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JP2005218963A - 水素透過用部材およびその製造方法 - Google Patents

水素透過用部材およびその製造方法 Download PDF

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JP2005218963A JP2004029736A JP2004029736A JP2005218963A JP 2005218963 A JP2005218963 A JP 2005218963A JP 2004029736 A JP2004029736 A JP 2004029736A JP 2004029736 A JP2004029736 A JP 2004029736A JP 2005218963 A JP2005218963 A JP 2005218963A
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Abstract

【課題】 燃料電池の燃料に用いる水素を精製するための分離装置への適用も可能な水素透過性能の優れた水素透過用部材を提供する。
【解決手段】
通気性多孔質金属支持体(1)と、バリア層(2)と、金属層(3)と、水素透過金属箔(4)とからなる水素透過用部材において、金属層(3)を形成するバリア層(2)の表面にスパッタエッチングを施し、また、水素透過金属箔(4)が、V、NbおよびTaのうち少なくとも1種を含む金属膜をPdまたはPd合金で被覆したものからなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水素を含む混合ガスから、水素を選択的に透過および分離する水素分離装置における水素透過用部材およびその製造方法に関する。
近年、深刻化している大気環境の悪化を改善するための手段の一つとして、各種の新しい低公害エネルギーが求められている。低公害エネルギーの一つとして、水素を使用したエンジンおよび燃料電池があり、これらの装置の燃料として使用する水素を、効率よく安価に製造することが、低公害エネルギーの普及に役立つことになる。
水素の精製方法としては、選択的に水素のみを透過させるPd膜を使用し、水素を含む混合ガスから水素を分離する水素分離法が知られている。Pdは、常温で約900倍の体積の水素を原子として吸収することができる。
Pd膜を利用した水素の精製方法は、概略以下のとおりである。すなわち、PdまたはPd合金からなる薄膜のPd膜で、円筒状のチューブを作り、一端を密封溶接して、チューブの外側に、加圧された原料水素ガスを供給し、一定温度まで加熱すると、チューブの表面に接触している水素分子は、原子状に解離し、Pdと固溶体を形成して、Pd内に取り込まれる。取り込まれた水素原子は、チューブの内外の水素分圧の差により、水素分圧が高いチューブの外側から、水素分圧が低いチューブの内側へ拡散し、チューブの内側表面で、再度、水素分子となる。原料水素ガスに含有される多くの不純物は、Pdとは反応しないため、チューブの外側に残存する。このようにして、水素は完全に精製されるが、精製後の水素純度は99.99999%以上であり、通常、投入された水素の95%以上を精製できるといわれている。
前記Pd膜は、半導体用シリコン製造等に用いる還元ガスなどの高純度水素を精製するための装置用部材として、使用されている。また、前記Pd膜は、近年、前述のように燃料電池の燃料に用いる水素を精製するための分離装置に適用することが考えられている。
前記Pd膜のような水素透過膜は、その支持のために、および、透過した水素をガスとして流し出すために、通気性多孔質金属支持体の上に形成され、水素透過膜と通気性多孔質金属支持体とで水素透過用部材を形成する。
水素透過用部材の製造方法としては、たとえば、特開昭63−294925号公報には、多数の小孔を有する多孔質ガラス(通気性多孔質金属支持体)の上に、水素透過膜を形成することが記載されている。また、特開平5-285357号公報には、通気性金属多孔質支持体の表面に、耐熱性酸化物の膜を形成し、該耐熱性酸化物の膜の上に水素透過膜を形成して通気性多孔質金属支持体とすることで、通気性金属多孔性支持体の金属成分と水素透過膜のPdとの熱拡散反応を防止することが記載されている。この場合、耐熱性酸化物は、バリア層として作用する。
さらに、特開平7-51552号公報では、通気性多孔質金属支持体の表面に、バリア層となる耐熱性酸化物を形成し、その上にPdを含有する水素透過金属箔を拡散接合させることが記載されている。
これらの従来技術による水素透過用部材を、図3により説明する。この水素透過用部材では、通気性多孔質金属支持体(1)に、真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリングで、アルミナなどからなるバリア層(2)を形成した後、該バリア層(2)の上に、メッキ、真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリングで、水素透過膜(4)を形成している。
バリア層(2)を形成した通気性多孔質金属支持体(1)は、通気性を確保しておく必要があるが、水素透過用部材となった際に、通気性多孔質金属支持体(1)にある貫通細孔は、閉塞されている必要がある。前記貫通細孔に未閉塞部があると、ピンホールとなって、水素透過側への不純物混入の原因となってしまう。
しかし、この従来技術のように水素透過用部材を形成した場合、貫通細孔の内面に形成されるバリア層(2)は、充分な厚みが得られない。そのため、貫通細孔内に侵入した水素透過膜(4)と通気性多孔質金属支持体(1)とが接触して、通気性多孔質金属支持体(1)の金属成分が、水素透過膜(4)中に熱拡散してしまい、水素透過性能に劣化をもたらすという問題があった。
一方、図4に示すように、バリア層(2)と水素透過膜(4)との間に、Ag、Au、Pt、Al、PdおよびNiからなる群から選択される1種以上の元素からなる金属層(7)を、さらに設けて、その上に、水素透過膜(4)を接合させることにより形成する水素透過用部材が、特開2001−286742号公報に開示されている。この場合、直接、積層した場合に比べて、通気性多孔質金属支持体(1)と水素透過膜(4)とが接触し難くなり、かつ、バリア層(2)と水素透過膜(4)との接合強度が大幅に向上するため、熱拡散による水素透過性能の劣化防止を改善でき、さらに、高圧下におけるリークの発生などを防止できる。しかしながら、バリア層(2)の表面に残っている不純物や不活性ガスが存在するため、バリア層(2)と金属層(7)との密着が弱く、その間でのリークが発生するおそれがあり、また、はなはだしくは水素透過膜(4)が剥離脱落してしまうという問題があった。
特開昭63−294925号公報
特開平5-285357号公報
特開平7-51552号公報
特開2001−286742号公報
本発明は、水素透過膜と通気性多孔質金属支持体が接触して、通気性多孔質金属支持体の金属成分が、水素透過膜中に熱拡散してしまう問題や、通気性多孔質金属支持体の表面に形成されたバリア層と、水素透過膜との密着性の問題などを解決し、燃料電池の燃料に用いる水素を精製するための分離装置への適用も可能な水素透過性能の優れた水素透過用部材を提供することを目的とする。
本発明の水素透過用部材は、通気性多孔質金属支持体と、該通気性多孔質金属支持体の表面に形成された膜厚0.01〜2μmのバリア層と、該バリア層の表面に形成された膜厚0.01〜2μmの金属層と、該金属層の表面に接合された膜厚20μm以下の水素透過金属箔とからなる水素透過用部材において、バリア層の表面にスパッタエッチングが施される。
前記水素透過金属箔が、Pd、Pd合金のうち少なくとも1種を含む1層以上の金属膜からなることが望ましい。あるいは、前記水素透過金属箔が、V、NbおよびTaのうち少なくとも1種を含む金属膜をPdまたはPd合金で被覆したものからなることが望ましい。
前記バリア層が、Al、Cr、SiおよびTiのうち少なくとも1種の酸化物または窒化物からなることが望ましい。
前記金属層が、スパッタリングで形成されたPdまたはPd合金からなることが望ましい。
本発明の水素透過用部材の製造方法は、通気性多孔質金属支持体の表面に、膜厚0.01〜2μmのバリア層を形成し、該バリア層の表面をスパッタエッチングした後、膜厚0.01〜2μmの金属層を形成し、該金属層の表面に、膜厚20μm以下の水素透過金属箔を接合する。
前記金属層を、PdまたはPd合金のターゲットを使用して、スパッタリング法により形成することが望ましい。
また、非通気性基板の表面に、前記水素透過金属箔を、メッキ、真空蒸着またはスパッタリング法により、Pd、Pd合金のうち少なくとも1種を含む1層以上の金属膜を形成した後、形成された水素透過金属箔を前記非通気性基板から剥離することにより、前記水素透過金属箔を得ることが望ましい。あるいは、非通気性基板の表面に、前記水素透過金属箔を、スパッタリング法により、PdまたはPd合金の層、V、NbおよびTaのうち少なくとも1種を含む金属膜、PdまたはPd合金の層を順次形成した後、形成された水素透過金属箔を前記非通気性基板から剥離することにより、前記水素透過金属箔を得ることが望ましい。
また、前記非通気性基板が、酸化物ガラス、酸化物セラミックス、および、Al、Cr、SiおよびTiの内の少なくとも1種の酸化物または窒化物からなる膜厚0.01〜2μmのバリア層を形成した金属基板のいずれかであることが望ましい。
本発明の水素透過用部材およびその製造方法により、通気性多孔質金属支持体の金属部分と水素透過金属箔とが接触しなくなり、通気性多孔質金属支持体の金属成分の拡散を防止できると同時に、スパッタリングで形成した金属層を、バリア層と水素透過金属箔の間に挟むことによって、強い密着性を得ることができた。
このように、拡散の防止および強い密着性の両立という極めて顕著な効果を得られたことにより、本発明の水素透過用部材は、燃料電池の燃料に用いる水素を精製するための分離装置への適用も可能となった。
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1および図2は、水素透過用部材の一実施例を示す概略断面図である。
通気性多孔質金属支持体(1)の表面に膜厚0.01〜2μmのバリア層(2)を形成し、バリア層(2)の表面をスパッタエッチングした後、膜厚0.01〜2μmの金属層(3)をスパッタリングで形成し、この表面に膜厚20μm以下の水素透過金属箔(4)が接合される。水素透過金属箔(4)は、Pd、Pd合金のうち少なくとも1種を含む1層以上の金属箔であってもよいし、図2のように、たとえば、水素透過金属箔(4)を、比較的表面酸化しやすいV、Ta、NbあるいはY、Ce、希土類元素を添加したPd合金とし、水素透過金属箔(5)、(6)を、酸化しにくいPd、Pd合金等とした積層構造であってもよい。
1.通気性多孔質金属支持体
前記通気性多孔質金属支持体(1)は、材質が、普通鋼やステンレス鋼等のFe合金、純Ni、Ni合金またはCr合金などである。
形状は、金属粒子を焼結することにより貫通細孔を設けたり、金網、不織布、板状体またはパイプに、機械加工、打ち抜きまたはエッチングなどによって、貫通細孔を穿設したり、種々の方法により貫通細孔を得ることができる。
2.バリア層
前記バリア層(2)は、通気性多孔質金属支持体(1)と金属層(3)との間に配設され、多数の流通孔が厚さ方向に沿って設けられており、気孔率が小さい酸化物または窒化物で形成される。
組成は、Al、Cr、SiおよびTiの内の少なくとも1種の酸化物または窒化物である。
バリア層(2)の厚さは、0.01〜2μmが必要である。0.01μmよりも薄いと、熱拡散防止効果が不十分であり、2μmよりも厚いと、貫通細孔が閉塞して、通気性がなくなるので、好ましくない。
バリア層(2)は、真空蒸着法、イオンプレーティング法またはスパッタリング法などの真空工法で作製される。たとえば、真空蒸着法では、酸化物または窒化物を蒸発源として、電子銃を用いて蒸発させ、成膜する。また、イオンプレーティング法あるいはスパッタリング法では、金属ターゲットあるいは酸化物または窒化物のターゲットを用い、酸素または窒素ガスを導入する反応性成膜を用いることができる。また、スパッタリング法では、高周波(以下RFと略す)スパッタリング法を用いるのが好ましい。
また、本発明では、金属層(3)を形成する前に、バリア層(2)の表面がスパッタエッチングされていることが必要である。スパッタエッチングは、スパッタリング装置のターゲットに印加するRF電源を、基板側へ切り替えることで行われる。したがって、バリア層(2)の形成には、スッパタエッチングまで同じ装置内で続けて行えるRFスパッタリングが、より好ましい。
3.金属層
前記金属層(3)は、図1のように、水素透過金属箔(4)とバリア層(2)との間に形成される。前述のように、金属層(3)は、バリア層(2)の表面がスパッタエッチングされてから、形成される必要がある。金属層(3)は、単層であっても良いが、異なる材質の層を複数、形成しても良い。また、水素透過金属箔(4)とバリア層(2)との間とともに、通気性多孔質金属支持体(1)とバリア層(2)との間にも形成して良い。金属層(3)は、スパッタリング法で形成されたPdあるいはPd合金であることが好ましい。水素透過金属箔(4)に金属層(3)の成分が熱拡散しても水素透過性能が阻害されにくいからである。
金属層(3)の厚さは、0.01〜2μmが必要である。0.01μmよりも薄いと、水素透過金属箔(4)との接合強度が不十分であり、2μmよりも厚いと、貫通細孔が閉塞して、通気性がなくなるので、好ましくない。
金属層(3)は、真空蒸着、イオンプレーティングまたはスパッタリングなどの真空工法で作製される。バリア層(2)の表面がスパッタエッチングされ、金属層(3)が形成されることによって、バリア層(2)と水素透過金属箔(4)の接合強度、またはバリア層(2)と通気性多孔質金属支持体(1)の接合強度を高めることができ、差圧が大きい環境下における使用に際しても、リーク等が発生するおそれがなくなる。
4.水素透過金属箔
前記水素透過金属箔(4)は、Pd、Pd合金のうち少なくとも1種を含む1層以上の金属箔か、あるいは、V、NbおよびTaのうち少なくとも1種を含む金属膜をPdまたはPd合金で被覆した金属箔である。
Pd合金としては、PdとAgからなる合金、Yおよび希土類元素からなる群から選ばれる1種以上の金属とPdとからなる合金があげられる。V、Nb、および/またはTaを含む金属膜としては、これら金属の単体、これら金属を2種以上含む合金、これら金属とNi、Co、Pd、Cu等の8族元素との合金、これら金属とTi、Mo、Ag、Au、Cuとの合金があげられる。
水素透過金属箔(4)の厚さは、20μm以下であることが必要である。好ましくは、0.5〜20μmである。より好ましくは、0.5〜10μmである。膜厚が0.5μmよりも薄いと、強度が不十分で、破れやすくなり、膜厚が20μmよりも厚いと、水素透過流量が不十分となり、好ましくない。
水素透過金属箔4は、メッキ、真空蒸着またはスパッタリングで、非通気性基板の表面に所望の膜厚の膜を形成した後に、該膜を剥離することで得られる。
また、前記非通気性基板は、酸化物ガラス、酸化物セラミックス、および、Al、Cr、SiおよびTiの内の少なくとも1種の酸化物または窒化物からなる膜厚0.01〜2μmのバリア層を形成した金属基板のいずれかであることが好ましい。
5.水素透過用部材
以上のようにして得られた水素透過用部材を用いて、水素分離膜部材を作製する方法を説明する。
平板型の形状を有する水素分離膜部材を作製する場合には、通気用の溝または孔の開いたベース板に、得られた水素透過用部材を重ね合わせて、ろう付け、拡散接合またはシール溶接等により、外周部を接合する。
また、管型の形状を有する水素分離膜部材を作製する場合には、通気用孔が開いた管状のベースパイプの外周に、得られた水素透過用部材を巻き付け、その外周部にシール溶接を施す。
(実施例1)
SUS316L金属粉(アトミックス社製、PF−3F)を焼結した通気性多孔質金属支持体(大きさ100mm×100mm)を用意した。該通気性多孔質金属支持体の表面に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、アルミナターゲットを使用し、Arガス圧2Pa、RFパワー400Wの条件で、膜厚0.02μmのアルミナのバリア層を形成した。その後、Arガス圧5Pa、RFパワー200Wの条件で、該Al23バリア層の表面をスパッタエッチングした。続いて、Pd−23Ag合金ターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚0.05μmのPd-23at%Agの金属層を形成した。
これとは別に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、Pd−23Agターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー1kWの条件で、クラウンガラス表面に、膜厚1μmのPd-23at%Agを形成した後、クラウンガラスから剥離して、1μm厚の水素透過金属箔を作製した。
前述のように、アルミナのバリア膜およびPd-23at%Ag膜の金属層を形成した通気性多孔質金属支持体と、水素透過金属箔とを重ねあわせ、2.94kPa(30gf/cm2 )の圧力下で、真空中800℃、2時間の熱処理を行って接合し、水素透過用部材を作製した。
得られた水素透過用部材は、400℃、0.8MPaの水素透過試験で、水素透過金属箔が剥離しなかった。
また、得られた水素透過用部材の断面を、走査電子顕微鏡(日立製作所社製)を用い、EDX分析した結果、水素透過金属箔中にステンレス成分の拡散は認められなかった。
(実施例2)
SUS316L金属粉(アトミックス社製、PF−3F)を焼結した通気性多孔質金属支持体(大きさ100mm×100mm)を用意した。該通気性多孔質金属支持体の表面に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、SiO2 ターゲットを使用し、Arガス圧2Pa、RFパワー400Wの条件で、膜厚1.8μmのSiO2 のバリア層を形成した。その後、Arガス圧5Pa、RFパワー200Wの条件で、該SiO2バリア層のスパッタエッチングした。続いて、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚1μmのPdの金属層を形成した。
これとは別に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、クラウンガラス表面に、膜厚0.1μmのPdを形成し、続いて、Taターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー1kWの条件で、膜厚8μmのTaを形成し、再び、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚0.1μmのPdを形成した。その後、クラウンガラスから剥離して、8.2μm厚の水素透過金属箔を作製した。
前述のように、SiO2 膜のバリア層およびPd/Ta/Pd膜の金属層を形成した通気性多孔質金属支持体と、水素透過金属箔とを重ねあわせ、2.94kPa(30gf/cm2 )の圧力下で、真空中800℃、2時間の熱処理を行って接合し、水素透過用部材を作製した。
得られた水素透過用部材は、400℃、0.8MPaの水素透過試験で、水素透過金属箔が剥離しなかった。
また、得られた水素透過用部材の断面を、EDX分析した結果、水素透過金属箔中にステンレス成分の拡散は認められなかった。
(実施例3)
SUS316L金属粉(アトミックス社製、PF−3F)を焼結した通気性多孔質金属支持体(大きさ100mm×100mm)を用意した。該通気性多孔質金属支持体の表面に、イオンプレーティング装置(マルチアーク社製、MAV−R2)で、Tiカソード、窒素ガス圧4Pa、アーク電流80A、バイアス電圧300Vの条件で、膜厚0.5μmの窒化チタンのバリア層を形成した。その後、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)に入れた後、Arガス圧5Pa、RFパワー200Wの条件で、該窒化チタンバリア層の表面をスパッタエッチングした。続いて、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚0.2μmのPdの金属層を形成した。
これとは別に、真空蒸着装置(神港精機社製、AIF−850SB)で、ステンレス板に、アルミナ蒸着材を使用し、到達真空度1×10-3Pa、電子銃エミッション電流200mAの条件で、膜厚5μmのアルミナを形成し、続いて、Pd蒸着材を使用し、到達真空度1×10-3Pa、電子銃エミッション電流80mAの条件で、膜厚4μmのPdを形成した。アルミナ膜とPd膜は、容易に剥離でき、膜厚4μmのPdからなる水素透過金属箔を得た。
前述のように、窒化チタン膜のバリア層およびPd膜の金属層を形成した通気性多孔質金属支持体と、水素透過金属箔とを重ねあわせ、2.94kPa(30gf/cm2 )の圧力下で、真空中800℃、2時間の熱処理を行って接合し、水素透過用部材を作製した。
得られた水素透過用部材は、400℃、0.8MPaの水素透過試験で、水素透過金属箔が剥離しなかった。
(比較例1)
スパッタエッチングをしなかった以外は、実施例1と同様にして水素透過用部材を作製した。
得られた水素透過用部材は、400℃、0.8MPaの水素透過試験で、水素透過金属箔が剥離した。
(比較例2)
SUS316L金属粉(アトミックス社製、PF−3F)を焼結した通気性多孔質金属支持体(大きさ100mm×100mm)を用意した。該通気性多孔質金属支持体の表面に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、SiO2 ターゲットを使用し、Arガス圧2Pa、RFパワー400Wの条件で、膜厚3μmのSiO2 のバリア層を形成した。続いて、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚3μmのPdの金属層を形成した。従って、バリア層の表面にスパッタエッチングは行わなかった。
これとは別に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、クラウンガラス表面に、膜厚0.1μmのPdを形成し、続いて、Taターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー1kWの条件で、膜厚20μmのTaを形成し、再び、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚0.1μmのPdを形成した。その後、クラウンガラスから剥離して、8.2μm厚の水素透過金属箔を作製した。
前述のように、SiO2 膜のバリア層およびPd膜の金属層を形成した通気性多孔質金属支持体と、水素透過金属箔とを重ねあわせ、2.94kPa(30gf/cm2 )の圧力下で、真空中800℃、2時間の熱処理を行って接合し、水素透過用部材を作製した。
得られた水素透過用部材は、400℃、0.8MPaの水素透過試験で、水素透過金属箔が剥離した。
(比較例3)
SUS316L金属粉(アトミックス社製、PF−3F)を焼結した通気性多孔質金属支持体(大きさ100mm×100mm)を用意した。該通気性多孔質金属支持体の表面に、真空蒸着装置(神港精機社製、AIF−850SB)で、Pd蒸着材を使用し、到達真空度1×10-3Pa、電子銃エミッション電流80mAの条件で、膜厚0.2μmのPdからなる水素透過膜を形成して、水素透過用部材を作製した。
得られた水素透過用部材は、400℃、0.8MPaの水素透過試験で、Pdからなる水素透過膜が剥離しなかったが、Pdからなる水素透過膜は変色しており、Pdからなる水素透過膜の断面をEDX分析した結果、Pdからなる水素透過膜中に、通気性多孔質金属支持体の成分のFeが拡散していた。
(実施例4)
SUS316L金属粉(アトミックス社製、PF−3F)を焼結した通気性多孔質金属支持体(大きさ100mm×100mm)を用意した。該通気性多孔質金属支持体の表面に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、アルミナターゲットを使用し、Arガス圧2Pa、RFパワー400Wの条件で、膜厚0.2μmのアルミナのバリア層を形成した。その後、Arガス圧2Pa、RFパワー200Wの条件で、該アルミナバリア層の表面をスパッタエッチングした。続いて、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚0.05μmのPdの金属層を形成した。
これとは別に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー400Wの条件で、クラウンガラス表面に、膜厚0.1μmのPd層を形成し、引き続いて、Pd−8at%Yターゲットを使用してArガス圧1Pa、DCパワー1kWの条件で、膜厚5μmのPd−8at%Y膜を形成し、再びPdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー400Wの条件で、膜厚0.1μmのPd層を形成した後、スパッタリング装置から取り出して、クラウンガラスからPd/Pd−8at%Y/Pd積層膜を剥離して、5.2μm厚の水素透過金属箔を作製した。
前述のように、アルミナのバリア膜およびPd-23at%Ag膜の金属層を形成した通気性多孔質金属支持体と、水素透過金属箔とを重ねあわせ、2.94kPa(30gf/cm2 )の圧力下で、真空中800℃、2時間の熱処理を行って接合し、水素透過用部材を作製した。
得られた水素透過用部材は、400℃、0.8MPaの水素透過試験で、水素透過金属箔が剥離しなかった。
また、得られた水素透過用部材の断面を、走査電子顕微鏡(日立製作所社製)を用い、EDX分析した結果、水素透過金属箔中にステンレス成分の拡散は認められなかった。
(実施例5)
SUS316L金属粉(アトミックス社製、PF−3F)を焼結した通気性多孔質金属支持体(大きさ100mm×100mm)を用意した。該通気性多孔質金属支持体の表面に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、TiNターゲットを使用し、Arガス圧2Pa、RFパワー400Wの条件で、膜厚0.2μmのTiNのバリア層を形成した。その後、Arガス圧2Pa、RFパワー200Wの条件で、該TiNバリア層の表面をスパッタエッチングした。続いて、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚1μmのPdの金属層を形成した。
これとは別に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、クラウンガラス表面に、膜厚0.1μmのPdを形成し、続いて、Taターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー1kWの条件で、膜厚8μmのTaを形成し、再び、Pdターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚0.1μmのPdを形成した。その後、クラウンガラスから剥離して、8.2μm厚の水素透過金属箔を作製した。
前述のように、SiO2 膜のバリア層およびPd/Ta/Pd膜の金属層を形成した通気性多孔質金属支持体と、水素透過金属箔とを重ねあわせ、2.94kPa(30gf/cm2 )の圧力下で、真空中800℃、2時間の熱処理を行って接合し、水素透過用部材を作製した。
得られた水素透過用部材は、400℃、0.8MPaの水素透過試験で、水素透過金属箔が剥離しなかった。
また、得られた水素透過用部材の断面を、EDX分析した結果、水素透過金属箔中にステンレス成分の拡散は認められなかった。
(実施例6)
SUS316L金属粉(アトミックス社製、PF−3F)を焼結した通気性多孔質金属支持体(大きさ100mm×100mm)を用意した。該通気性多孔質金属支持体の表面に、スパッタリング装置(ULVAC社製、SBH−2306RDE)で、アルミナターゲットを使用し、Arガス圧2Pa、RFパワー400Wの条件で、膜厚0.02μmのアルミナのバリア層を形成した。その後、Arガス圧5Pa、RFパワー200Wの条件で、該Al23バリア層の表面をスパッタエッチングした。続いて、Pd−23Ag合金ターゲットを使用し、Arガス圧1Pa、DCパワー600Wの条件で、膜厚0.05μmのPd-23at%Agの金属層を形成した。
これとは別に、塩化パラジウムと塩化スズ溶液に交互に10回繰り返し浸漬したクラウンガラスを、[Pd(NH34]Cl2とヒドラジンを含み、アンモニア・アルカリ性とした無電解Pdめっき浴に浸漬して、膜厚3μmのPd膜を形成した後、クラウンガラスから剥離して、3μm厚の水素透過金属箔を形成した。
前述のように、アルミナのバリア膜およびPd-23at%Ag膜の金属層を形成した通気性多孔質金属支持体と、水素透過金属箔とを重ねあわせ、2.94kPa(30gf/cm2 )の圧力下で、真空中800℃、2時間の熱処理を行って接合し、水素透過用部材を作製した。
得られた水素透過用部材は、400℃、0.8MPaの水素透過試験で、水素透過金属箔が剥離しなかった。
また、得られた水素透過用部材の断面を、走査電子顕微鏡(日立製作所社製)を用い、EDX分析した結果、水素透過金属箔中にステンレス成分の拡散は認められなかった。
本発明による水素透過用部材の一実施例を示す概略断面図である。 本発明による水素透過用部材の一実施例を示す概略断面図である。 水素透過用部材の従来例を示す概略断面図である。 水素透過用部材の他の従来例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 通気性多孔質金属支持体
2 バリア層
3 スパッタエッチングを施した金属層
4、5、6 水素透過金属箔
7 スパッタエッチングを施さない金属層

Claims (10)

  1. 通気性多孔質金属支持体と、該通気性多孔質金属支持体の表面に形成された膜厚0.01〜2μmのバリア層と、該バリア層の表面に形成された膜厚0.01〜2μmの金属層と、該金属層の表面に接合された膜厚20μm以下の水素透過金属箔とからなる水素透過用部材において、バリア層の表面にスパッタエッチングが施されていることを特徴とする水素透過用部材。
  2. 前記水素透過金属箔が、Pd、Pd合金のうち少なくとも1種を含む1層以上の金属膜からなることを特徴とする請求項1に記載の水素透過用部材。
  3. 前記水素透過金属箔が、V、NbおよびTaのうち少なくとも1種を含む金属膜をPdまたはPd合金で被覆したものからなることを特徴とする請求項1に記載の水素透過用部材。
  4. 前記バリア層が、Al、Cr、SiおよびTiのうち少なくとも1種の酸化物または窒化物からなることを特徴とする請求項1または2に記載の水素透過用部材。
  5. 前記金属層が、スパッタリングで形成されたPdまたはPd合金からなることを特徴とする請求項1に記載の水素透過用部材。
  6. 通気性多孔質金属支持体の表面に、膜厚0.01〜2μmのバリア層を形成し、該バリア層の表面をスパッタエッチングした後、膜厚0.01〜2μmの金属層を形成し、該金属層の表面に、膜厚20μm以下の水素透過金属箔を接合することを特徴とする水素透過用部材の製造方法。
  7. 前記金属層を、PdまたはPd合金のターゲットを使用して、スパッタリング法により形成することを特徴とする請求項6に記載の水素透過用部材の製造方法。
  8. 非通気性基板の表面に、前記水素透過金属箔を、メッキ、真空蒸着またはスパッタリング法により、Pd、Pd合金のうち少なくとも1種を含む1層以上の金属膜を形成した後、形成された水素透過金属箔を前記非通気性基板から剥離することにより、前記水素透過金属箔を得ることを特徴とする請求項6に記載の水素透過用部材の製造方法。
  9. 非通気性基板の表面に、前記水素透過金属箔を、スパッタリング法により、PdまたはPd合金の層、V、NbおよびTaのうち少なくとも1種を含む金属膜、PdまたはPd合金の層を順次形成した後、形成された水素透過金属箔を前記非通気性基板から剥離することにより、前記水素透過金属箔を得ることを特徴とする請求項6に記載の水素透過用部材の製造方法。
  10. 前記非通気性基板が、酸化物ガラス、酸化物セラミックス、および、Al、Cr、SiおよびTiの内の少なくとも1種の酸化物または窒化物からなる膜厚0.01〜2μmのバリア層を形成した金属基板のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の水素透過用部材の製造方法。
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