JP2005143048A - 高周波電力増幅器モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】 特に低パワー時において電力付加効率を向上させることが可能な高周波電力増幅器モジュールを提供する。
【解決手段】 信号出力端子Poutに対して並列に接続され、QN31>QN32>QN33の素子サイズを持つMOSトランジスタQN31,QN32,QN33と、前記MOSトランジスタQN31,QN32,QN33のそれぞれのバイアス電圧Vg31,Vg32,Vg33を、Vg31<Vg32<Vg33となるように印加するバイアス回路1cとを設ける。
【選択図】 図3
【解決手段】 信号出力端子Poutに対して並列に接続され、QN31>QN32>QN33の素子サイズを持つMOSトランジスタQN31,QN32,QN33と、前記MOSトランジスタQN31,QN32,QN33のそれぞれのバイアス電圧Vg31,Vg32,Vg33を、Vg31<Vg32<Vg33となるように印加するバイアス回路1cとを設ける。
【選択図】 図3
Description
本発明は、高周波電力増幅器モジュールに関し、特に、移動体通信装置に搭載され、低パワー時において高い電力付加効率を必要とする高周波電力増幅器モジュールに適用して有効な技術に関するものである。
近年、様々な通信方式に代表される移動体通信装置(いわゆる携帯電話機)が世界的に普及している。この通信方式としては、例えば、欧州でのGSM(Global System for Mobile Communications)方式、日本でのPDC(Personal Digital Cellular)方式、北米でのCDMA(Code Division Multiple Access)方式などが挙げられる。
また、次世代の通信方式として、例えば、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)方式や、W(Wideband)−CDMA方式、cdma2000方式といったものが提案されている。
このような携帯電話機は、バッテリによって駆動され、主に、ベースバンドの処理を行う部分と無線処理を行う部分から構成される。送信時において、この無線処理を行う部分では、信号の変調や、変調された信号の増幅などが行われる。そして、信号を増幅する際には、高周波電力増幅器モジュールが用いられ、その出力電力は、通信干渉を防止する目的などから基地局からの距離やビル陰等の通信環境に応じて変更される。
高周波電力増幅器モジュールは、例えば、MOSトランジスタやGaAsトランジスタ等を順に接続した多段構成のトランジスタと、その多段構成のトランジスタにバイアスを印加するバイアス回路などを備えている。このバイアス回路には、例えば、通信環境を表す信号が入力され、それに応じてバイアスを調整することで出力電力(送信電力)の調整が行われる。
ところで、前記背景技術で述べたような多段構成のトランジスタからなる高周波電力増幅器モジュールは、携帯電話機の中でも特に電力を消費する部分であり、バッテリの負担や発熱による悪影響などの観点から、電力付加効率を高めることが要求される。電力付加効率とは、出力電力(以下、パワーと称す)に対する消費電力の比であり、電源から消費した電力をいかに効率よくパワーに変換したかを示すものである。
このような中、前記多段構成のトランジスタは、MOSトランジスタを例とすると、通常、最大パワー発生時に高い電力付加効率が得られるように各段毎のトランジスタのゲート幅およびバイアスが調整される。ゲート幅については、通常、最終段に向かう程大きくしていく。また、全ての段のバイアスは、前述したように通信環境に応じて全体的に変動する。
ここで、ゲート幅とバイアスが最も大きくなる最終段のトランジスタに着目すると、例えば、通信環境によって低いパワーが要求された場合(低パワー時)、バイアスを下げることで、消費電流(消費電力)をある程度低減することは可能である。しかしながら、ゲート幅が大きいために、十分なレベルにまで低減することは困難となっている。これによって、とりわけ低パワー時において、電力付加効率の低下が問題となっている。
そこで、本発明の目的は、特に低パワー時において電力付加効率を向上させることが可能な高周波電力増幅器モジュールを提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明による高周波電力増幅器モジュールは、信号出力端子に対して並列に接続され、それぞれ異なる素子サイズを備えた複数の半導体増幅素子によって電力増幅を行う手段と、それぞれ異なる大きさの複数のバイアス電圧または複数のバイアス電流を、それぞれ、前記複数の半導体増幅素子に対して印加するバイアス手段とを有するものである。これによって、出力電力に見合った素子サイズを備えた半導体増幅素子を、それに応じたバイアスで駆動させることができ、電力付加効率を向上させることが可能になる。
ここで、前記バイアス手段は、例えば、前記電力増幅を行う手段に設定する出力電力が小さい場合には、前記素子サイズが小さい半導体増幅素子のみを駆動させるように前記複数のバイアス電圧または前記複数のバイアス電流を印加し、前記電力増幅を行う手段に設定する出力電力がより大きくなる程、前記素子サイズが小さい半導体増幅素子に加えてそれよりも素子サイズが大きい半導体増幅素子を駆動させるように前記複数のバイアス電圧または前記複数のバイアス電流を印加するものである。
これによって、出力電力の大きさに応じて駆動する半導体増幅素子の素子サイズを可変にすることができる。また、バイアスの大きさによって出力電力を制御する際に、そのバイアス回路の機能としては、設定する出力電力に対して各半導体増幅素子に印加するバイアスを追従させるようなものでよいため、回路構成が容易となる。
また、前記バイアス手段は、例えば、前記素子サイズがより大きい半導体増幅素子になる程、前記複数のバイアス電圧または前記複数のバイアス電流の中からより小さいバイアス電圧またはより小さいバイアス電流を印加するものにしてもよい。
これによって、入力電力の大きさによって出力電力を制御する際に、電力付加効率をより向上させることができる。
ところで、前記のようなバイアス手段は、より具体的には、例えば、前記複数のバイアス電圧の基準電圧となる第1のアナログ電圧信号と、前記第1のアナログ電圧信号と接地電位の間に直列に接続された複数の抵抗素子とを有し、前記複数の抵抗素子による抵抗分圧により、それぞれ異なる大きさの複数のバイアス電圧を発生するような構成とすることができる。
すなわち、前記第1のアナログ電圧信号を、バイアスの大きさによって出力電力を制御する際には可変とし、入力電力の大きさによって出力電力を制御する際には固定とすることで、いずれの場合においても適した構成を実現できる。
また、前記バイアス手段において、バイアス電流を印加する際には、前記複数の半導体増幅素子に対してそれぞれカレントミラー回路を設ける構成が望ましい。これによって、安定したバイアス電流を供給することが可能になる。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
(1)入力電力を固定し、バイアスの大きさによってパワーを調整する際に、とりわけ低パワー時において、電力付加効率を向上されることが可能な高周波電力増幅器モジュールを実現できる。
(2)バイアスを固定し、入力電力の大きさによってパワーを調整する際に、とりわけ低パワー時において、電力付加効率を向上されることが可能な高周波電力増幅器モジュールを実現できる。
(3)バイアスの大きさによってパワーを調整する際と入力電力の大きさによってパワーを調整する際との両方において、とりわけ低パワー時において、電力付加効率を向上されることが可能な高周波電力増幅器モジュールを実現できる。
(4)前記(1)〜(3)により、携帯電話機などの省電力化が可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
まずは、本発明の特徴を判り易くするため、本発明の前提として検討した従来の高周波電力増幅器モジュールについて、その構成と問題点を説明する。図1は、本発明の前提となる従来の高周波電力増幅器モジュールにおいて、その構成の一例を示す回路図であり、図2は、本発明の前提となる従来の高周波電力増幅器モジュールにおいて、図1とは異なる構成の一例を示す回路図である。
図1に示す高周波電力増幅器モジュールは、例えば、1st(1段目)、2nd(2段目)、3rd(3段目)の3段構成からなる電力増幅部と、それらの電力増幅部にバイアス電圧を供給するバイアス回路1aと、各電力増幅部に対し交流成分のみの信号を入出力するための交流結合コンデンサC1〜C4などから構成される。前記1段目、2段目、3段目の電力増幅部は、それぞれ、ソース接地されたnチャネルのMOSトランジスタQN1,QN2,QN3と、リアクタンス素子としてチョークコイルL1,L2,L3とを有している。
MOSトランジスタQN1,QN2,QN3のトランジスタサイズは、QN1<QN2<QN3の関係となっており、そのチャネル幅W/チャネル長Lの値は、例えばQN1が8mm/0.3μm、QN2が16mm/0.3μm、QN3が48mm/0.3μmなどとなっている。
バイアス回路1aは、パワーを制御するための電圧Vapcが入力され、例えば、この電圧Vapcを抵抗素子によって分圧することで、前記MOSトランジスタQN1,QN2,QN3のそれぞれのゲート端子にバイアス電圧Vg1,Vg2,Vg3を供給する。
このような構成において、前記3段構成からなる電力増幅部は、高周波信号がPin端子に入力された際に、1st、2nd、3rdの順に電力増幅を行い、その増幅された信号をPout端子から出力する。この場合に、前記電圧Vapcの値に比例してバイアス電圧Vg1,Vg2,Vg3の値も変化するため、これによってパワーを調整することができる。なお、この電圧Vapcの値は、例えば携帯電話機などにおいては、その通信環境に応じて変化することになる。
つぎに、図2に示す高周波電力増幅器モジュールは、パワーを調整する際に、前記図1のようにバイアス電圧で調整するのではなく、バイアス電流で調整するようにした構成となっている。すなわち、図2に示す高周波電力増幅器モジュールは、例えば、1st(1段目)、2nd(2段目)、3rd(3段目)の3段構成からなる電力増幅部と、それらの電力増幅部にバイアス電流を供給するバイアス回路1bと、各段の電力増幅部に対し交流成分のみの信号を入出力するための交流結合コンデンサC1〜C4などから構成される。
前記1段目の電力増幅部は、ソース接地されたnチャネルのMOSトランジスタQN1と、前記MOSトランジスタQN1との間でカレントミラー回路を構成するnチャネルのMOSトランジスタQN11と、チョークコイルL1とを有している。また、高周波信号は、Pin端子より前記MOSトランジスタQN1のゲート端子に入力される。この際に、この高周波信号が前記MOSトランジスタQN11のゲート端子に漏れて、カレントミラー回路の特性が変動するのを防ぐために、それらのゲート端子間に高抵抗の抵抗素子Rが設けられている。
前記2段目および前記3段目の電力増幅部に関しても、前記1段目の電力増幅部と同様の構成を有し、前記2段目の電力増幅部は、nチャネルのMOSトランジスタQN2と、それとカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタQN12と、チョークコイルL2と、抵抗素子Rとを有し、前記3段目の電力増幅部は、nチャネルのMOSトランジスタQN3と、それとカレントミラー回路を構成するMOSトランジスタQN13と、チョークコイルL3と、抵抗素子Rとを有している。
前記バイアス回路1bは、パワーを制御するための電圧Vapcが印加され、その電圧Vapcを電流に変換し、前記MOSトランジスタQN11,QN12,QN13に対して、それぞれ、温度や電源電圧等によって変動しない定電流I1,I2,I3を供給する。これらの定電流I1,I2,I3は、カレントミラー回路によって、それぞれ、前記MOSトランジスタQN1,QN2,QN3のバイアス電流となり、このバイアス電流によってパワーの調整が行われる。
なお、通常、前記MOSトランジスタQN1,QN2,QN3のトランジスタサイズは、QN3>QN2>QN1となるように設計され、そのチャネル幅W/チャネル長Lの値は、例えばQN1が8mm/0.3μm、QN2が16mm/0.3μm、QN3が48mm/0.3μmなどとなっている。また、それらのバイアス電流を定める定電流I1,I2,I3もI3>I2>I1となるように設計される。
このように、図1および図2で説明した従来の高周波電力増幅器モジュールにおいて、特にその3段目の電力増幅部に着目すると、低パワー時でもバイアス電圧またはバイアス電流によって、前記MOSトランジスタQN3のゲート端子−ソース端子間電位Vgsはしきい値電圧よりも大きくなり、このMOSトランジスタQN3は駆動することとなる。ところが、MOSトランジスタQN3は素子サイズが大きいため、それが駆動することで消費電流が大きくなり、電力付加効率が低下してしまう。
通常、高周波電力増幅器モジュールにおけるトランジスタサイズや、バイアス電圧またはバイアス電流の値は、最大パワーを発生する際に電力付加効率も最大となるように設計されるため、低パワー時での電力付加効率の低下は、高周波電力増幅器モジュールでの一般的な技術的課題となっている。なお、電力付加効率Effは、前記MOSトランジスタQN1,QN2,QN3の消費電流の総和をId、動作電圧をVddとし、高周波信号による入力電力をPin、出力電力をPoutとすると、Eff=(Pout−Pin)/(Id×Vdd)で定義される。
一方、本発明においては、パワーに応じて駆動するトランジスタサイズを可変にすることで、以上のような問題を解決するものである。つまり、高パワー時においては、そのパワーを得るために素子サイズが大きいMOSトランジスタを駆動する必要があるが、低パワー時においては、素子サイズが小さいMOSトランジスタを駆動することでも必要とするパワーを得ることができる。そして、素子サイズが小さいMOSトランジスタを用いた方が、消費電流が小さくなり、電力付加効率も向上する。
そこで、図3に示すような構成を用いることで電力付加効率を向上させる。図3は、本発明の一実施の形態の高周波電力増幅器モジュールにおいて、その構成の一例を示す回路図である。図3に示す高周波電力増幅器モジュールは、例えば、前記図1における3段目の電力増幅部内の構成例と、その3段目の電力増幅部に関わるバイアス回路1a内の構成例とを示している。
すなわち、3段目の電力増幅部内には、例えば、信号出力端子PoutとGND(グラウンド:接地電位)の間に並列接続で設けられたnチャネルのMOSトランジスタ(半導体増幅素子)QN31,QN32,QN33と、電源電圧Vddと信号出力端子Poutとの間に設けられたチョークコイルL3などを有している。そして、MOSトランジスタQN31,QN32,QN33のそれぞれのゲート端子には、信号入力端子Pin2より交流結合コンデンサC31,C32,C33を介しての高周波信号と、バイアス回路1cよりバイアス電圧Vg31,Vg32,Vg33とが入力されている。なお、図3には特に明示していないが、配線の各所にはインピーダンス整合回路を備えている。
バイアス回路1cは、例えば、パワーを調整する電圧Vapc(第1のアナログ電圧信号)とGNDとの間に、電圧Vapcより直列接続で抵抗素子R1、抵抗素子R2、抵抗素子R3および抵抗素子R4を有し、抵抗素子R1と抵抗素子R2の接続点がバイアス電圧Vg33となり、抵抗素子R2と抵抗素子R3の接続点および抵抗素子R3と抵抗素子R4の接続点が、それぞれ、バイアス電圧Vg32およびバイアス電圧Vg31となっている。すなわち、電圧Vapcを基準電圧とし、それを抵抗分圧することによって、Vg33>Vg32>Vg31となるバイアス電圧を発生している。
ここで、前記MOSトランジスタQN31,QN32,QN33のトランジスタサイズは、前記図1でのMOSトランジスタQN3のチャネル幅W(48mm)を分割し、大、中、小のサイズを設け、例えば、QN31のWは40mm、QN32のWは6mm、QN33のWは2mmなどとする。これによって、素子サイズが大きいMOSトランジスタには小さいバイアス電圧が加わり、逆に素子サイズが小さいMOSトランジスタには大きいバイアス電圧が加わることになる。
このような構成において、Pin2端子からの入力電力を固定し、バイアス電圧によってパワーを設定した場合、その設定するパワーに応じて電圧Vapcの値を上下させると、それに比例して前記バイアス電圧Vg31,Vg32,Vg33の値も全体的に上下する。そして、低パワー時、中パワー時および高パワー時で、例えば以下のような動作になるように前記抵抗素子R1,R2,R3,R4の値を調整する。
まず、低パワー時(電圧Vapcの値が低い場合)には、バイアス電圧Vg31およびバイアス電圧Vg32をMOSトランジスタQN31およびMOSトランジスタQN32のしきい値電圧よりも低くし、それらを駆動しないようにする。そして、素子サイズが小さいMOSトランジスタQN33のみを駆動して、電力増幅を行わせる。
また、中パワー時(電圧Vapcの値が中間近辺の場合)には、バイアス電圧Vg31をMOSトランジスタQN31のしきい値電圧よりも低くし、それを駆動しないようにする。そして、MOSトランジスタQN32とMOSトランジスタQN33を駆動して、電力増幅を行わせる。
そして、高パワー時(電圧Vapcの値が高い場合)には、全てのMOSトランジスタQN31,QN32,QN33を駆動して、電力増幅を行わせる。
以上のような動作になるように前記抵抗素子R1,R2,R3,R4の値を調整することで、パワーに応じて、駆動するMOSトランジスタのサイズを可変にすることが可能になる。これにより、とりわけ、低パワー時において電力付加効率を向上させることができる。
ところで、これまでの説明においては、入力電力を固定し、電圧Vapcの大きさによってパワーを変更した場合の動作について説明した。これは、例えば、GSM方式におけるGMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)変調方式の携帯電話機などで用いることができる。一方、例えばEDGE方式の携帯電話機などで、電圧Vapcの大きさを固定にし、信号入力端子に入力する高周波信号の振幅の大きさ(入力電力)を変更することでパワーを調整する場合がある。この場合においても、図3のような構成を用いることで、特に低パワー時の電力付加効率を向上させることができる。
その一例として、MOSトランジスタ1個で電力増幅を行った場合と、そのMOSトランジスタを図3のように3個のMOSトランジスタに分割して電力増幅を行った場合とで電力付加効率を比較したものを図4に示す。図4は、本発明の一実施の形態の高周波電力増幅器モジュールにおいて、従来技術と本発明とを比較した結果の一例を示すグラフであり、(a)は入力電力に対する電力付加効率の比較結果、(b)は入力電力に対する出力電力の比較結果を示すものである。
図4(a),(b)において、従来技術の例としては、素子サイズW/L=16mm/0.3μmのMOSトランジスタ1個で電力増幅を行った場合を示している。一方、本発明の例としては、前記図3における抵抗分圧によってバイアス電圧Vg33,Vg32,Vg31を、それぞれ2.0V,1.6V,1.2Vとし、MOSトランジスタQN33,QN32,QN31の素子サイズW/Lを、それぞれ0.1mm/0.3μm,1.9mm/0.3μm,16mm/0.3μmとして、MOSトランジスタ3個で電力増幅を行った場合を示している。
従来技術の例と本発明の例とでは、図4(b)に示すように入力電力Pinに対する出力電力Poutの値はほぼ一致している。ところが、図4(a)に示すように、入力電力Pinに対する電力付加効率の値は、入力電力Pinが25dBmを超えるような高パワー時においては、ほぼ一致するが、25dBm以下で、とりわけ20dBm以下となった際に、明確な違いが生じてくる。すなわち、本発明を用いることで、このような低パワー時において特に、電力付加効率が従来技術よりも向上する。
一般的に、電力付加効率に関しては、入力電力Pinの低パワー、中パワー、高パワーに対してそれぞれ小サイズ、中サイズ、大サイズのMOSトランジスタを用いることで最適な電力付加効率を得ることができる。ところが、従来技術の例のように、MOSトランジスタ1つのみでは、サイズに見合わないパワーレベルにおいて極端に電力付加効率が低下してしまう。そこで、本発明の例のように並列接続された小サイズ、中サイズ、大サイズのMOSトランジスタを設けることでこれを解決することができる。
そして、電力付加効率は、さらに、バイアス電圧によっても調整することができる。本発明の例においては、MOSトランジスタのサイズが大きいもの程、低いバイアス電圧を印加することで、さらに電力付加効率を向上させている。
以上、図3に示したような構成を用いることで、バイアス電圧によってパワーを調整する際と、入力電力によってパワーを調整する際とで、とりわけ、低パワー時において電力付加効率を向上させることが可能になる。なお、図3では、バイアス電圧を印加する構成としたが、図5に示すようにバイアス電流を印加する構成としてもよい。図5は、本発明の一実施の形態の高周波電力増幅器モジュールにおいて、図3を変形した構成の一例を示す回路図である。
図5に示す高周波電力増幅器モジュールは、前記図2における3段目の電力増幅部内の構成例と、それらにバイアス電流を供給するバイアス回路とを示している。すなわち、3段目の電力増幅部には、例えば、信号出力端子PoutとGND(グラウンド:接地電位)の間に並列接続で設けられたnチャネルのMOSトランジスタ(半導体増幅素子)QN31,QN32,QN33と、それらに対してそれぞれカレントミラー回路を構成するnチャネルのMOSトランジスタ(半導体素子)QN311,QN321,QN331と、カレントミラー回路のゲート端子間に設けられ、高周波信号の漏れを防止するための抵抗素子Rと、電源電圧Vddと信号出力端子Poutとの間に設けられたチョークコイルL3などを有している。
バイアス回路1dは、パワーを調整する電圧Vapcが入力され、この電圧Vapcの値に比例した定電流I31,I32,I33を発生する。この定電流I31,I32,I33は、それぞれ、前記MOSトランジスタQN311,QN321,QN331に供給され、カレントミラー回路によって、前記MOSトランジスタQN31,QN32,QN33にバイアス電流が印加される。
また、MOSトランジスタQN31,QN32,QN33のそれぞれのゲート端子には、信号入力端子Pin3より交流結合コンデンサC31,C32,C33を介して高周波信号が入力される。なお、前記バイアス電流を印加する際に、カレントミラー回路を構成する2個のトランジスタ(例えばMOSトランジスタQN31とMOSトランジスタQN311)は、レイアウト面で近傍に設けられるため、製造ばらつきや温度変化によるばらつき等がキャンセルされて、安定したバイアス電流を供給することが可能となっている。
ここで、前記MOSトランジスタQN31,QN32,QN33のトランジスタサイズは、前記図2のMOSトランジスタQN3のチャネル幅W(48mm)を分割したサイズとし、例えば、QN31のWは40mm、QN32のWは6mm、QN33のWは2mmなどとする。そして、前記バイアス回路による定電流I31,I32,I33の値は、I33>I32>I31となるようにする。
この高周波電力増幅器モジュールの動作については、前述した図3の場合と同様に、電圧Vapcの変化に応じて定電流I31,I32,I33の値をバイアス回路1d内で調整し、パワーに応じて駆動するMOSトランジスタの素子サイズ(MOSトランジスタの数)が変わるようにする。すなわち、例えば低パワー時にはサイズが小さいMOSトランジスタQN33のみを駆動し、高パワー時には全てのMOSトランジスタを駆動するといった制御により、電力付加効率を向上させる。また、バイアス電流を固定して、入力電力によってパワーを調整した場合でも、図4での説明と同様の効果があると考えられる。
なお、図3および図5においては、多段構成の高周波電力増幅器モジュールに対し、その3段目の電力増幅部に本発明を適用した例を示したが、特に3段目に限定されるものではなく、素子サイズが比較的大きいと考えられる2段目の電力増幅部または2段目と3段目の電力増幅部に適用しても有効と考えられる。また、勿論、3段構成の高周波電力増幅器モジュールに限定されるものではなく、2段構成や1段構成などの場合にも適用することができる。さらに、図3および図5で示したそれぞれ素子サイズが異なるMOSトランジスタの数も、特に3個に限定されるものではなく、図6に示すようにそれぞれ素子サイズの異なるn個による構成としてもよい。
図6は、本発明の一実施の形態の高周波電力増幅器モジュールにおいて、図3の構成を拡張した構成の一例を示す回路図である。図6に示す高周波電力増幅器モジュールは、図3の構成と同様に、信号出力端子PoutとGNDの間にそれぞれトランジスタサイズの異なるnチャネルMOSトランジスタをn個有し、それらのMOSトランジスタのそれぞれに対し、バイアス回路1e内の抵抗分圧によってそれぞれ異なるバイアス電圧を印加した構成となっている。このような構成によると、パワーに見合ったトランジスタサイズを、n個の数の分だけ柔軟に調整することが可能になり、電力付加効率を向上させることが可能になる。
以上、これまでの説明により、本発明の一実施の形態の高周波電力増幅器モジュールを用いることで、とりわけ低パワー時において電力付加効率が向上することを説明したが、この効果によって、例えば携帯電話機などの省電力化が可能となる。図7および図8に、これまでに説明した本発明の一実施の形態の高周波電力増幅器モジュールを用いた携帯電話機の構成の一例を示す。
図7に示す携帯電話機は、例えば、信号電波送受信用のアンテナ21と、このアンテナ21につながるアンテナ送受信切換器22と、送受信を制御する機能などを持つベースバンド処理回路23を含むRF(Radio Frequency)リニア回路24と、前述した高周波電力増幅器モジュール(PA:Power Amplifier)25などを含み、送信信号を変調する機能などを持つ送信系回路26と、受信信号を復調する機能などを持つ受信系回路27などから構成される。
アンテナ送受信切換器22は、たとえば送信と受信を切り換える送受信切換スイッチ22a、受信側に接続されたコンデンサ22b、送信側に接続されたフィルタ22cなどから構成される。このアンテナ送受信切換器22の送受信切換スイッチ22aは、たとえばベースバンド処理回路23などからの制御信号により送信側、受信側への切り換えが制御される。
ベースバンド処理回路23は、たとえば図示しないDSP(Digital Signal Processor)やマイクロプロセッサ、半導体メモリなどから構成され、送信時に音声信号をベースバンド信号に変換したり、受信時に受信信号を音声信号に変換したり、その他各種制御信号を生成する機能などが設けられている。
送信系回路26は、たとえばベースバンド処理回路23に接続され、複数の周波数帯の発振信号を発生するVCO(Voltage Controlled Oscillator)26a、このVCO26aからの発振信号に基づいた搬送波によりIQ信号を変調するミキサ(MIX)26b、RFリニア回路24に接続されたCPU26c、このCPU26cの演算処理に基づき出力フィードバックをかけて電力制御を行うAPC(Automatic Power Control)26d、ミキサ26bからの変調信号に対してAPC26dのフィードバック制御に基づいてゲインを制御するAGC(Automatic Gain Control)26e、このAGC26eからの出力信号を増幅する前述した高周波電力増幅器モジュール25、この高周波電力増幅器モジュール25に接続された出力レベル検出用のカップラ26fなどから構成される。
高周波電力増幅器モジュール25の出力変動は、このカップラ26fによって検出され、この検出値は、前記APC26dにフィードバックされる。APC26dは、AGC26e及び高周波電力増幅器モジュール25にそれぞれ制御信号が送出する。高周波電力増幅器モジュール25に対する制御信号の中には、Vapc信号が含まれる。
受信系回路27は、たとえばアンテナ送受信切換器22のコンデンサ22bに接続され、受信信号から不要波を除去するフィルタ27a、このフィルタ27aに接続されたLNA(Low Noise Amplifier)27bなどから構成される。
一方、図8に示す携帯電話機は、図7に示したAGC26eが存在しない構成となっており、それ以外の構成および動作は、図7と同様である。
図7と図8に示す携帯電話機では、高周波電力増幅器モジュールの動作方法がそれぞれ異なっている。すなわち、図7に示す携帯電話機は、例えばEDGE方式などで用いられ、この場合の高周波電力増幅器モジュールは、バイアスが固定され、AGC26eによって入力電力Pinが変更された信号を所定のゲインで増幅する。一方、図8に示す携帯電話機は、例えばGSM方式におけるGMSK変調方式などで用いられ、この場合の高周波電力増幅器モジュールは、入力電力が固定され、バイアスを変更することでパワーの調整を行う。
近年、基地局の整備などによって、携帯電話機が低パワーで用いられる場合が増加している。したがって、バッテリの省電力化を図るためには、特に低パワー時において電力付加効率を向上させる必要がある。こうした中、前記図7および図8いずれの場合においても、前述した本発明の一実施の形態の高周波電力増幅器モジュールを用いることでこのような問題を解決することが可能になる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、これまでの説明では、半導体増幅素子としてMOSトランジスタを例として説明したが、MOSトランジスタに限らずGaAsトランジスタや、HBT(ヘテロ接合バイポーラトランジスタ)などに対しても同様に適用可能である。
1a,1b,1c,1d,1e バイアス回路
21 アンテナ
22 アンテナ送受信切換器
22a 送受信切換スイッチ
22b コンデンサ
22c,27a フィルタ
23 ベースバンド処理回路
24 RFリニア回路
25 PA
26 送信系回路
26a VCO
26b ミキサ
26c CPU
26d APC
26e AGC
26f カップラ
27 受信系回路
27b LNA
C1,C2,C3,C4,C31,C32,C33 交流結合コンデンサ
L1,L2,L3 チョークコイル
R,R1,R2,R3,R4 抵抗素子
QN1,QN2,QN3,QN31,QN32,QN33 MOSトランジスタ
QN11,QN12,QN13,QN311,QN321,QN331 MOSトランジスタ
Pin,Pin2,Pin3 信号入力端子
Pout 信号出力端子
21 アンテナ
22 アンテナ送受信切換器
22a 送受信切換スイッチ
22b コンデンサ
22c,27a フィルタ
23 ベースバンド処理回路
24 RFリニア回路
25 PA
26 送信系回路
26a VCO
26b ミキサ
26c CPU
26d APC
26e AGC
26f カップラ
27 受信系回路
27b LNA
C1,C2,C3,C4,C31,C32,C33 交流結合コンデンサ
L1,L2,L3 チョークコイル
R,R1,R2,R3,R4 抵抗素子
QN1,QN2,QN3,QN31,QN32,QN33 MOSトランジスタ
QN11,QN12,QN13,QN311,QN321,QN331 MOSトランジスタ
Pin,Pin2,Pin3 信号入力端子
Pout 信号出力端子
Claims (5)
- 信号出力端子に対して並列に接続され、それぞれ異なる素子サイズを備えた複数の半導体増幅素子によって電力増幅を行う手段と、
それぞれ異なる大きさの複数のバイアス電圧または複数のバイアス電流を、それぞれ、前記複数の半導体増幅素子に対して印加するバイアス手段とを有することを特徴とする高周波電力増幅器モジュール。 - 請求項1記載の高周波電力増幅器モジュールにおいて、
前記バイアス手段は、前記電力増幅を行う手段に設定する出力電力が小さい場合には、前記素子サイズが小さい半導体増幅素子のみを駆動させるように前記複数のバイアス電圧または前記複数のバイアス電流を印加し、前記電力増幅を行う手段に設定する出力電力がより大きくなる程、前記素子サイズが小さい半導体増幅素子に加えてそれよりも素子サイズが大きい半導体増幅素子を駆動させるように前記複数のバイアス電圧または前記複数のバイアス電流を印加することを特徴とする高周波電力増幅器モジュール。 - 請求項1記載の高周波電力増幅器モジュールにおいて、
前記バイアス手段は、前記素子サイズがより大きい半導体増幅素子になる程、前記複数のバイアス電圧または前記複数のバイアス電流の中からより小さいバイアス電圧またはより小さいバイアス電流を印加することを特徴とする高周波電力増幅器モジュール。 - 請求項2または3記載の高周波電力増幅器モジュールにおいて、
前記バイアス手段は、
前記複数のバイアス電圧の基準電圧となる第1のアナログ電圧信号と、
前記第1のアナログ電圧信号と接地電位の間に直列に接続された複数の抵抗素子とを有し、
前記複数の抵抗素子による抵抗分圧により、それぞれ異なる大きさの複数のバイアス電圧を、それぞれ、前記複数の半導体増幅素子に対して印加することを特徴とする高周波電力増幅器モジュール。 - 請求項2または3記載の高周波電力増幅器モジュールにおいて、
前記バイアス手段は、前記複数の半導体増幅素子に対してそれぞれカレントミラー回路を構成する複数の半導体素子を有し、前記カレントミラー回路によって、前記複数の半導体増幅素子に対して前記複数のバイアス電流をそれぞれ印加することを特徴とする高周波電力増幅器モジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003380335A JP2005143048A (ja) | 2003-11-10 | 2003-11-10 | 高周波電力増幅器モジュール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003380335A JP2005143048A (ja) | 2003-11-10 | 2003-11-10 | 高周波電力増幅器モジュール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005143048A true JP2005143048A (ja) | 2005-06-02 |
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ID=34690104
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005143048A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014049968A (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-17 | Mega Chips Corp | パワーアンプ |
-
2003
- 2003-11-10 JP JP2003380335A patent/JP2005143048A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014049968A (ja) * | 2012-08-31 | 2014-03-17 | Mega Chips Corp | パワーアンプ |
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