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JP2005161600A - ポリカーボネート樹脂積層体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂積層体 Download PDF

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JP2005161600A
JP2005161600A JP2003401226A JP2003401226A JP2005161600A JP 2005161600 A JP2005161600 A JP 2005161600A JP 2003401226 A JP2003401226 A JP 2003401226A JP 2003401226 A JP2003401226 A JP 2003401226A JP 2005161600 A JP2005161600 A JP 2005161600A
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JP2003401226A
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Tatsuya Ekinaka
達矢 浴中
Toshinori Kajiwara
俊典 梶原
Kinji Hasegawa
欣治 長谷川
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

【課題】 耐候性、耐久性、耐摩耗性、耐熱水性に優れたポリカーボネートを基材とする積層体を提供する。
【解決手段】 ポリカーボネート基材、第1層および第2層からなり、ポリカーボネート基材の表面に第1層が形成され、第1層の表面に第2層が形成されてなる積層体であって、該ポリカーボネート基材は120〜150℃の温度範囲内に吸熱ピークを示し、該吸熱ピークが0.1mJ/mg以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリカーボネート基材、第1層および第2層からなる積層体に関する。さらに詳しくは、本発明は、ポリカーボネート基材、第1層および第2層からなる積層体であって、ポリカーボネート基材は120〜150℃の温度範囲内に吸熱ピークを示し、該吸熱ピークが0.1mJ/mg以上であり、第1層は架橋したアクリル共重合体であり、第2層はオルガノシロキサン重合体である耐候性、耐摩耗性、耐久性、耐熱水性に優れた積層体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、透明性、軽量性、加工性等の特徴を生かして、多方面の用途で使用されている。特に、その透明性を生かしてガラスの代替として利用されている。しかし、ポリカーボネート樹脂は耐候性が十分ではなく、長期の屋外の使用において分解・劣化するため物性、外観が損われることが知られている。またポリカーボネート樹脂は耐摩耗性も乏しく表面が傷つきやすく、また溶剤に侵されやすい等の欠点を有している。
これらの欠点を改良する目的で、従来からポリカーボネート基材表面に熱硬化型アクリル樹脂層を設け、さらにその上にシロキサン系の硬化被膜を被覆し、耐候性、耐久性、耐摩耗性を改良した積層体に関する数多くの提案がなされてきている。
例えば、本発明者らは、熱硬化型アクリル樹脂層に特定構造の紫外線吸収剤を添加することで耐候性を改良することを提案した(特許文献1参照)。しかし、屋外での長期の使用に耐えうる十分な耐候性が得られていない。
また、環境の変化に対する耐久性を改善する提案がなされている(特許文献2参照)。しかし、塗料の貯蔵安定性が低いため貯蔵中や使用中に塗料の増粘が生じ安定して使用することができないという欠点がある。またイソシアネート基の反応性が高いため加熱硬化時に副反応が起こりやすく安定した塗膜物性を有する成形体が得られないという欠点もある。
一方で、耐摩耗性の改良を目的として、トリヒドロキシシラン部分縮合物とコロイダルシリカからなるコーティング用組成物が提案されている(特許文献3および4参照)。また、アルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの部分縮合物を主成分とするコーティング用組成物が提案されている(特許文献5および6参照)。
さらに、アルキルトリアルコキシシランとテトラアルコキシシランとの縮合物にコロイド状シリカを添加したコーティング用組成物が提案されている(特許文献7および8参照)。
しかしながら、これらのコーティング用組成物から得られる硬化被膜をポリカーボネート基材に積層した積層体は、ある程度の優れた耐摩耗性を有するが、環境変化および高温環境下での耐久性が十分ではない。
また前記積層体は、ポリカーボネート基材とオルガノシロキサン樹脂を熱硬化してなる層の熱膨張率の違いにより、高温環境下で、オルガノシロキサン樹脂を熱硬化してなる層が引張られコート層にクラックが生じたり、ポリカーボネート基材/アクリル樹脂層界面もしくはアクリル樹脂/オルガノシロキサン樹脂界面で剥離が発生する場合がある。
特開2000−318106号公報 特開昭62−169832号公報 特開昭51−2736号公報 特開昭55−94971号公報 特開昭48−26822号公報 特開昭51−33128号公報 特開昭63−278979号公報 特開平1−306476号公報
本発明は、耐候性、耐久性、耐摩耗性、耐熱水性に優れたポリカーボネートを基材とする積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、この目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート基材をガラス転移温度以下の条件でアニール処理することにより熱緩和を行い、その表面に特定組成の熱硬化型アクリル樹脂を主とする第1層とコロイダルシリカ、トリアルコキシシラン加水分解縮合物を含有してなるオルガノシロキサン樹脂を熱硬化してなる第2層を第1層から順次積層することにより、高いレベルの耐候性、耐摩耗性を付与し、かつ塗装時のクラック発生、密着不良が少なく、さらに環境の変化や高温環境下での十分な耐久性をも併せ持つ硬化被膜で表面を保護された積層成形体が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば
1.ポリカーボネート基材、第1層および第2層からなり、ポリカーボネート基材の表面に第1層が形成され、第1層の表面に第2層が形成されてなる積層体であって、該ポリカーボネート基材は120〜150℃の温度範囲内に吸熱ピークを示し、該吸熱ピークが0.1mJ/mg以上であり、第1層は、熱硬化型アクリル樹脂組成物硬化層であり、第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなり、該熱硬化型アクリル樹脂組成物硬化層は、50モル%以上の下記式(A−1)
Figure 2005161600
(式中Rはメチル基またはエチル基である。)で表される繰り返し単位、
5〜30モル%の下記式(A−2)
Figure 2005161600
(式中Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。)で表される繰り返し単位、および
0〜30モル%の下記式(A−3)
Figure 2005161600
(但し、式中Yは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、炭素数2〜5のアルキル基、紫外線吸収残基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である。但し、Yがメチル基であり、かつRがメチル基またはエチル基である場合を除く。)
で表される繰り返し単位からなるアクリル共重合体を、ポリイソシアネート化合物またはシロキサン樹脂を架橋剤として硬化させた硬化層であり、また、該架橋したオルガノシロキサン重合体は、下記式(b−4)〜(b−6)
Figure 2005161600
Figure 2005161600
Figure 2005161600
(式中、Q、Qは、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。)
で表される繰り返し単位からなり、各繰り返し単位のモル比{(b−4)/(b−5)/(b−6)}が、80〜100/0〜20/0〜20である架橋したオルガノシロキサン重合体であることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体。
2.前記架橋剤としてポリイソシアネート化合物を用い、その使用量は式(A−2)で表される繰り返し単位の水酸基1当量に対して生成及び/又は存在するイソシアネート基の総量が0.7〜5当量である前項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
3.前記熱硬化型アクリル樹脂組成物硬化層がアクリル共重合体100重量部に対して5〜50重量部の紫外線吸収剤を含む前項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
4.ポリカーボネート基材の厚みが1〜10mm、第1層の厚みが2〜15μm、第2層の厚みが2〜10μmである前項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において基材として用いられるポリカーボネート樹脂は二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法または溶融法で反応させて得られるポリカーボネート樹脂である。二価フェノールの代表的な例としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[通称ビスフェノールA]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられ、なかでもビスフェノールAが好ましい。これらの二価フェノールは単独または2種以上を混合して使用できる。
ポリカーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
上記二価フェノールとカーボネート前駆体を界面重縮合法または溶融法によって反応させてポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
ホスゲンを使用する界面重縮合法は、酸結合剤及び有機溶媒の存在下で反応させる。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物又はピリジン等のアミン化合物が用いられ、溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミン又は第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
また、ジフェニルカーボネートを用いる溶融法は、不活性ガス雰囲気下所定割合の二価フェノール成分とジフェニルカーボネートとを加熱しながら攪拌して、生成するアルコール又はフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコール又はフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコール又はフェノール類を留出させながら完結させる。また、反応を促進するために通常のエステル交換反応用触媒を使用することもできる。
ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量(M)で10,000〜50,000が好ましく、15,000〜35,000がより好ましい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好であり好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7
かかるポリカーボネート樹脂を製造する際に、必要に応じて亜燐酸エステル、燐酸エステル、ホスホン酸エステル等の安定剤、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールAの低分子量ポリカーボネート、デカブロモジフェノール等の難燃剤、着色剤、滑剤等を添加することができる。
本発明に用いられるポリカーボネート基材は示差操作熱量計(DSC)により熱分析したときに120〜150℃にピークの頂点を有する吸熱ピーク(異常比熱)が観察される。この吸熱ピークはガラス転移熱を示すピークおよび結晶融解熱を示すピークとは異なるピークである。この吸熱ピークの大きさが表わしている吸熱エネルギーが0.1mJ/mg以上であり、好ましくは0.2mJ/mg以上である、またアニール処理によって達成できる緻密化には限度があり、この吸熱エネルギーの大きさは3mJ/mg以下である。吸熱エネルギーが上記範囲にあるポリカーボネート樹脂基材は構造が緻密であり応力の残留が少ないため、積層体の耐候性、耐久性、耐熱水性が良好になる。
120〜150℃にピークの頂点を有する吸熱ピークをポリカーボネート基材に付与する方法としては、ポリカーボネート基材をアニール処理する方法が好ましく採用される。アニール処理は、ポリカーボネートの二次転移温度Tg〜Tg−40℃の温度範囲で、0.5時間〜100時間熱処理する方法が好ましい。
ポリカーボネート基材は、ヘーズ値が10%以下であることが好ましい。基材の厚さは好ましくは1〜10mm、より好ましくは2〜8mmである。
本発明において、第1層としてポリカーボネート基材表面に積層される塗膜樹脂は、(A)前記式(A−1)で示される繰り返し単位を50モル%以上、前記式(A−2)で示される繰り返し単位を5〜30モル%および前記式(A−3)で示される繰り返し単位を0〜30モル%含むアクリル共重合体であり、この塗膜樹脂をポリイソシアネート化合物誘導体またはシロキサン樹脂を架橋剤として硬化させた硬化層が第1層となる。
式(A−1)で表される繰り返し単位に対応するメタクリレートモノマーは、メチルメタクリレートまたはエチルメタクリレートである。
式(A−2)で表される繰り返し単位に対応するメタクリレートモノマーは、具体的には、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。なかでも2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく採用される。
式(A−2)で表される繰り返し単位はその一部が、−OHの位置においてポリイソシアネート化合物またはシロキサン樹脂を架橋剤として他の式(A−2)で表される繰り返し単位と結合し、架橋構造を形成している。架橋の程度は、ウレタン結合またはシロキサン結合と、式(A−1)〜(A−3)で表される繰り返し単位の合計量とのモル比が4/100〜30/100の範囲にあることが好ましく、かかるモル比が10/100〜20/100の範囲であることが特に好ましい。
式(A−3)で表される繰り返し単位中のRの炭素数2〜5のアルキル基の具体例として、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。
(A−3)で表わされる繰り返し単位中のRが単素数2〜5のアルキル基の場合の(メタ)アクリレートモノマーとして具体的にはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用できる。
また、(A−3)で表される繰り返し単位中のRが紫外線吸収残基の場合の(メタ)アクリレートモノマーとして、濃度10mg/Lのクロロホルム溶液、光路長1.0cmで測定した、波長300nmにおける吸光度が0.25以上であるものが挙げられる。
かかるモノマーの具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−アクリロキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−アクリロキシエトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−アクリロキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−アクリロキシプロポキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−アクリロキシエチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−アクリロキシエチル−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−アクリロキシエチル−5′−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−(アクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロイルオキシエチル)ベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシプロポキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メタクリロキシエチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−メタクリロキシエチル−5′−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−メタクリロキシエチル−5′−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−(メタクリロキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエチル)ベンゾフェノン等が挙げられる。
アクリル共重合体中の式(A−1)で示される繰り返し単位の割合は、50モル%以上である、好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上である。
アクリル共重合体中の(A−2)で示される繰り返し単位の割合は、5〜30モル%である、好ましくは8〜20モル%、さらに好ましくは10〜20モル%である。
アクリル共重合体中の(A−3)で示される繰り返し単位の割合は、0〜30モル%である。
成分(A)は、70〜95モル%の式(A−1)で表される繰り返し単位および5〜30モル%の式(A−2)で表される繰り返し単位からなるアクリル共重合体であることが好ましい。
成分(A)は、式(A−1)のRがエチル基、かつ式(A−2)のRがエチレン基であることが好ましい。
架橋したアクリル共重合体の分子量は、重量平均分子量で20,000以上が好ましく、50,000以上がより好ましく、また、重量平均分子量で1千万以下のものが好ましく使用される。かかる分子量範囲の上記アクリル樹脂は、第1層としての密着性や強度などの性能が十分に発揮され好ましい。
第1層の厚さは好ましくは1〜12μm、より好ましくは2〜10μmである。
第1層においては、塗膜樹脂をポリイソシアネート化合物またはシロキサン樹脂を架橋剤として硬化させる。
シロキサン樹脂としては、下記式(1)
Figure 2005161600
(但し、式中R12、R13はそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群から選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、R14は炭素数1〜4のアルキル基であり、m,nは夫々0,1,2のいずれかの整数であり、m+nは0,1,2のいずれかの整数である。)で表されるアルコキシシランの加水分解縮合物や市販のシロキサン樹脂を用いることもできる。市販のシロキサン樹脂としては、信越化学工業製KP850,KP851等が挙げられる。
前記式(1)で表わされるアルコキシシランとしては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、なかでもアルキルトリアルコキシシランが好ましく、特にメチルトリメトキシシランおよびメチルトリエトキシシランが好ましい。これらは単独もしくは混合して使用できる。
このアルコキシシランの加水分解縮合物は酸性条件下、アルコキシシランのアルコキシ基1当量に対して通常0.2〜4当量、好ましくは0.5〜2当量、さらに好ましくは1〜1.5当量の水を用いて20〜40℃で1時間〜数日間加水分解縮合反応させることによって得られる。該加水分解縮合反応には酸が使用され、かかる酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、酢酸や塩酸などの揮発性の酸が好ましい。該酸は無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2規定、好ましくは0.001〜0.1規定の濃度で使用し、有機酸を使用する場合はトリアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で使用される。シロキサン樹脂の配合量は塗料樹脂の1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%である。
ポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物および/またはブロック化されたポリイソシアネート化合物である。
ポリイソシアネート化合物としてはポリイソシアネート、ポリイソシアネートと多価アルコールの付加物、ポリイソシアネートと低分子ポリエステル樹脂の付加物、ポリイソシアネート同士の環化重合体、そしてイソシアネート・ビュレット体等が挙げられる。
ポリイソシアネートとしてはトリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
ブロック化されたポリイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム等のオキシム類;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物;メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等のアルコール類;フェノール、クレゾール、エチルフェノール等のフェノール類に代表されるブロック化剤を付加させ、熱分解によりポリイソシアネート化合物を生成するブロック化されたイソシアネート化合物が挙げられる。
このブロック化されたイソシアネートは熱硬化反応時に初めてイソシアネート基が生成するので塗料組成物の貯蔵安定性に優れ、またイソシアネート基が副反応に消費されることが少なく、塗装環境の影響を受け難く安定した塗膜物性を有する硬化被膜を得ることができる。
上記ポリイソシアネート化合物、ブロック化されたポリイソシアネート化合物は、単独もしくは2種類以上を混合して使用できる。これらのなかでも脂肪族および/または脂環族ポリイソシアネート化合物が特に耐候性に優れ好ましい。
かかるポリイソシアネート化合物として、下記式(2)で表されるアダクト型ポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロックしたアダクト型ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
Figure 2005161600
(但し、式中R5、R6、R7は、同一または異なり、脂肪族および/または脂環族ジイソシアネート化合物よりイソシアネート基を除いた基を表す。またR8はヒドロキシ化合物からヒドロキシ基を除いた基を表し、n1は0または2以下の整数を表す。)
脂肪族ジイソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート化合物としてシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
また、下記式(3)で表されるイソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロックしたイソシアヌレート型ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
Figure 2005161600
(但し、式中n2はイソシアヌレートプレポリマーの核体数を表し、その統計的平均値は1.0〜4.0であり、R9〜R11は同一または異なり、脂肪族および/または脂環族ジイソシアネート化合物よりイソシアネート基を除いた基を表す。)
脂肪族ジイソシアネート化合物として、ヘキサメチレンジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート化合物としてシクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
式(2)中のR5、R6、R7および式(3)中のR9、R10、R11の炭素数は2〜10の範囲であることが耐久性の点で優れるため特に好ましい。
またブロック剤は、ポリカーボネート基材の耐熱性にもよるが、オキシム類、活性メチレン化合物がより低温で熱硬化可能なため好ましく使用される。
またポリイソシアネート化合物、ブロック化されたポリイソシアネート化合物の中のイソシアネート基の含有率は5〜60重量%、好ましくは6〜55重量%、最も好ましくは6〜50重量%である。イソシアネート基含有率が5重量%未満であるとアクリル樹脂に対するポリイソシアネート化合物、ブロック化されたポリイソシアネート化合物の配合量が多くなり、塗膜樹脂中の前記式(A−1)で表される繰返し単位の割合が低下するため、プラスチック基材との密着性が乏しくなる。また60重量%より多くなると塗膜層の可撓性が低下し、第二層を熱硬化する際に塗膜層にクラックが生じたり、環境の変化に対する耐久性を損うため好ましくない。
ポリイソシアネート化合物の混合量比は、アクリル樹脂のヒドロキシ基1当量に対して、生成及び/又は存在するイソシアネート基が0.7〜5当量、好ましくは0.75〜3当量、最も好ましくは0.8〜2当量である。このような組成に調製することで、第1層は、ポリカーボネート基材および第2層のオルガノシロキサン樹脂熱硬化層との良好な密着性を保つことができ、また、高水準の架橋密度を持つので紫外線や水、酸素による架橋密度の低下を引き起こしにくく、長期にわたる密着性、環境変化および高温環境下での耐久性を維持でき耐候性に優れる。
イソシアネート基が0.7当量より少ないと架橋が不十分となるため高温環境での耐久性が不十分になり、また、未反応のヒドロキシ基が水分子と高い親和性を示すために塗膜層が吸湿し、このため耐候性や耐熱水性も低くなる。イソシアネート基が5当量よりも多いと塗膜層はアロファネート結合を伴った非常に架橋密度が高く、硬くてもろい層となり、環境の変化に対する追従性が悪くなり、環境の変化に対する密着性に劣る。
本発明において、第1層の前記熱硬化型アクリル樹脂組成物硬化層は紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−(5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−t−ブチル−5′−メチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−t−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類、ジエチル−p−メトキシベンジリデンマロネート、ビス(2−エチルヘキシル)ベンジリデンマロネート等のベンジリデンマロネート類、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(メチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(エチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(プロピル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ブチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール等のトリアジン類、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体、酸化チタン酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、硫化亜鉛、硫化カドミウムなの金属酸化物微粒子類が挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤はアクリル共重合体100重量部に対して好ましくは5〜50重量部、より好ましくは10〜50重量部、特に好ましくは15〜45重量部用いられる。該紫外線吸収剤を使用することにより、紫外線の透過率が低くなり基材の黄変が生じず密着性を向上させるため耐候性が良好となる。また、密着性の低下もほとんど無く好ましい。
アクリル樹脂層(第1層)を形成する方法としては、上記アクリル共重合体、架橋剤等を、基材であるポリカーボネートと反応したり該ポリカーボネートを溶解したりしない揮発性の溶媒に溶解して、このコーティング組成物をポリカーボネート基材表面に塗布し、次いで該溶媒を加熱等により除去し、さらに加熱して架橋させることにより形成される。
かかる溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ガソリン、軽油、灯油等の炭化水素類、アセトニトリル、ニトロメタン、水等が挙げられ、これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
ヒドロキシ基を有するアクリル樹脂とポリイソシアネート化合物からなる組成物の溶剤にアルコールを用いる場合、ポリイソシアネート化合物と溶剤中のアルコールが反応して熱硬化アクリル樹脂が期待の性能を発揮できないことが予想されるが、溶剤系に用いるアルコールを主として上記のような殊に沸点130℃以下の2級または3級アルコールとすると、溶剤中のアルコールは系中のポリイソシアネート化合物と反応する前に揮発除去され、本発明の熱硬化型アクリル樹脂からなる第1層の性能に問題を起こさない。
上記コーティング組成物中の塗膜樹脂からなる固形分の濃度は1〜50重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
上記コーティング組成物のプラスチック基材への塗布はバーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等の方法を、塗装される基材の形状に応じて適宜選択することができる。かかるコーティング組成物が塗布された基材は、通常常温から該基材の熱変形温度以下の温度下で溶媒の乾燥、除去が行われ、加熱硬化する。かかる熱硬化は基材の耐熱性に問題がない範囲で高い温度で行う方がより早く硬化を完了することができ好ましい。なお、常温では、熱硬化が完全には進行せず、第1層に求められる十分な架橋密度を持ったコート層にならない。かかる熱硬化の過程で、熱硬化型アクリル樹脂組成物中の架橋性基が反応してコート層の架橋密度が上がり、密着性、耐熱水性、高温環境下での耐久性に優れたコート層となる。熱硬化は好ましくは80〜160℃の範囲、より好ましくは100〜140℃の範囲、最も好ましくは110〜130℃の範囲で、好ましくは10分間〜3時間、より好ましくは20分間〜2時間、最も好ましくは30分間から1時間30分間加熱して架橋性基を架橋させ、第1層として上記塗膜樹脂を積層したポリカーボネート基材が得られる。熱硬化時間が10分以下では架橋反応が十分に進行せず、高温環境下での耐久性、耐候性に乏しい塗膜層になることがある。また、塗膜の性能上熱硬化時間は3時間以内で十分である。
第1層に用いるコーティング組成物には必要に応じ硬化触媒、光安定剤、シランカップリング剤を添加することができる。
硬化触媒としては、ジ−n−ブチル錫ジラウレート、ジ−n−ブチル錫アセテート、ジ−n−ブチル錫ジオクタノエート、ジ−n−ブチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレエート)、ジメチルヒドロキシ錫オレエート、ジメチル錫ジネオデカノエート、ジ−n−オクチル錫ジラウレート、ジ−n−オクチル錫ジマレエート、n−ブチル錫トリス(2−エチルヘキサノエート)等の有機錫化合物、ジメチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン等の第三級アミン類等が挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、アクリル共重合体100重量部に対して好ましくは0.001〜3.0重量部、より好ましくは0.002〜2.0重量部用いられる。硬化触媒が0.001重量部未満であると架橋反応を促進する作用が得られず、3.0重量部を超えると、該アクリル樹脂層と第二層との密着性が低下し好ましくない。
光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p′−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類、ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体が挙げられる。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、アクリル共重合体100重量部に対して好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.05〜10重量部用いられる。
シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられ、また上記シランカップリング剤の部分加水分解縮合物も使用できる。かかる剤を添加することにより、ポリカーボネート基材と第一層および第一層と第二層の密着力が長期にわたり持続される。これらの剤は単独もしくは2種以上を併用してもよく、アクリル共重合体100重量部に対して好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは0.2〜10重量部用いられる。
前記アクリル樹脂を主とする塗膜樹脂からなる第1層を形成することにより、第2層とポリカーボネート基材との密着性が良好となり、耐摩耗性および耐候性に優れたポリカーボネート成形体を得ることができる。
本発明において、上記第1層の上に次いで積層される第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなる。
該架橋したオルガノシロキサン重合体は、前記式(b−4)〜(b−6)
(式中、Q、Qは、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。)
で表される繰り返し単位からなり、
各繰り返し単位のモル比{(b−4)/(b−5)/(b−6)}が、80〜100/0〜20/0〜20である架橋したオルガノシロキサン重合体である。
、Qのアルキル基として、メチル基、エチル基等が挙げられる。
モル比{(b−4)/(b−5)/(b−6)}は、好ましくは、85〜100/0〜15/0〜15、さらに好ましくは、85〜100/0〜10/0〜10である。
第2層は、下記成分(a)〜(d)を含有するオルガノシロキサン樹脂組成物を第1層上に積層した後、硬化することにより形成することができる。
成分(a)として用いられるコロイダルシリカは、直径5〜200nm、好ましくは5〜40nmのシリカ微粒子が水または有機溶媒中にコロイド状に分散されたものである。該コロイダルシリカは、水分散型および有機溶媒分散型のどちらでも使用できるが、水分散型のものを用いるのが好ましい。水分散型のコロイダルシリカの場合、シリカ微粒子の表面に多数の水酸基が存在し、これがアルコキシシラン加水分解縮合物と強固に結合するため、より耐摩耗性に優れたプラスチック積層体が得られるものと考えられる。
また、水分散型コロイダルシリカはさらに酸性水溶液分散型と塩基性水溶液分散型に分かれる。該水分散型コロイダルシリカは酸性水溶液分散型と塩基性水溶液分散型のどちらでも使用できるが硬化触媒選択の多様性、メチルトリアルコキシシランの適切な加水分解、縮合状態の実現の観点から酸性水溶液分散型コロイダルシリカが好ましく使用される。
かかるコロイダルシリカとして、具体的には、酸性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックスO、触媒化成工業(株)のカタロイドSN、塩基性水溶液中で分散させた商品として日産化学工業(株)のスノーテックス30、スノーテックス40、触媒化成工業(株)のカタロイドS30、カタロイドS40、有機溶剤に分散させた商品として日産化学工業(株)のMA−ST、IPA−ST、NBA−ST、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、NPC−ST、DMAC−ST、触媒化成工業(株)のOSCAL1132、OSCAL1232、OSCAL1332、OSCAL1432、OSCAL1532、OSCAL1632、OSCAL1732等が挙げられる。
成分(b)は、下記式(b−1)〜(b−3)
Si(OQ (b−1)
Si(OQ (b−2)
Si(OQ (b−3)
(式中、Q、Qは、炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基であり、Qは炭素数1〜4のアルキル基である。)
で表されるアルコキシシランから形成され、各成分の割合、(b−1)/(b−2)/(b−3)が、80〜100/0〜20/0〜20である、アルコキシシランの加水分解物および/またはそれらの縮合物である。
、Q、Qのアルキル基の具体例として、メチル基、エチル基等が挙げられる。
式(b−1)のアルコキシシランとして、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
式(b−2)のアルコキシシランとして、ジメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
式(b−3)のアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン等が挙げられる。
各成分の割合{(b−1)/(b−2)/(b−3)}は、好ましくは、85〜100/0〜15/0〜15、さらに好ましくは、85〜95/5〜15/5〜15である。
樹脂組成物中の、成分(a)由来のSiと成分(b)由来のSiとのモル比(Si/Si)は2/8〜4/6であり、好ましくは2.5/7.5〜3.5/6.5である。
成分(c)としてさらに硬化触媒を含有する。かかる触媒としては、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、酒石酸、コハク酸等の脂肪族カルボン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、ベンジルトリメチルアンモニウム塩、コリン塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩が挙げられる。具体的には酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸コリン、酢酸ベンジルトリメチルアンモニウムが好ましく使用される。
コロイダルシリカとして塩基性水分散型コロイダルシリカを使用し、アルコキシシランの加水分解の際に酸として脂肪族カルボン酸を使用した場合には、該オルガノシロキサン樹脂組成物中に既に硬化触媒が含有されていることになる。
必要含有量はオルガノシロキサン樹脂の組成、加水分解、縮合反応の進行度、熱硬化条件により変化するが、成分(a)および成分(b)の合計100重量部に対して、硬化触媒の含有量は0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部である。含有量が0.01重量部より少ないと十分な硬化速度が得られず、10重量部より多いとオルガノシロキサン樹脂組成物の保存安定性が低下したり、沈殿物を生じたりして好ましくない。
成分(d)として用いられる溶媒としては成分(a)および成分(b)が安定に溶解することが必要であり、そのためには少なくとも20重量%以上、好ましくは50重量%以上がアルコールであることが望ましい。
かかるアルコールとしては例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−エトキシエタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−ブトキシエタノール等が挙げられ、炭素数1〜4の低沸点アルコールが好ましく、溶解性、安定性及び塗工性の点で2−プロパノールが特に好ましい。該溶媒中には水分散型コロイダルシリカ中の水で該加水分解反応に関与しない水分、アルコキシシランの加水分解に伴って発生する低級アルコール、有機溶媒分散型のコロイダルシリカを使用した場合にはその分散媒の有機溶媒、オルガノシロキサン樹脂組成物のpH調節のために添加される酸も含まれる。
pH調節のために使用される酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられ、pHのコントロールの容易さの観点からギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸等の有機カルボン酸が好ましい。
その他の溶媒としては水/アルコールと混和することが必要であり、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸エトキシエチル等のエステル類が挙げられる。溶媒はオルガノシロキサン樹脂固形分100重量部に対して50〜900重量部、好ましくは150〜700重量部である。
本発明のオルガノシロキサン樹脂組成物は、酸及び硬化触媒の含有量を調節することによりpHを3.0〜6.0、好ましくは4.0〜5.5に調製することが望ましい。これにより、常温でのオルガノシロキサン樹脂組成物のゲル化を防止し、保存安定性を増すことができる。該オルガノシロキサン樹脂組成物は、通常数時間から数日間更に熟成させることにより安定な組成物になる。
さらに、本発明のオルガノシロキサン樹脂組成物には塗工性並びに得られる塗膜の平滑性を向上する目的で公知のレベリング剤を配合することができる。配合量はオルガノシロキサン樹脂組成物100部に対して0.01〜2重量部の範囲が好ましい。また、本発明の目的を損なわない範囲で紫外線吸収剤、染料、顔料、フィラーなどを添加してもよい。
このようにして調製されたオルガノシロキサン樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂上にプライマー層としてアクリル樹脂層を形成した成形体に好ましく塗布できる。
オルガノシロキサン樹脂組成物は、例えば以下のプロセスを経て調製される。
コロイダルシリカ分散液中で、式(b−1)、(b−2)、(b−3)のアルコキシシランを酸性条件下、加水分解縮合反応させる。
ここで、アルコキシシランの加水分解反応に必要な水は水分散型のコロイダルシリカ分散液を使用した場合はこの分散液から供給され、必要であればさらに水を加えてもよい。アルコキシシラン1当量に対して通常1〜10当量、好ましくは1.5〜7当量、さらに好ましくは3〜5当量の水が用いられる。
前述のようにアルコキシシランの加水分解縮合反応は、酸性条件下で行う必要がある。かかる条件で加水分解を行なうために一般的には加水分解剤として酸が使用される。かかる酸は、予めアルコキシシランまたはコロイダルシリカ分散液に添加するか、両者を混合後に添加してもよい。また、該添加は1回或いは2回以上に分けることもできる。また酸性水溶液分散型コロイダルシリカを用いる場合、コロイダルシリカ中の酸が反応液を酸性条件下に保つので酸の使用は必ずしも必要ない。
かかる酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、亜硝酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸が挙げられる。
かかる酸として無機酸を使用する場合は通常0.0001〜2mol/l、好ましくは0.001〜0.1mol/lの濃度で使用し、有機酸を使用する場合はメチルトリアルコキシシラン100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは1〜30重量部の範囲で使用される。
アルコキシシランの加水分解、縮合反応の条件は使用するアルコキシシランの種類、系中に共存するコロイダルシリカの種類、量によって変化するので一概には云えないが、通常、系の温度が20〜40℃、反応時間が1時間〜数日間である。アルコキシシランの加水分解反応は発熱反応だが、系の温度は最高でも60℃を超えないことが望ましい。このような条件で十分に加水分解反応を進行させた上で、コート剤の安定化のため40〜80℃で1時間〜数日間縮合反応を進行させることも好ましく行われる。
この反応で前記式(b−1)、(b−2)、(b−3)のアルコキシシランは加水分解されて下記式
Si(OH)
Si(OH)
Si(OH)
(式中、Q、Qは、式(b−1)〜(b−3)と同じである)
で表わされる加水分解物となり、生成したSi−OHはコロイダルシリカ中のSi−OHや、この分子とは別のトリアルコキシシラン加水分解物分子のSi−OHと縮合反応を起こしてSi−O−Si結合を形成し、生成した縮合物もまた別のSi−OHと縮合反応を起こしてSi−O−Si結合を形成する。この加水分解反応及び縮合反応は完全ではなく部分的に進行する。
反応液をシリコン核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)測定すると、オルガノシロキサン樹脂組成物のケミカルシフトが、テトラメチルシランのシリコン原子を0ppmとして、トリアルコキシシラン2量体縮合物のシリコン原子ピークで−46.5ppmから−48.5ppmに、シリコーンオリゴマーで末端のトリアルコキシシラン由来でかつ、一つの水酸基だけが縮合反応したシリコン原子団に基づくピークが−52.5ppmから−61.0ppmに、シリコーンオリゴマーで、トリアルコキシシラン由来でかつ、2つの水酸基が縮合反応したシリコン原子団に基づくピークが−61.0ppmから−70.0ppmに、シリコーンオリゴマーで、トリアルコキシシラン由来でかつ、3つの水酸基が縮合反応したシリコン原子団に基づくピークおよび、コロイダルシリカに結合したシリコン原子団に基づくピークが−95ppmから−130ppmになる。また、テトラアルコキシシランおよびジアルコキシシランのシリコン原子に基づくピークは前述の領域以外にピークが現れる。
オルガノシロキサン樹脂組成物には好ましい加水分解、縮合割合が存在し、加水分解反応の進行が不十分だと熱硬化時に原料トリアルコキシシランの蒸散、急激な硬化反応の進行等の原因でヘアークラックが発生する場合がある。また、縮合反応が進行しすぎるとゾル中の粒子径が大きくなりすぎ、適切な架橋反応が不可能になるため耐摩耗性が低下する場合がある。
オルガノシロキサン樹脂組成物は、測定溶媒として重水(DO)を用い、観測周波数79MH、観測パルス6.0μs、繰り返し時間30秒、ブロードニングファクター5Hの条件でシリコン核磁気共鳴スペクトル(29Si−NMR)測定した時、オルガノシロキサン樹脂組成物のシリコン原子のケミカルシフトが、テトラメチルシランのシリコン原子を0ppmとして、−46.5ppmから−70.0ppmの範囲のすべてのピークの積分値を[S]、該ピーク積分値中で−46.5ppmから−48.5ppmの範囲のピーク積分値[X]、−52.5ppmから−61.0ppmの範囲のピーク積分値を[Y]、−61.0ppmから−70.0ppmの範囲のピーク値を[Z]と表したとき、0.002≦[X]/[S]≦0.2であり、かつ0.6≦[Y]/[Z]≦3であることが好ましい。かかるオルガノシロキサン樹脂組成物は、熱硬化時にクラック発生なく、十分な耐摩耗性を有する。
各積分値の範囲は好ましくは0.003≦[X]/[S]≦0.150であり、かつ0.75≦[Y]/[Z]≦2.25、最も好ましくは0.003≦[X]/[S]≦0.150であり、かつ0.75≦[Y]/[Z]≦2.00である。
なお、オルガノシロキサン樹脂組成物にコロイダルシリカを用いないときには、本発明のシリコン核磁気共鳴スペクトルの範囲にあっても耐擦傷性等が不足する場合がある。
本発明において、成分(a)、成分(b)の混合割合はオルガノシロキサン樹脂組成物の安定性、得られる硬化膜の透明性、耐摩耗性、耐擦傷性、密着性及びクラック発生の有無等の点から決められ、成分(a)および成分(b)の合計を100重量%としたとき、この2成分の好ましい混合割合は成分(a)が10〜60重量%、成分(b)がQ SiO(4−m−n)/2に換算して40〜90重量%、好ましくは成分(a)が10〜40重量%、成分(b)がQ SiO(4−m−n)/2に換算して60〜90重量%である。
オルガノシロキサン樹脂組成物は、酸及び硬化触媒の含有量を調節することによりpHを3.0〜6.0、好ましくは4.0〜5.5に調製することが望ましい。これにより、常温でのオルガノシロキサン樹脂組成物のゲル化を防止し、保存安定性を増すことができる。該オルガノシロキサン樹脂組成物は、通常数時間から数日間更に熟成させることにより安定な組成物になる。
また、オルガノシロキサン樹脂組成物には塗工性並びに得られる塗膜の平滑性を向上する目的で公知のレベリング剤を配合することができる。配合量はオルガノシロキサン樹脂組成物100部に対して0.01〜2重量部の範囲が好ましい。また、本発明の目的を損なわない範囲で紫外線吸収剤、染料、顔料、フィラーなどを添加してもよい。
かくして得られる本発明の表面を保護されたポリカーボネート樹脂積層体は、アニール処理等により吸熱ピークを有するポリカーボネート樹脂基材上に熱硬化型アクリル樹脂層を主とする第1層並びにコロイダルシリカ、トリアルコキシシラン加水分解縮合物からなるオルガノポリシロキサン樹脂を熱硬化してなる第2層を有することにより、従来にない高いレベルの耐候性、耐摩耗性を持ち、高温環境下で十分な耐久性を持つ成形体となる。
かかるポリカーボネート樹脂成形体は、航空機、車輛、自動車等の窓ガラス、建設機械の窓ガラス、ビル、家、温室などの窓ガラス、ガレージ、アーケードの屋根、前照灯レンズ、光学用のレンズ、ミラー、眼鏡、ゴーグル、遮音壁、信号機灯のレンズ、カーブミラー、バイクの風防、銘板、その他各種シート、フィルム等に好適に使用することができる。
また、本発明で得られるポリカーボネート成形体は、Calibrase社製CS−10F摩耗輪を使用し、荷重500g下1000回転のテーバー摩耗試験(ASTM D1044)を行い、その試験前後のヘーズ値の変化が6%以下が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂積層体は、外観、耐熱水性、密着性、耐摩耗性が良好で、高いレベルの耐候性を有し、環境の変化や高温環境に対する耐久性に優れ、航空機、車輛、自動車等の窓ガラス、建設機械の窓ガラス等に好適に使用され、その奏する工業的効果は格別である。
以下、実施例により本発明を詳述するが本発明はもとよりこれに限定されるものではない。なお、得られたポリカーボネート成形体は以下の方法によって評価した。また、実施例中の部および%は重量部および重量%を意味する。
(1)外観評価:目視にて試験片のコート層外観(異物の有無)、ひび割れ(クラック)の有無を確認した。
(2)密着性:コート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ”)を圧着し、垂直に強く引き剥がして基材上に残った碁盤目の数で評価した(JIS K5400に準拠)。
(3)耐擦傷性:試験片を#0000のスチールウールで擦った後、表面の傷つきの状態を目視により5段階で評価した。
1:500g荷重で10回擦っても全く傷つかない
2:500g荷重で10回擦ると僅かに傷つく
3:500g荷重で10回擦ると少し傷つく
4:500g荷重で10回擦ると傷つく
5:100g荷重で10回擦ると傷つく
(4)耐摩耗性:Calibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズとテーバー摩耗試験前のヘーズとの差△Hを測定して評価した(ASTM D1044に準拠)。
(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
(5)耐熱水性:試験片を沸騰水中に3時間、及び8時間浸漬した後のコート層の外観変化、密着性を評価した。
(6)環境サイクルテスト:試験片を80℃で80%RH環境下に4時間、25℃で50%RH環境下に1時間、−15℃環境下に4時間、25℃で50%RH環境下に1時間放置するサイクルを1サイクルとし、このようなサイクルを20回繰り返した後で試験片を取り出して外観、密着性を評価した。
(7)吸熱エネルギー △HK (mJ/mg)
ポリカーボネート樹脂成形板10mgをセイコー電子工業(株)製熱分析システム(示差走査熱量計)SSC5200、DSC220にセットし、窒素気流中で20℃/分の昇温速度で加熱し、フイルムの吸熱エネルギーに対応するDSCチャート上の吸熱側面積から求めた。この面積は昇温することによりベースラインから吸熱側にずれ、さらに昇温を続けて吸熱ピークを経た後、ベースライン位置まで戻るまでの吸熱側の面積であり、吸熱開始温度位置から終了温度位置までを直線で結び、面積(A)を求めた。同じDSCの測定条件でIn(インジウム)を測定し、この面積(B)を28.5mJ/mgとして、次の式より求めた。
(A/B)×28.5=△HK (mJ/mg)
(アクリル樹脂(I)〜(VI)の合成)
[参考例1]
還流冷却器及び撹拌装置を備え、窒素置換したフラスコ中にメチルメタクリレート(以下MMAと略称する)80.1部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下HEMAと略称する)13部、アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略称する)0.14部及び1,2−ジメトキシエタン200部を添加混合し、溶解させた。次いで、窒素気流中70℃で6時間攪拌下に反応させた。得られた反応液をn−ヘキサンに添加して再沈精製し、MMA/HEMAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(I))80部を得た。該コポリマーの水酸基価は54.3mgKOH/g、重量平均分子量はGPCの測定(カラム;Shodex GPCA−804、溶離液;THF)からポリスチレン換算で180000であった。
[参考例2]
MMA80.1部、HEMA26部、AIBN0.18部を用いる以外は参考例1と同様にしてMMA/HEMAの組成比80/20(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(II))90部を得た。該コポリマーの水酸基価は101.8mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
[参考例3]
エチルメタクリレート(以下EMAと略称する)102.7部、HEMA13部、AIBN0.18部を用いる以外は参考例1と同様にしてEMA/HEMAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(III))100部を得た。該コポリマーの水酸基価は46.7mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
[参考例4]
EMA97部、HEMA19.5部、AIBN0.18部を用いる以外は参考例1と同様にしてEMA/HEMAの組成比85/15(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(IV))100部を得た。該コポリマーの水酸基価は72.1mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
[参考例5]
MMA95.1部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(以下MPTMSと略称する)12.4部、AIBN0.2部を用いる以外は参考例1と同様にしてMMA/MPTMSの組成比95/5(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(V))85部を得た。該コポリマーの重量平均分子量はポリスチレン換算で80000であった。
[参考例6]
MMA55部、HEMA58.5部、AIBN0.18部を用いる以外は参考例1と同様にしてMMA/HEMAの組成比55/45(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(VI))90部を得た。該コポリマーの水酸基価は221.8mgKOH/g、重量平均分子量はポリスチレン換算で100000であった。
[参考例7]
MMA90部、メタクリル酸8.6部(以下MAと省略する)、AIBN0.18部を用いる以外は参考例1と同様にしてMMA/MAの組成比90/10(モル比)のコポリマー(アクリル樹脂(VII))90部を得た。該コポリマーの、重量平均分子量はポリスチレン換算で100000であった。
(オルガノシロキサン樹脂溶液の調製)
[参考例8]
メチルトリメトキシシラン142部、蒸留水72部、酢酸20部を氷水で冷却下混合した。この混合液を25℃で1時間攪拌し、イソプロパノール116部で希釈してメチルトリメトキシシラン加水分解縮合物溶液(X)350部を得た。
[実施例1]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(I)8.9部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2.5部をメチルエチルケトン20部、メチルイソブチルケトン30部および2−プロパノール30部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に前記アクリル樹脂(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.5当量となるようにヘキサメチレンジイソシアネート1.1部を添加して25℃で5分間攪拌しコーティング用組成物(i−1)を調製した。
(第2層用組成物)水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%)100部に蒸留水2部、酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン130部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒として酢酸ナトリウム2部を氷水冷却下で混合し、イソプロパノール200部で希釈してコーティング用組成物(ii−1)を得た。
熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂(帝人化成製L−1225)を使用した。金型のキャビティ内に熱可塑性樹脂を樹脂温度285℃、金型温度60℃、射出圧力(ゲージ圧)160MPa条件で射出注入し、縦300mm×横300mm×厚さ4mmサイズの成形板を得た。この成形板を130℃まで2時間かけて昇温し、8時間保持後24時間かけて25℃に降温するアニール処理(熱処理)を実施した。該成形板の吸熱ピーク値を表3に示した。該成形板上に、コーティング用組成物(i−1)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)をディップコート法(バーコート法)で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
なお、コーティング用組成物(i−1)は23℃保管で調製2週間後には固化してしまい、コーティングに使用できなくなった。
[実施例2]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(II)8.3部および2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン2部をメチルエチルケトン30部、メチルイソブチルケトン30部および2−メチル−2−プロパノール30部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(II)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1当量となるようにイソホロンジイソシアネート1.7部を添加して25℃で5分間攪拌し、コーティング用組成物(i−2)を調製した。
(第2層用組成物)水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%)100部に酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン122部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒として酢酸カリウム1部を氷水冷却下で混合し、イソプロパノール408部で希釈してコーティング用組成物(ii−2)を得た。
実施例1と同様の方法で得られたPC樹脂成形板を130℃まで2時間かけて昇温し8時間保持後、24時間かけて25℃まで降温するアニール処理を実施し、該成形板にコーティング用組成物(i−2)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は 1.5μmだった。次いで、該成形板のの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−3)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱硬化させた。第2層の膜厚は5.0μmだった。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
なお、コーティング用組成物(i−2)は23℃保管で調製2ケ月後には固化してしまい、コーティングに使用できなくなった。
[実施例3]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(I)7.5部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール2部をメチルエチルケトン20部、メチルイソブチルケトン30部および2−プロパノール30部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に参考例7で得られたメチルトリメトキシシラン加水分解縮合物溶液(X)12.5部を添加して25℃で5分間攪拌しコーティング用組成物(i−3)を調製した。
実施例1と同様の方法で得られたPC樹脂成形板を130℃まで2時間かけて昇温し8時間保持後、24時間かけて25℃まで降温するアニール処理を実施した。該成形板上に、コーティング用組成物(i−3)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第2層の膜厚は5.0μmだった。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
[実施例4]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(III)7.7部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1.5部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、イソプロパノール24部、および1−メトキシ−2−プロパノール3.2部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(I)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1当量となるようにVESTANATB1358/100(デグサジャパン製ポリイソシアネート化合物前駆体)2.3部、ジ−n−ブチル錫ジラウレート0.001部を添加し、25℃で5分間攪拌してコーティング用組成物(i−4)を調製した。
(第2層用組成物)水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%)60部に蒸留水28部、酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン130部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒として酢酸ベンジルトリメチルアンモニウム4部を氷水冷却下で混合し、イソプロパノール172部で希釈してコーティング用組成物(ii−3)を調製した。
実施例1と同様の方法で得られたPC樹脂成形板を120℃まで2時間かけて昇温し24時間保持後、24時間かけて25℃まで降温するアニール処理を実施し、該成形板にコーティング用組成物(i−4)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。次いで、該成形板のの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−3)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱硬化させた。第2層の膜厚は4.0μmだった。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
なお、コーティング用組成物(i−4)は23℃保管で調製3ケ月後も、問題なくコーティングに使用できた。
[実施例5]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(IV)5.8部および2−(4,6ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール2.5部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、および2−メチル−2−プロパノール25部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(IV)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1.2当量となるようにタケネートXB−72−H6(三井武田ケミカル製ポリイソシアネート化合物前駆体)4.0部、APZ−6633(日本ユニカー製シランカップリング剤)0.1部を添加し、25℃で5分間攪拌してコーティング用組成物(i−5)を調製した。
(第2層用組成物)水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%)100部に蒸留水12部、酢酸20部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン134部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒として酢酸ナトリウム1部を加えイソプロパノール200部で希釈してコーティング用組成物(ii−4)を調製した。
実施例1と同様の方法で得られたPC樹脂成形板を130℃まで2時間かけて昇温し12時間保持後、24時間かけて25℃まで降温するアニール処理を実施した。該成形板上に、コーティング用組成物(i−5)をフローコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃1時間熱硬化させた。次いで、該シートの被膜表面上にコーティング用組成物(ii−4)をフローコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱硬化させた。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
なお、コーティング用組成物(i−5)は23℃保管で調製3ケ月後も、問題なくコーティングに使用できた。
[実施例6]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(III)6.4部および2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン1.8部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、および2−メチル−2−プロパノール25部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(III)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が0.9当量となるようにデュラネートMF20−B(旭化成製ポリイソシアネート化合物前駆体)3.6部を添加し、25℃で5分間攪拌してコーティング用組成物(i−6)を調製した。
実施例1と同様の方法で得られたPC樹脂成形板を110℃まで2時間かけて昇温し24時間保持後、12時間かけて25℃まで降温するアニール処理を実施した。該成形板上に、コーティング用組成物(i−6)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。次いで、該成形板の被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱硬化させた。第2層の膜厚は6.0μmだった。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
なお、コーティング用組成物(i−6)は23℃保管で調製3ケ月後も、問題なくコーティングに使用できた。
[実施例7]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(II)5.4部および2−(2′−ヒドロキシー5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1.6部をメチルエチルケトン40部、メチルイソブチルケトン20部、および2−メチル−2−プロパノール25部からなる混合溶媒に溶解し、次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(II)のヒドロキシ基1当量に対してイソシアネート基が1当量となるようにタケネートXB−72−H6(三井武田ケミカル製ポリイソシアネート化合物前駆体)4.6部を添加し、25℃で5分間攪拌してコーティング用組成物(i−7)を調製した。
(第2層用組成物)水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成(株)製 カタロイドSN30 固形分濃度30重量%)100部に蒸留水2部を加えて攪拌し、この分散液に氷水浴で冷却下メチルトリメトキシシラン130部を加えた。この混合液を25℃で1時間攪拌して得られた反応液に、硬化触媒として酢酸ナトリウム2部を氷水冷却下で混合し、イソプロパノール200部で希釈してコーティング用組成物(ii−5)を得た。
実施例1と同様の方法で得られたPC樹脂成形板を130℃まで2時間かけて昇温し6時間保持後、12時間かけて25℃まで降温するアニール処理を実施した。該成形板上に、コーティング用組成物(i−7)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、130℃1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。次いで、該成形板の被膜表面上にコーティング用組成物(ii−5)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で2時間熱硬化させた。第2層の膜厚は4.0μmだった。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
なお、コーティング用組成物(i−7)は23℃保管で調製3ケ月後も、問題なくコーティングに使用できた。
[比較例1]
実施例1と同様の方法で得られたPC樹脂成形板を、アニール処理せずにそのままコーティング用組成物(i−1)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。次いで、該成形板の被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第2層の膜厚は3.5μmだった。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
[比較例2]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(V)10部および2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1.5部をメチルエチルケトン20部、メチルイソブチルケトン30部および2−プロパノール30部からなる混合溶媒に溶解し、コーティング用組成物(i−8)を調製した。
実施例1と同様の方法で得られたPC樹脂成形板を130℃まで2時間かけて昇温し8時間保持後、24時間かけて25℃まで降温するアニール処理を実施した。該成形板上に、コーティング用組成物(i−8)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。次いで、該成形板の被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第2層の膜厚は5.0μmだった。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
[比較例3]
(第1層用組成物)前記アクリル樹脂(VII)7.5部および2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール1.5部をメチルエチルケトン20部、メチルイソブチルケトン30部、2−プロパノール20部および1−メトキシ−2−プロパノール10部からなる混合溶媒に溶解し、さらにこの溶液に次いでこの溶液に前記アクリル樹脂(VII)のカルボン酸基1当量に対してエポキシ基が1.1当量となるようにイソシアヌル酸トリプロピレンオキシド0.83部を添加して25℃で5分間攪拌し、コーティング用組成物(i−9)を調製した。
実施例1と同様の方法で得られたPC樹脂成形板を130℃まで2時間かけて昇温し8時間保持後、24時間かけて25℃まで降温するアニール処理を実施した。該成形板上に、コーティング用組成物(i−9)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第1層の膜厚は4.0μmだった。次いで、該成形板の被膜表面上にコーティング用組成物(ii−1)をディップコート法で塗布し、25℃で20分間静置後、120℃で1時間熱硬化させた。第2層の膜厚は5.0μmだった。得られたPC樹脂成形体の評価結果を表3に示した。
Figure 2005161600
Figure 2005161600
なお、表1および表2中において、
(1)DBTDL;ジ−n−ブチル錫ジラウレート
(2)APZ−6633;シランカップリング剤(日本ユニカー製)
(3)MTMOS;メチルトリメトキシシラン
(4)TEOS:テトラエトキシシラン
(5)S−30;水分散型コロイダルシリカ分散液(日産化学工業(株)製 スノーテックス30 固形分濃度30重量%、平均粒子径20nm)
(6)SN30;水分散型コロイダルシリカ分散液(触媒化成(株)製 カタロイドSN30 固形分濃度30重量%、平均粒子径10nm)
を表し、トリアルコキシシランの重量部はRSiO3/2に換算した値を示し、テトラアルコキシシランの重量部はSiO2に換算した値を示す。
また、紫外線吸収剤の種類としては、
(a)UV−1;2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール
(b)UV−2;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
(c)UV−3;2−(4,6ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール
を示す。
Figure 2005161600
7

Claims (4)

  1. ポリカーボネート基材、第1層および第2層からなり、ポリカーボネート基材の表面に第1層が形成され、第1層の表面に第2層が形成されてなる積層体であって、該ポリカーボネート基材は120〜150℃の温度範囲内に吸熱ピークを示し、該吸熱ピークが0.1mJ/mg以上であり、第1層は、熱硬化型アクリル樹脂組成物硬化層であり、第2層は、架橋したオルガノシロキサン重合体からなり、該熱硬化型アクリル樹脂組成物硬化層は、50モル%以上の下記式(A−1)
    Figure 2005161600
    (式中Rはメチル基またはエチル基である。)で表される繰り返し単位、
    5〜30モル%の下記式(A−2)
    Figure 2005161600
    (式中Rは炭素数2〜5のアルキレン基である。)で表される繰り返し単位、および
    0〜30モル%の下記式(A−3)
    Figure 2005161600
    (但し、式中Yは水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子、炭素数2〜5のアルキル基、紫外線吸収残基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基である。但し、Yがメチル基であり、かつRがメチル基またはエチル基である場合を除く。)
    で表される繰り返し単位からなるアクリル共重合体を、ポリイソシアネート化合物またはシロキサン樹脂を架橋剤として硬化させた硬化層であり、また、該架橋したオルガノシロキサン重合体は、下記式(b−4)〜(b−6)
    Figure 2005161600
    Figure 2005161600
    Figure 2005161600
    (式中、Q、Qは、それぞれ炭素数1〜4のアルキル基、ビニル基、またはメタクリロキシ基、アミノ基、グリシドキシ基および3,4−エポキシシクロヘキシル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基で置換された炭素数1〜3のアルキル基である。)
    で表される繰り返し単位からなり、各繰り返し単位のモル比{(b−4)/(b−5)/(b−6)}が、80〜100/0〜20/0〜20である架橋したオルガノシロキサン重合体であることを特徴とするポリカーボネート樹脂積層体。
  2. 前記架橋剤としてポリイソシアネート化合物を用い、その使用量は式(A−2)で表される繰り返し単位の水酸基1当量に対して生成及び/又は存在するイソシアネート基の総量が0.7〜5当量である請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  3. 前記熱硬化型アクリル樹脂組成物硬化層がアクリル共重合体100重量部に対して5〜50重量部の紫外線吸収剤を含む請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
  4. ポリカーボネート基材の厚みが1〜10mm、第1層の厚みが2〜15μm、第2層の厚みが2〜10μmである請求項1記載のポリカーボネート樹脂積層体。
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