊維状ウェブにパターンエンボス加工を行い、化学結合剤により全体的に均一に内部結合させることにより、湿潤、乾燥強度、及び、優れたハンド測定値を示し、ウェブ方向に直角な方向に容易に指で引裂くことができる不織シート材料が開示されている。特表平9−502111号公報は、バインダー含有不織ウェブを支持体とする粘着剤テープに約0.1〜1mmの連結セグメントにより分けられた一連の約0.2〜5mmのミシン目を設けることによって容易に手で引裂くことができることが開示されている。また、特表2002−526667号公報では、不織繊維と、縦横に延伸されたフィラメントと接したスクリムと、バインダーとを組み合わせた積層複合材料が提案されている。特開2002−360625号公報には、支持体がポリオレフィン不織布であり、貫通または非貫通の多数の微小孔が形成されていて、各微小孔の周辺部の不織布繊維が溶融してフィルム状になっている皮膚貼付用粘着テープが開示されている。
上記の手切れ性が付与された粘着テープでは、手で切断した際に切断面が不規則な状態で切断されることが多い。また、理想的には、プラスチックフィルムに穿孔処理を施したものが切断されたときのように、直線状に切断され、かつ、切断面がきれいであることであるが、未だこのような要求を満たす粘着テープは存在しないのである。
特表平7−503290号公報 特表平9−502111号公報 特表2002−526667号公報 特開2002−360625号公報
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明は、手切れ性に優れ、かつ、肌触りに優れた皮膚貼付用粘着シートを提供することを目的とする。
本発明の皮膚貼付用粘着シートは、基材が、パルプ繊維と、150℃で熱融着しない繊維とを有する混合繊維を用いてなり、かつ、一定間隔で空孔を有し、該空孔の開口部が化学系バインダーで塞がれていることを特徴とする。
ここで、前記空孔は、径が0.5mm〜1.5mmであることが好ましい。
また、前記化学系バインダーは、ガラス転移温度が0℃以上、30℃以下であることが好ましい。
本発明において、皮膚貼付用粘着シートは、前記150℃で熱融着しない繊維がポリエステル繊維であることができる。
また、前記混合繊維は湿式法によって形成されることが好ましい。
本発明によれば、手切れ性に優れ、かつ、肌触りなどとのバランスがとれた皮膚貼付用粘着シートを提供することができる。
発明を実施するための形態
本発明の皮膚貼付用粘着シートは、基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を有する。基材は、パルプ繊維と、150℃で熱融着しない繊維とを有する混合繊維を用いて成る不織布である。この不織布には、空孔が設けられており、この空孔を塞ぐように、化学系バインダーと粘着剤層等が設けられている。
本発明に使用されるパルプ繊維は、繊維長など特に限定はない。
また本発明において、150℃で熱融着しない繊維は、熱融着しにくい融点の高い材料を用いて形成される。150℃で熱融着しない繊維は、化学系合成繊維であっても、それ以外の繊維であってもよく特に限定されるものではない。具体的には、木材パルプ、ラグパルプ、リンターパルプ、リネンパルプなどが挙げられる。例えば、調達のし易さ、安定性等の観点から、ポリエステル系繊維等を用いることが好ましい。
パルプ繊維と、150℃で熱融着しない繊維とを有する混合繊維を用いて不織布を形成するが、特に限定されることなく一般的な不織布製造方法を採用することができる。例えば、湿式法、乾式法、繊維ウェブを接着剤で結合するケミカルボンド法、自己接着又は接着繊維で結合するサーマルボンド法、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法等を採用することができる。本発明においては、水を使う湿式法を採用することが好ましい。具体的には、例えば、パルプ繊維と、150℃で熱融着しない繊維とを水中に均一に分散し、これをワイヤー上に流しシート状にしてから脱水、乾燥して不織布を形成することができる。
パルプ繊維と150℃で熱融着しない繊維との配合割合は、機械的強度、風合い等を考慮して決定されることが好ましい。例えば、パルプ繊維と150℃で熱融着しない繊維との配合割合は、重量比で、パルプ繊維/150℃で熱融着しない繊維=40/60〜80/20の範囲内であることが好ましい。また、不織布全体の坪量は、20g/m〜60g/mであることが好ましく、風合い及び機械的強度を考慮すると、坪量は25〜50g/mであることが特に好ましい。
混合繊維を用いて形成された不織布は、一定間隔で空孔を有する。この空孔は貫通孔でも窪み状の凹部でもよいが、貫通孔であることが好ましい。この空孔の形状としては、三角形、四角形、六角形などの多角形でも、円形、半円形、楕円形などでもよい。また、空孔の縦横の長さ比率も適宜設計することができ、例えば、一方の辺が長い長四角形、縦長の楕円形であってもよい。各形状における空孔の大きさは適宜設計することが好ましいが、空孔の径が0.5mm〜1.5mmの範囲内であることが好ましい。本発明において「径」とは、空孔における最長の長さを表すものとし、例えば、四角形の場合にはその対角線のうちの長い方の長さが0.5mm〜1.5mmの範囲内であることが好ましく、円形の場合にはその直径が0.5mm〜1.5mmの範囲内であることが好ましく、楕円形の場合にはその長径が0.5mm〜1.5mmの範囲内であることが好ましい。
本発明の皮膚貼付用粘着テープに用いられる不織布の空孔パターンを図面を用いて具体的に説明する。図1の(a)は、不織布の空孔パターンの第1の態様を示す図であり、ここでは四角形が縦横に列をなして配置されており、角が縦と横に位置するように配置されている。図1の(b)は、不織布の空孔パターンの第2の態様を示す図であり、ここでは四角形の辺が縦と横に位置するように、縦横に列をなして配置されている。図1の(c)は、不織布の空孔パターンの第3の態様を示す図であり、半円形が幅方向に列をなすように配置されている。図1の(d)は、不織布の空孔パターンの第4の態様を示す図であり、ここでは三角形が幅方向に列をなすように配置されており、各三角形の一辺が一列に位置している。
なお、図1の(a)〜図1の(d)においては、空孔と空孔との間が離れた状態で配置されている態様を示したが、空孔と空孔とが接触した状態で配置されていてもよい。
空孔は不織布上に一定間隔で形成されており、例えば、縦列(不織布の流れ方向、長手方向)及び横列(流れ方向と直角の方向、幅方向)の少なくとも一方の列において、空孔と空孔との間隔が一定であることを言う。手切れ性が要求される列の空孔と空孔との非切断部の間隔(ピッチ)は、空孔の形状、大きさ等によって適宜決定されることが好ましいが、例えば図1の(a)に示すように四角形の空孔が配置されている場合には、手切れ性が要求される列のピッチ(XまたはY)は約0.25mm〜1.25mmの範囲内であることが好ましい。なお本発明において空孔と空孔との非切断部の間隔(ピッチ)は、図1の(b)ではXまたはYで示される部分であり、図1の(c)ではYで示される部分であり、図1の(d)ではYで示される部分である。
本発明においては、空孔の形状の突起を有する金属ロール(穿孔ロール)と、加圧ロール(表面が滑らかな金属ロール)とを対抗して配置し、両ロールの接触面の間に不織布を挟んで通過させることによって、不織布に空孔を形成することができる。金属ロールには、空孔を形成するための突起が一定間隔で配置されており、先端部が尖っていてもよく、例えば、底面が菱形の四角錘でも、底面が円形の円錐でもよい。また、金属ロールは約120℃〜約180℃に加熱されていることが好ましく、加圧ロールは約50℃〜約150℃に加熱されていることが好ましい。
金属ロールと加圧ロールとの間にかかる圧力(圧着力)、および、不織布を通す速度(流れ速度)は、突起の形状、突起の温度、不織布の厚み等を考慮に入れて、不織布に適当な空孔が形成されるように設定することが好ましいが、一般的には、圧着力が、線圧で約50kg/cm〜約200kg/cmであることが好ましく、不織布を通す速度が約1m/分〜約20m/分であることが好ましい。
加圧ロールとしては、表面が平滑なステンレスロール、芯金上にシリコーンゴムを被覆した表面が平滑なゴムロール等を用いることができる。
形成された空孔は、開口側と空孔の底側が化学バインダー及び粘着剤層等によって塞がれているが、空孔の開口側が化学バインダーで塞がれていることが好ましい。化学バインダーとしては、一般的な化学バインダーを使用することができ、化学的な皮膚刺激が少なく、皮膚と接した場合に違和感を与えないような柔軟性を実現することができ、かつ、透湿性を有するものであれば、特に限定されることなく使用することができる。本発明においては、ガラス転移温度(Tg)が0℃より高く、30℃より低い化学バインダーが好ましく使用される。ガラス転移温度(Tg)が0℃以下では、ベタツキ感が発生し、取扱いが困難になり、製造上問題が生ずることがあり、また、ガラス転移温度(Tg)が30℃を超えると粘着シートが硬くなることがあり、風合いが悪くなることがある。
使用される化学バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ビニルアクリル樹脂、アセテート/エチレン、ポリ酢酸ビニル等が挙げられる。また、アクリル樹脂と接合するラテックス類、スチレン/ブタジエンゴム、酢酸ビニル/エチレン、酢酸ビニル/アクリレート類、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール類、ポリウレタン類、酢酸ビニル類、アクリル/酢酸ビニル、及び、それに類似するものを含む水ベースの化学バインダーとしてアクリルラテックスバインダー、スチレン/ブタジエンゴムラテックス、アクリル/酢酸ビニルコポリマーラテックス等が挙げられる。
例えば、水ベースの化学バインダーを、線巻きロッド、リバースロール、エアーナイフ、スプレー等を用いて不織布に塗工することにより、空孔を塞ぐことができる。
化学バインダーの使用量は、所望の特性に応じて、例えば、機械的強度(乾燥強度、湿潤強度)や引裂き特性等に応じて、適宜決定されることが好ましいが、一般的には、約3g/m〜約30g/mの範囲であることが好ましく、約5g/m〜20g/mの範囲であることが更に好ましい。
本発明においては、化学バインダーを塗布した上に、背面処理を行うことが好ましい。背面処理を行うことによって、本発明の皮膚貼付用粘着シートを巻回した状態、すなわち巻物の形態で保存した場合でもスムーズに巻き戻すことができる。例えば、シリコーン系、フッ素系等の背面処理剤を塗布等することによって背面処理を行うことが好ましい。背面処理剤の使用量は、粘着剤の種類等を考慮し適宜決定されることが好ましい。
本発明の皮膚貼付用粘着シートは、基材の一方の面に粘着剤層を有する。例えば、不織布の化学バインダーを塗布した面とは反対側の面に粘着剤層を有する。粘着剤層は、皮膚に追従できる柔軟性を有し、皮膚に対する刺激(化学的刺激、物理的刺激)が少なく、かつ、透湿性を有することが好ましく、このような要求を満たす粘着剤を用いて形成されることが好ましい。粘着剤としては、皮膚貼付用粘着テープ等に一般的に使用される粘着剤を特に限定されることなく使用することができる。例えば、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体を主成分とする合成ゴム系粘着剤、ポリウレタン系粘着剤、ポリシロキサン系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、アクリル系粘着剤等を1種または2種以上を混合して用いることができる。
粘着剤には、必要に応じて、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコールに代表される可塑剤、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸架橋体、ポリビニルピロリドンなどの水溶性又は吸水性の樹脂、ロジン系、テルペン系、石油系等の粘着付与剤、各種軟化剤、充填剤、顔料などの各種添加剤を配合することができる。
粘着剤層の厚みは、10〜100μmであることが好ましく、20〜70μmであることが好ましい。粘着剤層の厚みが10μm未満では、皮膚に貼着中、十分な接着性が発揮されないことがある。また、厚みが80μmを超えると、皮膚貼付用粘着シートに要求されるレベルの水蒸気透過性が得られないことがあるので、耐汗性を付与しにくく、また、長期間の貼付によって皮膚刺激性を発現する場合がある。
粘着剤層は基材の一方の面、例えば、不織布の化学バインダーを適用した面とは反対側の面上に直接設けられていても良いし、間接的に設けられていてもよい。ここで、「間接的」とは、粘着剤層を基材に直接接触させるのではなく、例えば、粘着剤層との投錨性を向上させるために、基材表面に下塗り剤を塗布した後、粘着剤層を形成することなどをいう。
また、粘着剤層は、不織布の一方の面の全面に設けられていてもよいし、部分的に設けられていてもよい。部分的に粘着剤層を設ける場合には、一定幅の筋状に設けてもよいし、波型の筋状に設けてもよい。また、粘着剤層を2層以上の積層体としてもよい。この場合には、例えば、粘着力の異なる粘着剤層を一方は全面に設け、その表面に、もう一方の粘着剤を部分的に設けることができる。
なお、粘着剤層は、粘着剤を溶液塗布して形成してもよいし、エマルジョン塗布しても、ホットメルト塗布してもよい。
本発明の皮膚貼付用粘着シートは、粘着剤層を保護するために、粘着剤層の上に剥離シートを有していてもよい。剥離シートとしては、粘着剤層と接する側にシリコーンなどで剥離処理されているものを使用することができる。あるいは、粘着シートを巻物状態とすることもできる。この場合には、上述したように化学バインダーを適用した面に表面処理を施しておくことが好ましい。
本発明の皮膚貼付用粘着シートは上記したような構成を有するので、はさみ等の切断具を使用することなく手で裂くことができ、しかも、皮膚に対して刺激が少なく、ムレが生じることもない。したがって、医療用途に有効である。
本発明においては、この皮膚貼付用粘着シートを用いて、絆創膏等の医療用テープやシートを形成することができる。例えば、皮膚貼付用粘着シートを適当な大きさに切断して絆創膏、テーピング用テープなどを形成したり、あるいは創傷部分を被覆する被覆材、外科手術後の当て材、カテーテルの針入部やガーゼ等のカバー材などの医療用テープ又はシートを形成したり、皮膚貼付用粘着シートに他の支持体などを組み合わせて固定用テープ、入浴用パウチ固定用テープ、器具保持テープなどの医療用製品を形成することができる。なお、本発明の皮膚貼付用粘着テープは、皮膚に貼付する用途であれば、上記医療用途以外にも使用できることは言うまでもない。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、以下の実施例において、「部」とあるのは「重量部」を意味し、「%」とあるのは「重量%」を意味する。また、以下の実施例において使用された測定方法及び評価方法を下記に示す。
<測定方法及び評価方法>
(1)手切れ性
皮膚貼付用粘着シートを、流れ方向、及び、これに直角な方向(幅方向)に25mmの長さに指で引裂いた。引裂いた方向を理想切断線と想定し、この切断面の切断縁が、理想切断線から最も離れているところの距離を求めた。すなわち、例えば流れ方向に引裂いた場合には、流れ方向と直角な方向に延びた粘着シートの切断縁までの長さのうち最大の長さを測定した。この長さが短いほど、手切れ性が良好である。上記操作を5回行い、その平均値を求めた。
(2)肌触り
皮膚貼付用粘着シートの粘着剤層とは反対側の面、すなわち化学バインダーで固定した不織布の表面を手で触って、ベタツキ感があるか否か調べた。ベタツキ感が認められたものを記号「×」、ベタツキ感を感じなかったものを記号「○」で示す。
(実施例1)
パルプ繊維とポリエステル繊維とを重量比で60:40の割合で混合して混合繊維を得た。この混合繊維を湿式法によって製紙して不織布を作製した。ただし、強度を付加するために、アクリル系樹脂を12/m含有させた。得られた不織布は坪量が35g/mであった。
次いで、作製した不織布に空孔を形成した。すなわち、図1に示すような縦および横に角を有する四角形の突起を備えた金属ロール(対角線の長さが1.0mm、ピッチ(図1におけるY)が0.5mm)を150℃に設定し、平滑面を有する加圧ロールを100℃に設定して、この金属ロールと加圧ロールとの間に不織布を、線圧が180kg/cm、速度が2.0m/minで圧着通過させた。これによって、径が0.8mmの空孔を不織布に形成した。
一方、窒素ガス雰囲気下で、2−エチルヘキシルアクリレート95部、及び、アクリル酸5部からなる単量体混合物を、酢酸エチル80部に、均一になるように溶解混合した。これに、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO)0.2部を添加して共重合反応を行い、アクリル系共重合体を得た。
このアクリル系共重合100部に対して、トリオレイン酸ソルビタン67部、及び、架橋剤として三官能性イソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業株式会社製、コロネートHL)0.14部を酢酸エチル溶媒に入れて混合溶解した。得られた溶液を、片面にシリコーン処理が施されている剥離紙のシリコーン処理面に、乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥させて、架橋された粘着剤層を形成した。
次に、形成した不織布の空孔の開口側の面に、ガラス転移温度(Tg)が10℃の化学バインダー(商品名「ボンコートR3360N」、大日本インキ化学工業(株)製)を塗布して空孔を塞いだ。また、不織布の他方の面に、形成された粘着剤層を貼り合せ、圧着した後、さらに、60℃で72時間熟成(エージング)して、本発明の皮膚貼付用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼付用粘着シートについて、手切れ性、及び、肌触りの測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、金属ロールを、径が1.5mmの金属ロール(対角線の長さ1.5mm、ピッチ0.5mm)に変更した以外は実施例1と同様にして、空孔(1.3mm径)を有する不織布を作製した。また、得られた不織布を用い、実施例1と同様にして粘着剤層を形成し、次いで、皮膚貼付用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼付用粘着シートについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3)
径が1.0mmの金属ロール(対角線の長さ1.0mm、空孔間のピッチ0.5mm)を用い、実施例1と同様にして径が0.8mmの空孔を有する不織布を作製した。次いで、ガラス転移温度が30℃の化学バインダー(商品名「ディックファインQ−500」、大日本インキ化学工業(株)製)を用いて実施例1と同様にして空孔を塞ぎ、また、不織布の他方の面に実施例1と同様にして粘着剤層を形成し、皮膚貼付用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼付用粘着シートについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)
径が1.0mmの金属ロール(対角線の長さ1.0mm、空孔間のピッチ0.5mm)を用い、実施例1と同様にして径が0.8mmの空孔を有する不織布を作製した。また、得られた不織布を用い、バインダー処理を行わない以外は実施例1と同様にして、粘着剤層を形成し、皮膚貼付用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼付用粘着シートについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、パルプ繊維/ポリエステル繊維からなる不織布の替わりに、ポリプロピレン系不織布(商品名「P03025」、大日化成(株)製)を用いた。このポリプロピレン系不織布に、実施例1と同様にして、径が0.8mmの空孔を有する不織布を作製した。また、得られた不織布を用い、実施例1と同様にして粘着剤層を形成し、次いで、皮膚貼付用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼付用粘着シートについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例3)
金属ロールによる空孔形成を行わない以外は実施例1と同様にして、皮膚貼付用粘着シートを作製した。
得られた皮膚貼付用粘着シートについて、実施例1と同様の測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2005304877
表1から明らかなように、実施例1〜3の皮膚貼付用粘着シートは、縦および横ともに優れた手切れ性を示し、肌触りも良好であった。また、これらの皮膚貼付用粘着シートは、剥離時に皮膚面に対して物理的刺激や化学的刺激をほとんど与えることがなかった。
一方、比較例2〜3の皮膚貼付用粘着シートは、縦方向及び横方向の手切れ性が共に2.0以上であり、手切れ性に劣ったものであることが分かった。また、比較例1の皮膚貼付用粘着シートは、肌触りの評価において劣っているものであることが分かった。
本発明の皮膚貼付用粘着シートは、種々の大きさのシート状、テープ状等の形態で使用することがで、また、ロール状形態で保存することもできる。これらの皮膚貼付用粘着シートは、皮膚貼付用途、例えば医療衛生分野、外用用途等の分野で使用することができ、具体的には、絆創膏、粘着包帯、ドレッシング材、テーピング用テープ等に好適に使用される。
(a)は本発明に係る不織布の空孔パターンの第1の態様を示す図であり、(b)は本発明に係る不織布の空孔パターンの第2の態様を示す図であり、(c)は本発明に係る不織布の空孔パターンの第3の態様を示す図であり、(d)は本発明に係る不織布の空孔パターンの第1の態様を示す図である。
符号の説明
X、Y、X、Y、Y、Y 非切断部の間隔(ピッチ)

Claims (5)

  1. 基材が、パルプ繊維と、150℃で熱融着しない繊維とを有する混合繊維を用いてなり、かつ、一定間隔で空孔を有し、該空孔の開口部が化学系バインダーで塞がれていることを特徴とする皮膚貼付用粘着シート。
  2. 前記空孔は、径が0.5mm〜1.5mmであることを特徴とする請求項1記載の皮膚貼付用粘着シート。
  3. 前記化学系バインダーは、ガラス転移温度が0℃以上、30℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚貼付用粘着シート。
  4. 前記150℃で熱融着しない繊維がポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の皮膚貼付用粘着シート。
  5. 前記混合繊維が湿式法によって形成されることを特徴とする請求項1又は2記載の皮膚貼付用粘着シート。
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