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JP2005193568A - ノズルキャップ、ヘッドキャップユニット、及び液体吐出ヘッド - Google Patents

ノズルキャップ、ヘッドキャップユニット、及び液体吐出ヘッド Download PDF

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JP2005193568A
JP2005193568A JP2004003044A JP2004003044A JP2005193568A JP 2005193568 A JP2005193568 A JP 2005193568A JP 2004003044 A JP2004003044 A JP 2004003044A JP 2004003044 A JP2004003044 A JP 2004003044A JP 2005193568 A JP2005193568 A JP 2005193568A
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Masato Nakamura
正人 中村
Takumi Namekawa
巧 滑川
Shigeyoshi Hirashima
滋義 平島
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Abstract

【課題】液体吐出ヘッドの輸送時や保管時には液体漏れを防ぎ、使用時にはノズルシートの液体吐出面を傷付けることなく容易にノズルキャップの取外しができ、しかも繰返し使用が可能で、大面積のノズルシートにも対応できるようにする。
【解決手段】ノズル18を形成したノズルシート17を備え、インク液室内のインクをノズル18から吐出するプリンタヘッドのノズルキャップ30であって、ノズルシート17のインク吐出面側からノズル18を塞ぎ、インクの漏出を防止する封止部31を備え、封止部31は、ノズルシート17に対して非粘着性で、インクに対して非透過性の弾性体からなる。
【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェットプリンタ等に用いる液体吐出ヘッドにおいて、輸送時等に、ノズルから液体が漏出することを防ぐためのノズルキャップ、及びヘッドキャップユニットと、液体の漏出を防止した液体吐出ヘッドに係るものであり、詳しくは、繰り返して使用することができ、ノズルを形成したノズルシートが損傷しないようにした技術に関するものである。
従来より、インクジェットプリンタのプリンタヘッド(液体吐出ヘッドの一種)には、インクカートリッジと一体化されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなプリンタヘッドの場合、輸送中や保管中にヘッドのノズルからインクが漏れ出さないように、ノズルが形成されたノズルシートに保護シートが貼り付けられている。そして、このプリンタヘッドを使用する際には、保護シートを剥離してノズルを露出させ、インクジェットプリンタに装着するようになっている。
特開2003−170606号公報
また、インク漏れを防止するための保護キャップも知られている(例えば、特許文献2又は特許文献3参照)。すなわち、キャップ本体と、スポンジと、保護シールとからなる保護キャップをプリンタヘッドに取り付けておき、スポンジで保護シールをノズルシートに圧接させ、インク漏れを防止するものである。
特開平8−187870号公報 特開平8−258276号公報
しかし、上記の特許文献1の技術では、ノズルシートから保護シートを剥がす際に、保護シートの粘着力によって、ノズルシートを垂直方向に持ち上げる力が作用する。そのため、ノズルシートのインク吐出面が損傷してしまうことがあった。また、粘着力が強い場合には、インク吐出面が破壊されることがあった。さらに、剥がした保護シートには粘着力が残っているので、使用者の指や衣服等に貼り付くと、保護シートの粘着面に付着したインクで汚れることがあった。なお、保護シートの粘着力を弱くすることは、インク漏れを招くこととなり、採用できない。
一方、上記の特許文献2及び特許文献3の技術は、ノズルシートのインク吐出面が平坦である場合には有効であるが、スポンジで保護シールを圧接させているため、インク吐出面に凹凸がある場合には密閉性が悪くなり、インクが染み出すという欠点がある。また、振動等で一度インクが染み出すと、スポンジの毛管力によってインクが吸収されることとなる。すると、保護シールの全域がインクで汚染されてしまい、もはや保護キャップを再利用することができない。
そして、特許文献1から特許文献3の技術のいずれも、A4サイズ以上のラインヘッドとするために、幅広のノズルシートを使用する場合に特に問題となる。
すなわち、ノズルシートは薄いため、小面積であればさほど問題は生じないが、大面積になるほど保護シートの粘着力の影響を受けやすくなる。また、大面積のノズルシートの場合、保護シールをスポンジでインク吐出面の全体に均一な圧力で接触させることは困難であり、スポンジの圧接力を大きくすると、インク吐出面全体での保護シールの貼付き等が懸念される。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、液体吐出ヘッドの輸送時や保管時には液体漏れを防ぎ、使用時にはノズルシートの液体吐出面を傷付けることなく容易にノズルキャップの取外しができ、しかも繰返し使用が可能で、大面積のノズルシートにも対応できるようにすることである。
本発明は、以下の解決手段によって、上述の課題を解決する。
本発明の1つである請求項1に記載の発明は、ノズルを形成したノズルシートを備え、液室内の液体を前記ノズルから吐出する液体吐出ヘッドのノズルキャップであって、前記ノズルシートの液体吐出面側から前記ノズルを塞ぎ、前記液体の漏出を防止する封止部を備え、前記封止部は、前記ノズルシートに対して非粘着性で、前記液体に対して非透過性の弾性体からなることを特徴とする。
上記の発明においては、ノズルキャップの封止部がノズルを塞ぎ、液体の漏出を防止するが、封止部は、ノズルシートに対して非粘着性となっている。したがって、たとえ薄くて幅広のノズルシートであっても、取り外す際にノズルシートの液体吐出面を損傷させることはない。また、封止部は、液体に対して非透過性の弾性体からなっているので、封止部だけで液漏れを防ぐことができ、繰返し使用が可能である。
また、請求項6に係る発明のヘッドキャップユニットは、ノズルシートの液体吐出面を全面的に覆う外郭ケースと、外郭ケースの内部に配置された上記請求項1のノズルキャップとを備えることを特徴とする。
さらに、請求項8に係る発明の液体吐出ヘッドは、上記請求項6のヘッドキャップユニットを備え、ヘッドキャップユニットは、ノズルシートの液体吐出面を開閉するように、ノズルシートに対して相対的に移動可能で、かつ着脱自在であり、ノズルキャップは、ヘッドキャップユニットがノズルシートの液体吐出面を閉じた際に、ノズルを塞ぐことを特徴とする。
本発明の液体吐出ヘッドのノズルキャップによれば、封止部が非粘着性の弾性体であるので、ノズル部分が強度的に弱いノズルシートであっても適度な圧着力となり、ノズルキャップの使用時にも取外し時にもノズルシートを傷付けることがない。また、封止部が液体に対して非透過性の弾性体であるので、ノズルの密閉性が良く、輸送時の振動等によっても液体が漏出することはない。さらに、液体吐出ヘッドを長期間使用しない場合の保存用として使うことができ、しかも、繰返し使用が可能である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本発明における液体吐出ヘッドは、下記実施形態ではインクジェットプリンタ用のラインヘッド10に相当する。このラインヘッド10は、複数のヘッドチップ19を被記録媒体の幅方向(ノズル18列の配列方向)に並べ、ノズルシート17上に配置して形成されたものである。
そして、吐出する液体としてインクを使用し、インクを収容する液室がインク液室12で、ノズル18から吐出される微少量(例えば数ピコリットル)のインクがインク液滴である。また、下記実施形態では、エネルギー発生素子として発熱抵抗体13を使用しており、この発熱抵抗体13は、インク液室12の一面(底壁部分)をも構成している。さらに、本発明の液室形成部材は、インク液室12の側壁を構成しているバリア層15に相当する。
図1は、ラインヘッド10の一部を拡大して示す部分斜視図である。
図1に示すように、ヘッドチップ19の基板14には、複数の発熱抵抗体13が一定間隔で一方向に配列している。また、基板14上にバリア層15が積層されている。一方、ノズルシート17には、各発熱抵抗体13と対応する位置にそれぞれノズル18が形成されている。なお、図1では、説明の便宜のため、ノズルシート17とヘッドチップ19とを分離し、さらに、ノズル18とインク液室12との位置関係が明らかとなるように、ラインヘッド10の上下関係を逆転させてある。
ここで、ヘッドチップ19を構成する基板14は、シリコン、ガラス、セラミックス等からなる半導体基板である。そして、発熱抵抗体13は、基板14の一方の面に、半導体や電子デバイス製造技術用の微細加工技術を用いて析出形成されている。なお、この発熱抵抗体13は、基板14上に形成された導体部(図示せず)を介して外部回路と電気的に接続される。
また、バリア層15は、基板14の発熱抵抗体13が形成された側の面に形成されたものである。すなわち、バリア層15は、基板14の上面全体に感光性樹脂を塗布し、しかるべき形状のパターンを描いたフォトマスクを介して、感光性樹脂を感光するに最適な波長帯の放射光を持った露光機による露光を行った後、露光した感光性樹脂層を所定の現像液で現像し、未露光部分を除去することにより、発熱抵抗体13の周辺を除く基板14上にパターニング形成してある。
さらに、ノズルシート17は、例えばニッケルによる電鋳技術により形成される。そして、ノズル18の位置が発熱抵抗体13の位置と合うように、すなわち、ノズル18が発熱抵抗体13に対向するように、精密に位置決めがなされ、バリア層15の上に貼り合わされる。
したがって、インク液室12は、発熱抵抗体13を囲むようにして、基板14とバリア層15とノズルシート17とで構成される。すなわち、基板14及び発熱抵抗体13は、図1中、インク液室12の底壁を構成し、バリア層15は、インク液室12の側壁を構成し、ノズルシート17は、インク液室12の天壁を構成する。また、インク液室12は、図1中、右下方面に開口領域を有しており、この開口領域からインクが供給されることとなる。
そして、インク液室12にインクが満たされた状態で、制御部からの指令によって発熱抵抗体13に短時間、例えば1〜3μsecの間、パルス電流が流されると、発熱抵抗体13が急速に加熱される。その結果、発熱抵抗体13と接する部分に気相のインク気泡が発生し、そのインク気泡の膨張によってある体積のインクが押しのけられる(インクが沸騰する)。これにより、押しのけられたインクと同等の体積のインクがインク液滴としてノズル18から吐出され、被記録媒体である印画紙上に着弾する。
ところが、ラインヘッド10の輸送時等においては、振動等によってノズル18からインクが漏れ出すことがある。そのため、各ノズル18を塞いでおくためのノズルキャップ30が必要となる。
次に、ノズルキャップ30、内部にノズルキャップ30を配置したヘッドキャップユニット20、及びヘッドキャップユニット20を備えたラインヘッド10の実施形態について説明する。
図2は、A4サイズでカラー対応のラインヘッド10を示す分解斜視図である。
図2に示すラインヘッド10は、ヘッドチップ19を千鳥状に複数個並設し、これらのヘッドチップ19の下部であって、全てのヘッドチップ19の各インク液室12に対応する位置に、ノズル18が形成された1枚のノズルシート17を貼り合わせて形成される。なお、各ノズル18の相互の間隔は、千鳥状に隣接する部分を含め、全て等間隔となっている。
また、千鳥状のヘッドチップ19列は4列あり、1列ごとに、ヘッドフレーム16の収容空間16aの内部に配置されるようになっている。そして、ヘッドチップ19の背面であって、ヘッドフレーム16の収容空間16aには、流路板(図示せず)が取り付けられる。したがって、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(ブラック)の各インクカートリッジ(図示せず)から流路板を通って4色のインクが各ヘッドチップ19列に供給される。
ここで、ヘッドフレーム16は、ノズルシート17に貼り付けられる支持部材であり、フレーム16bによって、1枚の幅広のノズルシート17に剛性を付与している。なお、ヘッドフレーム16は、厚さが約5mmでノズルシート17に対応するサイズとなっており、各ヘッドチップ19列の各収容空間16aの長さは、A4サイズの横幅に相当する長さ(約21cm)である。
また、ノズルシート17の下側(インク吐出面側)には、ノズルシート17の下面(インク吐出面)を開閉するヘッドキャップユニット20が配置される。このヘッドキャップユニット20は、ノズルシート17に対して矢印の方向に相対的に移動可能であり、着脱も自在である。
さらに、ヘッドキャップユニット20の内部には、ノズルキャップ30が配置されている。そして、ノズルキャップ30は、ヘッドキャップユニット20がノズルシート17のインク吐出面を閉じた際に各ノズル18を塞ぎ、各インク液室12からインクが漏出することを防止する。
図3は、このようなヘッドキャップユニット20を示す断面図である。また、図4は、ヘッドキャップユニット20の上面図である。
図3及び図4に示すように、ヘッドキャップユニット20は、ノズルシート17のインク吐出面を全面的に覆う外郭ケース21を備えており、この外郭ケース21がインク吐出面全体を保護するカバーとなっている。そして、外郭ケース21の内部に、弾性部材22を介してノズルキャップ30が配置されている。なお、弾性部材22としては、図3に示すようなコイルバネの他、板バネ、ゴム、スポンジ等の各種の弾性体を使用することができる。
ここで、ノズルキャップ30は、底面から突き出た4本の封止部31を備えている。各封止部31は、図3に示すように、先端が丸い突起状の弾性体であって、ベース33との間に形成された中空の内部に空気が封入されている。したがって、封止部31は、しなやかな弾性を有している。そして、4本の封止部31は、ノズル18列の配列方向(図4の左右方向)に連続しており、図4に示すように、土手状に延びた4本の封止部31がそれぞれ4列のノズル18列に対応している。
また、ノズルキャップ30は、各封止部31の周りを全て囲う5本の側壁部32を備えている。各側壁部32の頂面は、図3に示すように、2個のリブ32a,32aが形成されている。そして、各封止部31と、リブ32aを含む各側壁部32とは、ノズルシート17に対して非粘着性で、インクに対して非透過性の弾性体(例えば、ゴム弾性体(エラストマー)等の弾力性があって密着性の良い素材)で一体的に形成されており、ベース33上に配置されている。ここで、「ノズルシート17に対して非粘着性」とは、本実施形態のようにノズルシート17がニッケルによる電鋳技術により形成されたものである場合には、このニッケル材料に対して貼り付かない性質(非親和性)をいい、例えばノズルシート17側で非親和性の処理が施されていても良い。また、「インクに対して非透過性」とは、インクが通過しない又は吸水しない(非吸水性の)性質をいう。具体的には、例えばEPDM、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、塩化ゴム、さらには、これらのゴムにフッ素コート等の非吸水性処理を施したゴム等が挙げられる。
なお、5本の側壁部32は、それぞれがヘッドフレーム16のフレーム16bに対応している。
図3及び図4に示すヘッドキャップユニット20によれば、ノズルキャップ30が弾性部材22によってノズルシート17に向けて付勢される。すると、ノズルキャップ30に備えられた各封止部31と、各側壁部32の各リブ32aとがノズルシート17のインク吐出面に圧着する。この際、各封止部31の突起の先端部分が全てのノズル18を塞ぎ、各封止部31がインクに対して非透過性であることから、たとえ輸送時等に振動等が作用しても、ノズル18からインクが漏れ出すことはない。
また、封止部31がノズル18を塞いでも、何らかの原因でインクが漏出してしまうことも考えられる。
しかしながら、封止部31の周りは全て、インクに対して非透過性の側壁部32で囲まれており、ノズルシート17のインク吐出面に圧着して、封止部31との間に密閉空間を形成しているので、インク漏れの広がりは、少なくともリブ32aでくい止められる。なお、側壁部32の圧着力は、外郭ケース21とベース33との間に介在する弾性部材22の付勢力に依存する。
ところで、ノズルシート17は、厚さが約12μm程度しかない電鋳製であり、ノズル18部分の強度が弱い。そのため、ノズルキャップ30の封止部31や側壁部32が圧着すると、ノズルシート17に変形や破損等が生じることが懸念される。
しかしながら、各封止部31は、中空の弾性体であり、しなやかな弾性を有しているから、ノズルシート17に対して軽く圧着する。そのため、各封止部31が全ノズル18を塞いでも、ノズルシート17に問題が生じることはない。なお、封止部31の圧着力は、空気が封入された中空体の弾性力に依存する。
また、側壁部32のリブ32aがノズルシート17に圧着する部分には、ヘッドフレーム16のフレーム16bが存在している。したがって、中実の側壁部32がノズルシート17を強い力で押すとしても、この部分では、ヘッドフレーム16によって、ノズルシート17の剛性が十分確保されているので、ノズルシート17に変形や破損等が生じることはない。
このように、ヘッドキャップユニット20がノズルシート17のインク吐出面を閉じている際には、ノズルキャップ30によって、ノズル18からインクが漏れ出すことが防止される。
また、ノズルシート17のインク吐出面の密閉性が良いので、インクの乾燥を防止するシール機能をも有している。そのため、停止していたラインヘッド10を再稼働させる際のインクの空吐出量を減らすことができる。
一方、印画のために、ノズル18からインク液滴を吐出する場合には、ヘッドキャップユニット20を移動させるか取り外し、ノズルシート17のインク吐出面を開ける。すると、圧着していたノズルキャップ30の封止部31と側壁部32とがノズルシート17から離れる。
ここで、各封止部31と、リブ32aを含む各側壁部32とは、ノズルシート17に対して非粘着性のものである。そのため、ヘッドキャップユニット20を移動させたり取り外したりしても、ノズルシート17のインク吐出面を損傷等させることはない。
また、ノズルキャップ30の再利用が可能となり、同じノズルキャップ30を何度でも繰り返して使用することができる。したがって、輸送用としてだけでなく、一時保管用等のノズルキャップ30として使用することもできる。
図5は、ノズルキャップ30の様々な実施形態を示す部分断面図である。
図5(A)から図5(C)に示すノズルキャップ30は、図3に示したノズルキャップ30に対し、封止部31を変形させたものである。すなわち、図3に示したノズルキャップ30の封止部31は、先端が丸い突起状であり、突起の先端部分がノズル18に少し入り込んでノズル18を塞ぐ形状であるが、図5(A)に示す封止部31は、先端が平坦になっている。そのため、ノズル18に入り込むことはなく、ノズルシート17に平面的に接触してノズル18を塞ぐ。図5(A)に示す封止部31によれば、ノズルシート17との接触面積を大きくすることができるので、ノズルシート17に対する圧着力をより軽減することができる。
図5(B)及び図5(C)に示すノズルキャップ30は、外形的には図3に示したものと同一であるが、 図5(B)に示すノズルキャップ30の封止部31は、中空ではなく中実である。そのため、形状的に簡略化されたものとなっている。
また、図5(C)の封止部31は、内部が中空である点は同じであるが、ベース33に通気孔34を設けている。そのため、空気バネとして作用する封止部31にオリフィスが入ることとなり、しなやかな弾性を有しつつ、ベース33の振動に対して減衰力を生じさせることができる。
一方、図5(D)及び図5(E)に示すノズルキャップ30の場合は、図3に示したノズルキャップ30に対し、側壁部32を変形させたものである。すなわち、図5(D)に示す側壁部32は、頂面に形成したリブ32aを1個だけにして簡略化したものである。また、図5(E)に示す側壁部32は、側壁部32自体の先端を尖らせて単純な形状としたものである。図5(D)及び図5(E)に示す側壁部32も、図3に示したものと同様の作用効果を奏するが、密閉性の点から考えると、リブ32aを2本程度設けることが好ましい。
図6は、ラインヘッド10を装着したインクジェットプリンタを示す断面図である。
図6に示すインクジェットプリンタは、ラインヘッド10が独立してプリンタ本体51に直接装着される形式のものを示しており、ラインヘッド10をプリンタ本体51内に収納して固定し、インクジェットプリンタを構成する。
プリンタ本体51は、ラインヘッド10を所定の箇所に装着することで、インクジェットプリンタとしての機能を発揮するものであり、被記録媒体である印画紙の給紙トレイ、排紙トレイ、搬送装置、制御回路、及びヘッド着脱機構等を備えている。そして、ラインヘッド10を装着し、印画情報に基づいてインクを吐出することで、印画紙上に文字や画像等を印画する。
ヘッド着脱機構は、ラインヘッド10をプリンタ本体51の所定箇所に装着して固定するとともに、その固定を解除してラインヘッド10を取り外すことができるようにするものである。ここで、ラインヘッド10を装着するには、例えば固定用のバー部材を起立させておき、プリンタ本体51の中央部分に設けられた凹部にラインヘッド10を挿入し、その後、バー部材を倒してラインヘッド10を固定するようにすれば良い。なお、取り外す場合は、逆の手順となる。
ラインヘッド10は、インクカートリッジ41を4個備えており、それぞれにY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、及びK(ブラック)の4色のインクが充填されている。そして、インクカートリッジ41の底面部から流路板を通って図2に示すヘッドチップ19列の各列に4色のインクが供給され、ノズルシート17の下面からインクを吐出してカラー画像を印画する。
また、ノズルシート17の下側には、ヘッドキャップユニット20が取り付けられている。このヘッドキャップユニット20は、ノズルシート17を全面的に覆うことができる大きさのもので、上面が開口した浅い箱状の内部にノズルキャップ30を配置してある。そして、ヘッドキャップユニット20は、インクジェットプリンタの内部で移動可能であり、着脱も自在となっている。
すなわち、印画の際は、図6の右方向にヘッドキャップユニット20を移動させ、ノズルシート17のインク吐出面を開ける。この場合には、図6中、ヘッドキャップユニット20の左端部が、ノズルシート17の右端部より右側に位置する地点までヘッドキャップユニット20を退避させて、ノズルシート17全体を露出させる。そして、この状態で給紙トレイから印画紙を搬送し、ノズルシート17の下で精密に紙送りしながらインクを吐出する。
一方、インクジェットプリンタの停止中は、ヘッドキャップユニット20が図6の左方向に移動し、ノズルキャップ30がノズルシート17のインク吐出面を閉じる。したがって、ノズルキャップ30によってインクの漏出が防止されるとともに、インクの乾燥とノズルの目詰まりが防止される。また、同時に、ノズルシート17のインク吐出面に埃が付着したり、傷が付かないように保護する効果も奏する。
このようなヘッドキャップユニット20の往復移動は、キャップ開閉機構の動作によって行われる。すなわち、キャップ開閉機構は、例えばラックとピニオンとのかみ合わせからなり、ラインヘッド10がプリンタ本体51に装着されている場合に、ヘッドキャップユニット20をノズルシート17に対して相対的に移動させる。
そして、印画時には、ノズルキャップ30をノズルシート17のインク吐出面から離して、インク吐出面を開けるようにヘッドキャップユニット20を移動させる。
逆に、印画終了後は、インク吐出面を閉じるようにヘッドキャップユニット20を移動させ、ノズルキャップ30がノズルシート17のインク吐出面に圧着するようにしてインク漏れを防止する。
なお、キャップ開閉機構は、ラックとピニオンとのかみ合わせに限られず、各種の機構が適用できる。例えばゴムローラを使う機構の場合には、モータに結合したゴムローラをヘッドキャップユニット20の側面等に接触させ、モータでゴムローラを回転し、摩擦力で移動させるようにすることもできる。また、タイミングベルト等を使用することもできる。
また、インクジェットプリンタには、通常、ノズルシート17のクリーニング機構が設けられている。クリーニング機構には、例えばスポンジ等からなるクリーニングローラをヘッドキャップユニットに取り付けたものがある。これは、ヘッドキャップユニットの往復移動に伴い、クリーニングローラがノズルシート17のインク吐出面を従動回転し、インク吐出面に付着したインクを取り除くものである。
ここで、図6に示すインクジェットプリンタのヘッドキャップユニット20は、着脱自在となっている。そこで、インクジェットプリンタを長期間使用しない場合には、通常装着されているクリーニングローラ付きのヘッドキャップユニットに代えて、上記したノズルキャップ30を備えるヘッドキャップユニット20を取り付けておくことができる。このようにすれば、上記のヘッドキャップユニット20が長期間保管用のキャップとなり、インクの乾燥が防止され、再使用時に必要となるインクの空吐出の量を少なくすることができる。
また、上記したヘッドキャップユニット20の内部に、ノズルキャップ30と一緒にクリーニングローラも配置しておけば、1つのヘッドキャップユニット20で、ノズルシート17のインク吐出面からインクが漏出したり、乾燥したりすることを防止等できるだけでなく、インク吐出面のクリーニングもできるようになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、以下のような種々の変形等が可能である。すなわち、
(1)本実施形態では、液体吐出ヘッドを印画幅分のラインヘッドを形成するライン方式としたが、液体吐出ヘッドを被記録媒体の幅方向に移動させて印画を行うシリアル方式にも適用できる。
(2)本実施形態では、液体吐出ヘッドをカラー対応のラインヘッドとしたが、モノクロ用でも同様の効果が得られる。また、カラー対応であっても、4色一体型に限るものではなく、一色一色独立した構成のものにも適用できる。
(3)本実施形態では、ノズルキャップの封止部をノズル列の配列方向に連続して土手状に延びたものとしたが、ノズルごとに個々に封止部を設けることもできる。また、ある範囲のノズル(例えば千鳥状のノズル)を一組として、各組ごとに封止部を設けることもできる。
(4)本実施形態は、エネルギー発生素子として発熱抵抗体を用いたサーマル方式としたが、発熱抵抗体等の発熱素子に代えて、振動板と、この振動板の下側に空気層を介した2つの電極を設け、両電極間に電圧を印加して振動板をたわませた後、静電気力を開放して振動板を元に戻し、その際の弾性力を利用してインク液滴を吐出させる静電吐出方式にも適用可能である。また、両面に電極を有するピエゾ素子と振動板との積層体を用い、圧電効果によって振動板を変形させてインク液滴を吐出させるピエゾ方式にも適用可能である。
本発明のノズルキャップ、ヘッドキャップユニット、及び液体吐出ヘッドは、例えばインクジェットプリンタに適用して特に好適なものであるが、被記録媒体は必ずしも印画紙に限ることはなく、例えば染め物に対して染料を吐出する液体吐出ヘッド等に適用することもできる。
また、生体試料を検出するためのDNA含有溶液を吐出するための液体吐出ヘッド等に適用することも可能である。
本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態であるラインヘッドの一部を拡大して示す部分斜視図である。 本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態であるカラー対応のラインヘッドを示す分解斜視図である。 本発明のヘッドキャップユニットの一実施形態を示す断面図である。 図3に示す本発明のヘッドキャップユニットの上面図である。 本発明のノズルキャップの様々な実施形態を示す部分断面図である。 本発明の液体吐出ヘッドの一実施形態であるラインヘッドを装着したインクジェットプリンタを示す断面図である。
符号の説明
10 ラインヘッド(液体吐出ヘッド)
12 インク液室(液室)
13 発熱抵抗体(エネルギー発生素子)
15 バリア層(液室形成部材)
16 ヘッドフレーム(支持部材)
17 ノズルシート
18 ノズル
19 ヘッドチップ
20 ヘッドキャップユニット
21 外郭ケース
22 弾性部材
30 ノズルキャップ
31 封止部
32 側壁部

Claims (9)

  1. ノズルを形成したノズルシートを備え、
    液室内の液体を前記ノズルから吐出する液体吐出ヘッドのノズルキャップであって、
    前記ノズルシートの液体吐出面側から前記ノズルを塞ぎ、前記液体の漏出を防止する封止部を備え、
    前記封止部は、前記ノズルシートに対して非粘着性で、前記液体に対して非透過性の弾性体からなる
    ことを特徴とするノズルキャップ。
  2. 請求項1に記載のノズルキャップにおいて、
    前記封止部は、突起の先端部分が前記ノズルを塞ぐ形状である
    ことを特徴とするノズルキャップ。
  3. 請求項1に記載のノズルキャップにおいて、
    前記封止部は、前記ノズルシートに形成されたノズル列の配列方向に連続している
    ことを特徴とするノズルキャップ。
  4. 請求項1に記載のノズルキャップにおいて、
    前記封止部は、中空である
    ことを特徴とするノズルキャップ。
  5. 請求項1に記載のノズルキャップにおいて、
    前記封止部の周りを囲い、前記ノズルシートの液体吐出面に圧着して前記封止部との間に密閉空間を形成する側壁部を備え、
    前記側壁部は、前記ノズルシートに対して非粘着性で、前記液体に対して非透過性の弾性体からなる
    ことを特徴とするノズルキャップ。
  6. ノズルを形成したノズルシートを備え、
    液室内の液体を前記ノズルから吐出する液体吐出ヘッドのヘッドキャップユニットであって、
    前記ノズルシートの液体吐出面を全面的に覆う外郭ケースと、
    前記外郭ケースの内部に配置されたノズルキャップと
    を備え、
    前記ノズルキャップは、
    前記ノズルシートの液体吐出面側から前記ノズルを塞ぎ、前記液体の漏出を防止する封止部を備え、
    前記封止部は、前記ノズルシートに対して非粘着性で、前記液体に対して非透過性の弾性体からなる
    ことを特徴とするヘッドキャップユニット。
  7. 請求項6に記載のヘッドキャップユニットにおいて、
    前記外郭ケースと前記ノズルキャップとの間に、前記ノズルキャップを前記ノズルシートの液体吐出面に向けて付勢する弾性部材を備える
    ことを特徴とするヘッドキャップユニット。
  8. 複数のエネルギー発生素子を一定間隔で一方向に配列したヘッドチップと、
    液滴を吐出するためのノズルを形成したノズルシートと、
    前記ヘッドチップの前記エネルギー発生素子の形成面と前記ノズルシートとの間に積層され、各前記エネルギー発生素子と各前記ノズルとの間に液室を形成するための液室形成部材と
    を備え、
    前記エネルギー発生素子により、前記液室内の液体を前記ノズルから吐出する液体吐出ヘッドであって、
    前記ノズルシートの液体吐出面を全面的に覆うことができ、内部にノズルキャップを配置したヘッドキャップユニットを備え、
    前記ヘッドキャップユニットは、
    前記ノズルシートの液体吐出面を開閉するように、前記ノズルシートに対して相対的に移動可能で、かつ着脱自在であり、
    前記ノズルキャップは、
    前記ヘッドキャップユニットが前記ノズルシートの液体吐出面を閉じた際に、前記ノズルを塞ぎ、前記液体の漏出を防止する封止部を備え、
    前記封止部は、前記ノズルシートに対して非粘着性で、前記液体に対して非透過性の弾性体からなる
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  9. 請求項8に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
    前記ノズルシートの液体吐出面と反対側の面に貼り合わせられ、前記ヘッドチップを内部に配置するための収容空間が形成された支持部材を備えるとともに、
    前記ノズルキャップは、
    前記封止部の周りを囲い、前記ノズルシートの液体吐出面に圧着して前記封止部との間に密閉空間を形成する側壁部を備え、
    前記側壁部は、前記ノズルシートに対して非粘着性で、前記液体に対して非透過性の弾性体からなり、
    前記ヘッドキャップユニットが前記ノズルシートの液体吐出面を閉じた際に、前記側壁部が前記支持部材の存在する位置に圧着する
    ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
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