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JP2005272664A - 可溶性シクロデキストリンポリマー及びその製造方法 - Google Patents

可溶性シクロデキストリンポリマー及びその製造方法 Download PDF

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JP2005272664A JP2004088648A JP2004088648A JP2005272664A JP 2005272664 A JP2005272664 A JP 2005272664A JP 2004088648 A JP2004088648 A JP 2004088648A JP 2004088648 A JP2004088648 A JP 2004088648A JP 2005272664 A JP2005272664 A JP 2005272664A
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Heiki Sai
炳基 崔
Yuji Suwa
雄二 諏訪
Tomihiro Hashizume
富博 橋詰
Yasuhiko Terada
康彦 寺田
Kozo Ito
耕三 伊藤
Takeshi Shimomura
武史 下村
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Abstract

【課題】シクロデキストリンからなる分子ナノチューブの合成を従来よりも良い収率で短時間に行うこと。また、水または有機溶媒のどちらか、あるいはその両方に溶ける分子ナノチューブ(シクロデキストリンポリマー)を得ること。
【解決手段】軸10の高分子にシクロデキストリン20を形成した包接錯体、分子ネックレス作成の後、軸10の両末端からシクロデキストリンが外れて解離しないようにするストッパーとして、シクロデキストリンの空洞の内径よりも大きな置換基30(例えば2,4−ジニトロフルオロベンゼン)を付け、ポリロタキサンを合成する。その後、有機溶媒中で架橋処理を行い、ついで脱保護処理を行う。また、シクロデキストリンポリマーに側鎖を導入することにより、可溶性を高める。
【選択図】図8

Description

本発明はシクロデキストリンポリマー及びその製造方法に関する。
シクロデキストリンは環状構造を持つマルトオリゴ糖の総称で、主なものとして、6個、7個又は8個のD−グルコピラノース残基がα−1,4グルコシド結合によってそれぞれ環状に結合した、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが良く知られている。シクロデキストリンは、環状構造の外側に親水基、内側に疎水基を持つのが特徴で、このために環の内側にゲスト化合物を包接し易い性質を持つことが知られている。シクロデキストリンの環の内径によって、包接され易いゲスト化合物の大きさはそれぞれ異なる。
図1は、いわゆる、シクロデキストリンを模式的に示す図であり、内径が5Å程度、外径が13Åおよび長さが7Å程度のものである。
シクロデキストリンの種類によって、環の内側の空洞の大きさ及び深さに多少の違いはあるが、その違いは限定的で、その包接能の多様性にも限界がある。しかし複数のシクロデキストリンを規則的に配列して架橋した分子ナノチューブを作成すれば、より奥行きの長い空洞を作ることができるので、単体のシクロデキストリンとは異なる包接能を持った多様な化合物(シクロデキストリンポリマー)を得ることができる。
このシクロデキストリンポリマーの合成方法としては、水溶液を溶媒とする方法(特許文献1:特許第3288149号明細書)が知られている。そこではまず、芯物質となるポリマーのポリエチレングリコールビスアミンに、環状のシクロデキストリンを複数通した構造の錯体を形成する。そして、シクロデキストリンが容易に外れないようにするためのストッパーとして、前記芯物質となるポリマーの両端にシクロデキストリンの内径よりも大きな置換基を付ける。
このように高分子を軸としてそこに多数の回転可能な環状分子を通し、両端から外れない構造にしたものをポリロタキサンと呼ぶ。ここで出来たポリロタキサンを水酸化ナトリウム溶液中に溶解し、隣合うシクロデキストリンの水酸基と反応して化学的に結合させる(架橋させる)ための架橋剤、例えばエピクロルヒドリンを添加し架橋反応を起こさせる。その後に高濃度の水酸化ナトリウム溶液で処理することによりポリマー両端のストッパーの置換基を除去する(脱保護)反応を起こさせ、芯物質のポリマーを分離すれば、シクロデキストリンが架橋された、シクロデキストリンポリマーを得ることができる。
特許第3288149号明細書
従来の方法では、架橋反応を起こさせる際に同時に脱保護反応をひき起こす水酸化ナトリウムを使用しなければならない、そのため、十分に架橋反応が起こる前にストッパーの置換基が除去されてしまい、シクロデキストリンが外れてしまう可能性がある。その結果シクロデキストリンポリマーの収率が悪くなったり、分子量の大きいものの作成が困難であったりする恐れがある。
そこで本発明では、シクロデキストリン間の水酸基の架橋反応とストッパーの置換基の脱保護反応を分離し、もっと高い分子量や収率を持つ分子ナノチューブの製造方法を提供する。
また、従来の構造のシクロデキストリンポリマーは有機溶剤への可溶性は低く、そのために、用途が限定的である。
そこで本発明では、水や様々な有機溶媒にも溶ける、或いは水と有機溶媒のどちらにも溶けるシクロデキストリンポリマー及びその製造方法を提供する。有機溶媒と水の両方に溶ける分子ナノチューブであれば、例えば医療応用において、医薬物質を分子ナノチューブに包接させて血液中に投与し、目的の体内組織へ医薬物質を送り込む、いわゆる、ドラッグデリバリーを行う際に、がん細胞のような脂溶性物質を取り込みやすい部位へ選択的にデリバリーを行うことができる。
原料のシクロデキストリンからシクロデキストリンポリマーを合成する工程の中に、シクロデキストリンがビーズのように高分子に連なった状態のポリロタキサンに架橋反応を起こさせ、シクロデキストリン間を結合させる工程がある。従来、水酸化ナトリウムの水溶液中で行っていたこの工程を、N,N−ジメチルホルムアミド、またはジメチルスルオキシド等の有機溶媒の中で行う。こうすることによって、架橋反応の最中に軸の高分子の両端にあるストッパーの置換基が外れてしまうことを防ぐことができる。その結果、架橋反応が終わる前にシクロデキストリンが軸から外れてしまう恐れが無くなって、シクロデキストリンポリマーの収率が良くなり、分子量の大きいものの作成が容易になる。
また、従来の構造のシクロデキストリンポリマーに対して、メチルメチルエーテルやヘキシル基等の様々な側鎖を導入することによって、水や様々な有機溶媒への可溶性を高め、水または有機溶媒のどちらか、あるいはその両方に溶ける可溶性シクロデキストリンポリマーを作成する。
シクロデキストリンからなる分子ナノチューブの合成を従来よりも良い収率で短時間に行うことができる。また、水または有機溶媒のどちらか、または両方に溶ける分子ナノチューブ(シクロデキストリンポリマー)を得ることができる。
(実施例の概要の説明)
図2から図5の模式図を用いてシクロデキストリンポリマーの合成方法を示す。
図2は複数のシクロデキストリンを軸となる線状高分子のポリエチレングリコールビスアミン(PEG−BA)で貫通した形の包接錯体(MN−1)を示す図である。アミノ基を両末端に有する線状高分子のポリエチレングリコールビスアミン(PEG−BA)(重量平均分子量、MW=1248)10とシクロデキストリン(CD)20を材料として、複数のシクロデキストリン20を軸10で貫通した形の包接錯体(MN−1)を形成する。この包接錯体を分子ネックレスと呼ぶことにする。この分子ネックレスでは、シクロデキストリン20は軸10に沿って移動可能であり、軸10の高分子の両端から外れてしまう可能性がある。この分子ネックレス作成の工程においては、材料及び生成物の混合液をアセトンに再沈殿し、後処理を単純化する。
図3は、分子ネックレスの両末端からシクロデキストリンが外れて解離しないようにストッパー30を付加することで作成したポリロタキサン(MN−2)を示す図である。分子ネックレス作成の工程の後、両末端からシクロデキストリンが外れて解離しないようにするストッパー30として、シクロデキストリンの空洞の内径よりも大きな置換基(例えば2,4−ジニトロフルオロベンゼン)を付け、ストッパーとなるポリロタキサン(MN−2)を合成する。この時、温度を上げないで室温で反応させることにより、再沈殿でうまく未反応物を除去することができる。
図4は、ポリロタキサン(MN−2)中のシクロデキストリン20間を架橋することにより作成した架橋ポリロタキサン(PEG−MT)を示す図である。ポリロタキサン(MN−2)を有機溶媒に入れて、シクロデキストリン20間に架橋反応を起こさせることにより架橋体40を形成し、架橋ポリロタキサン(PEG−MT)を作成する。有機溶媒中で架橋体40の形成を行うことにより、架橋体40の形成工程にストッパー30の置換基を除去する脱保護反応が起こってしまう可能性を無くすことができる。その結果、より良い収率を得ることが可能となり、より長さの長い分子ナノチューブを得る可能性が高まった。
図5は、目的とする分子ナノチューブ(シクロデキストリンポリマー)が得られた結果を示す図である。架橋体40の形成工程後に、有機溶媒中でストッパーの置換基30を除去(脱保護)し、さらに包接されていた高分子10を除去する。この後、有機溶媒を中和した後、再沈殿等のすべての作業を省略し、クロマトグラフィカラムに通すことにより塩と低分子の不純物や残った架橋体を除去する。
上記工程による処理によって、全工程の収率は30%程度となり、従来の方法で予想される収率(10%以下)より大幅に高い。また従来の方法の半分以下の時間で、より大きな分子量の分子ナノチューブを合成することができる。
図6は脱保護反応を終えた後、有機溶媒を中和し、クロマトグラフィカラム(Sephadex G−100を使用、展開溶媒は水)にかけて得られた結果を示す図である。結果は1から8の成分に分離され、22分付近に分子ナノチューブ(MT)に由来すると見られるピークが観測される。15分付近のピークは複数の分子ナノチューブが結合してしまったものと思われる。また、30分前後でα−シクロデキストリンやジニトロベンゼン等の低分子の原料に由来すると見られる小さいピークが観測される。
この結果から、塩と低分子の不純物や架橋体をカラムに掛けるだけで除去できることが分かる。成分1〜3を集めて収率を計算して見ると、架橋ポリロタキサンから分子ナノチューブへの反応は90%以上(従来の方法では最大25%)の高い収率を示している。また、目的外の複数分子ナノチューブが結合したものと、目的の分子ナノチューブの分離も分取HPLC(高速液体クロマトグラフィ)(Sephadex G−100、展開溶媒は水)で行われる。
図7は原料と分子ナノチューブ(MT)のNMRスペクトルを示す図である。シクロデキストリン(CD)とポリエチレングリコールビスアミン(PEG−BA(重量平均分子量、MW=3550))から得られた包接錯体(MN−1)のスペクトルを比較してみると、CDとPEG−BAのプロトンピークがよく観測されている。またこの構造はポリロタキサン(MN−2)で見ても、プロトンピークの位置がほぼ同じ位置に維持されていることが分かる。CD間の水酸基を架橋し、脱保護して得た分子ナノチューブ(MT)では4.5−5.0ppm付近のピークが観測される。これはMN−2に比べ、低磁場側に0.5ppm程度シフトしていることを示している。また、その積分値からヒドロキシルプロトンピークの面積が分子内のC−Hのプロトンピークに対して相対的に減少していることが分かる。また、PEG−BAに由来する3.5ppm付近のピークがなくなっていることがわかる。
図8は側鎖を導入したシクロデキストリンポリマーを示す模式図である。上述した図2−図4の分子ナノチューブの製造工程のいずれかの段階でシクロデキストリン20に側鎖50を導入することにより、側鎖50を導入した分子ナノチューブを作成することができる。側鎖50を導入した分子ナノチューブは水または様々な有機溶媒、あるいはその両方に対して溶けやすく、分子ナノチューブを利用する上でその使用目的の幅を広げることができる。どのような種類の溶媒に溶けやすいかの特徴は、側鎖の種類によってそれぞれ異なり、分子ナノチューブの使用目的に合わせて側鎖の種類を選択することができる。また、全てのシクロデキストリン20に側鎖を導入する必要はない。
側鎖の例としては、アルキル[(−CH−)n−1CH]、ヒドロキシアルキル[(−CH−)OH]、カルボキシアルキル[(−CH−)COOH]およびそのNa塩、スルホアルキル[(−CH−)SO3H]およびそのNa塩、アセチル[−COCH]、ブチリル[−CO(CH)CH]などのアルキニル[−CO(CH)CH]、サッシニル[−COCHCHCOOH]、ヒドロキシアルキニル[−CO(CH)COOH]およびそのNa塩、カルボキシアルキニル[−CO(CH)OH]、ベンゾイル[−CO−C]、アリル[−CHCHCH]、トシル、パルミトイル、トリフルオロアセチル、シラン等を使用することも考えられる。
側鎖を導入する手順としては、原料のシクロデキストリンに最初に導入しても良いし、シクロデキストリンポリマーを合成するまでの途中の生成物である、分子ネックレス、ポリロタキサン、架橋ポリロタキサンのいずれかの段階で導入しても良い。シクロデキストリンポリマーを合成した後に側鎖を導入して可溶性シクロデキストリンポリマーとしても良い。作成された可溶性シクロデキストリンポリマーがどのような種類の溶媒に溶けやすいかの特徴は、側鎖の種類によってそれぞれ異なり、分子ナノチューブの使用目的に合わせて側鎖の種類を選択することができる。
(実施例1)
実施例1では、α−デキストリンを材料とした分子ナノチューブを作成する方法を説明する。
分子ネックレス(MN−1)の合成
500mlのフラスコにα―シクロデキストリン(CD)25.0g(25.7mmol)をとり、水350mlに溶解させる。そこに、水に溶解させたポリエチレングリコールビスアミン(PEG−BA)1.72g(0.51mmol)を加え室温で二日間撹拌する。次に、0℃で5時間攪拌する。次にアセトンの中に沈殿させ、生成物をろ別する。その後、室温で真空乾燥することによりポリエチレングリコールビスアミンとα−シクロデキストリンとの包接錯体、すなわち分子ネックレス(MN−1)(白い粉末、25.1g、未反応α―シクロデキストリンを含む)を得る。
ポリロタキサン(MN−2)の合成
窒素置換した500mlのシュレンク管に、未反応α―シクロデキストリンを含む分子ネックレス(MN−1)の粉末18g(うち、分子ネックレスは9g、0.39mmol程度)、2,4−ジニトロフルオロベンゼン7.2g(39mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド100mlを加え、窒素気流下室温で12時間攪拌を行う。
これによって分子ネックレスの両末端にストッパーとなる置換基(ジニトロベンゼン)を付け、ポリロタキサン構造とすることでシクロデキストリンが高分子から脱離するのを防止する。次にこの溶液をアセトンに注ぎ、1時間攪拌する。次にろ過により沈殿を集め、ジメチルスルホキシドに溶かす。次に、水に再沈殿させ、沈殿物をろ別する。次に、もう1度ジメチルスルホキシドに溶かす。次に、アセトンに再沈殿させる。これをろ過して沈殿物を回収し、真空乾燥を行って、ポリロタキサン(MN−2)を得る(4.2g、収率47%)。
架橋ポリロタキサン(PEG−MT)の合成
窒素置換した25mlのシュレンク管に、ポリロタキサン(MN−2)700mg(0.026mmol)、エピクロロヒドリン518mg(0.056mmol)及びジメチルスルホキシド20mlを加え、透明になるまで30分程度よく攪拌する。
次に、水素化ナトリウム528mg(22mmol)を加え、室温で12時間攪拌する。次に、エチルアルコールに沈殿させ、ろ別し、再びエチルアルコールで洗浄する。次に、有機溶媒ジメチルスルホキシドに溶かし、アセトンに再沈殿させる。次にろ過によって沈殿物を回収し、真空乾燥を行う。その結果、ポリロタキサン中のシクロデキストリン間の水酸基を架橋した物質、すなわち、架橋ポリロタキサン(PEG−MT)を得る(853mg、収率85%)。この段階で水素化ナトリウム、または水素化カリウム等の還元剤を添加して行うことによって、さらに収率を挙げることもできる。
分子ナノチューブ(MT)の合成
50mlのフラスコに、架橋ポリロタキサン(PEG−MT)853mgと2N(2mol/l)水酸化ナトリウム水溶液40mlを加え、室温で12時間攪拌する。これによって架橋ポリロタキサンの両末端を保護していたジニトロベンゼンまたは誘導体を外し、架橋されたシクロデキストリン(分子ナノチューブ)が高分子から外れることができるようにする。次にその溶液を塩酸水溶液を用いて中和し、そのままカラムクロマトグラフィー(Sephadex G−100、展開溶媒は水)により塩と低分子の不純物をほとんど除去する。次に、分取HPLC(Sephadex G−100、展開溶媒は水)を用いて、分子ナノチューブ同士が架橋してしまったものや、わずかに残った塩および低分子の不純物の分離を更に行い、分子ナノチューブを得る(MT、554mg、収率65%)。
(実施例2)
実施例2ではβ−シクロデキストリンを材料とした分子ナノチューブの作成方法を説明する。
β−シクロデキストリンからなる分子ネックレス(β−MN−1)の合成
まず500mlのフラスコにβ―シクロデキストリン11.4g(10.0mmol)をとり、水400mlに溶解させる。そこに、水に溶解させたポリプロピレングリコールビスアミン1.0g(0.5mmol)を加え室温で二日間撹拌する。次に、遠心機を用いて沈殿物を分離する。次に、室温で真空乾燥を行い、その後更に100℃で真空乾燥を行う。その結果、ポリプロピレングリコールとβ−シクロデキストリンとの包接錯体の分子ネックレス(β−MN−1)(白い粉末、6.77g、収率93%)を得る。
β−シクロデキストリンからなるポリロタキサン(β−MN−2)の合成
窒素置換した50mlのシュレンク管に、β−シクロデキストリンからなる分子ネックレス(β−MN−1)を725mg(0.05mmol)、FMOC−クロリド(9−fluorenylmethyl chloroformate)39mg(0.15mmol)及びN,N−ジメチルホルムアミド20mlを加え、窒素気流下室温で3時間攪拌する。次に50℃で12時間攪拌する。次にその溶液をアセトンに注ぎ、1時間攪拌する。ろ過による沈殿物の回収後、真空乾燥を行う。その結果、β−シクロデキストリンからなるポリロタキサン(β−MN−2)を得る。
β−シクロデキストリンからなる分子ナノチューブ(β−MT)の合成
次は実施例1にならい、実施例1でα−シクロデキストリンを材料にしたポリロタキサン(MN−2)を使う部分をβ−シクロデキストリンを使ったポリロタキサン(β−MN−2)に置換して実施する。その結果、β−シクロデキストリンから成る分子ナノチューブ(β−MT)を得ることができる。
(実施例3)
本実施例ではメチルメチルエーテル(MOM基)を側鎖として導入した分子ナノチューブを、側鎖を導入したポリロタキサン(MOM−MN−2)を経由して作成する方法を説明する。
窒素置換した25mlのシュレンク管に、分子ネックレス(MN−1)100mg(0.0037 mmol)、水素化ナトリウム160mg(6.7mmol)及びジメチルスルホキシド20mlを加え、透明になるまで30分程度よく攪拌する。
次に、クロロメチルメチルエーテル540mg(6.7mmol)を加え、室温で12時間攪拌する。次に、50℃で3時間攪拌する。次に反応溶液をメチルアルコールに注ぎ、1時間攪拌する。次にエバポレーターで溶媒の減圧留去を行う。次に、そこに水を加え攪拌した後、クロロホルムで抽出する。次に溶媒の減圧留去を行い、続いて真空乾燥を行う。その結果、側鎖50としてメチルメチルエーテル(MOM基)を導入したポリロタキサン(MOM−MN−2)を得る(75mg,収率43%)。
後は実施例1にならい、ポリロタキサン(MN−2)を使用するところをメチルメチルエーテル(MOM基)を導入したポリロタキサン(MOM−MN−2)で置換して実施する。その結果、側鎖50としてメチルメチルエーテル(MOM基)を導入した分子ナノチューブ(MOM−MT)を得ることができる。
(実施例4)
実施例4ではメチルメチルエーテル(MOM基)を側鎖として導入した分子ナノチューブ(MOM−MT)を、架橋ポリロタキサンに側鎖を導入することにより作成する方法を説明する。
窒素置換した25mlのシュレンク管に、架橋ポリロタキサン(PEG−MT)40mg(0.001mmol)、水素化ナトリウム22mg(0.92mmol)及びジメチルスルホキシド20mlを加え、30分程度よく攪拌する。
その後、クロロメチルメチルエーテル74mg(0.92mmol)を加え、室温で3時間攪拌する。次に110℃で12時間攪拌する。次に反応溶液をメチルアルコールに注ぎ、1時間攪拌する。次に、エバポレーターで溶媒の減圧留去を行う。そこに、水を加え攪拌した後、クロロホルムで抽出する。次に溶媒の減圧留去を行い、続いて真空乾燥を行う。その結果、側鎖50としてメチルメチルエーテル(MOM)基を導入した架橋ポリロタキサン(MOM−PEG−MT)を得る。
後は実施例1にならい、架橋ポリロタキサン(PEG−MT)を使用するところをメチルメチルエーテルを側鎖50として導入した架橋ポリロタキサン(MOM−PEG−MT)で置換して実施する。その結果、側鎖50としてメチルメチルエーテルを導入した分子ナノチューブ(MOM−MT)を得ることができる。
(実施例5)
実施例5では、側鎖としてヘキシル基を導入した分子ナノチューブを、ポリロタキサンに側鎖を導入することにより作成する方法を説明する。
窒素置換した25mlのシュレンク管に、分子ネックレス(MN−1)100mg(0.0037mmol)、水素化ナトリウム160mg(6.7mmol)及びジメチルスルホキシド20mlを加え、30分程度よく攪拌する。
次に、1−ブロモヘキサン1.1g(6.7mmol)を加え、室温で3時間攪拌する。次に、110℃で12時間攪拌する。次に反応溶液をメチルアルコールに注ぎ、1時間攪拌する。次にエバポレーターで溶媒の減圧留去を行う。そこに、水を加え攪拌し、クロロホルムで抽出する。次に溶媒の減圧留去を行い、続けて真空乾燥を行う。その結果、側鎖50としてヘキシル基を導入したポリロタキサン(hex−MN−2)を得る(197mg,収率82%)。
後は実施例1にならい、ポリロタキサン(MN−2)を使用するところを側鎖50としてヘキシル基を導入したポリロタキサン(hex−MN−2)で置換して実施する。その結果、側鎖50としてヘキシル基を導入した分子ナノチューブ(hex−MT)を得ることができる。
(実施例6)
実施例6では、側鎖としてヘキシル基を導入した分子ナノチューブを、分子ナノチューブに直接側鎖を導入することで作成する方法を説明する。
窒素置換した25mlのシュレンク管に、分子ナノチューブ(MT)100mg(0.0026mmol)、水素化ナトリウム55mg(2.3mmol)及びジメチルスルホキシド20mlを加え、30分程度よく攪拌する。
その後、1−ブロモヘキサン381mg(2.3mmol)を加え、室温で3時間攪拌する。次に100℃で12時間攪拌する。次に反応溶液をメチルアルコールに注ぎ、1時間攪拌し、その後、エバポレーターで溶媒の減圧留去を行う。次に、水を加え攪拌する。次にクロロホルムで抽出を行う。次に溶媒の減圧留去を行い、続いて真空乾燥を行う。その結果、側鎖50としてヘキシル基を導入した分子ナノチューブ(hex−MT)を得ることができる。
シクロデキストリンを模式的に示す図である。 複数のシクロデキストリンを軸となる線状高分子のポリエチレングリコールビスアミン(PEG−BA)で貫通した形の包接錯体(分子ネックレスMN−1)を示す図である。 分子ネックレスの両末端からシクロデキストリンが外れて解離しないようにストッパーを付加することで作成したポリロタキサン(MN−2)を示す図である。 ポリロタキサン(MN−2)中のシクロデキストリン20間を架橋して作成した架橋ポリロタキサン(PEG−MT)を示す図である。 目的とする分子ナノチューブ(シクロデキストリンポリマー;MT)が得られた結果を示す図である。 脱保護反応を終えた後、有機溶媒を中和し、クロマトグラフィカラム(Sephadex G−100を使用、展開溶媒は水)にかけて得られた結果を示す図である。 原料と分子ナノチューブ(MT)のNMRスペクトルを示す図である。 側鎖を導入したシクロデキストリンポリマーを示す模式図である。
符号の説明
10…高分子、20…シクロデキストリン(CD)、30…ストッパーのための置換基、40…架橋体、50…側鎖。

Claims (6)

  1. 2〜1000個の単位のシクロデキストリンを架橋したシクロデキストリンポリマーであって、前記単位のシクロデキストリンの大部分は側鎖が導入されたものであることを特徴とする可溶性シクロデキストリンポリマー。
  2. 側鎖がメチルメチルエーテル(MOM基)またはヘキシル基である請求項1記載のシクロデキストリンポリマー。
  3. シクロデキストリンに高分子を軸として通す工程、該軸からシクロデキストリンが外れないように前記軸の両末端にストッパーの置換基を形成する工程、前記シクロデキストリン間を架橋させる工程、前記置換基および軸を除去する工程よりなるシクロデキストリンポリマーの生成方法において、前記シクロデキストリン間を架橋する工程を有機溶媒N,N−ジメチルホルムアミド、またはジメチルスルオキシドの中で行うことを特徴とするシクロデキストリンポリマーの製造方法。
  4. 前記置換基および軸を除去する工程以前の工程のいずれかの工程で、前記シクロデキストリンに側鎖を導入する請求項3記載のシクロデキストリンポリマーの製造方法。
  5. ポリロタキサン中のシクロデキストリン間を架橋する工程を有機溶媒中で行う際に、水素化ナトリウム、または水素化カリウム等の還元剤を添加する請求項3または請求項4記載の製造方法。
  6. 前記側鎖がアルキル[(−CH−)n−1CH]、ヒドロキシアルキル[(−CH−)OH]、カルボキシアルキル[(−CH−)COOH]およびそのNa塩、スルホアルキル[(−CH−)SOH]およびそのNa塩、アセチル[−COCH]、ブチリル[−CO(CH)CH]などのアルキニル[−CO(CH)CH]、サッシニル[−COCHCHCOOH]、ヒドロキシアルキニル[−CO(CH)COOH]およびそのNa塩、カルボキシアルキニル[−CO(CH)OH]、ベンゾイル[−CO−C]、アリル[−CHCHCH]、トシル、パルミトイル、トリフルオロアセチル、シランのいずれかである請求項4記載のシクロデキストリンポリマーの製造方法。
JP2004088648A 2004-03-25 2004-03-25 可溶性シクロデキストリンポリマー及びその製造方法 Pending JP2005272664A (ja)

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