JP2005298330A - 合成石英ガラスおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】均質性および耐紫外線性に優れた合成石英ガラスの提供。
【解決手段】紫外域から真空紫外域の光を照射して使用される光学用合成石英ガラスにおいて、OH基およびフッ素を含有する合成石英ガラスで形成され、光使用領域においてOH基濃度の変動幅が15ppm以下、フッ素濃度の変動幅が15ppm以下であり、かつ塩素濃度が25ppm以下である合成石英ガラス。
【選択図】なし
【解決手段】紫外域から真空紫外域の光を照射して使用される光学用合成石英ガラスにおいて、OH基およびフッ素を含有する合成石英ガラスで形成され、光使用領域においてOH基濃度の変動幅が15ppm以下、フッ素濃度の変動幅が15ppm以下であり、かつ塩素濃度が25ppm以下である合成石英ガラス。
【選択図】なし
Description
本発明は、波長400nm以下の紫外線を光源とする装置の光学部材に用いられる合成石英ガラスおよびその製造方法に関する。より詳細にはエキシマレーザ(XeCl:308nm、KrF:248nm、ArF:193nm)、F2レーザ(157nm)、低圧水銀ランプ(185nm)、Xe2 *エキシマランプ(172nm)、重水素ランプ(110〜400nm)などの光源から発せられる紫外域から真空紫外域までの光に用いられるレンズ(投影系、照明系)、プリズム、エタロン、フォトマスク、ペリクル(ペリクル材、ペリクルフレームまたはその両者)、窓材などの光学部材(製品化したものと半製品化したものとを含む)として用いられる合成石英ガラスおよびその製造方法に関する。
合成石英ガラスは、近赤外域から真空紫外域までの広範囲の波長域にわたって透明な材料であること、熱膨張係数がきわめて小さく寸法安定性に優れていること、また、金属不純物をほとんど含有しておらず高純度であることなどの特徴がある。そのため、従来のg線(436nm)、i線(365nm)を光源として用いた光学装置の光学部材には合成石英ガラスが主に用いられてきた。
近年、LSIの高集積化に伴い、ウエハ上に集積回路パターンを描画する光リソグラフィ技術において、より線幅の細い微細な描画技術が要求されており、これに対応するために露光光源の短波長化が進められている。例えばリソグラフィ用ステッパの光源には、従来のg線、i線に代わって、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザが用いられつつあり、さらにはF2レーザが用いられようとしている。
また、低圧水銀ランプ、Xe2 *エキシマランプや重水素ランプは、1)光CVDなどの装置、2)シリコンウェハのアッシング装置やエッチング装置、または3)オゾン発生装置などに用いられており、また今後光リソグラフィ技術に適用すべく開発が進められている。低圧水銀ランプ、エキシマランプ、重水素ランプなどに用いられるガス封入管、または前述の短波長光源を用いた光学装置など、これらの短波長光を照射して用いる光学部材にも合成石英ガラスを用いる必要がある。
これらの光学部材に用いられる合成石英ガラスは、紫外域から真空紫外域にわたる波長での光透過性が要求されるとともに、紫外線照射により透過率が低下しないこと(以下、単に「耐紫外線性」という)が要求される。また、ArFエキシマレーザ、F2レーザ、低圧水銀ランプ、Xe2 *エキシマランプ、重水素ランプ等等の光を照射して用いられる光学部材には、波長200nm以下の真空紫外域での光透過性(以下、単に「真空紫外線透過性」という)に優れることが要求される。また、波長200nm以下の光に使用する光学部材では、従来よりもさらに屈折率変動幅(Δn)が小さいこと(以下、「均質性」という)も要求される。
従来の合成石英ガラスでは、例えばKrFエキシマレーザやArFエキシマレーザなどの光源から発せられる高エネルギ光を照射すると、紫外域に新たな吸収帯を生じ、紫外線を光源とした光学系を構築する際の光学部材としては問題があった。すなわち、紫外線が長時間照射されると、いわゆるE’センタ(≡Si・)と呼ばれる略215nmの吸収帯とNBOHC(非架橋酸素ラジカル:≡Si−O・)と呼ばれる略260nmの吸収帯が生起する。
これらの吸収帯が生起する原因は大きく二つに分類でき、一つは合成石英ガラス中の構造欠陥、すなわち≡Si−Si≡(酸素欠乏型欠陥)や≡Si−Hなどの還元型欠陥、あるいは≡Si−O−O−Si≡などの酸化型欠陥によるもの、別の一つは合成石英ガラス中の不安定な構造、すなわち三員環構造や四員環構造によるものである。これらの欠陥が、次式(1)〜(4)に示すように、紫外線照射により切断され、常磁性欠陥(E’センタおよびNBOHC)が生成し、常磁性欠陥があると透過率の低下、耐紫外線性の低下、絶対屈折率の上昇、屈折率分布の変動や蛍光が生じると考えられている。
≡Si−Si≡ + hν → 2≡Si・ (1)
≡Si−H + hν → ≡Si・ + H・ (2)
≡Si−O−O−Si≡ + hν → 2≡Si−O・ (3)
≡Si−O−Si≡ + hν →≡Si・ + ≡Si−O・ (4)
≡Si−H + hν → ≡Si・ + H・ (2)
≡Si−O−O−Si≡ + hν → 2≡Si−O・ (3)
≡Si−O−Si≡ + hν →≡Si・ + ≡Si−O・ (4)
これらの問題を解決するために種々の方法が検討されており、合成石英ガラス中に水素分子を何らかの形で含有させればよいことが知られている。例えば、特許文献1には、合成石英ガラス中に水素分子を5×1016分子/cm3以上含有し、かつOH基を100ppm以上含有させることにより、紫外線照射による透過率低下を抑制する方法が開示されている。
しかし合成石英ガラス中のOH基は、紫外線照射により下記式(5)の反応が進んでNBOHCが生じ260nm吸収および650nm蛍光が生成するため問題であった。
≡Si−OH + hν → ≡Si−O・(NBOHC)+H・ (5)
≡Si−OH + hν → ≡Si−O・(NBOHC)+H・ (5)
たとえ水素分子を含有させても式(5)の反応を完全には防げず、特にOH基濃度が多い場合には650nm蛍光が強くなり、問題であった。またOH基濃度が多いと、150〜180nmにおける光の透過率が低下するため、特に低圧水銀ランプ、Xe2 *エキシマランプ、F2レーザなどを光源とする装置に使用される場合には問題であった。
こうした問題を解決すべく、特許文献2には、OH基濃度が10ppm以下かつハロゲン濃度が400ppm以上であり水素分子を含有する合成石英ガラスが提案されている。この合成石英ガラスによれば、OH基濃度が少ないため耐紫外線性にも優れ、さらに150〜180nmにおいて高い透過率が得られる。
この特許文献2には、(1)ガラス形成原料を火炎加水分解して多孔質石英ガラス体を形成する工程と、(2)多孔質石英ガラス体をハロゲン含有雰囲気下にて800〜1250℃の温度で加熱し脱水処理する工程と、(3)脱水処理した多孔質石英ガラス体を透明ガラス化温度まで昇温し透明ガラス化する工程と、(4)透明ガラス化した合成石英ガラスを水素を含む雰囲気下で500〜1100℃の温度にて加熱処理し水素を含有させる工程とからなることを特徴とする製造方法が提案されている。
さらに、高温で水素を含有した雰囲気下に合成石英ガラスを保持すると≡Si−Si≡および≡Si−Hの還元型欠陥が生成しやすくなるため、特許文献3には、特許文献2に開示の方法とほぼ同様に、透明ガラス化したフッ素含有石英ガラスを形成し、さらに500℃以下の温度で水素を含有した雰囲気下で水素を含有させる製造方法が提案されている。
しかし本発明者らが、特許文献2や特許文献3に記載される方法について検討した結果、必ずしも充分な耐紫外線性が得られない場合があることが判明した。すなわち、多孔質石英ガラス体をフッ素化合物を含んだ雰囲気下で800〜1250℃の高温で処理すると、前記≡Si−Si≡欠陥が生成する。この≡Si−Si≡欠陥は、前述のように紫外線照射によりE’センタを生成するだけでなく、245nmおよび163nmに吸収を持つため問題であった。
また≡Si−Si≡欠陥は、たとえ水素含有処理を行っても下記式(6)により≡Si−Hが生成し、この≡Si−Hも紫外線照射によりE’センタを生成するため問題であった。
≡Si−Si≡ + H2 → ≡Si−H + ≡Si−H (6)
≡Si−Si≡ + H2 → ≡Si−H + ≡Si−H (6)
一方、真空紫外線透過性の向上を図るために、特許文献4には、OH基濃度が200ppm以下、塩素濃度が2ppm以下、かつ≡Si−Si≡濃度が1×1015個/cm3以下である合成石英ガラスが提案されている。特許文献5には、OH基濃度が10〜400ppmかつ還元型欠陥および酸化型欠陥の濃度がそれぞれ5×1016個/cm3以下である合成石英ガラスが提案されている。特許文献6には、OH基濃度が100〜2000ppm、かつ遷移金属、アルカリ金属やアルカリ土類金属をそれぞれ所定濃度以下含む合成石英ガラスが提案されている。
これら従来の合成石英ガラスは、いずれもOH基濃度を所定の範囲にすることにより真空紫外線透過性の向上を図るものであるが、必ずしも真空紫外域において高い透過率が得られなかった。
これら従来の合成石英ガラスは、いずれもOH基濃度を所定の範囲にすることにより真空紫外線透過性の向上を図るものであるが、必ずしも真空紫外域において高い透過率が得られなかった。
また、合成石英ガラスの均質性を確保する方法として、特許文献7には、合成石英ガラス中にOH基および塩素を含有させ、OH基および塩素濃度の変動幅を調整する方法が提案されている。しかしながら、塩素は≡Si−Clの形で合成石英ガラス中に存在し、この≡Si−Clの結合は結合エネルギーが7〜8eVと弱く、紫外線照射によって下式に示すように容易に開裂し、やはりE’センタが生起する。
≡Si−Cl + hν → ≡Si・(E’センタ) + Cl・
したがって、上記特許文献に示される方法では均質性に優れた合成石英ガラスが得られるものの、耐紫外線性に問題があった。
≡Si−Cl + hν → ≡Si・(E’センタ) + Cl・
したがって、上記特許文献に示される方法では均質性に優れた合成石英ガラスが得られるものの、耐紫外線性に問題があった。
本発明は、E’センタおよび蛍光発光の発生が低減され、耐紫外線性に優れる合成石英ガラスを提供する。
本発明は、また、真空紫外線透過性に優れる合成石英ガラスを提供する。
本発明は、均質性に優れる合成石英ガラスを提供する。
本発明は、これらの合成石英ガラスを製造するために好適な方法を提供する。
本発明は、また、真空紫外線透過性に優れる合成石英ガラスを提供する。
本発明は、均質性に優れる合成石英ガラスを提供する。
本発明は、これらの合成石英ガラスを製造するために好適な方法を提供する。
本発明者らは、耐紫外線性および紫外線透過性に対して、合成石英ガラス中のハロゲン濃度が及ぼす影響、ならびに合成石英ガラス中の不安定な構造が及ぼす影響について、詳細な検討を行なった。その結果、合成石英ガラス中において、フッ素は≡Si−Fの形で存在し、この≡Si−F結合は結合エネルギーが20eV以上と非常に強く紫外線照射によっても開裂しないため、耐紫外線性については問題ないことを知見した。さらにフッ素は、その機構は定かではないが、石英ガラス中の歪んだ構造を低減し、耐紫外線性を改善することを知見した。
そこで、本発明は、フッ素を含有し、レーザラマンスペクトルにおける800cm-1の散乱ピーク強度I800に対する2250cm-1の散乱ピーク強度I2250の値(I2250/I800)が1×10-4以下であり、かつ245nmの光の吸収係数(以下、単に245nmの吸収係数という)が2×10-3cm-1以下である合成石英ガラスを提供する。
800cm-1の散乱ピークは≡Si−O−の結合(ケイ素と酸素との間の基本振動)を示すピークであり、2250cm-1の散乱ピークは還元型欠陥である≡Si−Hの結合を示すピークであって、I2250/I800の値は、≡Si−H欠陥の濃度(≡Si−H濃度)の指標となる。本発明においては、I2250/I800が1×10-4以下であることが重要である。1×10-4超では、E’センタを生起しやすい。
245nmの吸収係数は、やはり還元型欠陥である≡Si−Si≡欠陥の濃度の指標となる。本発明においては、245nmの吸収係数が2×10-3cm-1以下であることが重要である。2×10-3cm-1超では、やはりE’センタを生起しやすい。また、2×10-3cm-1超では、150〜180nmにおける高透過性の達成が困難となる。また、163nmの光の吸収も低減されていることが好ましい。
本発明における2250cm-1の散乱ピークの規定、および245nmの吸収係数の規定は、還元型欠陥量を規定するものである。
本発明における2250cm-1の散乱ピークの規定、および245nmの吸収係数の規定は、還元型欠陥量を規定するものである。
E’センタの濃度は、KrFエキシマレーザ光をショット照射した直後の214nmの光の透過率を紫外可視分光光度計により測定し、照射前後での吸収係数変化量Δk214[cm-1]を求めることで評価できる。Δk214は、1×10-1以下であることが好ましい。特に、1×10-2以下であることが好ましい。
蛍光発光の程度は、KrFエキシマレーザ光をショット照射した場合の650nm蛍光強度L650およびKrFエキシマレーザ散乱光強度S248をKrFレーザ光の入射軸の直角方向から測定し、KrFレーザ(248nm)散乱光強度に対する650nm蛍光強度の比L650/S248を求めることにより評価できる。L650/S248は、5×10-4以下であることが好ましく、1×10-4以下であることが特に好ましい。
また、本発明者らは、耐紫外線性に対する合成石英ガラス中のハロゲン濃度およびOH基濃度の影響についてさらに詳細な検討を行った結果、合成石英ガラス中において、フッ素と塩素はその作用が異なり、塩素は≡Si−Clの形で合成石英ガラス中に存在し、この≡Si−Cl結合は結合エネルギが7〜8eVと弱く、紫外線照射によって次式(7)
≡Si−Cl + hν → ≡Si・(E'センター)+ Cl・ (7)
に示すように容易に開裂し、前記E'センターを生じるため、耐紫外線性を低下させることを知見した。
≡Si−Cl + hν → ≡Si・(E'センター)+ Cl・ (7)
に示すように容易に開裂し、前記E'センターを生じるため、耐紫外線性を低下させることを知見した。
なお塩素を含有しないガラス原料を用いて製造した、塩素を含有しない合成石英ガラスも提案されている(特開平7−291635号公報)。これは高エネルギ光線の照射による透過率の低下抑止のためにフッ素濃度を1000ppm以上とし、酸素欠乏型欠陥≡Si−Si≡による245nmでの吸収を抑制するためにOH基濃度を50ppm以上としたものであるが、その反面150〜180nmにおける透過率の低下問題に言及しておらず、低圧水銀ランプ、Xe2 *エキシマランプおよびF2レーザなどを光源とする装置に使用するに際し支障があった。
そこで常磁性欠陥の生成自体を抑制して、本質的な耐紫外線性の向上を達成するためには、合成石英ガラス中のOH基、塩素、フッ素濃度の最適化を図る必要があると考え、この点に関する検討をさらに行った結果、合成石英ガラス中のフッ素濃度を増やし、塩素濃度を低減すれば、OH基濃度がやや少なくなっても耐紫外線性に優れた合成石英ガラスが得られることを見い出した。
すなわち、本発明は、フッ素を含有して還元型欠陥を特定量以下とし、塩素濃度が100ppm以下である合成石英ガラスを提供する。特に、合成石英における不安定な構造、E’センター、蛍光発光の抑制に有効で、優れた耐紫外線性を示す合成石英ガラスとして、合成石英ガラス中のOH基濃度が50ppm未満、フッ素濃度が100ppm以上、塩素濃度が100ppm以下、水素分子濃度が5×1016分子/cm3以上であることを特徴とする合成石英ガラスが好ましい。
また、合成石英ガラス中のハロゲン濃度および水素分子濃度が及ぼす影響、ならびに石英ガラス中の不安定な構造が及ぼす影響の相互の関係について検討した。その結果、フッ素ドープにより不安定な構造の存在量を一定の限度まで低減するとともに、水素分子の含有による常磁性欠陥の修復作用を併用すれば、短波長光源から発せられる光に対する合成石英ガラスの紫外線透過性および耐紫外線性を満足できるレベルまで向上できることを知見した。
そこで、本発明の合成石英ガラスの中でも、石英ガラス中の不安定な構造に帰属されるレーザラマンスペクトルの495cm-1の散乱ピーク強度(I1)および606cm-1の散乱ピーク強度(I2)と、440cm-1の散乱ピーク強度(I0)との強度比I1/I0およびI2/I0が特定の範囲にある合成石英ガラスが、紫外線透過性および耐紫外線性の向上に有効であることを知見した。
そこで、本発明は、前記知見に基づき、フッ素を含有して、還元型欠陥を特定量以下として、かつレーザーラマンスペクトルにおける495cm-1の散乱ピーク強度(I1)および606cm-1の散乱ピーク強度(I2)が、440cm-1の散乱ピーク強度(I0)に対してそれぞれI1/I0≦0.585、I2/I0≦0.136であることを特徴とする合成石英ガラスをも提供する。特にフッ素を100ppm以上、水素分子を5×1016分子/cm3以上含有することが好ましい。
本発明の合成石英ガラスは、フッ素濃度が100ppm(重量ppmの意であり、以下も同様。ppbについても同様。)以上であることが好ましい。100ppm未満では、合成石英ガラス中の不安定な構造を低減する作用が充分でない場合がある。フッ素濃度が400ppm以上であることがより好ましく、400〜3000ppmの範囲が特に好ましい。フッ素の濃度が3000ppmを超えて含有する場合には、還元型欠陥が生成して耐紫外線性が低下するおそれがある。
本発明の合成石英ガラスは、OH基濃度が100ppm以下であることが好ましい。100ppm超では、略170nm以下の波長領域での透過率が低下し、例えば、Xe2 *エキシマランプ、F2レーザ、重水素ランプを光源とする装置の光学部材として適さないおそれがある。OH基濃度が50ppm以下であれば、良好な耐紫外線性が得られ、真空紫外域において高い透過率が得られる点で、20ppm以下、さらには10ppm未満が好ましい。特に、OH基濃度は波長200nm以下の真空紫外域における光透過性に影響を及ぼし、波長175nm以下の真空紫外域の光に使用される合成石英ガラスでは、OH基濃度が10ppm未満であることが好ましい。さらに、波長160nm以下の真空紫外域の光に使用される合成石英ガラスでは、OH基濃度が5ppm以下であることが好ましい。
また、合成石英ガラス中の酸素欠乏型欠陥(≡Si−Si≡)は、真空紫外線透過性に大きな影響を及ぼし、この酸素欠乏型欠陥は、波長163nmを中心とする吸収帯を有する。波長163nmにおける内部透過率T163(%/cm)は、合成石英ガラス中のOH基濃度COH(ppm)により次式(i)のように推測される。
T163(%/cm)≧exp(−0.02COH 0.85)×100 (i)
T163(%/cm)≧exp(−0.02COH 0.85)×100 (i)
しかし、酸素欠乏型欠陥があると、163nmを中心とした吸収帯があるため、実際の波長163nmにおける透過率(T163)は、式(i)の右辺の値よりも小さくなり、さらに、その吸収帯の大きさにもよるが、波長200nm以下の透過率が低下する。したがって、酸素欠乏型欠陥を実質的に含有しないことが、優れた真空紫外線透過性を得るために重要であり、酸素欠乏型欠陥を実質的に含有しないこと、すなわち、波長163nmにおける内部透過率に関する式(i)を満足することが好ましい。
また、本発明による合成石英ガラスは、真空紫外線透過性の観点から、157nmにおける内部透過率が70%/cmであることが好ましく、特に内部透過率が80%/cm以上であることが好ましい。
本発明の合成石英ガラスにおいて、塩素濃度は、少なければ少ないほど好ましく、塩素濃度は100ppm以下であれば、良好な耐紫外線性が得られ、均質性の点からは25ppm以下が好ましく、特に良好な真空紫外線透過性が得られる点から10ppm以下であることが好ましい。さらに、波長175nm以下の真空紫外域における耐紫外線性の点では、塩素は極力少ない方が好ましく、具体的には100ppb以下、特に50ppb以下が好ましい。
本発明の合成石英ガラスにおいて、水素分子濃度が5×1016分子/cm3以上にすると、紫外線照射により生成した常磁性欠陥を修復する作用を生じる。特に、水素分子濃度が1×1017分子/cm3以上、さらには1×1017〜5×1018分子/cm3、特に5×1017〜5×1018分子/cm3であることが好ましい。
一方、石英ガラスネットワーク中の≡Si−O−Si≡結合におけるSi−O−Si結合角はある分布を有している。合成石英ガラス中の不安定な構造とは、歪んだ≡Si−O−Si≡結合のことをいう。合成石英ガラス中の不安定な構造は、正常な構造に比べて結合エネルギーが弱いため、不安定な構造が多いほど真空紫外線透過性が低下する。この不安定な構造は、合成石英ガラスの仮想温度に依存するとともに、合成石英ガラス中のフッ素濃度に影響を受ける。すなわち、合成石英ガラス中にフッ素をドープすると不安定な構造を低減することができ、また仮想温度が低いほど不安定な構造は低減される。具体的には合成石英ガラスの仮想温度が1100℃以下であれば、不安定な構造を低減することができ、優れた真空紫外線透過性が得られる。この場合、フッ素濃度は100ppm以上であることが好ましい。本発明において、仮想温度とは、A.Agarwalらの方法(J.Non−Cryst.,185,191,1995)を用いて求めた仮想温度をいう。
本発明の合成石英ガラス中のアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属不純物は、紫外域から真空紫外域における透過率を低下させるだけでなく、耐紫外線性を低下させる原因ともなるため、その濃度は極力少ない方が好ましい。具体的には金属不純物の合計量が100ppb以下、特に50ppb以下が好ましい。
また、合成石英ガラスにおいて、石英ガラス中のOH基およびフッ素は屈折率に影響を与えるため、OH基およびフッ素の濃度に分布が存在すると、均質性が悪化する。
そこで常磁性欠陥の生成自体を抑制して耐紫外線性を向上させ、かつ、均質性の向上を達成するためには、OH基、フッ素濃度の分布を最適化する必要があると考え、この点に関する検討を行った。その結果、光が透過する領域、すなわち光使用領域におけるフッ素濃度およびOH基濃度の分布を制御することにより、フッ素濃度およびOH基濃度の変動幅をともに、15ppm以下の範囲とすると、均質性を向上できるという知見を得た。
また、光が通過する領域において、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうように分布する場合には、フッ素濃度およびOH基濃度の変動幅の上限を25ppm以下としても、均質性を向上できるという知見も得た。
また、光が通過する領域において、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうように分布する場合には、フッ素濃度およびOH基濃度の変動幅の上限を25ppm以下としても、均質性を向上できるという知見も得た。
よって、本発明は、紫外域から真空紫外域の光を照射して使用される光学用合成石英ガラスにおいて、OH基およびフッ素を含有する合成石英ガラスで形成され、光使用領域においてOH基濃度の変動幅が15ppm以下、フッ素濃度の変動幅が15ppm以下であり、かつ塩素濃度が25ppm以下である合成石英ガラスを提供する。
さらに、均質性および耐紫外線性に優れた合成石英ガラスとして、OH基およびフッ素を含有する合成石英ガラスで形成され、光使用領域において、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうように分布し、かつOH基濃度の変動幅が25ppm以下、フッ素濃度の変動幅が25ppm以下、および塩素濃度が25ppm以下である合成石英ガラスを提供する。
さらに、均質性および耐紫外線性に優れた合成石英ガラスとして、OH基およびフッ素を含有する合成石英ガラスで形成され、光使用領域において、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうように分布し、かつOH基濃度の変動幅が25ppm以下、フッ素濃度の変動幅が25ppm以下、および塩素濃度が25ppm以下である合成石英ガラスを提供する。
本発明において、光使用領域におけるOH基濃度の変動幅およびフッ素濃度の変動幅が、ともに15ppm以下である合成石英ガラスは、優れた均質性を安定して発現できるため、好ましい。また、光使用領域において、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうように分布する場合には、OH基濃度の変動幅が25ppm以下、およびフッ素濃度の変動幅が25ppm以下である合成石英ガラスであっても、優れた均質性を安定して発現できる。
このとき、入射光に直交する平面内における屈折率変動幅(Δn)が20×10-6以下であることが好ましく、特に10×10-6以下、さらには5×10-6以下であることが好ましく、最も好ましくは2×10-6以下である。
このΔnの観点からは、光使用領域におけるフッ素濃度の変動幅とOH基濃度の変動幅との合計が5ppm以下であることが、特に好ましい。
このとき、入射光に直交する平面内における屈折率変動幅(Δn)が20×10-6以下であることが好ましく、特に10×10-6以下、さらには5×10-6以下であることが好ましく、最も好ましくは2×10-6以下である。
このΔnの観点からは、光使用領域におけるフッ素濃度の変動幅とOH基濃度の変動幅との合計が5ppm以下であることが、特に好ましい。
本発明によれば、紫外線透過性に優れるとともに、エキシマレーザなどの光源からの高エネルギ光や放射線などの照射によるE’センタの発生に基づく透過率の低下や蛍光発光が低減され、耐紫外線性に優れる合成石英ガラスが得られる。
また、本発明によれば、真空紫外線透過性に優れた合成石英ガラスを得ることができる。特に、波長200nm以下の真空紫外域でも透過率の高い合成石英ガラスを得ることができる。
さらに、本発明によれば、均質性および耐紫外線性に優れた合成石英ガラスを得ることができる。
したがって、本発明の合成石英ガラスは、紫外域から真空紫外域までの光に使用される光学系を構成する部材としてきわめて好適である。
また、本発明によれば,上記の耐紫外線性、真空紫外線透過性、または均質性に優れる合成石英ガラスを容易に製造することができる。
また、本発明によれば、真空紫外線透過性に優れた合成石英ガラスを得ることができる。特に、波長200nm以下の真空紫外域でも透過率の高い合成石英ガラスを得ることができる。
さらに、本発明によれば、均質性および耐紫外線性に優れた合成石英ガラスを得ることができる。
したがって、本発明の合成石英ガラスは、紫外域から真空紫外域までの光に使用される光学系を構成する部材としてきわめて好適である。
また、本発明によれば,上記の耐紫外線性、真空紫外線透過性、または均質性に優れる合成石英ガラスを容易に製造することができる。
本発明において、光使用領域とは、合成石英ガラスの使用時に、紫外域から真空紫外域までの光が透過または反射する領域をいう。さらに、本発明において、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうように分布するとは、合成石英ガラスの光が通過する領域において、入射光に直交する任意の平面におけるフッ素濃度およびOH基濃度が互いに増減を相補する分布状態にあることをいう。すなわち、例えば、フッ素濃度が任意の平面の中心から外側に向けて増加する場合には、OH基濃度は平面の中心から外側に向けて減少するように分布している状態、またはその逆の分布状態をいう。具体的には、後記の例82〜94の合成石英ガラスについて、表14〜17に示すフッ素濃度およびOH基濃度の分布状態を表すグラフに図示されるように、入射光に直交する平面において、フッ素濃度が中心で最小値となる下に凸のグラフを示すのに対して、OH基濃度が中心で最大値となる上に凸のグラフを示し、両者の濃度が相補関係にある分布状態であること、またはその逆の相補関係にある分布状態をいう。
本発明において、合成石英ガラスを製造する方法としては、直接法、スート法(VAD法、OVD法)、プラズマ法等を挙げることができる。製造時の温度が低く、塩素および金属などの不純物の混入を避けることができる観点で、スート法が特に好ましい。また、スート法によれば、フッ素をドープすることで、OH基がフッ素により置換される。スート法によれば、フッ素ドープ量と置換されるOH基量とはほぼ等しく、OH基を効率よく減少させることができるため、OH基濃度の少ない紫外線透過性に優れた合成石英ガラスを生産性よく得ることができる。
スート法によって、本発明の合成石英ガラスを製造する方法を具体的に説明する。
このスート法による合成石英ガラスの製造は、下記の(a)、(b)および(c)の工程を含む方法である。
(a)石英ガラス形成原料を火炎加水分解させて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて多孔質石英ガラス体を形成させる工程と、
(b)多孔質石英ガラス体をフッ素含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を得る工程と、
(c)フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得る工程
このスート法による合成石英ガラスの製造は、下記の(a)、(b)および(c)の工程を含む方法である。
(a)石英ガラス形成原料を火炎加水分解させて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて多孔質石英ガラス体を形成させる工程と、
(b)多孔質石英ガラス体をフッ素含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を得る工程と、
(c)フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得る工程
水素分子が含有される場合には、下記(a)、(b’)、(c’)、(d)の各工程をこの順で行うことで製造される。
(a)石英ガラス形成原料を火炎加水分解させて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて多孔質石英ガラス体を形成させる工程。
(b’)多孔質石英ガラス体を600℃以下の温度にフッ素含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を得る工程。
(c’)フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を実質的にフッ素を含まない雰囲気下にて透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得る工程。
(d)フッ素を含有した透明石英ガラス体を600℃以下の温度に水素ガス含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した透明石英ガラス体に水素を含有させて合成石英ガラスを得る工程。
(a)石英ガラス形成原料を火炎加水分解させて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて多孔質石英ガラス体を形成させる工程。
(b’)多孔質石英ガラス体を600℃以下の温度にフッ素含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を得る工程。
(c’)フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を実質的にフッ素を含まない雰囲気下にて透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得る工程。
(d)フッ素を含有した透明石英ガラス体を600℃以下の温度に水素ガス含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した透明石英ガラス体に水素を含有させて合成石英ガラスを得る工程。
多孔質石英ガラス体をフッ素化合物を含んだ雰囲気下で保持する際の温度が高いと、≡Si−Si≡欠陥が生成しやすい。すなわち、多孔質石英ガラス体をフッ素化合物を含んだ雰囲気下で高温で処理すると、フッ素化合物の活性が強く下記式(8)、(9)により≡Si−Si≡欠陥が生成する傾向にある。
≡Si−O−Si≡ → ≡Si−Si≡ (8)
フッ素化合物
≡Si−OH → ≡Si−F (9)
フッ素化合物
フッ素化合物
≡Si−OH → ≡Si−F (9)
フッ素化合物
したがって600℃以下の低温にてフッ素化合物を含んだ雰囲気にて多孔質石英ガラス体を処理すれば、フッ素化合物の活性を抑制でき、式(8)の反応が生じることなく上記式(9)の反応のみ起こるため、≡Si−Si≡欠陥は生成しない。
以下、各工程について説明する。工程(a)においては、石英ガラス形成原料を酸素ガスおよび水素ガスを多重管バーナーに供給し、火炎加水分解させて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて多孔質石英ガラス体を形成させる。石英ガラス形成原料としては、ガス化可能な原料であれば特に限定されないが、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2、SiCH3Cl3などの塩化物、SiF4、SiHF3、SiH2F2などのフッ化物、SiBr4、SiHBr3などの臭化物、SiI4などのヨウ化物、といったハロゲン化ケイ素化合物、またはRnSi(OR)4-n(ここにRは炭素数1〜4のアルキル基、nは0〜3の整数)で示されるアルコキシシランが挙げられる。また前記基材としては石英ガラス製の種棒(例えば特公昭63−24973記載の種棒)を使用できる。また棒状に限らず板状の基材を使用してもよい。また、酸素ガスと水素ガスとの比率は、水素過剰雰囲気であると還元型欠陥が生成するため、酸素過剰雰囲気が好ましく、具体的には酸素ガスに対する水素ガスの比率は1.6〜1.9が好ましい。
次に、工程(b)において、前記多孔質石英ガラス体を600℃以下の温度にフッ素含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を得る。このフッ素含有雰囲気としては、含フッ素ガス(例えばSiF4、SF6、CHF3、CF4、F2)を0.1〜100体積%、特に1〜20体積%含有する不活性ガス雰囲気が好ましい。これらの雰囲気下、600℃以下の温度にて圧力0.1〜10気圧で数十分〜数時間処理することが好ましい。特に、500〜100℃の高温下でフッ素ドープを行なう場合は酸素を5〜90体積%含有する雰囲気とし、還元型欠陥の生成を抑制することが好ましい。なお、本明細書において、「気圧」および後述する「Torr」は、ともにゲージ圧ではなく絶対圧の意である。
さらに、工程(b)においては、多孔質石英ガラス体へ均一に短時間でフッ素をドープできることから、1200℃以下、好ましくは600℃以下の所定温度に減圧下(好ましくは100Torr以下、特に10Torr以下)で保持した状態とし、次いで、含フッ素ガスを常圧になるまで導入し、フッ素含有雰囲気とすることが好ましい。
次に、工程(c)において、前記フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を実質的にフッ素を含まない雰囲気下にて透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得る。透明ガラス化温度は、1300℃以上であり、好ましくは1300〜1600℃であり、1350〜1500℃であることが特に好ましい。
実質的にフッ素を含まない雰囲気としては、工程(c)による処理開始時において、含フッ素ガス(例えばSiF4、SF6、CHF3、CF4、F2)が0.1体積%以下であれば特に限定されず、ヘリウムなどの不活性ガス100%の雰囲気、またはヘリウムなどの不活性ガスを主成分とする雰囲気であることが好ましい。圧力については、減圧または常圧であればよい。特に常圧の場合はヘリウムガスを使用できる。また、減圧の場合は100Torr以下、特に10Torr以下が好ましい。
また、工程(b)と(c)との間に、雰囲気を減圧し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を減圧下に所定時間放置する工程(e)をさらに有することが好ましい。具体的には、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を、前記工程(b)のフッ素ドープを行う温度において、圧力100Torr以下、より好ましくは10Torr以下の不活性ガス雰囲気中で数十分〜数時間保持する工程を含むことが好ましい。工程(b)の後には、雰囲気からフッ素を取り除くことが必要である。常圧でもよいが長時間を要するため、工程(e)のように減圧にすれば短時間でフッ素を取り除ける。
次いで、工程(d)においては、工程(c)で得られたフッ素を含有した透明石英ガラス体を水素ガスを含んだ雰囲気中にて、温度600℃以下で加熱処理して、合成石英ガラスを得る。圧力は、例えば1〜30気圧である。600℃以下で水素処理を行うことにより、≡Si−Hおよび≡Si−Si≡の還元型欠陥の生成を防止できる。水素ガスを含んだ雰囲気としては、水素ガスを0.1〜100体積%含有する不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。さらに仮想温度を制御するためには以下の工程(f)を透明石英ガラス体に行なうことが好ましい。
工程(f):フッ素を含有した透明石英ガラス体を、800℃〜1100℃の温度にて5時間以上保持した後、10℃/hr以下の降温速度で750℃以下まで降温する熱処理を行ない、合成石英ガラスの仮想温度を制御する。750℃以下まで降温した後は放冷できる。この場合の雰囲気は、ヘリウム、アルゴン、窒素などの不活性ガス100%の雰囲気下、これらの不活性ガスを主成分とする雰囲気下、又は空気雰囲気下で、圧力は減圧又は常圧が好ましい。
また、本発明の合成石英ガラスにおいてOH基を極力低減するためには、工程(a)の後に、多孔質石英ガラス体を1Torr以下の圧力で1000〜1300℃の温度にて所定時間保持して脱水を行った後、引き続き1Torr以下の圧力で透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラス化することによってもよい。
本発明の合成石英ガラスは、ステッパレンズその他の光学部品に用いられる。
この光学部品として必要な光学特性を与えるため、均質化、成形、アニールなどの各熱処理(以下、光学的熱処理という)を適宜行う必要があるが、光学的熱処理は工程(d)の前でもよく後でもよい。
この光学部品として必要な光学特性を与えるため、均質化、成形、アニールなどの各熱処理(以下、光学的熱処理という)を適宜行う必要があるが、光学的熱処理は工程(d)の前でもよく後でもよい。
ただし光学的熱処理には800〜1500℃の高温を要するため、工程(d)で水素を含有させたとしても、その後の光学的熱処理により水素分子濃度が低下する可能性がある。したがって、工程(d)以後に光学的熱処理を行う場合は、水素ガスを0.1〜100体積%含み、圧力1〜30気圧の雰囲気下にて行うことが好ましい。
また、工程(d)以降に光学的熱処理を行う場合は、光学的熱処理のための炉を防爆構造とする必要がある。したがって、工程(d)の前に光学的熱処理を行う方が好ましい。
また、工程(d)以降に光学的熱処理を行う場合は、光学的熱処理のための炉を防爆構造とする必要がある。したがって、工程(d)の前に光学的熱処理を行う方が好ましい。
本発明においては、ホウ素をドープすることにより、より多くのフッ素をドープできる。ホウ素をドープする場合のホウ素源としては、BF3、BCl3、ホウ素のアルコキシドなどが挙げられる。
また、ホウ素とフッ素とをドープする方法としては、例えば、まず、ホウ素をドープし、次いで、フッ素とをドープする方法が挙げられる。
具体的には、例えば以下の1)または2)のような方法でホウ素とフッ素とをドープする。
また、ホウ素とフッ素とをドープする方法としては、例えば、まず、ホウ素をドープし、次いで、フッ素とをドープする方法が挙げられる。
具体的には、例えば以下の1)または2)のような方法でホウ素とフッ素とをドープする。
1)工程(a)で得られた多孔質石英ガラス体を圧力容器内にセットし、圧力容器内の圧力を1Torr程度にまで減圧し、次いで、ホウ素源を含有するガス(例えば、He等の不活性ガスで5体積%程度に希釈されたBCl3蒸気)を導入する。
常圧付近になったところで、前記のホウ素源を含有するガスの導入を停止し、所定時間放置することで多孔質石英ガラス体にホウ素をドープする。
次いで、工程(b)に従ってフッ素をドープする。
常圧付近になったところで、前記のホウ素源を含有するガスの導入を停止し、所定時間放置することで多孔質石英ガラス体にホウ素をドープする。
次いで、工程(b)に従ってフッ素をドープする。
2)工程(a)で得られた多孔質石英ガラス体をホウ素のアルコキシドの蒸気で処理し、次いで、加湿雰囲気にして、ホウ素のアルコキシドの加水分解を行わせて多孔質石英ガラス体中にB2O3微粒子を析出させる。
次いで、工程(b)に従ってフッ素をドープする。
次いで、工程(b)に従ってフッ素をドープする。
以上の1)または2)の方法により、ホウ素をドープした多孔質石英ガラス体に、さらにフッ素をもドープでき、しかも、より多くのフッ素をドープできる。フッ素ドープ後は、工程(c)、(d)に従って、光学部材用合成石英ガラスを得ることができる。
なお、この場合のフッ素ドープは、例えば以下のような手順で行う。
前記圧力容器内に不活性ガスを(例えばHeやN2等)を導入し圧力を常圧とする。再度、圧力容器内の圧力を1Torr程度にまで減圧し、次いで、不活性ガス(例えばHe等)で希釈したSiF4ガスを導入する。
常圧付近になったところで、前記の不活性ガスで希釈したSiF4ガスの導入を停止し、所定時間放置することでホウ素含有多孔質石英ガラス体にフッ素をドープする。
前記圧力容器内に不活性ガスを(例えばHeやN2等)を導入し圧力を常圧とする。再度、圧力容器内の圧力を1Torr程度にまで減圧し、次いで、不活性ガス(例えばHe等)で希釈したSiF4ガスを導入する。
常圧付近になったところで、前記の不活性ガスで希釈したSiF4ガスの導入を停止し、所定時間放置することでホウ素含有多孔質石英ガラス体にフッ素をドープする。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、以下の例で製造した合成石英ガラスの評価は、下記の方法にしたがって、行った。
(評価)
(評価1)フッ素濃度の測定
合成石英ガラスを無水炭酸ナトリウムにより加熱融解し、得られた融液に蒸留水および塩酸(体積比1:1)を加えて試料液を調製した。試料液の起電力を、フッ素イオン選択性電極および比較電極としてラジオメータトレーディング社製No945−220およびNo945−468をそれぞれ用いてラジオメータにより測定し、フッ素イオン標準溶液を用いてあらかじめ作製した検量線に基づいて、フッ素濃度を求めた(日本化学会誌,1972(2),350)。
(評価1)フッ素濃度の測定
合成石英ガラスを無水炭酸ナトリウムにより加熱融解し、得られた融液に蒸留水および塩酸(体積比1:1)を加えて試料液を調製した。試料液の起電力を、フッ素イオン選択性電極および比較電極としてラジオメータトレーディング社製No945−220およびNo945−468をそれぞれ用いてラジオメータにより測定し、フッ素イオン標準溶液を用いてあらかじめ作製した検量線に基づいて、フッ素濃度を求めた(日本化学会誌,1972(2),350)。
(評価2)水素分子濃度の測定
ラマン分光測定を行い、レーザラマンスペクトルの4135cm-1の散乱ピークにより検出した強度I4135と、800cm-1の散乱ピークの強度I800との強度比(=I4135/I800)より、水素分子濃度[分子/cm3]を求めた(V.S.Khotimchenko et.al.,Zhurnal Prikladnoi Spektroskopii,46(6),987〜997(1986))。なお本法による検出限界は1×1016分子/cm3である。
ラマン分光測定を行い、レーザラマンスペクトルの4135cm-1の散乱ピークにより検出した強度I4135と、800cm-1の散乱ピークの強度I800との強度比(=I4135/I800)より、水素分子濃度[分子/cm3]を求めた(V.S.Khotimchenko et.al.,Zhurnal Prikladnoi Spektroskopii,46(6),987〜997(1986))。なお本法による検出限界は1×1016分子/cm3である。
(評価3)OH基濃度の測定
赤外分光光度計による測定を行い、2.7μm波長での吸収ピークからOH基濃度を求めた(J.P.Wiiliams et.al.,Ceram. Bull.,55(5),524(1976))。
赤外分光光度計による測定を行い、2.7μm波長での吸収ピークからOH基濃度を求めた(J.P.Wiiliams et.al.,Ceram. Bull.,55(5),524(1976))。
(評価4)
ラマン分光測定を行い、レーザラマンスペクトルの2250cm-1の散乱ピークにより検出した強度I2250を、800cm-1の散乱ピークの強度I800で割った値(I2250/I800)から≡Si−H欠陥の濃度(≡Si−H濃度)を評価した。ここで検出限界はI2250/I800=1×10-4である。I2250/I800の値が小さい方が良好な結果である。
ラマン分光測定を行い、レーザラマンスペクトルの2250cm-1の散乱ピークにより検出した強度I2250を、800cm-1の散乱ピークの強度I800で割った値(I2250/I800)から≡Si−H欠陥の濃度(≡Si−H濃度)を評価した。ここで検出限界はI2250/I800=1×10-4である。I2250/I800の値が小さい方が良好な結果である。
(評価5)
紫外可視分光光度計を用いて、厚み10mmの試料と厚み35mmの試料の245nmの光の透過率を測定し、これらの透過率から245nmの吸収係数を算出し、≡Si−Si≡欠陥の生成の有無を評価した。245nmの吸収係数の値が小さい方が良好な結果である。
紫外可視分光光度計を用いて、厚み10mmの試料と厚み35mmの試料の245nmの光の透過率を測定し、これらの透過率から245nmの吸収係数を算出し、≡Si−Si≡欠陥の生成の有無を評価した。245nmの吸収係数の値が小さい方が良好な結果である。
(評価6)還元型欠陥
真空紫外分光光度計(アクトンリサーチ社製VTMS−502)を用いて、厚さ10mmと4mmの試料について、波長163nmの透過率を測定し、その測定結果から波長163nmの吸収係数(k163)を求めた。該試料中に含まれるOH基濃度(COH、単位はppm)との関係が、k163≧0.02×(COH)0.85を満たすとき、還元型欠陥「有り」とし、満たさない場合は還元型欠陥「無し」とした。
真空紫外分光光度計(アクトンリサーチ社製VTMS−502)を用いて、厚さ10mmと4mmの試料について、波長163nmの透過率を測定し、その測定結果から波長163nmの吸収係数(k163)を求めた。該試料中に含まれるOH基濃度(COH、単位はppm)との関係が、k163≧0.02×(COH)0.85を満たすとき、還元型欠陥「有り」とし、満たさない場合は還元型欠陥「無し」とした。
(評価7)
KrFエキシマレーザ(ラムダフィジーク社製LPX−120i)からの光をエネルギ密度100mJ/cm2/Pulse、周波数200Hzの条件にて試料に照射した。KrFエキシマレーザ光を5×106ショット照射した直後の214nmでの透過率を紫外可視分光光度計により測定し、KrFエキシマレーザ照射により生じる常磁性欠陥E’センタによる214nm吸収強度を、照射前後での吸収係数変化量Δk214[cm-1]により、評価した。Δk214の値が小さい方がE'センターが低減されていることを示し、良好な結果である。
KrFエキシマレーザ(ラムダフィジーク社製LPX−120i)からの光をエネルギ密度100mJ/cm2/Pulse、周波数200Hzの条件にて試料に照射した。KrFエキシマレーザ光を5×106ショット照射した直後の214nmでの透過率を紫外可視分光光度計により測定し、KrFエキシマレーザ照射により生じる常磁性欠陥E’センタによる214nm吸収強度を、照射前後での吸収係数変化量Δk214[cm-1]により、評価した。Δk214の値が小さい方がE'センターが低減されていることを示し、良好な結果である。
(評価8)蛍光発光の評価
KrFエキシマレーザ(ラムダフィジーク社製LPX−120i)をエネルギ密度100mJ/cm2/Pulse、周波数200Hzの条件にて試料に照射した。KrFエキシマレーザを1×106ショット照射した場合の650nmの蛍光強度L650および248nmの散乱光強度S248をファイバ導光タイプの分光光度計を用いてそれぞれ測定し、248nmの散乱光強度S248に対する650nmの蛍光強度L650の比L650/S248を求めることにより、650nmの蛍光強度を評価した。L650/S248の値が小さい方が蛍光発光が抑制されていることを示し、良好な結果である。
KrFエキシマレーザ(ラムダフィジーク社製LPX−120i)をエネルギ密度100mJ/cm2/Pulse、周波数200Hzの条件にて試料に照射した。KrFエキシマレーザを1×106ショット照射した場合の650nmの蛍光強度L650および248nmの散乱光強度S248をファイバ導光タイプの分光光度計を用いてそれぞれ測定し、248nmの散乱光強度S248に対する650nmの蛍光強度L650の比L650/S248を求めることにより、650nmの蛍光強度を評価した。L650/S248の値が小さい方が蛍光発光が抑制されていることを示し、良好な結果である。
(評価9)172nmの内部透過率
真空紫外分光光度計(アクトンリサーチ社製VTMS−502)を用いて、厚さ10mmと4mmの試料について、波長175nm以下の真空紫外域の透過率の指標として172nmの内部透過率を測定した。
(評価10)157nmの内部透過率
真空紫外分光光度計(アクトンリサーチ社製VTMS−502)を用いて厚さ10mmと4mmの試料について、波長160nm以下の真空紫外域の透過率の指標として157nmの内部透過率を測定し、次式により同波長における内部透過率を求めた。
内部透過率(%/cm)=exp(ln(T1/T2)/(d1−d2))×100
ここで
T1:厚みd1[cm]の試料の透過率(%)
T2:厚みd2[cm]の試料の透過率(%)
透過率が高い方が良好な結果である。
真空紫外分光光度計(アクトンリサーチ社製VTMS−502)を用いて、厚さ10mmと4mmの試料について、波長175nm以下の真空紫外域の透過率の指標として172nmの内部透過率を測定した。
(評価10)157nmの内部透過率
真空紫外分光光度計(アクトンリサーチ社製VTMS−502)を用いて厚さ10mmと4mmの試料について、波長160nm以下の真空紫外域の透過率の指標として157nmの内部透過率を測定し、次式により同波長における内部透過率を求めた。
内部透過率(%/cm)=exp(ln(T1/T2)/(d1−d2))×100
ここで
T1:厚みd1[cm]の試料の透過率(%)
T2:厚みd2[cm]の試料の透過率(%)
透過率が高い方が良好な結果である。
(評価11)
Xe2 *エキシマランプを10mW/cm2の条件で、厚さ10mmの試料に3時間照射した。照射前後での163nmにおける透過率を測定し、照射による163nmにおける透過率の変化(ΔT163)を算出した。ΔT163が小さいほど耐紫外線性に優れている。
Xe2 *エキシマランプを10mW/cm2の条件で、厚さ10mmの試料に3時間照射した。照射前後での163nmにおける透過率を測定し、照射による163nmにおける透過率の変化(ΔT163)を算出した。ΔT163が小さいほど耐紫外線性に優れている。
(評価12)仮想温度の測定
仮想温度の測定はA.Agarwalらの方法(J.Non−Cryst.,185,191,1995)を用いて求めた。鏡面研磨された石英ガラスを10%HF−2.5%H2SO4水溶液に浸漬し、表面に残留した研磨砥粒や傷などを除去する。その表面の反射スペクトルを赤外分光計(Nikolet社製Magna760)を用いて取得する。この際の赤外光入射角は6.5度に固定し、データ間隔は約0.5cm-1とし、64回スキャンさせた平均値を用いる。このようにして得られた赤外反射スペクトルにおいて、約1120cm-1に観察される最も大きなピークが石英ガラスのSi−O−Si結合による伸縮振動に起因する。このピーク位置をν(cm-1)とすると、仮想温度(Tf、単位:K)は下記の相関式により求められる。
ν=1114.51+(11603.51/Tf)。
仮想温度の測定はA.Agarwalらの方法(J.Non−Cryst.,185,191,1995)を用いて求めた。鏡面研磨された石英ガラスを10%HF−2.5%H2SO4水溶液に浸漬し、表面に残留した研磨砥粒や傷などを除去する。その表面の反射スペクトルを赤外分光計(Nikolet社製Magna760)を用いて取得する。この際の赤外光入射角は6.5度に固定し、データ間隔は約0.5cm-1とし、64回スキャンさせた平均値を用いる。このようにして得られた赤外反射スペクトルにおいて、約1120cm-1に観察される最も大きなピークが石英ガラスのSi−O−Si結合による伸縮振動に起因する。このピーク位置をν(cm-1)とすると、仮想温度(Tf、単位:K)は下記の相関式により求められる。
ν=1114.51+(11603.51/Tf)。
(評価13)塩素濃度の測定
Crのkα線を用いた蛍光X線分析を行い、塩素の特性X線強度を測定することにより、合成石英ガラス中の塩素濃度を求めた。なお本法による検出限界は2ppmである。
Crのkα線を用いた蛍光X線分析を行い、塩素の特性X線強度を測定することにより、合成石英ガラス中の塩素濃度を求めた。なお本法による検出限界は2ppmである。
(評価14)不安定構造の評価
ラマン分光測定(Jobin Ybon製 Ramonor T64000,励起光源:アルゴンイオンレーザ(波長514.5nm))を行い、レーザラマンスペクトルにおける495cm-1の散乱ピーク強度I1および605cm-1の散乱ピーク強度I2と、440cm-1の散乱ピーク強度I0との強度比I1/I0およびI2/I0を求めた。強度比I1/I0、強度比I2/I0の値が小さいほど良好である。
ラマン分光測定(Jobin Ybon製 Ramonor T64000,励起光源:アルゴンイオンレーザ(波長514.5nm))を行い、レーザラマンスペクトルにおける495cm-1の散乱ピーク強度I1および605cm-1の散乱ピーク強度I2と、440cm-1の散乱ピーク強度I0との強度比I1/I0およびI2/I0を求めた。強度比I1/I0、強度比I2/I0の値が小さいほど良好である。
なお、各散乱ピーク強度I1、I2、I0の求め方は以下の通りである。
495cm-1の散乱ピークおよび605cm-1の散乱ピークに対してそれぞれ1本のローレンツ関数によりカーブフィッティングを行い、実スペクトルとの最小二乗誤差が最低となるように近似を行って各関数の係数を決定した。
440cm-1の散乱ピークに対しては3本のガウス関数の合成により、また495cm-1の散乱ピークと605cm-1の散乱ピークと440cm-1の散乱ピークとを除いた残余(ベースライン)に対しては2次関数により、それぞれカーブフィッティングを行い、実スペクトルとの最小二乗誤差が最低となるように近似を行って各関数の係数を決定した。
以上により求められた関数を用いて各散乱ピークの強度を求めた。
495cm-1の散乱ピークおよび605cm-1の散乱ピークに対してそれぞれ1本のローレンツ関数によりカーブフィッティングを行い、実スペクトルとの最小二乗誤差が最低となるように近似を行って各関数の係数を決定した。
440cm-1の散乱ピークに対しては3本のガウス関数の合成により、また495cm-1の散乱ピークと605cm-1の散乱ピークと440cm-1の散乱ピークとを除いた残余(ベースライン)に対しては2次関数により、それぞれカーブフィッティングを行い、実スペクトルとの最小二乗誤差が最低となるように近似を行って各関数の係数を決定した。
以上により求められた関数を用いて各散乱ピークの強度を求めた。
(評価15)
ICP質量分析法(セイコーインスツルメンツ社製SPQ9000)により、合成石英ガラス中のNa、Ca、Mg、Fe、Ni、Cu、Zn、Ti濃度を分析した。これら不純物の検出限界は、NiおよびCuについては0.1ppb、その他は0.3ppbである。
ICP質量分析法(セイコーインスツルメンツ社製SPQ9000)により、合成石英ガラス中のNa、Ca、Mg、Fe、Ni、Cu、Zn、Ti濃度を分析した。これら不純物の検出限界は、NiおよびCuについては0.1ppb、その他は0.3ppbである。
(評価16)
フィゾー干渉計にて、オイルオンプレート法で、合成石英ガラス試料の200mmφの面にヘリウムネオンレーザ光を垂直にあて、200mmφの面内での屈折率分布を測定した。
フィゾー干渉計にて、オイルオンプレート法で、合成石英ガラス試料の200mmφの面にヘリウムネオンレーザ光を垂直にあて、200mmφの面内での屈折率分布を測定した。
(例1)
公知の方法により、石英ガラス形成原料であるSiCl4を酸水素火炎中で加熱加水分解(火炎加水分解)させて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて、直径35cm、長さ100cmの多孔質石英ガラス体を形成した(工程(a))。得られた多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、室温にて10Torrまで減圧して1時間保持した後、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入しながら、この雰囲気にて室温常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った(工程(b))。その後SiF4の供給を遮断しHe100%雰囲気下で10時間保持した後、He100%雰囲気下1450℃まで昇温し、この温度で10時間保持し透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得た(工程(c))。
公知の方法により、石英ガラス形成原料であるSiCl4を酸水素火炎中で加熱加水分解(火炎加水分解)させて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて、直径35cm、長さ100cmの多孔質石英ガラス体を形成した(工程(a))。得られた多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、室温にて10Torrまで減圧して1時間保持した後、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入しながら、この雰囲気にて室温常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った(工程(b))。その後SiF4の供給を遮断しHe100%雰囲気下で10時間保持した後、He100%雰囲気下1450℃まで昇温し、この温度で10時間保持し透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得た(工程(c))。
得られたフッ素を含有した透明石英ガラス体を、カーボン製発熱体を有する電気炉内で、軟化点以上の1750℃に加熱して自重変形を行わせ、250mm×250mm×120mmのブロック形状に成形した後、厚み30mmのブロックにスライスした。得られた250mm×250mm×30mmのブロックを水素100%、10気圧、500℃の雰囲気下で250時間保持し、水素ドープ処理を行い、合成石英ガラスを得た(工程(d))。
(例2)
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持した後、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて300℃常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持した後、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて300℃常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例3)
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず500℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて500℃常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず500℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて500℃常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例4)
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず700℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて700℃常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず700℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて700℃常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例5)
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず1200℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて1200℃常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず1200℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99/1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて1200℃常圧下5時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例6)
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99.9/0.1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて300℃、常圧で1時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99.9/0.1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて300℃、常圧で1時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例7)
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99.9/0.1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて300℃、300Torrで1時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99.9/0.1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて300℃、300Torrで1時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例8)
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99.9/0.1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて300℃、100Torrで1時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)において、多孔質石英ガラス体を電気炉に設置し、まず300℃に昇温し、10Torrまで減圧して1時間保持し、He/SiF4=99.9/0.1(体積比)の混合ガスを導入し、この雰囲気にて300℃、100Torrで1時間保持しフッ素ドープを行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例9)
例1における工程(d)において、水素100%、1気圧、温度500℃の雰囲気下で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(d)において、水素100%、1気圧、温度500℃の雰囲気下で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例10)
例1における工程(d)において、水素/ヘリウム=10/90(体積比)の混合ガス1気圧、温度500℃の雰囲気下で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(d)において、水素/ヘリウム=10/90(体積比)の混合ガス1気圧、温度500℃の雰囲気下で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例11)
例1における工程(d)において、水素100%、10気圧、温度700℃の雰囲気下で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(d)において、水素100%、10気圧、温度700℃の雰囲気下で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例12)
例1における工程(d)において、水素100%、10気圧、温度900℃の雰囲気下で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(d)において、水素100%、10気圧、温度900℃の雰囲気下で250時間保持し、水素ドープ処理を行った。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例13)
例1において工程(b)を実施せず、He100%雰囲気下で1450℃まで昇温し、この温度で10時間保持し透明ガラス化した。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
例1において工程(b)を実施せず、He100%雰囲気下で1450℃まで昇温し、この温度で10時間保持し透明ガラス化した。これ以外は例1と全く同様の方法により合成石英ガラスを作製した。
(例14)
例1における工程(b)の後、SiF4の供給を遮断し、1Torrまで減圧して、この状態で1時間保持した(工程(e))。次いで、He100%を導入し常圧まで戻した後、再度1Torrまで減圧して実質的にフッ素を含まない雰囲気とした。該雰囲気下にて1450℃まで昇温し、1450℃で10時間保持し、透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得た(工程(c))。これ以降は例1と同様に処理し、合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)の後、SiF4の供給を遮断し、1Torrまで減圧して、この状態で1時間保持した(工程(e))。次いで、He100%を導入し常圧まで戻した後、再度1Torrまで減圧して実質的にフッ素を含まない雰囲気とした。該雰囲気下にて1450℃まで昇温し、1450℃で10時間保持し、透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得た(工程(c))。これ以降は例1と同様に処理し、合成石英ガラスを作製した。
(例15)
例1における工程(b)の後、SiF4の供給を遮断し、He100%雰囲気下で10時間保持し、さらにHe/SiF4=99.95/0.05(体積比)の混合ガス雰囲気にて10時間保持し、続いて1450℃まで昇温し、1450℃で10時間保持し、透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得た(工程(c))。これ以降は例1と同様に処理し、合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)の後、SiF4の供給を遮断し、He100%雰囲気下で10時間保持し、さらにHe/SiF4=99.95/0.05(体積比)の混合ガス雰囲気にて10時間保持し、続いて1450℃まで昇温し、1450℃で10時間保持し、透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得た(工程(c))。これ以降は例1と同様に処理し、合成石英ガラスを作製した。
(例16)
例1における工程(b)の後、SiF4の供給を遮断し、He100%雰囲気下で10時間保持し、さらにHe/SiF4=99.8/0.2(体積比)の混合ガス雰囲気にて10時間保持し、続いて1450℃まで昇温し、1450℃で10時間保持し、透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得た(工程(c))。これ以降は例1と同様に処理し、合成石英ガラスを作製した。
例1における工程(b)の後、SiF4の供給を遮断し、He100%雰囲気下で10時間保持し、さらにHe/SiF4=99.8/0.2(体積比)の混合ガス雰囲気にて10時間保持し、続いて1450℃まで昇温し、1450℃で10時間保持し、透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得た(工程(c))。これ以降は例1と同様に処理し、合成石英ガラスを作製した。
これらの例1〜16で得られた合成石英ガラスを評価した。各評価の結果を表1に示す。NDは検出限界以下であることを示す。なお例1〜3、例6〜7、例9〜10および例14〜15は実施例、例4〜5、例8、例11〜13および例16は比較例に相当する。
例17〜例34はOH基濃度、塩素濃度およびフッ素濃度の合成石英ガラスの特性への影響を調べた実験例である。
(例17〜31)
公知のスート法により、SiCl4またはSi(CH3O)4を1200〜1500℃の酸水素火炎中で加水分解させて形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて直径500mm、長さ600mmの多孔質石英ガラス体を製造した。多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、圧力10Torr以下の減圧下で、表2に示す割合のSiF4を含んだヘリウムガスを導入し、この雰囲気下にて常圧・室温で表2に示す時間保持することにより、多孔質石英ガラス体中の脱水を行うと同時にフッ素をドープした。続いて圧力10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス体(直径200mm、長さ450mm)を製造した。さらに得られた透明石英ガラス体を直径200mm、厚さ10mmに切断し、表2に示す割合の水素含有雰囲気下、表2に示す圧力で500℃にて30時間保持した。上記の製法において、石英ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度の制御は、多孔質石英ガラスを製造する際の原料ガスに対する酸素および水素ガスの流量比、またはフッ素化合物を含んだ雰囲気下に多孔質石英ガラス体を保持する際のフッ素化合物の濃度および保持時間を調整することにより実施した。また石英ガラス中の水素分子濃度は、水素雰囲気下に保持する時の雰囲気中の水素濃度および全圧を調整することにより制御した。なお製造条件(ガラス形成原料、酸素および水素ガスの流量比、フッ素化合物濃度と圧力、水素濃度と圧力)の詳細を表2に示した。
(例17〜31)
公知のスート法により、SiCl4またはSi(CH3O)4を1200〜1500℃の酸水素火炎中で加水分解させて形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて直径500mm、長さ600mmの多孔質石英ガラス体を製造した。多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、圧力10Torr以下の減圧下で、表2に示す割合のSiF4を含んだヘリウムガスを導入し、この雰囲気下にて常圧・室温で表2に示す時間保持することにより、多孔質石英ガラス体中の脱水を行うと同時にフッ素をドープした。続いて圧力10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス体(直径200mm、長さ450mm)を製造した。さらに得られた透明石英ガラス体を直径200mm、厚さ10mmに切断し、表2に示す割合の水素含有雰囲気下、表2に示す圧力で500℃にて30時間保持した。上記の製法において、石英ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度の制御は、多孔質石英ガラスを製造する際の原料ガスに対する酸素および水素ガスの流量比、またはフッ素化合物を含んだ雰囲気下に多孔質石英ガラス体を保持する際のフッ素化合物の濃度および保持時間を調整することにより実施した。また石英ガラス中の水素分子濃度は、水素雰囲気下に保持する時の雰囲気中の水素濃度および全圧を調整することにより制御した。なお製造条件(ガラス形成原料、酸素および水素ガスの流量比、フッ素化合物濃度と圧力、水素濃度と圧力)の詳細を表2に示した。
(例32〜34)
公知の直接法により、ガラス形成原料としてSiCl4を用い、SiF4を表3に示す割合の原料ガスに対する酸素および水素ガスの流量で、1800〜2000℃の酸水素火炎中で加水分解・酸化させ、基材上に直接透明石英ガラス体を製造した。この製法において、得られた石英ガラス中のフッ素濃度の制御は、SiCl4とSiF4との混合比を調整することにより行い、またOH基濃度および水素濃度は酸素と水素の流量比を調整することにより行った。なお、製造条件(SiF4、酸素および水素ガスの流量比)の詳細を表3に示した。
公知の直接法により、ガラス形成原料としてSiCl4を用い、SiF4を表3に示す割合の原料ガスに対する酸素および水素ガスの流量で、1800〜2000℃の酸水素火炎中で加水分解・酸化させ、基材上に直接透明石英ガラス体を製造した。この製法において、得られた石英ガラス中のフッ素濃度の制御は、SiCl4とSiF4との混合比を調整することにより行い、またOH基濃度および水素濃度は酸素と水素の流量比を調整することにより行った。なお、製造条件(SiF4、酸素および水素ガスの流量比)の詳細を表3に示した。
例17〜34により製造された合成石英ガラス中のOH基濃度、塩素濃度、フッ素濃度、水素分子濃度を表4に示す。なお各濃度は前記の方法により求め、NDは検出限界以下を示す。
次に、例17〜34により製造された合成石英ガラスについて、それぞれ散乱ピーク強度比(I1/I0、I2/I0)、Δk214、L650/S248、波長157nmにおける内部透過率、合成石英ガラス中の不純物濃度を測定して評価した。
評価結果を表5に示す。例17〜34の内、例20、21、22、32および34はOH基濃度が高いため、例29は塩素濃度が高いため、また例23および34はフッ素を含有しないため、他のものより特性が劣っている。
評価結果を表5に示す。例17〜34の内、例20、21、22、32および34はOH基濃度が高いため、例29は塩素濃度が高いため、また例23および34はフッ素を含有しないため、他のものより特性が劣っている。
例35〜47は、I1/I0、I2/I0の合成石英ガラスの特性への影響を調べた実験例である。
(例35〜例47)
公知のスート法により、SiCl4を酸水素火炎中で加水分解させ、形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて500mmφ×長さ600mmの多孔質石英ガラス体を作製した(工程(a))。多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、10Torr以下の減圧状態から室温下で、フッ素化合物を含んだヘリウムガスを常圧になるまで導入した。この雰囲気下にて常圧・室温で数時間保持することにより、多孔質石英ガラス中の脱水を行うと同時にフッ素をドープした(工程(b))。続いて圧力10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス体(200mmφ×長さ450mm)を作製した。
(例35〜例47)
公知のスート法により、SiCl4を酸水素火炎中で加水分解させ、形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて500mmφ×長さ600mmの多孔質石英ガラス体を作製した(工程(a))。多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、10Torr以下の減圧状態から室温下で、フッ素化合物を含んだヘリウムガスを常圧になるまで導入した。この雰囲気下にて常圧・室温で数時間保持することにより、多孔質石英ガラス中の脱水を行うと同時にフッ素をドープした(工程(b))。続いて圧力10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス体(200mmφ×長さ450mm)を作製した。
さらに、得られた透明石英ガラス体を200mmφ×厚さ10mmに切断し、水素含有雰囲気下、表6に示す条件で500℃にて30時間保持して石英ガラス中に水素ドープを行って、表7に示す例35〜47の合成石英ガラスを得た(工程(c))。
上記の製法において、石英ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度の制御は、工程(a)における原料ガスに対する酸素および水素ガスの流量比、工程(b)におけるフッ素化合物の濃度および処理時間を調整することにより実施した。また石英ガラス中の水素分子濃度は、工程(c)における水素処理時の雰囲気中の水素濃度および全圧を調整することにより制御した。なお、各例の工程(a)、工程(b)および工程(c)における処理条件の詳細を表6に示した。
上記の製法において、石英ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度の制御は、工程(a)における原料ガスに対する酸素および水素ガスの流量比、工程(b)におけるフッ素化合物の濃度および処理時間を調整することにより実施した。また石英ガラス中の水素分子濃度は、工程(c)における水素処理時の雰囲気中の水素濃度および全圧を調整することにより制御した。なお、各例の工程(a)、工程(b)および工程(c)における処理条件の詳細を表6に示した。
次に、例35〜47の合成石英ガラスから調製された試料について、OH基濃度、フッ素濃度および水素分子濃度を、下記の方法にしたがって測定した。また、散乱ピーク強度比(I1/I0、I2/I0)、Δk214、L650/S248、波長157nmにおける内部透過率を測定して評価した。評価結果を表7に示す。例35〜47の内、例45〜47はI1/I0、I2/I0が高いため、他のものより特性が劣っている。
例48〜65は、OH基濃度、還元性欠陥の濃度の合成石英ガラスの特性への影響を調べた実験例である。
(例48〜60)
スート法により、SiCl4を酸水素火炎中で加水分解させて、形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて400mmφ×長さ600mmの多孔質石英ガラス体を作製した。多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、室温で10Torr以下の減圧状態に保持した後、SiF4を含んだヘリウムガスを常圧になるまで導入した。この雰囲気下にて常圧・室温で数時間保持することにより、多孔質石英ガラス体中の脱水を行った。続いて、実質的にフッ素を含まない雰囲気下にて圧力10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し合成石英ガラス(200mmφ×長さ450mm)を作製した。
(例48〜60)
スート法により、SiCl4を酸水素火炎中で加水分解させて、形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて400mmφ×長さ600mmの多孔質石英ガラス体を作製した。多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、室温で10Torr以下の減圧状態に保持した後、SiF4を含んだヘリウムガスを常圧になるまで導入した。この雰囲気下にて常圧・室温で数時間保持することにより、多孔質石英ガラス体中の脱水を行った。続いて、実質的にフッ素を含まない雰囲気下にて圧力10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し合成石英ガラス(200mmφ×長さ450mm)を作製した。
さらに、得られた合成石英ガラスを、200mmφ×厚さ10mmに切断し、水素含有雰囲気下、表8に示す条件に30時間保持して合成石英ガラス中に水素ドープを行った。
上記の製造工程において、多孔質石英ガラス体を製造する際の酸水素炎の酸素および水素ガスの体積比、ならびにフッ素化合物を含んだ雰囲気で多孔質ガラス体を保持する際のフッ素化合物の濃度、処理時間、および処理温度を調整することにより、得られる合成石英ガラス中のOH基濃度および還元型欠陥濃度を制御した。また、合成石英ガラス中の水素分子濃度は、水素ドープを行う際の処理温度、雰囲気中の水素濃度および全圧を調整することにより制御した。なお、各例の製造工程における処理条件の詳細を表8に示した。
(例61〜65)
スート法により、SiCl4を酸水素火炎中で加水分解させて、形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて400mmφ×長さ600mmの多孔質石英ガラス体を作製した。多孔質石英ガラス体を、雰囲気制御可能な電気炉に設置し、1Torr以下の減圧下で昇温し、1200℃にて所定時間保持し、続いて1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し合成石英ガラス(200mmφ×長さ450mm)を作製した。
得られた合成石英ガラスを200mmφ×厚さ10mmに切断し、水素含有雰囲気下、表9に示す条件にて30時間保持して合成石英ガラス中に水素ドープを行った。
スート法により、SiCl4を酸水素火炎中で加水分解させて、形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて400mmφ×長さ600mmの多孔質石英ガラス体を作製した。多孔質石英ガラス体を、雰囲気制御可能な電気炉に設置し、1Torr以下の減圧下で昇温し、1200℃にて所定時間保持し、続いて1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し合成石英ガラス(200mmφ×長さ450mm)を作製した。
得られた合成石英ガラスを200mmφ×厚さ10mmに切断し、水素含有雰囲気下、表9に示す条件にて30時間保持して合成石英ガラス中に水素ドープを行った。
上記の製造工程において、1200℃での保持時間を調整することにより、合成石英ガラス中のOH基濃度および還元型欠陥の濃度を制御した。また、合成石英ガラス中の水素分子濃度は、水素ドープを行う際の処理温度、雰囲気中の水素濃度および全圧を調整することにより制御した。なお各例の製造工程における処理条件の詳細を表9に示した。
例48〜65で得られた合成石英ガラスのOH基濃度、水素分子濃度、163nm内部透過率および還元型欠陥の有無を、前記の方法にしたがって求めた。また、172nmの内部透過率、157nmの内部透過率、および耐紫外線性の指標としてΔT163を測定し、それぞれ波長175nm以下の真空紫外透過性、波長160nm以下の真空紫外線透過性、および耐紫外線性を評価した。各評価結果を表10および表11に示す。例48〜65の内、例52〜54は還元性欠陥があるため、例55〜58および例64はOH基濃度が比較的高いため、他のものより内部透過率が低い。
(例66〜81)
ガラス形成材料としてSiCl4を用い、公知のスート法によりSiCl4を1200〜1500℃の酸水素火炎中で加水分解させて形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて300mmφ×長さ800mmの多孔質石英ガラス体を作製した。酸水素火炎の条件は表12の工程(a)に示した。表12の工程(a)は、ガラス形成原料であるSiCl4に対する酸素と水素の体積比率を示している。
多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、表12の工程(b)に示した雰囲気、処理温度、処理時間にて多孔質石英ガラス体中の脱水(OH基低減)を行なうと同時にフッ素をドープした。なお、表12の工程(b)において、雰囲気は体積%で示している。続いて10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス体(105mmφ×長さ650mm)を作製した。
さらに得られた透明石英ガラス体をカーボン製発熱体を有する電気炉内で、窒素ガス100%、常圧下で、軟化点以上の1750℃に加熱して成長軸方向に自重変形を行なわせ円柱状のブロックに成形した。引き続き電気炉内に成形ブロックを設置したまま電気炉の温度を表12の工程(d)に記載した処理温度、処理時間で処理した後、表12の工程(d)に記載した降温プロファイルで室温まで降温させ仮想温度を制御した。
ガラス形成材料としてSiCl4を用い、公知のスート法によりSiCl4を1200〜1500℃の酸水素火炎中で加水分解させて形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて300mmφ×長さ800mmの多孔質石英ガラス体を作製した。酸水素火炎の条件は表12の工程(a)に示した。表12の工程(a)は、ガラス形成原料であるSiCl4に対する酸素と水素の体積比率を示している。
多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、表12の工程(b)に示した雰囲気、処理温度、処理時間にて多孔質石英ガラス体中の脱水(OH基低減)を行なうと同時にフッ素をドープした。なお、表12の工程(b)において、雰囲気は体積%で示している。続いて10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス体(105mmφ×長さ650mm)を作製した。
さらに得られた透明石英ガラス体をカーボン製発熱体を有する電気炉内で、窒素ガス100%、常圧下で、軟化点以上の1750℃に加熱して成長軸方向に自重変形を行なわせ円柱状のブロックに成形した。引き続き電気炉内に成形ブロックを設置したまま電気炉の温度を表12の工程(d)に記載した処理温度、処理時間で処理した後、表12の工程(d)に記載した降温プロファイルで室温まで降温させ仮想温度を制御した。
上記製造工程において、多孔質石英ガラス体を製造する際の原料ガスに対する酸素および水素のガスの流量比、またはフッ素化合物を含んだ雰囲気下で多孔質体石英ガラス体を保持する際の雰囲気ガス組成、温度を調整することにより、得られる合成石英ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度を制御した。また仮想温度は、成形した円柱状ブロックを高温保持する際の温度および降温プロファイルを調整することにより、制御した。
各例で得られた合成石英ガラスのフッ素濃度、OH基濃度、仮想温度、還元型欠陥の有無を測定して表13に示した。
また、波長200nm以下の真空紫外域の透過率の指標として波長157nmの内部透過率を測定した。評価結果を表14に示す。
なお表12から14を通じて、例67〜例81の内、例66および例73はOH基濃度が高いため、例73はフッ素濃度が低いため、例74は仮想温度が高いため、また、例81は還元性欠陥があるため、他のものより特性が劣っている。
各例で得られた合成石英ガラスのフッ素濃度、OH基濃度、仮想温度、還元型欠陥の有無を測定して表13に示した。
また、波長200nm以下の真空紫外域の透過率の指標として波長157nmの内部透過率を測定した。評価結果を表14に示す。
なお表12から14を通じて、例67〜例81の内、例66および例73はOH基濃度が高いため、例73はフッ素濃度が低いため、例74は仮想温度が高いため、また、例81は還元性欠陥があるため、他のものより特性が劣っている。
(例82〜例86)
公知の直接法により、SiCl4およびSiF4を1800〜2000℃の酸水素火炎中で加水分解および酸化させ、基材上に250mmφの透明石英ガラスを直接合成した。透明石英ガラスを200mmφの棒状体に延伸した後、横型帯域融解法(FZ法)により混練し均質化させた。次に、電気炉内にセットして1250℃にて一定時間保持し、800℃まで1℃/hrの冷却速度で徐冷を行い、その後放冷して合成石英ガラスを得た。
上記の製造工程において、SiCl4とSiF4との混合比を調整することによりフッ素濃度およびその分布を制御し、また、酸素と水素との流量比を調整することによりOH基濃度およびその分布と、水素分子濃度とを制御し、表15および16の例82〜86に示す合成石英ガラスを得た。
公知の直接法により、SiCl4およびSiF4を1800〜2000℃の酸水素火炎中で加水分解および酸化させ、基材上に250mmφの透明石英ガラスを直接合成した。透明石英ガラスを200mmφの棒状体に延伸した後、横型帯域融解法(FZ法)により混練し均質化させた。次に、電気炉内にセットして1250℃にて一定時間保持し、800℃まで1℃/hrの冷却速度で徐冷を行い、その後放冷して合成石英ガラスを得た。
上記の製造工程において、SiCl4とSiF4との混合比を調整することによりフッ素濃度およびその分布を制御し、また、酸素と水素との流量比を調整することによりOH基濃度およびその分布と、水素分子濃度とを制御し、表15および16の例82〜86に示す合成石英ガラスを得た。
(例87〜例94)
公知のスート法により、SiCl4を1200〜1500℃の酸水素火炎中で加水分解させて形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて300mmφ×長さ800mmの多孔質石英ガラス体を作製した。多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、圧力10Torr以下の減圧下で、フッ素化合物を1体積%含んだヘリウムガスを導入した。この雰囲気下にて常圧・室温で数時間保持することにより、多孔質石英ガラス中の脱水を行うと同時にフッ素をドープした。続いて圧力10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス体(105mmφ×長さ650mm)を作製した。
公知のスート法により、SiCl4を1200〜1500℃の酸水素火炎中で加水分解させて形成されたSiO2微粒子を基材上に堆積させて300mmφ×長さ800mmの多孔質石英ガラス体を作製した。多孔質石英ガラス体を雰囲気制御可能な電気炉に設置し、圧力10Torr以下の減圧下で、フッ素化合物を1体積%含んだヘリウムガスを導入した。この雰囲気下にて常圧・室温で数時間保持することにより、多孔質石英ガラス中の脱水を行うと同時にフッ素をドープした。続いて圧力10Torr以下の減圧に保持した状態で1450℃まで昇温し、この温度にて10時間保持し透明石英ガラス体(105mmφ×長さ650mm)を作製した。
さらに、得られた透明石英ガラス体を、カーボン製発熱体を有する電気炉内で、軟化点以上の1750℃に加熱して成長軸方向に自重変形を行わせ円柱状のブロックに成形した。引き続き、電気炉内に成形ブロックを設置したまま電気炉の温度を1250℃まで降温させ、以後1℃/hrの冷却速度で徐冷を行い、炉内温度が800℃になったところで給電を停止した。得られた石英ブロックを厚さ30mmに切断し、水素含有雰囲気下、500℃にて240時間保持して石英ガラス中に水素ドープを行って、表16〜19の例87〜94の合成石英ガラスを得た。
上記の製造工程において、多孔質石英ガラス体を製造する際の原料ガスに対する酸素および水素ガスの流量比、またはフッ素化合物を含んだ雰囲気下で多孔質石英ガラス体を保持する際のフッ素化合物の濃度および保持時間を調整することにより、得られる合成石英ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度を制御した。また、合成石英ガラス中のOH基濃度およびフッ素濃度の変動幅の制御は、成形時のサイズを調整することにより実施した。さらに合成石英ガラス中の水素分子濃度は、水素含有雰囲気において熱処理する際の条件を調整することにより制御した。
例82〜94で得られた合成石英ガラスのフッ素濃度およびその変動幅、OH基濃度およびその変動幅、塩素濃度ならびに水素分子濃度を測定した。
次に、例82〜94の合成石英ガラスから調製された試料について、屈折率分布、L650/S248、157nmにおける内部透過率を測定し、評価した。
各評価の結果を表15〜表21に示す。なお例82〜84および例87〜91および例94は、本発明の実施例に相当し、その他は比較例に相当する。
各評価の結果を表15〜表21に示す。なお例82〜84および例87〜91および例94は、本発明の実施例に相当し、その他は比較例に相当する。
Claims (8)
- 紫外域から真空紫外域の光を照射して使用される光学用合成石英ガラスにおいて、OH基およびフッ素を含有する合成石英ガラスで形成され、光使用領域においてOH基濃度の変動幅が15ppm以下、フッ素濃度の変動幅が15ppm以下であり、かつ塩素濃度が25ppm以下である合成石英ガラス。
- 紫外域から真空紫外域の光を照射して使用される光学用合成石英ガラスにおいて、OH基およびフッ素を含有する合成石英ガラスで形成され、光使用領域において、OH基とフッ素が互いに濃度分布を打ち消しあうように分布し、かつOH基濃度の変動幅が25ppm以下、フッ素濃度の変動幅が25ppm以下、および塩素濃度が25ppm以下である合成石英ガラス。
- 光使用領域におけるフッ素濃度の変動幅とOH基濃度の変動幅の合計が5ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の合成石英ガラス。
- 入射光に直交する平面内における屈折率変動幅(Δn)が20×10-6以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成石英ガラス。
- 入射光に直交する平面内における屈折率変動幅(Δn)が5×10-6以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成石英ガラス。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の合成石英ガラスを製造する方法であって、
(a)石英ガラス形成原料を火炎加水分解させて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて多孔質石英ガラス体を形成する工程と、
(b)多孔質石英ガラス体を600℃以下のフッ素含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を得る工程と、
(c)フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得る工程と
を含むことを特徴とする合成石英ガラスの製造方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の合成石英ガラスを製造する方法であって、
(a)石英ガラス形成原料を火炎加水分解させて得られる石英ガラス微粒子を基材に堆積・成長させて多孔質石英ガラス体を形成する工程と、
(b)多孔質石英ガラス体を酸素を5〜90体積%含有するフッ素含有雰囲気下にて保持し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を得る工程と、
(c)フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を透明ガラス化温度まで昇温して透明ガラス化し、フッ素を含有した透明石英ガラス体を得る工程と
を含むことを特徴とする合成石英ガラスの製造方法。 - 工程(b)と工程(c)の間に、さらに下記(e)の工程を行なう請求項6または7に記載の合成石英ガラスの製造方法。
(e)雰囲気を減圧し、フッ素を含有した多孔質石英ガラス体を減圧下に所定時間放置する工程
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