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JP2005268455A - 積層型電子部品 - Google Patents

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JP2005268455A
JP2005268455A JP2004077289A JP2004077289A JP2005268455A JP 2005268455 A JP2005268455 A JP 2005268455A JP 2004077289 A JP2004077289 A JP 2004077289A JP 2004077289 A JP2004077289 A JP 2004077289A JP 2005268455 A JP2005268455 A JP 2005268455A
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coil
low
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low magnetic
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JP2004077289A
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Yoshihiro Imanishi
由浩 今西
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

【課題】 電子部品としての性能を確保しつつ、内部の低磁性体部などにクラックが生じることのない積層型電子部品を実現する。
【解決手段】 チョークコイル1を第1及び第2のコイル4,5と低透磁率部6と磁性体部7とで構成し、第1及び第2のコイル4,5を低透磁率部6で内包する。そして、第1及び第2のコイル4,5の間に介挿されたコイル間低低透磁率層8の厚さT1を、磁性体部7全体の厚さT2の0.04倍〜0.14倍に設定する。例えば、磁性体部7全体の厚さT2を500μmとして、コイル間低低透磁率層8の厚さT1を、20μm以上〜70μm以下の範囲内の値に設定する。
【選択図】 図3

Description

この発明は、積層型コモンモードチョークコイルなどの積層型の電子部品に関するものである。
従来、この種の積層型の電子部品に関しては、例えば特許文献1に開示されている技術がある。
この電子部品は積層型コモンモードチョークコイルであり、図12に示すように、一対のコイル101,102を、低透磁率部111内に埋め込んだ構造となっている。低透磁率部111は、外形がコイル101,102に沿った四角いリング状に形成され、これらコイル101,102の内側の巻回軸心を含む所定の領域が中抜きされている。この低透磁率部111は、全体が高透磁率部112に包み込まれていて、この中抜き部112aが高透磁率部112で満たされている。
このように、コイル101,102を低透磁率部111に埋設することにより、コモンモードチョークコイルとしての良好なノイズ除去特性を確保すると共に、コイル101,102の内側の磁界を中抜き部112a内の高透磁率部112に通すことにより、所望のインダクタンス特性及び良好な結合係数を得るようにしている。
特開平7−201569号公報
しかし、上記した従来の積層型電子部品では、次のような問題がある。
上記の積層型電子部品は、高透磁率材料であるセラミックグリーンシート上に、導電性材料をパターニングしてなる内部電極導体、低透磁率材料であるガラスセラミックス、セラミックグリーンシート等を積み重ねて圧着積層することで未焼成の積層体を形成し、それを焼成して、図12に示すコイル101,102及び低透磁率部111,高透磁率部112を形成する。ところが、低透磁率部111がリング状であるとき、上述の圧着積層の際に、低透磁率部111にクラックが発生して、電子部品としての信頼性を著しく損ねてしまう場合がある。
しかも、低透磁率部111に発生したクラックは、電子部品の外観からは検知することが困難であり、また、電子部品としては致命的な欠陥となるものであるから修復も困難である。このため、上記のような積層型の電子部品の信頼性の確保や製造コストの低廉化を達成するためには、低透磁率部111にクラックが発生することのないような構成とすることが強く要請される。
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、積層コモンモードチョークコイルなどの積層型の電子部品における低透磁率部にクラックが発生することを解消して、信頼性の高い積層型電子部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る積層型電子部品は、第1のコイルと、この第1のコイルの巻回軸心に対して自らの巻回軸心を合致させ距離を隔てて配置された第2のコイルと、これら第1及び第2のコイルを包容すると共に、これら第1及び第2のコイルの巻回内側であって上記巻回軸心を含む所定領域を中抜きしてなる中空部を有する低透磁率部と、当該中空部を満たすと共に上記低透磁率部の全体を包容する磁性体部とを備えた積層型電子部品であって、低透磁率部は、第1のコイルと上記第2のコイルとの間に介挿され且つ中央部に孔を有するコイル間低透磁率層と、第1のコイルを構成する複数の導体パターン層の間に介挿され且つ中央部に孔を有する低透磁率層と、第2のコイルを構成する複数の導体パターン層の間に介挿され且つ中央部に孔を有する低透磁率層とを、中央部の各孔を連通させて中空部を成すように重ね合わせた状態で、圧着積層してなるものであり、磁性体部は、低透磁率部の上下から当該低透磁率部よりも広い磁性体層で挟んで圧着積層してなり、コイル間低透磁率層の厚さは、磁性体部の全体の厚さの0.04倍以上0.14倍以下である構成とした。
かかる構成により、この積層型電子部品は、第1及び第2のコイルと低透磁率部と磁性体部とでノイズを除去するコモンモードチョークコイルとして機能し、また、第1のコイルと第2のコイルとのうちの一方を一次側コイルとすると共に他方を二次側コイルとすることで、トランスとしても機能する。このとき、コイル間低透磁率層の厚さが磁性体部の全体の厚さの0.04倍以上に設定されているので、第1のコイルと第2のコイルとの間での耐電圧特性や耐久性などの性能や信頼性が確保される。
そして、低透磁率部及び磁性体部は、複数の低透磁率層及び複数の磁性体層を導体パターン層と共に圧着積層して形成されるが、このとき、コイル間低透磁率層の厚さが磁性体部の全体の厚さの0.14倍以下に設定されているので、圧着積層の際に強大な押圧力を受けても、低透磁率部にクラックが発生することはほとんどない。
請求項2の発明は、請求項1に記載の積層型電子部品において、低透磁率部は、磁性体部の透磁率の1/10倍以下の透磁率を有する構成とした。
請求項3の発明は、請求項1に記載の積層型電子部品において、低透磁率部は、1以上10以下の範囲内の透磁率を有する構成とした。
請求項4の発明は、請求項1に記載の積層型電子部品において、低透磁率部は、透磁率が略1の非磁性体からなる構成とした。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の積層型電子部品において、磁性体部は、透磁率が略100の磁性体からなる構成とした。
請求項6の発明は、請求項1に記載の積層型電子部品において、低透磁率部は、ガラスセラミックスからなる構成とした。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の積層型電子部品において、磁性体部は、Ni−Cu−Zn系のフェライトからなる構成とした。
以上説明したように、この発明の積層型電子部品によれば、低透磁率部の厚さの上限を適正化したことによって、低透磁率部をその上下から磁性体層で挟んで圧着積層する際に低透磁率部にクラックが生じないようにすることができるという優れた効果がある。また、それと共に、低透磁率部の厚さの下限を適正化したことによって、積層型電子部品としての良好な耐久性や動作特性を確保することができるという効果がある。
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施例に係る積層型電子部品の外観図であり、図2は、図1の矢視A−Aにおける積層構造を模式的に表した断面図であり、図3は、図1に示す積層型電子部品の分解斜視図である。
この実施例の積層型電子部品は、図1に示すように、チップ状の積層型コモンモードチョークコイル(以下、単に「チョークコイル」と記す)であり、チップ本体2と4本の外部端子3−1,〜3−4とを具備している。
チップ本体2は、図2に示すように、第1のコイル4と第2のコイル5と低透磁率部6と磁性体部7とからなり、これらの部分を、図3に示すように、4つの導体パターン41,42及び51,52と、5枚の低透磁率材料シート61〜66と、下部に位置する5枚のセラミックシート71〜75と、上部に位置する5枚のセラミックシート76〜80とを図3に示す順で積層した後、圧着し、焼結して形成したものである。
第1のコイル4と第2のコイル5は、図2に示すように、どちらも低透磁率部6の中に包容されていて、互いの巻回軸心L1,L2を合致させ所定の距離を隔てて配置されている。
図3に示すように、第1のコイル4は、導電材料をそれぞれパターニングしてなる導体パターン41,42(導体パターン層)の間に、中央部に角孔S2を有する四角いリング状の低透磁率材料シート62(低透磁率層)を介挿し、この低透磁率材料シート62に設けたビアホール62aを介して導体パターン41,42間を接続することで一のコイルとしたものである。
また、第2のコイル5も同様に、導電材料をそれぞれパターニングしてなる導体パターン51,52(導体パターン層)の間に、中央部に角孔S5を有する四角いリング状の低透磁率材料シート65(低透磁率層)を介挿し、この低透磁率材料シート65に設けたビアホール65aを介して導体パターン51,52間を接続することで一のコイルとしたものである。
これら第1及び第2のコイル4,5を形成するための導電材料としては、導電性に優れたCu,Pd,Al,Ag等の金属や、これらの合金などを用いることができる。
低透磁率部6は、同じ材質の低透磁率材料シート61〜66を圧着積層し、焼結してなる。
具体的には、低透磁率材料シート63,64は、それぞれ角孔S3,S4を有しており、これらの低透磁率材料シート63,64が、第1のコイル4と第2のコイル5との間(すなわち、対面する導体パターン42と導体パターン51との間)に介挿されて、コイル間低透磁率層8を形成している。また、低透磁率材料シート61は、セラミックシート75と導体パターン41との間に介挿され、低透磁率材料シート66は、セラミックシート76と導体パターン52との間に介挿されている。これら低透磁率材料シート61,66も上記角孔S2〜S5と同形の角孔S1,S6を有しており、低透磁率部6は、これら角孔S1〜S6を連通させた状態で、低透磁率材料シート61〜66の全てを重ね合わせて圧着積層し、焼結したものである。これにより、角孔S1〜S6が連通した立体的な中空部V1を有した低透磁率部6を得る。
かかる低透磁率部6を形成する低透磁率材料としては、ガラスセラミックスのように、透磁率がほぼ1の非磁性体を好適に用いることができる。あるいは1〜10以下の透磁率を有する材料や、磁性体部7における透磁率の1/10倍以下の透磁率を有する材料などを用いることも可能である。勿論、これらのみには限定されるものではない。
なお、この実施例では、図2に示すように、圧着後の上記コイル間低透磁率層8の厚さT1を、後述する磁性体部7の全体の厚さ(換言すればチップ本体2全体の厚さT2)の0.04倍〜0.14倍の範囲内の値に設定している。すなわち、0.04≦T1/T2≦0.14とする。具体的数値としては、チップ本体2の厚さT2を500μmとした場合に、コイル間低透磁率層8の厚さT1を、例えば20μm,50μm,70μmのように、20〜70μmの範囲内のいずれかの値に設定する。
磁性体部7は、図3に示すように、下部のセラミックシート71〜75と上部のセラミックシート76〜80とで形成される。すなわち、低透磁率材料シート61〜66よりも広いこれらのセラミックシート71〜75,76〜80によって、積層された導体パターン41,42及び51,52と低透磁率材料シート61〜66とを上下から挟み込み、その全体を圧着することで、磁性体部7を形成する。これにより、磁性体部7が、低透磁率部6全体を包容すると共に低透磁率部6の中空部V1を満たす。
かかる磁性体部7を形成する磁性体材料としては、上記のセラミックシート(セラミックグリーンシート)や、Ni−Cu−Zn系のフェライトなどを好適に用いることができる。あるいは定量的には、透磁率が100以下〜85以上(さらに望ましくは90以上)の磁性体材料などが好適である。勿論、これらのみには限定されるものではない。
上記の如き構造のチョークコイル1では、第1のコイル4と第2のコイル5との間に介挿された部分、即ちコイル間低透磁率層8が、余りにも薄いと、耐電圧特性や耐久性のような性能や信頼性(広義の素子機能)を保証することができなくなる。そこで、発明者は、コイル間低透磁率層8の厚さを種々に変更してチップ本体2を圧着積層する解析実験を行って、積層型の電子部品として要求される性能や信頼性を確保することが可能なコイル間低透磁率層8の厚さの下限値について確認した。その結果、コイル間低透磁率層8の厚さT1は、磁性体部7の全体の厚さT2の0.04倍以上が必要である(0.04≦T1/T2)という知見を得た。
かかる知見に基づいて、このチョークコイル1では、図2に示すように、磁性体部7の全体の厚さT2を500μmとし、それに対応して、0.04≦T1/T2となるように、コイル間低透磁率層8の厚さT1を20μm以上とした。
また、低透磁率部6及び磁性体部7は、上述の如く低透磁率材料シート61〜66とセラミックシート71〜75,76〜80と導体パターン41,42及び51,52とを圧着積層して形成されるが、その際に、コイル間低透磁率層8の厚さが余りにも厚いと、圧着後のコイル間低透磁率層8にクラックが発生する。
そこで、発明者は、後述するようなコイル間低透磁率層8の厚さを種々に変更してチップ本体2を圧着積層する実験を行って、コイル間低透磁率層8にクラックが生じないようなコイル間低透磁率層8の厚さの上限値について確認した。その結果、コイル間低透磁率層8の厚さT1を、磁性体部7の全体の厚さT2の0.14倍以下とすることが必要である(T1/T2≦0.14)という知見を得た。
このような知見に基づいて、このチョークコイル1では、磁性体部7の全体の厚さT2を500μmとし、それに対応して、T1/T2≦0.14となるように、コイル間低透磁率層8の厚さT1を70μm以下とした。このようにすることにより、圧着積層の際に強大な押圧力を受けても、特にコイル間低透磁率層8をはじめとして低透磁率部6に破損臨界を超えるほどの強大な応力を生じないようにすることができ、クラックの発生が回避される。
このように、コイル間低透磁率層8の厚さの上限を規定するという構成上の設定によって、コイル間低透磁率層8にクラックが発生することを防いで、信頼性の高いチョークコイルを実現することが可能となる。
上述したように、発明者は、磁性体部7の全体の厚さT2とコイル間低透磁率層8の厚さT1との比T1/T2と、クラック発生の有無ならびに素子機能上の問題の有無との相関関係を確認するための実験を行った。その実験及びそれによって得られた知見について説明する。
図4は、圧着積層実験の主要プロセスとしてホットプレス機を用いて行った圧着積層工程を模式的に表した断面図、図5は、圧着積層実験の結果を纏めて表した表図、図6〜図9は、圧着積層実験で得られたチップ本体の内部の状態を表した顕微鏡写真の複写図である。なお、図6〜図9の複写図では、チップ本体2の内部における、特に低透磁率部6の四角いリング形状を輪切りにした2つの断面のうちの一方の近傍を、顕微鏡で拡大して表している。
図3に示したような全ての構成材料を積層して、それを、図4に示すように、ホットプレス機10で加熱しながら圧着した。このときのプロセス条件としては、加熱温度を50℃〜80℃とし、圧力を450kgf/cm〜500kgf/cmとした。
なお、図4では、理解を容易にするため、1個のチョークコイル1のみを表示した。
チップ本体2全体の外形寸法は、図1に示したように、W×L×T2=1000×1250×500[μm]で、各サンプル共通とし、その内部のコイル間低透磁率層8の厚さT1を、20,50,70,80[μm]とした複数のサンプルを作製した。そして、それらの個々について圧着積層を行った後、その内部の状態を顕微鏡撮影等によって調べた。
その結果、コイル間低透磁率層8の厚さT1を、20μmにした場合(図6)、50μmにした場合(図7)、70μmにした場合(図8)には、クラックは全く発生しなかった。ところが、80μmにした場合には、図9に示すように、低透磁率部6の厚さ方向ほぼ中心部であるコイル間低透磁率層8内に、その水平方向ほぼ全幅に亘る大きなクラック15と、低透磁率部6の右端やや上方から中心部へと走る顕著なクラック16とが発生した。
ここで、T1=80μmという設定は、T1/T2=0.16に相当する。また、T1=70μmという設定は、T1/T2=0.14に相当する。
他方、クラックの発生の有無とは別に、図5に示すように、コイル間低透磁率層8の厚さを、20μm未満,20μm,50μm,70μm,80μmとした場合のそれぞれで、チョークコイルとしての耐電圧特性や耐久性など素子機能上の問題が発生するか否かについて、解析を行った。その結果、20μm,50μm,70μm,80μmの場合には、素子機能上の問題は発生しないが、20μm未満とした場合には、十分な耐電圧特性及び耐久性を達成することができず、そのような素子機能上の問題が発生することが判明した。ここでT1<20μmという設定は、T1/T2<0.04に相当する。
これらの実験及び解析の結果、図5に示すように、クラック発生防止の観点からは、コイル間低透磁率層8の厚さを70μm以下にしてT1/T2≦0.14とすればよく、十分な素子機能の確保の観点からは、コイル間低透磁率層8の厚さを20μm以上にしてT1/T2とすればよいことが明らかとなった。すなわち、0.04≦T1/T2≦0.14とすることで、クラック発生の防止と十分な素子機能の確保とを両立させることができる、という知見が得られた。
次に、圧着積層時のチップ本体2における上記クラック15,16の発生要因について、上記の実験結果も踏まえて、想定する。
図10は、圧着積層時のチップ本体にクラックが発生するメカニズムを模式的に表す断面図である。ここでは、説明及び図示の簡潔化のため、未焼結の磁性体部7を構成する10枚のセラミックシート71〜80のうちの内側の4枚(セラミックシート74,75,76,77)のみと未焼結の低透磁率部6を構成する6枚の低透磁率材料シート61〜66の全てとを圧着積層する場合について説明するが、上記の実験で行ったような10枚のセラミックシート71〜80の全てを用いる場合についても、ここで説明するクラック発生のメカニズムが基本的に同様なものとなることは勿論である。
未焼結のチップ本体2は、図10(a)に示すように、全てのシートが平板状に積層された状態になっている。この状態のチップ本体を、図4に示したようにホットプレス機のブロック11,12の間にセットし、上下から押圧力Pを印加することで、圧着積層が行われる。
その圧着積層のプロセスでは、図10(b)に示すように、チップ本体2が押圧力Pによって変形する。この変形によって、未焼結の低透磁率部6の両側の中空部V1や隙間V2であった部分にセラミックシート74〜77が流れ込む。これにより、中空部V1や隙間V2にセラミックシート74〜77(つまり磁性体部の材料)が充填される。ところが、このような変形が生じる際に、6枚の低透磁率材料シート61〜66に剥離や割れが発生する。
すなわち、未焼結のセラミックシート74〜77及び低透磁率材料シート61〜66は、極めて粘度の高い粘性流体と見做すことができる。また、セラミックシート74〜77は平板状のブロック11,12によって平板的に均等な押圧力が印加される。このため、図10(a)に示した未圧着の状態からチップ本体2に押圧力を印加して行くと、粘性流体であるセラミックシート74〜77には、図10(b)に示したように、未焼結の低透磁率部6を避けて中空部V1や隙間V2へと流れ込む流れQ1〜Q8が生じる。また、それに伴って、未焼結の低透磁率部6の上下の部分のセラミックシート74〜77が薄くなる。
このとき、セラミックシート75と低透磁率材料シート61との接合面での粘着性及びセラミックシート76と低透磁率材料シート66との接合面での粘着性の方が、低透磁率材料シート61〜66同士の接合面での粘着性よりも大きい。このため、低透磁率材料シート61及び低透磁率材料シート66が、セラミックシート75,76の流れQ1,Q2及びQ5,Q6によってそれぞれ引きずられて、横方向や斜め方向の大幅な変位が生じる。
すると、その大幅な変位に伴って生じる強大な剪断応力や曲げ応力等(図示省略)に起因して、低透磁率材料シート61〜66同士の接合面が剥離したり割れるなどし、それがクラック15となると解される。また、セラミックシート74〜77や低透磁率材料シート61〜66の材質的なばらつきや寸法上の誤差などによって、低透磁率材料シート61〜66に生じる剪断応力や曲げ応力にばらつきが生じ、それらの接合面での剥離や割れが助長されると想定される。
上記のようなセラミックシート74〜77の変形に伴う流れQ1〜Q8、及びそれに起因して低透磁率材料シート61〜66に掛かる剪断応力や曲げ応力は、未焼結の低透磁率部6の厚さが厚いほど大きくなる。そして、その未焼結の低透磁率部6は、低透磁率材料シート63及び低透磁率材料シート64(つまりコイル間低透磁率層8を構成するシート)を中心として構成されるから、コイル間低透磁率層8の厚さが余りにも厚いと、上記のようなクラックが発生することとなる。
以上のように、コイル間低透磁率層8の厚さを余りにも厚くすると、クラック15が発生するものと想定される。したがって、この実施例のチョークコイル1の如く、コイル間低透磁率層8の厚さを調整する必要がある。コイル間低透磁率層8の厚さのかかる調節は、低透磁率材料シート63及び低透磁率材料シート64の厚さを変えることで行ってもよく、または、コイル間低透磁率層8を構成する低透磁率材料シートの枚数を変えることで行うようにしてもよい。
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
上記実施例では、低透磁率部6が第1のコイル4及び第2のコイル5を完全に内包した構造の例について説明したが、例えば、図11に示すように、導体パターン41,64を低透磁率部6の表面(つまり外側)に露出させた構造にしてもよい。
また、上記実施例では、積層型電子部品の例として、積層型コモンモードチョークコイルを揚げて説明したが、第1のコイル4を一次側コイルとし、第2のコイル5を二次側コイルとした積層型トランスについても適用することができることは勿論である。
この発明の一実施例に係る積層型電子部品の外観図である。 図1の矢視A−A断面図である。 図1の積層型電子部品の分解斜視図である。 ホットプレス機を用いて行った圧着積層工程を模式的に表した断面図である。 圧着積層実験の結果を纏めて表した表図である。 コイル間低透磁率層の厚さを20μmとした場合のチップ本体内部を示す顕微鏡写真の複写図である。 コイル間低透磁率層の厚さを50μmとした場合のチップ本体内部を示す顕微鏡写真の複写図である。 コイル間低透磁率層の厚さを70μmとした場合のチップ本体内部を示す顕微鏡写真の複写図である。 コイル間低透磁率層の厚さを80μmとした場合のチップ本体内部を示す顕微鏡写真の複写図である。 クラックが発生するメカニズムを模式的に表す断面図である。 この実施例の変形例を示す断面図である。 従来の積層コモンモードチョークコイルの主要部の構造を表した断面図である。
符号の説明
1…チョークコル、 2…チップ本体、 3−1〜3−4…外部端子、 4…第1のコイル、 5…第2のコイル、 6…低透磁率部、 7…磁性体部、 8…コイル間低透磁率層、 41,42,51,52…導体パターン、 61〜66…低透磁率材料シート、 62a,65a…ビアホール、 71〜80…セラミックシート、 S1〜S6…角孔、 V1…中空部。

Claims (7)

  1. 第1のコイルと、この第1のコイルの巻回軸心に対して自らの巻回軸心を合致させ距離を隔てて配置された第2のコイルと、これら第1及び第2のコイルを包容すると共に、これら第1及び第2のコイルの巻回内側であって上記巻回軸心を含む所定領域を中抜きしてなる中空部を有する低透磁率部と、当該中空部を満たすと共に上記低透磁率部の全体を包容する磁性体部とを備えた積層型電子部品であって、
    上記低透磁率部は、上記第1のコイルと上記第2のコイルとの間に介挿され且つ中央部に孔を有するコイル間低透磁率層と、上記第1のコイルを構成する複数の導体パターン層の間に介挿され且つ中央部に孔を有する低透磁率層と、上記第2のコイルを構成する複数の導体パターン層の間に介挿され且つ中央部に孔を有する低透磁率層とを、上記中央部の各孔を連通させて上記中空部を成すように重ね合わせた状態で、圧着積層してなるものであり、
    上記磁性体部は、上記低透磁率部の上下から当該低透磁率部よりも広い磁性体層で挟んで圧着積層してなり、
    上記コイル間低透磁率層の厚さは、上記磁性体部の全体の厚さの0.04倍以上0.14倍以下である、
    ことを特徴とする積層型電子部品。
  2. 請求項1に記載の積層型電子部品において、
    上記低透磁率部は、上記磁性体部の透磁率の1/10倍以下の透磁率を有する、
    ことを特徴とする積層型電子部品。
  3. 請求項1に記載の積層型電子部品において、
    上記低透磁率部は、1以上10以下の範囲内の透磁率を有する、
    ことを特徴とする積層型電子部品。
  4. 請求項1に記載の積層型電子部品において、
    上記低透磁率部は、透磁率が略1の非磁性体からなる、
    ことを特徴とする積層型電子部品。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の積層型電子部品において、
    上記磁性体部は、透磁率が略100の磁性体からなる、
    ことを特徴とする積層型電子部品。
  6. 請求項1に記載の積層型電子部品において、
    上記低透磁率部は、ガラスセラミックスからなる、
    ことを特徴とする積層型電子部品。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の積層型電子部品において、
    上記磁性体部は、Ni−Cu−Zn系のフェライトからなる、
    ことを特徴とする積層型電子部品。
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