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JP2005243111A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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JP2005243111A
JP2005243111A JP2004049605A JP2004049605A JP2005243111A JP 2005243111 A JP2005243111 A JP 2005243111A JP 2004049605 A JP2004049605 A JP 2004049605A JP 2004049605 A JP2004049605 A JP 2004049605A JP 2005243111 A JP2005243111 A JP 2005243111A
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JP
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magnetic
acid
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magnetic recording
layer
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Application number
JP2004049605A
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English (en)
Inventor
Satoru Hayakawa
悟 早川
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】 MRヘッドに対応し、走行耐久性に優れると共に再生時のエラーが少ない、優れた磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】 非磁性支持体上に、当該非磁性支持体側から、潤滑剤を含有する放射線硬化層、及び、磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、支持体上に少なくとも磁性層を設けた磁気記録媒体に関する。
オーディオ用、ビデオ用、コンピュータ用などのテープ状磁気記録媒体及びフロッピー(登録商標)ディスクなどのディスク状磁気記録媒体としてγ酸化鉄、Co含有酸化鉄、酸化クロム、強磁性金属微粉末などの強磁性微粉末を結合剤中に分散させた磁性層を支持体上に設けた磁気記録媒体が用いられている。磁気記録媒体に用いられている支持体としては一般にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが用いられている。これらの支持体は延伸し高度に結晶化されているため機械的強度が強く耐溶剤性に優れている。
強磁性微粉末を結合剤中に分散させた塗布液を支持体に塗布して得られる磁性層は強磁性微粉末の充填度が高く破断伸びが小さく脆いため下塗り層を設けずに形成された磁性層は機械的な力を加えることにより簡単に破壊され支持体から剥離することがある。そこで、支持体上に下塗り層を設けて、磁性層を支持体上に強く接着させることが行われている。
例えば、電子線などの放射線により硬化する官能基をもつ化合物、即ち放射線硬化型化合物を用いて下塗り層を形成することが知られている。例えば、特許文献1〜4(特開昭60−133529号公報、同60−133530号公報、同60−150227号公報、特開平5−57647号公報)等には、放射線硬化型化合物として、2官能の脂肪族系化合物を用いて下塗り層を形成した磁気記録媒体を開示している。これらの脂肪族系化合物は硬化後の塗膜のガラス転移温度が高いもので40℃程度であり、下塗り層を塗布した後の塗布工程で粘着故障を起こすことがあるという問題があった。一方、これらの脂肪族系放射線硬化型化合物は(メタ)アクリロイル官能基を増やすことで粘着故障を防止することが可能だが、多官能化すると硬化収縮が大きくなり平滑な塗膜が得られないことやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの支持体との密着力が低くなり、十分な走行耐久性や電磁変換特性が得られないことがある。
また、特許文献5及び6(特開昭61−13430号公報及び同58−146023号公報)等では環構造をもつ電子線硬化型化合物の例を開示している。特許文献5ではフタル酸とポリエ−テルポリオ−ルからなる電子線硬化型化合物を用いている。特許文献6はジソシアネ−ト化合物に電子線硬化官能基とイソシネ−トと反応する基をもつ化合物を反応させたものを用いている。ジイソシアネ−ト化合物はトリレンジイソシアネ−トなどの芳香環を有するものである。これらの芳香環を用いたものは、硬化後の塗膜が脆くなりやすく、支持体との密着が不十分になり走行時の磁性塗膜が脱落しやすい欠点がある。
更に、近年MR(磁気抵抗)を動作原理とする再生ヘッドが提案され、ハードディスク等で使用され始め、また、特許文献7(特開平8−227517号公報)には磁気テープへの応用が提案されている。MRヘッドは誘導型磁気ヘッドに比較して数倍の再生出力が得られ、かつ誘導コイルを用いないため、インピーダンスノイズ等の機器ノイズが大幅に低下し、磁気記録媒体のノイズを下げることで大きなSN比を得ることが可能になってきた。換言すれば従来機器ノイズに隠れていた磁気記録媒体ノイズを小さくすれば良好な記録再生が行え、高密度記録特性が飛躍的に向上できることになる。
ところがMRヘッドは微小な熱の影響を受けてノイズ(サーマルノイズ)を発生すると
いう問題があり、特に、磁性層表面にある突起に当たるとその影響で突発的に且つ持続してノイズが増大するという問題があり、ディジタル記録の場合エラー補正が不可能なほどの問題を起こすことがある。このサーマルノイズの問題は、記録密度が0.5Gbit/inch2 以上の記録信号を再生するシステムに供される磁気記録媒体において深刻となる。このようなサーマルノイズを低減するには、磁性層の表面性を制御することが重要であり、そのための好適な手段が望まれている。
特許文献8(特開2003−141713号公報)は、MRヘッドに対応可能な、走行耐久性に優れると共に優れた塗膜平滑性、電磁変換特性を有する磁気記録媒体として、放射線硬化型樹脂からなる下塗り層、磁性層の厚みと表面突起を特定した磁気記録媒体を開示している。
特許文献9(特開2003−296920号公報)は、表面平滑性及び電磁変換特性に優れ、ドロップアウトが改善された高記録密度の磁気記録媒体として、非磁性粉末として針状含水酸化鉄粉末と結合剤樹脂(好ましくは放射線硬化型)を含有する下層非磁性層上に上層磁性層を有する磁気記録媒体を開示している。
特開昭60−133529号公報 特開昭60−133530号公報 特開昭60−150227号公報 特開平5−57647号公報 特開昭61−13430号公報 特開昭58−146023号公報 特開平8−227517号公報 特開2003−141713号公報 特開2003−296920号公報
本発明は、MRヘッドに対応し、走行耐久性に優れると共に再生時のエラーが少ない、優れた磁気記録媒体を提供する。
(1)非磁性支持体上に、当該非磁性支持体側から、潤滑剤を含有する放射線硬化層、及び、磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒体。
(2)放射線硬化層中の潤滑剤の量が、放射線硬化層中の樹脂100質量部に対し1〜10質量部であることを特徴とする上記(1)に記載の磁気記録媒体。
従来の非磁性粒子を含有する層(非磁性層)を有することなく、代わりに潤滑剤を含有する放射線硬化層を有することにより、総厚が7μm以下と薄くとも、走行耐久性に優れると共に再生時のエラーが少ない、優れた磁気記録媒体が可能となった。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、潤滑剤を含有する放射線硬化層を形成し、その上に磁性層を形成してなる磁気記録媒体である。放射線硬化層及び磁性層は支持体の少なくとも一方に設けられるが、両方に設けることもできる。
〔非磁性支持体〕
非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド(芳香族、脂肪族など)、ポリアミドイミド(芳香族、脂肪族など)等の公知のものが使用できる。好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート、ポリアミドである。これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。支持体の中心線平均表面粗さはカットオフ値0.25mmにおいて3〜10nmが好ましい。
〔放射線硬化層〕
本発明の磁気記録媒体が有する潤滑剤を含有する放射線硬化層は、例えば、放射線硬化型化合物と潤滑剤とを含有する塗布液を非磁性支持体上に塗布、放射線を照射することにより形成することができる。
放射線硬化型化合物としては、例えば、放射線官能性2重結合を有する化合物であるアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などが挙げられる。この中でもアクリレート化合物、メタクリレート化合物が好ましい。
これらの放射線硬化型化合物の具体例としては、脂肪族ジオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたもの、例えば、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなどがあげられる。また、シクロヘキサンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジオールジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジメタクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、水素化ビスフェノールFのジアクリレート、水素化ビスフェノールFのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、など脂環族ジオールのアクリレート化合物、メタクリレート化合物。ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、などポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルポリオールにアクリル酸或いは、メタクリル酸を付加したポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレートを挙げることができる。
また、公知の二塩基酸、グリコールから得られたポリエステルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレートも用いることができる。公知のポリオール、ジオールとポリイソシアネートを反応させたポリウレタンにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレートを用いてもよい。
ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものやイソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジメタアクリレートなども用いることができる。
3官能の化合物としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロール
プロパンのアルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリメタクリレートなどを用いることができる。
更に4官能以上としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサアクリレートなどの化合物を用いることができる。
本発明では、特にジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(25℃の粘度:6000mPa・s(B型粘度測定法による))を用いることで、塗布適性ベースの突起マスキング効果が顕著に表われることを確認した。この樹脂を用いることで、ベース平滑化が可能になること及びこの樹脂中に潤滑剤を添加することで従来の非磁性粉体同様に、上層への潤滑剤の供給が可能になり、薄層で且つ平滑な磁気記録媒体を提供することができる。
官能基数が多過ぎるかあるいは官能基濃度が高過ぎると硬化収縮が大きく、支持体との密着力が低下し好ましくない。
分子量は2000以下の比較的低分子のものが好ましい。更に好ましくは分子量1000以下である。分子量が低い方が、粘度が低くレベリングが高いので平滑性が向上する。
最も好ましいものは分子量200〜600の2官能のアクリレート化合物、メタクリレート化合物である。
このような放射線硬化型化合物として、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレート、5−エチル−2−(2−ヒドロキシ−1,1’−ジメチルエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−1,3−ジオキサンジアクリレートなどを挙げることができる。
これらの放射線硬化型化合物は任意の割合で混合して使用することができる。
放射線硬化型化合物の25℃における粘度は、10,000Pa・sec以下が好ましい。更に好ましくは100〜9,000Pa・sec、最も好ましくは500〜8,000Pa・secである。10,000Pa・secよりも粘度が高いと十分な平滑性が得られない場合がある。粘度はB型粘度測定法により測定することができる。
なお、放射線硬化型化合物の物性や硬化反応を調整する機能を有する反応性希釈剤を添加することができる。
反応性希釈剤としては、例えば、1官能アクリレートまたはメタクリレート化合物を挙げることができ、「低エネルギー電子線照射の応用技術(2000年 (株)シーエムシー発行)」及び「UV・EB硬化技術(1982年 (株)総合技術センター発行)」などに記載されている公知の1官能アクリレートまたはメタクリレート化合物を使用することができる。
反応性希釈剤としては脂環式炭化水素骨格を持つアクリレート化合物が好ましい。具体的な例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが挙げられる。
反応性希釈剤の配合量は前記の2官能以上の放射線硬化型化合物に対して10重量%〜90重量%が好ましい。
潤滑剤としては、脂肪酸エステル、具体的には、イソヘキサデシルステアレート、日本油脂製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、ブチルステアレート、ブチルラウレート、エルカ酸、関東化学製:オレイン酸、竹本油脂製:FAL−205、FAL−123、新日本理化製:エヌジエルブOL、信越化学製:TA−3,ライオンアーマー社製:アーマイドP、ライオン社製、デュオミンTDO、日清製油製:BA−41G、三洋化成製:プロフアン2012E,ニューポールPE61,イオネットMS−400などがあげられる。
また、後述の磁性層に含有させることができる潤滑剤から選択することもできる。
下塗り液は、上記放射線硬化型化合物、潤滑剤、必要により反応性希釈剤などを、必要により溶媒に溶解して調製することができる。下塗り液の粘度は、5〜200mPa・sが好ましい。溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、エタノール、トルエン等が好ましい。下塗り液は、支持体上に塗布、乾燥後、放射線照射され、硬化し、下塗り層(放射線硬化層)を形成する。その下塗り層の硬化後のガラス転移温度Tgは、80〜150℃が好ましく、更に好ましくは100〜130℃である。即ち、塗布工程における粘着故障を防止する点でTg80℃以上が好ましく、塗膜強度の点でTg150℃以下が好ましい。
放射線硬化層の厚みは、硬化後の厚みとして、0.1μm〜1.0μmが好ましく、更に好ましくは0.5〜0.7μmである。0.1μm以下では表面の突起をカバーすることができない場合があり、また、1.0μm以上では充分に乾燥せず、硬化が不充分となる場合がある。
〔放射線硬化〕
上記下塗り液を支持体上に塗布、乾燥して形成された塗膜に対して、放射線照射を行うことにより、潤滑剤を含有する硬化層を形成する。
本発明において使用される放射線は、電子線や紫外線などを用いることができる。
電子線硬化の場合は重合開始剤が不要であり、透過深さも深いので好ましい。電子線加速器としてはスキャニング方式、ダブルスキャニング方式あるいはカーテンビーム方式が採用できるが、好ましいのは比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式である。電子線特性としては、加速電圧が通常、30〜1000kV、好ましくは50〜300kVであり、吸収線量として通常、5〜200kGy(0.5〜20Mrad)、好ましくは20〜100kGy(2〜10Mrad)である。加速電圧が30kV未満の場合はエネルギーの透過量が不足し、300kVを超えると重合に使われるエネルギーの効率が低下し経済的でない。電子線を照射する雰囲気は窒素パージにより酸素濃度を200ppm以下にすることが好ましい。酸素濃度が高いと表面近傍の架橋、硬化反応が阻害される。
紫外線光源としては、水銀灯が用いられる。水銀灯は一般に20〜240W/cmのランプを用い、速度0.3m/分〜20m/分で使用される。基体と水銀灯との距離は一般に1〜30cmであることが好ましい。
なお、紫外線を使用する場合には下塗り液に光重合開始剤を添加することが必要となる。紫外線硬化に用いる光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤が用いられる。詳細は例えば「新高分子実験学第2巻 第6章 光・放射線重合」(共立出版1995発行、高分子学会編)記載されているものを使用できる。具体例としては、アセトフエノン、ベンゾフエノン、アントラキノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジ
ルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフエニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフエニルケトン、2−2ジエトキシアセトフエノン、などがある。光重合開始剤の混合比率は、放射線硬化化合物100質量部に対し通常、0.5〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。放射線硬化装置、条件などについては「UV・EB硬化技術」((株)総合技術センタ−発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000、(株)シーエムシー発行)などに記載されている公知のものを用いることができる。
〔磁性層〕
磁性層は、磁性粉末を結合剤中に分散した組成物を塗布することによって形成される。
結合剤としてはポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独あるいは複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいのはポリウレタン樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂である。結合剤には磁性体の分散性を向上させるためこれらの粉体表面に吸着する官能基(極性基)を持つことが好ましい。好ましい官能基としては−SO3M、−SO4M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2 、−COOM、R12NSO3M、R12NRSO3M、−NR12 、−N+123 などがある。ここでMは水素又はNa、K等のアルカリ金属、Rはアルキレン基、R1、R2、R3はアルキル基又はヒドロキシアルキル基又は水素を表し、R1とR2は一緒になって環を形成してもよい。XはCl、Br等のハロゲン原子である。結合剤中の官能基の量は、分酸性の点から、10μeq/g〜200μeq/gが好ましく、更には30μeq/g〜120μeq/gが好ましい。
結合剤には吸着官能基のほかにイソシアネート硬化剤と反応して架橋構造を形成し塗膜強度を向上させるために−OH基などの活性水素を持つ官能基を付与することが好ましい。好ましい量は0.1meq/g〜2meq/gである。
結合剤の分子量は質量平均分子量で10000〜200000が好ましく、更に好ましくは20000〜100000である。即ち、塗膜強度及び耐久性の点から10000以上が好ましく、分散性の点から200000以下が好ましい。
好ましい結合剤であるポリウレタン樹脂は例えば「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(岩田敬治 編、1986年 日刊工業新聞社)に詳しく記載されているが、通常、長鎖ジオール、短鎖ジオール(鎖延長剤と呼ばれることもある)とジイソシアネート化合物の付加重合によって得られる。長鎖ジオールは分子量500〜5000のポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリオレフィンジオールなどが用いられる。この長鎖ポリオールの種類によりポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタン、ポリエーテルエステルウレタン、ポリカーボネートウレタン等と呼ばれる。
ポリエステルジオールとしてはアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族二塩基酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族二塩基酸とグリコールとの縮重合によって得られる。グリコール成分としてはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなどがある。またポリエステルジオールにはこのほか
ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトンを開環重合したポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオールなども用いることができる。ポリエステルジオールは耐加水分解性の観点で分岐側鎖をもつもの、芳香族、脂環族の原料から得られるものが好ましい。
ポリエーテルジオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、やビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP、水素化ビスフェノールAなどの芳香族グリコールや脂環族ジオールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加重合したものなどがある。
これらの長鎖ジオールは複数の種類のものを併用、混合して用いることもできる。短鎖ジオールとしては上記ポリエステルジオールのグリコール成分に例示したものと同じ化合物群の中から選ぶことができる。また3官能以上の多価アルコール例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを少量併用すると分岐構造のポリウレタン樹脂が得られ溶液粘度を低下させたり、ポリウレタンの末端のOH基を増やすことでイソシアネート系硬化剤との硬化性を高めることができる。
ジイソシアネート化合物としてはMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、2,4−TDI(トリレンジイソシアネート)、2,6−TDI、1,5−NDI(ナフタレンジイソシアネート)、TODI(トリジンジイソシアネート)、p−フェニレンジイソシアネート、XDI(キシリレンジイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、H6XDI(水素添加キシリレンジイソシアネート)、H12MDI(水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート)などの脂肪族、脂環族ジイソシアネートなどが用いられる。
ポリウレタン樹脂中の長鎖ジオール/短鎖ジオール/ジイソシアネートの好ましい組成は(80〜15質量%)/(5〜40質量%)/(15〜50質量%)である。ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度は1meq/g〜5meq/gが好ましい。更には1.5〜4.5である。この範囲より少ないと力学強度が小さく、多すぎると溶液粘度が高く分散性が低下する。ポリウレタン樹脂のガラス転移温度は0℃〜200℃が好ましく、更には40℃〜160℃である。この範囲より低いと耐久性が低下し、高すぎるとカレンダー成形性が低下し電磁変換特性が低下する。ポリウレタン樹脂に前述した吸着官能基(極性基)を導入する方法としては官能基を長鎖ジオールのモノマーの一部に用いる方法、短鎖ジオールの一部に用いる方法やポリウレタンを重合した後、高分子反応で極性基を導入する方法などがある。
塩化ビニル系樹脂としては塩化ビニルモノマーに種々のモノマーと共重合したものが用いられる。共重合モノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのアクリレート、メタクリレート類、アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテルなどのアルキルアリルエーテル類 その他スチレン、αメチルスチレン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、エチレン、ブタジエン、アクリルアミド、更に官能基をもつ共重合モノマーとしてビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアリルエー
テル、p−ビニルフェノール、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ホスホエチル(メタ)アクリレート、スルホエチル(メタ)アクリレート、p−スチレンスルホン酸、及びこれらのNa塩、K塩などが用いられる。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートの少なくともいずれか一方を含有するものを意味する。
塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニルモノマーの組成は60〜95質量%が好ましい。これより少ないと力学強度が低下し、多すぎると溶剤溶解性が低下し、溶液粘度が高く分散性が低下する。吸着官能基(極性基)、ポリイソシアネート系硬化剤との硬化性を高めるための官能基の好ましい量は前述したとおりである。これらの官能基の導入方法は上記の官能基含有モノマーを共重合しても良いし、塩化ビニル系樹脂を共重合した後、高分子反応で官能基を導入しても良い。好ましい重合度は200〜600、更に好ましくは240〜450である。この範囲より小さいと力学強度が低下し、高すぎると溶液粘度が高く分散性が低下する。
結合剤を架橋、硬化させ塗膜の力学強度や耐熱性高めるために硬化剤を用いることができる。好ましい硬化剤としてポリイソシアネート化合物がある。ポリイソシアネート化合物は3官能以上のポリイソシアネートが好ましい。具体的にはトリメチロールプロパン(TMP)にTDI(トリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにIPDI(イソホロンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、TMPにXDI(キシリレンジイソシアネート)を3モル付加した化合物、などアダクト型ポリイソシアネート化合物、TDIの縮合イソシアヌレート型3量体、TDIの縮合イソシアヌレート5量体、TDIの縮合イソシアヌレート7量体、及びこれらの混合物。HDIのイソシアヌレート型縮合物、IPDIのイソシアヌレート型縮合物。 さらにクルードMDIなどがある。これらの中で好ましいのはTMPにTDIを3モル付加した化合物、TDIのイソシアヌレート型3量体などである。
イソシアネート系硬化剤以外に電子線あるいは紫外線などの放射線硬化型の硬化剤を用いても良い。この場合、放射線硬化官能基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を分子内に2個以上、好ましくは3個以上有する硬化剤を用いることができる。例えばTMP(トリメチロールプロパン)のトリアクリレート、ペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマーなどがある。この場合、硬化剤のほかに結合剤にも(メタ)アクリロイル基を導入するのが好ましい。紫外線硬化の場合はこのほかに光増感剤が併用される。硬化剤は結合剤100質量部に対して0〜80質量部添加するのが好ましい。多すぎると分散性が低下する。
強磁性粉末は、強磁性酸化鉄、コバルト含有強磁性酸化鉄又は強磁性合金粉末でBET法による比表面積(SBET)が通常、40〜80m2/g 、好ましくは50〜70m2/g
である。結晶子サイズは通常、12〜25nm、好ましくは13〜22nmであり、特に好ましくは14〜20nmである。長軸長は通常、0.03〜0.08μmであり、好ましくは0.04〜0.06μmであり、特に好ましくは0.04〜0.05μmである。強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等が挙げられ、金属成分の20質量%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマスを含む合金を挙げることができる。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物または酸化物を含むものなどであってもよい。これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造するこ
とができる。強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状および板状のものなどが使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用することが好ましい。
上記の樹脂成分、硬化剤および強磁性粉末を、通常磁性層塗布液の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散して磁性塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。
本発明の磁性層に使用されるその他の添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などを持つものが使用される。
二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラフアイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、アルキルリン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一塩基性脂肪酸、および、これらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良いアルコキシアルコール、炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一塩基性脂肪酸と炭素数2〜12の不飽和結合を含んでも、また分岐していても良い一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミン、などが使用できる。これらの具体例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコールがあげられる。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、リン酸、硫酸エステル基、リン酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
磁性層塗布液は塗布後、磁性層塗布液の塗布層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理を施した後に乾燥される。このようにして乾燥された後、塗布層に表面平滑化処理を施
す。
表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。
本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜5nm、好ましくは1〜4nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが高密度記録用の磁気記録媒体として好ましい。その方法として、例えば上述したように特定の強磁性粉末と結合剤を選んで形成した磁性層を、表面平滑化処理を施すことにより行われる。
表面平滑化処理には、たとえばスーパーカレンダーロールなどカレンダー処理が利用される。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理することもできる。
カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500Kg/cm(98〜490kN/m)の範囲であり、好ましくは200〜450Kg/cm(196〜441kN/m)の範囲であり、特に好ましくは300〜400Kg/cm(294〜392kN/m)の範囲の条件で作動させることによって行われることが好ましい。
以上のようにして調製した塗布液を支持体上に塗布して磁性層を形成する。本発明の磁気記録媒体の製造方法は、例えば、走行下にある支持体の下塗り層表面に磁性層塗布液を磁性層の乾燥後の層厚が0.05μm〜1.0μmの範囲内、より好ましくは0.07〜0.8μmになるように塗布する。ここで複数の磁性層塗布液を逐次あるいは同時に重層塗布してもよく、下層塗布液と磁性層塗布液とを逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。
〔塗布方法〕
上記磁性塗布液もしくは下層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。 これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
本発明を二層以上の構成の磁気記録媒体に適用する場合、塗布する装置、方法の例として以下のものを提案できる。
(1)磁性層塗布液の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置により、まず下層を塗布し、下層が未乾燥の状態のうちに特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報等に開示されているような支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により、上層を塗布する。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッドにより上下層をほぼ同時に塗布する。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているようなバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置により、上下層をほぼ同時に塗布する。
〔バック層〕
支持体の磁性層が形成されていない面には、バック層が設けられていてもよい。バック層は、研磨剤、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバック層形成塗料を塗布して設けられた層である。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。なお、支持体上のバック層形成塗料の塗布面に本発明の下塗り層あるいは公知の下塗り層が設けられていてもよい。
得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
〔磁気記録媒体の層厚〕
本発明の構成により、磁気記録媒体の総厚を7μm以下とすることができる。例えば、磁性層0.07〜0.2μm、放射線硬化層0.1〜1μm、支持体3〜5μm、バック層0.3〜0.6μmとして、総厚を7μm以下とすることが好ましい。
以下、本発明を具体的に実施例に基づき説明するが、本発明はこれに限定されて解釈されるべきものではない。なお、以下の「部」とは「質量部」のことである。
〔実施例1〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(25℃の粘度6000mPas)(放射線硬化型化合物A)を30質量%溶液(MEK)に調製し、その中に脂肪酸エステル(イソヘキサデシルステアレート)を放射線硬化型化合物Aの100部あたり、5部添加したものを乾燥後の厚さが0.5μmになるようにコイルバーを用いて4.5μm、中心線平均粗さ5nmのポリエチレンフタレート支持体の表面に塗布したあと、乾燥させ、塗膜表面に加速電圧150KVの電子線を吸収線量が10kGy(1Mrad)になるように照射し硬化させた。
その後、放射線硬化の上に下記磁性層用塗布液を乾燥後の厚みが80nmになるようにリバーサルロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗料が未乾燥の状態で5000ガウスのCO磁石と4000ガウスのソレノイド磁石で磁場配向を行った。
磁場配向後、磁性層を乾燥し、カレンダーで速度100m/min、線圧300Kg/cm(294kN/m)、温度90℃で表面平滑化処理を行った。その後、下記バック層用塗布液により、厚み0.5μmのバック層を塗布し、裁断前に70℃で24時間の熱処理を施した。その後、1/2インチ幅にスリットし、60℃で48時間熱処理を行った。スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押し当たるように取り付けたテープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、テープ形態の磁気記録媒体を得た。
〔磁性層用塗布液の調製〕
強磁性針状金属粉末(Hc:183.0kA/m(2300Oe)、結晶子サイズ:120Å、平均長軸長:0.06μm、BET比表面積:70m2/g)100部とポリウレタン樹脂18部とを混練し、次いで、フェニルホスホン酸5部、α−Al23(平均粒子径:0.2μm)10部、カーボンブラック(平均粒子径:20nm)1部を加え、サンドミルで120分間分散した。さらに、シクロヘキサノン110部、メチルエチルケトン100部、トルエン100部、ブチルステアレート2部、ステアリン酸1部を加え、更に20分間攪拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用い濾過し、磁性層用塗布液を調製した。
〔バック層用塗布液の調製〕
下記成分からなる分散組成物をボールミルに投入し、24時間分散し、スラリーを調製した。
カーボンブラック1(平均粒径=20nm) 80部
カーボンブラック2(平均粒径=100nm) 5部
α−Fe23(平均粒径:0.1μm) 1部
ニトロセルロース樹脂 65部
ポリエステルポリウレタン樹脂 35部
MEK 260部
トルエン 260部
シクロヘキサノン 260部
上記で調製したスラリーに、下記組成物を混合、攪拌した後、再度ボールミルにて分散処理を3時間行い、濾過を行い、分散物を得た。
ステアリン酸 1部
ステアリン酸ブチル 2部
MEK 210部
トルエン 210部
シクロヘキサノン 210部
上記で調製した分散物100部にイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネート−L)1部を加え、攪拌、混合し、バック層用塗布液とした。
〔実施例2〕
潤滑剤量を7%及び放射線硬化型化合物をトリプロピレングリコールジアクリレート(25℃の粘度10mPas)に変更した以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を調製した。
〔実施例3〕
放射線硬化型化合物をトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(25℃の粘度150mPas)に変更した以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を調製した。
〔実施例4〕
潤滑剤の添加量を15質量%に変更した以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を調製した。
〔比較例1〕
潤滑剤を添加しないこと以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を調製した。
〔比較例2〕
放射線硬化型化合物を、下記の非磁性層用塗布液に変え、同様の乾燥厚で塗布し、電子線照射を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を調製した。
〔非磁性層用塗布液の調製〕
非磁性無機質粉末:α−酸化鉄(平均長軸長:0.16μm、
平均針状比:7、BET比表面積:52m2/g) 85部
カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 15部
塩化ビニル共重合体 10.5部
ポリウレタン樹脂 8.6部
フェニルホスホン酸 3部
α−Al23(平均粒径:0.2μm) 1部
シクロヘキサノン
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
上記で得た各磁気記録媒体について、以下のように評価した。
〔表面粗さ〕
WYKO社製TOP3Dを用い、MIRAU法で約250×250μmの面積の中心線表面粗さRaを測定した。
〔出力〕
磁気記録再生システムの組み立て記録再生ヘッド(MRヘッド)を富士通(株)製F613Aドライブ(3480型1/2インチカートリッジ磁気テープ記録再生装置)に装着し、テープスピード100インチ/秒の磁気記録再生システムを作製した。
21℃50%RHでサーボ制御を行い、1トラック(幅20μm)を90m長のテープで再生を行った。
〔耐久性(磁性層面)〕
SUS420JのSUS棒に20gの荷重をかけ、温度23℃70%(環境A)、40℃80%(環境B)の環境下で1/4幅のテープを速度14mm/secで1000回摺動させた時の磁性層の表面観察を行った。
ランクA:傷、デブリの発生がない。
ランクB:傷、デブリが僅かに発生。
ランクC:傷、デブリが多発。
のランクに分けた。
〔エラー回数〕
上記磁気記録再生システムに実施例及び比較例の各磁気記録テープを装置して再生時のエラー回数を測定した。
21℃50%RHでサーボ制御を行い、1トラックを90m長のテープで再生を行い、出力落ち35%以上かつ4bit以上の長さの信号欠落をエラーとしてその発生回数を測定して評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2005243111
表1における結果より、本発明の磁気記録媒体が上記諸性能に優れていることがわかる。

Claims (2)

  1. 非磁性支持体上に、当該非磁性支持体側から、潤滑剤を含有する放射線硬化層、及び、磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 放射線硬化層中の潤滑剤の量が、放射線硬化層中の樹脂100質量部に対し1〜10質量部であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
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