JP2005227014A - タイヤの摩耗寿命の予測方法及びタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの摩耗寿命の予測が外れる可能性を予め評価すること。
【解決手段】このタイヤの摩耗寿命の予測方法は、タイヤの摩耗寿命を予測するにあたり、まず、摩擦エネルギー可変式の摩耗試験機により摩擦エネルギーを変化させて、タイヤを構成するゴム材料の摩耗量を求める(ステップS101)。次に、求めた摩擦エネルギーと摩耗量との関係を表す近似式を求め(ステップS102)、この近似式の相関係数を算出する(ステップS103)。そして、求めた相関係数に基づいて、ゴム材料のロバストネスを評価するとともに(ステップS104)、ロバストネスの大きさに基づいて、タイヤの摩耗寿命の予測精度を予測し、これを評価する(ステップS105)。
【選択図】 図2
【解決手段】このタイヤの摩耗寿命の予測方法は、タイヤの摩耗寿命を予測するにあたり、まず、摩擦エネルギー可変式の摩耗試験機により摩擦エネルギーを変化させて、タイヤを構成するゴム材料の摩耗量を求める(ステップS101)。次に、求めた摩擦エネルギーと摩耗量との関係を表す近似式を求め(ステップS102)、この近似式の相関係数を算出する(ステップS103)。そして、求めた相関係数に基づいて、ゴム材料のロバストネスを評価するとともに(ステップS104)、ロバストネスの大きさに基づいて、タイヤの摩耗寿命の予測精度を予測し、これを評価する(ステップS105)。
【選択図】 図2
Description
本発明は、タイヤの摩耗寿命の予測に関し、さらに詳しくは、タイヤの摩耗寿命の予測が外れる可能性を予め評価できる技術に関する。
タイヤの摩耗寿命を予測するにあたっては、タイヤを構成するトレッドゴムの摩耗性能を評価するさまざまな方法が知られている。このようなタイヤの摩耗寿命を予測する方法として、例えば特許文献1には、制動力やトー角等がタイヤに付与されている状態におけるそれぞれの摩擦エネルギーの総和と、タイヤトレッド部のゴムの摩耗抵抗指数とに基づいて、タイヤの摩耗寿命を予測する方法が提案されている。
しかし、特許文献1に開示された方法や従来の予測方法は、車両が平均的な走行条件下で走行している場合におけるタイヤの摩耗寿命を予測するものである。そして、平均的な走行条件下で発生する摩擦力を超えた摩擦力が加わった際の摩耗寿命については考慮されていない。その結果、特許文献1に開示された方法や従来の予測方法によって予測したタイヤの摩耗寿命は、使用条件によって実際の摩耗寿命と大きく外れる場合があった。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タイヤの摩耗寿命の予測が実際の摩耗寿命に対して外れる可能性を予め評価できるタイヤの摩耗寿命の予測方法及びタイヤの製造方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法は、タイヤの摩耗寿命を予測するにあたり、摩擦エネルギーを変化させて、前記タイヤを構成するゴム材料の摩耗量を求める手順と、前記摩擦エネルギーと前記摩耗量との関係を表す近似式を求めるとともに、この近似式の相関係数を求める手順と、前記相関係数に基づいて、前記ゴム材料のロバストネスを評価する手順と、前記ロバストネスの大きさに基づいて、前記タイヤの摩耗寿命の予測精度を評価する手順と、を含むことを特徴とする。
このタイヤの摩耗寿命の予測方法では、実験により求めたタイヤを構成するゴム材料の摩耗量と摩擦エネルギーとの関係を近似式で表し、この近似式の相関係数を、前記ゴム材料のロバストネスを評価する尺度として用いる。そして、例えば、評価した前記ロバストネスの大きさが所定値よりも小さい場合には、タイヤの摩耗寿命の予測値と、実際の摩耗寿命とが大きく外れる可能性が高いと判定する。これにより、タイヤの摩耗寿命の予測が実際の摩耗寿命に対して外れる可能性を予め評価できる。
また、本発明に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法は、前記タイヤの摩耗寿命の予測方法において、前記摩擦エネルギーは、少なくとも3段階に変化させることを特徴とする。
このようにすれば、必要最小限の実験回数で摩耗量と摩擦エネルギーとの関係を求め、タイヤを構成するゴム材料のロバストネスを評価できる。これにより、実験回数を低減して、評価負担を軽減することができる。
また、本発明に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法は、前記タイヤの摩耗寿命の予測方法において、前記摩擦エネルギーと前記摩耗量との対数を1次式により近似することを特徴とする。
このように、前記摩擦エネルギーと前記摩耗量との対数を1次式により近似すれば、簡易に、かつ必要十分な精度で相関係数を求めることができる。
また、本発明に係るタイヤの製造方法は、前記タイヤの摩耗寿命の予測方法により評価したタイヤの摩耗寿命の予測精度が、所定の基準値以上であるゴム材料を選定する手順と、選定した前記ゴム材料を用いてグリーンタイヤを製造する手順と、前記グリーンタイヤを加硫する手順と、を含むことを特徴とする。
このタイヤの製造方法では、前記タイヤの摩耗寿命の予測方法により選定したゴム材料によりタイヤを製造するので、タイヤの摩耗寿命の予測が実際の摩耗寿命に対して外れるゴム材料を予め排除して、タイヤを製造することができる。これにより、異常に早い摩耗が発生するタイヤが製造されるおそれを低減できる。
この発明に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法及びタイヤの製造方法では、タイヤの摩耗寿命の予測が外れる可能性を予め評価できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。本発明は、タイヤを構成するゴム材料を選定する際に好適に適用でき、空気入りタイヤ、乗用車用タイヤ、あるいは重荷重用タイヤを問わず、タイヤ一般に対して好適に適用できる。また、本発明は、タイヤを構成するゴム材料のうち、摩耗が生ずるタイヤのゴム材料全般に対して適用できるが、特にトレッドゴムのゴム材料に対して好適に適用できる。以下の実施例では、トレッドゴムのゴム材料を例として説明する。
この実施例に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法は、タイヤを構成するゴム材料の摩耗評価試験の結果から求めた相関係数により前記ゴム材料のロバストネス(頑健さ)を評価し、これに基づきタイヤの摩耗寿命を予測する点に特徴がある。そして、この実施例に係るタイヤの製造方法は、前記タイヤの摩耗寿命の予測方法によって予測したタイヤの摩耗寿命に基づいて選定したゴム材料を用いてタイヤを製造する点に特徴がある。
まず、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法を適用する対象であるタイヤについて説明する。図1は、タイヤの子午面を含む一部の断面を示す一部断面図である。タイヤ1は、カーカスや補強ベルト等をゴム材料によって被覆した複合材料であり、トレッド面5が地面と接地する。タイヤ内面4とトレッド面5との間にはアンダートレッド6が設けられている。そして、トレッド面5とアンダートレッド6との間のゴム層をキャップトレッド7といい、キャップトレッドを構成するゴム材料をトレッドゴムという。トレッド面5には複数の溝2及び複数のブロック3が形成されている。そして、複数の溝2及び複数のブロック3により、トレッド面5にはトレッドパターンが形成される。
タイヤ1が車両に取り付けられて転動すると、トレッドゴムが摩耗する結果、タイヤ1のトレッド面5が摩耗する。従来のタイヤの摩耗寿命予測技術においては、平均的な運転条件の下でトレッド面5に摩擦力が加わった場合、タイヤ1の摩耗寿命の予測値と実際の摩耗寿命とは大きく相違しない。平均的な運転条件を超えた場合、タイヤ1のトレッド面5には想定したよりも大きな摩擦力が作用する。このような場合、従来のタイヤの摩耗寿命予測技術では、タイヤ1の摩耗寿命の予測値と実際の摩耗寿命とが大きく相違することがある。
このような従来技術の問題点を解決するため、本発明者は、鋭意研究の結果、トレッドゴムに用いるゴム材料のロバストネスと、タイヤ1の摩耗寿命の予測が外れる可能性との相関が高いことを見出した。また、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法においてゴム材料のロバストネスを評価する際に用いる摩擦エネルギーと摩耗量との近似式の相関係数Rは、通常、実験の正確性を評価するために用いるものであり、ゴム材料のロバストネスを評価するためには用いられていなかった。しかし、本発明者は、前記相関係数によりゴム材料のロバストネスが評価できるとともに、タイヤの摩耗寿命の予測が外れる可能性を評価できることを見出した。その結果、本発明者は本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の実施例に係るタイヤの摩耗寿命予測方法では、トレッドゴムを構成するゴム材料のロバストネスを予め評価する。これにより、タイヤ1に対して予想を越えた摩擦力が作用した場合に、タイヤ1の摩耗寿命の予測値が実際の摩耗寿命と相違する可能性を予め評価する。次に、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命予測方法の予測手順、及びこの実施例に係るタイヤの製造方法手順について説明する。なお、以下の説明においては、適宜図1を参照されたい。
図2は、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命予測方法の予測手順を含むタイヤの製造方法を示すフローチャートである。まず、摩擦エネルギーを可変してゴム材料の摩耗試験を実行できる摩耗試験機を用いて、摩耗寿命の予測対象であるタイヤ1のトレッドゴムに用いるゴム材料の摩耗量を、前記摩擦エネルギーを少なくとも3段階に変化させて測定する(ステップS101)。これにより、異なる摩擦エネルギーに対してそれぞれ前記ゴム材料の摩耗係数を求めることができる。なお、摩擦エネルギーは、負荷荷重又はスリップ率の少なくとも一方を変更することにより変化させることができる。このように、前記摩擦エネルギーを少なくとも3段階に変化させれば、必要最小限の実験回数で摩耗量と摩擦エネルギーとの関係を求め、タイヤを構成するゴム材料のロバストネスを評価できる。その結果、実験回数を低減して、評価負担を軽減することができる。
このような摩耗試験機には、例えばJIS K 6264に規定されるランボーン摩耗試験機があるが、摩擦エネルギーを可変できれば、他の摩耗試験機を用いてもよい。ここで、ゴム材料の摩耗量は、摩擦エネルギーを少なくとも3段階に変化させて測定すればよいが、後述する対数近似の精度を向上させる観点から、5段階以上に摩擦エネルギーを変化させて測定することが好ましい。
一般に、ゴム材料の摩耗量A(cm3)は、式(1)で表すことができる。
A=M×W・・・(1)
ここで、Mは、ゴム摩耗係数(cm3/J)であり、Wは、摩擦エネルギー(J)である。この実施例に係るタイヤの摩耗寿命予測方法では、前記摩耗量Aと、ゴム摩耗係数Mと、摩擦エネルギーWとの関係を、式(1)の両辺を対数表示した式(2)により対数近似する(ステップS102)。
Y=X+b・・・(2)
ここで、Y=LogA、X=LogW、b=LogMであり、式(2)は、傾きが常に1になるようにそれぞれの対数表示したデータを1次式で近似する。これにより、簡易に、かつ必要十分な精度で相関係数を求めることができる。また、b=(ΣYi−ΣXi)/nで求めることができる(nは自然数であり、上記摩耗試験により取得したデータ数)。
A=M×W・・・(1)
ここで、Mは、ゴム摩耗係数(cm3/J)であり、Wは、摩擦エネルギー(J)である。この実施例に係るタイヤの摩耗寿命予測方法では、前記摩耗量Aと、ゴム摩耗係数Mと、摩擦エネルギーWとの関係を、式(1)の両辺を対数表示した式(2)により対数近似する(ステップS102)。
Y=X+b・・・(2)
ここで、Y=LogA、X=LogW、b=LogMであり、式(2)は、傾きが常に1になるようにそれぞれの対数表示したデータを1次式で近似する。これにより、簡易に、かつ必要十分な精度で相関係数を求めることができる。また、b=(ΣYi−ΣXi)/nで求めることができる(nは自然数であり、上記摩耗試験により取得したデータ数)。
摩耗試験により取得した各データを1次式で対数近似したら、各データと、近似式LogA=LogW+LogMとの相関係数Rを求める(ステップS103)。これは、式(3)から求めることができる。
R=100×(1−√(Σ(Yi−(Xi+LogM))2/(n−1))/(ΣYi/n))・・・(3)
R=100×(1−√(Σ(Yi−(Xi+LogM))2/(n−1))/(ΣYi/n))・・・(3)
式(3)により求めた相関係数Rを、タイヤ1のトレッドゴムを構成するゴム材料のロバストネスを評価する尺度とし、これにより前記ゴム材料のロバストネスを評価する(ステップS104)。次に、求めた相関係数Rにより、ゴム材料のロバストネスを評価する手順について説明する。
図3−1〜図3−3は、摩耗試験により取得した各データを対数近似した例を示す説明図である。図3−1は、相関係数R1が大きいゴム材料の例であり、図3−2は、データのバラツキが大きい結果、相関係数R2が小さくなったゴム材料の例である(R1>R2)。図3−3は、各データの直線性(図3−3中、一点鎖線で示す直線)は良好であるが、傾きCが1から外れる結果、相関係数R3が小さくなったゴム材料の例である(R1>R3)。このような結果が得られた場合、相関係数R1が大きい図3−1に示すゴム材料は、ロバストネスが高く、相関係数R2が小さい図3−2に示すゴム材料は、ロバストネスが低いと評価する。同様に、相関係数R3が小さい図3−3に示すゴム材料も、ロバストネスが低いと評価する。
ゴム材料のロバストネスを評価したら、その評価結果に基づいて、タイヤの摩耗寿命を予測し、予測の精度を評価する(ステップS105)。タイヤの摩耗寿命は、図3−1や図3−2等に示した、対数表示した摩耗量Aと摩擦エネルギーWとの関係から求めることができる。例えば、タイヤ1の限界摩耗量であるAlimを生じさせる総摩擦エネルギーΣWを求めることにより、タイヤの摩耗寿命を予測することができる。タイヤの摩耗寿命の予測精度は、次の手順により求めることができる。次に、この手順について説明する。
ゴム材料のロバストネスを予め評価して、ロバストネスの高いゴム材料をトレッドゴムに用いたタイヤ1は、その摩耗寿命の予測値と実際の摩耗寿命とは概ね合致し、タイヤの摩耗寿命の予測精度は高くなる。しかし、ロバストネスの低いゴム材料をトレッドゴムに用いたタイヤ1は、その摩耗寿命の予測値と実際の摩耗寿命とは大きく相違することが多く、タイヤの摩耗寿命の予測精度は低くなる。
従来の評価方法では、平均的な運転条件しか想定していなかったため、平均を超えるような運転条件下でタイヤ1が使用された場合には想定したよりも大きな摩擦力が作用して、実際の摩耗寿命が予測値に対して大きく外れる場合が多かった。また、従来の評価方法では、摩耗量Aのばらつきを考慮せず、複数の試験条件下で求めた摩耗量Aの平均値によりタイヤ1の摩耗寿命を評価していた。すなわち、図3−1のゴム材料も、図3−2のゴム材料も平均値(両図の実線)で評価すれば、同程度の摩耗寿命と評価していた。このため、図3−2のゴム材料も選択される可能性があり、このようなゴム材料を用いたタイヤ1は、実際の摩耗寿命が予測値に対して大きく外れる場合が多かった。このような場合、例えば、タイヤ1が異常に早く摩耗するという現象が発生する。
しかし、実施例1に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法では、上述したように、タイヤ1に用いるゴム材料のロバストネスを評価し、これに基づいてタイヤの摩耗寿命の予測精度を予め評価する。これにより、異常に早い摩耗がタイヤ1に発生することを予測できるので、実際の摩耗寿命が予測値に対して大きく外れる可能性のあるゴム材料を予め選定しない、あるいはそのようなゴム材料は改良して使用する等の対策を予め講ずることができる。なお、上記ステップS101〜ステップS105までが、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法に含まれる一連の手順である。
タイヤ1の摩耗寿命を予測するとともにその予測精度を評価したら、タイヤ1の仕様に応じてゴム材料を選定する(ステップS106)。この際には、摩耗寿命が長いものでも、ロバストネスの低いゴム材料は選定しないようにする。すなわち、摩耗寿命がタイヤ1の仕様に適合するゴム材料のうち、ロバストネスが所定の基準値(例えば相関係数Rが70%)以上のゴム材料を選定する。
ゴム材料を選定したら、そのゴム材料を混練し(ステップS107)、混練後の前記ゴム材料を用いてグリーンタイヤを製造する(ステップS108)。その後、加硫金型に当該グリーンタイヤを入れて加硫して(ステップS109)、タイヤ1が完成する(ステップS110)。このタイヤ1は、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法により選定したゴム材料を使用するので、予測したタイヤの摩耗寿命と概ね合致した摩耗寿命を発揮できる。なお、上記ステップS101〜ステップS110までが、この実施例に係るタイヤの製造方法に含まれる手順である。
以上、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法では、タイヤの摩耗寿命の予測が外れる可能性を予め評価できるので、異常に早い摩耗がタイヤに発生することを予測できる。その結果、そのようなゴム材料は予めタイヤのゴム材料として使用しない、あるいはゴム材料の設計を変更する等の対策をとることができる。また、この実施例に係るタイヤの製造方法では、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法により選定したゴム材料によりタイヤを製造する。これにより、タイヤの摩耗寿命の予測が実際の摩耗寿命に対して外れるゴム材料を予め排除して、タイヤを製造することができる。その結果、異常に早い摩耗が発生するタイヤが製造されるおそれを低減できる。
(評価例)
次に、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法により、タイヤの摩耗寿命を予測し、予測精度を評価した一例について説明する。図4は、タイヤを構成するゴム材料の摩耗量と摩擦エネルギーとの関係を対数表示した一例を示す説明図である。また、表1は、図4にプロットしたデータの詳細を示す。なお、図4及び表1は、測定した摩耗量と摩擦エネルギーとを対数表示したものである。
次に、この実施例に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法により、タイヤの摩耗寿命を予測し、予測精度を評価した一例について説明する。図4は、タイヤを構成するゴム材料の摩耗量と摩擦エネルギーとの関係を対数表示した一例を示す説明図である。また、表1は、図4にプロットしたデータの詳細を示す。なお、図4及び表1は、測定した摩耗量と摩擦エネルギーとを対数表示したものである。
ゴム材料の摩耗量の試験は、JIS K 6264に規定するランボーン摩耗試験機を用いた。試験条件は、負荷荷重を25Nとし、スリップ率は10から50%に変化させた。図4に示すように、各試験条件下における摩耗量と摩擦エネルギーとは、良好な直線性を示すとともに、傾きもほぼ1である。このときのΣYは3.52、ΣXは−10.99、b(=LogM)は3.63である。また、相関係数R=93%であり、このゴム材料は、ロバストネスが高いと評価できる。このゴム材料を用いて試作したタイヤの摩耗寿命を評価したところ、図4から予測した摩耗寿命と概ね一致し、実施例1に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法の有効性が確認できた。
以上のように、本発明に係るタイヤの摩耗寿命の予測方法及びタイヤの製造方法は、タイヤの摩耗寿命の予測に有用であり、特に、タイヤの摩耗寿命の予測が外れる可能性を予め評価することに適している。
1 タイヤ
5 トレッド面
6 アンダートレッド
7 キャップトレッド
5 トレッド面
6 アンダートレッド
7 キャップトレッド
Claims (4)
- タイヤの摩耗寿命を予測するにあたり、
摩擦エネルギーを変化させて、前記タイヤを構成するゴム材料の摩耗量を求める手順と、
前記摩擦エネルギーと前記摩耗量との関係を表す近似式を求めるとともに、この近似式の相関係数を求める手順と、
前記相関係数に基づいて、前記ゴム材料のロバストネスを評価する手順と、
前記ロバストネスの大きさに基づいて、前記タイヤの摩耗寿命の予測精度を評価する手順と、
を含むことを特徴とするタイヤの摩耗寿命の予測方法。 - 前記摩擦エネルギーは、少なくとも3段階に変化させることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの摩耗寿命の予測方法。
- 前記摩擦エネルギーと前記摩耗量との対数を1次式により近似することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤの摩耗寿命の予測方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤの摩耗寿命の予測方法により評価したタイヤの摩耗寿命の予測精度が、所定の基準値以上であるゴム材料を選定する手順と、
選定した前記ゴム材料を用いてグリーンタイヤを製造する手順と、
前記グリーンタイヤを加硫する手順と、
を含むことを特徴とするタイヤの製造方法。
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JP2004033432A JP2005227014A (ja) | 2004-02-10 | 2004-02-10 | タイヤの摩耗寿命の予測方法及びタイヤの製造方法 |
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