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JP2005123385A - 半導体装置 - Google Patents

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JP2005123385A
JP2005123385A JP2003356364A JP2003356364A JP2005123385A JP 2005123385 A JP2005123385 A JP 2005123385A JP 2003356364 A JP2003356364 A JP 2003356364A JP 2003356364 A JP2003356364 A JP 2003356364A JP 2005123385 A JP2005123385 A JP 2005123385A
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semiconductor device
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substrate
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JP2003356364A
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Koichi Mizuno
紘一 水野
Nobuyuki Otsuka
信之 大塚
Shigeo Yoshii
重雄 吉井
Chiyoujitsuriyo Suzuki
朝実良 鈴木
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】 マイクロ波帯域からテラヘルツ帯域での特性のバラツキが抑制されており、実装が容易で、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置100は、凸状部18を有するn型半導体層2Aを最上部に有する基板1と、基板1上に形成され、n型半導体層2Aの凸状部18の上を通って延びる信号線5と、基板1上に形成され、信号線5と互いに離間して配置され、信号線5と伝送線路を構成する接地線6と、n型半導体層2Aと、信号線5および接地線6とから構成される発振素子15と、基板1上に形成され、信号線5に接続された高周波利用回路部11とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、マイクロ波帯域からミリ波帯域、さらにはテラヘルツの周波数帯域で動作する半導体装置に関する。
近年、情報通信分野における技術の進展は著しく、通信機器が扱う周波数帯域もマイクロ波帯域からミリ波帯域へと、より高い周波数帯域へと変化している。このようなマイクロ波帯からミリ波帯までの高周波帯域を扱う通信用回路などでは、高周波信号を発生する発振回路あるいは発振素子が重要な回路要素となる。従来、マイクロ波帯域での高周波信号の発生には、高周波増幅器に正帰還をかけた発振回路や、素子自体が負性抵抗特性を有する2端子素子が用いられている。このうち高周波増幅器に正帰還をかけた発振回路の出力は、ミリ波帯域から、さらに高周波帯域において高周波増幅器の周波数特性が低下するため、十分な出力が得られないことがある。このため、ミリ波帯域以上の周波数では負性抵抗特性を示す2端子素子が多用されている。
負性抵抗特性を示す2端子素子としては、代表的には、ガン効果を用いたガンダイオード、電子のなだれ現象を用いたIMPATTダイオード、負性抵抗特性を用いたトンネルダイオードなどがある。このうちガンダイオードは比較的簡単な構造であり、また比較的大きな出力が得られるので有用である。
ガンダイオードは、ガン効果を利用したダイオードである。ガン効果とは、閃亜鉛構造を有する直接遷移型のn型半導体において電子の走行速度が電界依存性を有し、電界強度が臨界値Ethより小さいときに、その移動度が大きい状態にあるが、その一方で電界強度が臨界値Ethより大きくなると、その移動度が小さい状態に遷移するために生じる効果である。ここで、ガン効果が生じる原理を図14および図15を参照しながら説明する。図14は、プレーナ型ガンダイオードにおいてガン効果が生じる原理を模式的に示す図であり、図15は、n型のGaAsを用いたガンダイオードにおける、電界強度と電子の走行速度との関係を示す図である(非特許文献1を参照)。なお、図15の横軸は電界強度を、縦軸は電子の走行速度を表す。
プレーナ型ガンダイオードは、図14に示すように、基板101の最上部に形成された上述のガン効果を生じるn型半導体層102と、n型半導体層102上に形成された1対の電極103とから構成される。このガンダイオードでは、上述のようなガン効果を生じるn型半導体層102に対して1対の電極103からEthより大きな電界を印加した場合、電界強度に対する電子の走行速度の依存性(図15を参照のこと)に起因して、n型半導体層102中での電子の走行速度に分布が生じる。この結果、n型半導体層102中に電界分布が生じ、さらにn型半導体層102中に電子濃度の高くなった領域(ドメイン)104が生じる。ドメイン104が一方の電極103に到達すると電流ピークが生じ、さらにこのドメイン104が繰り返し発生、走行する。このことによって、ドメイン104が一方の電極103に到達する周期に応じて高周波信号が発生する。なお、ドメイン104の速度Vd(cm/s)は、十分大きな電界強度において飽和した電子の走行速度と一致する。
ドメイン104の形成にはいくつかのモードがあり、代表的なものはドメイン104がn型半導体層102中に1カ所生じるダイポールモードである。ダイポールモードで生じる高周波信号の周波数の最大値f0は、電極103の間の距離L(cm)とドメインの移動速度Vd(cm/s)により決まり、下記式(1)で表される。
f0=Vd/L (Hz) … (1)
さらにガン効果では、複数のドメイン104が同時に生じる高次のモード(ハイブリッドモード)も存在する。ハイブリッドモードで生じる高周波信号の周波数fは、実験的に下記式(2)で表される関係にあることが見積もられている。
f0<f<(50×f0) … (2)
また、n型半導体層102の不純物濃度N0(cm-3)と電極103の間の距離L(cm)として、下記式(3)を満たすことがガン効果を生じる条件とされている(非特許文献1を参照)。
0L>1012 (cm-2) … (3)
式(3)に示される条件は、図16中の斜線部の領域で示される。図16は、ガン効果が生じる条件を表す図である。
図16から電極103の間の距離Lに対する、ガン効果が生じる不純物のドーピング濃度を見積もることができる。
また、ハイブリッドモードでガン効果が生じる条件は、ダイポールモードより高電界を印加することを前提として、下記式(4)に表される。
5×1013>N0L>1012 (cm-2) … (4)
薄膜堆積法やエッチングによる凸状形状の通常の加工上限は10μm程度である。凸状の膜厚方向に電流を流すガンダイオードを想定し、さらに式(4)に示される条件を考慮したハイブリッドモードでのガン効果が生じる範囲は、図16中の領域Rで示される。また、n型半導体層102の不純物濃度N0は、通常1×1016〜1×1018(cm-3)程度であるので、電極103の間の距離Lが0.01μm以上となる場合にガン効果が生じることがわかる。
図17は、最も基本的なダイポールモードのf0を示している。図17から、ドメイン104の速度Vdの値を仮定して、電極3の間の距離Lに対するダイポールモードでの発信周波数f0を見積もることができる。図17では、通常Vdが1×106〜1×108(cm/s)であることをふまえ、実際の飽和電子速度に近い値(1×105、1×106、1×107、1×108(cm/s))を用いてプロットしている。
図17では、ダイポールモードにおける発振周波数f0を示しているが、ハイブリッドモードでの最大動作周波数fは、f0の約50倍まで可能となることから、例えばVd=107(cm/s)、L=5(μm)とすることで、約1THzの発振(f0=20GHz)が、またVd=107(cm/s)、L=2.5(μm)とすることで、約3THzの発振(f0=50GHz)が可能であることがわかる。さらにVdの大きな材料や、Lを短くすることでより高周波での動作が期待される。
従来ガンダイオードは、下記特許文献1および特許文献2に示されるようなバルク型ガンダイオードを用いて、下記特許文献3に示されるようなピル型パッケージと呼ばれる円筒状のケースに実装されることが多い。ピル型パッケージは、導波管内に配置するなど、立体回路用途に設計されたものであって、平面実装にはあまり適していない。また、高周波信号を外部に取り出すためにパッケージの電極部分にロッドを接触させる必要が生じることもあり、集積化にはあまり適していない。さらに、ピル型パッケージの3次元形状は、テラヘルツ帯域の周波数の波長と同程度となるため、テラヘルツ帯域の高周波出力を得るのが困難なこともある。
これらに対し、平面実装可能な構成としてフリップチップ実装可能なガンダイオードが下記特許文献3に示されている。この、ガンダイオードがマイクロストリップ線路を構成する平板回路基板にフリップチップ実装されている一例を、図18を参照しながら説明する。
図18に示すように、半絶縁性の平板基板131上の表面には、信号電極132が、また裏面に接地電極133が形成されている。また、平板基板131内には、平板基板131を貫通し、裏面の接地電極133と、表面に形成した表面接地電極135とを互いに接続するヴィアホール134が設けられており、ヴィアホール134にはタングステンが充填されている。
さらに、平板基板131の上には、ガンダイオード110Aが、フェースダウン姿勢で搭載され、ガンダイオード110Aのカソードバンプおよびアノードバンプが、信号電極132および表面接地電極135にそれぞれ直接接続されている。
信号電極132は、ガンダイオード110Aにバイアス電圧を供給するバイアス電極132Aと、ガンダイオード110Aを含むマイクロストリップ線路による共振器を構成する電極132Bと、マイクロストリップ線路を構成する信号出力電極132Cとから構成されている。
特開平6−314802号公報(第1図)。 特開平7−111348号公報(第3図)。 特開2002−134810号公報(第1図、第3図、第9図)。 W. Alan Davis, Microwave Semiconductor Circuit Design, Chapter 15, Van Nostrand Reinhold Company Inc., New York 1984。
上述のように、平面実装されるガンダイオードに関しても、実際にはフリップチップ実装を前提としている。このとき、ガンダイオードをテラヘルツ帯域の回路で用いるためには、ガンダイオードの実装位置精度のバラツキが、目的とする周波数の波長(3THzで300μm)の1/20程度でなくてはならない。
しかしながら、フリップチップ実装では、上記の精度でガンダイオードを実装することは非常に難しく、ガンダイオードを実装した製品のテラヘルツ帯域における特性のバラツキを抑制するのは難しい。
また、ミリ波帯域からテラヘルツ帯域にかけては、信号の伝送損失が大きい。このため、できる限り伝送線路長を短縮することが望まれる。伝送線路長を短縮するには、回路の小型薄膜化、さらには回路素子の集積化が必要であるが、従来のガンダイオードに適用されるピル型パッケージおよびフリップチップ実装共に、更なる集積化を実現することは難しい。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、マイクロ波帯域からテラヘルツ帯域での特性のバラツキが抑制されており、実装が容易で、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが可能な半導体装置を提供することにある。
本発明の第1の半導体装置は、凸状部を有するn型半導体層を最上部に有する基板と、上記基板上に形成され、上記n型半導体層の上記凸状部の上を通って延びる信号線と、上記基板上に形成され、上記信号線と互いに離間して配置され、上記信号線と伝送線路を構成する接地線と、上記n型半導体層と、上記信号線および上記接地線とから構成される発振素子と、上記基板上に形成され、上記信号線に接続された高周波利用回路部と、
を備える。
本発明の第1の半導体装置では、伝送線路を構成する信号線および接地線と、発振素子と、信号線に接続された高周波利用回路部とが、1つの基板に組み込まれる構造となっている。つまり、フリップチップ実装などによることなく、非常に高い精度で発振素子が実装された半導体装置が得られる。従って、本発明の第1の半導体装置では、テラヘルツ帯域における特性のバラツキが抑制される。また、発振素子をワイヤやバンプを用いて高周波利用回路に接続する必要がない。このため、ピル型パッケージおよびフリップチップ実装等に比べて、伝送線路長が短縮され、ミリ波帯域からテラヘルツ帯域にかけて、信号の伝送損失を小さくすることができる。従って、高周波利用回路部を通じて、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが可能である。
上記n型半導体層は、閃亜鉛構造を有する直接遷移型の化合物半導体で形成されており、上記発振素子は、ガンダイオードである構成とすることが好ましい。
ガンダイオードは比較的簡単な構造であり、また比較的大きな出力が得られるので、半導体装置の性能を向上することができる。
上記n型半導体層は、GaAs、InP、InSb、ZnSeおよびCdTeからなる群から選択される1種類の化合物半導体、あるいは少なくとも2種類の化合物半導体の混晶から形成されている構成としてもよい。
上記n型半導体層は、GaInNAsから形成されている構成としてもよい。
上記高周波利用回路部は、パッチアンテナまたはフィルタからなる構成としてもよい。
本発明の第2の半導体装置は、凸状部を有するn型半導体層を最上部に有する基板と、上記基板の上面上に形成され、上記n型半導体層の上記凸状部の上を通って延びる信号線と、上記基板の下面上に形成され、上記信号線と伝送線路を形成する接地線と、上記基板の上面上に上記信号線から離間して形成され、上記接地線と接続された接地電極と、上記n型半導体層と、上記信号線および上記接地電極とから構成される発振素子と、上記基板上に形成され、上記信号線に接続された高周波利用回路部とを備える。
本発明の第2の半導体装置では、伝送線路を構成する信号線および接地線と、発振素子と、信号線に接続された高周波利用回路部とが、1つの基板に組み込まれる構造となっている。つまり、フリップチップ実装などによることなく、非常に高い精度で発振素子が実装された半導体装置が得られる。従って、本発明の第2の半導体装置では、テラヘルツ帯域における特性のバラツキが抑制される。また、発振素子をワイヤやバンプを用いて高周波利用回路に接続する必要がない。このため、ピル型パッケージおよびフリップチップ実装等に比べて、伝送線路長が短縮され、ミリ波帯域からテラヘルツ帯域にかけて、信号の伝送損失を小さくすることができる。従って、高周波利用回路部を通じて、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが可能である。特に、本発明の第2の半導体装置では、信号線および接地線がマイクロストリップ型伝送線路を構成する。マイクロストリップ型伝送線路は、その高周波特性に関して解析が十分行われており、電磁界シミュレーションにおいても精度の高いモデルが提供されている。従って、本発明の第2の半導体装置は、高精度でマイクロストリップ型の伝送線路を設計する必要が有る場合に、特に有用である。
上記n型半導体層は、閃亜鉛構造を有する直接遷移型の化合物半導体で形成されており、上記発振素子は、ガンダイオードである構成とすることが好ましい。
ガンダイオードは比較的簡単な構造であり、また比較的大きな出力が得られるので、半導体装置の性能を向上することができる。
上記n型半導体層は、GaAs、InP、InSb、ZnSeおよびCdTeからなる群から選択される1種類の化合物半導体、あるいは少なくとも2種類の化合物半導体の混晶から形成されている構成としてもよい。
上記n型半導体層は、GaInNAsから形成されている構成としてもよい。
上記高周波利用回路部は、パッチアンテナまたはフィルタからなる構成としてもよい。
本発明によれば、マイクロ波帯域からテラヘルツ帯域での特性のバラツキが抑制されており、実装が容易で、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが可能な半導体装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書中で「高周波」との用語は、マイクロ波帯域以上(約0.8GHz以上)の高い周波数帯を意味するものとする。
(実施形態1)
図1は、本実施形態の半導体装置を示す上面図である。図2は、図1中に示されている発振素子付近の拡大図である。図3(a)、(b)および(c)は、それぞれ図2中の線A−A、線B−Bおよび線C−Cに沿った断面図である。図4は、図1中に示されている発振素子付近の斜視図である。
図1〜図4に示すように、本実施形態の半導体装置100は、凸状部18を有するn型半導体層2Aを最上部に有する基板1と、基板1上に形成され、n型半導体層2Aの凸状部18の上を通って延びる信号線5と、基板1上に形成され、信号線5と互いに離間して配置され、信号線5と伝送線路を構成する接地線6と、n型半導体層2Aと、信号線5および接地線6とから構成される発振素子15と、基板1上に形成され、信号線5に接続された高周波利用回路部11とを備える。
具体的には、本実施形態では、Feドープの半絶縁性InPで形成された母基板を用意し、この母基板の上にn型半導体層2Aとしてエピタキシャル成長によってSiドープInP薄膜が形成されたものを基板1として用いている。
信号線5および接地線6は、膜厚5μm程度の金属薄膜を用いて基板1上に直接形成されてコプレーナ型の伝送線路を構成しており、n型半導体層2Aにオーミック接触されている。本実施形態では、オーミック接触を、信号線5および接地線6の、n型半導体層2Aに対する接触界面にAuGeNiあるいはAuGe合金を形成し、300℃の熱処理を行なうことによって形成している。さらに本実施形態では、信号線5および接地線6にAuの電界メッキが施されている。
また、信号線5は、スタブ10が接続されたバイアス線8aを通じてバイアス端子8に接続されている。つまり、外部電源によってバイアス端子8を通じて直流電圧がn型半導体層2Aに印加される構成となっており、信号線5の一端に設けられた、信号線5と接地線6とn型半導体層2Aとで構成される発振素子15が、ガンダイオードとなっている。
さらに、信号線5の他端には、高周波利用回路11として金属薄膜で形成されたパッチアンテナが接続され、発振素子15で発生した高周波電力が空間に放射されるよう設計されている。なお、パッチアンテナ11の形状は、動作周波数帯域に併せて適宜変更可能である。
接地線6は、接地端子7を通じて接地されている。また、接地線6のうちの、信号線5と接地線6とで伝送線路を構成している部分では、伝送線路の接地電位を同一とするために、信号線5を跨いで接地線6を結ぶAu配線からなるエアブリッジ9が形成されている。
ここで、図2〜図4を参照しながら発振素子15をさらに説明する。
本実施形態では、発振素子15は、図2、図3(a)〜(c)および図4に示すように、基板1の最上部に形成されたn型半導体層2Aと、信号線5と、信号線5から離間して設けられた接地線6とから構成されたガンダイオードである。特に、本実施形態では、n型半導体層2Aが、n型不純物であるSiの濃度が1×1017(cm-3)、膜厚が約0.5μmであるn−半導体層2と、n−半導体層2の上下に形成され、n型不純物の濃度がn−半導体層2よりも高い(不純物であるSiの濃度が1×1019(cm-3))n+半導体層12aおよび12bとで構成されている。なお、このコンタクト層としてのn+半導体層12aおよび12bは、必ずしも必要ではない。図3(c)に示すように、n−半導体層2と、その上に形成されたn+半導体層12aとは、凸状部18を形成している。
さらに、信号線5および接地線6は、基板1上に直接形成されているが、特に、n型半導体層2Aが形成されている領域上では、信号線5は、n+半導体層12a上に位置するように形成されており、接地線6は、n+半導体層12b上に位置するように形成されている。
また、図3(a)および図4に示すように、発振素子15付近でコプレーナ伝送線路の接地電位を同一とするために、信号線5を跨いで接地線6を結ぶAu配線からなるエアブリッジ9が形成されている。
ここで、図5を参照しながら発振素子15の動作を説明する。図5は、発振素子15の動作を模式的に示す断面図である。
発振素子15では、バイアス端子8を通じて信号線5に印加されるバイアス電圧が正電圧である場合、n−半導体層2の上面が信号線5とほぼ等電位に、n−半導体層2の下面が接地線6とほぼ等電位になり、n−半導体層2内にn−半導体層2に対して直交する電界が生じる。従って、図5に示すように、n−半導体層2にn+半導体層12bからn+半導体層12aに向かって移動するドメイン4が形成される。つまり、発振素子15はガンダイオードとして機能する。
なお、発振素子15の発振周波数は、n−半導体層2の厚さLで決まり、ここでは0.5ミクロンメートルである。ただしこれは設計事項の1つであり、0.1〜10μmの間で、所望の発振周波数が得られるよう適宜設計すればよい。
ここで、本実施形態の発振素子15および半導体装置100の特性を調べた結果を説明する。
本実施形態の発振素子(ガンダイオード)15は、閾値電界Ethより大きな電界において高周波発振特性を示した。また、その発振周波数は、n−半導体層2の厚さLが5μm以下では、単純なダイポールモードとして計算される値よりも大きなものであった。さらに、その発振周波数は、半導体装置100のバイアス端子8に印加される直流電圧値によって若干変化し、発振周波数の調整が可能であった。また、このとき半導体装置100では、パッチアンテナより空間に電界が放射されることが確認された。
従来、上述したように、ガンダイオードなどの発振素子は、フリップチップ実装などで実装されており、ガンダイオードをテラヘルツ帯域の回路で用いるためには、ガンダイオードの実装の際の精度のバラツキの許容範囲が、目的とする周波数の波長(3THzで300μm)と同程度となる。しかし、フリップチップ実装では、上記の精度でガンダイオードを実装することは非常に難しく、ガンダイオードを実装した製品のテラヘルツ帯域における特性のバラツキを抑制するのは難しい。
本実施形態の半導体装置100では、伝送線路を構成する信号線5および接地線6と、発振素子15と、信号線5に接続された高周波利用回路部(本実施形態ではパッチアンテナ)11とが、1つの基板内に組み込まれる構造となっている。つまり、半導体装置100では、フリップチップ実装などによることなく、上記の精度で発振素子15が実装される。従って、本実施形態の半導体装置100では、テラヘルツ帯域などにおける特性のバラツキが抑制される。
また、上述したように、従来のガンダイオードに適用されるピル型パッケージおよびフリップチップ実装共に、更なる集積化を実現することは難しい。特に、フリップチップ実装の際に発振素子を伝送線路に接続するために、ワイヤやバンプを用いて接続する必要が生じてくる。
一方、本実施形態の半導体装置100では、伝送線路を構成する信号線5および接地線6と、発振素子15と、信号線5に接続された高周波利用回路部(本実施形態ではパッチアンテナ)11とが、1つの基板内に組み込まれる構造となっており、信号線5および接地線6が発振素子15の電極を兼ねている。すなわち、ワイヤやバンプを用いて接続する必要がない。このため、ピル型パッケージおよびフリップチップ実装等に比べて、伝送線路長が短縮され、ミリ波帯域からテラヘルツ帯域にかけて、信号の伝送損失を小さくすることができる。従って、高周波利用回路部11を通じて、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが可能である。
特に本実施形態では、n−半導体層2の厚さLを適宜設計することによって、所望の発振周波数を得ることができる。一般的な半導体装置の製造プロセスにおいて、n−半導体層2の厚さLは、例えば、配線間の距離に比べて非常に小さくすることが容易であり、また1ナノメートル程度の膜厚制御性を実現することも可能である。従って、発振素子15をより高い周波数で動作させることが容易であり、非常に高い周波数でしかも発振周波数の良好な制御性を有する半導体装置を提供することができる。
本実施形態の半導体装置100では、発振素子15が1つ設けられているが、これに限定されない。例えば、本実施形態の半導体装置100には、n−半導体層2の厚さLの異なる発振素子を、発振素子15とは基板1上の別の場所に形成することも可能である。このため、複数の異なる周波数を用いる通信方式で用いられる通信機器、あるいは複数の周波数帯域を切り替える通信機器などに、本実施形態の半導体装置100を用いれば、通信機器を小型化できる。
また、本実施形態では、基板1として、InP基板上にn型半導体層2Aをエピタキシャル成長したものを用いている。このため、n型半導体層2Aの結晶性が単結晶材料とほぼ同等となり、発振素子15の特性が向上するという効果も得られる。
次に、本実施形態の半導体装置100の製造方法を図6〜図8を参照しながら説明する。図6〜図8は、半導体装置100の発振素子15の作製方法を示す工程断面図である。
まず、図6(a)に示す工程で、n型不純物の濃度が1×1019(cm-3)であるn+半導体層12bと、n+半導体層12bの上に形成され、n型不純物の濃度が1×1017(cm-3)であるn−半導体層2と、n−半導体層2の上に形成され、n型不純物の濃度が1×1019(cm-3)であるn+半導体層12aとからなるn型半導体層2Aを最上部に有する基板1を用意する。具体的には、母基板を用意し、母基板の上にエピタキシャル成長によって、n+半導体層12bとn−半導体層2とn+半導体層12aとを順次形成することによって、基板1を用意する。なお、母基板は半導体基板であっても、誘電体基板であってもよい。
次に、図6(b)に示す工程で、n+半導体層12aの上にレジスト20を堆積する。
次に、図6(c)に示す工程で、レジスト20をパターニングすることによって、レジスト20を貫通し、n+半導体層12aを露出する開口部21を形成する。
次に、図7(a)に示す工程で、開口部21が形成されたレジスト20をマスクとしてエッチングを行ない、n+半導体層12aおよびn−半導体層2をパターニングすることによって、n+半導体層12aおよびn−半導体層2を貫通し、n+半導体層12bを露出する開口部22を形成する。
次に、図7(b)に示す工程で、レジスト20を除去することによって、n+半導体層12aの表面および開口部22内のn+半導体層12bを露出させる。
次に、図7(c)に示す工程で、基板1上にレジスト23を堆積する。
次に、図8(a)に示す工程で、レジスト23をパターニングすることによって、レジスト23を貫通し、n+半導体層12aを露出する開口部24aと、n+半導体層12bを露出する開口部24bとを形成する。
次に、図8(b)に示す工程で、n+半導体層12aおよび12bの露出している表面上、ならびにレジスト23上に蒸着によって金属薄膜25を形成する。このとき、金属薄膜25の材料として、n+半導体層12aおよび12bとオーミック接触を形成する材料を用いる。
次に、図8(c)に示す工程で、リフトオフ法によってレジスト23上の金属薄膜を除去し、次いでレジスト23を除去する。なお、図示していないが、本工程と同時に、金属薄膜25をパターニングすることによって、図1に示すように、信号線5、接地線6、バイアス線8a、スタブ10および高周波利用回路部(本実施形態ではパッチアンテナ)11を基板1上に形成する。
最後に、信号線5を跨いで接地線6を結ぶエアブリッジ9することによって、本実施形態の半導体装置100が得られる。
次に、本実施形態1の半導体装置100において、上述の発振素子15の代わりに用いることができ、発振素子15とは異なる構造を有する発振素子の例を説明する。図9、図10および図11は、それぞれ図2中の線C−Cに沿った断面図に対応している。
まず、発振素子の第1の例を図9を参照しながら説明する。図9に示すように、発振素子15Bは、基板1の最上部に形成され、凸状部18bを有するn型半導体層2Bと、凸状部18b上に形成された信号線5と、n型半導体層2B上に形成された接地線6とから構成されたガンダイオードである。特に、本例では、n型半導体層2Bが、n型不純物であるSiの濃度が1×1017〜1×1018(cm-3)、凸状部の膜厚が約2.0μmであるn−半導体層2で形成されている。凸状部18bは、高さ(図中のL)0.4μmとなっている。n型半導体層2Bの形成は、通常のフォトリソグラフィー技術と一般的なエッチング手法によって行なわれる。なお、凸状部18bの直径は、2〜200μmの範囲内で任意に設定してよい。
ここで、発振素子15Bの動作を説明する。発振素子15Bでは、バイアス端子8を通じて信号線5に印加されるバイアス電圧が正電圧である場合、凸状部18bの上面が信号線5とほぼ等電位に、n−半導体層2の接地線6との接触面が、接地線6とほぼ等電位になり、凸状部18b内にn−半導体層2の厚さ方向への電界が生じる。従って、凸状部18b内に基板1から信号線5に向かって移動するドメインが形成される。つまり、発振素子15Bはガンダイオードとして機能する。
なお、発振素子15Bの発振周波数は、凸状部18bの高さLで決まり、ここでは0.4μmである。ただしこれは設計事項の1つであり、凸状部18bの高さLは、n型半導体層2Bのエッチング深さに対応するため、約0.1〜1μmの間で、所望の発振周波数が得られるよう適宜設計することが好ましい。
発振素子15Bは、閾値電界Ethより大きな電界において高周波発振特性を示した。また、その発振周波数は、凸状部18bの高さLが0.4μmで、不純物濃度が5×1017(cm-3)以下である場合に、単純なダイポールモードとして計算されるものよりも大きなものであった。さらに、その発振周波数は、凸状部18bの高さLが1μmでは、不純物濃度5×1017〜1×1018(cm-3)の範囲において単純なダイポールモードでの発振が観測された。一方、上記発振周波数は、その発振周波数は、半導体装置100のバイアス端子8に印加される直流電圧値によって若干変化し、発振周波数の調整が可能であった。なお、これらの動作状態では、半導体装置100では、パッチアンテナより空間に電界が放射されることが確認された。
次に、発振素子の第2の例を図10を参照しながら説明する。図10に示すように、発振素子15Cは、基板1の最上部に形成され、凸状部18cを有するn型半導体層2Cと、凸状部18c上に形成された信号線5と、n型半導体層2C上に形成された接地線6とから構成されたガンダイオードである。特に、本例では、n型半導体層2Cが、n型不純物であるSiの濃度が1×1017〜1×1018(cm-3)、凸状部の膜厚が約2.0μmであるn−半導体層2と、n−半導体層2上に形成され、n型不純物の濃度がn−半導体層2よりも高い(不純物であるSiの濃度が1×1019(cm-3))n+半導体層12cとで構成されている。凸状部18cは、高さ(図中のL)0.4μmとなっている。n型半導体層2Cの形成は、通常のフォトリソグラフィー技術と一般的なエッチング手法によって行なわれる。なお、凸状部18cの直径は、2〜200μmの範囲内で任意に設定してよい。
n+半導体層12cには、熱拡散法によって不純物であるSiが導入されている。信号線5および接地線6は、n+半導体層12上に位置するように形成されている。
ここで、発振素子15Cの動作を説明する。発振素子15Cでは、バイアス端子8を通じて信号線5に印加されるバイアス電圧が正電圧である場合、凸状部18cにおけるn−半導体層2の上面が信号線5とほぼ等電位に、n−半導体層2の接地線6との接触面が、接地線6とほぼ等電位になり、凸状部18c内にn−半導体層2の厚さ方向への電界が生じる。従って、凸状部18c内に基板1から信号線5に向かって移動するドメインが形成される。つまり、発振素子15Cはガンダイオードとして機能する。
なお、発振素子15Cの発振周波数は、凸状部18cの高さLで決まり、ここでは0.4μmである。ただしこれは設計事項の1つであり、凸状部18cの高さLは、n型半導体層2Cのエッチング深さに対応するため、約0.1〜1μmの間で、所望の発振周波数が得られるよう適宜設計することが好ましい。
次に、発振素子の第3の例を図11を参照しながら説明する。図11に示すように、発振素子15Dは、基板1の最上部に形成され、凸状部18dを有するn型半導体層2Cと、凸状部18d上に形成された信号線5と、n型半導体層2C上に形成された接地線6とから構成されたガンダイオードである。特に、本例では、n型半導体層2Dが、n型不純物であるSiの濃度が1×1017〜1×1018(cm-3)、凸状部の膜厚が約2.0μmであるn−半導体層2と、n−半導体層2内に形成され、n型不純物の濃度がn−半導体層2よりも高い(不純物であるSiの濃度が1×1019(cm-3))n+半導体領域12dとで構成されている。凸状部18dは、高さが0.4μmとなっている。また、凸状部18dにおけるn+半導体領域12dの下面と接地線6と接触しているn+半導体層12dの下面との間の距離(図11中に示すL)も、凸状部18dの高さとほぼ同じ、0.4μmとなっている。n型半導体層2Cの形成は、通常のフォトリソグラフィー技術と一般的なエッチング手法によって行なわれる。なお、凸状部18dの直径は、2〜200μmの範囲内で任意に設定してよい。
n+半導体領域12dは、n−半導体層2にイオン注入法によって不純物であるSiを導入することにより形成されている。信号線5および接地線6は、n+半導体領域12上に位置するように形成されている。
ここで、発振素子15Dの動作を説明する。発振素子15Dでは、バイアス端子8を通じて信号線5に印加されるバイアス電圧が正電圧である場合、凸状部18dにおけるn+半導体領域12dの下面が信号線5とほぼ等電位に、接地線6と接触しているn+半導体層12dの下面が接地線6とほぼ等電位になり、凸状部18d内にn−半導体層2の厚さ方向への電界が生じる。従って、凸状部18d内に基板1から信号線5に向かって移動するドメインが形成される。つまり、発振素子15Dはガンダイオードとして機能する。
なお、発振素子15Dの発振周波数は、凸状部18dの高さ、すなわち凸状部18dにおけるn+半導体領域12dの下面と接地線6と接触しているn+半導体層12dの下面との間の距離Lで決まり、ここでは0.4μmである。ただしこれは設計事項の1つであり、凸状部18dの高さ(すなわち凸状部18dにおけるn+半導体領域12dの下面と接地線6と接触しているn+半導体層12dの下面との間の距離L)は、n型半導体層2Dのエッチング深さに対応するため、約0.1〜1μmの間で、所望の発振周波数が得られるよう適宜設計することが好ましい。
発振素子15Cおよび15Dも、上記発振素子15Bと同様に、閾値電界Ethより大きな電界において高周波発振特性を示し、発振素子15Cおよび15Dを組み込んだ各半導体装置100では、パッチアンテナより空間に電界が放射されることが確認された。
(実施形態2)
本実施形態では、上記実施形態1とは異なる構造を有する半導体装置を、図12および図13を参照しながら説明する。図12は、本実施形態の半導体装置を示す上面図である。図13は、図12中の線E−Eに沿った断面のうち、発振素子付近を拡大して示した図である。なお、簡単のために、上記実施形態1と共通する構成要素は、同一の参照符号で示す。
図12および図13に示すように、本実施形態の半導体装置200は、凸状部18eを有するn型半導体層2Eを最上部に有する基板1と、基板1の上面上に形成され、n型半導体層2Eの凸状部18eの上を通って延びる信号線5と、基板1の下面上に形成され、信号線5と伝送線路を形成する接地線6と、基板1の上面上に信号線5から離間して形成され、接地線6と接続された接地電極36と、n型半導体層2Eと、信号線5および接地電極36とから構成される発振素子15Eと、基板1上に形成され、信号線5に接続された高周波利用回路部11とを備えている。
具体的には、本実施形態では、ノンドープの半絶縁性GaAsで形成された母基板を用意し、この母基板の上にn型半導体層2Eとしてエピタキシャル成長によってSiドープGaAs薄膜が形成されたものを基板1として用いている。
信号線5と接地線6とは、膜厚5μm程度の金属薄膜を用いて基板1上に直接形成されてマイクロストリップ型の伝送線路を構成しており、接地電極36は、基板1を貫通するヴィアホールを埋めるコンタクトプラグ37を通じて接地されている。
本実施形態では、オーミック接触を、信号線5および接地電極36の、n型半導体層2Eに対する接触界面にAuGeNiあるいはAuGe合金を形成し、300℃の熱処理を行なうことによって形成している。さらに本実施形態では、信号線5および接地電極36にAuの電界メッキが施されている。
また、信号線5は、スタブ10が接続されたバイアス線8aを通じてバイアス端子8に接続されている。つまり、外部電源によってバイアス端子8を通じて直流電圧がn型半導体層2Eに印加される構成となっており、信号線5と接地電極36とn型半導体層2Eとで構成される発振素子15Eがガンダイオードとなっている。
さらに、信号線5の両端には、高周波利用回路11として金属薄膜で形成されたパッチアンテナが接続され、発振素子15Eで発生した高周波電力が空間に放射されるよう設計されている。なお、パッチアンテナの形状は、動作周波数帯域に併せて適宜変更可能である。
ここで、図13を参照しながら発振素子15Eをさらに説明する。
本実施形態では、発振素子15Eは、図13に示すように、n型半導体層2Eが、n型不純物であるSiの濃度が5×1017(cm-3)、膜厚が約0.2μmであるn−半導体層2と、n−半導体層2の上下に形成され、n型不純物の濃度がn−半導体層2よりも高い(不純物であるSiの濃度が1×1019(cm-3))n+半導体層12aおよび12bとで構成されている。また、図13に示すように、n−半導体層2と、その上に形成されたn+半導体層12aとは、凸状部18eを形成している。
さらに、信号線5および接地線6は、基板1上に直接形成されているが、特に、n型半導体層2Eが形成されている領域上では、信号線5は、n+半導体層12a上に位置するように形成されており、接地線6は、基板1を挟んでn+半導体層12bと重なる位置するように形成されている。
なお、本実施形態では、ビアホールもn+半導体層12bを貫通するように形成しているが、この構成に限定されない。例えば、基板1上のn型半導体層2Eが形成されていない領域にビアホールを形成し、接地電極36と接地線6とコンタクトプラグで接続してもよい。
つまり、本実施形態の発振素子15Eは、上記実施形態1で説明した発振素子15とほぼ同じ構造であり、接地電極36が接地線6に、基板1を貫通するヴィアホールを埋めるコンタクトプラグ37によって接続されている点のみが異なる。
本実施形態の半導体装置200でも、上記実施形態1と同様に、伝送線路を構成する信号線5および接地線6と、発振素子15Eと、信号線5に接続された高周波利用回路部(本実施形態ではパッチアンテナ)11とが、1つの基板に組み込まれる構造となっている。つまり、半導体装置200では、フリップチップ実装などによることなく、上記の精度で発振素子15E’が実装される。従って、本実施形態の半導体装置200では、テラヘルツ帯域における特性のバラツキが抑制される。
また、本実施形態の半導体装置200でも、発振素子15Eをワイヤやバンプを用いて高周波利用回路11に接続する必要がない。このため、ピル型パッケージおよびフリップチップ実装等に比べて、伝送線路長が短縮され、ミリ波帯域からテラヘルツ帯域にかけて、信号の伝送損失を小さくすることができる。従って、高周波利用回路部11を通じて、高周波信号を空間や外部回路に効率よく伝達することが可能である。
特に、マイクロストリップ型伝送線路は、その高周波特性に関して解析が十分行われており、電磁界シミュレーションにおいても精度の高いモデルが提供されている。従って、本実施形態の半導体装置200では、高精度でマイクロストリップ型の伝送線路を設計する必要が有る場合に、非常に有用である。
さらに、特に本実施形態では、n−半導体層2の厚さLを適宜設計することによって、所望の発振周波数を得ることができる。一般的な半導体装置の製造プロセスにおいて、n−半導体層2の厚さLは、例えば、配線間の距離に比べて非常に小さくすることが容易であり、また1ナノメートル程度の膜厚制御性を実現することも可能である。従って、発振素子15Eをより高い周波数で動作させることが容易であり、非常に高い周波数でしかも発振周波数の良好な制御性を有する半導体装置を提供することができる。
また、本実施形態の半導体装置200でも、発振素子15Eが1つ設けられているが、これに限定されない。例えば、本実施形態の半導体装置200には、n−半導体層2の厚さLの異なる発振素子を、発振素子15Eとは基板1上の別の場所に形成することも可能である。このため、複数の異なる周波数を用いる通信方式で用いられる通信機器、あるいは複数の周波数帯域を切り替える通信機器などに、本実施形態の半導体装置200を用いれば、通信機器を小型化できる。
また、本実施形態において、基板1として、InP基板上にn型半導体層2Eをエピタキシャル成長したものを用いれば、n型半導体層2Eの結晶性が単結晶材料とほぼ同等となり、発振素子15Eの特性が向上するという効果も得られる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態において、発振素子15、15B、15C、15Dおよび15Eのn型半導体層2A、2B、2C、2Dおよび2Eの不純物濃度と図16とに基づいて、n−半導体層2の厚さ(発振素子15Bおよび15Cの場合、凸状部の高さ、発振素子15Dの場合、凸状部18dにおけるn+半導体領域12dの下面と接地線6と接触しているn+半導体層12dの下面との間の距離)Lを、0.1〜10μmの範囲内としているが、高周波動作を目的としない用途では、n−半導体層2の厚さLを10μm以上としてもよい。
また、ダイポールモードおよびハイブリッドモードが発生する不純物濃度は、図17に示される斜線部の領域であることが経験的に求められている。従って、図17に基づいて、用途毎に発振素子に求められる特性に応じて、上記で挙げた発振素子15、15B、15C、15Dおよび15Eのn型半導体層2A、2B、2C、2Dおよび2Eの不純物濃度を適宜選択してもよい。
さらに、各実施形態の半導体装置において、発振素子15、15B、15C、15Dおよび15Eのn型半導体層2A、2B、2C、2Dおよび2Eは、閃亜鉛構造を有する直接遷移型の化合物半導体で、ガン効果を示すものであればいずれの材料で形成されていてもよい。具体的には、閃亜鉛構造を有する直接遷移型の化合物半導体は、GaAs、InP、InSb、ZnSe、CdTe等、あるいは、これらの混晶である。なお、n型半導体層2A、2B、2C、2Dおよび2Eに導入されるn型不純物は、n型半導体層2A、2B、2C、2Dおよび2EがInPから形成されている場合Si、S、Se等を、GaAsから形成されている場合S等を用いればよい。
またさらに、各実施形態の半導体装置において、発振素子15、15B、15C、15Dおよび15Eのn型半導体層2A、2B、2C、2Dおよび2Eを、ガスソースMBE法を用いてエピタキシャル成長によって形成されたSiドープGaxIn(1-x)yAs(1-y)で形成してもよい。ここで0≦x≦0.53、0.05≦y≦0.2であり、n型不純物であるSiのドーピング濃度は1×1017(cm-3)であることが好ましい。このように、GaInAs系半導体にNを導入することによって、GaInAs中の電子の飽和速度を小さくなり、発振素子の発信周波数が若干低下するが、発振素子の動作は安定性が増す。従って、安定動作が求められる用途には、n型半導体層2A、2B、2C、2Dおよび2Eが、ガスソースMBE法を用いてエピタキシャル成長によって形成されたSiドープGaxIn(1-x)yAs(1-y)で形成された半導体装置100が非常に適している。
さらにまた、上記各実施形態では、基板1として、Feドープの半絶縁性InP、あるいはノンドープの半絶縁性GaAsで形成された母基板を用意し、この母基板の上にn型半導体層2A、2B、2C、2Dあるいは2Eとしてエピタキシャル成長によってSiドープInP薄膜またはSiドープGaAs薄膜が形成されたものを基板1として用いているが、これに限定されない。例えば、母基板として、セラミックス、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド樹脂、液晶ポリマーなどで形成された基板を用いてもよい。特に、セラミックス、ベンゾシクロブテン(BCB)、ポリイミド樹脂、液晶ポリマーなどで形成された基板を母基板として用いる場合、半導体基板を母基板として用いた場合に比べて材料の入手が容易であり、製造コストを低減することができる。
また、本実施形態では、発振素子15、15B、15C、15Dおよび15Eとしてガンダイオードを用いた場合について説明したが、ガンダイオードに限られず、他の負性抵抗特性を示す2端子素子を用いることも可能である。他の負性抵抗特性を示す2端子素子としては、電子のなだれ現象を用いたIMPATTダイオード、負性抵抗特性を用いたトンネルダイオードが挙げられる。
本実施形態では、半導体装置100に高周波利用回路11として、パッチアンテナを設けたが、これに限定されず、他の高周波動作に利用される回路、例えば、フィルタ、伝送線路、ミキサ、増幅器などを設けることも勿論可能である。
本発明は、マイクロ波帯域からミリ波帯域、さらにはテラヘルツの周波数帯域での動作が必要な高周波機器などに有用である。
図1は、半導体装置を示す上面図である。 図2は、図1中に示されている発振素子付近の拡大図である。 図3(a)、(b)および(c)は、それぞれ図2中の線A−A、線B−Bおよび線C−Cに沿った断面図である。 図4は、図1中に示されている発振素子付近の斜視図である。 図5は、発振素子の動作を模式的に示す断面図である。 図6(a)〜(c)は、半導体装置の発振素子の作製方法を示す工程断面図である。 図7(a)〜(c)は、半導体装置の発振素子の作製方法を示す工程断面図である。 図8(a)〜(c)は、半導体装置の発振素子の作製方法を示す工程断面図である。 図9は、発振素子の断面図である。 図10は、発振素子の断面図である。 図11は、発振素子の断面図である。 図12は、半導体装置を示す上面図である。 図13は、図12中の線E−Eに沿った断面のうち、発振素子付近を拡大して示した図である。 図14は、プレーナ型ガンダイオードにおいてガン効果が生じる原理を模式的に示す図である。 図15は、n型のGaAsを用いたガンダイオードにおける、電界強度と電子の走行速度との関係を示す図である。 図16は、ガン効果が生じる条件を表す図である。 図17は、最も基本的なダイポールモードのf0を示す図である。 図18は、ガンダイオードがマイクロストリップ線路を構成する平板回路基板にフリップチップ実装されている例を表す図である。
符号の説明
1 基板
2 n−半導体層
2A、2B、2C、2D 2E n型半導体層
4 ドメイン
5 信号線
6 接地線
7 接地端子
8 バイアス端子
8a バイアス線
9 エアブリッジ
10 スタブ
11 高周波利用回路部(パッチアンテナ)
12a、12b、12c n+半導体層
12d n+半導体領域
15、15B、15C、15D、15E 発振素子
18、18b、18c、18d、18e
20 レジスト
21 開口部
22 開口部
23 レジスト
24a、24b 開口部
25 金属薄膜
36 接地電極
37 コンタクトプラグ
100、200 半導体装置

Claims (10)

  1. 凸状部を有するn型半導体層を最上部に有する基板と、
    上記基板上に形成され、上記n型半導体層の上記凸状部の上を通って延びる信号線と、
    上記基板上に形成され、上記信号線と互いに離間して配置され、上記信号線と伝送線路を構成する接地線と、
    上記n型半導体層と、上記信号線および上記接地線とから構成される発振素子と、
    上記基板上に形成され、上記信号線に接続された高周波利用回路部と、
    を備える、半導体装置。
  2. 請求項1に記載の半導体装置において、
    上記n型半導体層は、閃亜鉛構造を有する直接遷移型の化合物半導体で形成されており、
    上記発振素子は、ガンダイオードである、半導体装置。
  3. 請求項2に記載の半導体装置において、
    上記n型半導体層は、GaAs、InP、InSb、ZnSeおよびCdTeからなる群から選択される1種類の化合物半導体、あるいは少なくとも2種類の化合物半導体の混晶から形成されている、半導体装置。
  4. 請求項2に記載の半導体装置において、
    上記n型半導体層は、GaInNAsから形成されている、半導体装置。
  5. 請求項1に記載の半導体装置において、
    上記高周波利用回路部は、パッチアンテナまたはフィルタからなる、半導体装置。
  6. 凸状部を有するn型半導体層を最上部に有する基板と、
    上記基板の上面上に形成され、上記n型半導体層の上記凸状部の上を通って延びる信号線と、
    上記基板の下面上に形成され、上記信号線と伝送線路を形成する接地線と、
    上記基板の上面上に上記信号線から離間して形成され、上記接地線と接続された接地電極と、
    上記n型半導体層と、上記信号線および上記接地電極とから構成される発振素子と、
    上記基板上に形成され、上記信号線に接続された高周波利用回路部と、
    を備える、半導体装置。
  7. 請求項6に記載の半導体装置において、
    上記n型半導体層は、閃亜鉛構造を有する直接遷移型の化合物半導体で形成されており、
    上記発振素子は、ガンダイオードである、半導体装置。
  8. 請求項7に記載の半導体装置において、
    上記n型半導体層は、GaAs、InP、InSb、ZnSeおよびCdTeからなる群から選択される1種類の化合物半導体、あるいは少なくとも2種類の化合物半導体の混晶から形成されている、半導体装置。
  9. 請求項7に記載の半導体装置において、
    上記n型半導体層は、GaInNAsから形成されている、半導体装置。
  10. 請求項6に記載の半導体装置において、
    上記高周波利用回路部は、パッチアンテナまたはフィルタからなる、半導体装置。
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