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JP2005297780A - 騒音対策装置付車両 - Google Patents

騒音対策装置付車両 Download PDF

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JP2005297780A JP2004117068A JP2004117068A JP2005297780A JP 2005297780 A JP2005297780 A JP 2005297780A JP 2004117068 A JP2004117068 A JP 2004117068A JP 2004117068 A JP2004117068 A JP 2004117068A JP 2005297780 A JP2005297780 A JP 2005297780A
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Abstract

【課題】 作動装置の作動により発せられる音の対策装置を備えた車両を提供する。
【解決手段】 エンジンとフロント,リヤのモータジェネレータとにより選択的に駆動されるハイブリッド車において液圧ブレーキ装置のマスタカット弁,シミュレータ連通弁,ポンプ装置のイニシャルチェックをエンジンの作動を待って行い、あるいはエンジンが作動することなく設定時間が経過し、あるいは車両走行速度が設定速度以上になった場合にはエンジンを作動させてイニシャルチェックを行う。エンジンの作動音にマスタカット弁等の作動音が紛れ、乗員に違和感を覚えさせることなくイニシャルチェックが行われる。通常走行時には、エンジン回転数が設定回転数以上、モータ回転数が設定回転数以上、車両走行速度が設定速度以上の少なくとも一つの状態でマスタカット弁,シミュレータ連通弁を作動させ、エンジン作動時にポンプ装置を作動させる。
【選択図】 図10

Description

本発明は、騒音対策装置付車両に関するものであり、特に、ポンプ装置および制御弁等、作動装置の作動音対策に関するものである。
車両には種々の作動装置が搭載され、その作動時に音を発することが多い。例えば、車両に液圧ブレーキ装置が設けられ、その液圧ブレーキ装置がブレーキシリンダの液圧を電気的に制御することができる装置である場合、例えば、液圧制御弁装置,マスタカット弁,シミュレータ連通弁,ストロークシミュレータ,アキュムレータ,ポンプ装置等の作動装置を備え、それら作動装置の作動によりブレーキシリンダ圧が適宜の大きさに制御されるのであるが、弁やポンプ装置は作動時に音が発生する。例えば、マスタカット弁は常開の電磁開閉弁により構成され、マスタシリンダとブレーキシリンダとを接続する液通路の途中に設けられ、マスタシリンダをブレーキシリンダから遮断するのであるが、弁子が弁座に着座し、弁座から離れた離間位置において停止する際に衝突音や、弁の作動に伴う圧力脈動に起因する音が発生する。また、ポンプ装置は、ポンプモータがポンプを作動させて、アキュムレータにブレーキ液を加圧下に蓄えるのであるが、その際、ポンプモータおよびポンプに作動音が発生する。このような作動音は、ブレーキシリンダ圧の制御のために作動装置が作動させられる際に発生することは勿論、例えば、作動装置が正常に作動するか否かをチェックするイニシャルチェックの実行時にも発生し、乗員に違和感を覚えさせる。
そのため、下記の特許文献1に記載の車両においては、イニシャルチェック時の電磁開閉弁の作動音の低減が図られている。イニシャルチェックはイグニッションスイッチがOFF状態からON状態に切り換えられる毎に1回ずつ行われるが、複数の電磁開閉弁についてイニシャルチェックを行うべき順番が設定され、イグニッションスイッチがON状態に切り換えられる毎に電磁開閉弁が順番に1つずつ開閉させられて作動チェックが行われるようにされているのである。このようにすれば、イグニッションスイッチがON状態に切り換えられる毎に複数の電磁開閉弁の全部について作動チェックが行われる場合に比較して作動音が少なくて済む。
特開平9−323638号公報 特開2002−120704号公報
しかしながら、このようにしてもなお、イニシャルチェック時の電磁開閉弁の作動音が乗員に違和感を覚えさせることがある。イニシャルチェックのために作動させられる電磁開閉弁が1つであっても、その作動時に車両に生じている音が小さい場合には、電磁開閉弁の作動音が乗員に聞こえ、違和感を覚えさせるのである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、作動装置の作動により発せられる音の対策装置を備えた車両の提供を課題として為されたものである。
上記の課題を解決するために、本発明は、それぞれ作動時に音を発する第一作動装置および第二作動装置を備えた車両に、 (a)前記第一作動装置を作動させる必要性が発生しているにもかかわらず作動させず、前記第二作動装置の第一設定条件を満たす状態の作動を待って作動させる待機型制御部と、 (b)前記第二作動装置を第二設定条件を満たす状態で作動させる必要がないにもかかわらず前記第二設定条件を満たす状態で作動させ、その作動中に前記第一作動装置を作動させる機会創出型制御部との少なくとも一方を有する騒音対策装置を設けたことを特徴とする。
第一設定条件は、例えば、第二作動装置が単に作動することであってもよく、予め設定された作動量以上の作動量で作動することであってもよい。
第二設定条件も同様であり、第二設定条件は第一設定条件と同じ条件でもよく、異なる条件でもよい。
待機型制御部により制御される第一,第二作動装置と、機会創出型制御部により制御される第一,第二作動装置とは、同じ作動装置でもよく、異なる作動装置でもよい。
車両の作動装置には、その作動に伴って生じる音が乗員に違和感や不信感を覚えさせる作動装置もあれば、車両の作動のために当然、生ずべき音として聞き流される作動装置もある。したがって、前者の装置を第一作動装置とし、後者の装置を第二作動装置とし、第一作動装置を、第二作動装置が作動している間に作動させるようにすれば、第一作動装置の作動により発せられる作動音が第二作動装置の作動により発せられる作動音に紛れ、乗員に聞こえ難く、あるいは聞こえず、乗員が違和感等を覚えずに済む。
第一作動装置を作動させる際に第二作動装置が作動しているとは限らないのであるが、待機型制御部を備えていれば、第二作動装置が作動していない状態では第一作動装置は作動させられず、第二作動装置が第一設定条件を満たす状態で作動させられるのを待って作動させられるため、第一作動装置は、必ず第二作動装置が作動している状態で作動させられることとなる。第二作動装置が作動させられず、車両が静かな状態では第一作動装置は作動させられないのであり、その作動音によって乗員が違和感を覚えることが回避される。作動の必要性があっても作動を遅らせることができる作動装置であれば、第一作動装置とすることができ、待機型制御部を設けることができる。
また、機会創出型制御部を備えていれば、第二作動装置が必要上、作動させられるのを待たなくても第一作動装置を作動させることができ、第二設定条件の設定により、第一作動装置を、その作動音が乗員に聞こえることを回避しつつ、必要に応じて作動させることができる。したがって、作動装置の作動が必要になった場合に作動開始を遅らせることが望ましくない場合には、その作動装置を第一作動装置とし、別に第二作動装置を定めて機会創出型制御部に制御させることにより、作動音による違和感を覚えさせることなく、第一作動装置を必要に応じて作動させることが可能となる。作動開始を遅らせることがができる作動装置であっても、機会創出型制御部により制御される第一作動装置とすれば、早期に作動させることができる。なお、同じ作動装置であっても、作動の目的によって、作動開始を遅らせることができ、待機型制御部により制御される第一作動装置とすることができる場合と、作動開始を遅らせることが望ましくなく、機会創出型制御部により制御される第一作動装置とされる場合とがある。例えば、イニシャルチェックのためであれば、待機型制御部により制御される第一作動装置とされ、本来、予定された作動を行う場合であれば、機会創出型制御部により制御される第一作動装置とされる作動装置があるのである。
第二作動装置は本来、作動の必要はないが、第一作動装置の作動音を紛らすために作動させられる。そのため、作動の必要がないにもかかわらず作動させることができる作動装置、すなわち必要の有無に関係なく作動させることができ、かつ、必要がない場合の作動が、その作動装置の作動に対して本来予定されている結果を生じさせないため、他の作動装置の作動に影響を及ぼすことがない、あるいはその作動装置の作動がその時点では必要がないが将来必要となる作動であって無駄にはならない作動装置が、機会創出型制御部により制御される第二作動装置とされる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項,(3)項,(6)項および(7)項を合わせたものが請求項2に、(8)項が請求項3に、(2)項,(3)項,(6)項および(9)項を合わせたものが請求項4に、(11)項が請求項5に、(13)項が請求項6に、(15)項が請求項7にそれぞれ相当する。
(1)それぞれ作動時に音を発する第一作動装置および第二作動装置を備えた車両であって、 (a)前記第一作動装置を作動させる必要性が発生しているにもかかわらず作動させず、前記第二作動装置の第一設定条件を満たす状態の作動を待って作動させる待機型制御部と、 (b)前記第二作動装置を第二設定条件を満たす状態で作動させる必要がないにもかかわらず前記第二設定条件を満たす状態で作動させ、その作動中に前記第一作動装置を作動させる機会創出型制御部との少なくとも一方を有する騒音対策装置を備えた騒音対策装置付車両。
(2)当該車両が、当該車両の運転開始当初に、前記第一作動装置が正常に作動するか否かをチェックするイニシャルチェック装置を備え、前記騒音対策装置が、そのイニシャルチェック装置の構成要素である(1)項に記載の騒音対策装置付車両。
例えば、第一作動装置が作動開始を遅らせることができる装置であれば、待機型制御部を設け、第二作動装置の作動を待ってイニシャルチェックを行うことができ、作動開始を遅らせることが望ましくない装置であれば、機会創出型制御部を設け、第二作動装置を作動させて、その作動中にイニシャルチェックを行うことができる。
イニシャルチェックは、車両のイグニッションスイッチがON状態に切り換えられた後、自動的に行われ、第一作動装置は運転者の操作によらずに作動させられるため、運転者が作動音に違和感を覚えることが多いが、本項の車両においては、第一作動装置のイニシャルチェックが、その作動音による違和感や不信感を乗員に覚えさせることなく行われる。
(3)前記第一作動装置が、液圧ブレーキ装置の、アキュムレータ畜圧用のポンプとそのポンプを駆動するポンプモータとを含むポンプ装置と、作動液の流れを制御する制御弁との少なくとも一方を含む(2)項に記載の騒音対策装置付車両。
制御弁には、ブレーキシリンダ圧を制御する液圧制御弁や、作動液の流れを許容,遮断する許容・遮断弁等が含まれ、例えば、電磁弁の一種である電磁開閉弁,電磁方向切換弁,リニア液圧制御弁等が具体例である。
ポンプ装置と制御弁との少なくとも一方のイニシャルチェックが、それらの作動音による違和感や不信感を乗員に覚えさせることなく行われる。
(4)前記制御弁が、作動液通路の連通,遮断を制御する開閉弁を含む(3)項に記載の騒音対策装置付車両。
開閉弁は、その開閉時に衝突音等が発生するが、それによって乗員が違和感等を覚えることなく、イニシャルチェックが行われる。
(5)前記第二作動装置が、当該車両を駆動するエンジンを含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の騒音対策装置付車両。
エンジンはその作動に伴って音が発生するが、車両においてエンジンが作動することは必然と認識されており、その作動音が乗員に違和感や不信感を覚えさせることはなく、第二作動装置として好適である。
(6)当該車両がエンジンと車両駆動モータとにより選択的に駆動されるハイブリッド車であり、前記第二作動装置が少なくとも前記エンジンを含む(3)項または(4)項に記載の騒音対策装置付車両。
ハイブリッド車は駆動源の選択により、エンジンのみあるいは車両駆動モータのみにより駆動され、あるいはエンジンおよび車両駆動モータの両方により駆動される。
ハイブリッド車が車両駆動モータのみにより駆動される状態では、エンジンにより駆動される場合より静かであり、ポンプ装置や制御弁の作動音が乗員に聞こえ易く、本項の騒音対策装置を設ける効果が大きい。
(7)前記待機型制御部が、前記エンジンの第一設定条件を満たす状態の作動を待って前記ポンプ装置と前記制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのために作動させるイニシャルチェック用待機型制御部を含む(6)項に記載の騒音対策装置付車両。
例えば、スタータが作動させられてエンジンが起動中であること、起動後、エンジンが回転状態にあること、あるいはエンジンの回転数が設定回転数以上であることが第一設定条件とされる。
ハイブリッド車では、エンジンは、車両を駆動するために回転させられ、あるいはモータジェネレータに発電させ、バッテリを充電するために回転させられる。いずれにしてもエンジンの作動(起動を含む)を待つことにより、ポンプ装置と制御弁との少なくとも一方のイニシャルチェックがエンジンの作動中に行われ、ポンプ装置等の作動音がエンジンの作動音に紛れ、乗員に違和感を覚えさせることが回避される。
(8)前記機会創出型制御部が、前記エンジンを前記第二設定条件を満たす状態で作動させ、そのエンジンの作動中に前記ポンプ装置と前記制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのために作動させるイニシャルチェック用機会創出型制御部を含む(6)項または(7)項に記載の騒音対策装置付車両。
例えば、スタータが作動させられてエンジンが起動されること、起動後、エンジンが回転状態にあること、あるいはエンジンの回転数が設定回転数以上であることが第二設定条件とされる。
ハイブリッド車においては、エンジンと車両駆動モータとが選択的に駆動に用いられるため、エンジンが駆動源として用いられない状態がある。そのため、大きい作動音が得られるエンジンを、作動の必要がないにもかかわらず、第一作動装置の作動音を紛らすために作動させる第二作動装置とし、車両の駆動状態に影響を与えることなく、騒音対策用作動音発生装置として利用することができ、機会創出型制御部を有する騒音対策装置を容易に構成することができる。
(9)前記待機型制御部が、前記エンジンの第一設定条件を満たす状態の作動を待って前記ポンプ装置と前記制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのために作動させるイニシャルチェック用待機型制御部を含み、前記機会創出型制御部が、前記イニシャルチェック用待機型制御部による待機中に第三設定条件が満たされた場合に、前記エンジンを前記第二設定条件を満たす状態で作動させ、そのエンジンの作動中に前記ポンプ装置と前記制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのために作動させるイニシャルチェック用機会創出型制御部を含む(6)項に記載の騒音対策装置付車両。
本項の車両によれば、エンジンの第一設定条件を満たす状態の作動を待ってイニシャルチェックを行うことができるとともに、機会創出型制御部により、イニシャルチェックのためにエンジンを第二設定条件を満たす状態で作動させることができる。エンジンの第一設定条件を満たす状態の作動を待ち続けなくてもよいのであり、第三設定条件の設定により、イグニッションスイッチがON状態に切り換えられた後、乗員に違和感等を覚えさせることなく、イニシャルチェックを比較的早期に行うことができ、ポンプ装置と制御弁との少なくとも一方が、イニシャルチェックが行われない状態で作動させられることを回避することが可能である。
ハイブリッド車においては、イグニッションスイッチのON状態への切換え後、必ずしもエンジンを作動させる必要がなく、車両が車両駆動モータのみによって駆動され続けることがあるが、そのような場合でも、エンジンを第二設定条件を満たす状態で作動させることにより、イグニッションスイッチのON状態への切換え後、比較的早い時期にイニシャルチェックを行うことができるのである。
(10)前記第三設定条件が、待機時間が設定時間以上になることと、当該車両の走行速度が設定速度以上になることとの少なくとも一方を含む(9)項に記載の騒音対策装置付車両。
待機時間が設定時間以上になり、あるいは走行速度が設定速度以上になる状態では、減速のために液圧ブレーキ装置が作動させられる可能性が高く、第三設定条件の設定により、液圧ブレーキ装置の作動前にイニシャルチェックが行われ易い。
また、第三設定条件が成立するまでの間はエンジンは作動させられず、燃費が向上する。
(11)前記第一作動装置が、液圧ブレーキ装置のマスタシリンダとブレーキシリンダとを接続する液通路の途中に設けられて前記マスタシリンダを前記ブレーキシリンダから遮断するマスタカット弁を含み、前記第二作動装置が当該車両を駆動するエンジンを含み、前記待機型制御部が、そのエンジンが設定回転数以上で回転することと、当該車両を設定速度以上で走行させる状態で回転することとの少なくとも一方を、前記第一設定条件を満たす状態の作動として、前記マスタカット弁を作動させる通常走行時用待機型制御部を含む(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の騒音対策装置付車両。
エンジンと、エンジンにより駆動される駆動車輪との間には、動力伝達装置等、種々の装置が介在するため、エンジンの回転数と車両の走行速度とは一義的には対応せず、「エンジンが当該車両を設定速度以上で走行させる状態で回転すること」は「車両が設定速度以上で走行していること」と同義である。車両自体は本発明における作動装置とはいえないため、上記表現としたものである。
エンジンの作動音はその回転数が大きいほど大きく、また、車両の走行速度が大きいほどエンジン回転数が大きいことが多い。したがって、第一設定条件が満たされていれば、エンジンの作動音が大きく、マスタカット弁が作動させられても、その作動音はエンジン作動音に紛れ、乗員に聞こえることが回避される。通常走行時(走行中の一時停止を含む)であれば、第一設定条件が満たされることが多く、制動が度々行われても、乗員に違和感を覚えさせることなくマスタカット弁の開閉が行われて、ブレーキシリンダ圧の電気制御状態が設定され、あるいは電気制御状態が解除される。エンジンの第一設定条件を満たす状態の作動が待たれれば、マスタカット弁が必要に応じて直ちに作動させられないことがあるが、ブレーキシリンダ圧の電気制御が必要になったときにマスタカット弁が既に閉じられて電気制御可能状態にあればブレーキシリンダ圧の電気制御は支障なく行われる。それに対して、マスタカット弁が閉じていない場合には、マスタシリンダの加圧室において発生させられた液圧によりブレーキを作動させ、マニュアルブレーキとして機能するようにすることも可能である。しかし、電気制御による場合にはマニュアルブレーキとして機能させられる場合よりブレーキシリンダ液圧が高くされること、あるいはブレーキ操作部材の操作感に明瞭な違いが出ること等の事情により、直ちに電気制御が行われるようにすることが望ましい場合には、通常走行時用機会創出型制御部によりエンジンが作動させられ、その作動中にマスタカット弁が作動させられるようにすればよい。この場合には、通常、エンジンは設定時間後に停止させられることとなるが、マスタカット弁は後にエンジンの作動が必要になるまで閉状態に保たれ、液圧ブレーキ装置が電気制御可能状態に保たれることとなる。
(12)前記液圧ブレーキ装置が、前記マスタシリンダと前記マスタカット弁との間に接続通路により接続されたストロークシミュレータと、そのストロークシミュレータを前記マスタシリンダに連通させる状態とマスタシリンダから遮断する状態とに切換えが可能なシミュレータ連通弁とを含み、前記通常走行時用待機型制御部が、前記エンジンが設定回転数以上で回転することと、当該車両を設定速度以上で走行させる状態で回転することとの少なくとも一方を、前記第一設定条件を満たす状態の作動として、前記シミュレータ連通弁を作動させる手段を含む(11)項に記載の騒音対策装置付車両。
マスタカット弁によりマスタシリンダがブレーキシリンダから遮断されたとき、シミュレータ連通弁が開かれてストロークシミュレータに連通させられる。ストロークシミュレータには、ブレーキ操作部材の操作量に対応する液圧が発生させられ、運転者にブレーキ操作部材の操作感が与えられる。したがって、マスタシリンダに発生させられた液圧がブレーキシリンダに供給されてブレーキが作動させられる場合にはストロークシミュレータは不要であり、シミュレータ連通弁は閉じられており、マスタシリンダがブレーキシリンダから遮断され、ブレーキシリンダ圧が電気的に制御される状態では、シミュレータ連通弁が開かれてマスタシリンダがストロークシミュレータに連通させられる。シミュレータ連通弁の開閉時にも作動音が発生するが、第一設定条件が満たされる状態で作動させられることにより、シミュレータ連通弁がマスタカット弁と共に作動させられつつ、その作動音がエンジンの作動音に紛れ、乗員に違和感を覚えさせることが回避される。前述のように、通常走行時用機会創出型制御部によるエンジンの作動時にマスタカット弁が作動させられる場合、シミュレータ連通弁も共に作動させられる。
(13)当該車両がエンジンと車両駆動モータとにより選択的に駆動されるハイブリッド車であり、前記第一作動装置が、液圧ブレーキ装置のマスタシリンダとブレーキシリンダとを接続する液通路の途中に設けられて前記マスタシリンダを前記ブレーキシリンダから遮断するマスタカット弁を含み、前記第二作動装置が前記車両駆動モータを含み、前記待機型制御部が、その車両駆動モータが設定回転数以上で回転することと、当該車両を設定速度以上で走行させる状態で回転することとの少なくとも一方を、前記第一設定条件を満たす状態の作動として、前記マスタカット弁を作動させる通常走行時用待機型制御部を含む(1)項ないし(10)項のいずれかに記載の騒音対策装置付車両。
車両駆動モータもエンジンと同様に、駆動車輪との間に動力伝達装置等、種々の装置が介在するため、車両駆動モータの回転数と車両の走行速度とは一義的に対応せず、「車両駆動モータが当該車両を設定速度以上で走行させる状態で回転すること」は「車両が設定速度以上で走行していること」と同義である。
一般的に車両駆動モータの作動音はその回転数が大きいほど大きく、また、車両の走行速度が大きいほどモータ回転数が大きく、作動音が大きい。したがって、第一設定条件が満たされていれば、車両駆動モータの作動音が大きく、マスタカット弁が作動させられても、その作動音はモータ作動音に紛れ、乗員に聞こえることが回避される。
本項が(11)項あるいは(12)項に従属する態様では、エンジンと車両駆動モータとの少なくとも一方の第二設定条件を満たす状態での作動中にマスタカット弁を作動させることができ、作動の機会が多く、乗員に違和感を覚えさせることなく、マスタカット弁をほぼ必要に応じて作動させることが可能である。
(14)前記液圧ブレーキ装置が、前記マスタシリンダと前記マスタカット弁との間に接続通路により接続されたストロークシミュレータと、そのストロークシミュレータを前記マスタシリンダに連通させる状態とマスタシリンダから遮断する状態とに切換えが可能なシミュレータ連通弁とを含み、前記通常走行時用待機型制御部が、前記車両駆動モータが設定回転数以上で回転することと、当該車両を設定速度以上で走行させる状態で回転することとの少なくとも一方を、前記第一設定条件を満たす状態の作動として、前記シミュレータ連通弁を作動させる手段を含む(13)項に記載の騒音対策装置付車両。
本項の車両においては、シミュレータ連通弁がマスタカット弁と共に作動させられつつ、シミュレータ連通弁の作動音が車両駆動モータの作動音に紛れ、乗員に違和感を覚えさせることが回避される。
(15)当該車両がエンジンと車両駆動モータとにより選択的に駆動されるハイブリッド車であり、前記第一作動装置が、液圧ブレーキ装置のアキュムレータに畜圧するポンプとそのポンプを駆動するポンプモータとを含むポンプ装置を含み、前記第二作動装置が前記エンジンと前記車両駆動モータとの少なくとも一方を含み、前記機会創出型制御部が、当該車両が前記エンジンと前記車両駆動モータとの一方の駆動により暗騒音が小さい状態で走行している場合に、他方をその暗騒音より大きい音を発生させる状態で作動させ、その他方の作動中に前記ポンプ装置を作動させるものである(1)項ないし(14)項のいずれかに記載の騒音対策装置付車両。
第二作動装置は、エンジンのみでもよく、車両駆動モータのみでもよく、両方でもよい。エンジンと車両駆動モータとの一方が第二作動装置である場合には、機会創出型制御部が、車両がンジンと車両駆動モータとの他方の駆動により、暗騒音が小さい状態で走行している場合に、上記一方をその暗騒音より大きい音を発生させる状態で作動させることとなる。上記一方が上記他方より大きい音を発生させる運転領域を有するものである必要があることは勿論である。
エンジンと車両駆動モータとの両方が第二作動装置である場合には、エンジンが比較的小さい暗騒音で作動させられている場合に、車両駆動モータが機会創出型制御部によりその暗騒音より大きい音で作動させられることとなり、車両駆動モータが比較的小さい暗騒音で作動させられている場合に、エンジンがその暗騒音より大きい音で作動させられることとなる。
本項の車両の騒音対策装置はポンプ装置のイニシャルチェック装置の構成要素とすることも、通常走行時用における騒音対策装置とすることもでき、乗員に違和感を覚えさせることなく、ポンプ装置のイニシャルチェックを行うことができ、あるいは走行中にアキュムレータに液圧を蓄えさせることができる。機会創出型制御部は、前者の場合、ポンプ装置イニシャルチェック用機会創出型制御部を含み、後者の場合、ブレーキ作動時ポンプ装置作動用機会創出型制御部ないし通常走行時ポンプ装置作動用機会創出型制御部を含む。
ハイブリッド車においては駆動源がエンジンと車両駆動モータとの2つあり、いずれか一方が車両の駆動等、本来の機能のために作動させられない場合があり、その非作動装置を、車両の走行状態等に影響を与えることなく、騒音対策用作動音発生装置として利用することができ、乗員に違和感を覚えさせることなく、必要な場合にポンプ装置を作動させることができる。ポンプ装置は、アキュムレータの圧力が低下したとき、直ちに作動させることが望ましく、通常走行時用機会創出型制御部により制御される第一作動装置とされることにより、アキュムレータに適切な圧力でブレーキ液が蓄えられる。
(16)前記少なくとも一方が前記エンジンである(15)項に記載の騒音対策装置付車両。
エンジンの作動音は車両駆動モータより大きいことが多く、第二作動装置として好適である。
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
図1に、請求可能発明の一実施例としての車両を概略的に示す。本車両はハイブリッド車であり、ハイブリッドシステム2を備えている。ハイブリッドシステム2は、エンジン10,フロントトランスアクスル12,リヤトランスアクスル14,スタータジェネレータ16,バッテリパック18,コンバータ付インバータ20およびハイブリッド制御コンピュータ22(図3参照)を含む。フロントトランスアクスル12は、フロントモータジェネレータ26,無段変速機28,ディファレンシャル(図示省略)および動力切換機構30を含み、リヤトランスアクスル14は、リヤモータジェネレータ34,減速ギヤおよびディファレンシャル(図示省略)を含む。また、バッテリパック18は、バッテリ38およびバッテリコンピュータ40(図3参照)を含む。
本車両は、エンジン10とフロントモータジェネレータ26およびリヤモータジェネレータ34とにより選択的に駆動される。これらモータジェネレータ26,34は、コンバータ付インバータ20を介してバッテリ38から供給される電力によりモータとして作動し、駆動車輪を回転させる動力源ないし駆動源としての機能と、エンジン10の回転に基づいて発電し、バッテリ18を充電するジェネレータとしての機能とを備えている。動力切換機構30は、車両を駆動する動力源の切換えおよびフロントモータジェネレータ26の駆動機能と発電機能との切換え等を行う。本実施例の動力切換機構30は、無段変速機28にエンジン10の駆動力のみを伝達し、あるいはフロントモータジェネレータ26の駆動力のみを伝達し、あるいは両方を伝達することができるとともに、フロントモータジェネレータ26の駆動力が伝達される状態でエンジン10が回転させられても、エンジン10の駆動力は無段変速機28に伝達されず、かつフロントモータジェネレータ26の回転に影響を及ぼさないようにすることができるように構成されている。エンジン10およびフロントモータジェネレータ26の駆動力は、無段変速機28によりフロントディファレンシャルに伝達され、左前輪44および右前輪46に分配される。また、リヤモータジェネレータ14の駆動力は、リヤディファレンシャルにより左後輪48および右後輪50に分配される。
スタータジェネレータ16,フロントモータジェネレータ26,動力切換機構30およびリヤモータジェネレータ34はハイブリッド制御コンピュータ22により制御され、エンジン10および無段変速機28はエンジン制御コンピュータ58(図3参照)により制御される。これらスタータジェネレータ16等は、図示を省略する駆動回路を介して制御される。駆動回路はコンピュータと共に制御装置を構成する。ハイブリッド制御コンピュータ22には、図示は省略するが、アクセルポジションセンサ,シフトポジションセンサ等、種々のセンサ等が接続されるとともに、バッテリコンピュータ40,液圧ブレーキ装置60のブレーキ制御コンピュータ62等が接続され、それらセンサ等の検出値等に基づいて必要なエンジン出力,モータトルク,無段変速機28の変速比等の各種要求値を演算し、エンジン制御コンピュータ58およびブレーキ制御コンピュータ62等に出力し、駆動力を制御する。
本液圧ブレーキ装置60は、運転者の操作によりマスタシリンダに発生させられた液圧に基づいてブレーキが作動させられるマニュアルモードによる制動と、ブレーキのブレーキシリンダの液圧であるブレーキシリンダ圧が電気的に制御される電気制御モードによる制動とが択一的に行われる装置とされている。そのため、液圧ブレーキ装置60は、図2に示すように、ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル72と、ブレーキペダル72の操作に基づいて液圧を発生するマスタシリンダ74と、ブレーキ操作に基づいて前記前後左右の各車輪44,46,48,50に設けられたブレーキと、それらブレーキの各ブレーキシリンダ78,80,82,84のブレーキシリンダ圧を制御するブレーキアクチュエータ86とを備える。
マスタシリンダ74は、本実施例では2つの加圧室を備え、一方の加圧室は液通路88により左前輪44のブレーキシリンダ78に接続され、他方の加圧室は液通路90により右前輪46のブレーキシリンダ80に接続されている。液通路88,90の途中にはそれぞれ、マスタカット弁96,98が設けられ、マスタシリンダ74とマスタカット弁96との間には接続通路92によりストロークシミュレータ94が接続されるとともに、接続通路92にシミュレータ連通弁100が設けられている。マスタカット弁96,98は、本実施例においてはいずれも、制御弁の一種である電磁開閉弁であって、常開の電磁開閉弁とされており、ソレノイドへの電流の供給により閉じられてマスタシリンダ74をブレーキシリンダ78,80から遮断し、電流の遮断により開かれてマスタシリンダ74をブレーキシリンダ78,80に連通させる。シミュレータ連通弁100は、本実施例においては、制御弁の一種である電磁開閉弁であって、常閉の電磁開閉弁とされており、ソレノイドへの電流の供給により開かれてストロークシミュレータ94をマスタシリンダ74に連通させ、電流の遮断により閉じられてストロークシミュレータ94をマスタシリンダ74から遮断する。マスタシリンダ74の2つの加圧室にはまた、ブレーキ液を蓄えるリザーバ102が接続されている。
前記ブレーキアクチュエータ86は、図2に示すように、リザーバ102からブレーキ液を汲み上げるポンプ110と、ポンプ110から吐出されたブレーキ液を加圧下に蓄えるアキュムレータ112と、ポンプ110の吐出圧が過大となることを防止するリリーフ弁114とを備えた動力液圧源116を含んでいる。ポンプ110はアキュムレータ蓄圧用であり、駆動源たるポンプモータ118により駆動され、このポンプモータ118が後述するコンピュータによって制御されることによって、アキュムレータ112の液圧が一定範囲に維持される。これらポンプ110とポンプモータ118とによってポンプ装置122が構成される。ブレーキアクチュエータ86はさらに、動力液圧源116から各ブレーキシリンダ78〜84へのブレーキ液の流入を制御する増圧弁130,132,134,136と、各ブレーキシリンダ78〜84からリザーバ102へのブレーキ液の流出を制御する減圧弁140,142,144,146とを含んでいる。それら増圧弁130〜136および減圧弁140〜146は、本実施例では、供給電流に応じてリニアに液圧を制御するリニア液圧制御弁とされている。
ポンプ110と増圧弁130〜136との間に液圧センサ150が設けられて動力液圧源116の液圧が検出され、また、ブレーキシリンダ78〜84の各液圧がブレーキシリンダ圧センサ152,154,156,158により検出される。さらに、マスタシリンダ74の2つの加圧室の各々とマスタカット弁96,98との間にそれぞれマスタシリンダ圧センサ160,162が設けられ、2つの加圧室にそれぞれ発生させられた液圧が検出される。
さらに、左右前後の車輪44〜50の各々について車輪速センサ170,172,174,176が設けられ、車輪44〜50の各車輪速度が検出されるようにされている。また、マスタカット弁96,98およびシミュレータ連通弁100の各々について、その作動を検出する作動検出装置178,180,182(図3参照)が設けられている。これら作動検出装置178〜182はそれぞれ、本実施例では、光センサの一種である透過型の光電センサを備え、その発光素子および受光素子がバルブハウジングに設けられてソレノイドのプランジャの移動を検出し、弁子の移動を検出する移動検出装置とされている。常開弁であるマスタカット弁96,98について光電センサは、ソレノイドに電流が供給されてプランジャが移動させられ、弁子が弁座に着座してマスタカット弁96,98が閉じられた状態において出力信号が変化するように設けられている。また、常閉弁であるシミュレータ連通弁100について光電センサは、ソレノイドに電流が供給されてプランジャが予め設定された移動端位置まで移動させられ、弁子が弁座から離間させられてシミュレータ連通弁100が開かれた状態において出力信号が変化するように設けられている。
本液圧ブレーキ装置60は、前記ブレーキ制御コンピュータ62を主体とする制御装置により制御される。ブレーキ制御コンピュータ62には、前記液圧センサ150等、各種センサ等の検出信号等が入力されるとともに、前記ハイブリッド制御コンピュータ22が接続されており、通信により各種指令値,情報等をやりとりし、駆動回路を介して前記マスタカット弁96,98等、液圧ブレーキ装置60の構成装置を制御する。
通常は運転者によりブレーキ操作が行われれば、マスタカット弁96,82が閉状態とされてマスタシリンダ74がブレーキシリンダ78〜84から遮断され、ブレーキシリンダ圧が電気的に制御されるようにされるとともに、シミュレータ連通弁100が開状態とされてストロークシミュレータ94がマスタシリンダ74に連通させられて運転者に操作感を付与するようにされる。一方、ブレーキアクチュエータ86においては、運転者によるブレーキペダル72の操作量(操作ストロークと操作力との少なくとも一方)や、車輪速度,車体速度などに基づいて、ブレーキ制御コンピュータ62により増圧弁130〜136および減圧弁140〜146の制御が行われて、各ブレーキシリンダ78〜84内の液圧が増圧、減圧されることにより、車両の制動が行われる。この際、ブレーキシリンダ圧は、動力液圧源116からの液圧の供給により増圧させられる。そのため、ブレーキシリンダ圧の増圧制御が行われるのに伴ってアキュムレータ112の液圧が低下し、設定された下限値より低くなれば、ポンプ装置122が起動され、リザーバ102からブレーキ液を汲み上げてアキュムレータ112に加圧下に蓄える。アキュムレータ圧112が設定された上限値より高くなれば、ポンプ装置122は停止させられる。ポンプ装置122から吐出されるブレーキ液が直接ブレーキシリンダに供給されてブレーキシリンダ圧が増大させられることもある。
このように液圧ブレーキ装置60が作動させられるとき、種々の作動音が発生する。マスタカット弁96,98,シミュレータ連通弁100が開閉させられるとき、弁子が弁座に着座し、プランジャが、弁子を弁座から離間させる移動端位置に停止する際に衝突音や、弁の作動に伴う圧力脈動に起因する音が発生し、ポンプ装置122が作動させられれば、ポンプモータ118の回転音やポンプ110の作動音が発生するのである。弁96〜100については、開状態から閉状態に、閉状態から開状態に切り換えられることが作動であり、ポンプ装置122については、ポンプモータ118が回転させられ、ポンプ110がリザーバ102からブレーキ液を汲み上げてアキュムレータ112に加圧下に蓄えることが作動である。イグニッションスイッチがOFF状態からON状態に切り換えられた後、イニシャルチェックが行われる際にも、弁96〜100が開閉させられ、ポンプ装置122が作動させられるため、作動音が発生する。これら作動音は乗員に違和感を覚えさせることがある。
そのため、本車両においては、図3に示すように騒音対策制御コンピュータ190が設けられ、マスタカット弁96,98,シミュレータ連通弁100およびポンプ装置122の各作動について騒音対策制御が行われる。騒音対策制御コンピュータ190は、前記ハイブリッド制御コンピュータ22に接続されて通信により指令,情報等のやりとりを行うようにされており、ハイブリッド制御コンピュータ22における情報のみならず、ハイブリッド制御コンピュータ22を介してエンジン制御コンピュータ58,ブレーキ制御コンピュータ62とも情報等のやりとりを行う。騒音対策制御コンピュータ190のROMには、図示を省略するメインルーチン,図4,図6および図7にそれぞれフローチャートで示すイニシャルチェック用騒音対策制御ルーチン,通常走行時弁用騒音対策制御ルーチン,通常走行時ポンプ装置用騒音対策制御ルーチンが記憶されており、これらルーチンが騒音対策制御コンピュータ190により実行されて騒音対策が行われる。また、ブレーキ制御コンピュータ62のROMには、図示を省略するメインルーチン,図5,図8および図9にそれぞれフローチャートで示すイニシャルチェック制御ルーチン,ブレーキ制御ルーチンおよびポンプ装置制御ルーチン等が記憶されており、騒音対策の下にブレーキ制御,ポンプ装置制御およびイニシャルチェックが行われるようにされている。コンピュータ22,62においてそれぞれ、制御ルーチンは設定時間間隔毎に実行される。また、ブレーキ制御コンピュータ62においては、イニシャルチェック制御ルーチン等は時分割制御され、一定時間毎に予め設定された順序で実行される。以下、各ルーチンに基づいて、液圧ブレーキ装置60についての騒音対策を説明する。
イニシャルチェック用騒音対策制御ルーチンはイグニッションスイッチがON状態に切り換えられることにより実行され、ステップ1(以後、S1と略記する)においては、イニシャルチェック終了フラグがONにセットされているか否かが判定され、イニシャルチェックが終了したか否かが判定される。このイニシャルチェック終了フラグは、騒音対策制御コンピュータ190に設けられたフラグであり、イグニッションスイッチがON状態からOFF状態に切り換えられる際にOFFにリセットされ、S1が初めて実行されるとき、OFFにされており、S1の判定結果はNOになってS2が実行され、機会創出イニシャルチェック中であるか否かが判定される。この判定は機会創出イニシャルチェック実行フラグがONにセットされているか否かにより行われる。機会創出イニシャルチェックは、エンジン10を作動させる必要がないにもかかわらず、弁96〜100およびポンプ装置122のイニシャルチェックを行うために作動させ、その作動中に弁96〜100およびポンプ装置122を作動させ、正常に作動するか否かをチェックするイニシャルチェックである。機会創出イニシャルチェックが実行されておらず、機会創出イニシャルチェック実行フラグがOFFにリセットされていれば、S2の判定結果はNOになってS3が実行される。
S3においては、エンジン10が作動させられているか否かが判定される。エンジン10は、車両の駆動のために作動させられ、あるいはバッテリ38の充電のために作動させられる。S3の判定は、ハイブリッド制御コンピュータ22からの情報に基づいて行われ、スタータジェネレータ16が作動させられてエンジン10が起動されているか、あるいはエンジン10が回転状態にあれば、エンジン10が作動中であると判定される。エンジン10が作動中でなければ、S3の判定結果がNOになってS4が実行され、待機イニシャルチェックが実行されているか否かが判定される。この判定は待機イニシャルチェック実行フラグがONにセットされているか否かにより行われる。待機イニシャルチェックは、弁96〜100およびポンプ装置122を作動させる必要性が発生しているにもかかわらず作動させず、エンジン10が作動させられるのを待って作動させて行うイニシャルチェックである。待機イニシャルチェック実行フラグは、イグニッションスイッチがOFF状態に切り換えられるときにOFFにリセットされる。
待機イニシャルチェック実行中でなければ、S4の判定結果がNOになってS5が実行され、本ルーチンの開始後、S4の判定結果が初めてNOになってから設定時間が経過したか否かが判定される。設定時間が経過していなければ、S5の判定結果はNOになってS6が実行され、車両の走行速度が設定速度以上であるか否かが判定される。走行速度はブレーキ制御コンピュータ62において、車輪速センサ170〜176の検出値に基づいて演算され、ブレーキ制御コンピュータ62から読み込まれる。車両走行速度が設定速度より小さいのであれば、S6の判定結果はNOになってルーチンの実行は終了する。この場合には、イニシャルチェックは行われない。
エンジン10が必要上、作動させられる前に設定時間が経過し、あるいは車両走行速度が設定速度以上になれば、S5あるいはS6の判定結果がYESになってS7が実行され、イニシャルチェック用のエンジン作動指令がハイブリッド制御コンピュータ22およびエンジン制御コンピュータ58に出力され、エンジン10が作動させられる。この際、動力切換機構30は、エンジン10の駆動力が無段変速機28に伝達されない状態とされる。S7が実行されるとき、エンジン10は作動させられておらず、作動の必要がないにもかかわらず、イニシャルチェック時の騒音対策のために作動させられるため、エンジン10によって車両が駆動されることがないようにされるのである。バッテリ38の充電も行われない状態とされる。
次いでS8が実行され、機会創出イニシャルチェック実行フラグがONにセットされた後、S9が実行され、イニシャルチェックが許可される。本実施例では、騒音対策制御コンピュータ190に設けられたイニシャルチェック許可フラグがONにセットされるのである。続いてS10が実行され、イニシャルチェックが終了したか否かが判定される。マスタカット弁96,98,シミュレータ連通弁100およびポンプ装置122のイニシャルチェックはブレーキ制御コンピュータ62により行われ、S10の判定は、ハイブリッド制御コンピュータ22を介して得られるブレーキ制御コンピュータ62からの情報に基づいて行われ、ブレーキ制御コンピュータ62に設けられたイニシャルチェック終了フラグがONにセットされているか否かにより行われる。なお、イニシャルチェックが終了していなければ、S10の判定結果がNOになってルーチンの実行は終了する。イニシャルチェック許可フラグは、本実施例では、イグニッションスイッチがOFF状態に切り換えられる際にOFFにリセットされ、初期状態ではOFFであり、イニシャルチェックが許可されておらず、イニシャルチェック用騒音対策制御ルーチンの実行により許可される。そのため、イニシャルチェックが許可されていないにもかかわらず、イニシャルチェックが行われて、作動音が乗員に違和感を覚えさせることがない。
ブレーキ制御コンピュータ62においては、図5に示すイニシャルチェック制御ルーチンが実行され、イニシャルチェックが許可されたか否かが監視されている。このルーチンにおいてはまず、S21においてイニシャルチェックが終了したか否かの判定が行われる。この判定は、ブレーキ制御コンピュータ62において記憶されているイニシャルチェックに関するデータに基づいて行われ、例えば、ブレーキ制御コンピュータ62に設けられたイニシャルチェック終了フラグがONにセットされているか否かにより行われる。イニシャルチェック終了フラグがOFFにリセットされていて、イニシャルチェックが終了していなければ、S21の判定結果はNOになってS22が実行され、イニシャルチェックが許可されているか否かが判定される。この判定は、ハイブリッド制御コンピュータ22を介して騒音対策制御コンピュータ190から得られる情報により、イニシャルチェック許可フラグがセットされているか否かにより行われ、セットされていなければ、S22の判定結果がNOになってルーチンの実行は終了する。
イニシャルチェック用騒音対策制御ルーチンにおいてイニシャルチェックの実行が許可され、イニシャルチェック許可フラグがセットされれば、S22の判定結果がYESになってS23が実行され、マスタカット弁96,98,シミュレータ連通弁100およびポンプ装置122のイニシャルチェックが行われる。本実施例では、イニシャルチェックとして通電チェックおよび作動チェックが行われる。通電チェックは、電流供給線の断線,短絡の有無等を検出するチェックであり、弁96等に電流を供給し、電圧計(図示省略)の検出値が正常な値であるか否かにより行われる。
作動チェックは、弁96等が正常に作動するか否かのチェックであり、弁96〜100については、それらが正常に開閉するか否かであり、前記作動検出装置178〜182の検出信号に基づいて行われる。マスタカット弁96,98は常開弁であり、ソレノイドに電流が供給され、供給開始後、設定時間が経過しても、作動検出装置178,180により、プランジャの弁子を弁座に着座させる閉位置への移動を検出する信号が得られなければ、マスタカット弁96,98が閉じられておらず、プランジャの固着等、何らかの異常が生じていることがわかる。ソレノイドへの電流供給が遮断されても、プランジャの閉位置への移動検出信号が発せられている場合も異常である。
シミュレータ連通弁100は常閉弁であり、ソレノイドへの電流供給開始後、設定時間が経過しても、作動検出装置182により、プランジャの弁子を弁座から離間させる開位置への移動を検出する信号が得られなければ、シミュレータ連通弁100が開かれなかったのであり、弁子の固着等、何らかの異常が生じていることがわかる。ソレノイドへの電流供給が遮断されても、プランジャの開位置への移動検出信号が発せられている場合も異常である。また、ポンプ装置122の作動は回転することであり、ポンプモータ118に電流を供給して起動し、ポンプ110を駆動させる。そして、液圧センサ150により検出される動力液圧源116の液圧が上昇すれば、ポンプ装置122は正常であり、上昇しなければ異常であることがわかる。異常は、報知装置により報知される。これらイニシャルチェックは、それが許可された状態で行われ、エンジン10の作動中に行われる。エンジン10は車両において作動するのが当たり前の作動装置であり、その作動音が聞こえても乗員が違和感を覚えることはなく、弁96〜100の開閉音,ポンプ装置122の作動音はエンジン10の作動音に紛れて乗員に殆ど聞こえず、違和感や不信感を覚えさせることなくイニシャルチェックが行われる。イニシャルチェックが終了すれば、ブレーキ制御コンピュータ62に設けられたイニシャルチェック終了フラグがONにセットされる。イニシャルチェック終了フラグは、イグニッションスイッチがOFF状態に切り換えられる際にOFFにされる。
弁96〜100およびポンプ装置122の各イニシャルチェックの実行タイミングを図10のタイムチャートに示す。イグニッションスイッチのON状態への切換え後、液圧ブレーキ装置60が立ち上がってブレーキシリンダ圧の電気制御が可能となり、ハイブリッドシステム2が立ち上がってエンジン10とモータジェネレータ26,34とによる選択的な車両の駆動が可能となった状態において車両走行速度が設定速度以上になり(図中、ONで表される)、あるいはエンジン10が作動させられて(図中、ONで表される)、車両の暗騒音レベルが大きい状態で弁96〜100およびポンプ装置122が作動させられ、それらの作動音により乗員に違和感を覚えさせることなく、イニシャルチェックが行われる。暗騒音は、車両に生じる騒音であって、イニシャルチェックが行われる作動装置の作動音の背景となる音であり、ここではエンジン作動音である。図10では、エンジン10が、設定時間が経過する前であって、車両走行速度が設定速度以上になるより早く作動させられる例が実線で図示されているが、例えば、二点鎖線で示すように、車両走行速度が設定速度以上になるのが最も早く、それによりイニシャルチェックが行われることもある。
イニシャルチェック用騒音対策制御ルーチンにおいては、機会創出イニシャルチェック実行フラグがONにされるため、次にS2が実行されるとき、その判定結果がYESになってS10が実行される。イニシャルチェックが終了するまで、S1,S2およびS10が繰り返し実行され、S3は実行されない。したがって、S3では、エンジン10がイニシャルチェックのためではなく、必要があって作動させられているか否かが判定されることとなる。イニシャルチェックが終了すれば、S10の判定結果がYESになってS11が実行され、エンジン停止許可がハイブリッド制御コンピュータ22およびエンジン制御コンピュータ58に出力される。これらコンピュータ22,58では、エンジン10が必要があって作動させられている状態(以後、必要作動状態と称する)になければ、エンジン停止許可に基づいてエンジン10を停止させ、動力切換機構30が車両の現状に応じた状態とされる。そして、S12において、騒音対策制御コンピュータ190に設けられたイニシャルチェック終了フラグがONにセットされてルーチンの実行は終了する。そのため、以後、S1が実行されるとき、その判定結果はYESになり、S2以下のステップは行われない。イニシャルチェックは、イグニッションスイッチがON状態に切り換えられた後、1回のみ行われるのである。
イグニッションスイッチがON状態に切り換えられた後、エンジン10が作動させられることなく設定時間が経過し、あるいは車両走行速度が設定速度以上となる前に、エンジン10が必要があって作動させられれば、S3の判定結果がYESになってS13が前記S4と同様に実行され、待機イニシャルチェックが実行中であるか否かが判定される。待機イニシャルチェックの実行中でなければ、S13の判定結果はNOになり、S14が前記S9と同様に実行され、イニシャルチェックの実行が許可される。次いでS15において待機イニシャルチェック実行フラグがONにセットされた後、S16において前記S10と同様にイニシャルチェックが終了したか否かが判定される。S14におけるイニシャルチェックの許可により、ブレーキ制御コンピュータ62によりイニシャルチェックが実行され、その終了が待たれるのである。この場合、エンジン10が必要作動状態にあり、その作動音に、イニシャルチェックに伴って発せられる作動音が紛れ、乗員に違和感を覚えさせることが回避される。イニシャルチェックの実行中、エンジン10が作動させられている限り、S3,S13の判定結果がYESになってS16が実行される。イニシャルチェックが終了すれば、S16の判定結果がYESになってS12が実行される。この場合、エンジン10は必要作動状態にあるため、エンジン停止許可を出力しなくてよく、イニシャルチェック終了フラグのセットのみが行われる。
待機イニシャルチェックが行われている間にエンジン10を作動させる必要がなくなり、停止させられれば、S3の判定結果がNOになってS4が実行されるが、待機イニシャルチェック実行フラグがセットされているため、S4の判定結果がYESになってS17が実行され、イニシャルチェック用エンジン作動指令が出力される。それにより、必要上、作動させられなくなったエンジン10がイニシャルチェックのために作動させられることとなる。次いでS18が実行され、待機イニシャルチェック実行フラグがOFFにリセットされるとともに、機会創出イニシャルチェック実行フラグがONにセットされる。イニシャルチェックは、エンジン10が必要作動状態になるのを待って開始されたが、途中で機会創出イニシャルチェックに変わったのであり、機会創出イニシャルチェック実行フラグのセットにより、次にS2が実行されるとき、その判定結果はYESになってS10が実行され、イニシャルチェックの終了が待たれる。
機会創出イニシャルチェックの途中においてエンジン10が必要作動状態となることがあるが、その場合にはエンジン10が作動させられていて、イニシャルチェックの作動音が紛れ、乗員に違和感を覚えさせることがないため、機会創出イニシャルチェックがそのまま続けられる。
なお、ブレーキペダル72が踏み込まれた場合、実際には、ポンプ装置122が起動され、アキュムレータ112の液圧がある程度高くなった状態でマスタカット弁96,98が閉じられるとともにシミュレータ連通弁100が開かれて、動力液圧源116の液圧に基づいてブレーキが作動させられるようにされるが、ここでは、説明の単純化のために、イニシャルチェックの実行中にブレーキペダル72が踏み込まれても、イニシャルチェックが続けられ、その終了後に動力液圧源116の液圧に基づくブレーキ制御が行われることとする。イグニッションスイッチがON状態に切り換えられる前にブレーキペダル72が踏み込まれていることがあれば、その場合にも、イグニッションスイッチのON状態への切換えにより、まず、イニシャルチェックが行われることとする。ブレーキペダル72の踏込み解除後にイニシャルチェックが行われるようにしてもよい。また、次に説明する通常走行時における弁作動時の騒音対策制御およびポンプ装置作動時の騒音対策制御は、本実施例では、説明を単純化するために、イニシャルチェックが終了するまでは行われないこととする。さらに、本実施例の車両においては、制動時にモータジェネレータ26,34を発電機として作動させ、走行エネルギを回収する回生制動が行われ、その際、エンジン10は作動させられないか、あるいはエンジンブレーキとして利用されるが、ここでは単純化のために回生制動についての説明および騒音対策制御との関連についての説明は省略する。
マスタカット弁96,98,シミュレータ連通弁100およびポンプ装置122の各作動音は、イニシャルチェック時に限らず、通常走行時にも乗員に違和感を覚えさせることがある。そのため、通常走行時には、騒音対策制御コンピュータ190により図6および図7に示す騒音対策制御ルーチンが実行される。
図6に示すフローチャートに基づいて通常走行時弁用騒音対策制御を説明する。
通常走行時弁用騒音対策制御ルーチンは、本実施例では、エンジン回転数が設定回転数以上であること、フロントモータジェネレータ26のモータ回転数が設定回転数以上であること、および車両走行速度が設定速度以上であることの少なくとも一つの条件が満たされる場合に弁96〜100の作動が許可されるように構成されている。フロントモータジェネレータ26はエンジン10と同様に、ハイブリッド車において作動し、作動音を発するのが当たり前の装置であり、その作動音が乗員に違和感を覚えさせることはなく、本車両では、回転数が多いほど作動音が大きくなり、弁96〜100の作動音を紛らすことができるからである。また、車両の走行に伴って走行音が発生するが、この走行音も乗員に違和感を覚えさせることがなく、走行速度が大きくなるほど走行音が大きくなる。走行速度が設定速度以上であれば、エンジン10およびフロントモータジェネレータ26が、車両を設定速度以上で走行させる状態で回転していると言うことができる。
そのため、S31,S32およびS33においてそれぞれ、エンジン回転数が設定回転数以上であるか否かが判定され、モータ回転数が設定回転数以上であるか否かが判定され、車両走行速度が設定速度以上であるか否かが判定される。エンジン回転数およびモータ回転数(ここではフロントモータジェネレータ26の回転数)は、ハイブリッド制御コンピュータ22から得られ、車両走行速度はブレーキ制御コンピュータ62から得られる。ハイブリッド制御コンピュータ22では、運転者のアクセル操作量等に応じて車両が走行させられるようにエンジン10やモータジェネレータ26,34の駆動力を設定しており、、エンジン回転数およびモータ回転数が得られる。
エンジン回転数,モータ回転数がいずれも設定回転数より小さく、車両走行速度が設定速度より小さいのであれば、S31,S32,S33の判定結果がいずれもNOになってS34が実行され、マスタカット弁96,98およびシミュレータ連通弁100の各作動が禁止される。本実施例では、弁作動許可・禁止設定フラグがOFFにリセットされることにより作動禁止が記憶される。弁作動許可・禁止設定フラグは、イグニッションスイッチがOFF状態に切り換えられる際にOFFにされ、初期状態ではOFFである。なお、弁作動許可・禁止設定フラグは、ブレーキ制御コンピュータ62に設け、騒音対策制御コンピュータ190からの作動許可・禁止設定信号に基づいてセット,リセットされるようにしてもよい。後述するポンプ装置作動許可・禁止設定フラグについても同様である。
エンジン回転数が設定回転数以上であること、モータ回転数が設定回転数以上であることおよび車両走行速度が設定速度以上であることの少なくとも一つの条件が満たされれば、S31ないしS33のいずれかの判定結果がYESになってS35が実行され、マスタカット弁96,98およびシミュレータ連通弁100の作動が許可される。ここでは、弁作動許可・禁止設定フラグがONにセットされることにより作動許可が記憶される。
図7に示すフローチャートに基づいて通常走行時ポンプ装置用騒音対策制御を説明する。前述のように、ポンプ装置122は、アキュムレータ圧の高さに応じて作動,停止させられるが、その作動時に音が発生するため、本実施例においては、エンジン10が作動している状態においてポンプ装置122が作動させられ、その作動音が乗員に聞こえないようにされる。本実施例においては、ポンプ装置122の作動の必要が生じたときにエンジン10が必要上、作動させられていれば、その作動と並行してポンプ装置122が作動させられ、エンジン10が作動させられていないのであれば、作動させて、その作動中にポンプ装置122を作動させ、ポンプ装置122の作動終了後、エンジン10を停止させることができるようにされている。ポンプ装置122については、騒音対策の下に、ポンプ装置122の作動の機会が創出され、作動が必要な場合に、必要なだけ作動し得るようにされているのである。
通常走行時ポンプ装置用騒音対策制御ルーチンのS51においては、アキュムレータ圧が下限値より小さいか否かが判定される。アキュムレータ圧は、前記液圧センサ150により検出され、ハイブリッド制御コンピュータ22を介してブレーキ制御コンピュータ62から得られる。アキュムレータ圧が下限値より小さいのであれば、S51の判定結果はYESになってS52が実行され、エンジン10が前記必要作動状態にあるか否かが判定される。この判定はハイブリッド制御コンピュータ22からの情報に基づいて行われ、エンジン10が車両の駆動等、必要上、作動させられているのであれば、S52の判定結果がYESになり、S53がバイパスされてS54が実行され、ポンプ装置122の作動が許可される。本実施例では、ポンプ装置作動許可・禁止設定フラグがONにセットされて、ポンプ装置122の作動が許可されていることが記憶される。
アキュムレータ圧が下限値より小さく、エンジン10が必要作動状態にないのであれば、S52の判定結果はNOになってS53が実行され、車両を駆動しないエンジン10の作動指令であって、ポンプ装置122の作動のためにエンジン10を作動させる旨の指令がハイブリッド制御コンピュータ22およびエンジン制御コンピュータ58に出力される。それによりエンジン10が作動させられるとともに、動力切換機構30がエンジン10の駆動力を無段変速機28に伝達しないようにされる。そして、S54が実行される。
アキュムレータ圧が上昇し、下限値以上になれば、S51の判定結果がNOになってS55が実行され、アキュムレータ圧が上限値より大きいか否かが判定される。アキュムレータ圧が上限値以下であれば、S55の判定結果がNOになってS58が実行され、ポンプ装置122の作動が許可されているか否かが判定される。ポンプ装置作動許可・禁止設定フラグがセットされているか否かが判定されるのである。ポンプ装置122の作動が許可されていれば、S58の判定結果はYESになってS52以下のステップが実行される。アキュムレータ圧が下限値より小さく、ポンプ装置122の作動が許可され、その作動によりアキュムレータ圧が下限値以上となった状態では、S52以下のステップが実行されるのである。ポンプ装置122が作動を開始させられたとき、エンジン10が必要作動状態にあったが、アキュムレータ圧が上限値を超える前に作動の必要がなくなれば、S52の判定結果がNOになってS53が実行され、ポンプ装置122の作動中はエンジン10が作動するようにされる。ポンプ装置122の作動開始時にエンジン10が必要作動状態になく、ポンプ装置122の作動のためにエンジン10が作動を開始させられたが、アキュムレータ圧が上限値を超える前に、車両走行上、エンジン10の作動が必要になった場合には、エンジン10はその必要に応じて作動させられてS52の判定結果がYESになる。この場合には、エンジン10が作動させられており、S53を実行してエンジン作動指令を出力することは不要であり、S53がバイパスされる。いずれにしても、アキュムレータ圧が上限値を超えるまでの間は、エンジン10が作動状態にある。なお、S54は、ポンプ装置122の作動が許可されていない状態においてのみ行われるようにしてもよい。S54の実行前に、ポンプ装置122の作動が許可されているか否かを判定するステップを設けるのである。
アキュムレータ圧が上限値を超えれば、S55の判定結果がYESになってS56が実行され、エンジン停止許可がハイブリッド制御コンピュータ22およびエンジン制御コンピュータ58に出力される。それにより、エンジン10が必要作動状態にあるのでなければ停止させられ、必要作動状態にあれば、そのまま作動が続けられる。次いでS57が実行され、ポンプ装置122の作動が禁止される。本実施例では、ポンプ装置作動許可・禁止設定フラグがOFFにリセットされてポンプモータ作動禁止が記憶される。それにより、ポンプ装置122は、次に作動許可が出力されるまで起動されないが、アキュムレータ圧が低下した場合には、直ちにエンジン作動状態が創られ、あるいはエンジン10の作動状態において起動され、蓄圧が行われる。S56,S57は、ポンプ装置122の作動が許可されている場合のみに行われるようにしてもよい。S55の判定結果がYESになった後、S56の実行前に、ポンプ装置122の作動が許可されているか否かを判定するステップを設けるのである。なお、アキュムレータ圧が下限値以上であって、上限値より小さく、かつ、ポンプ装置122が作動させられていない状態で通常走行時ポンプ装置用騒音対策制御ルーチンが実行されるときには、S51,S55の各判定結果がいずれもNOになってS58が実行されるが、この場合にはポンプ装置作動許可・禁止設定フラグはOFFにリセットされており、S58の判定結果がNOになってルーチンの実行が終了する。
このように設定された車両走行時におけるマスタカット弁96,98,シミュレータ連通弁100およびポンプ装置122の作動許可,禁止に基づいて、ブレーキ制御コンピュータ62は弁96〜100およびポンプ装置122を作動させる。弁96〜100の作動は、図8に示すブレーキ制御ルーチンに基づいて制御される。ブレーキ制御ルーチンのS71においては、ブレーキペダル72が踏み込まれたか否かが判定される。ブレーキペダル72が踏み込まれていなければ、S71の判定結果がNOになってS75が実行され、マスタカット弁96,98が閉じられるとともに、シミュレータ連通弁100が開かれているか否かが判定される。ブレーキペダル72の踏込みが解除されたとき、ブレーキシリンダ圧の電気制御が行われていたか否かが判定されるのである。S75の判定は、作動検出装置178〜180の検出信号に基づいて行われてもよく、弁96〜100の開閉を制御する制御指令の内容に基づいて行われてもよい。制動がマニュアルで行われていて、マスタカット弁96,98が開かれるとともにシミュレータ連通弁100が閉じられているのであれば、S75の判定結果がNOになってルーチンの実行が終了する。
ブレーキペダル72が踏み込まれれば、S71の判定結果がYESになってS72が実行され、マスタカット弁96,98およびシミュレータ連通弁100の作動が許可されているか否かが判定される。この判定は、騒音対策制御コンピュータ190において弁作動許可・禁止設定フラグがセットされているか否かにより行われ、許可されていれば、S72の判定結果がYESになってS74が実行され、ブレーキ制御が行われる。このブレーキ制御には、増圧弁130〜136および減圧弁140〜146への供給電流の制御によるブレーキシリンダ圧の制御,マスタカット弁96,98を閉じることおよびシミュレータ連通弁100を開くことが含まれ、マスタカット弁96,98が閉じられるとともに、シミュレータ連通弁100が開かれ、ブレーキシリンダ圧が動力液圧源116の液圧に基づいて電気的に制御されるとともに、ストロークシミュレータ94の作用により運転者に操作感が付与される。弁96〜100は作動が許可されており、その開閉音はエンジン10の作動音等により紛らわされ、乗員が違和感を覚えることが回避される。
ブレーキペダル72が踏み込まれ、車輪の回転が抑制されている間に弁作動が禁止されれば、S71の判定結果がYES、S72の判定結果がNOになってS73が実行され、マスタカット弁96,98が閉じられ、シミュレータ連通弁100が開かれているか否かが判定される。マスタカット弁96,98が閉じられ、シミュレータ連通弁100が開かれていれば、S73の判定結果はYESになってS74が実行される。弁作動が禁止されても、弁は既に作動させられており、ブレーキ制御を行うことができるからである。また、弁作動が禁止されている状態でブレーキペダル72が踏み込まれれば、S73が実行されるが、この場合、マスタカット弁96,98が開かれ、シミュレータ連通弁100が閉じられているため、S73の判定結果がNOになってルーチンの実行は終了し、ブレーキシリンダ圧の電気制御は行われない。この際、運転者によるブレーキペダル72の踏込みに基づくマニュアルの制動が行われる。
ブレーキペダル72が踏み込まれ、ブレーキシリンダ圧の電気制御が開始された後、ブレーキペダル72の踏込みが解除されれば、S71の判定結果がNOになってS75が実行される。この場合、マスタカット弁96,98が閉じられ、シミュレータ連通弁100が開かれているため、S75の判定結果がYESになってS76が実行され、弁96〜100の作動が許可されているか否かが判定される。作動が許可されていれば、S77が実行され、弁96〜100をソレノイドが消磁されたノーマル状態に戻す処理を含めてブレーキ制御終了処理が行われる。マスタカット弁96,98が開かれ、シミュレータ連通弁100が閉じられるとともに、増圧弁130〜136が閉じられ、常閉の減圧弁140,142が閉じられ、常開の減圧弁144,146が開かれる。
また、弁作動が禁止されていれば、S76の判定結果がNOになってS78が実行される。S78においてもブレーキ制御終了処理が行われるが、弁作動が禁止されているため、マスタカット弁96,98およびシミュレータ連通弁100をノーマル状態に戻す処理は行われない。マスタカット弁96,98は閉じられたままとされ、シミュレータ連通弁100は開かれたままとされるのであり、その開閉により作動音が生じて乗員に違和感を覚えさせることがない。この状態でブレーキペダル72が踏み込まれた場合、弁作動が許可されていてもいなくても、S73の判定結果がYESとなることにより、S74が実行される。なお、S78においてはマスタカット弁96,98が開かれず、閉じたままとされるため、左右前輪44,46のブレーキシリンダ78,80のブレーキ液は減圧弁140,142を通ってリザーバ102に戻される。減圧弁140,142は常閉のリニア液圧制御弁であり、ブレーキシリンダ圧が0になるまで電流が供給され、開状態に保たれる。
ブレーキ制御コンピュータ62においてはまた、図9に示すポンプ装置制御ルーチンが実行され、ポンプ装置122が作動させられる。まず、S91においてポンプ装置122の作動が許可されているか否かが判定される。この判定は、ポンプ装置作動許可・禁止設定フラグがONにされているか否かにより行われる。ポンプ装置122の作動が許可されていなければ、S91の判定結果がNOになってルーチンの実行は終了する。
ポンプ装置122の作動が許可されていれば、S91の判定結果がYESになってS92が実行され、ポンプ装置122が現に作動させられているか否かが判定される。この判定はポンプ装置作動フラグがONにセットされているか否かにより行われ、作動させられていなければ、S92の判定結果がNOになってS93が実行され、アキュムレータ圧が下限値より小さいか否かが判定される。下限値より小さいのであれば、S93の判定結果がYESになってS94が実行され、ポンプ装置122が作動させられ、S95においてポンプ装置作動フラグがONにセットされる。そのため、次にS92が実行されるとき、その判定結果がYESになってS96が実行され、アキュムレータ圧が上限値より大きいか否かが判定される。ポンプ装置122の作動によりアキュムレータ圧が上昇するが、まだ上限値に達していないのであれば、S96の判定結果はNOになってルーチンの実行は終了する。
アキュムレータ圧が上限値より高くなれば、S96の判定結果がYESになってS97が実行され、ポンプ装置122が停止させられる。また、S98においてポンプ装置作動フラグがOFFにリセットされる。先に通常走行時ポンプ装置用騒音対策制御ルーチンにおいて説明したように、アキュムレータ圧が下限値より低く、ポンプ装置122を作動させなければならない場合には、エンジン10が、その必要上、あるいは騒音対策のために作動状態にあってポンプ装置122の作動が許可され、アキュムレータ圧が上限値を超えるまで作動が許可され続けるようにされているため、作動途中においてポンプ装置122の作動が禁止されることはなく、ポンプ装置122の作動音がエンジン10の作動音によって紛らわされ、乗員に違和感を覚えさせることなく、アキュムレータ圧が高められる。エンジン10の作動音はフロンモータジェネレータ26の作動音より大きく、車両がモータ駆動により走行させられ、エンジン駆動により走行させられる場合より暗騒音が小さい状態で走行している場合でもエンジン10を作動させることにより、フロントモータジェネレータ26の作動による場合より大きい暗騒音が発生させられ、ポンプモータ118やポンプ110の作動音が乗員に聞こえなくされる。
以上の説明から明らかなように、本実施例においては、騒音対策制御コンピュータ190のS3,S14を実行する部分およびブレーキ制御コンピュータ62のS22,S23を実行する部分がイニシャルチェック用待機型制御部を構成し、第一作動装置がマスタカット弁96,98およびシミュレータ連通弁100を含み、第二作動装置がエンジン10を含み、そのエンジン10が作動させられることが第一設定条件である。
また、騒音対策制御コンピュータ190のS5ないしS7,S9を実行する部分およびブレーキ制御コンピュータ62のS22,S23を実行する部分がイニシャルチェック用機会創出型制御部を構成し、第一作動装置がマスタカット弁96,98およびシミュレータ連通弁100,ポンプ装置122を含み、第二作動装置がエンジン10を含み、そのエンジン10が作動させられることが第二設定条件である。
さらに、騒音対策制御コンピュータ190のS31ないしS33,S35を実行する部分およびブレーキ制御コンピュータ62のS72,S74を実行する部分が通常走行時用待機型制御部(シミュレータ連通弁100を作動させる手段を含む)を構成し、第一作動装置がマスタカット弁96,98およびシミュレータ連通弁100を含み、第二作動装置がエンジン10およびフロントモータジェネレータ26を含み、エンジン10およびフロントモータジェネレータ26がそれぞれ、設定回転数以上で回転すること、あるいは車両を設定速度以上で走行させる状態で回転することが第一設定条件である。
また、騒音対策制御コンピュータ190のS53,S54を実行する部分およびブレーキ制御コンピュータ62のS91,S94を実行する部分が通常走行時用機会創出型制御部を構成し、第一作動装置がポンプ装置122を含み、第二作動装置がエンジン10を含み、エンジン10が作動させられることが第二設定条件である。
さらに、本実施例においては、騒音対策装置は上記イニシャルチェック用待機型制御部,イニシャルチェック用機会創出型制御部,通常走行時用待機型制御部,通常走行時用機会創出型制御部を含み、イニシャルチェック装置は、ブレーキ制御コンピュータ62のS23を実行する部分を含むイニシャルチェック部を有する騒音対策装置を備えている。
また、本車両は、車輪速センサ170〜176およびブレーキ制御コンピュータ62の車速演算部を含む車速検出部,エンジン回転数取得部およびモータ回転数取得部を備えている。駆動回路がコンピュータと共同して制御部を構成すると考えることもできる。
なお、上記実施例においてマスタカット弁96,98等が正常に作動するか否かのチェックは、イグニッションスイッチがON状態に切り換えられた後、1回のみ行われるようにされていたが、複数回行われるようにしてもよい。この場合、2回目以降の作動チェックも1回目の作動チェックと同様に行うことができるが、この作動チェックは異常診断であり、車両は騒音対策装置を備えた異常診断装置を有することとなる。
また、ポンプモータ118が、圧力スイッチの信号に基づいてコンピュータにより制御され、アキュムレータ112の液圧が一定範囲に維持されるようにしてもよい。圧力スイッチは、アキュムレータ112の液圧が下限値より低くなった状態および上限値を超えた状態においてそれぞれ信号を発し、コンピュータに入力されるようにされる。
さらに、液圧ブレーキ装置のブレーキシリンダ圧を電気的に制御する液圧制御弁も、本請求可能発明に係る車両の騒音対策装置の第一作動装置とすることができる。待機型制御部により制御される第一作動装置とすることも、機会創出型制御部の第一作動装置とすることもでき、イニシャルチェック時に作動音が乗員に違和感を覚えさせることがないようにすることも、通常走行時に作動音が乗員に違和感を覚えさせることがないようにすることもできる。ブレーキシリンダ圧が電気的に制御される場合、液圧制御弁として、例えば、増圧用のリニア液圧制御弁,減圧用のリニア液圧制御弁が設けられ、あるいは電磁方向切換弁が設けられ、あるいは増圧用の電磁開閉弁,減圧用の電磁開閉弁が設けられる。リニア液圧制御弁は、電磁開閉弁より作動音が小さいことが多い。
また、イニシャルチェック用機会創出型制御部は、第三設定条件を設けることなく(第三設定条件が満たされなくても)、エンジンを作動させ、ポンプ装置と制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのために作動させる制御部とすることもできる。この場合、機会創出型のイニシャルチェック時の騒音対策制御は、例えば、図4に示すイニシャルチェック用騒音対策制御ルーチンのS1,S2,S3,S14,S16(S3の判定結果がYESの場合、S14,S16が実行されるようにする),S7〜S12(S3の判定結果がNOの場合、S7〜エS12が実行されるようにする)を含むルーチンの実行により行うことができる。また、イニシャルチェック用待機型制御部は、待機中に第三設定条件が満たされた場合にエンジン等を作動させるイニシャルチェック用機会創出型制御部と組み合わせることなく、エンジンの作動を待ってポンプ装置と制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのためにを作動させる制御部とすることができる。この場合、待機型のイニシャルチェック時の騒音対策制御は、例えば、図4に示すイニシャルチェック用騒音対策制御ルーチンのS1〜S4,S10〜S18を含むルーチンの実行により行うことができる。この場合、S4の判定結果がNOの場合、ルーチンの実行は終了する。また、一旦、イニシャルチェックが開始された後、エンジンの作動が停止することがあれば、イニシャルチェックのためにエンジンを作動させるのであるが(S4,S17,S18)、この作動は、イニシャルチェックの機会創出と考えることもでき、一旦、開始されたイニシャルチェックを続行するための処理であって、待機型制御部の制御の一部と考えることもできる。
さらに、騒音対策制御は、騒音対策制御以外の目的で車両に設けられている制御コンピュータ、例えば、ハイブリッド制御コンピュータやブレーキ制御コンピュータに行わせてもよい。この場合、複数のコンピュータに分担して騒音対策制御を行わせてもよく、1つに行わせてもよい。
また、第一作動装置はマスタカット弁等の液圧ブレーキ装置の構成要素以外の作動装置でもよく、第二作動装置はエンジン等のハイブリッドシステムの構成要素以外の作動装置でもよい。例えば、バックミラーが電動格納式であり、駆動装置の駆動により自動的に格納位置と使用位置とに移動させられ、開閉させられる場合、その開閉時に作動音が発生する。そのため、例えば、電動格納式のバックミラー装置を第二作動装置とし、マスタカット弁等のイニシャルチェック時に作動させてもよく、あるいは第一作動装置とし、第二作動装置(例えば、エンジン)の作動時に作動させてもよい。電動格納式のバックミラー装置は、待機型制御部および機会創出型制御部のいずれの第一作動装置とすることもでき、第二作動装置とすることもできるのである。
さらに、本請求可能発明は、ハイブリッド車以外の車両、例えば、エンジンのみを駆動源とするエンジン車や電動モータのみを駆動源とする電動モータ車にも適用することができる。
請求可能発明の実施例である騒音対策装置付ハイブリッド車を概略的に示す図である。 上記ハイブリッド車の液圧ブレーキ装置を示す回路図である。 上記液圧ブレーキ装置のブレーキ制御コンピュータ,上記騒音対策装置の騒音対策制御コンピュータ,当該ハイブリッド車のハイブリッドシステムのハイブリッド制御コンピュータ等の関係を示すブロック図である。 上記騒音対策制御コンピュータのROMに記憶されたイニシャルチェック用騒音対策制御ルーチンを示すフローチャートである。 上記ブレーキ制御コンピュータのROMに記憶されたイニシャルチェック制御ルーチンを示すフローチャートである。 上記騒音対策制御コンピュータのROMに記憶された通常走行時弁用騒音対策制御ルーチンを示すフローチャートである。 上記騒音対策制御コンピュータのROMに記憶された通常走行時ポンプ装置用騒音対策制御ルーチンを示すフローチャートである。 上記ブレーキ制御コンピュータのROMに記憶されたブレーキ制御ルーチンを示すフローチャートである。 上記ブレーキ制御コンピュータのROMに記憶されたポンプ装置制御ルーチンを示すフローチャートである。 上記液圧ブレーキ装置のマスタカット弁,シミュレータ連通弁およびポンプ装置のイニシャルチェック実行タイミングを説明するタイムチャートである。
符号の説明
10:エンジン 26:フロントモータジェネレータ 74:マスタシリンダ 78,80,82,84:ブレーキシリンダ 94:ストロークシミュレータ 96,98:マスタカット弁 100:シミュレータ連通弁 110:ポンプ 112:アキュムレータ 118:ポンプモータ 190:騒音対策制御コンピュータ

Claims (7)

  1. それぞれ作動時に音を発する第一作動装置および第二作動装置を備えた車両であって、 (a)前記第一作動装置を作動させる必要性が発生しているにもかかわらず作動させず、前記第二作動装置の第一設定条件を満たす状態の作動を待って作動させる待機型制御部と、 (b)前記第二作動装置を第二設定条件を満たす状態で作動させる必要がないにもかかわらず前記第二設定条件を満たす状態で作動させ、その作動中に前記第一作動装置を作動させる機会創出型制御部との少なくとも一方を有する騒音対策装置を備えたことを特徴とする騒音対策装置付車両。
  2. 当該車両が、エンジンと車両駆動モータとにより選択的に駆動されるハイブリッド車であり、当該車両の運転開始当初に、前記第一作動装置が正常に作動するか否かをチェックするイニシャルチェック装置を備え、前記第二作動装置が少なくとも前記エンジンを含み、前記騒音対策装置が、前記イニシャルチェック装置の構成要素であり、前記第一作動装置が、液圧ブレーキ装置の、アキュムレータ畜圧用のポンプとそのポンプを駆動するポンプモータとを含むポンプ装置と、作動液の流れを制御する制御弁との少なくとも一方を含み、前記待機型制御部が、前記エンジンの前記第一設定条件を満たす状態の作動を待って前記ポンプ装置と前記制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのために作動させるイニシャルチェック用待機型制御部を含むものである請求項1に記載の騒音対策装置付車両。
  3. 前記機会創出型制御部が、前記エンジンを前記第二設定条件を満たす状態で作動させ、そのエンジンの作動中に前記ポンプ装置と前記制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのために作動させるイニシャルチェック用機会創出型制御部を含む請求項1または2に記載の騒音対策装置付車両。
  4. 当該車両が、エンジンと車両駆動モータとにより選択的に駆動されるハイブリッド車であり、当該車両の運転開始当初に、前記第一作動装置が正常に作動するか否かをチェックするイニシャルチェック装置を備え、前記第二作動装置が少なくとも前記エンジンを含み、前記騒音対策装置が、前記イニシャルチェック装置の構成要素であり、前記第一作動装置が、液圧ブレーキ装置の、アキュムレータ畜圧用のポンプとそのポンプを駆動するポンプモータとを含むポンプ装置と、作動液の流れを制御する制御弁との少なくとも一方を含み、前記待機型制御部が、前記エンジンの前記第一設定条件を満たす状態の作動を待って前記ポンプ装置と前記制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのために作動させるイニシャルチェック用待機型制御部を含み、前記機会創出型制御部が、前記イニシャルチェック用待機型制御部による待機中に第三設定条件が満たされた場合に、前記エンジンを前記第二設定条件を満たす状態で作動させ、そのエンジンの作動中に前記ポンプ装置と前記制御弁との少なくとも一方をイニシャルチェックのために作動させるイニシャルチェック用機会創出型制御部を含む請求項1に記載の騒音対策装置付車両。
  5. 前記第一作動装置が、液圧ブレーキ装置のマスタシリンダとブレーキシリンダとを接続する液通路の途中に設けられて前記マスタシリンダを前記ブレーキシリンダから遮断するマスタカット弁を含み、前記第二作動装置が当該車両を駆動するエンジンを含み、前記待機型制御部が、そのエンジンが設定回転数以上で回転することと、当該車両を設定速度以上で走行させる状態で回転することとの少なくとも一方を、前記第一設定条件を満たす状態の作動として、前記マスタカット弁を作動させる通常走行時用待機型制御部を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の騒音対策装置付車両。
  6. 当該車両がエンジンと車両駆動モータとにより選択的に駆動されるハイブリッド車であり、前記第一作動装置が、液圧ブレーキ装置のマスタシリンダとブレーキシリンダとを接続する液通路の途中に設けられて前記マスタシリンダを前記ブレーキシリンダから遮断するマスタカット弁を含み、前記第二作動装置が前記車両駆動モータを含み、前記待機型制御部が、その車両駆動モータが設定回転数以上で回転することと、当該車両を設定速度以上で走行させる状態で回転することとの少なくとも一方を、前記第一設定条件を満たす状態の作動として、前記マスタカット弁を作動させる通常走行時用待機型制御部を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の騒音対策装置付車両。
  7. 当該車両がエンジンと車両駆動モータとにより選択的に駆動されるハイブリッド車であり、前記第一作動装置が、液圧ブレーキ装置のアキュムレータに畜圧するポンプとそのポンプを駆動するポンプモータとを含むポンプ装置を含み、前記第二作動装置が前記エンジンと前記車両駆動モータとの少なくとも一方を含み、前記機会創出型制御部が、当該車両が前記エンジンと前記車両駆動モータとの一方の駆動により暗騒音が小さい状態で走行している場合に、他方をその暗騒音より大きい音を発生させる状態で作動させ、その他方の作動中に前記ポンプ装置を作動させるものである請求項1ないし6のいずれかに記載の騒音対策装置付車両。
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