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JP2005347449A - 軟磁性粉末及びその用途 - Google Patents

軟磁性粉末及びその用途 Download PDF

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Motoharu Fukazawa
元晴 深澤
Toshitaka Yamagata
利貴 山縣
Masato Kawano
正人 川野
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Abstract

【課題】電磁波吸収性、又は電磁波吸収性と放熱性とに優れた樹脂及びゴムの少なくとも一方の組成物、この組成物に使用される軟磁性粉末、この組成物の硬化物からなる成型物、及びこの成型物で構成された電子機器に好適な放熱部材を提供する。
【解決手段】頻度粒度分布において、10μm以上50μm以下の領域に極大値Aと、0.5μm以上10μm未満の領域に極大値Bとを有することを特徴とする軟磁性粉末。上記軟磁性粉末と熱伝導性無機粉末とからなることを特徴とする無機粉末組成物。樹脂及びゴムの少なくとも一方に、上記軟磁性粉末を含有させてなることを特徴とする有機材料。樹脂及びゴムの少なくとも一方に、上記無機粉末組成物を含有させてなることを特徴とする有機材料組成物。上記有機材料又は有機材料組成物の硬化物からなることを特徴とする成型物。上記成型物で構成されてなることを特徴とする放熱部材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、軟磁性粉末及びその用途に関する。
近年、急速に発達してきたデジタルカメラ、パソコン、テレビ等の電子機器に用いられているCPU等の半導体素子は、ますます小型化、高集積化され、それにともなって電磁波障害と放熱対策も一段と厳しいものとなっている。これに対応するため、シリコーンゴムに軟磁性金属粉末と熱伝導性フィラーを含有させたシリコーンゴム組成物(特許文献1)や、シリコーンゲルに金属酸化物磁性粒子と熱伝導性充填剤とを含有させたシリコーンゲル組成物(特許文献2)等が提案されている。
特開2001−294752号公報 特開平11−335472号公報
本発明の目的は、電磁波吸収性、又は電磁波吸収性と放熱性とに優れた樹脂及びゴムの少なくとも一方の組成物、この組成物に使用される軟磁性粉末、この組成物の硬化物からなる成型物、及びこの成型物で構成された電子機器に好適な放熱部材を提供することである。
本発明は、頻度粒度分布において、10μm以上50μm以下の領域に極大値Aと、0.5μm以上10μm未満の領域に極大値Bとを有することを特徴とする軟磁性粉末である。この場合において、(1)極大値Bの頻度に対する極大値Aの頻度の比率{(極大値Aの頻度)/(極大値Bの頻度)}が1〜8であること、(2)10μm以上50μm以下の粒子が50〜80体積%、0.5μm以上10μm未満の粒子が20〜50体積%であること、(3)軟磁性粉末が、鉄、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−Cr−Si合金、Fe−Cr−Al合金、Fe−Al−Si合金の鉄合金、Mg−Znフェライト、Mn−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Cu−Znフェライト、Mg−Mn−Srフェライト、Ni−Znフェライトから選ばれた少なくとも1種の粉末であること、の実施態様から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。
また、本発明は、上記軟磁性粉末と熱伝導性無機粉末とからなることを特徴とする無機粉末組成物である。この場合において、(4)熱伝導性無機粉末が、銅、アルミニウム、アルミナ、シリカ、亜鉛華、マグネシア、チタニア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素及び炭化ケイ素から選ばれた少なくとも1種の粉末であること、(5)軟磁性粉末が40〜97体積%、熱伝導性無機粉末が3〜60体積%の割合で無機粉末組成物が構成されていること、(6)軟磁性粉末が、平均粒子径が20μm以上のセンダスト粉末であり、熱伝導性無機粉末が、平均粒子径が0.1〜2μmのアルミナ粉末であること、の実施態様から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。
また、本発明は、樹脂及びゴムの少なくとも一方に、上記軟磁性粉末を含有させてなることを特徴とする有機材料である。この場合において、(7)軟磁性粉末の含有率が50〜80体積%であること、(8)樹脂及びゴムの少なくとも一方が、シリコーンであること、の実施態様から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。
また、本発明は、樹脂及びゴムの少なくとも一方に、上記無機粉末組成物を含有させてなることを特徴とする有機材料組成物である。この場合において、(9)無機粉末組成物の含有率が50〜80体積%であること、(10)樹脂及びゴムの少なくとも一方が、シリコーンであること、の実施態様から選ばれた少なくとも1つであることが好ましい。
また、本発明は、上記有機材料及び有機材料組成物から選ばれた1種の硬化物からなることを特徴とする成型物である。
さらに、本発明は、上記成型物で構成されてなることを特徴とする放熱部材である。この場合において、熱伝導率が1W/m・K以上、透磁率が2以上、アスカーC硬度が80以下であることが好ましい。
本発明によれば、電磁波吸収性、更には電磁吸収性と放熱性とに優れた成型物を得ることのできる樹脂及びゴムの少なくとも一方(以下、「樹脂等」ともいう。)の組成物、この組成物に用いられる軟磁性粉末、この組成物の硬化物からなる成型物、及びこの成型物で構成された放熱部材が提供される。
本発明の軟磁性粉末は、10μm以上50μm以下の領域と、1μm以上10μm未満の領域とに極大値を有するものである。10μm以上50μm以下の領域に極大値Aを有する軟磁性粉末(以下、「粗大軟磁性粉末」ともいう。)は、電磁波吸収材料の主材である。粗大軟磁性粉末の領域の上限が50μmをこえると、例えばシート状としたとき表面に凹凸が発生し良好なシートが得られなくなる恐れがあり、また下限が10μm未満であると、高充填したとき樹脂組成物の粘度が上昇しこれまた良好なシートが得られなく恐れがある。一方、1μm以上10μm未満の領域に極大値Bを有する軟磁性粉末(以下、「微細軟磁性粉末」ともいう。)は、粗大軟磁性粉末の隙間に容易に入り込むことができる粒子であり、これによって軟磁性粒子同士の接触点数が増えるので、粗大軟磁性性粉末のベアリングとして機能する。微細軟磁性粉末の領域の上限が10以上であると、粗大軟磁性粉末となり微細軟磁性粉末を用いる意義がなくなる。また、下限が1μm未満であると、樹脂組成物の粘度が高くなり良好なシートが得られなくなる恐れがある。
粗大軟磁性粉末の含有率は、電磁波吸収性能の点から本発明の軟磁性粉末中、50〜80体積%、特に60〜70体積%であることが好ましく、微細軟磁性粉末の含有率は20〜50体積%、特に30〜40体積%であることが好ましい。さらには、高充填し電磁波吸収性を更に向上させる点から、微細軟磁性粉末の極大値Bの頻度に対する粗大軟磁性粉末の極大値Aの頻度の比率{(極大値Aの頻度)/(極大値Bの頻度)}が1〜8、特に1.5〜5であることが好ましい。
本発明の軟磁性粉末は、粗大軟磁性粉末と微細軟磁性粉末とを混合することによって製造することができる。この場合において、樹脂等への混合性の点から、軟磁性粉末の全てが粗大軟磁性粉末と微細軟磁性粉末とで構成されていることが好ましいが、最大で5体積%までの他の粒子径を有する軟磁性粉末を含有していてもよい。また、電磁波吸収性の他に放熱性を付与するためには、積極的に熱伝導性無機粉末と併用することが好ましく、これについては後記する。
軟磁性粉末の材質を例示すれば、鉄、例えばFe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−Cr−Si合金、Fe−Cr−Al合金、Fe−Al−Si合金の鉄合金、例えばMg−Znフェライト、Mn−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Cu−Znフェライト、Mg−Mn−Srフェライト、Ni−Znフェライト等のフェライト系物質などの電磁波吸収特性を有する粉末から選ばれた少なくとも1種である。平均粒子径が20μm以上であることが好ましい。平均粒子径が20μmよりも著しく小さいと、樹脂等、特にシリコーンと混合したときに混合物の粘度が著しく高くなるので、高充填するのに悪影響を及ぼす恐れがある。これらの中でも、Fe−Al−Si合金、特に平均粒子径が25〜75μmであるセンダストは、樹脂等と組み合わされたときに大きな電磁波吸収性を示し、また錆びにくいので、信頼性、長期の保存安定性にも優れた樹脂等の組成物となる。軟磁性粉末の平均粒子径は、例えばL&N社製粒度分布計「マイクロトラックSP−A」を用いて測定することができる。
本発明の無機粉末組成物は、上記軟磁性粉末と熱伝導性無機粉末との混合物からなるものである。なかでも、軟磁性粉末が40〜97体積%、特に85〜95体積%で、熱伝導性無機粉末が3〜60体積%、特に5〜15体積%で構成されていることが好ましい。本発明の無機粉末組成物を樹脂等に混合することによって、電磁波吸収性と放熱性(熱伝導性)とに優れた樹脂等の組成物が得られ、電子機器等の電磁波障害と放熱対策のとられた放熱部材が提供される。
熱伝導性無機粉末を例示すると、例えば銅、アルミニウム、アルミナ、シリカ、亜鉛華、マグネシア、チタニア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素などの熱伝導性を有する粉末から選ばれた少なくとも1種である。熱伝導性フィラーの平均粒子径は10μm以下、特に3μm以下であることが好ましく、中でも平均粒子径が0.1〜2μmであるアルミナ粉末は、耐酸化性、耐湿性などの化学的安定性と熱伝導性付与能力の総合点で最も優れている。熱伝導性無機粉末の平均粒子径が10μmよりも著しく大きいと、高充填することに悪影響を及ぼし、熱伝導性の付与効果が小さくなって放熱性が低下する恐れがある。また、樹脂等への混合性の点から、熱伝導性無機粉末は球状や多面体形状であることが好ましい。
本発明の有機材料は、樹脂等に上記軟磁性粉末が混合されたものであり、また本発明の有機材料組成物は、樹脂等に上記無機粉末組成物が混合されたものである。さらに、難燃剤、反応遅延剤、架橋剤、シランカップリング剤などの常套の表面処理剤や、シリコーンオイルなどは適宜使用することができる。軟磁性粉末又は無機粉末組成物の含有率は、電磁波吸収性又は電磁波吸収性及び放熱性と、均質な成型物例えばシートを得る点とから、50〜80体積、特に60〜70体積%であることが好ましい。
樹脂等のゴムとしては、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合体等を用いることができる。また、樹脂等の樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリル−アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム−スチレン)樹脂等を用いることができる。
これらの中でも、放熱部材用としては、シリコーンゲル、シリコーンゴム又はその両方であることが好ましい。両方である場合、シリコーンゲルとシリコーンゴムの合計100質量部あたりシリコーンゲルの下限は75質量部が好ましく、特に80質量部であることが好ましい。また、上限は95質量部が好ましく、特に90質量部であることが好ましい。シリコーンゲルの割合が75質量部よりも著しく小さいと、ゲル状成分が少なくなるために成型物の柔軟性が小さくなり、95質量部よりも著しく大きいと、ゴム状成分が少なくなるために強度が小さくなる。
シリコーンゲルは、付加反応型シリコーンゲル及び縮合反応型シリコーンゲルの少なくとも一方であることが好ましく、またシリコーンゴムは、付加反応型シリコーンゴム及び過酸化物加硫タイプのシリコーンゴムの少なくとも一方であることが好ましい。これらのシリコーンゲル、シリコーンゴムのいずれにおいても、平均組成式が、RnSiO(4-n)/2(式中、Rは同一又は異種の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。)、で示されるオルガノポリシロキサンをベースポリマーとしたものが好ましい。これの詳細については特許文献1の段落0018〜0031に記載されており、本発明においても特許文献1に記載されたものを不都合なく使用することができる。
さらに述べれば、シリコーンゲル、シリコーンゴムとしては、例えば付加反応により加硫する液状シリコーンゴムや液状シリコーンゲル、過酸化物を加硫剤とする熱加硫型ミラブルタイプのシリコーンゴムやシリコーンゲルなどを使用することができるが、本発明の組成物の用途が放熱部材であるときは、CPU等の発熱面とヒートシンク等の放熱面との密着性を高め、また異なった高さで配置されたCPU等を傷つけずに覆う柔軟性を持たせるために、付加反応型の液状シリコーンゴムと液状シリコーンゲルが特に好ましい。
付加反応型液状シリコーンの具体例としては、例えば一分子中にビニル基とH−Si基の両方を有する一液性のシリコーン、又は末端あるいは側鎖にビニル基を有するオルガノポリシロキサンと末端あるいは側鎖に2個以上のH−Si基を有するオルガノポリシロキサンの二液性のシリコーンなどをあげることができる。このような付加反応型液状シリコーンの市販品としては、ゲル状のものとして、例えば東芝シリコーン社製、商品名「XE14−8530」など、ゴム状のものとしては、例えば東芝シリコーン社製、商品名「YE5822」などがある。
本発明の成型物は、上記有機材料又は有機材料組成物の硬化物からなるものである。本発明の成型物は、原料の混合・成形・硬化工程を経て製造される。混合には、ロールミル、ニーダー、バンバリーミキサー等の混合機が用いられる。成形方法は、ドクターブレード法が好ましいが、樹脂等の粘度によって押し出し法、プレス法、カレンダーロール法などを用いることができる。硬化は、一般的な熱風乾燥機、遠赤外乾燥機、マイクロ波乾燥機等を用いて行うことができ、硬化温度は例えば50〜200℃であることが好ましい。
本発明の成型物は、電磁波吸収又は電磁波吸収と放熱とが要求される各種の用途に供される。その一例が、電子機器の放熱部材である。電子機器の放熱部材とは、例えばCPU等を放熱フィンや金属板等のヒートシンクに取り付ける際の介在物である。放熱部材の厚みは0.1〜6mm、特に0.2〜2mmのシート形状が一般的である。シートの平面形状は、CPU等の電子部品と密着できる形状ないしは埋没できる形状であればよく、例えば三角形、四角形、六角形などの多角形、円形、楕円形等である。さらには、表面に密着ないしは埋没しやすいように凹凸を付けることもできる。
本発明の放熱部材は、熱伝導率が1W/m・K以上、透磁率が2以上、アスカーC硬度が80以下であることが好ましく、これによってCPU等とヒートシンク等との密着性が高まるのでノイズ減衰効果が大きくなり、また放熱性にも優れたものとなるのでヒートシンクへの熱の伝達も容易となる。これらの特性は、上記範囲内で、特に軟磁性粉末と熱伝導性無機粉末の含有率と硬化度合を調整することによって実現できる。
実施例1〜6 比較例1〜2
表1に示される粗大軟磁性粉末(センダスト粉末)、微細軟磁性粉末(センダスト粉末)及び熱伝導性無機粉末(アルミナ粉末)を種々混合して、軟磁性粉末と無機粉末組成物を調整した。これらと、シリコーンA液(ビニル基を有するオルガノポリシロキサン)及びシリコーンB液(H−Si基を有するオルガノポリシロキサン)からなる二液の付加反応型液状シリコーンゲル(GE東芝シリコーン社製商品名「XE8530」)とを表2に示す体積部割合で混合し、硬化可能な有機材料又は有機材料組成物を製造した。これを、室温において真空脱泡後、ドクターブレード法にてシート(厚み1mm)に成形した後、120℃の乾燥機に6時間静置して加硫・硬化させて成型物(放熱部材)を製造した。この成型物について、(イ)熱伝導率、(ロ)アスカーC硬度(柔軟性)及び(ハ)透磁率を測定した。それらの結果を表2に示す。
(イ)熱伝導率:成型物をTO−3型銅製ヒーターケースと銅板との間に挟み、成型物厚みの10%を圧縮した後、銅製ヒーターケースに電力5Wをかけて4分間保持し、銅製ヒーターケースと銅板との温度差を測定し、熱伝導率(W/m・k)={電力(W)×厚み(m)}/{温度差(k)×測定面積(m)}、にて算出した。
(ロ)アスカーC硬度(柔軟性): アスカーC硬度計(高分子計器製商品名「ASKER CL−150」)を用いて測定した。
(ハ)透磁率:成型物をトロイダルコア状(内径3mm、外径7mm)に打ち抜いた厚さ0.5mmの試料を、測定精度を高めるために3枚重ねて同軸線路に装填し(同軸導波管用いたSパラメータ法:参考文献:橋本 修 著「電波吸収体のはなし」p68〜69 2001年6月29日 日刊工業新聞社)、Agilent Technologies社製ネットワークアナライザーを用いて100MHzから5GHzまでの周波数域における複素透磁率の虚数部(μ‘’)を自動測定し、その最大値を表2に示した。
実施例7
二液の付加反応型液状シリコーンゲルのかわりに、二液の付加反応型液状シリコーンゲル(東芝シリコーン社製、商品名「XE14−8530」)60質量部とシリコーンオイル(信越化学社製、商品名「KF96−100CS」)40質量部との混合物を用い、軟磁性粉末と熱伝導性無機粉末の割合を変えたこと以外は、実施例6に準じて成型物を製造した。
Figure 2005347449
Figure 2005347449
表1、表2からわかるように、本発明の軟磁性粉末用いて製造された有機材料の成型物(実施例1〜5)は比較例に比べて透磁率が大きいものであった。また、本発明の無機粉末組成物を用いて製造された有機材料組成物の成型物(実施例6、7)は、比較例に比べて透磁率と熱伝導率がいずれも大きくなり、熱伝導率が2.0W/m・K以上、透磁率が3以上、アスカーC硬度が80以下の成型物(放熱部材)が製造された。とくに、シリコーンゲルとシリコーンオイルを併用することによって軟磁性粉末を高充填することができるので、透磁率、熱伝導率が更に向上した(実施例6と実施例7の対比)。
なお、軟磁性粉末として、センダスト粉末のかわりに、鉄、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−Cr−Si合金、Fe−Cr−Al合金、Mg−Znフェライト、Mn−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Cu−Znフェライト、Mg−Mn−Srフェライト又はNi−Znフェライトの各粉末を、本発明のような粗大軟磁性粉末と微細軟磁性粉末の粒度構成として用いたこと以外は、上記実施例と比較例に準じて放熱部材を製造した。その結果、電磁波吸収性は、センダスト粉末を用いたときよりも小さくなったが、それでも本発明のような粒度構成をとることによって電磁波吸収性は増大し、その大きさはセンダスト粉末の場合とほぼ同様な傾向であった。
さらには、熱伝導性無機粉末として、アルミナ粉末のかわりに、銅、アルミニウム、シリカ、亜鉛華、マグネシア、チタニア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素又は炭化ケイ素の各粉末を用い、本発明の軟磁性粉末と適宜組み合わせ使用して放熱部材を製造したところ、熱伝導性無機粉末としてのアルミナ粉末は、耐酸化性、耐湿性などの化学的安定性と熱伝導性付与能力の総合点で最も優れていたが、それ以外の熱伝導性無機粉末を用いても熱伝導性が向上することを確認した。
本発明の軟磁性粉末は電磁波吸収を有する成型物の製造に用いられ、また本発明の無機粉末組成物は、電磁波吸収と熱伝導性(放熱性)を有する成型物の製造に用いられる。本発明の有機材料及び有機材料組成物は、電磁波吸収性、又は電磁波吸収性と放熱性をもつ成型物等の製造に使用される。本発明の成型物は、例えば電子機器の電磁波吸収と放熱を行う放熱部材として使用される。

Claims (17)

  1. 頻度粒度分布において、10μm以上50μm以下の領域に極大値Aと、0.5μm以上10μm未満の領域に極大値Bとを有することを特徴とする軟磁性粉末。
  2. 極大値Bの頻度に対する極大値Aの頻度の比率{(極大値Aの頻度)/(極大値Bの頻度)}が1〜8であることを特徴とする請求項1記載の軟磁性粉末。
  3. 10μm以上50μm以下の粒子が50〜80体積%、0.5μm以上10μm未満の粒子が20〜50体積%であることを特徴とする請求項1又は2記載の軟磁性粉末。
  4. 軟磁性粉末が、鉄、Fe−Ni合金、Fe−Co合金、Fe−Cr合金、Fe−Si合金、Fe−Al合金、Fe−Cr−Si合金、Fe−Cr−Al合金、Fe−Al−Si合金の鉄合金、Mg−Znフェライト、Mn−Znフェライト、Mn−Mgフェライト、Cu−Znフェライト、Mg−Mn−Srフェライト、Ni−Znフェライトから選ばれた少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項1〜3に記載のいずれかの軟磁性粉末。
  5. 請求項1〜4に記載のいずれかの軟磁性粉末と熱伝導性無機粉末とからなることを特徴とする無機粉末組成物。
  6. 軟磁性粉末が40〜97体積%、熱伝導性無機粉末が3〜60体積%であることを特徴とする請求項5記載の無機粉末組成物。
  7. 熱伝導性無機粉末が、銅、アルミニウム、アルミナ、シリカ、亜鉛華、マグネシア、チタニア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素及び炭化ケイ素から選ばれた少なくとも1種の粉末であることを特徴とする請求項5又は6記載の無機粉末組成物。
  8. 軟磁性粉末が、平均粒子径が20μm以上のセンダスト粉末であり、熱伝導性無機粉末が、平均粒子径が0.1〜2μmのアルミナ粉末であることを特徴とする請求項7記載の無機粉末組成物。
  9. 樹脂及びゴムの少なくとも一方に、請求項1〜4記載のいずれかの軟磁性粉末を含有させてなることを特徴とする有機材料。
  10. 軟磁性粉末の含有率が50〜80体積%であることを特徴とする請求項9記載の有機材料。
  11. 樹脂及びゴムの少なくとも一方が、シリコーンであることを特徴とする請求項9又は10記載の有機材料。
  12. 樹脂及びゴムの少なくとも一方に、請求項5〜8に記載のいずれかの無機粉末組成物を含有させてなることを特徴とする有機材料組成物。
  13. 無機粉末組成物の含有率が50〜80体積%であることを特徴とする請求項12記載の有機材料組成物。
  14. 樹脂及びゴムの少なくとも一方が、シリコーンであることを特徴とする請求項12又は13記載の有機材料組成物。
  15. 請求項9〜14に記載のいずれかの有機材料又は有機材料組成物の硬化物からなることを特徴とする成型物。
  16. 請求項15記載の成型物で構成されてなることを特徴とする放熱部材。
  17. 熱伝導率が1W/m・K以上、透磁率が2以上、アスカーC硬度が80以下であることを特徴とする請求項16記載の放熱部材。
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