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JP2005174770A - 燃料電池 - Google Patents

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JP2005174770A JP2003413961A JP2003413961A JP2005174770A JP 2005174770 A JP2005174770 A JP 2005174770A JP 2003413961 A JP2003413961 A JP 2003413961A JP 2003413961 A JP2003413961 A JP 2003413961A JP 2005174770 A JP2005174770 A JP 2005174770A
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英和 木村
Hide Watanabe
秀 渡辺
Tsutomu Yoshitake
務 吉武
Sadanori Kuroshima
貞則 黒島
Arata Nakamura
新 中村
Takashi Masako
隆志 眞子
Hideto Imai
英人 今井
Yoshimi Kubo
佳実 久保
Koji Kajitani
浩司 梶谷
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Abstract

【課題】 簡素な構造を有し、高出力かつ小型化・薄型化された固体高分子型燃料電池を提供する。
【解決手段】 固体高分子電解質膜114の一方の面に配置された燃料極102a、bと、他方の面に配置された酸化剤極108a、bとが固体高分子電解質膜114を挟み付けることにより複数の単位セルを構成する。固体高分子電解質膜114上における単位セル間の領域に、溝部302を設けることにより、隣接する単位セルへの水素イオンの移動を抑制し、電圧降下を防止する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池に関し、特に固体電解質膜を用いた燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、パーフルオロスルフォン酸膜等のイオン交換膜を電解質とし、このイオン交換膜の両面に燃料極および酸化剤極の各電極を接合して構成され、燃料極に水素、酸化剤極に酸素あるいは空気を供給して電気化学反応により発電する装置である。この反応を起こすために、通常、固体高分子型燃料電池は、イオン交換膜と、その両面に形成される触媒物質が担持された炭素微粒子と固体高分子電解質との混合体からなる触媒層と、燃料および酸化ガスの供給と拡散を目的とする多孔質性炭素材料からなるガス拡散層(供給層)と、炭素あるいは金属の導電性薄板からなる集電体とで構成されている。
また近年では、上記と同様の構成で、燃料としてメタノールなどの有機液体燃料を直接燃料極に供給する直接メタノール固体高分子型燃料電池の研究開発も活発に行われている。
上記の構成において、燃料極に供給された燃料は、拡散層(供給層)中の細孔を通過して触媒に達し、触媒により燃料が分解されて、電子と水素イオンが生成される。電子は電極中の触媒担体とガス拡散層(供給層)とを通って外部回路へ導き出され、外部回路より酸化剤極に流れ込む。一方、水素イオンは電極中の電解質および両電極間の固体高分子電解質膜を通って酸化剤極に達し、酸化剤極に供給された酸素と外部回路より流れ込む電子と反応して水を生じる。この結果、外部回路では燃料極から酸化剤極へ向かって電子が流れ、電力が取り出される。
しかしながら、この基本的構成の固体高分子型燃料電池単体の電池電圧は、各電極における酸化還元電位差に相当することから、理想的な開放電圧であっても高々1.23Vである。このため、様々な機器に搭載する駆動電源としては電池出力に関し、必ずしも充分とは言えない。例えば、携帯用機器の駆動電源に燃料電池を使用する場合、それらの機器の多くは電源として1.5〜4V程度以上の入力電圧を必要とする。このため、単位セルを直列に接続し、電池の電圧を上げる必要がある。
そこで、電池電圧を上昇させるために、単位セルを積層することにより充分な電圧を確保することが考えられるが、このようにすると電池全体が厚みを帯びることから、薄型化が要請される携帯機器などの駆動電源としては好ましいとは言えない。こうしたことから、電池の薄型化を実現する技術が望まれている。
特許文献1には、一枚の電解質膜の一方の面側に複数の酸化剤電極が配置され、当該電解質膜の他方の面側に複数の燃料電極が配置されることにより、複数単位セルを同一平面上に有する燃料電池が開示されている。
特許文献2には、イオン伝導体板にスルーホールを形成し、イオン伝導体板の一方の面側に形成された+極と他方の面側に形成された−極とをスルーホールを介して接続するという方式が記載されている(段落0007)。すなわち、特許文献3には、固体電解質膜の一方の面に複数の燃料極が、他方の面に複数の酸化剤極がそれぞれ配置され、隣接する単位セル間が固体電解質膜を貫通する貫通部材により電気的に直列に接続された構成が記載されている。
上記公報の技術は、複数のセル間を電気的に接続することにより高出力化が可能であるので、機器駆動のための電源電圧を得るという点において一定の効果を奏している。
特開平8−171925号公報 特開2002−110215号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、ある単位セルの燃料極において生成した水素イオンが、隣接する単位セルの酸化剤極へ移動し、電圧が低下してしまうという課題を有していた。特に、各単位セルの間隔を電解質膜の厚さと同程度まで接近させる場合は、電気的リークが顕著となり、電圧の低下が避けられなかった。
また、特許文献2記載の技術は、単位セル間にスルーホールが配置する位置関係になるため、単位セルを構成する電極とスルーホールとの間で電流リークが発生することがあった。また、ある単位セルの燃料極において生成した水素イオンが、隣接する単位セルの酸化剤極へ移動し、このとき、スルーホールを流れる電流値に影響を与えることがあった。
上記事情に鑑み、本発明は、単位セル間の電気的リークが抑制された平面スタック型の燃料電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明によれば、固体電解質膜と、該固体電解質膜の一方の面に配置された第一電極および前記第一電極に隣接して設けられた第二電極と、該固体電解質膜の他方の面に前記第一および第二電極とそれぞれ対向して配置された第三電極および第四電極と、を備え、前記第一電極、前記第三電極および前記固体電解質膜により構成された第一単位セルと、前記第二電極、前記第四電極および前記固体電解質膜により構成された第二単位セルとの間の領域に、前記第一単位セルおよび前記第二単位セルから電気的に離隔して設けられた低イオン伝導性領域を具備することを特徴とする燃料電池が提供される。
本発明の燃料電池は、一枚の固体電解質膜を共有した二以上単位セルが平面方向に複数配置された構成を有する。このため、単位セルを高集積で平面的に配置することが可能となる。
そして、単位セル間に、それぞれ単位セルから電気的に離隔して設けられた低イオン伝導性領域を備えている。かかる領域を設けることにより、上記単位セル間の電気的リークを効果的に抑制することができる。
各単位セル同士の間隔を狭めることにより、さらに燃料電池の小型化を図ることができる。しかしながら、このような場合、上記したように電気的リークが生じることから、電圧が低下してしまうという課題が生じる。そこで本発明の燃料電池においては、固体電解質膜上における単位セル間の領域に、低イオン伝導性領域を設けることにより、上記電気的リークが生じることを防止している。このため、各単位セルの間隔を、固体電解質膜の厚さと同程度とした場合においても電圧の低下が抑制されるため、小型かつ薄型で高出力の燃料電池が実現する。ここで、本発明における低イオン伝導性領域とは、固体電解質膜と比較して、水素イオンの伝導性が低い領域をいう。
以上説明したように、本発明によれば、簡素な構造を有し、高出力かつ小型化・薄型化た固体高分子型燃料電池を提供することが可能となる。
本発明において、前記第一電極および前記第二電極からなる電極群と、前記第三電極および前記第四電極からなる他の電極群のうち、いずれかの電極群が燃料極であり他方の電極群が酸化剤極である構成とすることができる。すなわち、上記固体電解質膜の一方の面には燃料極が、他方の面には酸化剤極が配置された構成としてもよい。こうすることにより、各単位セル毎に個別に燃料あるいは酸化剤を供給する流路などを設ける必要がなく、上記二以上単位セルに対し一挙に燃料あるいは酸化剤を供給することが可能である。したがって、機構を簡素化することができるため、燃料電池の小型化を図ることが可能となる。
低イオン伝導性領域としては、たとえば、固体電解質膜に凹部が形成されてなる領域とすることができる。凹部とは、溝部、ホール等が含まれる。凹部は、固体電解質膜を貫通していてもよいし貫通していなくてもよい。
凹部の内部には、前記第一単位セルおよび前記第二単位セルから電気的に離隔して設けられた部材が充填されていてもよい。たとえば、凹部の内部に絶縁体が充填されていてもよい。凹部の内部の充填部材は、各単位セルと電気的に離隔して設けられるため、充填部材と単位セル電極との間の電流リークが発生せず、かかる構成によれば、新たなリークパスを生ずることなく単位セル間の電気的リークを抑制することができる。なお、充填部材を絶縁体とする場合、絶縁体としては、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂のいずれかを用いることができる。
低イオン伝導性領域の他の例としては、前記固体電解質膜にイオン照射された領域を例示することができる。たとえば電解質膜にArイオンを照射する等の方法により、こうした構成を実現することができる。
本発明において、第一単位セルおよび第二単位セルは、並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよい。これらのセル間は、固体電解質の外部に設けられた外部導電部材により接続することができる。また、第一単位セルおよび第二の単位セルは、電気的に隔離して設けられた構成とすることもできる。
本発明において、単位セルを3以上設けてもよい。この場合、単位セルをすべて直列に接続しても良いし、すべて並列に接続しても良い。また、一部のセル間のみを並列、他を直列に接続することが可能であり、所望の電圧または電流値を有する燃料電池を得ることが可能である。
本発明は、ダイレクトメタノール型燃料電池のように、液体燃料が燃料極に直接供給されるタイプの燃料電池に適用した場合、特に効果的である。
第1の実施形態
図1は、本実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。図1(a)は、本実施形態の燃料電池の構造を模式的に表した斜視図であり、図1(b)は、図1(a)中のA−A’断面図である。図1(a)および(b)に示されるように、一枚の固体高分子電解質膜114の一方の面に燃料極102a、bが配され、固体高分子電解質膜114の他方の面には酸化剤極108a、bが配されている。また、燃料極102a、b上には集電体120、121が、酸化剤極108a、b下には集電体122、123が接続されている。燃料極102a、bおよび酸化剤極108a、bは、図示しない基体および触媒層から構成される。
図1(b)に示すように、燃料極102a、bには燃料125が、酸化剤極108a、bには空気あるいは酸素などの酸化剤126が供給される。本実施形態の燃料電池においては、複数の単位セルの燃料極102a、b、酸化剤極108a、bがそれぞれ固体高分子電解質膜114を境にして同じ側に配されている。したがって、燃料を供給する燃料流路および酸化剤を供給する酸化剤流路はそれぞれ一系統で足りるため、燃料電池の構造を簡素化することが可能となる。ここで、固体高分子電解質膜114は、燃料極側と酸化剤極側を隔てる隔壁の役割を有していることから、燃料125が酸化剤極側に進入することはなく、また酸化剤126が燃料極側に進入することもない。
単位セル間には、溝部302が設けられている。この溝部302が設けられた箇所が低イオン伝導性領域であり、この領域を設けることにより、単位セル間の電気的リークが抑制される。図示した2つの単位セルは、直接接続されていない。ところが、
(i)燃料極102aと燃料極102bとの間、
(ii)燃料極102aと酸化剤極108bとの間、
(iii)酸化剤極108aと燃料極102bとの間、
において、電気的リークが生じることがある。本実施形態によれば、溝部302が設けられているため、上記電気的リークを効果的に抑制することができる。すなわち、燃料極102a、bで生成した水素イオンを効果的に酸化剤極108a、bへ導くことができる。
図1の燃料電池において、固体高分子電解質膜114は、燃料極102a、bと酸化剤極108a、bとを隔てるとともに、両者の間で水素イオンを移動させる役割を有する。このため、固体高分子電解質膜114は、水素イオンの導電性が高い膜であることが好ましい。また、化学的に安定であって機械的強度が高いことが好ましい。固体高分子電解質膜114を構成する材料としては、
スルホン基、リン酸基、ホスホン基、ホスフィン基などの強酸基や、カルボキシル基などの弱酸基などの極性基を有する有機高分子が好ましく用いられる。こうした有機高分子として、
スルフォン化ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾールなどの芳香族含有高分子;
ポリスチレンスルホン酸共重合体、ポリビニルスルホン酸共重合体、架橋アルキルスルホン酸誘導体、フッ素樹脂骨格およびスルホン酸からなるフッ素含有高分子などの共重合体;
アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸のようなアクリルアミド類とn−ブチルメタクリレートのようなアクリレート類とを共重合させて得られる共重合体;
スルホン基含有パーフルオロカーボン(ナフィオン(デュポン社製)、アシプレックス(旭化成社製));
カルボキシル基含有パーフルオロカーボン(フレミオンS膜(旭硝子社製));
などが例示される。
有機液体燃料を使用する場合であって、上記スルフォン化ポリ(4-フェノキシベンゾイル-1,4-フェニレン)、アルキルスルフォン化ポリベンゾイミダゾールなどの芳香族含有高分子を選択した場合には、当該有機液体燃料の透過を抑制でき、クロスオーバーによる電池効率の低下を抑えることができる。
燃料極102a、bおよび酸化剤極108a、bは、たとえば、触媒を担持した炭素粒子と固体高分子電解質の微粒子とを含む膜を基体上に形成した構成とすることができる。基体表面は撥水処理してもよい。
基体としては、燃料極、酸化剤極ともにカーボンペーパー、カーボンの成形体、カーボンの焼結体、焼結金属、発泡金属などの多孔性基体を用いることができる。また、基体の撥水処理にはポリテトラフルオロエチレンなどの撥水剤を用いることができる。
燃料極の触媒としては、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、レニウム、金、銀、ニッケル、コバルト、リチウム、ランタン、ストロンチウム、イットリウムなどが例示され、これらを単独または二種類以上組み合わせて用いることができる。一方、酸化剤極の触媒としては、燃料極の触媒と同様のものを用いることができ、上記例示物質を使用することができる。なお、燃料極および酸化剤極の触媒は同じものを用いても異なるものを用いてもよい。
触媒を担持する炭素粒子としては、アセチレンブラック(デンカブラック(電気化学社製)、XC72(Vulcan社製)など)、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどが例示される。炭素粒子の粒径は、たとえば、0.01〜0.1μm、好ましくは0.02〜0.06μmとする。
燃料125としては、メタノール、エタノール、ジエチルエーテルなどを含む有機液体燃料や水素含有ガスを用いることができる。
燃料極102a、bおよび酸化剤極108a、bの作製方法は特に制限がないが、たとえば以下のようにして作製することができる。まず燃料極102a、bおよび酸化剤極108a、bの触媒の炭素粒子への担持は、一般的に用いられている含浸法によって行うことができる。次に、触媒を担持させた炭素粒子と固体高分子電解質粒子を溶媒に分散させ、ペースト状とした後、これを基体に塗布、乾燥させることによって燃料極102a、bおよび酸化剤極108a、bを得ることができる。ここで、炭素粒子の粒径は、たとえば0.01〜0.1μmとする。また、触媒粒子の粒径は、たとえば1nm〜10nmとする。また、固体高分子電解質粒子の粒径は、たとえば0.05〜1μmとする。炭素粒子と固体高分子電解質粒子とは、たとえば、重量比で2:1〜40:1の範囲で用いられる。また、ペースト中の水と溶質との重量比は、たとえば、1:2〜10:1程度とする。基体へのペーストの塗布方法については特に制限がないが、たとえば、刷毛塗り、スプレー塗布、およびスクリーン印刷等の方法を用いることができる。ペーストは、約1μm〜2mmの厚さで塗布される。ペーストを塗布した後、使用するフッ素樹脂に応じた加熱温度および加熱時間で加熱し、燃料極102a、bまたは酸化剤極108a、bが作製される。加熱温度および加熱時間は、用いる材料によって適宜に選択されるが、たとえば、加熱温度100℃〜250℃、加熱時間30秒間〜30分とすることができる。
固体高分子電解質膜114は、用いる材料に応じて適宜な方法を採用して作製することができる。たとえば、固体高分子電解質膜114を有機高分子材料で構成する場合、有機高分子材料を溶媒に溶解または分散した液体を、ポリテトラフルオロエチレン等の剥離性シート等の上にキャストして乾燥させることにより得ることができる。
以上のようにして作製した固体高分子電解質膜114を、燃料極102a、bおよび酸化剤極108a、bで挟み、ホットプレスし、電極−電解質接合体を得る。このとき、両電極の触媒が設けられた面と固体電解質膜とが接するようにする。ホットプレスの条件は、材料に応じて選択されるが、固体電解質膜や電極表面の電解質膜を有機高分子で構成する場合、これらの高分子の軟化温度やガラス転位温度を超える温度とすることができる。具体的には、例えば、温度100〜250℃、圧力1〜100kg/cm、時間10秒〜300秒とする。
上記のようにして得られた電極−電解質接合体を、集電体120〜123により挟持する。その後、集電体121および122を外部接続電極124により電気的に接続することにより、直列接続された燃料電池を得ることができる。なお、集電体120〜123は導電性を有する部材であり、例えばステンレスやチタンなどを用いることができる。
上記の説明においては、簡単のため、単位セルが二つの場合について説明したが、これに限られるものではなく、三つ以上の単位セルを用いた形態についても適用することができる。
第2の実施形態
図2は、本実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。図2(a)は、ホール303が設けられた形態の斜視図であり、図中のA−A’断面図が図2(b)である。ホール303を設けることにより、燃料極102aで生成した水素イオンが隣接する単位セルの酸化剤極108bへ移動する際のイオン伝導性を降下させることができる。このため、電気的リークを抑え、燃料極102aで生成した水素イオンを効果的に酸化剤極108aに導くことができる。
第3の実施形態
上述の実施の形態において、溝部302またはホール303を、絶縁体で充填することもできる。このような形態を図3、図4に示す。図3(a)は、溝部に絶縁性樹脂304が挟まれた形態の斜視図を示しており、図中のA−A’断面図が図3(b)である。また、図4(a)は、凹部に絶縁性樹脂304が充填された形態の斜視図を示しており、その断面図が図4(b)である。このような構成を採用することにより、電気的リークをより一層抑制することが可能となる。
なお、絶縁性樹脂304としては、フッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂などの材料を用いることができる。
第4の実施形態
本実施形態に係る燃料電池は、単位セル同士が並列接続されている。図5は、本実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。単位セル間は、固体電解質膜114の外部に設けられた外部接続電極124で接続されている。
集電体120〜123および外部接続電極124は導電性を有する部材であり、例えばステンレスやチタンなどを用いることができる。
本実施形態によれば、溝部302からなる低イオン伝導性領域が設けられているため、燃料極102aで生成した水素イオンが隣接する単位セルの酸化剤極108bへ移動することが抑制される。このため、電気的リークを抑え、燃料極102aで生成した水素イオンを効果的に酸化剤極108aに導くことができる。
第5の実施形態
本実施形態に係る燃料電池は、イオン照射部からなる低イオン伝導性領域を備える。図6(a)は、イオン照射部305が設けられた形態の斜視図であり、その断面図が図6(b)である。イオン照射部305は、固体電解質膜114に対してアルゴンイオン照射することにより形成した領域である。イオン照射の加速電圧は、たとえば400〜500keVとする。この領域は、固体電解質膜114よりもイオン伝導性が低く、単位セル間の電気的リークを効果的に抑制することができる。イオン照射は、ここではアルゴンの例について述べたが、これに限られず様々な方法を用いることができる。
第6の実施形態
本実施形態では、単位セル間の電気的リークが抑制された平面スタック型の燃料電池の例を示す。図7、図8および図9は、単位セルの配置例を示す図である。
図7では、図中左側の2つの単位セルが同一回路中に設けられ、図中右側の2つの単位セルが同一回路中に設けられている。図中上側の単位セルと下側の単位セルは、それぞれ不図示のスルーホールによって接続されている。単位セル間には、図示したように、溝部302が設けられている。
図8および図9の配置例では、図中左側の2つの単位セル、および、図中右側の2つの単位セルが、固体電解質膜114を貫通するスルーホールによりそれぞれ直列に接続しており、さらにこれらが並列に接続されている。各単位セル間には、図示したように、溝部302が設けられている。
本実施形態によれば、溝部302からなる低イオン伝導性領域を備えるため、単位セル間の電気的リークが抑制された平面スタック型の燃料電池が提供される。なお、本実施形態では溝部302からなる低イオン伝導性領域としたが、前述の実施形態で述べた種々の低イオン伝導性領域を適用することもできる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
(実施例1)
本実施例では、図1に示す構造の燃料電池を作製した。触媒には炭素微粒子(デンカブラック;電気化学社製)に粒子径3〜5nmの白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金を重量比で50%担持させた触媒担持炭素微粒子を使用した。この触媒担持炭素微粒子1gにアルドリッチ・ケミカル社製5wt%ナフィオン溶液18mlを加え、50℃にて3時間超音波混合機で攪拌し触媒ペーストとした。このペーストをカーボンペーパー(東レ製:TGP−H−120)上にスクリーン印刷法で2mg/cm塗布し、120℃で乾燥させて電極を得た。
次に、1枚の固体高分子電解質膜114(デュポン社製ナフィオン(登録商標)、膜厚150μm)に対し、上記で得た電極を120℃で熱圧着して燃料極102a、bおよび酸化剤極108a、bとし、二組の単位セルを作成した。なお、この二つの単位セルの間隔は0.2mmとした。さらに、この二つの単位セルの間に、幅0.05mm、深さ0.1mmの溝部302を設けた。
上記二つの単位セルをステンレス製の集電体120〜123で挟持した。さらに、集電体121および集電体122を外部接続電極124を介して直列に接続した。さらに、テフロン(登録商標)製の燃料容器を燃料極102側に取り付けた。二つの燃料極102は、この燃料容器に覆われ、かつ固体高分子電解質膜114とこの燃料容器とで密閉された状態となるようにした。各単位セルは、それぞれ別の回路中に設けられ、電気的に接続されていない状態となっている。
この燃料電池の内部に10%メタノール水溶液を2ml/minで流し、外部を大気中に曝して電池特性を測定したところ、単位セル間の電気的リークがほとんど生じず、良好な結果が得られた。
(実施例2)
本実施例では、図3に示す構造の燃料電池を作製した。本実施例の燃料電池は、溝部302に絶縁体を充填したこと以外は実施例1と同様の構成である。本実施例における固体高分子電解質膜114は、図2における固体高分子電解質膜114上に設けられた溝部302に、ポリイミドからなる絶縁性樹脂304(デュポン社製カプトン(登録商標))を挟み、接着させたものである。その他の構成は実施例1と同様である。
この燃料電池の内部に10%メタノール水溶液を2ml/minで流し、外部を大気中に曝して電池特性を測定したところ、単位セル間の電気的リークがほとんど生じず、良好な結果が得られた。
(実施例3)
本実施例では、図5および図9に示す構造の単位セル4個からなる燃料電池を作製した。単位セルの構成および作製方法は実施例1と同様である。この燃料電池の内部に10%メタノール水溶液を2ml/minで流し、外部を大気中に曝して電池特性を測定したところ、単位セル間の電気的リークがほとんど生じず、良好な結果が得られた。
実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。 実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。 実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。 実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。 実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。 実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。 単位セルの配置例を示す図である。 単位セルの配置例を示す図である。 単位セルの配置例を示す図である。
符号の説明
102、102a、102b 燃料極
108、108a、108b 酸化剤極
114 固体高分子電解質膜
120、121、122、123 集電体
124 接続電極
125 燃料
126 酸化剤
302 溝部
303 凹部
304 絶縁性樹脂
305 イオン照射部

Claims (10)

  1. 固体電解質膜と、該固体電解質膜の一方の面に配置された第一電極および前記第一電極に隣接して設けられた第二電極と、
    該固体電解質膜の他方の面に前記第一電極および第二電極とそれぞれ対向して配置された第三電極および第四電極と、
    を備え、
    前記第一電極、前記第三電極および前記固体電解質膜により構成された第一単位セルと、前記第二電極、前記第四電極および前記固体電解質膜により構成された第二単位セルとの間の領域に、前記第一単位セルおよび前記第二単位セルから電気的に離隔して設けられた低イオン伝導性領域を具備することを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1に記載の燃料電池において、
    前記低イオン伝導性領域は、前記固体電解質膜に凹部が形成されてなる領域であることを特徴とする燃料電池。
  3. 請求項2に記載の燃料電池において、
    前記凹部の内部に、前記第一単位セルおよび前記第二単位セルから電気的に離隔して設けられた部材が充填されていることを特徴とする燃料電池。
  4. 請求項3に記載の燃料電池において、
    前記部材は絶縁体であることを特徴とする燃料電池。
  5. 請求項1に記載の燃料電池において、
    前記低イオン伝導性領域は、前記固体電解質膜にイオン照射された領域であることを特徴とする燃料電池。
  6. 請求項1乃至5いずれかに記載の燃料電池において、
    前記第一電極および前記第二電極からなる電極群と、前記第三電極および前記第四電極からなる他の電極群のうち、いずれかの電極群が燃料極であり他方の電極群が酸化剤極であることを特徴とする燃料電池。
  7. 請求項1乃至6いずれかに記載の燃料電池において、
    前記第一単位セルおよび前記第二単位セルは、並列に接続されたことを特徴とする燃料電池。
  8. 請求項1乃至6いずれかに記載の燃料電池において、
    前記第一単位セルおよび前記第二単位セルは、直列に接続されたことを特徴とする燃料電池。
  9. 請求項7または8に記載の燃料電池において、
    前記第一単位セルおよび前記第二単位セルは、前記固体電解質の外部に設けられた外部導電部材により接続されたことを特徴とする燃料電池。
  10. 請求項1乃至9いずれかに記載の燃料電池において、
    前記第一単位セルおよび前記第二の単位セルが、電気的に隔離して設けられたことを特徴とする燃料電池。
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