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JP2005282406A - 往復動バランサ付きエンジン - Google Patents

往復動バランサ付きエンジン Download PDF

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JP2005282406A
JP2005282406A JP2004095044A JP2004095044A JP2005282406A JP 2005282406 A JP2005282406 A JP 2005282406A JP 2004095044 A JP2004095044 A JP 2004095044A JP 2004095044 A JP2004095044 A JP 2004095044A JP 2005282406 A JP2005282406 A JP 2005282406A
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Japan
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oil
bearing
balancer
engine
crankshaft
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Application number
JP2004095044A
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English (en)
Inventor
Hidenobu Nakajima
英伸 中島
Hiroyuki Kawazoe
浩幸 川添
Kazuhiko Ogura
和彦 小倉
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】 低コストで、ベアリング軸受けでの摩耗を低減することができる往復動バランサ付きエンジンを提供する。
【解決手段】 クランク室壁41の内面からクランク室13内に向けてベアリングボス42を突出させ、このベアリングボス42に軸受けベアリング43を内嵌し、この軸受けベアリング43でクランク軸28のジャーナル部28aを軸受けし、クランク軸28の下方に往復動バランサ1を配置し、クランク軸28の偏心軸部28bに連動アーム32の上端部32aを外嵌させ、連動アーム32の下端部32bに往復動バランサ1を連結し、クランク軸28から連動アーム32を介して往復動バランサ1を連動するようにし、円環プレート44を軸受けベアリング43と偏心軸部28bとの間に介在させるに当たり、ベアリングボス42の上周壁42aにクランク室壁41からベアリングボス42の突出端42bに至るリブ45を設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、往復動バランサ付きエンジンに関するものである。
従来の往復動バランサ付きエンジンとして、本発明と同様、クランク室壁の内面からクランク室内に向けてベアリングボスを突出させ、このベアリングボスに軸受けベアリングを内嵌し、この軸受けベアリングでクランク軸を軸受けし、クランク軸の下方に往復動バランサを配置し、クランク軸の偏心軸部に連動アームの上端部を外嵌させ、連動アームの下端部に往復動バランサを連結し、クランク軸から連動アームを介して往復動バランサを連動するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
この種のエンジンでは、軸受けベアリングとクランク軸の偏心軸部との間に円環プレートを介在させる場合がある。この円環プレートで、軸受けベアリングへのオイル供給が邪魔される場合があるが、従来では、これを改善する特別な措置は採用されていない。このような不備を回避する手段としては、軸受けベアリング用のオイル圧送通路やオイルジェット通路を新設し、これで軸受けベアリングを強制潤滑することが考えられる。
特開2003−278837号公報(図1、図2参照)
この従来技術では、次の問題がある。
《問題》 クランク軸のジャーナル部が摩耗しやすい。
円環プレートが軸受けベアリングへのオイル供給を邪魔し、軸受けベアリングに軸受けされたクランク軸のジャーナル部が摩耗しやすい。
《問題》 オイル圧送通路の新設等はコスト高となる。
軸受けベアリング用のオイル圧送通路やオイルジェットを新設する場合には、コスト高となる。
本発明は、上記問題点を解決することができるエンジン、すなわち、低コストで、クランク軸のジャーナル部の摩耗を低減することができる往復動バランサ付きエンジンを提供することを課題とする。
請求項1に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図1(A)に例示するように、クランク室壁(41)の内面からクランク室(13)内に向けてベアリングボス(42)を突出させ、このベアリングボス(42)に軸受けベアリング(43)を内嵌し、この軸受けベアリング(43)でクランク軸(28)のジャーナル部(28a)を軸受けし、図4に例示するように、クランク軸(28)の下方に往復動バランサ(1)を配置し、クランク軸(28)の偏心軸部(28b)に連動アーム(32)の上端部(32a)を外嵌させ、連動アーム(32)の下端部(32b)に往復動バランサ(1)を連結し、クランク軸から連動アームを介して往復動バランサを連動するようにした、往復動バランサ付きエンジンにおいて、
図1(A)に例示するように、クランク軸(28)の偏心軸部(28b)の隣で、クランク軸(28)に円環プレート(44)を嵌め、この円環プレート(44)を軸受けベアリング(43)と偏心軸部(28b)との間に介在させるに当たり、図1(A)、図2(B)に示すように、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)にクランク室壁(41)からベアリングボス(42)の突出端(42b)に至るリブ(45)を設けた、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
請求項5に係る発明の発明特定事項は、次の通りである。
図9(A)に例示するように、クランク室壁(41)の内面からクランク室(13)内に向けてベアリングボス(42)を突出させ、このベアリングボス(42)に軸受けベアリング(43)を内嵌し、この軸受けベアリング(43)でクランク軸(28)のジャーナル部(28a)を軸受けし、図4に例示するように、クランク軸(28)の下方に往復動バランサ(1)を配置し、クランク軸(28)の偏心軸部(28b)に連動アーム(32)の上端部(32a)を外嵌させ、連動アーム(32)の下端部(32b)に往復動バランサ(1)を連結し、クランク軸から連動アームを介して往復動バランサを連動するようにした、往復動バランサ付きエンジンにおいて、
図9(A)に例示するように、クランク軸(28)の偏心軸部(28b)の隣で、クランク軸(28)に円環プレート(44)を嵌め、この円環プレート(44)を軸受けベアリング(43)と偏心軸部(28b)との間に介在させ、軸受けベアリング(43)にボールベアリングを用いるに当たり、円環プレート(44)の中央部を隆起させ、この隆起部(44a)の隆起端面(44b)がボールベアリングの内輪(43a)の内端面(43b)に当接するようにし、隆起部(44a)の上方で、円環プレート(44)の周縁部(44c)と軸受けベアリング(43)との間に、オイル通過隙間(47)を形成するとともに、円環プレート(44)の周縁部(44c)にオイル通過孔(44d)を設け、偏心軸部(28b)と円環プレート(44)との間の偏心軸部側隙間(48)をオイル通過孔(44d)でオイル通過隙間(47)と連通させた、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
(請求項1に係る発明)
《効果》 クランク軸のジャーナル部の摩耗を低減することができる。
図1(A)に例示するように、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)にクランク室壁(41)からベアリングボス(42)の突出端(42b)に至るリブ(45)を設けたので、クランク室(13)内の多くのオイルミストが広いリブ表面(45a)で凝縮し、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)からベアリングボス(42)の突出端(42b)を経て、円環プレート(44)と軸受けベアリング(43)との間に流れ落ちる。このため、クランク軸(28)のジャーナル部(28a)へのオイル供給が促進され、この部分の摩耗を低減することができる。
《効果》 低コストで実施することができる。
図1(A)に例示するように、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)にクランク室壁(41)からベアリングボス(42)の突出端(42b)に至るリブ(45)を設けることで上記摩耗低減効果が得られるため、低コストで実施することができる。
(請求項2に係る発明)
《効果》 クランク軸のジャーナル部の摩耗低減効果が高くなる。
図1(A)、図2(B)に例示するように、ベアリングボス(42)の斜め上の上周壁(42a)に窪み(42c)を設け、この窪み(42c)の最も低い位置で、ベアリングボス(42)の突出端(42b)に軸受けベアリング(43)に向かう斜め下向きの溝(42d)を設けたので、窪み(42c)内のオイルが溝(42d)に集められる。また、溝(42d)の下り傾斜面を垂直または下り傾斜のリブ表面(45a)と連続させたので、リブ表面(45a)で凝縮し、流れ落ちてきたオイルも、溝(42d)に集められる。このように、溝(42d)にオイルを集合させ、軸受けベアリング(43)にオイルを集中的に供給するので、クランク軸(28)のジャーナル部(28a)の摩耗低減効果が高くなる。
(請求項3に係る発明)
《効果》 クランク軸のジャーナル部の摩耗低減効果が高くなる。
図1(A)に例示するように、シリンダブロック(24)にシリンダヘッド(25)からのオイル流出を案内するオイル流出通路(46)を設け、このオイル流出通路(46)の通路出口(46a)を、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)に、その上方から臨ませたので、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)から流れ落ちるオイル量が多くなり、クランク軸(28)のジャーナル部(28a)の摩耗低減効果が高くなる。
(請求項4に係る発明)
《効果》 クランク軸のジャーナル部の摩耗低減効果が高くなる。
図1(A)に例示するように、隆起部(44a)の上方で、円環プレート(44)の周縁部(44c)と軸受けベアリング(43)との間に、オイル通過隙間(47)を形成したので、軸受けベアリング(43)に軸受けされたクランク軸(28)のジャーナル部(28a)へのオイル供給が促進され、この部分の摩耗低減効果が高くなる。
(請求項5に係る発明)
《効果》 クランク軸のジャーナル部の摩耗を低減することができる。
図9(A)に例示するように、隆起部(44a)の上方で、円環プレート(44)の周縁部(44c)と軸受けベアリング(43)との間に、オイル通過隙間(47)を形成するので、円環プレート(44)と軸受けベアリング(43)との間にオイルがスムーズに流入する。しかも、円環プレート(44)の周縁部(44c)にオイル通過孔(44d)を設け、偏心軸部(28b)と円環プレート(44)との間の偏心軸部側隙間(48)をオイル通過孔(44d)でオイル通過隙間(47)と連通させたので、オイル通過隙間(47)からオイル通過孔(44d)を介して偏心軸部側隙間(48)にオイルを供給することができ、このオイルが円環プレート(44)の中心孔(44e)から軸受けベアリング(43)側に戻る。このようにして、クランク軸(28)のジャーナル部(28a)へのオイル供給が促進され、この部分の摩耗を低減することができる。
《効果》 低コストで実施することができる。
図9(A)に例示するように、円環プレート(44)の中央部を隆起させ、円環プレート(44)の周縁部(44c)にオイル通過孔(44d)を設けることにより、上記摩擦低減効果が得られるため、低コストで実施することができる。
(請求項6に係る発明)
《効果》 クランク軸のジャーナル部の摩耗低減効果が高くなる。
図10(A)に例示するように、隆起部(44a)の上方で、円環プレート(44)の周縁部(44c)と軸受けベアリング(43)との間に、オイル通過隙間(47)を形成するので、円環プレート(44)と軸受けベアリング(43)との間にオイルがスムーズに流入する。しかも、円環プレート(44)の周縁部(44c)にオイル通過孔(44d)を設け、偏心軸部(28b)と円環プレート(44)との間の偏心軸部側隙間(48)をオイル通過孔(44d)でオイル通過隙間(47)と連通させたので、オイル通過隙間(47)からオイル通過孔(44d)を介して偏心軸部側隙間(48)にオイルを供給することができ、このオイルが円環プレート(44)の中心孔(44e)から軸受けベアリング(43)側に戻る。このようにして、クランク軸(28)のジャーナル部(28a)へのオイル供給が促進され、この部分の摩耗を低減することができる。
《効果》 低コストで実施することができる。
図10(A)に例示するように、円環プレート(44)の中央部を隆起させ、円環プレート(44)の周縁部(44c)にオイル通過孔(44d)を設けることにより、上記摩擦低減効果が得られるため、低コストで実施することができる。
(請求項7に係る発明)
《効果》 クランク軸のジャーナル部の摩耗低減効果が高くなる。
図6(A)(B)に例示するように、オイル面上方領域とバランサ下方領域(2)とは上絞り連通部(5)で連通させるので、上絞り連通部(5)から吹き上がるオイルが、適度なオイルミストとなる。このため、クランク軸(28)のジャーナル部(28a)へのオイル供給が促進され、この部分の摩耗低減効果が高くなる。
《効果》 オイル面の波立ちを抑制することができる。
図6(A)(B)に例示するように、バランサ(1)の昇降による隔壁周囲領域のオイル面(4)の波立ちを抑制することができる。このため、クランク室(13)内での過剰なオイルミストの発生を抑制することができ、過剰なオイル消費を抑制することができる。
《効果》 バランサの昇降で攪拌されるオイルの量を少なくすることができる。
図6(A)(B)に例示するように、エンジン運転中は、バランサ(1)の昇降で隔壁内空間のオイル(7)のオイル面(7a)が隔壁周囲領域のオイル(8)のオイル面(4)よりも低くなるようにしたため、バランサ下方領域でのオイルの充満が抑制されることにより、バランサ(1)の昇降で攪拌されるオイルの量を少なくすることができる。このため、バランサ昇降時の抵抗が小さくなり、運転中の馬力ロスを小さくすることができる。また、オイル温度の上昇が抑制され、オイルの潤滑性能の低下や、酸化が起こりにくい。
(請求項8に係る発明)
《効果》 クランク軸のジャーナル部の摩耗低減効果が高くなる。
図6(A)(B)に例示するように、バランサ上面にオイル溜め凹部(10)を形成し、オイル溜め凹部(10)に溜まったオイル(11)をコンロッド下端のオイルデッパ(12)でクランク室(13)内に跳ね上げるようにしたので、この跳ね上げられたオイルが適度なオイルミストとなる。このため、クランク軸(28)のジャーナル部(28a)へのオイル供給が促進され、この部分の摩耗低減効果が高くなる。
(請求項9の発明)
《効果6》 オイル溜め凹部のオイル溜まりを促進することができる。
図6(A)(B)に例示するように、バランサ上面にオイル溜め凹部(10)に向かう下り傾斜面(14)を形成したため、オイル溜め凹部(10)のオイルの溜まりを促進することができる。
(請求項10の発明)
《効果》 隔壁周囲領域のオイル面上方空間にある部品の潤滑が効率よく行える。
図8に例示するように、バランサ(1)の下降で跳ね上げられる隔壁内空間のオイル(7)がオイル案内板(35)の案内で隔壁周囲領域のオイル面上方空間に案内されるようにしたため、隔壁周囲領域のオイル面上方空間にある部品の潤滑が効率よく行える。
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図8はいずれも本発明の第1実施形態に係る往復動バランサ付きエンジンを説明する図で、この実施形態では単気筒の往復動バランサ付き縦型ガソリンエンジンを用いて説明する。
このエンジンの概要は、次の通りである。
図5に示すように、シリンダブロック(24)の上部にシリンダヘッド(25)を組み付け、シリンダヘッド(25)の上方に燃料タンク(26)を配置している。シリンダブロック(24)は、クランクケース(13)とオイル溜め(19)とシリンダ(27)との一体鋳造物である。クランクケース(13)内にクランク軸(28)を架設し、シリンダ(27)にピストン(29)を内嵌し、クランク軸(28)とピストン(29)とをコンロッド(30)で連結している。オイル溜め領域では往復動バランサ(1)を昇降させる。
往復動バランサの概要は、次の通りである。
図7(A)に示すように、バランサ下方領域に配置した直進ガイド(9)をオイル溜め(19)の底壁に立設している。図7(B)に示すように、平面視でバランサ(1)の中央部にガイド孔(31)をあけ、ここに直進ガイド(9)を内嵌させている。クランク軸(28)の架設方向を前後方向と見て、バランサ(1)の前後に一対の連動アーム(32)(32)を配置し、図3に示すように、この連動アーム(32)(32)を介してバランサ(1)をクランク軸(28)に連動連結し、バランサ(1)の昇降をピストン(29)の昇降と同期させ、図6(A)に示すように、ピストン(29)の上昇時にはバランサ(1)を下降させ、図6(B)に示すように、ピストン(29)の下降時にはバランサ(1)を上昇させるようになっている。
クランク軸の軸受け構造は、次の通りである。
図1(A)に示すように、クランク室壁(41)の内面からクランク室(13)内に向けてベアリングボス(42)を突出させ、このベアリングボス(42)に軸受けベアリング(43)を内嵌し、この軸受けベアリング(43)でクランク軸(28)のジャーナル部(28a)を軸受けしている。図4に示すように、クランク軸(28)の下方に往復動バランサ(1)を配置し、クランク軸(28)の偏心軸部(28b)に連動アーム(32)の上端部(32a)を外嵌させ、連動アーム(32)の下端部(32b)に往復動バランサ(1)を連結し、クランク軸(28)から連動アーム(32)を介して往復動バランサ(1)を連動するようにしている。
図1(A)、図2(B)に示すように、クランク軸(28)の偏心軸部(28b)の隣で、クランク軸(28)に円環プレート(44)を嵌め、この円環プレート(44)を軸受けベアリング(43)と偏心軸部(28b)との間に介在させるに当たり、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)にクランク室壁(41)からベアリングボス(42)の突出端(42b)に至るリブ(45)を設けている。
リブ周辺の構造は、次の通りである。
図2(A)(B)に示すように、クランク軸軸線(28c)と平行な向きに見て、ベアリングボス(42)の斜め上の上周壁(42a)に窪み(42c)を設け、この窪み(42c)の最も低い位置で、ベアリングボス(42)の突出端(42b)に軸受けベアリング(43)に向かう斜め下向きの溝(42d)を設け、この溝(42d)の下り傾斜面(42e)を垂直(または下り傾斜)のリブ表面(45a)と連続させている。図1(A)に示すように、シリンダブロック(24)にシリンダヘッド(25)からのオイル流出を案内するオイル流出通路(46)を設け、このオイル流出通路(46)の通路出口(46a)を、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)に、その上方から臨ませている。
軸受けベアリング周辺の構造は、次の通りである。
図1(A)に示すように、軸受けベアリング(43)にボールベアリングを用いるに当たり、円環プレート(44)の中央部を隆起させ、この隆起部(44a)の隆起端面(44b)がボールベアリングの内輪(43a)の内端面(43b)に当接するようにし、隆起部(44a)の上方で、円環プレート(44)の周縁部(44c)と軸受けベアリング(43)との間に、オイル通過隙間(47)を形成している。図中の符号(43c)はボールベアリングの外輪を示している。
バランサの昇降によるオイルの波立ちを防止する工夫は、次の通りである。
図6(A)(B)に示すように、バランサ昇降領域とバランサ下方領域(2)とを隔壁(3)で囲み、この隔壁(3)で隔壁内部領域と隔壁周囲領域とを区画し、隔壁(3)の上開口縁(3a)は隔壁周囲領域のオイル面(4)よりも高く位置させ、そのオイル面上方領域とバランサ下方領域(2)とは上絞り連通部(5)で連通させ、バランサ下方領域(2)と隔壁周囲領域とは下絞り連通部(6)で連通させることにより、エンジン運転中は、バランサ(1)の昇降で隔壁内空間のオイル(7)のオイル面(7a)が隔壁周囲領域のオイル(8)のオイル面(4)よりも低くなるようにしてある。図6(A)(B)中の符号(4a)は規定オイル面の上限、(4b)は規定オイル面の下限を示している。規定オイル面の上限とは使用許容範囲中の最も高いオイル面位置、規定オイル面の下限とは使用許容範囲中の最も低いオイル面位置をいう。図6(A)に示すように、隔壁(3)の上開口縁(3a)は下降時の往復動バランサ(1)の上縁よりも高い位置に形成している。このように、隔壁(3)の上開口縁(3a)が比較的高い位置にあるため、上絞り連通部(5)を上昇したオイル(8)が隔壁(3)の案内でクランク室(13)内で高く噴き上げられ、オイルミストの効率的な発生によって、エンジン各部の潤滑性が高まる。また、隔壁(3)の上開口縁(3a)が比較的高い位置にあるため、隔壁(3)の上からのオイル(8)の侵入が防止され、隔壁内空間のオイル(7)のオイル面(7a)が適正な低さに維持される。
オイルの波立ちが防止される原理は、次のようなものと考えられる。
図6(A)に示すように、バランサ下降時には、バランサ下方領域(2)内の空気が圧縮され、この圧縮空気を介してバランサ下方領域(2)のオイル(7)が下向きに押され、オイル(7)が下絞り連通部(6)から隔壁周囲領域に排出される。図1(B)に示すように、バランサ上昇時には、バランサ下方領域(2)で発生する負圧でオイル面上方領域の空気が上絞り連通部(5)からバランサ下方領域(2)に吸入され、隔壁周囲領域のオイル(8)が下絞り連通部(6)からバランサ下方領域(2)に吸い戻されるのが抑制される。そして、このような排出と吸い戻しの抑制との釣り合いにより、隔壁内空間のオイル(7)のオイル面(7a)が隔壁周囲領域のオイル(8)のオイル面(4)よりも低い位置で平衡に達するものと考えられる。
オイルの波立ちを抑制する要素の詳細は、次の通りである。
図6(A)(B)に示すように、上絞り連通部(5)をバランサ(1)と隔壁(3)との隙間で形成し、下絞り連通部(6)を隔壁(3)とオイル溜め底壁(18)との隙間で形成している。図7(B)に示すように、隔壁(3)を鋳造製のオイル溜め(19)とは別部品の板金製のコの字形枠材で構成し、バランサ昇降領域とバランサ下方領域(2)の三方をコの字形枠材(3)で取り囲み、残りの一方をオイル溜め縦壁(15)に対面させている。コの字形枠材(3)の両折り返し端部(16)を前記オイル溜め縦壁(15)に固定し、このオイル溜め縦壁(15)を奥と見て、コの字形枠材(3)の手前部分(17)をオイル溜め底壁(18)に固定している。シリンダブロック下部(20)にコの字状枠材(3)を取り付けるに当たり、オイル溜め縦壁(15)と対向するシリンダブロック下部縦壁(21)を、蓋壁(22)として構成し、蓋壁(22)の外れたシリンダブロック下部(20)の縦開口部(23)からコの字状枠材(3)をオイル溜め(19)内に取り付けられるようにしている。
クランク室内の潤滑を確保する工夫は、次の通りである。
図6(B)に示すように、バランサ上面にオイル溜め凹部(10)を形成し、オイル溜め凹部(10)に溜まったオイル(11)をコンロッド下端のオイルデッパ(12)でクランクケース(13)内に跳ね上げるようにしている。オイルデッパ(12)をコンロッドボルトで兼用させている。図6(A)(B)及び図3に示すように、バランサ上面にオイル溜め凹部(10)に向かう下り傾斜面(14)を形成している。図6(A)(B)中の鎖線は、オイルデッパ(12)の移動軌跡である。隔壁(3)の上部には、オイルデッパ(12)が通過する切欠き(33)を設けている。
隔壁(3)の切欠き(33)の構成は、次の通りである。
図8に示すように、隔壁(3)にその上開口縁(3a)から下向きに切欠き(33)を形成し、この切欠き(33)の下縁(34)から隔壁周囲領域のオイル面上方空間に向けてオイル案内板(35)を上り傾斜状に導出することにより、図6(A)に示すように、バランサ(1)の下降で跳ね上げられる隔壁内空間のオイル(7)がオイル案内板(35)の案内で隔壁周囲領域のオイル面上方空間に案内されるようにしている。この隔壁周囲領域のオイル面上方空間には動弁カム軸(36)が配置され、この動弁カム軸(36)の潤滑が促進される。
第2実施形態の構成は、次の通りである。
図9(A)に示すように、円環プレート(44)の周縁部(44c)にオイル通過孔(44d)を設け、偏心軸部(28b)と円環プレート(44)との間の偏心軸部側隙間(48)をオイル通過孔(44d)でオイル通過隙間(47)と連通させている。第1実施形態と異なり、リブは形成していない。他は、第1実施形態と同じにしてある。図9中、第1実施形態と同じ要素には同じ符号を付しておく。
第3実施形態の構成は、次の通りである。
図10(A)に示すように、円環プレート(44)の周縁部(44c)にオイル通過孔(44d)を設け、偏心軸部(28b)と円環プレート(44)との間の偏心軸部側隙間(48)をオイル通過孔(44d)でオイル通過隙間(47)と連通させている。リブ(45)も含め、他は第1実施形態と同じにしてある。図10中、第1実施形態と同じ要素には同じ符号を付しておく。
本発明の第1実施形態に係る往復動バランサ付きエンジンの要部を説明する図で、図1(A)は図3のA矢視部拡大図、図1(B)は円環プレートの縦断側面図、図1(C)は円環プレートの正面図である。 本発明の第1実施形態に係る往復動バランサ付きエンジンのシリンダブロックを説明する図で、図2(A)は正面図、図2(B)は図2(A)のB矢視部拡大図である。 本発明の第1実施形態に係る往復動バランサ付きエンジンの縦断側面図である。 本発明の第1実施形態に係る往復動バランサ付きエンジンの連動アームと往復動バランサとその周辺部分の正面図である。 本発明の第1実施形態に係る往復動バランサ付きエンジンの縦断正面図である。 図5のエンジンの往復動バランサとその周辺の縦断正面図で、図6(A)は往復動バランサの下降状態、図6(B)は往復動バランサの上昇状態を示している。 図5のエンジンのシリンダブロックの下部を説明する図で、図7(A)は縦断正面図、図7(B)は図7(A)のB−B線断面図である。 図5のエンジンで用いる隔壁の斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る往復動バランサ付きエンジンの要部を説明する図で、図9(A)は図1(A)相当図、図9(B)は円環プレートの縦断側面図、図9(C)は円環プレートの正面図である。 本発明の第3実施形態に係る往復動バランサ付きエンジンの要部を説明する図で、図10(A)は図1(A)相当図、図10(B)は円環プレートの縦断側面図、図10(C)は円環プレートの正面図である。
符号の説明
(1)…バランサ、(2)…バランサ下方領域、(3)…隔壁(コの字状部材)、(3a)…上開口縁、(4)…隔壁周囲領域のオイル面、(4a)…規定オイル面上限、(4a)…規定オイル面下限、(5)…上絞り連通部、(6)…下絞り連通部、(7)…バランサ下方領域のオイル、(7a)…オイル面、(8)…隔壁周囲領域のオイル、(9)…直進ガイド、(10)…オイル溜め凹部、(11)…オイル溜め凹部に溜まったオイル、(12)…オイルデッパ、(13)…クランク室、(14)…下り傾斜面、(28)…クランク軸、(28a)…ジャーナル部、(28b)…偏心軸部、(28c)…クランク軸軸線、(32)…連動アーム、(32a)…上端部、(32b)…下端部、(33)…切欠き、(34)…下縁、(35)…オイル案内板、(41)…クランク室壁、(42)…ベアリングボス、(42a)…上周壁、(42b)…突出端、(42c)…窪み、(42d)…溝、(42e)…下り傾斜面、(43)…軸受けベアリング、(43a)…内輪、(43b)…内端面、(44)…円環プレート、(44a)…隆起部、(44b)…隆起端面、(44c)…周縁部、(44d)…オイル通過孔、(44e)…中心孔、(45)…リブ、(45a)…リブ表面、(46)…オイル流出通路、(46a)…通路出口、(47)…オイル通過隙間、(48)…偏心軸部側隙間。

Claims (10)

  1. クランク室壁(41)の内面からクランク室(13)内に向けてベアリングボス(42)を突出させ、このベアリングボス(42)に軸受けベアリング(43)を内嵌し、この軸受けベアリング(43)でクランク軸(28)のジャーナル部(28a)を軸受けし、クランク軸(28)の下方に往復動バランサ(1)を配置し、クランク軸(28)の偏心軸部(28b)に連動アーム(32)の上端部(32a)を外嵌させ、連動アーム(32)の下端部(32b)に往復動バランサ(1)を連結し、クランク軸(28)から連動アーム(32)を介して往復動バランサ(1)を連動するようにした、往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    クランク軸(28)の偏心軸部(28b)の隣で、クランク軸(28)に円環プレート(44)を嵌め、この円環プレート(44)を軸受けベアリング(43)と偏心軸部(28b)との間に介在させるに当たり、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)にクランク室壁(41)からベアリングボス(42)の突出端(42b)に至るリブ(45)を設けた、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
  2. 請求項1に記載した往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    クランク軸軸線(28c)と平行な向きに見て、ベアリングボス(42)の斜め上の上周壁(42a)に窪み(42c)を設け、この窪み(42c)の最も低い位置で、ベアリングボス(42)の突出端(42b)に軸受けベアリング(43)に向かう斜め下向きの溝(42d)を設け、この溝(42d)の下り傾斜面(42e)を垂直または下り傾斜のリブ表面(45a)と連続させた、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
  3. 請求項1または請求項2に記載した往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    シリンダブロック(24)にシリンダヘッド(25)からのオイル流出を案内するオイル流出通路(46)を設け、このオイル流出通路(46)の通路出口(46a)を、ベアリングボス(42)の上周壁(42a)に、その上方から臨ませた、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載した往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    軸受けベアリング(43)にボールベアリングを用いるに当たり、円環プレート(44)の中央部を隆起させ、この隆起部(44a)の隆起端面(44b)がボールベアリングの内輪(43a)の内端面(43b)に当接するようにし、隆起部(44a)の上方で、円環プレート(44)の周縁部(44c)と軸受けベアリング(43)との間に、オイル通過隙間(47)を形成した、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
  5. クランク室壁(41)の内面からクランク室(13)内に向けてベアリングボス(42)を突出させ、このベアリングボス(42)に軸受けベアリング(43)を内嵌し、この軸受けベアリング(43)でクランク軸(28)のジャーナル部(28a)を軸受けし、クランク軸(28)の下方に往復動バランサ(1)を配置し、クランク軸(28)の偏心軸部(28b)に連動アーム(32)の上端部(32a)を外嵌させ、連動アーム(32)の下端部(32b)に往復動バランサ(1)を連結し、クランク軸(28)から連動アーム(32)を介して往復動バランサ(1)を連動するようにした、往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    クランク軸(28)の偏心軸部(28b)の隣で、クランク軸(28)に円環プレート(44)を嵌め、この円環プレート(44)を軸受けベアリング(43)と偏心軸部(28b)との間に介在させ、軸受けベアリング(43)にボールベアリングを用いるに当たり、円環プレート(44)の中央部を隆起させ、この隆起部(44a)の隆起端面(44b)がボールベアリングの内輪(43a)の内端面(43b)に当接するようにし、隆起部(44a)の上方で、円環プレート(44)の周縁部(44c)と軸受けベアリング(43)との間に、オイル通過隙間(47)を形成するとともに、円環プレート(44)の周縁部(44c)にオイル通過孔(44d)を設け、偏心軸部(28b)と円環プレート(44)との間の偏心軸部側隙間(48)をオイル通過孔(44d)でオイル通過隙間(47)と連通させた、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
  6. 請求項1から請求項4に記載した往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    クランク軸(28)の偏心軸部(28b)の隣で、クランク軸(28)に円環プレート(44)を嵌め、この円環プレート(44)を軸受けベアリング(43)と偏心軸部(28b)との間に介在させ、軸受けベアリング(43)にボールベアリングを用いるに当たり、円環プレート(44)の中央部を隆起させ、この隆起部(44a)の隆起端面(44b)がボールベアリングの内輪(43a)の内端面(43b)に当接するようにし、隆起部(44a)の上方で、円環プレート(44)の周縁部(44c)と軸受けベアリング(43)との間に、オイル通過隙間(47)を形成するとともに、円環プレート(44)の周縁部(44c)にオイル通過孔(44d)を設け、偏心軸部(28b)と円環プレート(44)との間の偏心軸部側隙間(48)をオイル通過孔(44d)でオイル通過隙間(47)と連通させた、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載した往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    オイル溜め領域で往復動バランサ(1)を昇降させるに当たり、
    上記バランサ昇降領域とバランサ下方領域(2)とを隔壁(3)で囲み、この隔壁(3)で隔壁内部領域と隔壁周囲領域とを区画し、隔壁(3)の上開口縁(3a)は隔壁周囲領域のオイル面(4)よりも高く位置させ、そのオイル面上方領域とバランサ下方領域(2)とは上絞り連通部(5)で連通させ、バランサ下方領域(2)と隔壁周囲領域のオイル面下方領域とは下絞り連通部(6)で連通させることにより、
    エンジン運転中は、バランサ(1)の昇降で隔壁内空間のオイル(7)のオイル面(7a)が隔壁周囲領域のオイル(8)のオイル面(4)よりも低くなるようにした、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
  8. 請求項7に記載した往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    バランサ上面にオイル溜め凹部(10)を形成し、オイル溜め凹部(10)に溜まったオイル(11)をコンロッド下端のオイルデッパ(12)でクランク室(13)内に跳ね上げるようにした、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
  9. 請求項8に記載した往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    バランサ上面にオイル溜め凹部(10)に向かう下り傾斜面(14)を形成した、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載した往復動バランサ付きエンジンにおいて、
    隔壁(3)にその上開口縁(3a)から下向きに切欠き(33)を形成し、この切欠き(33)の下縁(34)から隔壁周囲領域のオイル面上方空間に向けてオイル案内板(35)を上り傾斜状に導出することにより、
    バランサ(1)の下降で跳ね上げられる隔壁内空間のオイル(7)がオイル案内板(35)の案内で隔壁周囲領域のオイル面上方空間に案内されるようにした、ことを特徴とする往復動バランサ付きエンジン。

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JP7489413B2 (ja) 2022-02-22 2024-05-23 ダイハツ工業株式会社 内燃機関

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