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JP2005255953A - 安定化されたポリマーの製造方法 - Google Patents

安定化されたポリマーの製造方法 Download PDF

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JP2005255953A JP2004073031A JP2004073031A JP2005255953A JP 2005255953 A JP2005255953 A JP 2005255953A JP 2004073031 A JP2004073031 A JP 2004073031A JP 2004073031 A JP2004073031 A JP 2004073031A JP 2005255953 A JP2005255953 A JP 2005255953A
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Abstract

【課題】 チーグラー触媒による重合時に、重合前にフェノール系酸化防止剤を添加しても、触媒活性に影響することなく、優れた色調や安定性を有するポリマーを得ることができる安定化ポリマーの製造方法を提供すること。
【解決手段】 チーグラー触媒を用いてエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合する際に、マスキングされたフェノール系酸化防止剤の1種以上を重合前又は重合中に触媒系又は重合系に添加することを特徴とする安定化ポリマーの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、チーグラー触媒による重合前又は重合中に、重合阻害を防止するためのマスキング処理を施されたフェノール系酸化防止剤を重合装置へ添加することで、少ないエネルギー消費で安定化されたポリマーを製造する方法に関する。
ポリマーは熱や光により劣化するため、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン化合物、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、酸捕捉剤等の安定剤をポリマーに添加することが一般に行われている。
ポリオレフィンの重合反応では、チーグラー系触媒やメタロセン触媒が用いられ、特許文献1には、第三世代と呼ばれるチーグラー触媒が提案されている。従来、ポリオレフィン等のポリマーの安定化は、重合物として得られたポリマーに、各種の安定剤を配合し、押出し成形等により安定剤を均一に分散させることで、長期の安定化が図られてきた。
しかし、安定化のために重合後に各種の安定剤を混錬配合することは、多大なエネルギーを消費するため非効率的であり、また、安定剤の分散不良に対応するには、必要以上に安定剤を添加しなければならない場合もあった。
顆粒状のポリマーが直接得られる重合方法において、重合前又は重合中に安定剤を配合することで、安定剤を均一に分散させることができ、かつ、混錬工程を省略できることが特許文献2〜6等に提案されている。
特許文献2には、チーグラー・ナッタ触媒によるオレフィン重合体の重合中又は重合末期にヒンダードアミン化合物を添加する方法が提案されており、この方法によれば、フェノール系酸化防止剤を重合時に添加するよりも、優れた安定化効果が得られることが示されている。
特許文献3には、リン系酸化防止剤の存在下にα−オレフィンの重合を行うことで、酸化防止剤が重合体粒子内に均質にかつ均一に結合され、後添加するよりも優れた安定化効果が得られ、酸化防止剤と混合するための押出し機等を排除できることが示されている。
特許文献4には、ヒンダードアミン化合物及びリン系酸化防止剤をオレフィンポリマーの重合ゾーンで併用する方法が提案されており、この方法によれば、ヒンダードアミン化合物単独添加に比べて優れた安定化効果を奏することが示されている。
特許文献5には、特定のエーテル化合物を用いた触媒を用いることで、重合時にフェノール系酸化防止剤を用いた場合に優れた安定化効果が得られ、かつ、重合触媒の活性低下や樹脂の着色等の問題がないことが示されている。
特許文献6には、特定のリン系酸化防止剤を重合時に用いることで、オレフィンの重合を阻害せずに、水との接触における着色に優れたポリマーが得られることが示されている。
これらの従来技術においては、重合後の加工による安定剤の配合工程を省略できる等の利点はあるものの、実際には、重合前に安定剤を添加すると、重合触媒の活性を低下させたり、触媒金属と安定化剤が配位してポリマーを着色する等の問題があるため、重合途中で添加することが必要であり、重合条件の設定及び管理が煩雑になる等の問題があった。特に連続重合法では、既存の装置では予備重合用の反応槽を用いている。
また、フェノール系酸化防止剤については、特許文献5に、ポリオレフィンに汎用のテトラキス(3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル)メタン等のフェノール系酸化防止剤は触媒活性を低下させるため、重合前の添加には適していないことが記載されている。
特開昭58−83006号公報 特開昭61−181803号公報(特に特許請求の範囲) 特開昭63−92613号公報(特に特許請求の範囲) 特開平2−53804号公報(特に特許請求の範囲) 特開平5−271335号公報(特に特許請求の範囲及び比較例1) 特開平8−208731号公報(特に特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、チーグラー触媒による重合時に、重合前にフェノール系酸化防止剤を添加しても、触媒活性に影響することなく、優れた色調や安定性を有するポリマーを得ることができる安定化ポリマーの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記現状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、フェノール系酸化防止剤を予めマスキングして重合装置へ供給することで、重合を阻害することなく、安定性に優れたポリマーを予備重合の必要がなくシンプルな工程で得られることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、チーグラー触媒を用いてエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合する際に、マスキングされたフェノール系酸化防止剤の1種以上を重合前又は重合中に触媒系又は重合系に添加することを特徴とする安定化ポリマーの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、チーグラー触媒を用いた重合反応において、フェノール系酸化防止剤をマスキングして重合前に添加することで、エネルギー効率よく、均一に樹脂へフェノール系酸化防止剤を配合することができ、安定化されたポリマーを得ることができる。
本発明において、マスキングされたフェノール系酸化防止剤とは、フェノール系酸化防止剤のフェノール性ヒドロキシ基の水素を、他の元素で置き換えた構造を有するもので、水、アルコール、酸等の水素供与性化合物で処理することによりフェノールに再生可能となるようにマスキング処理が施されたフェノール系酸化防止剤である。その代表例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛等の金属と、フェノール系酸化防止剤との塩(フェノラート)が挙げられる。これらの中でも、重合反応において触媒の失活処理に用いられる失活剤と反応してフェノールが再生するものが好ましく、チーグラー触媒による重合系に通常存在し、重合を阻害しないアルミニウム化合物とフェノール系酸化防止剤との反応により得られるフェノラートが特に好ましい。重合を阻害しないアルミニウム化合物としては、例えば、トリアルキルアルミニウム等の有機アルミニウムが挙げられる。
本発明に用いられるフェノール系酸化防止剤としては、特に制限されず、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられるが、これらの中でも、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼンは、特に安定化効果に優れるので好ましい。また、フェノール系酸化防止剤は、得られるポリマー100重量部に対して、好ましくは0.001〜10重量部、より好ましくは0.05〜5重量部になるように用いられる。
上記フェノール系酸化防止剤のマスキングは、金属化合物である前記の金属の酸化物、水酸化物若しくは塩化物又はトリアルキルアルミニウム等の有機金属と、フェノール系酸化防止剤との反応により行うことができる。この反応は、不活性溶媒中でトリアルキルアルミニウム等の金属化合物とフェノール系酸化防止剤とを混合、撹拌するだけでよい。上記反応により得られたマスキングされたフェノール系酸化防止剤は、反応により副生した化合物が重合へ影響しない場合は、そのまま用いることができるが、副生した化合物が重合を阻害する場合は、該化合物を減圧留去等により取り除いてから用いることが好ましい。
本発明においては、上記のマスキングされたフェノール系酸化防止剤を、重合前又は重合中に、触媒系又は重合系に添加する。上記のマスキングされたフェノール系酸化防止剤は、重合前に添加しても、重合触媒の活性を低下させたり、触媒金属に配位してポリマーを着色する等の問題を生じることがなく、また、重合中に添加しても、重合条件の設定及び管理が煩雑になる等の問題を生じることがない。
本発明において、チーグラー触媒としては、公知のチーグラー触媒を特に制限されることなく用いることができる。チーグラー触媒は、周期表第IV−VIII族の遷移金属化合物及びI−III族の有機金属化合物からなる二元系触媒で、通常、トリアルキルアルミニウム及び塩化チタンからなる触媒であり、本発明においては、第三成分の有無や担体の有無によらず用いることができる。
本発明の安定化ポリマーの製造方法において、重合に用いられるエチレン性不飽和結合を有するモノマーの代表例としてはα−オレフィンが挙げられる。上記α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。また、本発明の安定化ポリマーの製造方法は、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの単独重合のほか、通常公知のランダム共重合やブロック共重合にも好適に適用できる。本発明の安定化ポリマーの製造方法は、安定剤添加のための混錬工程による分子量の低下が回避できるので、特に重量平均分子量が10万以上の高分子量のポリオレフィンの製造方法として好適である。
本発明の安定化ポリマーの製造方法において、チーグラー触媒を用いた上記モノマーの重合は、溶液重合、懸濁重合、気相重合等の公知の方法で行なうことができる。液相は、例えば、脂肪族炭化水素又は液体モノマー自体であってよい。また、重合の最後に、失活剤として、例えば水(蒸気)又はアルコールを加えることにより、触媒が分解される。
本発明の安定化ポリマーの製造方法の実施形態の好ましい一例は、以下の通りである。先ず、不活性ガス又はモノマーガスで置換された重合容器に、ヘプタン等の不活性溶媒を仕込み、トリエチルアルミニウム及びフェノール系酸化防止剤を入れ、混合してフェノール系酸化防止剤をマスキングした後、シラン化合物等の触媒としての第三成分を加え、チタン触媒成分を加える。次いで、モノマーを供給し、プレ重合処理した後に、重合してから、冷却し、窒素ガス等の不活性ガスでモノマーを置換してから、水やエタノール等の失活剤により、触媒を失活させると共にフェノールを再生して、安定化ポリマーを得る。
本発明の安定化ポリマーの製造方法においては、重合を阻害しない範囲で、更に、通常の樹脂に添加される上記フェノール系酸化防止剤以外の添加剤を、重合前又は重合途中で添加してもよい。他の添加剤としては、リン系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、重金属不活性化剤、造核剤、難燃剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、充填剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、可塑剤等が挙げられる。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフィト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられ、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイトのような重合前に添加しても重合に悪影響しないリン系酸化防止剤が好ましい。このようなリン系酸化防止剤は、モノマー100重量部に対して、好ましくは0.001〜3重量部、より好ましくは0.005〜0.5重量部が用いられる。
上記の紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類等が挙げられる。このような紫外線吸収剤は、モノマー100重量部に対して、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.005〜0.5重量部が用いられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
本発明により得られるポリマーの用途は、特に限定されず、公知の押出し成形、射出成形、中空成形、ブロー成形等の成形方法により、フィルム、シート、成形品として、自動車部品、建築資材、農業用資材、包装用資材、日用雑貨、玩具等に用いることができる。
次に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1
(固体Ti触媒成分の調製)
無水塩化マグネシウム4.76g(50mmol)、デカン25ml及び2−エチルヘキシルアルコール23.4ml(150mmol)を130℃で2時間加熱反応を行い均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸1.11g(7.5mmol)を添加し、130℃にて更に1時間撹拌反応を行い、無水フタル酸を該均一溶液に溶解させる。このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、−20℃に保持された四塩化チタン200ml(1.8mol)中に1時間に渡って全量滴下装入する。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート2.68ml(12.5mmol)を添加し、これより2時間同温度にて撹拌下保持する。2時間の反応終了後、熱ろ過にて固体部を採取し、この固体部を200mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、加熱反応を行う。反応終了後、再び熱ろ過にて固体部を採取し、110℃デカン及びヘキサンにて、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄して固体Ti触媒成分を得る。以上の製造方法にて合成された固体Ti触媒成分はヘプタンスラリーとして保存するが、このうち一部を触媒組成を調べる目的で乾燥する。この様にして得られた固体Ti触媒成分の組成は、チタン3.1重量%、塩素56.0重量%、マグネシウム17.0重量%及びイソブチルフタレート20.9重量%であった。
(実施例1−1)
窒素置換した1000mlオートクレーブにヘプタン400mlを加えた。トリエチルアルミニウム(5.2mmol)及び表1記載のフェノール系酸化防止剤(15mmol)を加え、23℃で5分間撹拌した。さらに、ジシクロペンタジメトキシシラン(5.0mmol)及び固体Ti触媒成分のヘプタンスラリー(Tiとして5mmol)を順次加えた。オートクレーブ内をプロピレン雰囲気に置換し、プロピレンで1kgf/cm2Gの圧力をかけ、35℃で10分間プレ重合した。プロピレンをパージした後、水素150ml(23℃)を吹き込み、70℃まで昇温し、オートクレーブ内にプロピレンで5kgf/cm2Gの圧力をかけ、70℃で1時間重合反応を行った。窒素ガスで系内を置換してから40℃でエタノール5mlを加え重合反応を停止させた後、50℃で減圧脱溶媒を行ない、次いで、真空中、40℃でポリマーを5時間乾燥することにより、ポリプロピレンパウダーを得た。
(比較例1−1〜1−3)
フェノール系酸化防止剤を重合時には添加しなかった(表1参照)以外は、実施例1−1と同様にしてポリプロピレンパウダーを得た。
(比較例1−4)
フェノール系酸化防止剤を固体Ti触媒成分のヘプタンスラリーを加えた後にオートクレーブに加えた(表1参照)以外は、実施例1−1と同様にしてポリプロピレンパウダーを得た。
(触媒活性への影響評価)
得られたポリプロピレンパウダーの収量及び分子量を測定し、フェノール系酸化防止剤が触媒活性へ与える影響を評価した。収量及び分子量の測定結果を表1に示す。尚、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(装置:ウォーターズ社製GPC2000型、カラム:ウォーターズ社製Styragel HT6E 2本とStyragelHT2 1本、測定温度145℃、溶媒:オルトジクロロベンゼン、濃度:4mg/10g)により、重量平均分子量を測定した。
(安定化効果の評価)
得られたポリプロピレンパウダーを100℃ギアオーブンで24時間加熱した後及び110時間加熱した後、分子量を測定し、安定化効果を評価した。測定結果を表1に示す。
Figure 2005255953
実施例1−1と比較例1−1及び1−4とから、マスキングされたフェノール系酸化防止剤は、単純に重合系へフェノール系酸化防止剤を添加した場合に生じる重合阻害を引き起さないことが明らかであり、また、実施例1−1と比較例1−2及び比較例1−3とから、マスキングされたフェノール系酸化防止剤を重合前に添加すると、フェノール系酸化防止剤を重合後に添加するよりも、優れた安定化効果を示すことが明らかである。
また、トリアルキルアルミニウムとフェノール系酸化防止剤とを反応させることでフェノール系酸化防止剤がマスキングされることを確認するため、反応前後のフェノール系酸化防止剤について1H−NMRを測定した。
反応前のフェノール系酸化防止剤の1H−NMR測定においては、以下のスペクトルが確認された。
1.1−1.6ppm:C−H(アルキル基)
2.1−2.3ppm:Ph−CH3
3.9−4.1ppm:Ph−CH2−Ph
4.9−5.0ppm:O−H(フェノール)
6.8−7.3ppm:Ph−H
反応後は、4.9−5.0ppmのピークのみが消失した。そして、反応後のフェノール系酸化防止剤を、エタノールでさらに処理すると、4.9−5.0ppmのピークが回復した。
以上の1H−NMR測定結果から、フェノール系酸化防止剤をトリエチルアルミニウムと反応させてマスキングすることにより重合阻害が抑制された原因は、フェノール系酸化防止剤がアルミニウムとフェノラートを生成したことにより活性水素がなくなって、重合触媒へ配位する等して重合活性を低下させていたか或いは重合の連鎖を禁止していたフェノールが、実質的に重合系内に存在しなくなることによると考えられる。また、エタノールでの触媒失活工程によりフェノールが再生したことで、ポリマーの安定化効果が示されるものと考えられる。
以上から明らかなように、本発明の安定化ポリマーの製造方法においては、フェノール系酸化防止剤をマスキングして重合前又は重合途中に重合系又は触媒系へフィードすることにより、重合を阻害せずに、混練加工による添加に比較して熱効率よくポリマーへフェノール系酸化防止剤を配合することができ、また、得られたポリマーは、フェノール系酸化防止剤を噴霧添加した場合よりも優れた安定化効果を示すことから、フェノール系酸化防止剤がより均一に配合されていると考えられる。

Claims (6)

  1. チーグラー触媒を用いてエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合する際に、マスキングされたフェノール系酸化防止剤の1種以上を重合前又は重合中に触媒系又は重合系に添加することを特徴とする安定化ポリマーの製造方法。
  2. マスキングされたフェノール系酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤の金属塩である請求項1記載の安定化ポリマーの製造方法。
  3. マスキングされたフェノール系酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤のアルミニウム塩である請求項1記載の安定化ポリマーの製造方法。
  4. マスキングされたフェノール系酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤の有機アルミニウム塩である請求項1記載の安定化ポリマーの製造方法。
  5. エチレン性不飽和結合を有するモノマーがα−オレフィンである請求項1〜4のいずれかに記載の安定化ポリマーの製造方法。
  6. エチレン性不飽和結合を有するモノマーがプロピレンである請求項1〜4記載のいずれかに安定化ポリマーの製造方法。
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