JP2005293821A - 情報記録媒体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザビームの照射または電流の印加によって結晶相と非晶質相との間で相変化を起こす記録層と、誘電体層を少なくとも備えた情報記録媒体において、誘電体層が少なくともC、Si、SnおよびOを含む。また、少なくとも二つの情報層を備えた情報記録媒体において、少なくとも一つの情報層が、レーザビームの照射または電流の印加によって結晶相と非晶質相との間で相変化を起こす記録層と、誘電体層を少なくとも備え、この誘電体層が少なくともC、Si、SnおよびOを含む。
【選択図】図1
Description
反射層8は、光学的には記録層4に吸収される光量を増大させる機能を有し、熱的には記録層4で生じた熱を速やかに拡散させて急冷し、記録層4を非晶質化し易くするという機能を有する。反射層8はまた、多層膜を使用環境から保護する機能も有している。
なお、繰り返し書き換え性能を悪化させないためには、Sを含まない材料を誘電体層に用いても良く、Sを含まない材料としてSnO2をベースとする材料が一例として報告されている(例えば、特許文献3、および4参照)。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、繰り返し書き換え性能および記録感度を同時に向上した相変化形情報記録媒体を提供することを目的とする。
これらにより、相変化形情報記録媒体の繰り返し書き換え性能および記録感度が向上した情報層を得ることができる。
これにより、記録層と誘電体層との間のとの間で生じる物質移動を防止することができる。
本発明の情報記録媒体において、誘電体層の膜厚が、2nm以上75nm以下であることが好ましい。さらには、2nm以上40nm以下であることが好ましい。
本発明の情報記録媒体において、記録層は、Sb、BiおよびSnから選ばれる少なくとも一つの元素とGeとTeを含んでもよい。また、記録層が、(Ge−Sn)Te、GeTe−Sb2Te3、(Ge−Sn)Te−Sb2Te3、GeTe−Bi2Te3、(Ge−Sn)Te−Bi2Te3、GeTe−(Sb−Bi)2Te3および(Ge−Sn)Te−(Sb−Bi)2Te3のいずれかで表されてもよい。
本発明の情報記録媒体において、界面層は、Zr、Hf、YおよびSiから選ばれる少なくとも一つの元素と、GaおよびCrから選ばれる少なくとも一つの元素と、Oを含んでもよい。 また、界面層は、ZrO2、HfO2、Y2O3およびSiO2から選ばれる少なくとも一つの酸化物と、Ga2O3およびCr2O3から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含んでもよい。
また、界面層の膜厚は、0.5nm以上15nm以下であることが好ましい。さらには、1nm以上7nm以下であることが好ましい。
また、上記従来の課題を解決するために、本発明の情報記録媒体の製造方法は、相変化を起こす記録層を成膜する工程と、誘電体層を成膜する工程を少なくとも含み、誘電体層を成膜する工程において、少なくともC、Si、SnおよびOを含むスパッタリングターゲットを用いることを特徴とする。
また、本発明の情報記録媒体の製造方法において、記録層を成膜する工程と誘電体層を成膜する工程との間に、界面層を成膜する工程をさらに備えてもよい。
本発明の情報記録媒体の製造方法において、誘電体層を成膜する工程で用いるスパッタリングターゲットが、組成式CgSihSniO100-g-h-i(但し、0<g<30、0<h<30、15<i<40(原子%))と表されてもよい。
また、本発明の情報記録媒体の製造方法において、誘電体層を成膜する工程で用いるスパッタリングターゲットが、さらにTi、Zr、Hf、Y、Zn、Nb、Ta、Al、Bi、Cr、Ga、GeおよびLaから選ばれる少なくとも一つの元素を含んでもよい。
これらにより、繰り返し書き換え性能および記録感度が向上した相変化形情報記録媒体を作製できる。
これにより、相変化形情報記録媒体をより高精度に作製できる。
上記従来の課題を解決するために、本発明の情報記録媒体は、光の照射または電気エネルギーの印加によって、記録および/または再生が行われ、SnおよびGaから成る群GMより選ばれる少なくとも一つの元素と、Si、TaおよびTiから成る群GLより選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素(O)と、炭素(C)とを含む誘電体層を有する。
本発明の情報記録媒体において、誘電体層の組成は、組成式 MHOILJCK(原子%)(式中、Mは前記群GMより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、Lは前記群GLより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、H、I、JおよびKは、10≦H≦40、35≦I≦70、0<J≦30、0<K≦30、H+I+J+K=100を満たす。)と表されてもよい。
これらにより、繰り返し書き換え性能および記録感度が向上した相変化形情報記録媒体を作製できる。
さらには、記録層の膜厚が、15nm以下であることが好ましい。
これにより、情報の書き換えに支障をきたすことがなくなる。
本発明の情報記録媒体の製造方法は、情報記録媒体が誘電体層を有し、誘電体層が、SnおよびGaから成る群GMより選ばれる少なくとも一つの元素と、Si、TaおよびTiから成る群GLより選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素(O)と、炭素(C)とを含むスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法で形成されることを特徴とする。
これらにより、繰り返し書き換え性能および記録感度が向上した相変化形情報記録媒体を作製できる。
スパッタリングターゲットは、組成式 (D)x(B)100-x(mol%)(式中、DはSnO2およびGa2O3から選択される少なくとも一つの酸化物を示し、BはSiC、TaCおよびTiCから選択される少なくとも一つの炭化物を示し、xは、50≦x≦95を満たす。)で表される材料を含んでもよい。上記DがSnO2で表される材料を含む、あるいは、DとしてSnO2とGa2O3とで表される材料を含むことが好ましい。
これらにより、繰り返し書き換え性能および記録感度が向上した相変化形情報記録媒体を作製できる。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態1の情報記録媒体15の一部断面図を図1に示す。情報記録媒体15は、レーザビーム11の照射によって情報の記録再生が可能な光学的情報記録媒体である。
基板14の情報層16側の表面には、必要に応じてレーザビームを導くための案内溝が形成されていてもよい。基板14の情報層16側と反対側の表面は、平滑であることが好ましい。基板14の材料としては、転写性・量産性に優れ、低コストであることから、ポリカーボネートが特に有用である。なお、基板14の厚さは、十分な強度があり、かつ情報記録媒体15の厚さが1.2mm程度となるよう、0.5mm〜1.2mmの範囲内であることが好ましい。なお、透明層13の厚さが0.6mm程度(NA=0.6で良好な記録再生が可能)の場合、5.5mm〜6.5mmの範囲内であることが好ましい。また、透明層13の厚さが0.1mm程度(NA=0.85で良好な記録再生が可能)の場合、1.05mm〜1.15mmの範囲内であることが好ましい。
情報層16は、レーザビーム11の入射側から順に配置された第1誘電体層102、第1界面層103、記録層104、第2界面層105、第2誘電体層106、および反射層108を備える。
第1界面層103は、繰り返し記録によって第1誘電体層102と記録層104との間で生じる物質移動を防止する働きがある。第1界面層103は、光の吸収が少なく記録の際に溶けない高融点な材料で、かつ、記録層104との密着性が良い材料であることが好ましい。記録の際に溶けない高融点な材料であることは、高パワーのレーザビーム11を照射した際に、溶けて記録層104に混入しないために必要な特性である。第1界面層103の材料が混入すると、記録層104の組成が変わり、書き換え性能が著しく低下する。また、記録層104と密着性が良い材料であることは、信頼性確保に必要な特性である。
また、第1界面層103には、CrとO、またはGaとOの他に、M1(但し、M1はZr、Hfの少なくともいずれか一つの元素)をさらに含んでもよい。ZrO2およびHfO2は、透明で融点が約2700〜2800℃と高く、かつ酸化物の中では熱伝導率が低い材料で、繰り返し書き換え性能が良い。この2種類の酸化物を混合することによって、記録層104と部分的に接して形成しても、繰り返し書き換え性能に優れ、信頼性の高い情報記録媒体15が実現できる。
第2界面層105は、第1界面層103と同様に、繰り返し記録によって第2誘電体層106と記録層104との間で生じる物質移動を防止する働きがある。第2界面層105には、第1誘電体層102と同様の系の材料を用いることができる。その中でも、特にGaとOを含む材料を用いることが好ましい。その中でも、GaとOがGa2O3を形成した酸化物を含むことが好ましい。また、第2界面層105には、特にCrとOを含む材料を用いることもできる。その中でも、CrとOがCr2O3を形成した酸化物を含むことが好ましい。また、CrとO、またはGaとOの他に、M1をさらに含んでもよいし、Cr、M1、O、またはGa、M1、Oの他にさらにSiを含む材料を用いても良い。第2界面層105は第1界面層103より密着性が悪い傾向にあるため、Cr2O3−M1O2中、Ga2O3−M1O2中、SiO2−Cr2O3−M1O2中またはSiO2−Ga2O3−M1O2中のCr2O3またはGa2O3の含有量は第1界面層103のそれより多い20mol%以上であることが好ましい。
第2誘電体層106には、第1誘電体層102と同様の系の材料を用いることができる。その中でも、特にC、Si、SnおよびOを含む材料を用いることが好ましい。その中でも、SnとOがSnO2を形成し、SiとCがSiCを形成した化合物を含むことが好ましい。SnO2とSiCの混合物であるSnO2−SiCは、熱伝導率が低くかつSを含まない材料であるため、第2誘電体層106として優れた材料であり、もちろん第1誘電体層102としても使用可能である。なお、第2誘電体層106の組成を、組成式CdSieSnfO100-d-e-f(原子%)と表した場合、d、eおよびfはそれぞれ、0<d<25、0<e<25、15<f<40の範囲にあることが好ましく、1<d<12、1<e<12、26<f<33の範囲にあることがより好ましい。また、第2誘電体層106の組成を、組成式(SnO2)100-x(SiC)x(mol%)と表した場合、xは0<x≦50の範囲にあることが好ましく、5≦x≦30の範囲にあることがより好ましい。なお、第2誘電体層106は、さらにTi、Zr、Hf、Y、Zn、Nb、Ta、Al、Bi、Cr、Ga、GeおよびLaから選ばれる少なくとも一つの元素を含んでもよく、その場合、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、SiO2、Al2O3、Bi2O3、Cr2O3、Ga2O3、Si−N、Ge−N、Cr−NおよびLaF3といった化合物を形成した状態で含まれることが好ましい。
反射層108は、記録層104に吸収される光量を増大させるという光学的な機能を有する。また、反射層108は、記録層104で生じた熱を速やかに拡散させ、記録層104を非晶質化しやすくするという熱的な機能も有する。さらに、反射層108は、使用する環境から多層膜を保護するという機能も有する。
まず、基板14(厚さが例えば1.1mm)上に情報層16を積層する。情報層は、単層膜、または多層膜からなり、それらの各層は、成膜装置内で材料となるスパッタリングターゲットを順次スパッタリングすることによって形成できる。
続いて、第2誘電体層106、または第2界面層105上に、記録層104を成膜する。記録層104は、その組成に応じて、Ge−Te−M2合金からなるスパッタリングターゲット、Ge−M3−Te−M2合金からなるスパッタリングターゲット、Sb−M4合金からなるスパッタリングターゲット、またはTe−Pd合金からなるスパッタリングターゲットを、一つの電源を用いてスパッタリングすることによって形成できる。
続いて、記録層104、または第1界面層103上に、第1誘電体層102を成膜する。第1誘電体層102は、第2誘電体層106と同様の方法で形成できる。
以上のようにして、情報記録媒体15を製造できる。なお、本実施の形態においては、各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いたが、これに限定されず真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、MBE法等を用いることも可能である。
実施の形態2では、本発明の情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態2の情報記録媒体22の一部断面図を図2に示す。情報記録媒体22は、片面からのレーザビーム11の照射によって情報の記録再生が可能な多層光学的情報記録媒体である。
光学分離層20、19、17等は、情報記録媒体22の第1情報層23、情報層18、21等のそれぞれのフォーカス位置を区別するために設ける層である。光学分離層20、19、17等の厚さは、対物レンズの開口数NAとレーザビーム11の波長λによって決定される焦点深度ΔZ以上であることが必要である。焦光点の強度の基準を無収差の場合の80%を仮定した場合、ΔZはΔZ=λ/{2(NA)2}で近似できる。λ=405nm、NA=0.85のとき、ΔZ=0.280μmとなり、±0.3μm以内は焦点深度内となる。そのため、この場合には、光学分離層20、19、17等の厚さは0.6μm以上であることが必要である。第1情報層23、情報層18、21等との間の距離は、対物レンズを用いてレーザビーム11を集光可能な範囲となるようにすることが望ましい。したがって、光学分離層20、19、17等の厚さの合計は、対物レンズが許容できる公差内(例えば50μm以下)にすることが好ましい。
この場合、片側からのレーザビーム11の照射のみにより、第K情報層(Kは1<K≦Nの自然数)を第1〜第(K−1)情報層を透過したレーザビーム11によって記録再生することが可能である。
以下、第1情報層23の構成について詳細に説明する。
第3誘電体層202には、実施の形態1の第1誘電体層102と同様の材料を用いることができる。また、それらの機能についても、実施の形態1の第1誘電体層102と同様である。
第4界面層205は、光学距離を調整して第1記録層204の光吸収効率を高める働き、および記録前後の反射光量の変化を大きくして信号強度を大きくする働きを有する。第4界面層205には、実施の形態1の第2界面層105と同様の系の材料を用いることができる。また、第4界面層205の膜厚は、0.5nm〜75nmの範囲内であることが好ましく、1nm〜40nmの範囲内であることがより好ましい。第4界面層205の膜厚をこの範囲内で選ぶことによって、第1記録層204で発生した熱を効果的に第1反射層208側に拡散させることができる。
第1記録層204の材料は、レーザビーム11の照射によって結晶相と非晶質相との間で相変化を起こす材料からなる。第1記録層204は、例えばGe、Te、M2を含む可逆的な相変化を起こす材料で形成できる。具体的には、第1記録層104は、GeaM2bTe3+aで表される材料で形成でき、非晶質相が安定で低い転送レートでの記録保存性が良好で、融点の上昇と結晶化速度の低下が少なく高い転送レートでの書き換え保存性が良好となるよう0<a≦60の関係を満たすことが望ましく、4≦a≦40の関係を満たすことがより好ましい。また、非晶質相が安定で、結晶化速度の低下が少ない1.5≦b≦7の関係を満たすことが好ましく、2≦b≦4の関係を満たすことがより好ましい。
第1反射層208は、第1記録層204に吸収される光量を増大させるという光学的な機能を有する。また、第1反射層208は、第1記録層204で生じた熱を速やかに拡散させ、第1記録層204を非晶質化しやすくするという熱的な機能も有する。さらに、第1反射層208は、使用する環境から多層膜を保護するという機能も有する。
透過率調整層209の膜厚lは、(1/32)λ/n≦l≦(3/16)λ/n又は(17/32)λ/n≦l≦(11/16)λ/nの範囲内であることが好ましく、(1/16)λ/n≦l≦(5/32)λ/n又は(9/16)λ/n≦l≦(21/32)λ/nの範囲内であることがより好ましい。なお、上記の範囲は、レーザビーム11の波長λと透過率調整層209の屈折率nとを、例えば350nm≦λ≦450nm、2.0≦n≦3.0に選ぶことによって、3nm≦l≦40nm又は60nm≦l≦130nmの範囲内であることが好ましく、7nm≦l≦30nm又は65nm≦l≦120nmの範囲内であることがより好ましいことになる。lをこの範囲内で選ぶことによって、第1情報層23の透過率TcおよびTaを共に高くすることができる。
まず、基板14(厚さが例えば1.1mm)上に(N−1)層の情報層を、光学分離層を介して順次積層する。情報層は、単層膜、または多層膜からなり、それらの各層は、成膜装置内で材料となるスパッタリングターゲットを順次スパッタリングすることによって形成できる。また、光学分離層は、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)または遅効性樹脂を情報層上に塗布して、その後基板14を回転させて樹脂を均一に延ばし(スピンコート)、樹脂を硬化させることによって形成できる。なお、光学分離層がレーザビーム11の案内溝を備える場合には、溝が形成された基板(型)を硬化前の樹脂に密着させたのち、基板14とかぶせた型を回転させてスピンコートし、樹脂を硬化させた後、基板(型)をはがすことによって案内溝を形成できる。
続いて、光学分離層17上に第1情報層23を形成する。具体的には、まず(N−1)層の情報層を、光学分離層を介して積層したのち、光学分離層17を形成した基板14を成膜装置内に配置し、光学分離層17上に透過率調整層209を成膜する。透過率調整層209は、実施の形態1の第2誘電体層106と同様の方法で形成できる。
続いて、第1反射層208上に、必要に応じて第4誘電体層206を成膜する。第4誘電体層206は、実施の形態1の第2誘電体層106と同様の方法で形成できる。
続いて、第4界面層205上に、第1記録層204を成膜する。第1記録層204は、その組成に応じたスパッタリングターゲットを用いて、実施の形態1の記録層104と同様の方法で形成できる。
続いて、第3界面層203上に、第3誘電体層202を成膜する。第3誘電体層202は、実施の形態1の第2誘電体層106と同様の方法で形成できる。
なお、第3誘電体層202を成膜したのち、または透明層13を形成したのち、必要に応じて、第1記録層204の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。第1記録層204の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態2における本発明の多層光学的情報記録媒体において、N=2、すなわち2組の情報層によって構成された情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態3の情報記録媒体24の一部断面図を図3に示す。情報記録媒体24は、片面からのレーザビーム11の照射によって情報の記録再生が可能な2層光学的情報記録媒体である。
第2情報層25は、レーザビーム11の入射側から順に配置された第1誘電体層302、第1界面層303、第2記録層304、第2界面層305、第2誘電体層306、および第2反射層308を備える。第2情報層25は、透明層13、第1情報層23、および光学分離層17を透過したレーザビーム11によって記録再生が行われる。
第1誘電体層302の膜厚は、マトリクス法に基づく計算により、第2記録層304の結晶相である場合とそれが非晶質相である場合の反射光量の変化が大きくなる条件を満足するように厳密に決定することができる。
第2界面層305には、実施の形態1の第2界面層105と同様の材料を用いることができる。また、それらの機能および形状についても、実施の形態1の第2界面層105と同様である。
第2記録層304には、実施の形態1の記録層104と同様の材料で形成することができる。第2記録層304の膜厚は、その材料が可逆的な相変化を起こす材料(例えば、GeaM2bTe3+a)の場合、第2情報層25の記録感度を高くするため、6nm〜15nmの範囲内であることが好ましい。この範囲内においても、第2記録層304が厚い場合には熱の面内方向への拡散による隣接領域への熱的影響が大きくなる。また、第2記録層304が薄い場合には第2情報層25の反射率が小さくなる。したがって、第2記録層304の膜厚は、8nm〜13nmの範囲内であることがより好ましい。また、第2記録層304に、不可逆な相変化を起こす材料(例えば、Te−Pd−O)を用いる場合は、実施の形態1と同様、第2記録層304の膜厚は10nm〜40nmの範囲内であることが好ましい。
第2反射層308と第2誘電体層306の間に、界面層307を配置してもよい。界面層307には、実施の形態1の界面層107と同様の材料を用いることができる。また、それらの機能および形状についても、実施の形態1の界面層107と同様である。
まず、第2情報層25を形成する。具体的には、まず、基板14(厚さが例えば1.1mm)を用意し、成膜装置内に配置する。
続いて、基板14上に第2反射層308を成膜する。このとき、基板14にレーザビーム11を導くための案内溝が形成されている場合には、案内溝が形成された側に第2反射層308を成膜する。第2反射層308は、実施の形態1の反射層108と同様の方法で形成できる。
続いて、第2反射層308または界面層307上に、第2誘電体層306を成膜する。第2誘電体層306は、実施の形態1の第2誘電体層106と同様の方法で形成できる。
続いて、第2誘電体層306、または第2界面層305上に、第2記録層304を成膜する。第2記録層304は、その組成に応じたスパッタリングターゲットを用いて、実施の形態1の記録層104と同様の方法で形成できる。
続いて、第2記録層304、または第1界面層303上に、第1誘電体層302を成膜する。第1誘電体層302は、実施の形態1の第2誘電体層106と同様の方法で形成できる。
続いて、第2情報層25の第1誘電体層302上に光学分離層17を形成する。光学分離層17は、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)または遅効性樹脂を第1誘電体層302上に塗布してスピンコートしたのち、樹脂を硬化させることによって形成できる。なお、光学分離層17がレーザビーム11の案内溝を備える場合には、溝が形成された基板(型)を硬化前の樹脂に密着させたのち、樹脂を硬化させ、その後、基板(型)をはがすことによって案内溝を形成できる。
続いて、光学分離層17上に第1情報層23を形成する。具体的には、まず、光学分離層17上に、透過率調整層209、第1反射層208、第4界面層205、第1記録層204、第3界面層203、および第3誘電体層202をこの順序で成膜する。このとき、必要に応じて第1反射層208と第4界面層205の間に第4誘電体層206を成膜してもよい。これらの各層は、実施の形態2で説明した方法で形成できる。
なお、第3誘電体層202を成膜したのち、または透明層13を形成したのち、必要に応じて、第1記録層204の全面を結晶化させる初期化工程を行ってもよい。第1記録層204の結晶化は、レーザビームを照射することによって行うことができる。
(実施の形態4)
実施の形態4では、本発明の情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態4の情報記録媒体29の一部断面図を図4に示す。情報記録媒体29は、実施の形態1の情報記録媒体15と同様、レーザビーム11の照射によって情報の記録再生が可能な光学的情報記録媒体である。
基板26、およびダミー基板28は、透明で円盤状の基板である。基板26、およびダミー基板28には、実施の形態1の基板14と同様に、例えば、ポリカーボネートやアモルファスポリオレフィンやPMMA等の樹脂、またはガラスを用いることができる。
情報記録媒体29は、以下に説明する方法によって製造できる。
まず、基板26(厚さが例えば0.6mm)上に、情報層16を形成する。このとき、基板26にレーザビーム11を導くための案内溝が形成されている場合には、案内溝が形成された側に情報層16を形成する。具体的には、基板26を成膜装置内に配置し、第1誘電体層102、第1界面層103、記録層104、第2界面層105、第2誘電体層106、反射層108を順次積層する。なお、必要に応じて第2誘電体層106と反射層108の間に界面層107を成膜してもよい。各層の成膜方法は、実施の形態1と同様である。
以上のようにして、情報記録媒体29を製造できる。なお、本実施の形態においては、各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いたが、これに限定されず真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、MBE法等を用いることも可能である。
実施の形態5では、本発明の情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態5の情報記録媒体31の一部断面図を図5に示す。情報記録媒体31は、実施の形態2の情報記録媒体22と同様、片面からのレーザビーム11の照射によって情報の記録再生が可能な多層光学的情報記録媒体である。
基板30は透明で円盤状の基板である。基板30には、基板14と同様に、例えば、ポリカーボネートやアモルファスポリオレフィンやPMMA等の樹脂、またはガラスを用いることができる。
情報記録媒体31は、以下に説明する方法によって製造できる。
まず、基板26(厚さが例えば0.6mm)上に、第1情報層23を形成する。このとき、基板26にレーザビーム11を導くための案内溝が形成されている場合には、案内溝が形成された側に第1情報層23を形成する。具体的には、基板26を成膜装置内に配置し、第3誘電体層202、第3界面層203、第1記録層204、第4界面層205、第1反射層208、透過率調整層209を順次積層する。なお、必要に応じて第4界面層205と第1反射層208の間に第4誘電体層206を成膜してもよい。各層の成膜方法は、実施の形態2と同様である。その後(N−2)層の情報層を、光学分離層を介して順次積層する。
最後に、情報層が積層された基板26および基板30を、接着層27を用いて貼り合わせる。具体的には、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)や遅効性樹脂等の樹脂を情報層21上に塗布して、第1情報層23を成膜した基板26を情報層21上に密着させてスピンコートしたのち、樹脂を硬化させるとよい。また、情報層21上に予め粘着性の樹脂を均一に塗布し、それを基板26に密着させることもできる。
以上のようにして、情報記録媒体31を製造できる。なお、本実施の形態においては、各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いたが、これに限定されず真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、MBE法等を用いることも可能である。
実施の形態6では、実施の形態5における本発明の多層光学的情報記録媒体において、N=2、すなわち2組の情報層によって構成された情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態6の情報記録媒体32の一部断面図を図6に示す。情報記録媒体32は、実施の形態3の情報記録媒体24と同様、片面からのレーザビーム11の照射によって情報の記録再生が可能な2層光学的情報記録媒体である。
基板30の第2反射層308側の表面には、必要に応じてレーザビームを導くための案内溝が形成されていてもよい。基板30の第2反射層308側と反対側の表面は、平滑であることが好ましい。
情報記録媒体32は、以下に説明する方法によって製造できる。
まず、基板26(厚さが例えば0.6mm)上に、実施の形態5と同様の方法により第1情報層23を形成する。
また、基板30(厚さが例えば0.6mm)上に、第2情報層25を形成する。このとき、基板30にレーザビーム11を導くための案内溝が形成されている場合には、案内溝が形成された側に第2情報層25を形成する。具体的には、基板30を成膜装置内に配置し、第2反射層308、第2誘電体層306、第2界面層305、第2記録層304、第1界面層303、第1誘電体層302を順次積層する。なお、必要に応じて第2反射層308と第2誘電体層306の間に界面層307を成膜してもよい。各層の成膜方法は、実施の形態3と同様である。
最後に、第1情報層23を積層した基板26と第2情報層25を積層した基板30を、接着層27を用いて貼り合わせる。具体的には、光硬化性樹脂(特に紫外線硬化性樹脂)や遅効性樹脂等の樹脂を第1情報層23または第2情報層25上に塗布して、基板26と基板30を密着させてスピンコートしたのち、樹脂を硬化させるとよい。また、第1情報層23または第2情報層25上に予め粘着性の樹脂を均一に塗布し、基板26と基板30を密着させることもできる。
以上のようにして、情報記録媒体32を製造できる。なお、本実施の形態においては、各層の成膜方法としてスパッタリング法を用いたが、これに限定されず真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、MBE法等を用いることも可能である。
実施の形態7では、実施の形態1、2、3、4、5、および6で説明した本発明の情報記録媒体の記録再生方法について説明する。
本発明の記録再生方法に用いられる記録再生装置38の一部の構成を図7に模式的に示す。図7を参照して、記録再生装置38は、情報記録媒体37を回転させるためのスピンドルモータ33と、半導体レーザ35、および半導体レーザ35から出射されるレーザビーム11を集光する対物レンズ34を備える光学ヘッド36を備える。情報記録媒体37は、実施の形態1、2、3、4、5、および6で説明した情報記録媒体であり、単数(例えば情報層16)、または複数の情報層(例えば第1情報層23、第2情報層25)を備える。対物レンズ34は、レーザビーム11を情報層上に集光する。
実施の形態8では、本発明の情報記録媒体の一例を説明する。実施の形態8の電気的情報記録媒体44の一構成例と記録再生装置50を図8に示す。電気的情報記録媒体44は、電気的エネルギー(特に電流)の印加によって情報の記録再生が可能な情報記録媒体である。
第1記録層41、および第2記録層42は、電流の印加により発生するジュール熱によって結晶相と非晶質相との間で可逆的な相変化を起こす材料であり、結晶相と非晶質相との間で抵抗率が変化する現象を情報の記録に利用する。第1記録層41の材料は実施の形態2の第1記録層204と同様の材料、第2記録層42の材料は実施の形態3の第2記録層304と同様の材料を用いることができる。
また、下部電極40、および上部電極43には、Al、Au、Ag、Cu、Pt等の単体金属材料、あるいはこれらのうちの1つまたは複数の元素を主成分とし、耐湿性の向上あるいは熱伝導率の調整等のために適宜1つまたは複数の他の元素を添加した合金材料を用いることができる。下部電極40、および上部電極43は、Arガス雰囲気中で材料となる金属母材または合金母材をスパッタリングすることによって形成できる。なお、各層の成膜方法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、MBE法等を用いることも可能である。
(実施の形態9)
本発明の情報記録媒体においては、記録層と接して形成される材料層が、SnおよびGaから成る群GMより選ばれる少なくとも一つの元素と、Si、TaおよびTiから成る群GLより選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素(O)と炭素(C)とを含んでいる。さらに前記材料層は、ZrまたはHfのうち少なくとも一つの元素を任意に含んでいてもよい。材料層をこのような材料で形成することにより、従来の情報記録媒体の誘電体層に使用していたZnS−20mol%SiO2と同等以上の成膜速度を実現できるとともに、材料層を構成する元素にSを含まないため、材料層を誘電体層に用いた場合に別途界面層を設ける必要がなく、かつ記録再生する波長の光に対してある程度の透明性を有する誘電体層を形成できる。さらに、このような材料層を誘電体層に用いれば、界面層を介さずに直接記録層の上下に誘電体層を設けても、十分な記録感度と書き換え性能を確保することができる。なお、本発明の情報記録媒体は、光を照射することによって、あるいは電気的エネルギーを印加することによって、情報を記録再生する媒体である。一般に、光の照射は、レーザ光を照射することにより実施され、電気的エネルギーの印加は記録層に電圧を印加することにより実施される。以下、本発明の情報記録媒体を構成する材料層の材料について、より具体的に説明する。
MHOILJCK(原子%)・・・(式1)
(式中、Mは前記群GMより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、Lは前記群GLより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、H、I、JおよびKは、10≦H≦40、35≦I≦70、0<J≦30、0<K≦30、H+I+J+K=100を満たす。)
で表される材料を含んでいてもよい。ここで、「原子%」とは、組成式(1)が、「M」原子、酸素原子、「L」原子、および炭素原子を合わせた数を基準(100%)として表された組成式であることを示している。以下の式においても「原子%」の表示は、同様の趣旨で使用している。また、(式1)は、材料層に含まれる、「M」原子、酸素原子、「L」原子、および炭素原子のみをカウントして表したものである。したがって、組成式(1)で示される材料を含む材料層に、これらの原子以外の成分を含むことがある。さらに、(式1)において、各原子がどのような化合物として存在しているかは問われない。このような組成式で材料を特定しているのは、薄膜に形成した層の組成を調べるに際し、化合物の組成を求めることは難しく、現実には、元素組成(即ち、各原子の割合)のみを求める場合が多いことによる。(式1)で表される材料において、元素Mの殆どは酸素原子とともに酸化物として存在し、元素Lの殆どは、炭素原子とともに炭化物として存在していると考えられる。ただ、これら元素Mと元素Lは各々、酸素原子または炭素原子とも結合した化合物になっていても有効である。
(1)Sを含まない誘電体層を、記録層に良好に密着させて形成できるので、界面層が不要である
(2)図5に示す従来の情報記録媒体と同程度またはそれ以上の繰り返し書き換えに対する耐久性、および耐湿性を情報記録媒体に付与できる
(3)複数の酸化物または炭化物とが混合されて構造が複雑となるため、誘電体層の熱伝導率が小さくなり、それにより記録層が急冷されやすくなり、記録感度が高くなる
という効果が得られる。
MHAPOILJCK(原子%)・・・(式2)
(式中、Mは前記群GMより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、AはZrおよびHfより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、Lは前記群GLより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、H、P、I、JおよびKは、10≦H≦40、0<P≦15、35≦I≦70、0<J≦30、0<K≦30、H+P+I+J+K=100を満たす。)
で表される材料を含んでいてもよい。(式2)で示される材料を含む材料層において、元素Aの殆どは、酸化物として存在していると考えられる。ただ、元素Aは、元素Mや元素Lと同様、酸素原子または炭素原子とも結合した化合物になっていても有効である。元素Aは、材料層の耐熱性を上げる効果があり、高速記録特性、高密度化を求める上で、材料層に耐熱性を付与したい場合、添加することが好ましい。(式2)で示される材料を含む材料層を、情報記録媒体の記録層に隣接する二つの誘電体層のうち何れか一方もしくは両方に適用することにより、より良好な記録感度と、優れた繰り返し書き換え性能を有し、生産性に優れた情報記録媒体を安価に製造できる。また、情報記録媒体のさらなる高密度化、高速記録化にも対応できる。
上述のように、上記酸化物−炭化物系材料層において、SnおよびGaから成る群GMから選択される少なくとも一つの元素は、酸素と共に酸化物として存在し、Si、TaおよびTiから成る群GLから選択される少なくとも一つの元素は、炭素と共に炭化物として存在していると考えられ、これらを含む層として特定され得る。さらに、ZrまたはHfのうち少なくとも一つの元素は、酸素と共に酸化物として存在して任意に含んでもよい。このように特定される材料層において、群GMから選択される少なくとも一つの元素の酸化物群は、群GLから選択される少なくとも一つの元素の炭化物群と合わせた量を基準(100mol%)としたときに、50mol%以上含まれることが好ましく、50mol%〜95mol%含まれることがより好ましい。
群GMから選択される元素の酸化物群の割合が50mol%未満になると、成膜速度が低下する傾向にある。群GLから選択される元素の炭化物群は、成膜速度は速くないのだが、酸化物と混合して用いる場合、成膜速度をさほど低下することなく、材料層を形成することができる。
(D)X(B)100-X(mol%)・・・(式3)
(式中、DはSnO2およびGa2O3から選択される少なくとも一つの酸化物を示し、BはSiC、TaCおよびTiCから選択される少なくとも一つの炭化物を示し、Xは、50≦X≦95を満たす。)
で表される材料を含んでいてもよい。SnO2およびGa2O3は、融点がいずれも1000℃以上と高く、熱的に安定で、かつ成膜速度が高い。SiC、TaCおよびTiCは、耐湿性が良好で、上述の酸化物群と混合すると、特に熱伝導を小さくする効果が高く、結果として記録感度を向上させる作用に優れている。また価格も安いことから、最も実用に適している。各化合物の好ましい割合は、上記のようにxで規定される。このような酸化物−炭化物系材料層を記録層と接する誘電体層に適用することにより、誘電体層と記録層との間の界面層を無くすことが可能となる。したがって、このような材料層を誘電体層として含む情報記録媒体は、繰り返し記録性能、耐湿性、記録感度、記録および書き換え保存性が良好である。
(D)X(E)Y(B)100-(X+Y)(mol%)・・・(式4)
(式中、DはSnO2およびGa2O3から選択される少なくとも一つの酸化物を示し、EはZrO2またはHfO2のうち少なくとも一つの酸化物を示し、BはSiC、TaCおよびTiCから選択される少なくとも一つの炭化物を示し、X、Yは、50≦X≦95、0<Y≦40を満たす。)
で表される材料を含んでいてもよい。その好ましい割合は、上記のようにXおよびYで規定される。任意に添加するZrO2またはHfO2のうち少なくとも一つの酸化物の、より好ましい割合は40mol%以下であり、求める高速記録特性を発揮する上で、材料層により熱安定性を付与したい場合、生産に必要な成膜速度を確保できる範囲で、添加することが好ましい。
以上説明した酸化物−炭化物系材料層は、本発明の情報記録媒体において、記録層と接するように設けられることが好ましく、記録層の両方の面に接するように設けてよい。本発明の情報記録媒体における材料層は、記録層と誘電体層との間に位置する界面層として存在してもよい。
本発明の情報記録媒体は、二つ以上の記録層を有するものであってもよい。そのような情報記録媒体は、例えば、基板の一方の表面の側に、2つの記録層が誘電体層および中間層等を介して積層された、片面2層構造を有するものである。あるいは、基板の両方の面に記録層が形成されたものであってもよい。これらの構造によれば、記録容量を大きくすることが可能となる。
本発明の情報記録媒体の製造方法は、本発明の情報記録媒体に含まれる材料層を、スパッタリング法で形成する工程を含む。スパッタリング法によれば、スパッタリングターゲットの組成と略同じ組成を有する材料層を形成できる。したがって、この製造方法によれば、スパッタリングターゲットを適切に選択することによって所望の組成の酸化物−炭化物系材料層を容易に形成できる。具体的には、スパッタリングターゲットとして、下記の組成式:
MhOiLjCk(原子%)・・・(式5)
(式中、Mは前記群GMより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、Lは前記群GLより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、h、i、jおよびkは、10≦h≦40、35≦i≦70、0<j≦30、0<k≦30、h+i+j+k=100を満たす。)
で表される材料を含むものを使用できる。(式5)は、元素Mのほとんどが酸化物の形態で存在し、元素Lの殆どは、炭素原子とともに炭化物の形態で存在してもよい材料を元素組成で表した式に相当する。このスパッタリングターゲットによれば、(式1)で表される材料を含む誘電体層を形成できる。
MhApOiLjCk(原子%)・・・(式6)
(式中、Mは前記群GMより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、AはZrおよびHfより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、Lは前記群GLより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、h、p、i、jおよびkは、10≦h≦40、0<p≦15、35≦i≦70、0<j≦30、0<k≦30、h+p+i+j+k=100を満たす。)
で表される材料を含むものも使用できる。組成式(6)は、元素Aの殆どは、酸化物として存在していると考えられる。このスパッタリングターゲットによれば、(式2)で表される材料層を形成できる。
また、本願発明者らは、組成がそのように表示されたスパッタリングターゲットをX線マイクロアナライザーで分析して得た元素組成が、表示されている組成から算出される元素組成と略等しくなることを(即ち、組成表示(公称組成)が適正であること)を確認している。したがって、酸化物と炭化物との混合物として提供されるスパッタリングターゲットもまた、本発明の情報記録媒体の製造方法において好ましく用いられる。
(D)x(B)100-x(mol%)・・・(式7)
(式中、DはSnO2およびGa2O3から選択される少なくとも一つの酸化物を示し、BはSiC、TaCおよびTiCから選択される少なくとも一つの炭化物を示し、xは、50≦x≦95を満たす。)
で表される材料を含むものであることが好ましい。このスパッタリングターゲットを用いれば、(式3)で表される材料層を形成できる。
(D)x(E)y(B)100-(x+y)(mol%)・・・(式8)
(式中、DはSnO2およびGa2O3から選択される少なくとも一つの酸化物を示し、EはZrO2またはHfO2のうち少なくとも一つの酸化物を示し、BはSiC、TaCおよびTiCから選択される少なくとも一つの炭化物を示し、x、yは、50≦x≦95、0<y≦40を満たす。)
で表される材料を含むものであってもよい。このスパッタリングターゲットを用いれば、(式4)で表される材料層を形成できる。
本発明の実施の形態10として、レーザ光を用いて情報の記録および再生を実施する、情報記録媒体の一例を説明する。図13に、その情報記録媒体の一部断面を示す。
図13に示すように、本実施の形態の情報記録媒体は、基板1の一方の表面に、第1誘電体層2、記録層4、第2誘電体層6、光吸収補正層7、および反射層8がこの順に積層され、さらに接着層9でダミー基板10が反射層8に接着された構成を有する。この構成の情報記録媒体は、波長660nm付近の赤色域のレーザビームで記録再生する、4.7GB/DVD−RAMとして使用できる。この構成の情報記録媒体には、基板1側からレーザ光が入射され、入射されたレーザ光により情報の記録および再生が実施される。本実施の形態の情報記録媒体は、記録層4と第1および第2誘電体層2、6との間にそれぞれ界面層を有していない点において、図17に示した従来の情報記録媒体と相違する。
非可逆的相変化材料としては、例えば、TeOx+α(αはPd、Ge等である。)を用いることが好ましい。記録層4が非可逆的相変化材料である情報記録媒体は、記録が一度だけ可能である、いわゆるライトワンスタイプのものである。そのような情報記録媒体においても、記録時の熱により誘電体層中の原子が記録層中に拡散して、信号の品質を低下させるという問題がある。したがって、本発明は、書き換え可能な情報記録媒体だけでなく、ライトワンス型の情報記録媒体にも好ましく適用される。
本実施の形態における第1誘電体層2および第2誘電体層6は、SnおよびGaから成る群GMより選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物と、Si、TaおよびTiから成る群GLより選ばれる少なくとも一つの元素の炭化物とを含む、酸化物−炭化物系材料層である。さらに、第1誘電体層2および第2誘電体層6は、上記酸化物−炭化物系材料にZrまたはHfのうち少なくとも一つの酸化物を含む、酸化物−炭化物系材料層であってもよい。
上述のような酸化物−炭化物系材料層にて誘電体層を形成することにより、誘電体層を記録層に接して形成しても、記録感度が良好で、書き換え特性と信頼性を確保できる。
第三成分として含まれる半金属および半導体は、例えばC、Ge等であり、非金属では、例えばSb、Bi、TeおよびSe等が挙げられる。
第1誘電体層2および第2誘電体層6は、各々の光路長(即ち、誘電体層の屈折率nと誘電体層の膜厚dとの積nd)を変えることにより、結晶相の記録層4の光吸収率Ac(%)と非晶質相の記録層4の光吸収率Aa(%)、記録層4が結晶相であるときの情報記録媒体の光反射率Rc(%)と記録層4が非晶質相であるときの情報記録媒体の光反射率Ra(%)、記録層4が結晶相である部分と非晶質相である部分の情報記録媒体の光の位相差Δφ、を調整することができる。記録マークの再生信号振幅を大きくして、信号品質を上げるためには、反射率差(|Rc−Ra|)または反射率比(Rc/Ra)が大きいことが望ましい。また、記録層4がレーザ光を吸収するように、AcおよびAaも大きいことが望ましい。これらの条件を同時に満足するように第1誘電体層2および第2誘電体層6の光路長を決定する。それらの条件を満足する光路長は、例えばマトリクス法に基づく計算によって正確に決定することができる。
本実施の形態の情報記録媒体は、一つの記録層を有する片面構造ディスクであるが、これに限るものではなく、2つ以上の記録層を有してもよい。
本実施の形態の情報記録媒体は、案内溝(グルーブ面120とランド面121)が形成された基板1(例えば、厚さ0.6mm)を成膜装置に配置し、基板1の案内溝が形成された表面に第1誘電体層2を成膜する工程(工程a)、記録層4を成膜する工程(工程b)、第2誘電体層6を成膜する工程(工程c)、光吸収補正層7を成膜する工程(工程d)および反射層8を成膜する工程(工程e)を順次実施し、さらに、反射層8の表面に接着層9を形成する工程、およびダミー基板10を貼り合わせる工程を実施することにより、製造される。なお、本明細書において、各層に関して「表面」というときは、特に断りのない限り、各層が形成されたときに露出している表面(厚さ方向に垂直な表面)を指すものとする。
上記特定の酸化物および炭化物を含むスパッタリングターゲットとして、SnO2およびGa2O3から選択される少なくとも一つの酸化物と、SiC、TaCおよびTiOから選択される少なくとも一つの炭化物を含む材料を使用できる。より具体的には、(式7):(D)x(B)100-x(mol%)で表される材料である。この式において、Dは、SnO2およびGa2O3から選択される少なくとも一つの酸化物を示し、BはSiC、TaCおよびTiCから選択される少なくとも一つの炭化物を示し、各化合物の混合割合を示すxは、50≦x≦95を満たす材料を含むターゲットを使用できる。このターゲットによれば、(式3)で表される材料を含む層が形成できる。
次に、工程bを実施して、第1誘電体層2の表面に、記録層4を成膜する。工程bもまた、スパッタリングにより実施される。スパッタリングは、直流電源を用いて、Arガス雰囲気中、またはArガスとN2ガスの混合ガス雰囲気中で実施する。工程aと同様に、目的に応じて他のガスを導入してもよい。スパッタリングターゲットは、Ge−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Te、Ge−Bi−Te、Ge−Sn−Bi−Te、Ge−Sb−Bi−Te、Ge−Sn−Sb−Bi−Te、Ag−In−Sb−TeおよびSb−Teのうち、いずれか一つの材料を含むものを使用する。成膜後の記録層4は非晶質状態である。
本発明の実施の形態11として、図14に、その情報記録媒体の一部断面を示す。
図14に示す本実施の形態の情報記録媒体は、基板1の一方の表面に、第1誘電体層102、第1の界面層103、記録層4、第2誘電体層6、光吸収補正層7、および反射層8がこの順に形成され、さらに接着層9で反射層8にダミー基板10が接着された構成を有する。本実施の形態の情報記録媒体は、記録層4と第2誘電体層6との間に界面層を有していない点において、図12に示した従来の情報記録媒体と相違する。また、基板1と記録層4との間に第1誘電体層102と第1の界面層103がこの順に積層されている点において、図13に示す情報記録媒体と相違する。本実施の形態おいて、第2誘電体層6は、実施の形態10の情報記録媒体における第1および第2誘電体層と同様の、酸化物−炭化物系材料層で形成されている。その他、図14において、図13で使用した符号と同じ符号は、同じ機能を有する構成要素を表し、図14を参照して説明した材料および方法にて形成されるものである。したがって、図14で既に説明した構成要素については、ここではその詳細な説明を省略する。
本発明の実施の形態12として、電気的エネルギーを印加して情報の記録および再生を実施する情報記録媒体の一例を示す。図15に、本実施の形態の情報記録媒体の斜視図を示す。
(実施例1−1)
実施例1−1では、図1の情報記録媒体15を作製し、第2誘電体層106の材料と、情報層16の記録感度、および繰り返し書き換え性能との関係を調べた。具体的には、第2誘電体層106の材料が異なる情報層16を含む情報記録媒体15のサンプルを作製し、情報層16の記録感度、および繰り返し書き換え性能を測定した。
実施例1−2では、図3の情報記録媒体24を作製し、第2誘電体層306の材料と、第2情報層25の記録感度、および繰り返し書き換え性能との関係を調べた。具体的には、第2誘電体層306の材料が異なる第2情報層25を含む情報記録媒体24のサンプルを作製し、第2情報層25の記録感度、および繰り返し書き換え性能を測定した。
実施例1−1において、第2界面層105を配置したところ、情報記録媒体15の情報層16の繰り返し書き換え回数が向上した。同様に、実施例1−2において、第2界面層305を配置したところ、情報記録媒体24の第2情報層25の繰り返し書き換え回数が向上した。なお、第2界面層105、および第2界面層305の材料は、Zr、Hf、YおよびSiから選ばれる少なくとも一つの元素と、GaおよびCrから選ばれる少なくとも一つの元素とOを含むことが好ましく、この場合、ZrO2、HfO2、Y2O3およびSiO2から選ばれる少なくとも一つの酸化物と、Ga2O3およびCr2O3から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含むことが好ましいこともわかった。
実施例1−4では、図3の情報記録媒体24を作製し、第4誘電体層206の材料と、第1情報層23の記録感度、および繰り返し書き換え性能との関係を調べた。具体的には、第4誘電体層206の材料が異なる第1情報層23を含む情報記録媒体24のサンプルを作製し、第1情報層23の記録感度、および繰り返し書き換え性能を測定した。
実施例1−5では、図4の情報記録媒体29を作製し、実施例1−1と同様の実験を行った。
サンプルは以下のようにして製造した。まず、基板26として、レーザビーム11を導くための案内溝(深さ40nm、トラックピッチ0.344μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ0.6mm)を用意した。そして、そのポリカーボネート基板上に、第1誘電体層102として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:60nm)、第1界面層103として(ZrO2)50(Cr2O3)50層(厚さ:5nm)、記録層104としてGe28Sn3Bi2Te34層(厚さ:10nm)、第2誘電体層106(厚さ:10〜20nm)、反射層108としてAg−Pd−Cu層(厚さ:80nm)を順次スパッタリング法によって積層した。
実施例1−6では、図6の情報記録媒体32を作製し、実施例1−2と同様の実験を行った。
サンプルは以下のようにして製造した。まず、基板26として、レーザビーム11を導くための案内溝(深さ40nm、トラックピッチ0.344μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ0.6mm)を用意した。そして、そのポリカーボネート基板上に、第3誘電体層202として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:40nm)、第3界面層203として(ZrO2)25(SiO2)25(Cr2O3)50層(厚さ:5nm)、第1記録層204としてGe28Sn3Bi2Te34層(厚さ:6nm)、第4界面層205として(ZrO2)25(SiO2)25(Ga2O3)50層(厚さ:10nm)、第1反射層208としてAg−Pd−Cu層(厚さ:10nm)、透過率調整層209としてTiO2層(厚さ:20nm)を順次スパッタリング法によって積層した。
実施例1−5において、第2界面層105を配置したところ、情報記録媒体29の情報層16の繰り返し書き換え回数が向上した。同様に、実施例1−6において、第2界面層305を配置したところ、情報記録媒体32の第2情報層25の繰り返し書き換え回数が向上した。なお、第2界面層105、および第2界面層305の材料は、Zr、Hf、YおよびSiから選ばれる少なくとも一つの元素と、GaおよびCrから選ばれる少なくとも一つの元素とOを含むことが好ましく、この場合、ZrO2、HfO2、Y2O3およびSiO2から選ばれる少なくとも一つの酸化物と、Ga2O3およびCr2O3から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含むことが好ましいこともわかった。
実施例1−8では、図6の情報記録媒体32を作製し、実施例1−4と同様の実験を行った。
サンプルは以下のようにして製造した。まず、基板26として、レーザビーム11を導くための案内溝(深さ40nm、トラックピッチ0.344μm)が形成されたポリカーボネート基板(直径120mm、厚さ0.6mm)を用意した。そして、そのポリカーボネート基板上に、第3誘電体層202として(ZnS)80(SiO2)20層(厚さ:40nm)、第3界面層203として(ZrO2)25(SiO2)25(Cr2O3)50層(厚さ:5nm)、第1記録層204としてGe28Sn3Bi2Te34層(厚さ:6nm)、第4界面層205として(ZrO2)25(SiO2)25(Ga2O3)50層(厚さ:5nm)、第4誘電体層206(厚さ:5nm)、第1反射層208としてAg−Pd−Cu層(厚さ:10nm)、透過率調整層209としてTiO2層(厚さ:20nm)を順次スパッタリング法によって積層した。
実施例1−1から実施例1−8において、記録層104、または第2記録層304に(Ge−Sn)Te、GeTe−Sb2Te3、(Ge−Sn)Te−Sb2Te3、GeTe−Bi2Te3、(Ge−Sn)Te−Bi2Te3、GeTe−(Sb−Bi)2Te3および(Ge−Sn)Te−(Sb−Bi)2Te3のいずれかで表される材料を用いたところ、同様の結果が得られた。
実施例1−10では、図8の電気的情報記録媒体44を製造し、その電流の印加による相変化を確認した。
基板39として、表面を窒化処理したSi基板を準備し、その上に下部電極40としてPtを面積6μm×6μmで厚さ0.1μm、第1誘電体層401として(SnO2)80(SiC)20を4.5μm×5μmで厚さ0.01μm、第1記録層41としてGe22Bi2Te25を面積5μm×5μmで厚さ0.1μm、第2記録層42としてSb70Te25Ge5を面積5μm×5μmで厚さ0.1μm、第2誘電体層402として(SnO2)80(SiC)20を4.5μm×5μmで厚さ0.01μm、上部電極43としてPtを面積5μm×5μmで厚さ0.1μmに順次スパッタリング法により積層した。第1誘電体層401、および第2誘電体層402は絶縁体である。従って、第1記録層41、および第2記録層42に電流を流すため、第1誘電体層401、および第2誘電体層402を第1記録層41、および第2記録層42より小さい面積で成膜し、下部電極40、第1記録層41、第2記録層42、および上部電極43が接する部分を設けている。
まず、本発明の情報記録媒体の誘電体層を形成する際に用いられる酸化物−炭化物系材料層からなるターゲットに対し、公称組成(換言すれば、供給に際してターゲットメーカーが公に表示している組成)と分析組成との関係を、予め試験により確認した。
実施例2−1では、実施の形態11で説明した図13に示す情報記録媒体において、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)95(SiC)5(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成した。第1誘電体層2および第2誘電体層6は同じ材料で形成した。以下、本実施例の情報記録媒体の作製方法を説明する。以下の説明においては、図13に示した各構成要素と同じ参照番号を用いる。
第1誘電体層2と第2誘電体層6を構成する材料として、(SnO2)95(SiC)5(mol%)を用いた。
記録層4を形成する工程は、GeTe−Sb2Te3擬二元系組成のGeの一部をSnで置換したGe−Sn−Sb−Te系材料から成るスパッタリングターゲット(直径100mm、厚み6mm)を成膜装置に取り付けて、0.13Paにて直流スパッタリングを実施した。記録層の組成は、Ge27Sn8Sb12Te53(原子%)であった。
反射層8を形成する工程は、Ag−Pd−Cu合金から成るスパッタリングターゲット(直径100mm、厚さ6mm)を成膜装置に取り付けて、約0.4Paにて直流スパッタリングを実施した。
(実施例2−2)
実施例2−2の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)80(SiC)20(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−3の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)60(SiC)40(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−4の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)75(ZrO2)10(SiC)15(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−5の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)60(HfO2)20(SiC)20(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−6の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)50(ZrO2)40(SiC)10(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−7の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(Ga2O3)80(SiC)20(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−8の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(Ga2O3)70(ZrO2)15(TaC)15(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−9の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)60(Ga2O3)20(SiC)20(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−10の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)40(Ga2O3)40(SiC)20(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−11の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)20(Ga2O3)60(SiC)20(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−12の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)40(Ga2O3)40(ZrO2)10(TiC)10(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−13の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)60(Ga2O3)20(ZrO2)5(SiC)15(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例1の情報記録媒体として、図17に示す構成の情報記録媒体を作製した。ここで、第1誘電体層102および第2誘電体層106は、(ZnS)80(SiO2)20(mol%)のスパッタリングターゲットで形成した。また、第1の界面層103および第2の界面層105は、それぞれZrO2−SiO2−Cr2O3から成る、厚さ5nmの層とした。
第1の界面層103および第2の界面層105は、(ZrO2)25(SiO2)25(CrO2)50(mol%)の組成を有する材料から成るスパッタリングターゲット(直径100mm、厚さ6mm)を成膜装置に取り付けて、高周波スパッタリングで形成した。それ以外の光吸収補正層7、反射層8およびダミー基板10との貼り合せは、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様である。
比較例2の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、SnO2のみの公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例3の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、Ga2O3のみの公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例4の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、SiCのみの公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例5の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)50(Ga2O3)50(mol%)の公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例6の情報記録媒体は、第1誘電体層2および第2誘電体層6を、(SnO2)80(ZrO2)20(mol%)の公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成する以外は、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
まず、(1)の密着性は、高温高湿条件下での剥離の有無に基づいて評価した。具体的には、初期化工程後の情報記録媒体を、温度90℃で相対湿度80%の高温高湿槽に100時間放置した後、記録層4とこれに接する誘電体層2、6との界面の少なくとも一方で剥離が発生していないかどうかを、光学顕微鏡で目視観察した。
情報記録媒体の信号評価は、情報記録媒体を回転させるスピンドルモータと、レーザ光を発する半導体レーザを備えた光学ヘッドと、レーザ光を情報記録媒体の記録層4上に集光させる対物レンズとを具備した一般的な構成の情報記録システムを用いた。具体的には、波長660nmの半導体レーザと開口数0.6の対物レンズを使用し、4.7GB容量相当の記録を行った。このとき、情報記録媒体を回転させる線速度は8.2m/秒とした。また、後述の平均ジッタ値を求める際のジッタ値の測定には、タイムインターバルアナライザーを用いた。
(実施例2−14)
本実施例の情報記録媒体は、実施の形態11で説明した図14に示す情報記録媒体であり、第1誘電体層102は(ZnS)80(SiO2)20(mol%)を用いて形成し、第1の界面層103はZrO2−SiO2−Cr2O3を用いて2〜5nmの厚さで形成した。これ以外の構成については、実施例2−1の情報記録媒体の場合と同様に作製した。実施例2−14では、記録層4上に接して配置された第2誘電体層6を、実施例2−1で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した。
実施例2−15の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、実施例2−2で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−2の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−16の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、実施例2−3で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−3の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−17の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、実施例2−4で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−18の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、実施例2−5で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−19の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、実施例2−7で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−20の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、実施例2−9で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−21の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、実施例2−10で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−22の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、(SnO2)40(Ga2O3)40(TaC)20(mol%)で公称組成が表示されたスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−23の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、実施例2−12で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
実施例2−24の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、実施例2−13で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例7の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、比較例2で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例8の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、比較例3で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例9の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、比較例4で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例10の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、比較例5で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
比較例11の情報記録媒体は、第2誘電体層6を、比較例6で用いた材料のスパッタリングターゲットを用いて形成した以外は、実施例2−14の情報記録媒体の場合と同様に作製した。
表9からも明らかなように、基板1と記録層4との間に第1誘電体層102と界面層103を設け、第2誘電体層6のみに本発明の材料を適用した場合も、表8とほぼ同様の傾向が認められた。すなわち、SnO2、Ga2O3およびその混合物や、SnO2とZrO2との混合物と、SiC単独の場合、記録層4と誘電体層102、6との密着性は良好だが、記録感度と書換え性能とを両立するには不十分であった(比較例7〜11)。これに対し、実施例2−14〜2−23のように、SnO2およびGa2O3から成る酸化物群に、SiC、TaCおよびTiCから成る炭化物群を混合し、さらに任意にZrO2またはHfO2のうち少なくとも一つの酸化物を、本発明で規定した範囲内で混合することにより、良好な記録感度が得られた。
実施例2−1〜2−23の情報記録媒体のように、記録層に接して形成される誘電体層として上述のような酸化物−炭化物系材料層を用いたとき、層数を減少させるという目的が達成されるとともに、良好な書き換え性能が得られる。なお、本発明はこれらの実施例に限定されない。本発明の情報記録媒体は、記録層に接して形成される層のうち、少なくとも一つが上述のような酸化物−炭化物系材料層で形成されていればよい。
以上の実施例2−1〜2−24では、光学的手段によって情報を記録する情報記録媒体を作製した。実施例2−25では、図15に示すような、電気的手段によって情報を記録する情報記録媒体を作製した。これはいわゆるメモリである。
以上のようにして作製した情報記録媒体に電気的エネルギーを印加することによって相変化部215にて相変化が起こることを、図16に示すシステムにより確認した。図16に示す情報記録媒体の断面図は、図15に示す情報記録媒体をI−I線に沿って厚さ方向に切断した断面である。
2、102、302、401 第1誘電体層
3、103、303 第1界面層
4、104、215 記録層
5、105、305 第2界面層
6、106、306、402 第2誘電体層
7 光吸収補正層
8、108 反射層
9、27 接着層
10、28 ダミー基板
11 レーザビーム
12、15、22、24、29、31、32、37、217 情報記録媒体
13 透明層
16、18、21 情報層
17、19、20 光学分離層
23 第1情報層
25 第2情報層
33 スピンドルモータ
34 対物レンズ
35 半導体レーザ
36 光学ヘッド
38 記録再生装置
40、212 下部電極
41、204 第1記録層
42、304 第2記録層
43、214 上部電極
44、51 電気的情報記録媒体
45、222 印加部
46、59、219 抵抗測定器
47、49、220、221 スイッチ
48、58 パルス電源
50、224 電気的情報記録再生装置
52 ワード線
53 ビット線
54 メモリセル
55 アドレス指定回路
56 記憶装置
57 外部回路
107、307 界面層
120 グルーブ面
121 ランド面
202 第3誘電体層
203 第3界面層
205 第4界面層
206 第4誘電体層
208 第1反射層
209 透過率調整層
308 第2反射層
501、502、503、504、505、508、509 記録波形
506、507 消去波形
213 記録部
216 誘電体層
218 パルス発生部
223 判定部
Claims (54)
- レーザビームの照射または電流の印加によって結晶相と非晶質相との間で相変化を起こす記録層と、誘電体層とを少なくとも有する情報層を備えた情報記録媒体であって、
前記誘電体層が少なくともC、Si、SnおよびOを含むことを特徴とする、情報記録媒体。 - レーザビームの照射または電流の印加によって結晶相と非晶質相との間で相変化を起こす記録層と、誘電体層とを少なくとも有する情報層を少なくとも一つ含む、複数の情報層を備えた情報記録媒体であって、
前記誘電体層が少なくともC、Si、SnおよびOを含むことを特徴とする、情報記録媒体。 - レーザ照射側から見て、前記記録層、前記誘電体層をこの順に有することを特徴とする、請求項1または2に記載の情報記録媒体。
- 前記記録層と前記誘電体層との間に、界面層をさらに有することを特徴とする、請求項3に記載の情報記録媒体。
- 前記誘電体層の組成は、組成式:
CdSieSnfO100-d-e-f(但し、0<d<25、0<e<25、15<f<40(原子%))
と表されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報記録媒体。 - 前記誘電体層が、SnO2とSiCの混合物であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
- 前記誘電体層の組成は、組成式:
(SnO2)100-x(SiC)x(但し、0<x≦50(mol%))
と表されることを特徴とする、請求項6に記載の情報記録媒体。 - 前記誘電体層が、さらにTi、Zr、Hf、Y、Zn、Nb、Ta、Al、Bi、Cr、Ga、GeおよびLaから選ばれる、少なくとも一つの元素を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
- 前記誘電体層が、さらにTiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、SiO2、Al2O3、Bi2O3、Cr2O3、Ga2O3、Si−N、Ge−N、Cr−NおよびLaF3から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする、請求項6に記載の情報記録媒体。
- 前記誘電体層の膜厚が、2nm以上75nm以下であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
- 前記誘電体層の膜厚が、2nm以上40nm以下であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
- 前記記録層が、Sb、BiおよびSnから選ばれる少なくとも一つの元素と、GeとTeを含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
- 前記記録層が、(Ge−Sn)Te、GeTe−Sb2Te3、(Ge−Sn)Te−Sb2Te3、GeTe−Bi2Te3、(Ge−Sn)Te−Bi2Te3、GeTe−(Sb−Bi)2Te3および(Ge−Sn)Te−(Sb−Bi)2Te3のいずれかで表されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
- 前記界面層が、Zr、Hf、YおよびSiから選ばれる少なくとも一つの元素と、GaおよびCrから選ばれる少なくとも一つの元素と、Oを含むことを特徴とする、請求項4から13のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
- 前記界面層が、ZrO2、HfO2、Y2O3およびSiO2から選ばれる少なくとも一つの酸化物と、Ga2O3およびCr2O3から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含むことを特徴とする、請求項4から13のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
- 前記界面層の膜厚が、0.5nm以上15nm以下であることを特徴とする、請求項14または15に記載の情報記録媒体。
- 前記界面層の膜厚が、1nm以上7nm以下であることを特徴とする、請求項14または15に記載の情報記録媒体。
- 情報層を成膜する工程において、相変化を起こす記録層を成膜する工程と、誘電体層を成膜する工程を少なくとも含む情報記録媒体の製造方法であって、
前記誘電体層を成膜する工程において、少なくともC、Si、SnおよびOを含むスパッタリングターゲットを用いることを特徴とする、情報記録媒体の製造方法。 - 複数の情報層を成膜する工程において、少なくとも一つの情報層を成膜する工程が、相変化を起こす記録層を成膜する工程と、誘電体層を成膜する工程を含む情報記録媒体の製造方法であって、
前記誘電体層を成膜する工程において、少なくともC、Si、SnおよびOを含むスパッタリングターゲットを用いることを特徴とする、情報記録媒体の製造方法。 - 記録層を成膜する前記工程と誘電体層を成膜する前記工程との間に、界面層を成膜する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項18または19に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 誘電体層を成膜する前記工程で用いるスパッタリングターゲットが、組成式:
CgSihSniO100-g-h-i(但し、0<g<30、0<h<30、15<i<40(原子%))
と表されることを特徴とする、請求項18から20のいずれか一項に記載の情報記録媒体の製造方法。 - 誘電体層を成膜する前記工程で用いるスパッタリングターゲットが、SnO2とSiCの混合物であることを特徴とする、請求項18から20のいずれか一項に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 誘電体層を成膜する工程で用いるスパッタリングターゲットが、組成式:
(SnO2)100-y(SiC)y(但し、0<y≦55(mol%))
と表されることを特徴とする、請求項22に記載の情報記録媒体の製造方法。 - 誘電体層を成膜する前記工程で用いるスパッタリングターゲットが、さらにTi、Zr、Hf、Y、Zn、Nb、Ta、Al、Bi、Cr、Ga、GeおよびLaから選ばれる少なくとも一つの元素を含むことを特徴とする、請求項18から20のいずれか一項に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 誘電体層を成膜する前記工程で用いるスパッタリングターゲットが、さらにTiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、Nb2O5、Ta2O5、SiO2、Al2O3、Bi2O3、Cr2O3、Ga2O3、Si−N、Ge−N、Cr−NおよびLaF3から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする、請求項18から20のいずれか一項に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 誘電体層を成膜する前記工程において、Arガス、またはArガスとO2ガスとの混合ガスを用いることを特徴とする、請求項18から25のいずれか一項に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 光の照射または電気エネルギーの印加によって、記録および/または再生を行う情報記録媒体であって、
SnおよびGaから成る群GMより選ばれる少なくとも一つの元素と、Si、TaおよびTiから成る群GLより選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素(O)と、炭素(C)とを含む誘電体層を有することを特徴とする、情報記録媒体。 - 前記誘電体層の組成は、組成式:
MHOILJCK(原子%)
(式中、Mは前記群GMより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、Lは前記群GLより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、H、I、JおよびKは、10≦H≦40、35≦I≦70、0<J≦30、0<K≦30、H+I+J+K=100を満たす。)
と表されることを特徴とする、請求項27に記載の情報記録媒体。 - 前記誘電体層が、ZrまたはHfのうち少なくとも一つを含み、組成式:
MHAPOILJCK(原子%)
(式中、Mは前記群GMより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、AはZrおよびHfより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、Lは前記群GLより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、H、P、I、JおよびKは、10≦H≦40、0<P≦15、35≦I≦70、0<J≦30、0<K≦30、H+P+I+J+K=100を満たす。)
と表される材料を含むことを特徴とする、請求項27に記載の情報記録媒体。 - 前記誘電体層において、MがSnであることを特徴とする、請求項28または29に記載の情報記録媒体。
- 前記誘電体層において、MとしてSnとGaとを含むことを特徴とする、請求項28または29に記載の情報記録媒体。
- 前記誘電体層において、AとしてZrを含むことを特徴とする、請求項28から31のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
- 光の照射または電気エネルギーの印加によって、記録および/または再生を行う情報記録媒体であって、相変化が生じる記録層を有することを特徴とする、請求項27から32のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
- 前記記録層が、Ge−Sb−Te、Ge−Sn−Sb−Te、Ge−Bi−Te、Ge−Sn−Bi−Te、Ge−Sb−Bi−Te、Ge−Sn−Sb−Bi−Te、Ag−In−Sb−TeおよびSb−Teから選択されるいずれか一つの材料を含むことを特徴とする、請求項33に記載の情報記録媒体。
- 前記記録層の膜厚が、15nm以下であることを特徴とする、請求項34に記載の情報記録媒体。
- 前記誘電体層が、前記記録層の少なくともどちらか一方の界面に接して形成されていることを特徴とする、請求項33から35のいずれか1項に記載の情報記録媒体。
- 光の照射または電気エネルギーの印加によって、記録および/または再生を行う情報記録媒体の製造方法であって、
情報記録媒体は誘電体層を有し、
前記誘電体層が、SnおよびGaから成る群GMより選ばれる少なくとも一つの元素と、Si、TaおよびTiから成る群GLより選ばれる少なくとも一つの元素と、酸素(O)と、炭素(C)とを含むスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法で形成されることを特徴とする、情報記録媒体の製造方法。 - 前記スパッタリングターゲットが、組成式:
MhOiLjCk(原子%)
(式中、Mは前記群GMより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、Lは前記群GLより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、h、i、jおよびkは、10≦h≦40、35≦i≦70、0<j≦30、0<k≦30、h+i+j+k=100を満たす。)
と表される材料を含むことを特徴とする、請求項37に記載の情報記録媒体の製造方法。 - 前記スパッタリングターゲットが、ZrまたはHfのうち少なくとも一つを含み、組成式:
MhApOiLjCk(原子%)
(式中、Mは前記群GMより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、AはZrおよびHfより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、Lは前記群GLより選ばれる少なくとも一つの元素を示し、h、p、i、jおよびkは、10≦h≦40、0<p≦15、35≦i≦70、0<j≦30、0<k≦30、h+p+i+j+k=100を満たす。)
と表される材料を含むことを特徴とする、請求項37に記載の情報記録媒体の製造方法。 - 前記スパッタリングターゲットにおいて、MがSnであることを特徴とする、請求項38または39に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、MとしてSnとGaとを含むことを特徴とする、請求項38または39に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、AとしてZrを含むことを特徴とする、請求項39から41のいずれか1項に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、
(a)SnおよびGaから成る群GMより選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物と、
(b)Si、TaおよびTiから成る群GLより選ばれる少なくとも一つの元素の炭化物とを含むことを特徴とする、請求項37に記載の情報記録媒体の製造方法。 - 前記スパッタリングターゲットが、ZrまたはHfの酸化物のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項43に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、前記群GMより選ばれる元素の酸化物群を50mol%以上含むことを特徴とする、請求項43または44に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、Snの酸化物を50mol%以上含むことを特徴とする、請求項45に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、Snの酸化物とGaの酸化物とを合わせて50mol%以上を含むことを特徴とする、請求項45に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、Zrの酸化物を含むことを特徴とする、請求項44から47のいずれか1項に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、組成式:
(D)x(B)100-x(mol%)
(式中、DはSnO2およびGa2O3から選択される少なくとも一つの酸化物を示し、
BはSiC、TaCおよびTiCから選択される少なくとも一つの炭化物を示し、xは、50≦x≦95を満たす。)
で表される材料を含むことを特徴とする、請求項43に記載の情報記録媒体の製造方法。 - 前記スパッタリングターゲットが、ZrまたはHfの酸化物のうち少なくとも一つを含む、組成式:
(D)x(E)y(B)100-(x+y)(mol%)
(式中、DはSnO2およびGa2O3から選択される少なくとも一つの酸化物を示し、
EはZrO2またはHfO2のうち少なくとも一つの酸化物を示し、BはSiC、TaCおよびTiCから選択される少なくとも一つの炭化物を示し、x、yは、50≦x≦95、0<y≦40を満たす。)
で表される材料を含むことを特徴とする、請求項44に記載の情報記録媒体の製造方法。 - 前記スパッタリングターゲットにおいて、DがSnO2で表される材料を含むことを特徴とする、請求項49または50に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、DとしてSnO2とGa2O3とで表される材料を含むことを特徴とする、請求項49または50に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットが、AとしてZrO2で表される材料を含むことを特徴とする、請求項50から52のいずれか1項に記載の情報記録媒体の製造方法。
- 前記スパッタリングターゲットにおいて、BがSiCで表される材料を含むことを特徴とする、請求項49から53のいずれか1項に記載の情報記録媒体の製造方法。
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