JP2005032909A - 照明光学系およびそれを用いた露光装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光源66から発せられた照明光Bをロッドタイプのオプティカルインテグレータにより強度を均一化して空間光変調素子50に照射するように構成された照明光学系において、照明光Bの通過方向に直列に配して複数のオプティカルインテグレータ72A〜Cを用いる。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は照明光学系に関し、特に詳細には、空間光変調素子に照射する照明光をオプティカルインテグレータに通して、その強度分布を均一化するようにした照明光学系に関するものである。
【0002】
また本発明は、上述のような照明光学系から発せられた後に変調された照明光を感光材料に照射して、該感光材料を露光させる露光装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、LCD(液晶表示素子)やDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)等の2次元空間光変調素子を光源からの光で照明し、この空間光変調素子で変調された光で感光材料を露光させるようにした露光装置が知られている。この種の装置においては、空間光変調素子を均一に照明する必要があり、そのため照明光学系にはオプティカルインテグレータが組み込まれている。このように照明光の強度分布を均一化するオプティカルインテグレータは、露光装置以外にもプロジェクタ等で一般に使用されている。
【0004】
オプティカルインテグレータとは、光束を分割し、異なる経路を通した後再合成することにより、強度と位置の相関関係(強度分布)を解消して均一化するものであるが、光束の分割方式の違いにより、大別して2つの方式がある。一つは、複数のレンズを2次元的に配置してなるレンズアレイ(フライアイレンズ)を使用して空間的に光束を分割するフライアイタイプであり、もう一つは、ガラスのロッドや内面をミラーにした中空のロッドを使用して、光束を多重反射により角度的に分割するロッドタイプである。なお、フライアイタイプのオプティカルインテグレータにおけるレンズ形状や、ロッドタイプのオプティカルインテグレータにおける断面形状を、照明する空間光変調素子と相似形状にすることにより、光源と空間光変調素子の形状が互いに異なっても効率良く照明することが可能である。
【0005】
特許文献1には、上述のようなオプティカルインテグレータを用いた照明光学系の一例が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特許第3317298号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記オプティカルインテグレータのうちロッドタイプのものは、全長をより大きくするほど、照明光の強度分布を均一化する効果が高くなる。
【0008】
また、前述したような露光装置においては、露光画像のピントずれを防止する観点から、全長がより大きいオプティカルインテグレータの使用が望まれる。以下、この点について詳しく説明する。上記のピントずれを防止する上では、空間光変調素子の後段に配される光学系の焦点深度を大きく設定することが効果的であり、そのためには、被照明体側の開口数NA(以下、照明NAという)を小さくすることが望まれる。ここで、この照明NAに関して、光源のEtendeu(エタンデュー)の概念から検討する。
【0009】
まず、エタンデューの詳細について、図17を参照して説明する。空間光変調素子を照明するということは、大まかに言えば(工夫して均一分布にするにしても)、ある光源の像を空間光変調素子に結像するということである。ここで、光源の面積をS1、光学倍率をβとすると、図17に示すように、像の面積S2はβ2に比例し(S2=β2S1)、光線と光軸のなす角θは倍率βに逆比例する(θ2=θ1/β)。つまり、S1θ1 2=S2θ2 2となる。ここで、立体角Ωはθ2にほぼ比例するので、Ω1・S1≒Ω2・S2 すなわち、光源面積と立体角の積は一定となる。
【0010】
厳密に考えると、理想レンズによる光束の伝達は、
光束:e=∫S∫Ωcosθ・dS・dΩ
で表される。θが十分小さい(F値2.5以上)ときには、cosθ≒1であるので、
光束:e=Ω1・S1≒Ω2・S2
とみなせる。このΩ・Sがエタンデューである。理想的な無収差・透過率100%の光学系を想定すると、エタンデューは保存される。なお、理想レンズを挟んだ両側の光学系が共役な関係になくても、エタンデューは保存されることが知られている。つまり、光源側のエタンデューとは、光源から発せられる光束の空間的拡がりを表し、照明される側(空間光変調素子側)のエタンデューとは、受け入れることのできる光束の空間的拡がりを表している。
【0011】
ここで、計算例を示す。
【0012】
<光源側のエタンデューEs>
(1) アーク長4mmの放電ランプの場合
光源を直径1mm、長さ4mmの円柱とし、側面から等方的に光が放出されるものとすると、
Es=π・1・4・2π≒80mm2・str(ステラジアン)
(2) ファイバ光源の場合
一例として、レーザ光を伝搬させる光ファイバが複数、バンドル状に配設されてなる光源を考える。バンドルの出射部サイズが0.7×0.7mm、光ファイバの開口数NAが0.2(≒11.5deg)とすると、
Es=2π・(1−cos11.5)・0.7・0.7≒0.06mm2・str
となり、この場合はエタンデューが非常に小さいものとなる。
【0013】
<空間光変調素子側のエタンデューEcおよび上記光源側エタンデューEsから求められる空間光変調素子側の光入射角度(照明NA)>
一例として空間光変調素子の画素数を1024×768、画素ピッチを13.68μmとし、損失が無いとした場合について計算する。
【0014】
(1) 上記放電ランプの場合
Es=Ec=2π・(1−cosθ)・1024・768・13.682/10002=80
照明NA=sinθ≒0.4
(2) 上記ファイバ光源の場合
Es=Ec=2π・(1−cosθ)・1024・768・13.682/10002=0.06
照明NA=sinθ≒0.01
以上から明らかな通り、光源側のエタンデューEsが小さいほど照明NAを小さくすることができる。
【0015】
また、エタンデューから考えると、光源側のエタンデューEsと照明される空間光変調素子側のエタンデューEcがEs<Ecの関係にあるとき、途中の光学系の損失が無ければ、光源からの光を全て利用できることになる。しかし、光源に上記のようなランプを使用した場合、ランプのエタンデューが大きいため、効率良く照明するためには、照明NAを非常に大きくしなければならない。
【0016】
例えば、上述した通りアーク長4mmの放電ランプで、画素数1024×768、画素ピッチ13.68μmの空間光変調素子を照明する場合、放電ランプのエタンデューは約80mm2・strであり、空間光変調素子のエタンデューを同じにして効率良く照明するためには、照明NAを0.4にしなければならない。空間光変調素子の像を結像レンズで感光材料に結像して露光し、空間光変調素子からの光を効率良く使用するためには、当然結像レンズのNAも0.4以上(F値では1.25)とする必要があり、そうであると結像レンズの焦点深度は非常に小さくなってしまう。
【0017】
図18は、光源側エタンデューEsが比較的大きくて照明NAも大きい場合(a)と、光源側エタンデューEsが比較的小さくて照明NAも小さい場合(b)とについて、結像レンズの焦点深度を比較して示すものである。ここに示される通り、一般に幾何光学的に考えれば、レンズのNAが小さいほど焦点深度は大きくなる。
【0018】
光源側エタンデューEsが大きい場合は、温度変動や機械的な変動が装置に生じたり、感光材料の厚さバラツキや反りなどがあると、焦点深度が非常に小さいことから、露光画像のピントがずれてしまうという問題が発生する。
【0019】
それに対して、例えば上記ファイバ光源を用いる場合、光源側のエタンデューEsは0.06mm2・strで、照明NAは約0.01と極めて小さくなり、結像レンズの焦点深度が大きくなって、上記ピントずれの問題を防止可能となる。
【0020】
以上説明の通り、光源のエタンデューが小さいほど照明NAが小さくなって、露光画像のピントずれを防止できることになるが、照明NAが小さい場合は、照明光の強度分布をより高度に均一化する必要があり、そこで、全長のより大きなオプティカルインテグレータが必要となる。
【0021】
以上述べたように、ロッドタイプのオプティカルインテグレータにあっては、より全長の大きいものが望まれているが、全長の大きいものは加工が難しくなるという問題がある。その点について、以下、具体的に説明する。
【0022】
例えば照明NAが0.02の場合に、断面が約4mm×1mmの長方形で全長が140mmのオプティカルインテグレータを使用して、照明光の強度均一度を約90%にできるが、全長が100mm以上のオプティカルインテグレータは研磨等の加工が困難であり、全長が140mmのものは非常に加工困難である。全長がそれ以上になると、現実的に加工は不可能に近い。前述の露光装置においては、露光画像の高精細化のために照明NAをさらに小さくしたいという要求もあり、例えば該照明NAを上記値の半分の0.01として、照明光の強度均一度は同等に確保しようとすると、単純計算では全長が280mmのオプティカルインテグレータが必要となる。そのようなオプティカルインテグレータを作製するのは、現実的には不可能である。
【0023】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、作製の容易なロッドタイプのオプティカルインテグレータを用いて、照明光強度を高度に均一化できる照明光学系を提供することを目的とする。
【0024】
また本発明は、上述のような照明光学系を適用して、高精細な画像を感光材料に露光することができる露光装置を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明による照明光学系は、
前述したようにDMD等の空間光変調素子に照明光を照射する光源と、
この光源と前記空間光変調素子との間に配され、該空間光変調素子に照射される前記照明光の強度分布を一様化するロッドタイプのオプティカルインテグレータとを備えてなる照明光学系において、
オプティカルインテグレータが、照明光の通過方向に直列に配して複数設けられていることを特徴とするものである。
【0026】
なおこの本発明の照明光学系は、光源のエタンデューが1mm2・str以下であることを前提として構成されることが特に好ましい。
【0027】
また本発明の照明光学系において、光源は、複数のレーザ光を1本の光ファイバに入射させて合波し、さらにこの光ファイバを複数並べてバンドル状とした構成のものを好適に用いることができる。
【0028】
一方、本発明による露光装置は、上述の本発明による照明光学系から発せられた照明光を前記空間光変調素子により所定の画像信号に基づいて変調し、この変調された照明光による光像で感光材料を露光させる構成を有するものである。
【0029】
【発明の効果】
本発明の照明光学系においては、ロッドタイプのオプティカルインテグレータが、照明光の通過方向に直列に配して複数設けられているので、照明光強度を均一化する上では基本的に、それらを合計した長さを有する1個のオプティカルインテグレータを用いた場合と同等の効果が得られる。したがってこの照明光学系は、各オプティカルインテグレータとして全長が比較的短くて作製容易なものを用いても、全長の長いオプティカルインテグレータを1個用いた場合と同様に、照明光強度を高度に均一化できるものとなる。
【0030】
特に光源のエタンデューが1mm2・str以下と小さい(つまり照明NAが小さい)場合は、前述した通り照明光の強度分布をより高度に均一化する必要があるが、本発明の照明光学系は上述のように複数のオプティカルインテグレータを用いているので、この要求に応えられるものとなる。例えば前述の計算例と同じ条件では、光源のエタンデューが1mm2・strの場合、照明NA≒sinθ≒0.04であり、単純計算ではオプティカルインテグレータの全長は70mm以上必要となる。前述のようにオプティカルインテグレータは、全長が100mm以上では加工が困難となるため、エタンデューが1mm2・str以下で全長が70mm以上必要となる光源を使用する場合、本発明の適用が可能となる。また、このように光源のエタンデューが小さくて照明NAが小さい場合は、オプティカルインテグレータ内を全反射しながら伝搬する光の全反射角がより小さくなるので、複数のオプティカルインテグレータどうしの間に隙間が存在していても、光の伝搬損失がより少なく抑えられるようになる。
【0031】
ただし一般的には、光の伝搬損失を少なく抑えるために、複数のオプティカルインテグレータどうしの間の隙間は無い方が好ましく、隙間が有る場合でも、それは1mm以下程度とするのが望ましい。
【0032】
一方、本発明による露光装置は、上述のように複数のオプティカルインテグレータを用いて照明光強度を高度に均一化できる照明光学系が用いられたものであるから、照明光強度の不均一を無くして、高精細な画像を感光材料に露光可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0034】
なおここでは、本発明の一実施形態による照明光学系および画像露光装置を説明するが、まず画像露光装置について詳しく説明する。
【0035】
[画像露光装置の構成]
この画像露光装置は、図1に示すように、シート状の感光材料150を表面に吸着して保持する平板状の移動ステージ152を備えている。4本の脚部154に支持された厚い板状の設置台156の上面には、ステージ移動方向に沿って延びた2本のガイド158が設置されている。ステージ152は、その長手方向がステージ移動方向を向くように配置されると共に、ガイド158によって往復移動可能に支持されている。なお、この画像露光装置には、副走査手段としてのステージ152をガイド158に沿って駆動する後述のステージ駆動装置304(図15参照)が設けられている。
【0036】
設置台156の中央部には、ステージ152の移動経路を跨ぐようにコ字状のゲート160が設けられている。コ字状のゲート160の端部の各々は、設置台156の両側面に固定されている。このゲート160を挟んで一方の側にはスキャナ162が設けられ、他方の側には感光材料150の先端および後端を検知する複数(例えば2個)のセンサ164が設けられている。スキャナ162およびセンサ164はゲート160に各々取り付けられて、ステージ152の移動経路の上方に固定配置されている。なお、スキャナ162およびセンサ164は、これらを制御する図示しないコントローラに接続されている。
【0037】
スキャナ162は、図2および図3(B)に示すように、m行n列(例えば3行5列)の略マトリックス状に配列された複数(例えば14個)の露光ヘッド166を備えている。この例では、感光材料150の幅との関係で、3行目には4個の露光ヘッド166を配置してある。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドを示す場合は、露光ヘッド166mnと表記する。
【0038】
露光ヘッド166による露光エリア168は、副走査方向を短辺とする矩形状である。従って、ステージ152の移動に伴い、感光材料150には露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。なお、m行目のn列目に配列された個々の露光ヘッドによる露光エリアを示す場合は、露光エリア168mnと表記する。
【0039】
また、図3(A)および(B)に示すように、帯状の露光済み領域170が副走査方向と直交する方向に隙間無く並ぶように、ライン状に配列された各行の露光ヘッドの各々は、配列方向に所定間隔(露光エリアの長辺の自然数倍、本例では2倍)ずらして配置されている。このため、1行目の露光エリア16811と露光エリア16812との間の露光できない部分は、2行目の露光エリア16821と3行目の露光エリア16831とにより露光することができる。
【0040】
露光ヘッド16611〜166mn各々は、図4および図5に示すように、入射された光ビームを画像データに応じて各画素毎に変調する空間光変調素子として、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)50を備えている。このDMD50は、データ処理部とミラー駆動制御部とを備えた後述のコントローラ302(図15参照)に接続されている。このコントローラ302のデータ処理部では、入力された画像データに基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の制御すべき領域内の各マイクロミラーを駆動制御する制御信号を生成する。なお、制御すべき領域については後述する。また、ミラー駆動制御部では、画像データ処理部で生成した制御信号に基づいて、各露光ヘッド166毎にDMD50の各マイクロミラーの反射面の角度を制御する。なお、反射面の角度の制御については後述する。
【0041】
DMD50の光入射側には、光ファイバの出射端部(発光点)が露光エリア168の長辺方向と対応する方向に沿って一列に配列されたレーザ出射部を備えたファイバアレイ光源66、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光を補正してDMD上に集光させるレンズ系67、このレンズ系67を透過したレーザ光をDMD50に向けて反射するミラー69がこの順に配置されている。なお図4では、レンズ系67を概略的に示してある。
【0042】
上記レンズ系67は、図5に詳しく示すように、ファイバアレイ光源66から出射した照明光としてのレーザ光Bを集光する集光レンズ71、この集光レンズ71を通過した光の光路に挿入された一例として3個のロッド状オプティカルインテグレータ(以下、ロッドインテグレータという)72A、72B、72C、およびこれらのロッドインテグレータ72A〜Cの前方つまりミラー69側に配置された結像レンズ74から構成されている。ロッドインテグレータ72A〜Cはそれぞれ、ファイバアレイ光源66から出射したレーザ光を、平行光に近くかつビーム断面内強度が均一化された光束としてDMD50に入射させる。これらのロッドインテグレータ72A〜Cの形状や作用については、後に詳しく説明する。
【0043】
上記レンズ系67から出射したレーザ光Bはミラー69で反射し、TIR(全反射)プリズム70を介してDMD50に照射される。なお図4では、このTIRプリズム70は省略してある。
【0044】
またDMD50の光反射側には、DMD50で反射されたレーザ光Bを、記録媒体としての感光材料150上に結像する結像光学系51が配置されている。この結像光学系51は図4では概略的に示してあるが、図5に詳細を示すように、レンズ系52,54からなる第1結像光学系と、レンズ系57,58からなる第2結像光学系と、これらの結像光学系の間に挿入されたマイクロレンズアレイ55と、アパーチャアレイ59とから構成されている。上記のマイクロレンズアレイ55は、DMD50の各画素に対応する多数のマイクロレンズ55aが配置されてなるものである。このマイクロレンズ55aは、一例として焦点距離が0.19mm、NA(開口数)が0.11のものである。またアパーチャアレイ59は、マイクロレンズアレイ55の各マイクロレンズ55aに対応する多数のアパーチャ59aが形成されてなるものである。
【0045】
上記第1結像光学系は、DMD50による像を3倍に拡大してマイクロレンズアレイ55上に結像する。そして第2結像光学系は、マイクロレンズアレイ55を経た像を1.67倍に拡大して感光材料150上に結像、投影する。したがって全体では、DMD50による像が5倍に拡大して感光材料150上に結像、投影されることになる。
【0046】
なお本例では、第2結像光学系と感光材料150との間にプリズムペア73が配設され、このプリズムペア73を図5中で上下方向に移動させることにより、感光材料150上における像のピントを調節可能となっている。なお同図中において、感光材料150は矢印Y方向に副走査送りされる。
【0047】
DMD50は図6に示すように、SRAMセル(メモリセル)60上に、微小ミラー(マイクロミラー)62が支柱により支持されて配置されたものであり、画素(ピクセル)を構成する多数の(例えば1024個×768個)の微小ミラーを格子状に配列して構成されたミラーデバイスである。各ピクセルには、最上部に支柱に支えられたマイクロミラー62が設けられており、マイクロミラー62の表面にはアルミニウム等の反射率の高い材料が蒸着されている。なお、マイクロミラー62の反射率は90%以上である。また、マイクロミラー62の直下には、ヒンジおよびヨークを含む支柱を介して通常の半導体メモリの製造ラインで製造されるシリコンゲートのCMOSのSRAMセル60が配置されており、全体はモノリシックに構成されている。
【0048】
DMD50のSRAMセル60にデジタル信号が書き込まれると、支柱に支えられたマイクロミラー62が、対角線を中心としてDMD50が配置された基板側に対して±α度(例えば±10度)の範囲で傾けられる。図7(A)は、マイクロミラー62がオン状態である+α度に傾いた状態を示し、図7(B)は、マイクロミラー62がオフ状態である−α度に傾いた状態を示す。したがって、画像信号に応じて、DMD50の各ピクセルにおけるマイクロミラー62の傾きを、図6に示すように制御することによって、DMD50に入射したレーザ光Bはそれぞれのマイクロミラー62の傾き方向へ反射される。
【0049】
なお図6には、DMD50の一部を拡大し、マイクロミラー62が+α度又は−α度に制御されている状態の一例を示す。それぞれのマイクロミラー62のオンオフ制御は、DMD50に接続された上記コントローラ302によって行われる。また、オフ状態のマイクロミラー62で反射したレーザ光Bが進行する方向には、光吸収体(図示せず)が配置されている。
【0050】
また、DMD50は、その短辺が副走査方向と所定角度θ(例えば、1°〜5°)を成すように僅かに傾斜させて配置するのが好ましい。図8(A)はDMD50を傾斜させない場合の各マイクロミラーによる反射光像(露光ビーム)53の走査軌跡を示し、図8(B)はDMD50を傾斜させた場合の露光ビーム53の走査軌跡を示している。
【0051】
DMD50には、長手方向にマイクロミラーが多数個(例えば1024個)配列されたマイクロミラー列が、短手方向に多数組(例えば756組)配列されているが、図8(B)に示すように、DMD50を傾斜させることにより、各マイクロミラーによる露光ビーム53の走査軌跡(走査線)のピッチP1が、DMD50を傾斜させない場合の走査線のピッチP2より狭くなり、解像度を大幅に向上させることができる。一方、DMD50の傾斜角は微小であるので、DMD50を傾斜させた場合の走査幅W2と、DMD50を傾斜させない場合の走査幅W1とは略同一である。
【0052】
また、異なるマイクロミラー列により同じ走査線上が重ねて露光(多重露光)されることになる。このように、多重露光されることで、露光位置の微少量をコントロールすることができ、高精細な露光を実現することができる。また、主走査方向に配列された複数の露光ヘッドの間のつなぎ目を微少量の露光位置制御により段差無くつなぐことができる。
【0053】
なお、DMD50を傾斜させる代わりに、各マイクロミラー列を副走査方向と直交する方向に所定間隔ずらして千鳥状に配置しても、同様の効果を得ることができる。
【0054】
ファイバアレイ光源66は図9aに示すように、複数(例えば14個)のレーザモジュール64を備えており、各レーザモジュール64には、マルチモード光ファイバ30の一端が結合されている。マルチモード光ファイバ30の他端には、コア径がマルチモード光ファイバ30と同一で且つクラッド径がマルチモード光ファイバ30より小さい光ファイバ31が結合されている。図9bに詳しく示すように、マルチモード光ファイバ31の光ファイバ30と反対側の端部は副走査方向と直交する主走査方向に沿って7個並べられ、それが2列に配列されてレーザ出射部68が構成されている。
【0055】
マルチモード光ファイバ31の端部で構成されるレーザ出射部68は、図9bに示すように、表面が平坦な2枚の支持板65に挟み込まれて固定されている。また、マルチモード光ファイバ31の光出射端面には、その保護のために、ガラス等の透明な保護板が配置されるのが望ましい。マルチモード光ファイバ31の光出射端面は、光密度が高いため集塵し易く劣化し易いが、上述のような保護板を配置することにより、端面への塵埃の付着を防止し、また劣化を遅らせることができる。
【0056】
本例では図10に示すように、クラッド径が大きいマルチモード光ファイバ30のレーザ光出射側の先端部分に、長さ1〜30cm程度のクラッド径が小さい光ファイバ31が同軸的に結合されている。それらの光ファイバ30,31は、それぞれのコア軸が一致する状態で光ファイバ31の入射端面を光ファイバ30の出射端面に融着することにより結合されている。上述した通り、光ファイバ31のコア31aの径は、マルチモード光ファイバ30のコア30aの径と同じ大きさである。
【0057】
マルチモード光ファイバ30および光ファイバ31としては、ステップインデックス型光ファイバ、グレーテッドインデックス型光ファイバ、および複合型光ファイバの何れでもよい。例えば、三菱電線工業株式会社製のステップインデックス型光ファイバを用いることができる。本例では、マルチモード光ファイバ30および光ファイバ31は、ステップインデックス型光ファイバであり、マルチモード光ファイバ30は、クラッド径=125μm、コア径=50μm、NA=0.2、入射端面コートの透過率=99.5%以上であり、光ファイバ31は、クラッド径=60μm、コア径=50μm、NA=0.2である。
【0058】
但し、光ファイバ31のクラッド径は60μmには限定されない。従来のファイバ光源に使用されている光ファイバのクラッド径は125μmであるが、クラッド径が小さくなるほど焦点深度がより深くなるので、マルチモード光ファイバのクラッド径は80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。一方、コア径は少なくとも3〜4μm必要であることから、光ファイバ31のクラッド径は10μm以上が好ましい。
【0059】
レーザモジュール64は、図11に示す合波レーザ光源(ファイバ光源)によって構成されている。この合波レーザ光源は、ヒートブロック10上に配列固定された複数(例えば7個)のチップ状の横マルチモード又はシングルモードのGaN系半導体レーザLD1,LD2,LD3,LD4,LD5,LD6,およびLD7と、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各々に対応して設けられたコリメータレンズ11,12,13,14,15,16および17と、1つの集光レンズ20と、1本のマルチモード光ファイバ30とから構成されている。なお、半導体レーザの個数は7個に限定されるものではなく、その他の個数が採用されてもよい。また、上述のような7個のコリメータレンズ11〜17に代えて、それらのレンズが一体化されてなるコリメータレンズアレイを用いることもできる。
【0060】
GaN系半導体レーザLD1〜LD7は、発振波長が総て共通(例えば、405nm)であり、最大出力も総て共通(例えば、マルチモードレーザでは100mW、シングルモードレーザでは30mW)である。なお、GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、350nm〜450nmの波長範囲で、上記の405nm以外の発振波長を備えるレーザを用いてもよい。
【0061】
上記の合波レーザ光源は、図12および図13に示すように、他の光学要素と共に、上方が開口した箱状のパッケージ40内に収納されている。パッケージ40は、その開口を閉じるように作成されたパッケージ蓋41を備えており、脱気処理後に封止ガスを導入し、パッケージ40の開口をパッケージ蓋41で閉じることにより、それらによって形成される閉空間(封止空間)内に上記合波レーザ光源が気密封止されている。
【0062】
パッケージ40の底面にはベース板42が固定されており、このベース板42の上面には、前記ヒートブロック10と、集光レンズ20を保持する集光レンズホルダー45と、マルチモード光ファイバ30の入射端部を保持するファイバホルダー46とが取り付けられている。マルチモード光ファイバ30の出射端部は、パッケージ40の壁面に形成された開口からパッケージ外に引き出されている。
【0063】
また、ヒートブロック10の側面にはコリメータレンズホルダー44が取り付けられており、そこにコリメータレンズ11〜17が保持されている。パッケージ40の横壁面には開口が形成され、この開口を通してGaN系半導体レーザLD1〜LD7に駆動電流を供給する配線47がパッケージ外に引き出されている。
【0064】
なお、図13においては、図の煩雑化を避けるために、複数のGaN系半導体レーザのうちGaN系半導体レーザLD7にのみ番号を付し、複数のコリメータレンズのうちコリメータレンズ17にのみ番号を付している。
【0065】
図14は、上記コリメータレンズ11〜17の取り付け部分の正面形状を示すものである。コリメータレンズ11〜17の各々は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取った形状に形成されている。この細長形状のコリメータレンズは、例えば、樹脂又は光学ガラスをモールド成形することによって形成することができる。コリメータレンズ11〜17は、長さ方向がGaN系半導体レーザLD1〜LD7の発光点の配列方向(図14の左右方向)と直交するように、上記発光点の配列方向に密接配置されている。
【0066】
一方GaN系半導体レーザLD1〜LD7としては、発光幅が2μmの活性層を備え、活性層と平行な方向、直角な方向の拡がり角が各々例えば10°、30°の状態で各々レーザ光B1〜B7を発するレーザが用いられている。これらGaN系半導体レーザLD1〜LD7は、活性層と平行な方向に発光点が1列に並ぶように配設されている。
【0067】
したがって、各発光点から発せられたレーザ光B1〜B7は、上述のように細長形状の各コリメータレンズ11〜17に対して、拡がり角度が大きい方向が長さ方向と一致し、拡がり角度が小さい方向が幅方向(長さ方向と直交する方向)と一致する状態で入射することになる。つまり、各コリメータレンズ11〜17の幅が1.1mm、長さが4.6mmであり、それらに入射するレーザ光B1〜B7の水平方向、垂直方向のビーム径は各々0.9mm、2.6mmである。また、コリメータレンズ11〜17の各々は、焦点距離f1=3mm、NA=0.6、レンズ配置ピッチ=1.25mmである。
【0068】
集光レンズ20は、非球面を備えた円形レンズの光軸を含む領域を平行な平面で細長く切り取って、コリメータレンズ11〜17の配列方向、つまり水平方向に長く、それと直角な方向に短い形状に形成されている。この集光レンズ20は、焦点距離f2=23mm、NA=0.2である。この集光レンズ20も、例えば樹脂又は光学ガラスをモールド成形することにより形成される。
【0069】
次に図15を参照して、本例の画像露光装置における電気的な構成について説明する。ここに示されるように全体制御部300には変調回路301が接続され、該変調回路301にはDMD50を制御するコントローラ302が接続されている。また全体制御部300には、レーザモジュール64を駆動するパルス駆動回路303が接続されている。さらにこの全体制御部300には、前記ステージ152を駆動するステージ駆動装置304が接続されている。
【0070】
[画像露光装置の動作]
次に、上記画像露光装置の動作について説明する。スキャナ162の各露光ヘッド166において、ファイバアレイ光源66の合波レーザ光源を構成するGaN系半導体レーザLD1〜LD7(図11参照)の各々から発散光状態で出射したレーザ光B1,B2,B3,B4,B5,B6,およびB7の各々は、対応するコリメータレンズ11〜17によって平行光化される。平行光化されたレーザ光B1〜B7は、集光レンズ20によって集光され、マルチモード光ファイバ30のコア30aの入射端面上で収束する。
【0071】
本例では、コリメータレンズ11〜17および集光レンズ20によって集光光学系が構成され、その集光光学系とマルチモード光ファイバ30とによって合波光学系が構成されている。すなわち、集光レンズ20によって上述のように集光されたレーザ光B1〜B7が、このマルチモード光ファイバ30のコア30aに入射して光ファイバ内を伝搬し、1本のレーザ光Bに合波されてマルチモード光ファイバ30の出射端部に結合された光ファイバ31から出射する。
【0072】
各レーザモジュールにおいて、レーザ光B1〜B7のマルチモード光ファイバ30への結合効率が0.85で、GaN系半導体レーザLD1〜LD7の各出力が30mWの場合には、アレイ状に配列された光ファイバ31の各々について、出力180mW(=30mW×0.85×7)の合波レーザ光Bを得ることができる。したがって、14本のマルチモード光ファイバ31全体では、2.52W(=0.18W×17)の出力のレーザ光Bが得られる。
【0073】
画像露光に際しては、図15に示す変調回路301から露光パターンに応じた画像データがDMD50のコントローラ302に入力され、そのフレームメモリに一旦記憶される。この画像データは、画像を構成する各画素の濃度を2値(ドットの記録の有無)で表したデータである。
【0074】
感光材料150を表面に吸着したステージ152は、図15に示すステージ駆動装置304により、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。ステージ152がゲート160下を通過する際に、ゲート160に取り付けられたセンサ164により感光材料150の先端が検出されると、フレームメモリに記憶された画像データが複数ライン分ずつ順次読み出され、データ処理部で読み出された画像データに基づいて各露光ヘッド166毎に制御信号が生成される。そして、ミラー駆動制御部により、生成された制御信号に基づいて各露光ヘッド166毎にDMD50のマイクロミラーの各々がオンオフ制御される。なお本例の場合、1画素部となる上記マイクロミラーのサイズは14μm×14μmである。
【0075】
ファイバアレイ光源66からDMD50にレーザ光Bが照射されると、DMD50のマイクロミラーがオン状態のときに反射されたレーザ光は、レンズ系54、58により感光材料150上に結像される。このようにして、ファイバアレイ光源66から出射されたレーザ光が画素毎にオンオフされて、感光材料150がDMD50の使用画素数と略同数の画素単位(露光エリア168)で露光される。また、感光材料150がステージ152と共に一定速度で移動されることにより、感光材料150がスキャナ162によりステージ移動方向と反対の方向に副走査され、各露光ヘッド166毎に帯状の露光済み領域170が形成される。
【0076】
なお本例では、図16(A)および(B)に示すように、DMD50には、主走査方向にマイクロミラーが1024個配列されたマイクロミラー列が副走査方向に768組配列されているが、本例では、コントローラ302により一部のマイクロミラー列(例えば、1024個×256列)だけが駆動するように制御がなされる。
【0077】
この場合、図16(A)に示すようにDMD50の中央部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよく、図16(B)に示すように、DMD50の端部に配置されたマイクロミラー列を使用してもよい。また、一部のマイクロミラーに欠陥が発生した場合は、欠陥が発生していないマイクロミラー列を使用するなど、状況に応じて使用するマイクロミラー列を適宜変更してもよい。
【0078】
DMD50のデータ処理速度には限界があり、使用する画素数に比例して1ライン当りの変調速度が決定されるので、一部のマイクロミラー列だけを使用することで1ライン当りの変調速度が速くなる。一方、連続的に露光ヘッドを露光面に対して相対移動させる露光方式の場合には、副走査方向の画素を全部使用する必要はない。
【0079】
スキャナ162による感光材料150の副走査が終了し、センサ164で感光材料150の後端が検出されると、ステージ152は、ステージ駆動装置304により、ガイド158に沿ってゲート160の最上流側にある原点に復帰し、再度、ガイド158に沿ってゲート160の上流側から下流側に一定速度で移動される。
【0080】
次に、図5に示したファイバアレイ光源66、集光レンズ71、ロッドインテグレータ72A〜C、結像レンズ74、ミラー69およびTIRプリズム70から構成されてDMD50に照明光としてのレーザ光Bを照射する照明光学系について説明する。ロッドインテグレータ72A〜Cは各々、例えば四角柱状に形成された透光性ロッドであり、その内部をレーザ光Bが全反射しながら進行するうちに、該レーザ光Bのビーム断面内強度分布が均一化される。なお、ロッドインテグレータ72A〜Cの入射端面、出射端面には反射防止膜をコートして、透過率を向上させている。
【0081】
ロッドインテグレータによる光強度分布均一化の効果は、その全長がより長いほど大となるが、本実施形態においては合計3個のロッドインテグレータ72A〜Cが用いられており、この場合は基本的に、それらのロッドインテグレータ72A〜Cの全長を足し合わせた長さのロッドインテグレータを用いるのと同等の効果が得られる。
【0082】
そしてロッドインテグレータは全長が長いほど割れ、カケ等が生じやすくなって作製が困難になるが、全体で高度の光強度分布均一化の効果を得る場合でも、3個のロッドインテグレータ72A〜Cの各々は比較的短いもので済み、そのようなロッドインテグレータ72A〜Cは容易に作製可能である。例えば、ロッドインテグレータ72A〜Cの各々として全長100mmのものを用いる場合、それらは比較的容易に作製可能であるが、全体として、現実的に作製不可能な全長300mmのロッドインテグレータを1個用いる場合と同等の光強度分布均一化効果を得ることができる。
【0083】
また本実施形態の画像露光装置は、上述のように複数のロッドインテグレータ72A〜Cを用いて、照明光であるレーザ光Bのビーム断面内強度分布を高度に均一化できる照明光学系が適用されたものであるから、照明光強度の不均一を無くして、高精細な画像を感光材料に露光可能となる。
【0084】
なお、本発明において用いるオプティカルインテグレータの個数は、上に示した実施形態における3個に限られるものではなく、2個以上であれば何個のオプティカルインテグレータが用いられてもよい。
【0085】
また上記実施形態では、3個のロッドインテグレータ72A〜Cは互いに微少な隙間を置いて配置されているが、光の伝搬損失を少なく抑える上ではロッドインテグレータ72A〜Cどうしの間の隙間は無い方が好ましく、隙間が有る場合でも、それは1mm以下程度とするのが望ましい。
【0086】
また、以上説明した実施の形態においては、光源としてファイバ光源12が用いられているが、本発明ではそのような光源に限らず、その他例えば通常の1個の半導体レーザや、あるいは複数の発光点を有するマルチキャビティ半導体レーザや、さらには複数の半導体レーザがアレイ状に配設されてなるアレイレーザ等も好適に使用することができる。
【0087】
さらに、上記のファイバ光源を用いる場合も、複数の半導体レーザから発せられたレーザ光を1本の光ファイバにおいて合波させることは必ずしも必要ではなく、1個の半導体レーザから発せられたレーザ光を1本の光ファイバにおいて導波させ、そのような光ファイバの複数あるいは1本から光源を構成することもできる。図19は、そのように1個の半導体レーザから発せられたレーザ光を1本の光ファイバにおいて導波させるファイバ光源の一例を示すものである。以下、この図19の構成について詳しく説明する。
【0088】
同図の(a)および(b)はそれぞれ、本ファイバ光源の側面形状と平面形状を示すものである。なおこの場合、上記側面形状および平面形状は各々、半導体レーザLD400の活性層に垂直な面内、平行な面内の形状となっている。図示の通りこのファイバ光源は、半導体レーザLD400と、該半導体レーザLD400から射出された発散光状態のレーザ光Bを上記活性層に垂直な面内のみで集光するシリンドリカルレンズ401と、このシリンドリカルレンズ401を通過したレーザ光Bを上記活性層に平行な面内のみで集光するシリンドリカルレンズ402と、このシリンドリカルレンズ402を通過したレーザ光Bを上記活性層に垂直な面内のみで集光するシリンドリカルレンズ403と、このシリンドリカルレンズ403を通過したレーザ光Bを上記活性層に平行な面内のみで集光するシリンドリカルレンズ404と、このシリンドリカルレンズ404を通過して収束光となったレーザ光Bが一端から入射するように配置された光ファイバ405とから構成されている。
【0089】
上記半導体レーザLD400としては、例えば活性層に垂直な方向、平行な方向の発光層幅が各々0.5μm、30μm、発振波長が400〜420nm、出力が100〜200mWのブロードストライプタイプ半導体レーザが用いられている。一方光ファイバ405としては、クラッド径=60μm、コア径=50μm、NA=0.2のシングルモードあるいはマルチモード光ファイバが用いられている。
【0090】
また上記活性層に垂直な面内におけるシリンドリカルレンズ401、403のNAはそれぞれ0.6、0.2であり、これらのシリンドリカルレンズ401、403により、上記活性層に垂直な面内におけるレーザ光BのNAを、光ファイバ405のNA以下に変換している。そして、上記活性層に平行な面内におけるシリンドリカルレンズ402、404のNAは共に0.2であり、これらのシリンドリカルレンズ402および404により、上記活性層に平行な面内については等倍結像光学系が構成されている。すなわち、半導体レーザLD400の活性層と平行な方向の発光層幅30μmが、そのまま光ファイバ405のコア端面に結像される。
【0091】
本発明では、上記の構成を1つだけ用いて光源としてもよいが、該構成を複数用い、それぞれの光ファイバ405をバンドル化して、高精度のファイバアレイ光源を形成することも可能である。
【0092】
なお上記の構成においては、4つのシリンドリカルレンズ401〜404によってビーム整形光学系を形成しているが、シリンドリカルレンズ以外の要素を用いてビーム整形光学系を形成することも勿論可能である。また半導体レーザも、ブロードストライプタイプのものに限らず、その他のタイプの半導体レーザを適宜選択して使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である照明光学系が適用された画像露光装置の外観を示す斜視図
【図2】図1の画像露光装置のスキャナの構成を示す斜視図
【図3】(A)は感光材料に形成される露光済み領域を示す平面図、(B)は各露光ヘッドによる露光エリアの配列を示す図
【図4】図1の画像露光装置の露光ヘッドの概略構成を示す斜視図
【図5】本発明の一実施形態である照明光学系を含む露光ヘッドの、光軸に沿った副走査方向の断面図
【図6】デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の構成を示す部分拡大図
【図7】(A)および(B)はDMDの動作を説明するための説明図
【図8】(A)および(B)は、DMDを傾斜配置しない場合と傾斜配置する場合とで、露光ビームの配置および走査線を比較して示す平面図
【図9a】ファイバアレイ光源の構成を示す斜視図
【図9b】ファイバアレイ光源のレーザ出射部における発光点の配列を示す正面図
【図10】マルチモード光ファイバの構成を示す図
【図11】合波レーザ光源の構成を示す平面図
【図12】レーザモジュールの構成を示す平面図
【図13】図12に示すレーザモジュールの構成を示す側面図
【図14】図12に示すレーザモジュールの構成を示す部分正面図
【図15】上記画像露光装置の電気的構成を示すブロック図
【図16】(A)および(B)は、DMDの使用領域の例を示す図
【図17】エタンデューの概念を説明する図
【図18】照明光学系における照明NAと焦点深度との関係を説明する図
【図19】本発明に用いられるファイバ光源の別の例を示す側面図(a)と平面図(b)
【符号の説明】
LD1〜LD7 GaN系半導体レーザ
LD400 半導体レーザ
30、31 マルチモード光ファイバ
50 デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)
50M DMD上における照明光の照射領域
51 拡大結像光学系
53、54 第1結像光学系のレンズ
55 マイクロレンズアレイ
57、58 第2結像光学系のレンズ
59 アパーチャアレイ
66 レーザモジュール
66 ファイバアレイ光源
68 レーザ出射部
72A〜C ロッドインテグレータ
150 感光材料
152 ステージ
162 スキャナ
166 露光ヘッド
168 露光エリア
170 露光済み領域
401〜404 シリンドリカルレンズ
405 光ファイバ
Claims (7)
- 空間光変調素子に照明光を照射する光源と、
この光源と前記空間光変調素子との間に配され、該空間光変調素子に照射される前記照明光の強度分布を一様化するロッドタイプのオプティカルインテグレータとを備えてなる照明光学系において、
前記オプティカルインテグレータが、前記照明光の通過方向に直列に配して複数設けられていることを特徴とする照明光学系。 - 前記光源のエタンデューが1mm2・str以下であることを特徴とする請求項1記載の照明光学系。
- 前記光源が、複数のレーザ光を1本の光ファイバに入射させて、該光ファイバから合波されたレーザ光を出射させ、
さらにこの光ファイバを複数並べてバンドル状とした構成を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の照明光学系。 - 前記光源が、1つのレーザ光を1本の光ファイバに入射させて該光ファイバから出射させ、
さらにこの光ファイバを複数並べてバンドル状とした構成を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の照明光学系。 - 前記光ファイバのクラッド径が10μm以上80μm以下であることを特徴とする請求項3または4記載の照明光学系。
- 前記空間光変調素子がDMDであることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の照明光学系。
- 請求項1から6いずれか1項記載の照明光学系から発せられた照明光を前記空間光変調素子により所定の画像信号に基づいて変調し、この変調された照明光による光像で感光材料を露光させる構成を有することを特徴とする露光装置。
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