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JP2005254829A - バンパーステイ及びバンパー構造体 - Google Patents

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JP2005254829A JP2004064942A JP2004064942A JP2005254829A JP 2005254829 A JP2005254829 A JP 2005254829A JP 2004064942 A JP2004064942 A JP 2004064942A JP 2004064942 A JP2004064942 A JP 2004064942A JP 2005254829 A JP2005254829 A JP 2005254829A
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Abstract


【課題】 左右の端部が車体後方側に傾斜したバンパーリインフォースと、サイドメンバの間に固定されるアルミニウム合金押出材製バンパーステイ。バリヤ衝突時に、バンパーリインフォースの屈曲部が伸びてバンパーステイ取付部間隔が広がることによるサイドメンバの折れ曲がりを防止するとともに、それをバンパーステイの衝突エネルギー吸収能を減少させることなく実現する。
【解決手段】 前フランジ13、後フランジ14、中間フランジ15、前フランジと中間フランジを連結する内外一対の前ウエブ16,17、及び中間フランジと後フランジを連結する内外一対の後ウエブ18,19からなるバンパーステイ11。内側前ウエブ16が車幅方向外向きに傾斜している。衝突時に、前方側の中空構造部11aが、後方側の中空構造部11bより先に座屈を開始し、かつそれが車体の幅方向外向きの座屈となるように、両中空構造部の剛性が設定されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アルミニウム合金押出材からなるバンパーステイに関し、詳しくは、押出方向をバンパーリインフォースの長手方向に垂直(上下方向)に向けて配置される、いわゆる横圧壊型バンパーステイ、及び該バンパーステイとバンパーリインフォースにより構成されるバンパー構造体に関する。
例えば乗用車やトラック等の自動車車体の前端(フロント)及び後端(リア)に設置されるバンパー内部には、補強部材としてバンパーリインフォースが設けられている。バンパーリインフォースは一般に荷重方向に略垂直に向く前壁と後壁、及びそれらを連結する横壁を有する断面中空の部材であり、後方側から一対のバンパーステイにより支持され、各バンパーステイは後端がサイドメンバ(フロント又はリア)の先端に固定されている。
バンパーリインフォース、バンパーステイ及びサイドメンバは、いずれも衝突時に圧壊して衝突エネルギーを吸収する役割を有し、一般に、衝突時にはまずバンパーリインフォースが圧壊し、続いてバンパーステイが圧壊し、さらにサイドメンバが軸圧壊するように、各部材の剛性(荷重による圧壊への抵抗力)が設定されている。
近年、バンパーリインフォースについて、軽量化のためにアルミニウム合金押出材が使用されるようになり、バンパーステイについても、同じくアルミニウム合金押出材が使用され始めている。アルミニウム合金押出材からなるバンパーステイには、大きく分けて縦圧壊型と横圧壊型があり、縦圧壊型のバンパーステイは、軸部を構成する中空の押出形材の前後端に板状の取付用フランジ(バンパーリインフォース及びサイドメンバの取付用)を溶接したもので、押出軸方向が車体前後方向を向き、横圧壊型バンパーステイは、図6に示すように、軸部2の前後端に一体的に前後フランジ3,4(バンパーリインフォース5及びサイドメンバ6の取付用)が形成された押出形材からなり、押出軸方向が車体上下方向を向いている。
横圧壊型のバンパーステイは、製造コストが安く、大量生産に適し、図6に示すようにバンパーリインフォースの端部取付箇所が車幅方向から後方側に傾斜又は湾曲していても、容易に対応できる利点があり、下記特許文献1〜8にみられるように種々の構造のものが提案されている。
特開平6−227333号公報 特開平8−91154号公報 特開平11−208392号公報 特開平11−208393号公報 特開2000−318552号公報 特開2001−294106号公報 特開2002−19553号公報 実開平6−6120号公報
ところで、図6のバンパー構造において、例えばバリヤ衝突又はオフセット衝突が起きた場合、仮想線にて示すように、バンパーリインフォース5は屈曲部が伸ばされる。これにより、バンパーリインフォース5のバンパーステイ取付部間隔wが、屈曲部が伸びた分だけ広がり、バンパーステイ1には車体後方側への圧縮荷重と同時に車幅方向外向きのせん断荷重が加わる。その結果、発生する曲げモーメントによりサイドメンバが車幅方向外向きに開き、サイドメンバが車体フレームへの取付部において折れ曲がることがあった。この折れ曲がりはサイドメンバが軸圧壊しない程度の軽衝突でも生じることがあり、また、サイドメンバが折れ曲がることにより軸圧壊が妨げられ、衝突エネルギーの吸収が見込みどおり行われなくなることもある。
一方、バリヤ衝突時やオフセット衝突時にサイドメンバが車幅方向外向きに開かないようにするには、衝突荷重が掛かってバンパーリインフォースの屈曲部が伸ばされ、バンパーステイ取付部間隔が広がるとき、バンパーステイが車幅方向外向きに座屈し(外向きに倒れ)、これにより前記取付部間隔の広がりを吸収するようにして、サイドメンバに作用する曲げモーメントの発生を抑えることが考えられる。つまり、バンパーステイを車幅方向外向きに座屈開始させるに要する荷重が、サイドメンバがその取付部において曲げ変形を開始するときの限界荷重より小さく設定されていれば、サイドメンバの折れ曲がりが防止できる。しかし、それではバンパーステイによる衝突エネルギーの吸収が不十分となり、あるいはその結果、軽衝突でもサイドメンバが軸圧壊することになりかねない。
本発明は、バンパー構造におけるこのような問題点に鑑みてなされたもので、バリヤ衝突やオフセット衝突時に、バンパーリインフォースが車幅方向に伸びてバンパーステイ取付部間隔が広がることによるサイドメンバの折れ曲がりを防止し、かつそれをバンパーステイの衝突エネルギー吸収能を減少させることなく実現するための新たなバンパーステイ断面構造を得ることを目的とする。
本発明に係るバンパーステイは、アルミニウム合金押出材からなり、中央部が車幅方向に平行で左右の端部が車体後方側に傾斜又は湾曲したバンパーリインフォースの前記端部と、サイドメンバの端部の間に押出方向を上下方向に向けて固定されるタイプのもので、基本的な断面構造として、車幅方向に対し傾斜又は湾曲して形成され前記バンパーリインフォースの端部に固定される前フランジと、車体前後方向に対し垂直に形成され前記サイドメンバの端部に固定される後フランジと、前記前フランジと後フランジの間に配置された中間フランジと、前記前フランジと中間フランジを連結する内外一対の前ウエブと、前記中間フランジと後フランジを連結する内外一対の後ウエブからなり、さらに、前方への衝突によりバンパーリインフォースが車幅方向に伸びてバンパーステイ取付部間隔が広がり、バンパーステイに車体後方側への圧縮荷重と同時に車幅方向外向きのせん断荷重が掛かったとき、前記前フランジ、一対の前ウエブ及び中間フランジにより構成される前方側の中空構造部が、前記中間フランジ、一対の後ウエブ及び後フランジにより構成される後方側の中空構造部より先に座屈を開始し、かつそれが車体の幅方向外向きの座屈であるように、前記両中空構造部の剛性が設定されていることを特徴とする。なお本発明においてバンパーリインフォースの側が前方、サイドメンバの側が後方を意味する。
基本的な断面構造は前記の通りであるが、さらに具体的な形態として、(1)内側の前ウエブが車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜し、(2)内側の後ウエブが車体前後方向に平行か、車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜している場合は前記内側の前ウエブより傾斜が緩く、(3)外側の前ウエブが車体前後方向に平行か、車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜し、(4)後方側の中空構造部において、後フランジのウエブ間距離が中間フランジのウエブ間距離と同じか長いことが挙げられる。これらは前方側の中空構造部を優先的に座屈(車幅方向外向きの座屈)させるために特に望ましい要件である。
さらに、前方側の中空構造部のウエブ(前ウエブ)の幅厚比を大きく、後方側の中空構造部のウエブ(後ウエブ)の幅厚比を相対的に小さくすることにより、前記の座屈変形が生じやすくなる。すなわち、前記内外一対の前ウエブの肉厚をt1,t2とし、その長さをL1,L2とし、前記内外一対の後ウエブの肉厚t3,t4とし、その長さをL3,L4としたとき、(L1+L2)/(t1+t2)≧(L3+L4)/(t3+t4)であることが望ましいということである。
いずれにしても実施レベルでは、前記基本的な断面構造の中で設計上多くのバリエーションがあり得るが、特定の断面形状のバンパーステイが前記のような座屈変形をするかどうかは、初歩的な数値解析によって容易に推測可能である。逆に、数値解析により前記のような座屈変形をするバンパーステイの断面形状を求めるのも容易である。なお、前方側の中空構造部を車幅方向外向きに座屈開始させるに要する荷重が、サイドメンバがその取付部において曲げ変形を開始するときの荷重より小さくなるように設定する必要があることはいうまでもない。
本発明のバンパーステイ及びバンパー構造体によれば、前方側の中空構造部の剛性を小さく、後方側の中空構造部の剛性を大きく設定したので、バリヤ衝突やオフセット衝突が起きたとき、前方側の中空構造部が優先的に車幅方向外向きに座屈し、これによりバンパーリインフォースのバンパー取付部間隔の広がりが吸収され、サイドメンバに作用する曲げモーメントの発生が抑えられる。
その結果、バンパーステイの後方側の中空構造部及びサイドメンバには車体前後方向の圧縮力が作用することとなり、サイドメンバが曲げモーメントにより折れ曲がることが防止される。同時に前記後方側の中空構造部によってバンパーステイはトータルとして不足なく衝突エネルギーを吸収するとともに、サイドメンバの断面が2つの中空構造により構成され、衝突荷重がかかったとき始めに前方側、続いて後方側が座屈をすることにより、圧壊の荷重ピークが2つに分散し、エネルギー吸収の効率(荷重−ストローク線図において、実際の吸収エネルギーをEとし、最大荷重をPmax、ストロークをSとしたとき、E/(Pmax×S)×100(%)で定義される)も上昇する。さらに、サイドメンバの軸圧壊が妨げられず、衝突エネルギーの吸収が見込みどおり行われる。
以下、図面を参照して本発明に係るバンパーステイについて説明するが、はじめに図1を参照して、本発明に係るバンパーステイの断面構造について基本的な説明を行う。
図1に示すバンパーステイ11は、アルミニウム合金押出材からなり、車体前後方向を向く軸部12と、軸部12の前端に車幅方向に対して傾斜して形成された前フランジ13と、軸部12の後端に車体前後方向に対し垂直(車幅方向)に形成された後フランジ14からなる。このバンパーステイ11は、図6に示すバンパーステイ1と同様に、前フランジ13がバンパーリインフォース5の傾斜した端部に固定され、後フランジ14がサイドメンバ6の前端部に固定される。軸部12は、前フランジ13と後フランジ14の間に配置された中間フランジ15と、前フランジ13と中間フランジ15を連結する内外一対の前ウエブ(内側前ウエブ16,外側前ウエブ17)と、中間フランジ15と後フランジ14を連結する内外一対の後ウエブ(内側後ウエブ18,外側前ウエブ19)からなる。
前フランジ13,内側前ウエブ16,外側前ウエブ17及び中間フランジ15により本発明でいう前方側の中空構造部11aが構成され、中間フランジ15,内側後ウエブ18,外側後ウエブ19及び後フランジ14により本発明でいう後方側の中空構造部11bが構成される。なお、バンパーステイを構成するアルミニウム合金は、例えばJIS6000系又は7000系が望ましい。
次に、このバンパーステイ11のさらなる特徴点を説明し、あわせて本発明に係るバンパーステイを所定の座屈形態(前方側の中空構造部11aが車幅方向外向きに座屈を起こした後、後方側の中空構造部11bが座屈を起こす)で座屈させるために望ましい断面構造について説明する。
(1)バンパーステイ11において、内側前ウエブ16が車幅方向外向きに傾斜している。内側前ウエブ16の傾斜角度は、前フランジ13及び中間フランジ15との連結部の中心点16a,16bをつないだライン16cと、車体前後方向のライン16dのなす角度θである。内側前ウエブ16のこの傾斜は、バンパーステイ11を前記座屈形態で座屈させるために設けた最も大きい初期不整である。
(2)このバンパーステイ11では、内側前ウエブ16以外のウエブ17〜19は車体前後方向に平行である。本発明においてこれらが車体前後方向に平行であることは必須ではないが、後方側の中空構造部11bを前方側の中空構造部11aに比べて座屈しにくくするには、内側後ウエブ18はこの例のように車体前後方向に平行か、車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜している場合は内側前ウエブ16の傾斜より傾斜が緩いことが望ましい。また、外側前ウエブ17はこの例のように車体前後方向に平行か、車幅方向外向きに傾斜していることが望ましく、傾斜が大きいほど前記座屈形態を起こさせる初期不整が大きくなる。
(3)後方側の中空構造部11bにおいて測定した後フランジ14のウエブ間距離をp1とし、中間フランジ15のウエブ間距離をp2としたとき、p1=p2である。本発明において、p1<p2となると、後方側の中空構造部11bが座屈しやすくなるため、p1≧p2が望ましい。
(4)各フランジ13〜15及びウエブ16〜19は各々の連結部を除いて均一な厚さを有し、内側前ウエブ16の厚さをt1、外側前ウエブ17の厚さをt2とし、内側後ウエブ18の厚さをt3、外側後ウエブ19の厚さをt4としたとき、t3はt1より、t4はt2より大きい。本発明において、この厚さの差が大きいほど前記座屈形態を起こさせる初期不整が大きくなる。
(5)内側前ウエブ16の長さをL1(中心点16a,16b間長さ、以下同じ)、外側前ウエブ17の長さをL2、内側後ウエブ18の長さをL3、外側後ウエブ19の長さをL4としたとき、前ウエブ16,17の幅厚比(L1+L2)/(t1+t2)は、後ウエブ18,19の幅厚比(L3+L4)/(t3+t4)より大きく設定されている。本発明において前記座屈形態を起こさせるには、(L1+L2)/(t1+t2)≧(L3+L4)/(t3+t4)が望ましい。なお、上記不等式の成立は中間フランジの位置(前フランジ13と後フランジ14の中間のどの位置に設けるか)とも関係し、上記不等式が成立するように、中間フランジ15の位置が決められる。なお、ウエブの長さは、フランジをそのまま延長したときのウエブの中心間距離である。
次に、図2に示すバンパーステイ21は、同じくアルミニウム合金押出材からなり、断面構造はバンパーステイ11に類似するが、下記のようにいくつかの相違点がある。この中には、前方側の中空構造部21aが優先的に座屈するように、いくつかの初期不整が含まれている。
(1)内側前ウエブ26は、中間フランジ25の近傍と前フランジ23の近傍に屈曲箇所26a,26bがあり、屈曲箇所26aより前方側の部分26cは中間部分26dよりわずかに車幅方向外向きに傾斜し、屈曲箇所26bより後方側の部分26eは車幅方向内向きに傾斜し、全体として車幅方向外向きに傾斜している。なお、内側ウエブ26の傾斜は、前フランジ23及び中間フランジ25との連結部の中心点26f,26gをつないだライン26hの傾斜(車体前後方向のライン26iからの傾斜)でみる。屈曲部が形成されていることにより、前方側の内側前ウエブ26の車幅方向外向きの倒れが起きやすくなっている。
(2)外側前ウエブ27は、中間フランジ25の近傍に屈曲箇所27aがあり、屈曲箇所27aより後方側の部分27bは車幅方向外向きに傾斜し、前方側の部分27cは車体前後方向に平行に向き、全体として車幅方向外向きに傾斜している。屈曲部が形成されていることにより、前方側の外側前ウエブ27の車幅方向外向きの倒れが起きやすくなっている。なお、傾斜の定義は内側前ウエブ26と同じである。
(3)内側後ウエブ28は、後フランジ24の近傍と中間フランジ25の近傍に屈曲箇所28a,28bがあり、屈曲箇所28aより後方側の部分28cはわずかに車幅方向外向きに傾斜し、中間部分28dは車体前後方向に平行に向き、屈曲箇所28bより前方側の部分28eは車幅方向内向きに傾斜し、全体として車幅方向外向きに傾斜している。この傾斜(後フランジ24及び中間フランジとの連結部の中心点28f,28gをつないだライン28hの傾斜)は、内側前ウエブ26の傾斜より緩く設定されている。
(4)外側後ウエブ29は、後フランジ24の近傍と中間フランジ25の近傍に屈曲箇所29a,29bがあり、屈曲箇所29aより後方側の部分29cはわずかに車幅方向外向きに傾斜し、中間部分29dは車体前後方向に平行に向き、屈曲箇所29bより前方側の部分29eは車幅方向内向きに傾斜している。
(5)中間フランジ25の左右において、内側前ウエブ26及び内側後ウエブ28に傾斜した部分26e,28eが形成され、外側前ウエブ27及び外側後ウエブ29の傾斜した部分27b,29eが形成され、それにより表面にくぼみ31,32が形成された形になっている。中間フランジ25の位置において、内側前ウエブ26及び内側後ウエブ28の連結点及び外側前ウエブ27及び外側後ウエブ29の連結点に設けたくぼみ31,32は、前方側の中空構造部21aが座屈変形を開始するピーク荷重を低下させるための変形の起点、すなわち初期不整として機能する。
(6)後方側の中空構造部21bにおいて測定した後フランジ24のウエブ間距離をp1とし、中間フランジ25のウエブ間距離をp2としたとき、p1>p2である。
このバンパーステイ21及びバンパーリインフォース5において、各々の剛性は、バンパーリインフォース5の曲げ強度(屈曲部を伸ばすのに必要な荷重)をa、前方側の中空構造部21aの剛性(座屈変形を開始させるに必要な荷重)をb、バンパーリインフォース5の断面圧壊強度(断面の圧壊を開始させるに必要な荷重)をcとしたとき、a<b≦cに設定され、バンパーステイ21の後方側の中空構造部21bの剛性はさらに大きく設定される。
前記バンパーステイ21は、図3に示すように、ボルト締め又は溶接等により(いずれも図示せず)、前フランジ23がバンパーリインフォース5の傾斜した端部に固定され、後フランジ24がサイドメンバ6の先端に固定される。この状態で、図6のようにバリヤ衝突が起きた場合、バンパーリインフォース5は屈曲部が伸ばされるため、バンパーリインフォース5のバンパーステイ取付部間隔wが広がり、バンパーステイ21には車体後方側に圧縮荷重と幅方向外向きのせん断荷重が掛かる。バンパーステイ21は、この圧縮荷重及びせん断荷重により、図4(a)〜(c)に示すように、まず前方側の中空構造部21aが車幅方向外向きに座屈を開始し、その座屈が進行する。この間、後方側の中空構造部21bは比較的剛性が高いため座屈を開始していない。
前方側の中空構造部21aが車幅方向外向きに座屈することにより、バンパーリインフォース5のバンパーステイ取付部間隔wの広がりが吸収され、サイドメンバ6に作用する曲げモーメントの発生が抑えられ、サイドメンバ6が車幅方向外側に開いて折り曲げられるのが防止される。
衝突エネルギーが大きく、バンパーリインフォース5と前方側の中空構造部21aの座屈だけでは吸収しきれない場合、図4(d)〜(f)に示すように、後方側の中空構造部21bが座屈を開始し、その座屈が進行するが、バンパーリインフォース5の屈曲部がほぼ伸びきっていて、それ以上バンパーステー取り付け間隔が広がることはないため、バンパーリインフォース5からバンパーステイ21にはほぼ車体前後方向に平行な圧縮荷重のみが掛かる。このバンパーステイ5の場合、後方側の中空構造部21bも車幅方向外向きに座屈するように初期不整が設定されているため、後方側の中空構造部21bは車幅方向外向きに座屈し、後ウエブ28,29は車幅方向外向きに倒れる。これにより、後フランジ24には車幅方向内向きの荷重が掛かり、サイドメンバ6にも車幅方向内向きの荷重が掛かるが、この荷重によりバンパーステイに加わる曲げモーメントは大きくない。
図5は、他の断面構造を有するバンパーステイ41,51を示すもので、いずれも内側前ウエブ46,56が車幅方向外向きに傾斜している。また、バンパーステイ41においては、前方側の中空構造部41aが優先的に車幅方向外向きに座屈するための初期不整として、外側前ウエブ47が車幅方向外向きに傾斜し、バンパーステイ51においては、後方側の中空構造部51bが前方側の中空構造部51aより車幅方向外向きに座屈しにくいように、外側後ウエブ59が内向きに傾斜し、後フランジ44のウエブ間距離をp1と、中間フランジ45のウエブ間距離をp2の関係が、p1>p2となっている。
本発明に係るバンパーステイの平面図である。 同じく本発明に係るバンパーステイの平面図である。 そのバンパーステイをサイドメンバの先端に固定し、バンパーリインフォースを取り付けた平面図である。 そのバンパーステイの座屈形態を示す図である。 本発明に係る他のバンパーステイの平面図である。 従来のバンパーステイをサイドメンバの先端に固定し、バンパーリインフォースを取り付けた平面図である。
符号の説明
11,21 バンパーステイ
11a,21a 前方の中空構造部
11b,21b 後方の中空構造部
12,22 軸部
13,23 前フランジ
14,24 後フランジ
15,25 中間フランジ
16,26 内側前ウエブ
17,27 外側前ウエブ
18,28 内側後ウエブ
19,29 外側前ウエブ

Claims (4)

  1. アルミニウム合金押出材からなり、中央部が車幅方向に平行で左右の端部が車体後方側に傾斜又は湾曲したバンパーリインフォースの前記端部と、サイドメンバの端部の間に押出方向を上下方向に向けて固定されるバンパーステイにおいて、車幅方向に対し傾斜又は湾曲して形成され前記バンパーリインフォースの端部に固定される前フランジと、車体前後方向に対し垂直に形成され前記サイドメンバの端部に固定される後フランジと、前記前フランジと後フランジの間に配置された中間フランジと、前記前フランジと中間フランジを連結する内外一対の前ウエブと、前記中間フランジと後フランジを連結する内外一対の後ウエブからなり、前方への衝突によりバンパーリインフォースが車幅方向に伸びてバンパーステイ取付部間隔が広がり、バンパーステイに車体後方側への圧縮荷重と同時に車幅方向外向きのせん断荷重が掛かったとき、前記前フランジ、一対の前ウエブ及び中間フランジにより構成される前方側の中空構造部が、前記中間フランジ、一対の後ウエブ及び後フランジにより構成される後方側の中空構造部より先に座屈を開始し、かつそれが車体の幅方向外向きの座屈であるように、前記両中空構造部の剛性が設定されていることを特徴とするバンパーステイ。
  2. 内側の前ウエブが車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜し、内側の後ウエブが車体前後方向に平行か、車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜している場合は前記内側の前ウエブより傾斜が緩く、外側の前ウエブが車体前後方向に平行か、車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜し、後方側の中空構造部において、後フランジのウエブ間距離が中間フランジのウエブ間距離と同じか長いことを特徴とする請求項1に記載されたバンパーステイ。
  3. 中央部が車幅方向に平行で左右の端部が車体後方側に傾斜又は湾曲したバンパーリインフォースと、アルミニウム合金押出材からなり、前記バンパーリインフォースの前記端部とサイドメンバの端部の間に押出方向を上下方向に向けて固定されるバンパーステイにより構成されるバンパー構造体において、前記バンパーステイは、車幅方向に対し傾斜又は湾曲して形成され前記バンパーリインフォースの端部に固定される前フランジと、車体前後方向に対し垂直に形成され前記サイドメンバの端部に固定される後フランジと、前記前フランジと後フランジの間に配置された中間フランジと、前記前フランジと中間フランジを連結する内外一対の前ウエブと、前記中間フランジと後フランジを連結する内外一対の後ウエブからなり、前方への衝突によりバンパーリインフォースが車幅方向に伸びてバンパーステイ取付部間隔が広がり、バンパーステイに車体後方側への圧縮荷重と同時に車幅方向外向きのせん断荷重が掛かったとき、前記前フランジ、一対の前ウエブ及び中間フランジにより構成される前方側の中空構造部が、前記中間フランジ、一対の後ウエブ及び後フランジにより構成される後方側の中空構造部より先に座屈を開始し、かつそれが車体の幅方向外向きの座屈であるように、前記両中空構造部の剛性が設定されていることを特徴とするバンパー構造体。
  4. 前記バンパーステイにおいて、内側の前ウエブが車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜し、内側の後ウエブが車体前後方向に平行か、車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜している場合は前記内側の前ウエブより傾斜が緩く、外側の前ウエブが車体前後方向に平行か、車体前後方向から車幅方向外向きに傾斜し、後方側の中空構造部において、後フランジのウエブ間距離が中間フランジのウエブ間距離と同じか長いことを特徴とする請求項3に記載されたバンパー構造体。
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