JP2005203229A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料電池システムに関し、起動時或いは過渡運転時において、十分な量の水蒸気を改質器に速やかに供給できるようにする。
【解決手段】 燃料電池10のカソード11から排出されるカソードオフガスを改質器20の改質部22へ供給するためのカソードオフガスライン50に、吸湿材1を配置する。これにより、通常時には余剰となるカソードオフガス中の水分は吸湿材1に吸収され、水分不足となる起動時或いは過渡運転時には吸湿材1からカソードオフガスに水分が戻される。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料電池10のカソード11から排出されるカソードオフガスを改質器20の改質部22へ供給するためのカソードオフガスライン50に、吸湿材1を配置する。これにより、通常時には余剰となるカソードオフガス中の水分は吸湿材1に吸収され、水分不足となる起動時或いは過渡運転時には吸湿材1からカソードオフガスに水分が戻される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池システムに関し、特に、炭化水素系原料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器を備えた燃料電池システムに関する。
一般的な燃料電池は、プロトン伝導性の電解質を挟んで一対の電極が配置された構造を有している。アノードでは、水素を含む燃料ガスが供給されると、以下の(1)式の化学反応が生じて水素イオンが生成される。
H2 → 2H++2e- ・・・(1)
生成された水素イオンは電解質膜を通ってカソードに供給される。カソードでは、酸素を含む酸化ガスが供給されると、以下の(2)式の化学反応が生じ、アノードで生成された水素イオンと酸素から水(水蒸気)が生成される。
(1/2)O2+2H++2e- → H2O ・・・(2)
燃料電池では、上記の反応がアノードとカソードの双方で連続して起きることで、アノードとカソードとの間に起電力が発生する仕組みになっている。
H2 → 2H++2e- ・・・(1)
生成された水素イオンは電解質膜を通ってカソードに供給される。カソードでは、酸素を含む酸化ガスが供給されると、以下の(2)式の化学反応が生じ、アノードで生成された水素イオンと酸素から水(水蒸気)が生成される。
(1/2)O2+2H++2e- → H2O ・・・(2)
燃料電池では、上記の反応がアノードとカソードの双方で連続して起きることで、アノードとカソードとの間に起電力が発生する仕組みになっている。
燃料電池において必要な水素は、ガソリンやメタノール等の炭化水素系原料を改質することで生成することができる。今日の多くの燃料電池システムは炭化水素系原料を改質する改質器を備えており、炭化水素系原料の改質により生成された改質ガスが燃料ガスとして燃料電池に供給されている。炭化水素系原料の改質方法としては、主として水蒸気改質反応を用いた方法と、部分酸化反応を用いた反応とが知られている。例えば、ガソリン(主成分はC8H18)の場合の水蒸気改質反応は以下の(3)式で表され、部分酸化反応は以下の(4)式で表される。
C8H18+8H2O → 17H2+8CO ・・・(3)
C8H18+4O2 → 9H2+8CO ・・・(4)
これらの改質方法は、何れか一方を選択することもできるし、双方を同時に実行することもできる。例えば、改質器に炭化水素系原料と水蒸気を含んだ空気を供給して反応させた場合には、水蒸気改質反応と部分酸化反応の双方が同時に起きると考えられる。
C8H18+8H2O → 17H2+8CO ・・・(3)
C8H18+4O2 → 9H2+8CO ・・・(4)
これらの改質方法は、何れか一方を選択することもできるし、双方を同時に実行することもできる。例えば、改質器に炭化水素系原料と水蒸気を含んだ空気を供給して反応させた場合には、水蒸気改質反応と部分酸化反応の双方が同時に起きると考えられる。
また、上記の(3)式及び(4)式に示すように、炭化水素系原料の改質過程では一酸化炭素が副生される。一酸化炭素は燃料電池の電極を被毒するため、一酸化炭素を含んだ改質ガスをそのまま燃料電池に供給するのは好ましくない。そこで、改質器には、改質ガス中の一酸化炭素を燃料電池にとって無害な二酸化炭素に変化させる機能が備えられている。一酸化炭素を二酸化炭素に変化させる方法としては、シフト反応を用いる方法と、CO選択酸化反応を用いる方法がある。シフト反応は、以下の(5)式に示すように一酸化炭素に水を作用させて水素と二酸化炭素に変成させる化学反応であり、CO選択酸化反応は、以下の(6)式に示すように一酸化炭素に酸素を作用させて二酸化炭素に変成させる化学反応である。
CO+H2O → H2+CO2 ・・・(5)
CO+(1/2)O2 → CO2 ・・・(6)
CO+H2O → H2+CO2 ・・・(5)
CO+(1/2)O2 → CO2 ・・・(6)
上記の(3)式及び(5)式に示すように、改質器では、水蒸気改質反応やシフト反応のための反応物として水蒸気が不可欠である。このため、例えば、特許文献1に記載された従来技術では、燃料電池のカソードの出口を改質器に接続することで、カソードから排出されるカソードオフガスを改質器に供給するようにしている。カソードオフガスには上記の(2)式により生成された水分が多く含まれているので、カソードオフガスを改質器に供給することで、上記の(3)式及び(5)式の反応に必要な量の水蒸気を確保することができる。
ただし、燃料電池が完全に作動していない起動時には、上記の(2)式により生成される水の量は少なく、カソードオフガス中の水蒸気のみでは十分な水蒸気を確保できない。また、加速時等の過渡運転時には、一時的に多量の水素が要求されるために、上記の(3)式及び(5)式の反応のための水蒸気の量も一時的に増大するが、カソードオフガス中の水分だけでは十分な量を賄うことができない。そこで、上記の従来技術では、燃料電池のカソード側やアノード側から排出される水を水蒸気生成部に回収しておき、カソードオフガス中の水分が不足する燃料電池の起動時等には、水蒸気生成部に加熱燃料を供給して回収しておいた水を加熱し、水の加熱により生成された水蒸気をカソードオフガスとともに改質器に供給するようにしている。
特開2000−195534号公報
特開2002−246049号公報
特開平6−29036号公報
特開2002−83617号公報
しかしながら、上記の従来技術では、水蒸気生成部に加熱燃料が供給されてから水蒸気が生成されるまでに遅れ時間が発生する。このため、燃料電池システムに起動要求があってから暫くの間は、改質用の水蒸気を十分に確保できず、システムの起動に遅れが生じてしまう可能性がある。過渡運転時も同様であり、例えば加速要求があってから暫くの間は、水蒸気不足によって十分な量の水素を生成することがでず、加速に遅れが生じてしまう可能性がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、起動時或いは過渡運転時において、十分な量の水蒸気を改質器に速やかに供給できるようにした、燃料電池システムを提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、炭化水素系原料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスと酸素を含む酸化ガスの供給を受けて電力を発生する燃料電池と、を有する燃料電池システムにおいて、
前記改質器を構成し、水を反応物とした化学反応を起こす第1化学反応部と、
通常運転時には、システム内のガスから水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記第1化学反応部への供給ガスに水分を付与する吸湿材と、
を備えることを特徴としている。
前記改質器を構成し、水を反応物とした化学反応を起こす第1化学反応部と、
通常運転時には、システム内のガスから水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記第1化学反応部への供給ガスに水分を付与する吸湿材と、
を備えることを特徴としている。
また、第2の発明は、第1の発明において、生成物として水を生じる化学反応を起こす第2化学反応部を備え、
前記吸湿材は、少なくとも通常運転時には、前記第2化学反応部から排出される排出ガスの排出ラインに位置し、少なくとも起動時或いは過渡運転時には、前記第1化学反応部に供給される供給ガスの供給ラインに位置するように設けられていることを特徴としている。
前記吸湿材は、少なくとも通常運転時には、前記第2化学反応部から排出される排出ガスの排出ラインに位置し、少なくとも起動時或いは過渡運転時には、前記第1化学反応部に供給される供給ガスの供給ラインに位置するように設けられていることを特徴としている。
また、第3の発明は、第1の発明において、水を反応物とした化学反応を起こす、前記第1化学反応部と同一或いは別の第3化学反応部を備え、
前記吸湿材は、少なくとも通常運転時には、前記第3化学反応部から排出される排出ガスの排出ラインに位置し、少なくとも起動時或いは過渡運転時には、前記第1化学反応部に供給される供給ガスの供給ラインに位置するように設けられていることを特徴としている。
前記吸湿材は、少なくとも通常運転時には、前記第3化学反応部から排出される排出ガスの排出ラインに位置し、少なくとも起動時或いは過渡運転時には、前記第1化学反応部に供給される供給ガスの供給ラインに位置するように設けられていることを特徴としている。
また、第4の発明は、第2の発明において、前記第1化学反応部は、前記改質器の改質部であり、
前記第2化学反応部は、前記燃料電池のカソードであり、
前記吸湿材は、前記カソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部へ供給するためのカソードオフガスラインに配置され、通常運転時には、前記カソードオフガス中の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記カソードオフガスに水分を付与することを特徴としている。
前記第2化学反応部は、前記燃料電池のカソードであり、
前記吸湿材は、前記カソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部へ供給するためのカソードオフガスラインに配置され、通常運転時には、前記カソードオフガス中の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記カソードオフガスに水分を付与することを特徴としている。
また、第5の発明は、第2の発明において、前記第1化学反応部は、前記改質器の改質部或いはシフト部であり、
前記第2化学反応部は、前記改質部に熱を供給するための燃焼器であり、
前記吸湿材は、起動時には、前記燃焼器から排出される燃焼ガスの排出ラインに接続されて前記燃焼ガス中の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記改質部或いはシフト部への供給ガスの供給ラインに接続されて前記供給ガスに水分を付与することを特徴としている。
前記第2化学反応部は、前記改質部に熱を供給するための燃焼器であり、
前記吸湿材は、起動時には、前記燃焼器から排出される燃焼ガスの排出ラインに接続されて前記燃焼ガス中の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記改質部或いはシフト部への供給ガスの供給ラインに接続されて前記供給ガスに水分を付与することを特徴としている。
また、第6の発明は、第3の発明において、前記第1化学反応部は、前記改質器のシフト部であり、
前記第3化学反応部は、前記改質器の改質部であり、
前記吸湿材は、前記改質部と前記シフト部との間に配置され、通常運転時には、前記改質部から排出される改質ガス中の未反応の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記改質ガスに水分を付与することを特徴としている。
前記第3化学反応部は、前記改質器の改質部であり、
前記吸湿材は、前記改質部と前記シフト部との間に配置され、通常運転時には、前記改質部から排出される改質ガス中の未反応の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記改質ガスに水分を付与することを特徴としている。
また、第7の発明は、第3の発明において、前記第1化学反応部は、前記改質器の改質部であり、
前記第3化学反応部は、前記改質器の改質部或いはシフト部であり、
前記吸湿材は、前記燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガスを前記改質部へ供給するためのアノードオフガスラインに配置され、通常運転時には、前記アノードオフガスに含まれる未反応の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記アノードオフガスに水分を付与することを特徴としている。
前記第3化学反応部は、前記改質器の改質部或いはシフト部であり、
前記吸湿材は、前記燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガスを前記改質部へ供給するためのアノードオフガスラインに配置され、通常運転時には、前記アノードオフガスに含まれる未反応の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記アノードオフガスに水分を付与することを特徴としている。
また、第8の発明は、第5乃至第7の何れか一つの発明において、前記改質器の改質部には、前記カソードから排出されるカソードオフガスが供給されることを特徴としている。
第1の発明によれば、起動時或いは過渡運転時には、通常運転時に吸湿材に吸収されたシステム内の余剰の水分が供給ガスに付与されるので、起動或いは過渡運転のための十分な量の水蒸気を速やかに改質器の第1化学反応部に供給することが可能になる。また、本発明によれば、水を加熱して水蒸気を生成する蒸発器が不要となるので、システムを小型化することもできる。
また、第2の発明によれば、生成物として水を生じる化学反応を起こす第2化学反応部からの排出ガス中に含まれる水分が改質器の第1化学反応部に供給されるので、第2化学反応部で生成される水分を有効に利用することが可能になる。
また、第3の発明によれば、水を反応物とした化学反応を起こす第3化学反応部からの排出ガス中に含まれる水分が改質器の第1化学反応部に供給されるので、第3化学反応部での未反応の水分を有効に利用することが可能になる。
また、第4の発明によれば、カソードオフガスを改質部へ供給するためのカソードオフガスラインに吸湿材が配置されることで、通常時には余剰となるカソードオフガス中の水分を、水分不足となる起動時或いは過渡運転時にカソードオフガスに戻してやることが可能になる。さらに、吸湿材がカソードオフガスラインに配置されることで、通常運転時と起動時或いは過渡運転時とで、ガス流路を切り換える必要がないという利点もある。
また、第5の発明によれば、燃焼器から排出される燃焼ガスには燃焼により生成される水分が含まれているので、通常運転時には吸湿材に燃焼ガスの排出ラインが接続され、起動時或いは過渡運転時には吸湿材に改質部或いはシフト部への供給ガスの供給ラインが接続されることで、燃焼ガス中の水分を起動時或いは過渡運転時における改質部或いはシフト部での反応に有効に利用することが可能になる。
また、第6の発明によれば、改質部とシフト部との間に吸湿材が配置されることで、改質部での反応に用いられなかった余剰水分を起動時或いは過渡運転時におけるシフト部での反応に有効に利用することが可能になる。
また、第7の発明によれば、アノードオフガスには改質器で用いられなかった余剰水分が含まれるので、アノードオフガスを改質部へ供給するためのアノードオフガスラインに吸湿材が配置されることで、通常運転時に改質器で用いられなかった余剰水分を、水分不足となる起動時或いは過渡運転時にアノードオフガスを介して改質器に戻してやることが可能になる。
また、第8の発明によれば、改質器の改質部にはカソードから排出されるカソードオフガスも供給されるので、起動後或いは過渡運転後の通常運転時にも、十分な量の水分を改質器に供給することが可能になる。
実施の形態1.
以下、図1を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は本発明の実施の形態1としての燃料電池システムの概略構成図である。図1に示すように、本燃料電池システムは、炭化水素原料(以下、燃料という)を改質して水素を含む燃料ガス(以下、改質ガスという)を生成する改質器20、改質器20で生成された改質ガスを利用して発電する燃料電池10、そして、本燃料電池システムの特徴部である吸湿材1を備えている。
以下、図1を参照して、本発明の実施の形態1について説明する。
図1は本発明の実施の形態1としての燃料電池システムの概略構成図である。図1に示すように、本燃料電池システムは、炭化水素原料(以下、燃料という)を改質して水素を含む燃料ガス(以下、改質ガスという)を生成する改質器20、改質器20で生成された改質ガスを利用して発電する燃料電池10、そして、本燃料電池システムの特徴部である吸湿材1を備えている。
燃料電池10は、2つの電極、すなわちアノード11とカソード12によって図示しないプロトン伝導性の電解質膜を挟んだ構造を有している。アノード11では水素が供給されると、上記の(1)式の化学反応が生じて水素イオンが生成される。生成された水素イオンは電解質膜を通ってカソード12に供給される。カソード12では、酸素が供給されると、上記の(2)式の化学反応が生じ、アノード11で生成された水素イオンと酸素から水(水蒸気)が生成される。
アノード11で必要な水素は、後述する改質器20から供給される改質ガスに含まれている。一方、カソード12で必要な酸素は、外界から取り込まれる空気に含まれている。カソード12の入口には、外界に通じるガス通路(以下、カソードエアライン)30が接続されており、エアクリーナ31によって塵芥を除去された空気がカソードエアライン30を通ってカソード12内に供給されるようになっている。カソード12への空気の供給は、カソードエアライン30においてカソード12の上流に設けられた電動コンプレッサ32によって行われる。
本燃料電池システムにかかる燃料電池10としては、固体高分子型(PEM)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、そして本出願人が先願(特願2003−064478、特願2003−072994、特願2003−204734)で提案している水素分離膜型(HMFC)等、何れの型の燃料電池も採用することができ、燃料電池10にはその型に応じた電解質膜が設けられている。なお、水素分離膜型燃料電池は、具体的には、水素分離膜(例えばバナジウム上にパラジウムが積層された膜)がプロトン伝導性材料(例えばジルコニアセラミックス)に積層された構造の電解質膜を用いるものである。
改質器20は、予混合部21と改質部22を備えている。予混合部21は、改質部22での反応が促進されるように、燃料、水蒸気、及び空気を均一に混合するための部屋である。燃料としては、ガソリンやメタノール等の炭化水素系原料を用いることができる。予混合部21での混合により得られた混合気は、改質部22に供給される。改質部22には燃料に応じた触媒が担持されており、改質部22内での水蒸気改質反応や部分酸化反応によって燃料から水素を含む改質ガスが生成される。本燃料システムでは、改質器20は燃料電池10のアノード11に直結されており、改質部20からアノード11に改質ガスが供給されるようになっている。なお、改質器20には、改質反応により生成された一酸化炭素を水と反応させて二酸化炭素に変成させるシフト部や、一酸化炭素を酸化して二酸化炭素に変成させるCO選択酸化部も備えられている。本実施形態では、改質部22にシフト部やCO選択酸化部も含まれているものとして図示を省略している。
予混合部21には、燃料タンク41内に貯留された燃料が供給される。予混合部21にはインジェクタ23が取り付けられており、インジェクタ23と燃料タンク41とは燃料供給ライン40によって接続されている。インジェクタ23には、燃料タンク41内に設けられた電動フィードポンプ42によって、燃料タンク41内の燃料が圧送されるようになっている。なお、燃料供給ライン40には、燃料を燃料供給ライン40に戻すためのバルブ44も備えられている。
また、予混合部21には、燃料電池10のカソード12から排出されるカソードオフガスが供給される。カソードオフガスには、カソード12で起きる上記(2)式の反応によって多量の水蒸気が含まれている。したがって、カソードオフガスを予混合部21に供給することで燃料の改質に必要な水蒸気を確保することができる。カソードオフガスは、カソード12の出口に接続されたカソードオフガスライン36を通って予混合部21に供給される。
カソードオフガスライン36は、途中で2つのライン36a,36bに分岐しており、その一方であるカソードオフガス供給ライン36aが予混合部21に接続され、他方の大気放出ライン36bは大気に開放されている。カソードオフガスライン36の分岐部には流量調整三方弁34が設けられており、流量調整三方弁34のポート間の連通状態を切換ることで、予混合部21に供給されるカソードオフガスの流量を調整できるようになっている。予混合部21に供給されるカソードオフガス中の水蒸気の流量は、蒸気流量計35によって計測することができ、インジェクタ23からの燃料供給量と水蒸気量との関係が目標S/Cを満足するように、蒸気流量計35の計測結果が流量調整三方弁34の制御にフィードバックされる。なお、水蒸気の流量は、総流量と反応率、転化率等から推定することもできる。また、カソードオフガスライン36には調圧弁33が設けられており、調圧弁33によりカソードオフガスの圧力を調整できるようになっている。
本燃料電池システムでは、上記のカソードオフガスライン36に吸湿材1が設けられている。より詳しくは、カソードオフガスライン36が2つのライン36a,36bに分岐する流量調整三方弁34の上流に設けられている。吸湿材としては、例えばゼオライトを用いることができる。吸湿材1は、湿潤した空気が通過するときには空気中の水分を吸収し、乾燥した空気が通過するときには水分を空気に付与するように作用する。したがって、カソードオフガスライン36に吸湿材1が設けられることで、カソードオフガス中に多くの水分が含まれるときには、カソードオフガス中の水分は吸湿材1に吸収され、カソードオフガス中の水分が少ないときには、吸湿材1からカソードオフガスに水分が付与されるようになる。
改質部22では、水蒸気改質反応や部分酸化反応によって燃料から水素が生成される。水蒸気改質反応は吸熱反応であり、部分酸化反応は発熱反応であるが、改質部22内では主として水蒸気改質反応が起きるので、全体としては吸熱反応となる。したがって、改質部22内での改質反応を進めて水素を生成するためには、改質部22に熱を供給する必要がある。このため、改質部22内には、高温の燃焼ガスの通り道である燃焼ガスライン60が通っている。燃焼ガスライン60の一端は燃焼器63に接続され、他端は大気に開放されている。
燃焼器63は、燃料を燃焼させて高温の燃焼ガスを発生させる装置である。燃料を燃焼させるための空気は、エアポンプ61によってエア供給ライン62を通って燃焼器63に供給される。一方、燃料としては、燃料電池10のアノード11から排出されるアノードオフガス中の水素が用いられる。改質部20で生成された改質ガス中の水素は、アノード11における上記(1)式の反応によって消費される。しかし、アノード11で消費される水素は供給される水素の全部ではなく、アノード11から排出されるアノードオフガス中には少なからぬ水素が残っている。したがって、アノードオフガスを燃焼器63に供給することで高温の燃焼ガスを生成するのに必要な燃料(水素)を確保することができる。アノードオフガスは、アノード11の出口に接続されたアノードオフガスライン50を通って燃焼器63に供給される。
アノードオフガスライン50は、途中で2つのライン50a,50bに分岐しており、その一方であるアノードオフガス供給ライン50aが燃焼器63に接続され、他方の大気放出ライン50bは大気に開放されている。アノードオフガスライン50の分岐部には流量調整三方弁52が設けられており、流量調整三方弁52のポート間の連通状態を切換ることで、燃焼器63に供給されるアノードオフガスの流量を調整できるようになっている。また、アノードオフガスライン50には調圧弁51も設けられており、調圧弁51によりアノードオフガスの圧力を調整できるようになっている。
次に、上記のように構成された本燃料電池システムの作用、特に、その特徴部である吸湿材1の作用について、通常運転(定常運転)時、過渡運転時、そして起動時のそれぞれについて説明する。
まず、燃料電池システムが起動した後の通常運転時には、燃料電池10の発電によってカソード12には定常的に水(水蒸気)が生成されている。カソード12で生成された水蒸気はカソードオフガスに含まれてカソード12から排出され、カソードオフガスが吸湿材1を通過するときに吸湿材1に吸収される。これにより、吸湿材1には水分が蓄えられていく。吸湿材1により水分が吸収されることで、カソードオフガス中の水分は一時的に低下するが、やがて吸湿材1の水分吸収量は飽和状態になる。吸湿材1が飽和状態になることで、カソードオフガス中の水分はそれ以上、吸湿材1に吸収されることなく、そのまま改質器10に供給されるようになる。なお、改質器20に供給すべき目標水蒸気量は燃料供給量と目標S/Cとの関係で決まるが、通常運転時には、目標水蒸気量よりも多量の水蒸気がカソード12で生成されている。
一方、加速時や登坂時のように燃料電池システムに大電流が要求される過渡運転時には、燃料電池10へ供給する水素を大量に生成する必要から、インジェクタ23からの燃料噴射量が増大されるとともに、カソード12に供給されるカソードエア量が増大される。ところが、カソードエア量や燃料が増大されてから、改質器20での水素生成量が増大し、さらにカソード12で多量の水蒸気が生成されるまでには時間遅れがある。このため、カソードエア量が増大された分、カソードオフガス中の水蒸気率は一時的に低下することになる。つまり、カソードオフガスの湿度(絶対湿度)は一時的に低下することになる。この湿度の低下したカソードオフガスが吸湿材1を通過すると、通常運転時とは逆に吸湿材1からカソードオフガスに水分が付与される現象が起こり、吸湿材1を通過したカソードオフガスの湿度は上昇する。これにより、目標S/Cを実現するのに十分な量の水蒸気を改質器20に供給することが可能になる。
また、燃料電池システムの起動時には、燃料電池10は未だ発電していないためにカソード12には水(水蒸気)は生成されていない。このため、カソード12からはカソード12に流入するカソードエアと変わらない低湿度のカソードオフガスが排出される。この低湿度のカソードオフガスが吸湿材1を通過すると、定常運転時に蓄えられた水分が吸湿材1からカソードオフガスに付与され、湿材1を通過したカソードオフガスの湿度は上昇する。これにより、起動のための十分な量の水蒸気を速やかに改質器20に供給することが可能になる。
以上のように、本燃料電池システムによれば、カソードオフガスを改質器20へ供給するためのカソードオフガスライン36に吸湿材1が配置されることで、通常運転時には余剰となるカソードオフガス中の水分を、水分不足となる起動時や過渡運転時にカソードオフガスに戻してやることができ、燃料の改質のための十分な量の水蒸気を速やかに改質器20に供給することが可能になる。
また、本燃料電池システムによれば、水を加熱して水蒸気を生成する蒸発器が不要となるので、システムを小型化することもできる。さらに、吸湿材1がカソードオフガスライン36に配置されることで、通常運転時と起動時或いは過渡運転時とで、ガス流路を切り換える必要がないという利点もある。
実施の形態2.
以下、図2を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
図2は本発明の実施の形態2としての燃料電池システムの概略構成図である。図2においては、上述した実施の形態1と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態1のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
以下、図2を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
図2は本発明の実施の形態2としての燃料電池システムの概略構成図である。図2においては、上述した実施の形態1と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態1のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
本燃料電池システムは、実施の形態1のシステムとはアノードオフガスライン50の接続先、及び吸湿材2の設置位置に相違がある。具体的には、流量調整三方弁52によって分岐されるアノードオフガスライン50の2つのライン50a,50cのうち、その一方は燃焼器63に接続される第1アノードオフガス供給ライン50a(実施の形態1のアノードオフガス供給ラインと同じ)となっており、他方は改質器20の予混合部21に接続される第2アノードオフガス供給ライン50cとなっている。第2アノードオフガス供給ライン50cは、カソードオフガス供給ライン30bの蒸気流量計35よりも上流側に接続されている。本燃料電池システムでは、通常運転時には、アノードオフガスが第1アノードオフガス供給ライン50aに流れるように、起動時及び過渡運転時には、一部のアノードオフガスが第2アノードオフガス供給ライン50cにも流れるように、流量調整三方弁52のポート間の連通状態が切り換えられる。
本燃料電池システムでは、上記のアノードオフガスライン50に吸湿材2が設けられている。より詳しくは、アノードオフガスライン50が2つのライン50a,50cに分岐する流量調整三方弁52の上流に設けられている。吸湿材2としては、実施の形態1のものと同じ材質のものを用いることができる。アノードオフガスライン50に吸湿材2が設けられることで、アノードオフガス中に多くの水分が含まれるときには、アノードオフガス中の水分は吸湿材2に吸収され、アノードオフガス中の水分が少ないときには、吸湿材2からアノードオフガスに水分が付与されるようになる。
次に、上記のように構成された本燃料電池システムの作用、特に、その特徴部である吸湿材2の作用について、通常運転(定常運転)時、過渡運転時、そして起動時のそれぞれについて説明する。
まず、燃料電池システムが起動した後の通常運転時には、カソード12で生成された水蒸気を含むカソードオフガスが改質器20に供給される。改質器20の改質部(シフト部も含む)22では、燃料に水蒸気が作用することで、例えば燃料がガソリンの場合、上記の(3)式の水蒸気改質反応が起こり、水素を含む改質ガスが生成される。また、上記の(5)式のシフト反応によって改質ガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変成される。これらの反応によって改質器20に供給されたガス中の水蒸気は消費されるが、通常、水蒸気の供給量(目標水蒸気量)は、燃料が確実に改質されるように、理論S/Cから定まる必要水蒸気量よりも多めに設定されている。このため、供給された水蒸気の一部は、反応することなく改質ガスに含まれて改質器20から排出される。
改質ガスに含まれる水分(水蒸気)は、そのままアノードオフガスに含まれてアノード11から排出される。この水分を含むアノードオフガスが吸湿材2を通過すると、アノードオフガス中の水分は吸湿材2に吸収される。これにより、吸湿材2には水分が蓄えられていく。通常運転時には、アノードオフガスライン50は燃焼器63に接続されており、燃焼器63には、吸湿材2によって水分を低減されたアノードオフガスが燃料として供給される。
一方、実施の形態1でも述べたように、燃料電池システムに大電流が要求される過渡運転時には、カソードエア量や燃料が増大されてからカソード12での水蒸気生成量が増大するまでの時間遅れにより、カソードオフガスの湿度は一時的に低下する。また、燃料電池システムの起動時には、カソード12には未だ水(水蒸気)は生成されていないため、カソード12から排出されるカソードオフガスの湿度は低い。この低湿度のカソードオフガスが改質器20に供給されることで、改質ガスに含まれる余剰水分は減少し、アノード11から排出されるアノードオフガスの湿度も低下する。湿度の低下したアノードオフガスが吸湿材2を通過すると、通常運転時とは逆に吸湿材2からアノードオフガスに水分が付与される現象が起こり、吸湿材2を通過したアノードオフガスの湿度は上昇する。この湿度が上昇したアノードオフガスが流量調整三方弁52の切り換えによって改質器20に供給されることで、カソードオフガスの湿度の低下を補って加速や起動のための十分な量の水蒸気を改質器20に供給することが可能になる。
以上のように、本燃料電池システムによれば、アノードオフガスライン50に吸湿材2が配置され、カソードオフガスの水分が不足する起動時及び過渡運転時にアノードオフガスライン50が改質器20に接続されることで、通常運転時に改質器20で用いられなかった余剰水分を、水分不足となる起動時或いは過渡運転時にアノードオフガスを介して改質器20に戻してやることができ、燃料の改質のための十分な量の水蒸気を速やかに改質器20に供給することが可能になる。
また、本燃料電池システムによれば、通常運転時、吸湿材2によって水分が除去されたアノードオフガスが燃焼器63に供給されるので、燃焼器63の燃焼安定性が向上し、また、加熱効率も向上するという利点もある。
実施の形態3.
以下、図3を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
図3は本発明の実施の形態3としての燃料電池システムの概略構成図である。ここでは、起動時及び過渡運転時におけるシステム内のガスの流れについて示している。図3においては、実施の形態1と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態1のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
以下、図3を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
図3は本発明の実施の形態3としての燃料電池システムの概略構成図である。ここでは、起動時及び過渡運転時におけるシステム内のガスの流れについて示している。図3においては、実施の形態1と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態1のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
本燃料電池システムは、実施の形態1のシステムとは吸湿材3の設置位置に相違がある。具体的には、燃焼器63から排出された燃焼ガスが流れる燃焼ガスライン60に吸湿材3が配置されている。吸湿材3としては、実施の形態1のものと同じ材質のものを用いることができる。燃焼ガスライン60に吸湿材3が設けられることで燃焼ガス中の水分は吸湿材3に吸収されるが、燃焼ガスをより高温にすることで、吸湿材3に吸収されていた水分を蒸発させて燃焼ガスに水分を付与することもできる。
ここでは、通常運転時におけるシステム内のガスの流れについては省略しているが、本燃料電池システムの通常運転時におけるシステム内のガスの流れは、実施の形態1の構成においてカソードオフガスライン36から吸湿材1を省き、代わりに燃焼ガスライン60に吸湿材3を設けた場合のガスの流れと同じである。したがって、通常運転時には、燃焼ガスは吸湿材3を通ってから大気中に放出されるようになっている。
一方、起動時及び過渡運転時におけるガスの流れは、図3に示すように実施の形態1とは大きく異なっている。まず、燃焼ガスライン60の吸湿材3よりも下流側には、改質器20の予混合部21接続される燃焼ガス供給ライン60aが設けられている。この燃焼ガス供給ライン60aは、図示しない三方弁によって大気放出ラインと選択的に切り換えられるようになっている。これにより、起動時及び過渡運転時には、吸湿材3を通った燃焼ガスは、インジェクタ23からの燃料とともに改質器20に供給されることになる。なお、実施の形態1において改質器20に供給されていたカソードオフガスは、大気中に放出されるようになっている(図1においては流量調整弁34を大気放出ライン36b側に切り換える)。図中では、起動時及び過渡運転時にカソード11を流れるガスの流路については、簡略化のために図示を省略している。
また、本燃料電池システムでは、起動時及び過渡運転時には、燃焼器63には燃料タンク41の燃料が供給されるようになっている。本燃料電池システムでは、燃料供給ライン40は、インジェクタ23に接続される第1燃料供給ライン40aと燃焼器63に接続される第2燃料供給ライン40bに分岐しており、起動時及び過渡運転時には、第1燃料供給ライン40aに加えて第2燃料供給ライン40bにも燃料が供給される。なお、実施の形態1において燃焼機63に供給されていたアノードオフガスは、大気中に放出されるようになっている(図1においては流量調整弁52を大気放出ライン50b側に切り換える)。
また、本燃料電池システムでは、改質器20の図示しないシフト部(CO選択酸化部を含む)には、エア供給ライン66を介してエアポンプ65が接続されており、起動時及び過渡運転時には、エアポンプ65からシフト部(CO選択酸化部を含む)に空気が供給されるようになっている。本燃料電池システムでは、カソードオフガスの代わりに燃焼ガスが供給されるため、CO選択酸化反応等のための酸素が不足するが、エアポンプ65から空気が供給されることで不足していた酸素が補充される。
次に、上記のように構成された本燃料電池システムの作用、特に、その特徴部である吸湿材32の作用について、通常運転(定常運転)時、過渡運転時、そして起動時のそれぞれについて説明する。
まず、燃料電池システムが起動した後の通常運転時には、燃焼器63にはアノードオフガスが供給され、アノードオフガス中の水素が燃焼することによって改質器20を加熱するための燃焼ガスが生成される。水素の燃焼により燃焼ガス中には多量の水分(水蒸気)が含まれており、この水分を含む燃焼ガスが吸湿材3を通過すると、燃焼ガス中の水分は吸湿材3に吸収される。これにより、吸湿材3には水分が蓄えられていく。吸湿材3に水分を取られた燃焼ガスは大気中へ放出される。
一方、起動時及び過渡運転時には、燃焼ガスライン60は改質器20に接続され、カソードオフガスの代わりに燃焼ガスが改質器20に供給される。同時に、燃焼器63にはアノードオフガスの代わりに燃料タンク41からの燃料が供給される。燃料の燃焼によって、燃焼器63から燃焼ガスライン60へは通常運転時よりも高温の燃焼ガスが排出される。この高温の燃焼ガスが吸湿材3に流入することで、吸湿材3に吸収されていた水分は蒸発し、燃焼ガスに多量の水蒸気が含まれるようになる。この多量の水蒸気を含む燃焼ガスがカソードオフガスの代わりに改質器20に供給されることで、加速や起動のための十分な量の水蒸気を改質器20に供給することが可能になる。
以上のように、本燃料電池システムによれば、燃焼ガスライン60に吸湿材3が配置され、カソードオフガスの水分が不足する起動時及び過渡運転時に燃焼ガスライン60が改質器20に接続されることで、燃焼ガスに含まれる水分を起動時及び過渡運転時における燃料の改質のための水分として有効に利用することが可能になる。
実施の形態4.
以下、図4を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
図4は本発明の実施の形態4としての燃料電池システムの概略構成図である。図4においては、上述した実施の形態1と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態1のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
以下、図4を参照して、本発明の実施の形態4について説明する。
図4は本発明の実施の形態4としての燃料電池システムの概略構成図である。図4においては、上述した実施の形態1と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態1のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
上述の実施の形態1乃至3のシステムは、起動時及び過渡運転時における水蒸気改質反応(或いは、水蒸気改質反応及びシフト反応)のための水蒸気を確保することを目的としているが、本燃料電池システムは、専らシフト反応のための水蒸気を確保することを目的としている。このため、本実施形態では、改質部22aとシフト部22bを分けて図示している。なお、改質器20には、一酸化炭素を酸化して二酸化炭素に変成させるCO選択酸化部も備えられているが、本実施形態では、シフト部22bにCO選択酸化部も含まれているものとして図示を省略している(実施の形態1乃至3では、改質部22にシフト部もCO選択酸化部も含まれているものとしている)。
本燃料電池システムは、実施の形態1のシステムとは吸湿材4の設置位置に相違がある。具体的には、改質器20内の改質部22aとシフト部22bとの間に吸湿材4が設けられている。吸湿材4の位置以外については、実施の形態1と同構成である。吸湿材4としては、実施の形態1のものと同じ材質のものを用いることができる。改質部22aとシフト部22bとの間に吸湿材4が設けられることで、改質部22aからの改質ガス中に多くの水分が含まれるときには、改質ガス中の余剰水分は吸湿材4に吸収され、改質ガス中の水分が少ないときには、吸湿材4から改質ガスに水分が付与されるようになる。
次に、上記のように構成された本燃料電池システムの作用、特に、その特徴部である吸湿材4の作用について、通常運転(定常運転)時、過渡運転時、そして起動時のそれぞれについて説明する。
まず、燃料電池システムが起動した後の通常運転時には、カソード12で生成された水蒸気を含むカソードオフガスが改質器20に供給される。改質器20の改質部22aでは、燃料に水蒸気が作用することで水蒸気改質反応が起こり、水素を含む改質ガスが生成される。この反応によって改質部22aに供給されたガス中の水蒸気は消費されるが、通常、水蒸気の供給量(目標水蒸気量)は、燃料が確実に改質されるように、理論S/Cから定まる必要水蒸気量よりも多めに設定されている。このため、供給された水蒸気の一部は、反応することなく改質ガスに含まれて改質部22aから排出される。改質部22aから排出された改質ガスは吸湿材4を通ってシフト部22bに流入する。水分を含む改質ガスが吸湿材4を通過すると、改質ガス中の水分は吸湿材4に吸収される。これにより、吸湿材4には水分が蓄えられていく。
一方、実施の形態1でも述べたように、燃料電池システムに大電流が要求される過渡運転時には、カソードエア量や燃料が増大されてからカソード12での水蒸気生成量が増大するまでの時間遅れにより、カソードオフガスの湿度は一時的に低下する。また、燃料電池システムの起動時には、カソード12には未だ水(水蒸気)は生成されていないため、カソード12から排出されるカソードオフガスの湿度は低い。この低湿度のカソードオフガスが改質器20に供給されることで、改質部22aでの反応により生成された改質ガスの湿度も低下する。湿度の低下した改質ガスが吸湿材4を通過すると、通常運転時とは逆に吸湿材4から改質ガスに水分が付与され、この結果、一酸化炭素を二酸化炭素に変成させるのに十分な量の水蒸気をシフト部22bに供給することが可能になる。
以上のように、本燃料電池システムによれば、改質22aとシフト部22bとの間に吸湿材4が配置されることで、改質部22aでの反応に用いられなかった余剰水分を起動時及び過渡運転時におけるシフト部22bでのシフト反応に有効に利用することが可能になる。また、シフト部22bに十分な量の水分を供給できることで、起動時にシフト部22bが熱暴走することも抑制できる。
実施の形態5.
以下、図5を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
図5は本発明の実施の形態5としての燃料電池システムの概略構成図である。本燃料電池システムは、上述の実施の形態4のシステムと同様、起動時及び過渡運転時におけるシフト反応のための水蒸気を確保することを目的としている。図5においては、実施の形態4と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態4のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
以下、図5を参照して、本発明の実施の形態5について説明する。
図5は本発明の実施の形態5としての燃料電池システムの概略構成図である。本燃料電池システムは、上述の実施の形態4のシステムと同様、起動時及び過渡運転時におけるシフト反応のための水蒸気を確保することを目的としている。図5においては、実施の形態4と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態4のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
本燃料電池システムでは、実施の形態4のシステムと同様、吸湿材5は改質器20内の改質部22aとシフト部22bとの間に設けられている。吸湿材5としては、実施の形態4のものと同じ材質のものを用いることができる。
本燃料電池システムの実施の形態4のシステムとの相違点は、アノードオフガスライン50の接続先にある。具体的には、流量調整三方弁52によって分岐されるアノードオフガスライン50の2つのライン50a,50cのうち、その一方は燃焼器63に接続される第1アノードオフガス供給ライン50a(実施の形態4のアノードオフガス供給ラインと同じ)となっており、他方は改質器20の予混合部21に接続される第2アノードオフガス供給ライン50cとなっている。第2アノードオフガス供給ライン50cは、カソードオフガス供給ライン30bの蒸気流量計35よりも上流側に接続されている。本燃料電池システムでは、アノードオフガスの一部が第2アノードオフガス供給ライン50cに流れるように、流量調整三方弁52のポート間の連通状態が切り換えられる。
次に、上記のように構成された本燃料電池システムの作用、特に、その特徴部である吸湿材4の作用について、通常運転(定常運転)時、過渡運転時、そして起動時のそれぞれについて説明する。
まず、燃料電池システムが起動した後の通常運転時には、カソードオフガスとアノードガスの一部が改質器20の改質部22aに供給される。カソードオフガスはカソード12で生成された水蒸気を含み、アノードガスは改質部22aやシフト部22bで消費されなかった未反応の水蒸気を含んでいる。実施の形態4でも述べたように、供給された水蒸気の一部は、反応することなく改質ガスに含まれて改質部22aから排出される。改質部22aから排出された改質ガスは吸湿材5を通ってシフト部22bに流入し、その際、改質ガス中の水分は吸湿材5に吸収される。これにより、吸湿材5には水分が蓄えられていく。
一方、起動時や過渡運転時には、低湿度のカソードオフガスが改質器20に供給されることで、改質部22aでの反応により生成される改質ガスの湿度も低下する。湿度の低下した改質ガスが吸湿材5を通過すると、通常運転時とは逆に吸湿材5から改質ガスに水分が付与され、この結果、一酸化炭素を二酸化炭素に変成させるのに十分な量の水蒸気をシフト部22bに供給することが可能になる。
以上のように、本燃料電池システムによれば、実施の形態4のシステムと同様、改質部22aとシフト部22bとの間に吸湿材4が配置されることで、改質部22aでの反応に用いられなかった余剰水分を起動時及び過渡運転時におけるシフト部22bでのシフト反応に有効に利用することが可能になる。また、シフト部22bでも消費されなかった余剰水分は、再びアノードオフガスとともに改質部22aに戻されるので、改質部22aにおける水不足も防止される。つまり、本燃料電池システムによれば、カソード12で作られた水(水蒸気)を無駄にすることなく、起動或いは過渡運転のための水蒸気としてより有効に利用することが可能になる。
実施の形態6.
以下、図6を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。
図6は本発明の実施の形態6としての燃料電池システムの概略構成図である。ここでは、起動時及び過渡運転時におけるシステム内のガスの流れについて示している。本燃料電池システムは、上述の実施の形態4のシステムと同様、起動時及び過渡運転時におけるシフト反応のための水蒸気を確保することを目的としている。図6においては、実施の形態4と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態4のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
以下、図6を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。
図6は本発明の実施の形態6としての燃料電池システムの概略構成図である。ここでは、起動時及び過渡運転時におけるシステム内のガスの流れについて示している。本燃料電池システムは、上述の実施の形態4のシステムと同様、起動時及び過渡運転時におけるシフト反応のための水蒸気を確保することを目的としている。図6においては、実施の形態4と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態4のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
本燃料電池システムは、実施の形態4のシステムとは吸湿材6の設置位置に相違がある。具体的には、燃焼器63から排出された燃焼ガスが流れる燃焼ガスライン60に吸湿材3が配置されている。吸湿材6としては、実施の形態4のものと同じ材質のものを用いることができる。燃焼ガスライン60に吸湿材6が設けられることで燃焼ガス中の水分は吸湿材6に吸収されるが、燃焼ガスをより高温にすることで、吸湿材6に吸収されていた水分を蒸発させて燃焼ガスに水分を付与することもできる。
ここでは、通常運転時におけるシステム内のガスの流れについては省略しているが、本燃料電池システムの通常運転時におけるシステム内のガスの流れは、実施の形態4の構成においてカソードオフガスライン36から吸湿材4を省き、代わりに燃焼ガスライン60に吸湿材6を設けた場合のガスの流れと同じである。したがって、通常運転時には、燃焼ガスは吸湿材6を通ってから大気中に放出されるようになっている。
一方、起動時及び過渡運転時におけるガスの流れは、図6に示すように実施の形態4とは大きく異なっている。まず、燃焼ガスライン60の吸湿材6よりも下流側には、改質器20の予混合部21接続される第1燃焼ガス供給ライン60aとシフト部22bの上流部に接続される第2燃焼ガス供給ライン60bとが設けられている。これら燃焼ガス供給ライン60a,60bは、図示しない三方弁によって大気放出ラインと選択的に切り換えられるようになっている。これにより、起動時及び過渡運転時には、吸湿材6を通った燃焼ガスの一部は、インジェクタ23からの燃料とともに改質部22aに供給され、残りの燃焼ガスはシフト部22bに供給されることになる。なお、実施の形態4において改質器20に供給されていたカソードオフガスは、大気中に放出されるようになっている(図4においては流量調整弁34を大気放出ライン36b側に切り換える)。図中では、起動時及び過渡運転時にカソード11を流れるガスの流路については、簡略化のために図示を省略している。
また、本燃料電池システムでは、燃料供給ライン40は、インジェクタ23に接続される第1燃料供給ライン40aと燃焼器63に接続される第2燃料供給ライン40bに分岐しており、起動時及び過渡運転時には、第1燃料供給ライン40aに加えて第2燃料供給ライン40bにも燃料タンク41内の燃料(ガソリン)が供給される。なお、実施の形態4において燃焼機63に供給されていたアノードオフガスは、大気中に放出されるようになっている(図4においては流量調整弁52を大気放出ライン50b側に切り換える)。
また、本燃料電池システムでは、シフト部(CO選択酸化部も含む)22bの上流部には、エア供給ライン66を介してエアポンプ65が接続されており、起動時及び過渡運転時には、エアポンプ65からシフト部22bに空気が供給されるようになっている。本燃料電池システムでは、カソードオフガスの代わりに燃焼ガスが供給されるため、CO選択酸化反応等のための酸素が不足するが、エアポンプ65から空気が供給されることで不足していた酸素が補充される。
次に、上記のように構成された本燃料電池システムの作用、特に、その特徴部である吸湿材6の作用について、通常運転(定常運転)時、過渡運転時、そして起動時のそれぞれについて説明する。
まず、燃料電池システムが起動した後の通常運転時には、燃焼器63にはアノードオフガスが供給され、アノードオフガス中の水素が燃焼することによって改質器20を加熱するための燃焼ガスが生成される。水素の燃焼により燃焼ガス中には多量の水分(水蒸気)が含まれており、この水分を含む燃焼ガスが吸湿材6を通過すると、燃焼ガス中の水分は吸湿材6に吸収される。これにより、吸湿材6には水分が蓄えられていく。吸湿材6に水分を取られた燃焼ガスは大気中へ放出される。
一方、起動時及び過渡運転時には、燃焼ガスライン60は改質部22a及びシフト部22bに接続され、燃焼ガスが改質部22aとシフト部22bの双方に供給される。同時に、燃焼器63にはアノードオフガスの代わりに燃料タンク41からの燃料が供給される。燃料の燃焼によって、燃焼器63から燃焼ガスライン60へは通常運転時よりも高温の燃焼ガスが排出される。この高温の燃焼ガスが吸湿材6に流入することで、吸湿材6に吸収されていた水分は蒸発し、燃焼ガスに多量の水蒸気が含まれるようになる。この多量の水蒸気を含む燃焼ガスが改質部22aとシフト部22bに供給されることで、燃料の改質のための十分な量の水蒸気を改質器20に供給することが可能になるとともに、一酸化炭素を二酸化炭素に変成させるのに十分な量の水蒸気をシフト部22bに供給することも可能になる。
以上のように、本燃料電池システムによれば、燃焼ガスライン60に吸湿材6が配置され、カソードオフガスの水分が不足する起動時及び過渡運転時に燃焼ガスライン60が改質部22aとシフト部22bの双方に接続されることで、燃焼ガスに含まれる水分を起動時及び過渡運転時における燃料の改質のための水分として、また、一酸化炭素を無害化するための水分として有効に利用することが可能になる。
実施の形態7.
以下、図7を参照して、本発明の実施の形態7について説明する。
図7は本発明の実施の形態7としての燃料電池システムの概略構成図である。図7においては、上述した実施の形態1と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態1のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
以下、図7を参照して、本発明の実施の形態7について説明する。
図7は本発明の実施の形態7としての燃料電池システムの概略構成図である。図7においては、上述した実施の形態1と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態1のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
本燃料電池システムは、実施の形態1のシステムとは、燃料電池80の構造に相違がある。実施の形態1のシステムでは、燃料電池10と別に改質器20が設けられているが、本燃料電池システムでは、燃料電池80そのものに改質機能が付与されている。本燃料電池システムにかかる燃料電池80としては、例えば固体酸化物型(SOFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、或いは水素分離膜型(HMFC)の燃料電池を採用することができる。すなわち、作動温度が極めて高温の燃料電池である。燃料電池80は、アノード81とカソード82によって図示しないプロトン伝導性の電解質膜を挟んだ構造を有しており、アノード81に改質機能、すなわち、燃料である炭化水素を水蒸気改質反応(或いは、水蒸気改質反応と部分酸化反応)によって改質し、水素を生成する機能が付与されている。
また、燃料電池80は、アノード81での改質反応が促進されるように、燃料、水蒸気、及び空気を均一に混合するための予混合部83が設けられている。予混合部83にはインジェクタ84が取り付けられており、インジェクタ84には燃料タンク41につながる燃料供給ライン40が接続されている。また、予混合部83には、燃料電池80のカソード82から排出されるカソードオフガスを供給するためのカソードオフガス供給ライン36aが接続されている。燃料の供給系、及びカソードオフガスの供給系の構成は実施の形態1におけるそれの構成と同様である。
また、上記のように燃料電池80そのものに改質機能が付与される結果、本燃料電池システムでは、改質反応を促進させるための熱の供給は燃料電池80において行われる。このため、アノード81からのアノードオフガスが供給される燃焼器63は、専らアノードオフガス中の可燃成分や有害成分を燃焼させるための手段として用いられるようになっている。
本燃料電池システムでは、吸湿材7は、アノード81の直前、すなわち、予混合部83とアノード81との間に設けられている。吸湿材7としては、実施の形態1のものと同じ材質のものを用いることができる。アノード81の直前に吸湿材7が設けられることで、予混合部83で混合された燃料とカソードオフガスの混合気は、吸湿材7を通ってアノード81に供給される。カソードオフガス中に多くの水分が含まれるときには、混合気から吸湿材7に水分が吸収され、カソードオフガス中の水分が少ないときには、吸湿材7から混合気に水分が付与されるようになる。
カソードオフガス中の水分は、実施の形態1で述べたように、通常運転時には余剰となり、起動時や過渡運転時には不足する。したがって、本燃料電池システムによれば、上記のようにアノード81の直前に吸湿材7が設けられることで、通常運転時には余剰となるアノード81への供給ガス(燃料とカソードオフガスの混合気)中の水分を、水分不足となる起動時や過渡運転時に供給ガスに戻してやることができ、燃料の改質のための十分な量の水蒸気を速やかに改質機能を有するアノード81に供給することが可能になる。また、本燃料電池システムによれば、アノード81の直前に吸湿材7が設けられることで、高温の燃料電池80からの熱によって吸湿材7を暖機することができ、吸湿材7からの水分の蒸発が促進されるという利点もある。
なお、上述の実施の形態7においては、予混合部83と燃料電池80のアノード81が、第1の発明の「改質器」に相当し、燃料電池80のアノード81の改質機能が、第1の発明の「第1化学反応部」に相当する。
実施の形態8.
以下、図8を参照して、本発明の実施の形態8について説明する。
図8は本発明の実施の形態8としての燃料電池システムの概略構成図である。本燃料電池システムは、上述の実施の形態4のシステムと同様、起動時及び過渡運転時におけるシフト反応のための水蒸気を確保することを目的としている。図8においては、実施の形態4と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態4のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
以下、図8を参照して、本発明の実施の形態8について説明する。
図8は本発明の実施の形態8としての燃料電池システムの概略構成図である。本燃料電池システムは、上述の実施の形態4のシステムと同様、起動時及び過渡運転時におけるシフト反応のための水蒸気を確保することを目的としている。図8においては、実施の形態4と同一の部位については、同一の符号を付して示している。以下では、本燃料電池システムが実施の形態4のシステムと相違する構成及び機能ついて重点的に説明し、同一の構成及び機能についてはその説明は省略するものとする。
本燃料電池システムは、実施の形態4のシステムとは、燃料電池90の構造に相違がある。実施の形態4のシステムでは、改質器20にシフト機能が付与されていたが、本燃料電池システムでは、燃料電池90にシフト機能が付与されている。本燃料電池システムにかかる燃料電池90としては、例えば固体酸化物型(SOFC)の燃料電池を採用することができる。すなわち、作動温度が極めて高温の燃料電池である。燃料電池90は、アノード91とカソード92によって図示しないプロトン伝導性の電解質膜を挟んだ構造を有しており、アノード91にシフト機能、すなわち、改質反応によって生成された一酸化炭素をシフト反応(或いは、シフト反応とCO選択酸化反応)によって二酸化炭素に変成する機能が付与されている。
改質器95は、予混合部96と改質部97を備えている。予混合部96にはインジェクタ98が取り付けられており、インジェクタ98には燃料タンク41につながる燃料供給ライン40が接続されている。また、予混合部98には、燃料電池90のカソード92から排出されるカソードオフガスを供給するためのカソードオフガス供給ライン96aが接続されている。予混合部96で混合された燃料とカソードオフガスの混合気は改質部97に供給される。改質部97では、水蒸気改質反応や部分酸化反応によって燃料から水素を含む改質ガスが生成される。改質部97内には燃焼ガスライン60が通っており、燃焼器63から高温の燃焼ガスが供給されるようになっている。なお、燃料、カソードオフガス、アノードオフガスの各供給系の構成は実施の形態4におけるそれの構成と同様である。
本燃料電池システムでは、吸湿材8は、アノード91の直前、すなわち、改質部97とアノード91との間に設けられている。吸湿材8としては、実施の形態4のものと同じ材質のものを用いることができる。アノード91の直前に吸湿材8が設けられることで、改質部97で生成された改質ガスは、吸湿材8を通ってアノード91に供給される。改質ガス中に多くの水分が含まれるときには、改質ガスから吸湿材8に水分が吸収され、改質ガス中の水分が少ないときには、吸湿材8から改質ガスに水分が付与されるようになる。
改質ガス中の水分は、実施の形態4で述べたように、通常運転時には余剰となり、起動時や過渡運転時には不足する。したがって、本燃料電池システムによれば、上記のようにアノード91の直前に吸湿材8が設けられることで、通常運転時には余剰となる改質ガス中の水分を、水分不足となる起動時や過渡運転時に改質ガスに戻してやることができ、一酸化炭素を二酸化炭素に変成させるのに十分な量の水蒸気をシフト機能を有するアノード91に供給することが可能になる。また、本燃料電池システムによれば、アノード91の直前に吸湿材8が設けられることで、高温の燃料電池90からの熱によって吸湿材8を暖機することができ、吸湿材8からの水分の蒸発が促進されるという利点もある。
なお、上述の実施の形態8においては、予混合部96、改質部97、及び燃料電池90のアノード91が、第1の発明の「改質器」に相当し、改質部97と燃料電池80のアノード91のシフト機能の双方が、それぞれ第1の発明の「第1化学反応部」に相当する。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、以下のように変形して実施してもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、以下のように変形して実施してもよい。
実施の形態1において、吸湿材1の上流にカソードオフガスを加熱するための何らかの加熱手段(例えば、電気ヒータ)を設けてもよい。吸湿材1中の水分は、乾燥したカソードオフガスが流れることで蒸発するが、当然、カソードオフガスの温度が高いほど蒸発は促進される。燃料電池10が作動している時には、燃料電池10からの熱によりカソードオフガスは高温になっているが、起動時には、燃料電池10が作動していないためにカソードオフガスは低温であることが想定される。したがって、少なくとも起動時には、加熱手段によってカソードオフガスを添加水蒸気量の加湿に必要な飽和温度(例えば、80℃程度)まで加熱してやるのが好ましい。
また、上述の各実施の形態を適宜組み合わせて複数箇所に吸湿材を配置してもよい。例えば、実施の形態1の構成に実施の形態2の構成を組み合わせ、カソードオフラインとアノードオフラインの双方に吸湿材を配置することも可能である。
1,2,3,4,5,6,7,8 吸湿材
10 燃料電池
11 アノード
12 カソード
20 改質器
22 改質部
22a 改質部
22b シフト部
36 カソードオフライン
41 燃料タンク
50 アノードオフライン
60 燃焼ガスライン
63 燃焼器
80 燃料電池
81 改質機能付きアノード
82 カソード
90 燃料電池
91 シフト機能付きアノード
92 カソード
95 改質器
97 改質部
10 燃料電池
11 アノード
12 カソード
20 改質器
22 改質部
22a 改質部
22b シフト部
36 カソードオフライン
41 燃料タンク
50 アノードオフライン
60 燃焼ガスライン
63 燃焼器
80 燃料電池
81 改質機能付きアノード
82 カソード
90 燃料電池
91 シフト機能付きアノード
92 カソード
95 改質器
97 改質部
Claims (8)
- 炭化水素系原料を改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスと酸素を含む酸化ガスの供給を受けて電力を発生する燃料電池と、を有する燃料電池システムにおいて、
前記改質器を構成し、水蒸気を反応物とした化学反応を起こす第1化学反応部と、
通常運転時には、システム内のガスから水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記第1化学反応部への供給ガスに水分を付与する吸湿材と、
を備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 生成物として水を生じる化学反応を起こす第2化学反応部を備え、
前記吸湿材は、少なくとも通常運転時には、前記第2化学反応部から排出される排出ガスの排出ラインに位置し、少なくとも起動時或いは過渡運転時には、前記第1化学反応部に供給される供給ガスの供給ラインに位置するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。 - 水蒸気を反応物とした化学反応を起こす、前記第1化学反応部と同一或いは別の第3化学反応部を備え、
前記吸湿材は、少なくとも通常運転時には、前記第3化学反応部から排出される排出ガスの排出ラインに位置し、少なくとも起動時或いは過渡運転時には、前記第1化学反応部に供給される供給ガスの供給ラインに位置するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。 - 前記第1化学反応部は、前記改質器の改質部であり、
前記第2化学反応部は、前記燃料電池のカソードであり、
前記吸湿材は、前記カソードから排出されるカソードオフガスを前記改質部へ供給するためのカソードオフガスラインに配置され、通常運転時には、前記カソードオフガス中の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記カソードオフガスに水分を付与することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。 - 前記第1化学反応部は、前記改質器の改質部或いはシフト部であり、
前記第2化学反応部は、前記改質部に熱を供給するための燃焼器であり、
前記吸湿材は、起動時には、前記燃焼器から排出される燃焼ガスの排出ラインに接続されて前記燃焼ガス中の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記改質部或いはシフト部への供給ガスの供給ラインに接続されて前記供給ガスに水分を付与することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。 - 前記第1化学反応部は、前記改質器のシフト部であり、
前記第3化学反応部は、前記改質器の改質部であり、
前記吸湿材は、前記改質部と前記シフト部との間に配置され、通常運転時には、前記改質部から排出される改質ガス中の未反応の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記改質ガスに水分を付与することを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。 - 前記第1化学反応部は、前記改質器の改質部であり、
前記第3化学反応部は、前記改質器の改質部或いはシフト部であり、
前記吸湿材は、前記燃料電池のアノードから排出されるアノードオフガスを前記改質部へ供給するためのアノードオフガスラインに配置され、通常運転時には、前記アノードオフガスに含まれる未反応の水分を吸収し、起動時或いは過渡運転時には、前記アノードオフガスに水分を付与することを特徴とする請求項3記載の燃料電池システム。 - 前記改質器の改質部には、前記カソードから排出されるカソードオフガスが供給されることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項記載の燃料電池システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004008359A JP2005203229A (ja) | 2004-01-15 | 2004-01-15 | 燃料電池システム |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004008359A JP2005203229A (ja) | 2004-01-15 | 2004-01-15 | 燃料電池システム |
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010157478A (ja) * | 2009-01-05 | 2010-07-15 | Honda Motor Co Ltd | 発電装置 |
JP2011034715A (ja) * | 2009-07-30 | 2011-02-17 | Nissan Motor Co Ltd | 燃料電池システムとこの燃料電池システムに用いる燃料電池の昇温方法 |
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-
2004
- 2004-01-15 JP JP2004008359A patent/JP2005203229A/ja not_active Withdrawn
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