JP2005132015A - 水圧転写用フィルムおよび水圧転写体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な硬化性樹脂層及び装飾層を有する転写層とを積層したフィルムであって、前記装飾層に隣接して、有機顔料、無機顔料及び樹脂微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を含有する樹脂層である膨潤抑制層を転写層中に有する水圧転写フィルムおよび該フィルムを水圧転写することにより得られる水圧転写体を提供する。
【選択図】 なし
Description
活性化とは、有機溶剤により皮膜化した転写層を再溶解することであるが、装飾柄を崩さずに、柔軟化することが重要である。硬化性樹脂層を設けた場合には、硬化性樹脂層と装飾層からなる積層構造も保持しなければならない。
しかしながら、特許文献1に記載の水圧転写用フィルムでは、その効果が膨張防止層で囲まれた領域内に限定されるため、製造品目の形状に応じて膨張防止層の設定を変える必要があり、製造工程の煩雑さや汎用性を本質的に解消するには至らなかった。
すなわち本発明は、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な硬化性樹脂層及び装飾層を有する転写層とを積層したフィルムであって、前記装飾層に隣接して、有機顔料、無機顔料及び樹脂微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を含有する樹脂層である膨潤抑制層を転写層中に有することを特徴とする水圧転写フィルムを提供する。
本発明の水圧転写用フィルムに用いる支持体フィルムは、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成るフィルムである。
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、ポリアクリルアミド、アセチルブチルセルロース、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が使用できる。なかでも一般に水圧転写用フィルムとして用いられているPVAフィルムが水に溶解し易く、入手が容易で、硬化性樹脂層の印刷にも適しており、特に好ましい。これらの樹脂層は単層でも多層でも良く、層厚みは10〜200μm程度が好ましい。
次に、本発明の水圧転写用フィルムの支持体上に設けられる転写層(装飾層、硬化性樹脂層および膨潤抑制層)について説明する。転写層は硬化性樹脂層と装飾層と膨潤抑制層が積層された複合層である。装飾層は、印刷インキ層または塗料層から成る装飾層であり、隣接して膨潤抑制層と積層されている。
本発明の水圧転写用フィルムの装飾層形成に用いる印刷インキ又は塗料は、有機溶媒によって活性化されて被転写体に転写層を転写する際に十分な柔軟性が得られることが好ましく、特に高画質画像を得やすいという観点からグラビア印刷インキにより形成されることが好ましい。また絵柄のない着色層を塗布によって形成することもできる。
本発明の水圧転写フィルムの膨潤抑制層は、有機顔料、無機顔料及び樹脂微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を含有する樹脂層である。
有機顔料、無機顔料及び樹脂微粒子としては、
1)有機顔料:アゾ顔料、フタロシアニン顔料、スレン顔料、キナクリドン顔料等、
2)無機顔料:
(無機着色顔料):無機顔料カーボン、酸化チタン、クラファイト、亜鉛華など、
(無機体質顔料):炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー(China Clay)、シリカ粉、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、塩基性炭酸マグネシウム、バライト粉、砥の粉など、
3)樹脂微粒子:架橋アクリル系微粒子、架橋ポリスチレン系樹脂微粒子、架橋ウレタン微粒子、フェノール樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子など
を例示として挙げることができる。
これらの添加物としては、無機顔料を用いることが好ましく、酸化チタン系顔料が特に好ましい。
本発明の水圧転写フィルムで使用する膨潤抑制層は、前記の有機顔料、無機顔料及び樹脂微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を40質量%以上含有することが好ましい。該添加物の含有量は有機溶剤の吸収量に応じて適宜決定すればよいが、40〜80質量%が好ましく、より好ましくは50〜80質量%、更に好ましくは60〜80質量%である。
膨潤抑制層の形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷などにより行うことができる。中でも、グラビア印刷が好ましい。膨潤抑制層の乾燥膜厚は、0.1〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは0.2〜7μm、より更に好ましくは0.3〜4μmである。膨潤抑制層は、その機能から連続皮膜になっていることが好ましいが、印刷によりベタ版印刷を行う場合、ベタ印刷の版目間の空隙が100μm以上になると、膨潤抑制層中に含有される添加剤の効果が薄れ、版目同士の離散が生じ、柄が割れてしまいやすくなる。したがって、版目間の空隙が生じてしまう方法で膨潤抑制層を形成する場合、版目間の空隙は100μm未満であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。
膨潤抑制層に用いる有機溶媒としては、上記装飾層の印刷インキ又は塗料に用いるものと同じものを使用することができる。
装飾層が印刷柄の場合、柄は版目と言われるドットにより構成されており、完全な連続被膜にはなっていない。したがって、活性化の際、装飾層の図柄が拡大しやすい性質を持っている。そのため、柄によって活性化剤を塗布した場合、柄が割けるように伸びてしまうことがある。そこで、本発明では、膨潤抑制層(1)に加え、膨潤抑制層(2)を設け、柄をサンドイッチするように積層することにより、柄を補強し、活性化による装飾層の柔軟化と柄の再現性を両立させる態様、即ち本発明の水圧転写フィルムの転写層が硬化性樹脂層/膨潤抑制層(2)/装飾層/膨潤抑制層(1)の順に積層されている態様を好ましい態様として挙げることができる。
なお、膨潤抑制層(2)は、転写された後は装飾層の上層にあって装飾層と共に得られる水圧転写体の意匠性を発現する部分でもある。このため膨潤抑制層(2)は必ずしも透明であることを要せず、水圧転写体の要求特性によっては透明から半透明、更には着色されていても良い。
硬化性樹脂層は、活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも1種で硬化可能な硬化性樹脂から成る。装飾層が積層されているときは、得られる水圧転写体の装飾層の意匠性が良く発現できることから、硬化性樹脂層は透明であることが好ましい。但し、水圧転写体の要求特性、及び、意匠性によるが、基本的に得られる水圧転写体の装飾層の色や柄が透けて見えれば良く、硬化性樹脂層は完全に透明であることを要せず、透明から半透明なものまでを含む。また、着色されていてもよい。
(1)活性エネルギー線硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(2)活性エネルギー線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(3)熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(4)熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(5)活性エネルギー線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(6)活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層。
(1)活性エネルギー線硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層
活性エネルギー線硬化性樹脂は、1分子中に活性エネルギー線によって硬化可能な重合性基や構造単位を有するオリゴマーとポリマーである。ここでいう活性エネルギー線とは紫外線と電子線であり、これらにより硬化するオリゴマーとポリマーはいずれも使用可能であるが、特に紫外線硬化性樹脂が好適である。
活性エネルギー線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層は上述した活性エネルギー線硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂を活性エネルギー線硬化性樹脂と併せて用いることは硬化性樹脂層の粘着性低減とガラス転移温度(Tg)の向上および硬化性樹脂層の凝集破壊強度の向上に極めて効果的である。但し、硬化性樹脂層に含ませる熱可塑性樹脂の量が多いと硬化性樹脂の硬化反応を阻害するので、硬化性樹脂層の全樹脂量100質量部に対して熱可塑性樹脂は70質量部を超えない範囲で添加することが好ましい。
熱硬化性樹脂は、熱または触媒の作用により重合する官能基を分子中に有する化合物であるか、または主剤となる熱硬化性化合物に硬化剤となる熱反応性化合物を配合したものである。熱または触媒の作用により重合する官能基としては、例えば、N−メチロール基、N−アルコキシメチル基、エポキシ基、メチロール基、酸無水物、炭素−炭素二重結合などが挙げられる。
ポリオールとしては、アクリルポリオール、ポリ−p−ヒドロキシスチレン、ポリエステルポリオール、ポリエチレンビニルアルコール共重合体などが挙げられるが、特にアクリルポリオールが好ましく、なかでも、質量平均分子量が3,000〜10万のアクリルポリオール、より好ましくは1万〜7万のアクリルポリオールが好適である。
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層としては、(3)に記載した熱硬化性樹脂と、(2)に記載した熱可塑性樹脂を含むものである。
用いる熱硬化性樹脂は(3)で記載した熱硬化性樹脂と同様であり、好ましい熱硬化性樹脂も(3)と同様にブロックイソシアネートとポリオールであり、特にポリオールはアクリルポリオールであり、なかでも質量平均分子量が3,000〜10万、より好ましくは1万〜7万のものである。
活性エネルギー線硬化性樹脂と熱硬化性樹脂を含む硬化性樹脂層としては、それぞれ(1)に記載した活性エネルギー線硬化性樹脂と、(3)に記載した熱硬化性樹脂を用いることが出来る。例えば、1分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートと、ブロックイソシアネートとポリオールとを含むものである。
活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層は、(1)に記載した活性エネルギー線硬化性樹脂と、(3)に記載した熱硬化性樹脂、および(2)に記載した活性エネルギー線硬化性樹脂と併用する熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂層である。熱可塑性樹脂は、非重合性であることが好ましい。
本発明の活性化では、活性化剤が圧力を持って転写層に着地するため、活性化剤は速やかに浸透し、硬化性樹脂層を溶解(活性化)しやすくすることができる。また、熱可塑性樹脂を含ませることにより硬化性樹脂層は、より穏やかに活性化されることが可能になり、急激な活性化による硬化性樹脂層の溶解ムラや装飾層の柄割れなどを抑制することができる。
これら添加可能な化合物に何ら制限はなく、例えば、シリガゲル、シリカゾル、モンモリロナイト、マイカ、アルミナ、酸化チタン、ガラスビーズ等の無機・金属化合物、オルガノシリカゾル、アクリル変性シリカ、クロイサイト等の有機処理を施された無機・金属化合物を用いることができる。
本発明の水圧転写用フィルムは、剥離性フィルム上に積層にして製造し、水圧転写に際して、該剥離フィルムから剥離して使用する態様を挙げることができる。
剥離フィルムを有する水圧転写フィルムの製造方法の一例を下記に示す。
a)剥離性フィルム(A)/膨潤抑制層(1)/装飾層
b)剥離性フィルム(A)/装飾層/膨潤抑制層(2)
c)剥離性フィルム(A)/膨潤抑制層(1)/装飾層/膨潤抑制層(2)
のいずれかの構成になるように塗工または印刷した剥離性フィルム(A)と、硬化性樹脂層を積層した支持体フィルム(B)とを、ドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせて製造することができる。その際には、フィルム繰り出し等の作業や取扱で装飾層が剥がれ落ちない剥離力で剥離性フィルム上に固着されている必要がある。
次に、本発明の水圧転写用フィルムの製造方法の一例を下記に示す。
本発明の水圧転写用フィルムの製造方法は、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂から成る支持体上に活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化可能な有機溶剤に溶解可能な硬化性樹脂層を設けたフィルム(A)と、剥離性フィルム上に印刷インキ皮膜または塗料皮膜からなる有機溶剤に溶解可能な疎水性の装飾層と膨潤抑制層とを設けたフィルム(B)とを、フィルム(A)の硬化性樹脂層と、フィルム(B)の装飾層または膨潤抑制層(2)とが相対するように重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせることが好ましい。
(a)支持体上の硬化性樹脂層上への塗布または印刷する方法、
あるいは、
(b)支持体フィルム上に硬化性樹脂層が形成されたフィルム(A)と剥離性フィルム(2)上に装飾層および膨潤抑制層を有するフィルム(B)とのドライラミネートする方法
により水圧転写用フィルム中に積層することができる。
(a)の支持体に前記硬化性樹脂層上へ塗工または印刷する場合、硬化性樹脂層表面の濡れ性等の塗装または印刷に対する適正が必要になる。また、グラビア印刷機を用いた多層印刷により柄のついた装飾層を導入する場合、通常のベタから淡い柄、濃い柄へと印刷していくのとは順序が逆になるので、転写時に被転写体と密着するベタ層の平滑性を確保し難くなる。更に、印刷工程における、前の版で印刷されたインキが後の版に取られてしまう現象、所謂、逆転移が起こりやすくなる。
次に、転写層として装飾層とそれに隣接する膨潤抑制層と硬化樹脂層を有する本発明の水圧転写用フィルムを用いた成形品の製造方法について述べる。
本発明の水圧転写体の製造方法は、本発明の水圧転写用フィルムを、剥離性フィルムを剥離した後に、転写層を上にして、支持体を下にして水に浮かべ、有機溶剤により装飾層とそれに隣接する膨潤抑制層と硬化樹脂層からなる転写層を活性化し(活性化は水に浮かべる前に行っても良い)、転写層を被転写体に転写し、支持体を除去し、次いで転写層の硬化性樹脂層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で硬化させる方法である。
本発明の水圧転写用フィルムは、従来の水圧転写用フィルムの水圧転写と同様な方法で水圧転写を行うことができる。これらの水圧転写用フィルムを用いた水圧転写体の製造方法の概略は、以下に示す通りである。
(2)転写層に有機溶剤を塗布または噴霧することにより装飾層とそれに隣接する膨潤抑制層と硬化樹脂層からなる転写層を活性化させる。なお、転写層の有機溶剤による活性化は、フィルムを水に浮かべる前に行っても良い。
(3)転写層に被転写体を押し付けながら、被転写体と水圧転写用フィルムを水中に沈めて行き、水圧によって転写層を被転写体に密着させて転写する。
(4)水から出した被転写体から支持体フィルムを除去し、被転写体に転写された転写層の硬化性樹脂層を活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種により硬化させて、硬化した樹脂層もしくは硬化した樹脂層と装飾層とを有する水圧転写体を得る。
本発明が適用できる水圧転写体の具体例としては、テレビ、ビデオ、エアコン、ラジオカセット、携帯電話、冷蔵庫等の家庭電化製品;パーソナルコンピューター、ファックスやプリンター等のOA機器;ファンヒーターやカメラなどの家庭製品のハウジング部分;テーブル、タンス、柱などの家具部材;バスタブ、システムキッチン、扉、窓枠などの建築部材;電卓、電子手帳などの雑貨;自動車内装パネル、自動車やオートバイの外板、ホイールキャップ、スキーキャリヤ、自動車用キャリアバッグなどの車内外装品;ゴルフクラブ、スキー板、スノーボード、ヘルメット、ゴーグルなどのスポーツ用品;広告用立体像、看板、モニュメントなどが挙げられ、曲面を有しかつ意匠性を必要とする成形品に特に有用に用いられ、極めて広い分野で使用可能である。
実施例及び比較例で得た水圧転写体を以下の試験で評価した。
(膨潤抑制性)
面積S0(例えば、15cm×15cm)の水圧転写フィルムに実際に水圧転写をするのと同量の活性剤を塗布し、直ちに水槽(例えば、37cm×32cmの面積を有する)に張った水上(25℃)に浮かべ、1分後のフィルムの面積S1から算出される面積膨潤度(S1/S0×100)により評価した。
○:面積膨潤度200%未満
△:面積膨潤度200%以上400%未満
×:面積膨潤度400%以上
10cm×10cm×2cm(高さ)のABS製の箱蓋に水圧転写した場合の柄再現性について、目視評価した。
◎:箱蓋の上面の柄伸びが120%未満、かつ、側面の柄伸びが140%未満
○:箱蓋の上面の柄伸びが120%未満、または、側面の柄伸びが140%未満
△:箱蓋の上面の柄伸びが120%以上140%未満、
かつ、側面の柄伸びが140%以上170%未満
×:箱蓋の上面の柄伸びが140%以上、かつ、側面の柄伸びが170%以上
ABS樹脂板(平板:100mm×100mm×3mm)に水圧転写したサンプルについて、碁盤目テープ法(JIS K5400) に準じてインキ密着性を10点満点で評価した。
(製造例1:硬化性樹脂組成物A1の製造)
ペンタエリスリトール2モル当量とヘキサメチレンジイソシアネート7モル当量とヒドロキシエチルメタクリレート6モル当量を60℃で反応して得られるウレタンアクリレート(UA1)60部(1分子中の平均のアクリロイル基数6、重量平均分子量890)とロームアンドハース社製アクリル樹脂商品名パラロイドA−11(Tg100℃、重量平均分子量125,000)40部を、酢酸エチルとメチルエチルケトンの混合溶媒(混合比1:1)に溶解し、更にチバ・スペシャリティケミカルス社製の光重合開始剤商品名「イルガキュア184」3部を添加、攪拌して樹脂固形分42%の硬化性樹脂組成物A1を製造した。
ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート及びスチレンをモル比20:30:15:15:20で共重合させたアクリルポリオール(a)(重量平均分子量25,000)81部にアクリルポリオールの水酸基価に対して1.1倍当量のイソシアネート価のヘキサメチレンジイソシアネートフェノール付加物とヘキサメチレンジイソシアネートの3量体のフェノール付加物との混合物19部をトルエンと酢酸エチル(1:1)の混合溶媒に添加、攪拌して樹脂固形分35%の硬化性樹脂組成物A2を製造した。
ポリウレタン(大日本インキ社製、バーノックEZL676):35質量部、顔料(赤、黄、白):10質量部、酢酸エチル・トルエン(1/1):50質量部、およびワックス等添加剤:5質量部。
ポリウレタン(大日本インキ社製、バーノックEZL676):23質量部、顔料(酸化チタン):42質量部、酢酸エチル・トルエン(1/1):30質量部、およびワックス等添加剤:5質量部。
ポリウレタン(大日本インキ社製、バーノックEZL676):30質量部、シリカ(富士シリシア製、サイリシア350D)15部、カオリン(土屋カオリン工業製、カタルポ)10部、酢酸エチル・トルエン(1/1):40質量部、およびワックス等添加剤:5質量部。
東洋紡社製の厚さ50μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、PPフィルムと略す)に、グラビア7色印刷機にて印刷速度20m/分で、インキC1を乾燥膜厚0.8μmの設定で印刷して膨潤抑制層(1)をベタ版により形成し、引き続き、インキB1により抽象絵柄(3版)を乾燥膜厚3μmの設定で印刷し、装飾フィルムE1を得た。
(製造例4:膨潤抑制層(1)及び(2)を有する装飾フィルム)
東洋紡社製の厚さ50μmのPPフィルムに、グラビア7色印刷機にて印刷速度20m/分で、インキC1を乾燥膜厚0.8μmの設定で印刷して膨潤抑制層(1)をベタ版により形成し、引き続き、インキB1により抽象絵柄(3版)を乾燥膜厚3μmの設定で印刷し、さらに、インキD1を乾燥膜厚0.8μmの設定で印刷して膨潤抑制層(2)をベタ版により形成し装飾フィルムE2を得た。
東洋紡社製の厚さ50μmのPPフィルムに、グラビア7色印刷機にて印刷速度20m/分で、インキB1により抽象絵柄(3版)を乾燥膜厚3μmの設定で印刷し、装飾フィルムE3を得た。
支持体フィルムであるアイセロ化学社製の厚さ30μmのPVAフィルムへ硬化性樹脂組成物A1をコンマコーターで所定の乾燥膜厚(20μm)になるように塗布し、次いで60℃で2分間乾燥した後に、硬化性樹脂層と装飾フィルムE1の装飾層とを向き合わせて60℃でラミネートし、気温40℃、18時間エージングすることにより水圧転写用フィルムF1を作成した。
支持体フィルムであるアイセロ化学社製の厚さ30μmのPVAフィルムへ硬化性樹脂組成物A1をコンマコーターで所定の乾燥膜厚(20μm)になるように塗布し、次いで60℃で2分間乾燥した後に、硬化性樹脂層と装飾フィルムE2の膨潤抑制層(2)とを向き合わせて60℃でラミネートし、気温40℃、18時間エージングすることにより水圧転写用フィルムF2を作成した。
支持体フィルムであるアイセロ化学社製の厚さ30μmのPVAフィルムへ硬化性樹脂組成物A2をコンマコーターで所定の乾燥膜厚(20μm)になるように塗布し、次いで60℃で2分間乾燥した後に、硬化性樹脂層と装飾フィルムE2の膨潤抑制層(2)とを向き合わせて60℃でラミネートし、気温40℃、18時間エージングすることにより水圧転写用フィルムF3を作成した。
支持体フィルムであるアイセロ化学社製の厚さ30μmのPVAフィルムへ硬化性樹脂組成物A1をコンマコーターで所定の乾燥膜厚(20μm)になるように塗布し、次いで60℃で2分間乾燥した後に、硬化性樹脂層と装飾フィルムE3の装飾層とを向き合わせて60℃でラミネートし、気温40℃、18時間エージングすることにより水圧転写用フィルムF4を作成した。
水槽に25℃の温水を入れ、水圧転写用フィルムF1のPPフィルムを剥離後、PVA側を下にして水圧転写用フィルムF1を水面に浮かべた。活性化剤(キシレン/メチルイソブチルケトン/3−メチル3−メトキシブチルアセテート/酢酸ブチル=50/25/15/10)を20g/m2噴霧し、15秒後、10cm×10cm×2cm(高さ)のABS製の箱蓋を硬化性樹脂層面から水中に向かって挿入し水圧転写した。PVAを水洗除去した後、80℃で30分間乾燥させた。次にUV照射装置を用いて、2400mJ/cm2のUV光を照射することにより、硬化性樹脂層を硬化させ、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体を得た。
水圧転写用フィルムF2を用いた他は実施例1と同様にして、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体を得た。
水槽に25℃の温水を入れ、水圧転写用フィルムF3のPPフィルムを剥離後、PVA側を下にして水圧転写用フィルムF1を水面に浮かべた。活性化剤(キシレン/メチルイソブチルケトン/3−メチル3−メトキシブチルアセテート/酢酸ブチル=50/25/15/10)を20g/m2噴霧し、15秒後、10cm×10cm×2cm(高さ)のABS製の箱蓋を硬化性樹脂層面から水中に向かって挿入し水圧転写した。PVAを水洗除去した後、80℃で60分間乾燥させることにより、硬化性樹脂層を硬化させ、優れた表面光沢と鮮明な絵柄模様を有する水圧転写体を得た。
水圧転写用フィルムF4を用いた他は実施例1と同様にして、水圧転写体を得た。しかしながら、活性化の時点で水圧転写フィルムF4が急激に膨張し、柄が間延びしてしまった。
2 支持体
3 トップコート層(硬化性樹脂層)
4 膨潤抑制層(2)
5 装飾層
6 膨潤抑制層(1)
7 剥離性フィルム
Claims (11)
- 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと、該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な硬化性樹脂層及び装飾層を有する転写層とを積層したフィルムであって、前記装飾層に隣接して、有機顔料、無機顔料及び樹脂微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加物を含有する樹脂層である膨潤抑制層を転写層中に有することを特徴とする水圧転写フィルム。
- 前記添加物を40質量%以上含有する請求項1記載の水圧転写フィルム。
- 前記転写層が硬化性樹脂層/装飾層/膨潤抑制層(1)の順に積層されている請求項1または2記載の請求項に記載の水圧転写フィルム。
- 前記転写層が硬化性樹脂層/膨潤抑制層(2)/装飾層/膨潤抑制層(1)の順に積層されている請求項3記載の水圧転写フィルム。
- 装飾層がインキ層である請求項1〜4のいずれかの請求項に記載の水圧転写フィルム。
- 前記膨潤抑制層が、装飾層に使用している樹脂を80質量%以上含有する請求項1〜5のいずれかの請求項に記載の水圧転写フィルム。
- 前記膨潤抑制層に使用する、装飾層に使用している樹脂が、ポリウレタンまたはポリエステルである請求項6記載の水圧転写フィルム。
- 前記膨潤抑制層(1)が無機顔料を含む請求項3または4に記載の水圧転写フィルム。
- 前記膨潤抑制層(1)が酸化チタン系白色顔料を含むことを特徴とする請求項8に記載の水圧転写フィルム。
- 前記膨潤抑制層(1)中の酸化チタン系白色顔料の含有率が40〜80質量%である請求項9に記載の水圧転写フィルム。
- 請求項1〜10のいずれかの請求項に記載の水圧転写用フィルムを、前記転写層を上にして水に浮かべ、有機溶剤によって活性化させた前記転写層に被転写体を押し付けることにより水圧転写用フィルムを被転写体に転写し、前記被転写体に転写された水圧転写フィルムから支持体フィルムを除去した後、活性エネルギー線照射と加熱の少なくとも一種で、転写された硬化性樹脂層を硬化させたことを特徴とする水圧転写体。
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