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JP2005142398A - 半導体ウエーハの分割方法 - Google Patents

半導体ウエーハの分割方法 Download PDF

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Abstract

【課題】絶縁膜と機能膜から成る積層体が表面に形成された半導体チップがストリートによって区画されて形成されている半導体ウエーハを、積層体を剥離することなくストリートに沿って個々の半導体チップに分割することができる半導体ウエーハの分割方法を提供する。
【解決手段】半導体ウエーハをストリートに沿って切削ブレードにより切削して個々の半導体チップに分割する際に、ストリートに切削ブレードの幅より広い間隔で第1のレーザー光線を照射し積層体21に一対の第1のレーザー加工溝241を形成する第1の加工溝形成工程と、ストリートにおける一対の第1のレーザー加工溝の両外側間において切削ブレードの幅より広い領域の積層体に第2のレーザー光線を照射し半導体基板に達する第2のレーザー加工溝242を形成する第2の加工溝形成工程と、第2のレーザー加工溝に沿って切削ブレードにより半導体基板を切削する切削工程とを含む。
【選択図】図10

Description

本発明は、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体によって形成された半導体チップがストリートによって区画されて形成されている半導体ウエーハを、ストリートに沿って分割する方法に関する。
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体によって複数のIC、LSI等の半導体チップをマトリックス状に形成した半導体ウエーハが形成される。このように形成された半導体ウエーハは上記半導体チップがストリートと呼ばれる分割予定ラインによって区画されており、このストリートに沿って切断することによって個々の半導体チップを製造している。半導体ウエーハのストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと称されている切削装置によって行われている。この切削装置は、被加工物である半導体ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された半導体ウエーハを切削するための切断手段と、チャックテーブルと切断手段とを相対的に移動せしめる移動手段とを具備している。切断手段は、高速回転せしめられる回転スピンドルと該スピンドルに装着された切削ブレードを含んでいる。切削ブレードは円盤状の基台と該基台の側面外周部に装着された環状の切れ刃からなっており、切れ刃は例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって固定し厚さ20μm程度に形成されている。
近時においては、IC、LSI等の半導体チップの処理能力を向上するために、シリコン等の半導体基板の表面にSiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)と回路を形成する機能膜が積層された積層体によって半導体チップを形成せしめた形態の半導体ウエーハが実用化されている。
上述したLow−k膜を積層せしめた形態の半導体ウエーハを切削ブレードによりストリートに沿って切削すると、Low−k膜は雲母のように非常に脆いことから、切削ブレードによりストリートに沿って切削すると、Low−k膜が剥離し、この剥離が回路にまで達し半導体チップに致命的な損傷を与えるという問題がある。また、Low−k膜を使用しない半導体ウエーハにおいても半導体基板の表面に積層された膜は、切削ブレードによりストリートに沿って切削すると切削ブレードの切削作用による破壊力によって膜が剥離し半導体チップを損傷するという問題がある。
上記問題を解消するために、半導体ウエーハのストリートに沿ってレーザー光線を照射することによりストリートを形成するLow−k膜等の積層体を除去し、その除去した領域に切削ブレードを位置付けて切削する分割方法が試みられている。そして、このような分割方法を実施するための加工装置を本出願人は特願2002−131776号として提案した。
而して、上記分割方法はレーザー光線を照射することによりストリートを形成するLow−k膜等の積層体を除去しているが、Low−k膜等積層体を除去することができる出力のレーザー光線を一度に照射するとその破壊力によって積層体を形成する膜に剥離が発生し、IC、LSI等の半導体チップを損傷するという問題がある。
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術課題は、半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体によって形成された半導体チップがストリートによって区画されて形成されている半導体ウエーハを、積層体を剥離することなくストリートに沿って個々の半導体チップに分割することができる半導体ウエーハの分割方法を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するために、本発明によれば、半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体によって形成された半導体チップがストリートによって区画されて形成されている半導体ウエーハを、該ストリートに沿って切削ブレードにより切削して個々の半導体チップに分割する半導体ウエーハの分割方法であって、
該ストリートに該切削ブレードの幅より広い間隔で第1のレーザー光線を照射し該積層体に一対の第1のレーザー加工溝を形成する第1の加工溝形成工程と、
該ストリートにおける該一対の第1のレーザー加工溝の両外側間において該切削ブレードの幅より広い領域の該積層体に第2のレーザー光線を照射し該半導体基板に達する第2のレーザー加工溝を形成する第2の加工溝形成工程と、
該第2のレーザー加工溝に沿って該切削ブレードにより該半導体基板を切削する切削工程と、を含む、
ことを特徴とする半導体ウエーハの分割方法が提供される。
上記第1のレーザー光線の出力は、上記第2のレーザー光線の出力より小さく設定されている。また、上記第1のレーザー加工溝の深さは、上記第2の加工溝形成工程において第2のレーザー光線を照射する際に剥離し易い膜の層までの深さ設定することが望ましい。
本発明によれば、ストリートに切削ブレードの幅より広い間隔で第1のレーザー光線を照射し積層体に一対の第1のレーザー加工溝を形成した後に、該一対の第1のレーザー加工溝の両外側間において切削ブレードの幅より広い領域の積層体に第2のレーザー光線を照射し半導体基板に達する第2のレーザー加工溝を形成するので、第2のレーザー光線を照射することにより積層体に剥離が生じても第1のレーザー加工溝によって両側が分断さているためここで規制され半導体チップ側に影響することはない。また、切削ブレードによる第2のレーザー加工溝に沿った切削工程においては、積層体が第2のレーザー加工溝によってチップ側と完全に分断されているので、積層体に剥離して半導体チップ側に影響を及ぼすことはない。
以下、本発明による半導体ウエーハの分割方法について添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1には、本発明に従って分割される半導体ウエーハの斜視図が示されており、図2には図1に示す半導体ウエーハの要部拡大断面図が示されている。図1および図2に示す半導体ウエーハ2は、図2に示すようにシリコン等の半導体基板20の表面20aに絶縁膜と回路を形成する機能膜が積層された積層体21によって複数のIC、LSI等の半導体チップ22がマトリックス状に形成されている。そして、各半導体チップ22は、格子状に形成されたストリート23によって区画されている。なお、図示の実施形態においては、積層体21を形成する絶縁膜は、SiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)からなっている。このように形成された半導体ウエーハ2は、個々の半導体チップに分割するに際して、分割された半導体チップ20がばらばらにならないように図1に示すように環状のフレーム3に装着された保護テープ4に裏面を貼着している。
本発明による半導体ウエーハ2の分割方法においては、先ず半導体ウエーハ2に形成されたストリート23に後述する切削ブレードの幅より広い間隔で第1のレーザー光線を照射し積層体21に一対の第1のレーザー加工溝を形成する第1の加工溝形成工程を実施する。この第1の加工溝形成工程は、図3乃至5に示すレーザー加工装置を用いて実施する。図3乃至図5に示すレーザー加工装置5は、被加工物を保持するチャックテーブル51と、該チャックテーブル51上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52と、チャックテーブル51上に保持された被加工物を撮像する撮像手段53を具備している。チャックテーブル51は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない移動機構によって図3において矢印Xで示す加工送り方向および矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
上記レーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図4に示すようにパルスレーザー光線発振手段522と伝送光学系523とが配設されている。パルスレーザー光線発振手段522は、YAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器522aと、これに付設された繰り返し周波数設定手段522bとから構成されている。伝送光学系523は、ビームスプリッタの如き適宜の光学要素を含んでいる。上記ケーシング521の先端部には、それ自体は周知の形態でよい組レンズから構成される集光レンズ(図示せず)を収容した集光器524が装着されている。上記パルスレーザー光線発振手段522から発振されたレーザー光線は、伝送光学系523を介して集光器524に至り、集光器524から上記チャックテーブル51に保持される被加工物に所定の集光スポット径Dで照射される。この集光スポット径Dは、図5に示すようにガウス分布を示すパルスレーザー光線が集光器524の対物集光レンズ524aを通して照射される場合、D(μm)=4×λ×f/(π×W)、ここでλはパルスレーザー光線の波長(μm)、Wは対物集光レンズ524aに入射されるパルスレーザー光線の直径(mm)、fは対物集光レンズ524aの焦点距離(mm)、で規定される。
上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部に装着された撮像手段53は、図示の実施形態においては可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を後述する制御手段に送る。
上述したレーザー加工装置5を用いて実施する第1の加工溝形成工程について、図3、図6および図7を参照して説明する。
この第1の加工溝形成工程は、先ず上述した図3に示すレーザー加工装置5のチャックテーブル51上に半導体ウエーハ2を表面2a(積層体21が形成されている側)を上にして載置し、該チャックテーブル51上に半導体ウエーハ2を吸着保持する。なお、図3においては、保護テープ4が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル51に配設された適宜のフレーム保持手段に保持されている。
上述したように半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル51は、図示しない移動機構によって撮像手段53の直下に位置付けられる。チャックテーブル51が撮像手段63の直下に位置付けられると、撮像手段53および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段53および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されているストリート23と、ストリート23に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器524との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ2に形成されている上記所定方向に対して直角に延びるストリート23に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。
以上のようにしてチャックテーブル51上に保持された半導体ウエーハ2に形成されているストリート23を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図6の(a)で示すようにチャックテーブル51をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器524が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定のストリート23の一端(図6において左端)をレーザー光線照射手段52の集光器524の直下に位置付ける。そして、集光器524から第1のパルスレーザー光線525を照射しつつチャックテーブル51即ち半導体ウエーハ2を図6の(a)において矢印X1で示す方向に所定の送り速度で移動せしめる。そして、図6の(b)で示すように第1のレーザー光線照射手段5の照射位置がストリート23の他端(図6において右端)の位置に達したら、第1のパルスレーザー光線525の照射を停止するとともにチャックテーブル51即ち半導体ウエーハ2の移動と停止する。
次に、チャックテーブル51即ち半導体ウエーハ2を紙面に垂直な方向(割り出し送り方向)に40μm程度移動する。この割り出し送りの移動量は、後述する切削ブレードの幅より大きくストリート23の幅を越えない範囲に設定されている。そして、レーザー光線照射手段52から第1のパルスレーザー光線525を照射しつつチャックテーブル51即ち半導体ウエーハ2を図6の(b)において矢印X2で示す方向に所定の送り速度で移動せしめ、図6の(a)に示す位置に達したら第1のパルスレーザー光線525の照射を停止するとともにチャックテーブル51即ち半導体ウエーハ2の移動と停止する。
上述したようにチャックテーブル51即ち半導体ウエーハ2を往復動する間に半導体ウエーハ2には、図7で示すようにストリート23に後述する切削ブレードの幅より広い間隔で第1のパルスレーザー光線525がストリート23の上面に集光点Pを合わせて照射される。
なお、上記第1の加工溝形成工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
レーザー光線の光源 ;YVO4レーザーまたはYAGレーザー
波長 ;355nm
繰り返し周波数 :100kHz
出力 ;0.5W
集光スポット径 ;φ9.2μm
加工送り速度 ;600mm/秒
上述した第1の加工溝形成工程を実施することにより、図8に示すように半導体ウエーハ2のストリート23を形成する積層体21には、ストリート23に沿って後述する切削ブレードの幅より広い間隔で一対の第1のレーザー加工溝241、241が形成される。この第1のレーザー加工溝241、241を形成する第1のパルスレーザー光線525の出力は後述する第2の加工溝形成工程によって照射される第2のパルスレーザー光線の出力より小さく設定されているので、積層体21を形成する膜を剥離することはない。なお、半導体ウエーハ2のストリート23を形成する積層体21に形成される第1のレーザー加工溝241、241の深さは、後述する第2の加工溝形成工程において第2のレーザー光線を照射する際に剥離し易い膜の層までの深さが望ましい。このような第1の加工溝形成工程を半導体ウエーハ2に形成された全てのストリート23に実施する。
半導体ウエーハ2に形成された全てのストリート23に上述した第1の加工溝形成工程を実施したならば、ストリート23における一対の第1のレーザー加工溝241、241の両外側間において後述する切削ブレードの幅より広い領域の積層体21に第2のレーザー光線を照射し半導体基板20に達する第2のレーザー加工溝を形成する第2の加工溝形成工程を実施する。この第2の加工溝形成工程は、上述した図2乃至図4に示すレーザー加工装置と同様のレーザー加工装置を用いて実施する。
即ち、図9に示すように半導体ウエーハ2のストリート23における一対の第1のレーザー加工溝241、241の両外側間において後述する切削ブレードの幅より広い領域の積層体21に第2のパルスレーザー光線526、526をストリート23に沿って照射する。このとき、レーザー光線の照射範囲を広げるためにパルスレーザー光線526、526の集光点Pをストリート23の上面より0.2mm程度上側に合わせて照射することが好ましい。なお、レーザー光線の照射範囲を広げるためにパルスレーザー光線526、526の集光点Pをストリート23の上面より0.2mm程度下側に合わせて照射してもよい。
なお、上記第2の加工溝形成工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
レーザー光線の光源 ;YVO4レーザーまたはYAGレーザー
波長 ;355nm
繰り返し周波数 :100kHz
出力 ;1.0W
集光スポット径 ;φ9.2μm
加工送り速度 ;100mm/秒
上記のように第2の加工溝形成工程において照射される第2のパルスレーザー光線526の出力は、上記第1の加工溝形成工程によって照射される第1のパルスレーザー光線525の出力より大きく設定されている。上述した第2の加工溝形成工程を実施することにより、図10に示すように半導体ウエーハ2のストリート23を形成する積層体21には、ストリート23に沿って半導体基板20に達する第2のレーザー加工溝242、242が形成される。なお、第2のレーザー加工溝242、242を形成する際は、ストリート23を形成する積層体21には剥離し易い層の深さまで第1のレーザー加工溝241、241を形成されているので、第2のレーザー光線を照射することにより積層体21に剥離が生じても第1のレーザー加工溝241、241によって両側が分断さているためここで規制され半導体チップ22側に影響することはない。このように形成された半導体ウエーハ2のストリート23を形成する積層体21に形成された第2のレーザー加工溝242、242は半導体基板20に達しているので、ストリート23を形成する積層体21は半導体チップ22側と完全に分断されている。なお、この実施形態においてはストリート23の中央部には積層体21の一部211が残存されている。
上記図9および図10に示す実施形態においては、第2の加工溝形成工程を実施した状態で半導体ウエーハ2のストリート23の中央部には積層体21の一部211が残存されたが、この残存された積層体21の一部211にも上記第2のパルスレーザー光線526を照射することにより、図11に示すように残存された積層体21の一部211を除去することができる。
以上、半導体基板20の表面20aに積層される絶縁膜が有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)によって形成された半導体ウエーハ2に対する第1の加工溝形成工程および第2の加工溝形成工程について説明したが、次に、半導体基板20の表面20aに積層される絶縁膜が二酸化珪素(SiO)によって形成された半導体ウエーハ2に対する第1の加工溝形成工程および第2の加工溝形成工程について説明する。
半導体基板20の表面20aに積層される絶縁膜が二酸化珪素(SiO)によって形成された半導体ウエーハ2に対する上記第1の加工溝形成工程は、次の加工条件で行われる。
レーザー光線の光源 ;YVO4レーザーまたはYAGレーザー
波長 ;355nm
繰り返し周波数 :50kHz
出力 ;0.4W
集光スポット径 ;φ9.2μm
加工送り速度 ;1mm/秒
このような加工条件で第1の加工溝形成工程を実施することにより、上記図8に示すように第1のレーザー加工溝241、241を形成することができる。
また、半導体基板20の表面20aに積層される絶縁膜が二酸化珪素(SiO)によって形成された半導体ウエーハ2に対する上記第2の加工溝形成工程は、次の加工条件で行われる。
レーザー光線の光源 ;YVO4レーザーまたはYAGレーザー
波長 ;355nm
繰り返し周波数 :50kHz
出力 ;1.5W
集光スポット径 ;φ9.2μm
加工送り速度 ;100mm/秒
このような加工条件で第2の加工溝形成工程を実施することにより、上記図10および図11に示すように第2のレーザー加工溝242、242を形成することができる。
半導体ウエーハ2に形成された全てのストリート23に上述した第1の加工溝形成工程および第2の加工溝形成工程を実施したならば、ストリート23に沿って切削する切削工程を実施する。この切削工程は、図12に示すようにダイシング装置として一般に用いられている切削装置6を用いることができる。即ち、切削装置6は、吸引保持手段を備えたチャックテーブル61と、切削ブレード621を備えた切削手段62と、チャックテーブル61上に保持された被加工物を撮像する撮像手段63を具備している。
上述した切削装置7を用いて実施する切削工程について、図12乃至図14を参照して説明する。
即ち、図12に示すように切削装置6のチャックテーブル61上に上述した第1の加工溝形成工程および第2の加工溝形成工程が実施された半導体ウエーハ2を表面2aを上側にして載置し、図示しない吸引手段によって半導体ウエーハ2をチャックテーブル61上に保持する。半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル61は、図示しない移動機構によって撮像手段63の直下に位置付けられる。
チャックテーブル61が撮像手段63の直下に位置付けられると、撮像手段63および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2の切削すべき領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段63および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されているストリート23と、ストリート23に沿って切削する切削ブレード621との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、切削領域のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ2に形成されている上記所定方向に対して直角に延びるストリート23に対しても、同様に切削領域のアライメントが遂行される。
以上のようにしてチャックテーブル61上に保持されている半導体ウエーハ2に形成されているストリート23を検出し、切削領域のアライメントが行われたならば、半導体ウエーハ2を保持したチャックテーブル61を切削領域の切削開始位置に移動する。このとき、図13の(a)で示すように半導体ウエーハ2は切削すべきストリート23の一端(図13において左端)が切削ブレード621の直下より所定量右側に位置するように位置付けられる。また、半導体ウエーハ2はストリート23に形成された第2のレーザー加工溝242、242間の中央部に切削ブレード621が位置するように位置付けられる。
このようにしてチャックテーブル61即ち半導体ウエーハ2が切削加工領域の切削開始位置に位置付けられたならば、切削ブレード621を図13の(a)において2点鎖線で示す待機位置から下方に切り込み送りし、図13の(a)において実線で示すように所定の切り込み送り位置に位置付ける。この切り込み送り位置は、図14の(a)に示すように切削ブレード621の下端が半導体ウエーハ2の裏面に貼着された保護テープ4に達する位置に設定されている。
次に、切削ブレード621を所定の回転速度で回転せしめ、チャックテーブル61即ち半導体ウエーハ2を図13の(a)において矢印X1で示す方向に所定の切削送り速度で移動せしめる。そして、チャックテーブル61即ち半導体ウエーハ2が図13の(b)で示すようにストリート23の他端(図13において右端)が切削ブレード621の直下より所定量左側に位置するまで達したら、チャックテーブル61即ち半導体ウエーハ2の移動を停止する。このようにチャックテーブル61即ち半導体ウエーハ2を切削送りすることにより、図14の(b)で示すように半導体ウエーハ2はストリート23に形成された第2のレーザー加工溝242、242間に裏面に達する切削溝243が形成され切断される。なお、上記のように第2のレーザー加工溝242、242間の領域を切削ブレード621によって切削すると、第2のレーザー加工溝242、242間に残された積層体21の一部211は切削ブレード621によって切削されるが、第2のレーザー加工溝242、242によって両側が分断さているため剥離しても半導体チップ22側に影響することはない。なお、半導体ウエーハ2はストリート23を形成する積層体21が第2の加工溝形成工程によって図11に示すように上記残存された積層体21の一部211が除されている場合には、切削工程においては切削ブレード621によって半導体基板20だけが切削されることになる。
なお、上記切削工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
切削ブレード ;外径52mm、厚さ20μm
切削ブレードの回転速度;30000rpm
切削送り速度 ;50mm/秒
次に、切削ブレード621を図13の(b)において2点鎖線で示す待機位置に位置付け、チャックテーブル61即ち半導体ウエーハ2を図13の(b)において矢印X2で示す方向に移動して、図13の(a)に示す位置に戻す。そして、チャックテーブル61即ち半導体ウエーハ2を紙面に垂直な方向(割り出し送り方向)にストリート23の間隔に相当する量だけ割り出し送りし、次に切削すべきストリート23を切削ブレード621と対応する位置に位置付ける。このようにして、次に切削すべきストリート23を切削ブレード621と対応する位置に位置付けたならば、上述した切削工程を実施する。
上述した切削工程を半導体ウエーハ2に形成された全てのストリート23に実施する。この結果、半導体ウエーハ2はストリート23に形成された第2のレーザー加工溝242に沿って切断され、個々の半導体チップ20に分割される。
本発明によって分割される半導体ウエーハを保護テープを介してフレームに装着した状態を示す斜視図。 図1に示す半導体ウエーハの断面拡大図。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の第1の加工溝形成工程および第2の加工溝形成工程を実施するレーザー加工装置の要部斜視図。 図3に示すレーザー加工装置に装備されるレーザ光線照射手段の構成を簡略に示すブロック図。 レーザー光線の集光スポット径を説明するための簡略図。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の第1の加工溝形成工程の説明頭。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の第1の加工溝形成工程における第1のレーザー光線照射位置を示す説明図。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の第1の加工溝形成工程によって半導体ウエーハに形成された第1のレーザー加工溝を示す説明図。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の第2の加工溝形成工程における第2のレーザー光線照射位置を示す説明図。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の第2の加工溝形成工程によって半導体ウエーハに形成された第2のレーザー加工溝を示す説明図。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の第2の加工溝形成工程によって半導体ウエーハに形成された第2のレーザー加工溝の他の実施形態を示す説明図。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の切削工程を実施する切削装置の要部斜視図。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の切削工程の説明図。 本発明による半導体ウエーハの分割方法の切削工程によって第2のレーザー加工溝に沿って半導体ウエーハが切削される状態を示す説明図。
符号の説明
2:半導体ウエーハ
20:基板
21:積層体
22:半導体チップ
23:ストリート
241:第1の加工溝
242:第2の加工溝
243:切削溝
3:環状のフレーム
4:保護テープ
5:レーザー加工装置
51:レーザー加工装置のチャックテーブル
52:レーザー光線照射手段
6:切削装置
61:切削装置のチャックテーブル
62:切削手段

Claims (3)

  1. 半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体によって形成された半導体チップがストリートによって区画されて形成されている半導体ウエーハを、該ストリートに沿って切削ブレードにより切削して個々の半導体チップに分割する半導体ウエーハの分割方法であって、
    該ストリートに該切削ブレードの幅より広い間隔で第1のレーザー光線を照射し該積層体に一対の第1のレーザー加工溝を形成する第1の加工溝形成工程と、
    該ストリートにおける該一対の第1のレーザー加工溝の両外側間において該切削ブレードの幅より広い領域の該積層体に第2のレーザー光線を照射し該半導体基板に達する第2のレーザー加工溝を形成する第2の加工溝形成工程と、
    該第2のレーザー加工溝に沿って該切削ブレードにより該半導体基板を切削する切削工程と、を含む、
    ことを特徴とする半導体ウエーハの分割方法。
  2. 該第1のレーザー光線の出力は、該第2のレーザー光線の出力より小さく設定されている、請求項1記載の半導体ウエーハの分割方法。
  3. 該第1のレーザー加工溝の深さは、該第2の加工溝形成工程において該第2のレーザー光線を照射する際に剥離し易い膜の層までの深さ設定する、請求項1又は2記載の半導体ウエーハの分割方法。
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