JP2005030008A - マンホールの改築施工方法及びマンホール改築施工用インカッタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】改築後において耐久性を確実に向上する。
【解決手段】インカッタ装置100のカッタ102cを回転させてコンクリート構造体Cを内周側より切削し上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlと下部コンクリート構造物Crl,Csl,Cstとに分断した後、アウトカッタ装置200のカッタ部202Cを回転させて舗装部Rを表面側より切削し内周側舗装構造物Riと外周側舗装構造物Roとに分断し、上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlを、内周側舗装構造物Ri及びマンホール枠2と一体のまま吊り上げて撤去し、対応する新たなコンクリート構造物CadN,CruN,CrlNを残存するコンクリート構造物Crl,Csl,Cst上に設置し、新たなマンホール枠2Nを設置し、残存する外周側舗装構造物Roとの間に充填物を充填する。
【選択図】 図2
【解決手段】インカッタ装置100のカッタ102cを回転させてコンクリート構造体Cを内周側より切削し上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlと下部コンクリート構造物Crl,Csl,Cstとに分断した後、アウトカッタ装置200のカッタ部202Cを回転させて舗装部Rを表面側より切削し内周側舗装構造物Riと外周側舗装構造物Roとに分断し、上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlを、内周側舗装構造物Ri及びマンホール枠2と一体のまま吊り上げて撤去し、対応する新たなコンクリート構造物CadN,CruN,CrlNを残存するコンクリート構造物Crl,Csl,Cst上に設置し、新たなマンホール枠2Nを設置し、残存する外周側舗装構造物Roとの間に充填物を充填する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、老朽化したマンホールの補修時に実施されるマンホールの改築施工方法及びこれに用いるマンホール改築施工用インカッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
舗装路面に設置されたマンホール蓋及びこれを支持するマンホール枠は、長年使用すると、例えば車輌の走行により歪み、変形、損傷等が生じ材料強度が劣化する。このように老朽化したマンホール蓋及びマンホール枠は交換・補修が行われる。
【0003】
このようなマンホール修繕維持工法として、従来、マンホール蓋周辺の舗装部(路盤)を路面カッタ等を用いて円形に切断し、一方でマンホール枠下部のコンクリート構造体をその内周側より手動操作のブレーカーなどを用いて破壊し、さらにアンカーボルトがある場合にはグライダ等を用いて切断し、これらを地上側へと撤去した後、それら撤去物に代わる新たなマンホール枠及びその下部のコンクリート構造物を設置し、さらにマンホール枠の周囲に無収縮モルタル等を充填し、最後に舗装して改築を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−226996号公報(段落番号0002−0009)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には以下の課題が存在する。
【0006】
すなわち、上記のようにコンクリート構造体を手動操作のブレーカーで破壊する場合、大きな振動等を伴いつつ手動操作で作業員がブレーカーを大ざっぱに移動させながらコンクリート構造体を順次破壊することとなる。したがって、実際には、撤去すべき領域のみをきちんと画定して破壊するのは困難であり、本来撤去対象ではない領域(補修後もひきつづき構造体として残存する部分)にもブレーカにより歪みや損傷等を与える可能性がある。このような場合、老朽化に伴ってマンホール蓋、マンホール枠、その下部のコンクリート構造物をせっかく新しくしても、当該痛んだ部分が残存する限り、マンホールとしての耐久性が低下する可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、改築後において耐久性を確実に向上できるマンホールの改築施工方法及びこれに用いるマンホール改築施工用インカッタ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明のマンホール改築施工方法は、略円形のマンホール枠の下方に位置する略環状のコンクリート構造体の内周側に、インカッタ装置の略円盤状のカッタを配置し、前記略円盤状のカッタを回転させて前記コンクリート構造体を前記内周側より全周にわたって切削し、切削位置より上部のコンクリート構造物と下部のコンクリート構造物とに分断し、前記マンホール枠の外周側の舗装部上に、アウトカッタ装置の略円筒状のカッタを配置し、前記略円筒状のカッタを回転させて前記舗装部を表面側より全深さにわたって切削し、切削位置より内周側の舗装構造物と外周側の舗装構造物とに分断し、前記インカッタ装置の前記略円盤状のカッタにより分断された前記上部のコンクリート構造物を、前記アウトカッタ装置の前記略円筒状のカッタにより分断された前記内周側の舗装構造物及びこれに固着した前記マンホール枠と一体のまま吊り上げて、地上側へと撤去し、撤去した前記上部のコンクリート構造物に対応する新たなコンクリート構造物を残存する前記下部のコンクリート構造物上に設置し、さらにその新たなコンクリート構造物の上部に新たなマンホール枠を設置し、この新たなマンホール枠と残存する前記外周側の舗装構造物との間に、所定の充填物を充填する。
【0009】
本発明においては、インカッタ装置の略円盤状のカッタをコンクリート構造体の内周側に配置して回転させて全周にわたって切削し、これより上部のコンクリート構造物を、アウトカッタ装置の略円筒状のカッタで切削した内周側舗装構造物とともに吊り上げて撤去する。そして、撤去部分には新たなコンクリート構造物、マンホール枠、所定の充填物を順次設置して仕上げる。このような手法により、コンクリート構造物のうち撤去すべき部分のみを明確に区分して撤去することができるので、従来手法のブレーカを用いる場合のように残存部分に歪みや損傷等を与えることがなく、結果として改築後における耐久性を確実に向上することができる。
【0010】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記インカッタ装置の前記切削にあたっては、最初に前記略円盤状のカッタを前記コンクリート構造体の内周面に浅く食い込ませた状態で全周にわたって予切削を行い前記内周面の全周に溝を形成し、その後、前記インカッタ装置において前記略円盤状のカッタと略同一水平面内に配置された複数のローラを前記全周に形成された溝に貫入させながら、これをガイドとして前記略円盤状のカッタをさらに深く食い込ませつつ前記コンクリート構造体を前記内周側より全周にわたって本切削し、前記分断を行う。
【0011】
これにより、略円盤状カッタの軌道を安定させ、略水平面内において全周にわたる略円盤状カッタの切削をさらに効率よく円滑に行うことができ、切削中の位置ズレ等による不用意な傷つけ等を確実に防止できるので、さらに確実に耐久性を向上できる。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記インカッタ装置の前記略円盤状のカッタによる切削位置を、前記地上側へと撤去する前記上部のコンクリート構造物の厚さが、既製のコンクリート製リング部材の厚さと略同一となるように設定し、前記新たなコンクリート構造物として、前記コンクリート製リング部材を残存する前記下部のコンクリート構造物上に設置する。
【0013】
撤去する上部コンクリート構造物の厚さを、既製のコンクリート製リング部材(いわゆる調整リング)とほぼ同一となるようにすれば、撤去後に空いたスペースに、既製品である上記リング部材をただ設置するだけで足り、余ったスペースを埋めるために通常現場にて行われる調整コンクリートを打設する必要がなくなる。これにより、工期の短縮及びコスト低減を図れる。
【0014】
(4)上記目的を達成するために、本発明のマンホール改築施工用インカッタ装置は、略円形のマンホール枠の下方に位置する略環状のコンクリート構造体の内周側において略水平に配置されるベース部と、回転駆動力を発生するモータ及びこのモータの回転駆動力により回転して前記コンクリート構造体の内周側を切削する略円盤状のカッタを備え、前記ベース部より進退して前記コンクリート構造体の前記内周側に遠近可能に設けられた駆動部と、下端側が前記ベース部に接続されるとともに上端側がマンホール外の地上側に現出するように配置され、人力により把持回転可能な旋回ハンドル部と、略水平面内で自転しつつ前記コンクリート構造体の前記内周側に当接する複数のローラを備え、前記ベース部に接続されて前記旋回ハンドル部の操作による前記ベース部の回転を案内するガイドローラ部とを有する。
【0015】
(5)上記(4)において、好ましくは、前記ガイドローラ部の各ローラは、前記カッタと略同一水平面内に配置されるとともに、前記カッタの厚さと略同一かそれ以下の厚さを備え前記駆動部のカッタにより切削した切削溝に貫入可能に凸設された鍔部を有する。
【0016】
(6)上記(4)又は(5)において、また好ましくは、前記ガイドローラ部の前記複数のローラは、前記ベース部に対しばねを介して接続され前記コンクリート構造体の前記内周側を前記ばねの付勢力で押圧する押圧ローラを含む。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本発明は、老朽化したマンホール蓋及びマンホール枠の交換・補修作業に係わるものである。以下、その作業工程及びこれに用いる装置構成を順を追って説明する。
【0019】
(0)マンホールの上部構造
図1は、本実施形態による改築施工方法の適用対象であるマンホールMの上部構造を表す側断面図である。図1において、マンホールMは、上面が路面(舗装部)Dと略同一面となるように配置される略円形のマンホール蓋1と、このマンホール蓋1を支持する略円形(円環形)のマンホール枠2と、このマンホール枠2の下部に設けられるコンクリート構造体(マンホール躯体)Cと、マンホール枠2をコンクリート構造体Cに固定するためのアンカーボルト3とを有している。
【0020】
コンクリート構造体Cは、大径の直壁Cstと、この直壁Cstの上部に固定され、直壁Cstの大径からマンホール蓋1の小径に対応するように上方へ向かって縮径する斜壁Cslと、斜壁Cslの上部に固定された第1段目の調整リングCrlと、この第1段目の調整リングCrlの上部に固定された第2段目の調整リングCruと、前述のようにマンホール枠2及びマンホール蓋1を路面Rの高さに対応させて調整するために、実際の施工現場において打設された調整コンクリートCadとを備えており、全体として、略環状となっている。なお、上記直壁Cst、斜壁Csl、調整リングCrl、調整リングCruはコンクリート2次製品であり、定められた所定の規格ごとに市販されているものである。
【0021】
アンカーボルト3は、調整コンクリートCadの上部に設けたマンホール枠2の上部から、マンホール枠2、調整コンクリートCad、調整リングCru、調整リングCrlを貫通して、先端部を斜壁Cslの上端部にまで届かせて締結されている。
【0022】
(1)インカッタ装置の設置
上記構造のマンホールMに対し、マンホール蓋1の交換を含む上部構造の補修を行う場合、まず、図1に示すようにコンクリート構造体Cの内周側に施工に伴う破片・粉塵等からマンホール下部を保護するための防護蓋4を設置する。この例では、斜壁Cslの上端部付近に防護蓋4を設けている。その後、コンクリート構造体Cを切断するためのインカッタ装置100をマンホールM内に吊り降ろし、その略円盤状のカッタ(後述)をコンクリート構造体Cの内周側に配置する(後述の図2参照)。
【0023】
このインカッタ装置100の詳細構造を以下説明する。
【0024】
図2は、インカッタ装置100の全体構造をコンクリート構造体Cにおける配置状況とともに表す側断面図であり、図3は、図2中III方向から見た上面図である。
【0025】
これら図2及び図3において、インカッタ装置100は、略円形のマンホール枠2の下方に位置する略環状のコンクリート構造体Cの内周側において略水平に配置されるベース部101と、ベース部101より進退してコンクリート構造体Cの内周側に遠近可能に設けられた駆動部102と、下端側がベース部101に接続されるとともに上端側がマンホールM外の地上側に現出するように配置された旋回ハンドル部103と、ベース部101に接続されて旋回ハンドル部103の操作によるベース部101の回転を案内するガイドローラ部104とを有している。
【0026】
図4は、ベース部101、駆動部102、ガイドローラ部104の詳細構造を表す拡大抽出上面図であり、図5は、図4中V方向から見た側面図(但し後述のロックピンブラケット及びロックピンは図示省略)である。
【0027】
ベース部101は、ベース部本体101aと、ベース部本体101aの幅方向(図4中上下方向)中央部に立設され、送りジャッキ105のボールネジ105aを挿通螺合させる内ネジを備えたジャッキ挿通ブラケット101bとを備えている。
【0028】
駆動部102は、幅方向(図4中上下方向)中央部に位置するメインフレーム部102aA、その両側に位置するサイドフレーム部102aB,102aCからなるフレーム102aと、メインフレーム部102aAの後方側(図4中右側)に搭載され回転駆動力を発生するモータ(例えば油圧モータ)102bと、メインフレーム部102aAの図4中左側尖端部の下部に回転自在に軸支され、モータ102bの回転駆動力により回転してコンクリート構造体Cの内周側を切削する略円盤状のカッタ102cとを備えている。
【0029】
軸受102dAにより回転自在に支持されるカッタ102cの回転軸102dには、メインフレーム部102aA先端部とカッタ102cとの間になるようにプーリ102eが配置されており、モータ102bの出力軸(図示せず)に取り付けられたプーリ102fとの間に、動力伝達用のベルト102gが巻き回され、モータ102が回転するとプーリ102f、ベルト102g、プーリ102eを介しカッタ102cが回転するようになっている。
【0030】
また駆動部102は、前述の送りジャッキ105のボールネジ105aを回転自在に支持しかつ軸方向の動きを拘束するようにボールネジ105aに接続されたジャッキ支持ブラケット(図示せず)をメインフレーム部102aAの下部に備えている。このような構造により、送りジャッキ105のハンドル部105bを回転させることにより、ベース部101に対して駆動部102が進退するようになっている。なお、このような手動式の送りジャッキに代えて、油圧シリンダを用いてもよい。
【0031】
ガイドローラ部104は、幅方向(図4中上下方向)左・右両側に、互いに同一構造のローラ組立体104L,104Rを備えている。
【0032】
これらローラ組立体104L,104Rは、後方側(図4中右側)に位置し前述のベース部101のベース部本体101aの幅方向端部に固定された後ローラブラケット104aと、この後ローラブラケット104aに回転自在に支持され、略水平面内(図4紙面の面内)で自転しコンクリート構造体Cの内周側に当接する(後述)後ローラ(固定ローラ)104bと、後ローラブラケット104aから前方側に向かって延びるように取り付けられ、駆動部102の前述のサイドフレーム部102aB又は102aCに設けた貫通孔(図示せず)に軸方向移動可能に挿通される略円筒(シリンダ)形状のガイドアーム104cと、ガイドアーム104cの前方側(図4中左側)に可動に(詳細は後述)配置された前ローラブラケット104dと、この前ローラブラケット104dに回転自在に支持され、略水平面内(図4紙面の面内)で自転する前ローラ(伸縮ローラ)104eとを備えている。
【0033】
後ローラ104b,104b及び前ローラ104e,104eは、図5に示すようにカッタ102cと略同一水平面内に配置されている。また各ローラ104b又は104eは、カッタ102cの厚さと略同一かそれ以下の厚さを備えカッタ102cにより切削した切削溝T(図2参照)に貫入可能に凸設された鍔部104bA又は104eAを有している。
【0034】
前ローラブラケット104dは、前支持ブラケット104h内に前後方向(図4中左右方向)に摺動可能に配置されており、その後方側(図4中右側)には上記ガイドアーム104cより小径のシャフト104fが固定されている。このシャフト104fの後方側はガイドアーム104cの内部に軸方向摺動可能に挿通配置されている。また、シャフト104fの外周側にはばね104gが巻装されている。ばね104gの前端部は前ローラブラケット104dの後端部に当接しており(図5参照)、ばね104gの後方側はガイドアーム104cの内部に挿通されるとともに、後端部はガイドアーム104c内部にてその後方側(例えばフランジ部104cAの内部)にて固定されている。このような構造により、前ローラブラケット104d及び前ローラ104eは、ガイドアーム104cに対して進退可能であり、言い換えれば後ローラ104bとの距離が伸縮可能である。そして、ばね104gを介しガイドアーム104c及び後ローラブラケット104aに(言い換えればベース部101に)対し接続され、コンクリート構造体Cの内周側をばね104gの付勢力で押圧する押圧ローラとして機能する(詳細は後述)。
【0035】
このとき、前ローラブラケット104dの外周側に張り出すように設けたピン取り付け部104dAに形成した貫通孔(図示せず)にはロックピン104iが挿通され、ロックピン104iの前端部はピン取り付け部部104dAに固定されている。一方、ロックピン104iの他端側は、サイドフレーム部102aB又は102aCのさらに幅方向外側に突設したロックピン挿通ブラケット102aD又は102aEの貫通孔(図示せず)に挿通され、先端ネジ部にナット104jが螺合されている。これにより、後述するように、送りジャッキ105の操作によって駆動部102がベース部101に対し近づけられたときには、ロックピン挿通ブラケット102aD又は102aEが後方へ移動してナット104jへ当接し、この結果、上記駆動部102の退行に応じて前ローラ104e及び前ローラブラケット104dもばね104gを縮ませながらガイドアーム104側に近づくようになっている。
【0036】
なお、前支持ブラケット104hは、後述するように旋回ハンドル部103の下端部に固定されており、ベース部101に対する駆動部102の進退や前ローラ104e及び前ローラブラケット104dの伸縮に関係なく、そのベース部101に対する相対位置は固定されている。
【0037】
旋回ハンドル部103は、人力により把持回転可能なハンドル本体103aと、このハンドル本体103aの径方向中央側上部に設けられた吊り具係止用の係止具103bと、ハンドル本体103aとガイドローラ部104とを連結しインカッタ装置100全体の自重を支持するハンドリングアーム103cとを備える。
【0038】
ハンドリングアーム103cは、ハンドル本体103aの径方向中央側下部から鉛直下方に延設配置される1本の吊りアーム部103cAと、この吊りアーム部103cAの下端部から径方向放射状に拡がりつつ下方に降りるように延設配置される合計4本の分岐アーム部103cBとから構成されている。4本の分岐アーム部103cBのうち、前側2本の下端部は前述のガイドローラ部104の前支持ブラケット104hに固定され、後側2本の下端部は前述のガイドアーム104cの後端部に設けた後支持ブラケット104cBに固定されている。
【0039】
(2)インカッタによる切断
上記構造のインカッタ装置100をマンホールM内に吊り下ろし、以下に示す手順によりコンクリート構造体Cの切断を行う。図6〜図9は、その切断手順を表す上面側から見た説明図である。
【0040】
図6は、インカッタ装置100をマンホールM内に吊り下ろした状態を表す図である。吊り下ろす際には、予め、送りジャッキ105のハンドル部105bを操作して駆動部102をベース部101寄りに十分に退行させ前ローラ104e,104e及び後ローラ104b,104bのいずれもがコンクリート構造体Cの内周面に干渉しない状態としておいた後、例えば旋回ハンドル部103の係止具103bを作業車のレバーブロック等により吊架しつつ、ゆっくりとマンホールM内に吊り下ろす。
【0041】
カッタ102cをコンクリート構造体C内周側の所定の高さ位置(この例では詳細には第1段目の調整リングCrlの下端部付近)に配置し終わったら、マンホールM外の地上側より、所定の道具(例えばラチェットハンドル等)を介して送りジャッキ105のハンドル部105bを回転させてボールネジ105aを回転させ、駆動部102をベース部101より前進させていく。そして、まず前ローラ104e,104eがコンクリート構造物Cの内周面に接する。さらに同一方向にボールネジ105aを回転させると、ロックピン挿通ブラケット102aD又は102aEの端面(後面)がナット104jから離れてさらに駆動部102が前進し、カッタ102cがコンクリート構造体C(詳細には調整リングCrl)に接触する。図7は、このインカッタ装置100のカッタ102cをコンクリート構造体C内周面に接触させた状態を表す図である。
【0042】
この接触状態になったら、モータ102bを起動してカッタ102cを回転させつつ、さらに同一方向にボールネジ105aを回転させてコンクリート構造体Cの内周面に浅く(例えば10mm程度)食い込ませ、この切削状態で地上側において旋回ハンドル部103aを把持してゆっくりと一回転(360°)させることにより、コンクリート構造体Cの全周にわたって内周面に切削溝T(図2及び後述の図9参照)を形成する(予切削)。図8は、このインカッタ装置100のカッタ102cによる予切削開始直後の状態を表す図である。ここで、図8の白矢印に示すようにして360°回転させていくとき、回転方向側に先行するカッタ102cによって既に形成された切削溝Tに、カッタ102と略同一平面に存在する後行の前ローラ鍔部104eA、前ローラ鍔部104eA、後ローラ鍔部104bA、後ローラ鍔部104bAがこの順序で順次はまりこんでいき、これによって回転及び切削が円滑にガイドされるようになっている。
【0043】
上記のようにして360°ほぼ全周にわたって切削溝Tを形成したら、さらに同一方向にボールネジ105aを大きく回転させて例えば全ストローク突出させ、カッタ102cをコンクリート構造体Cの内周面に深く食い込ませていき、最終的にコンクリート構造体Cの厚さ分(アンカーボルト3も含む)をすべて突っ切らせる。そしてこの状態で地上側において再び旋回ハンドル部103aを把持して一回転(360°)させることにより、コンクリート構造体Cの全周にわたって本格的な深い切削を行い(本切削)、コンクリート切削位置より上部のコンクリート構造物(この例では、調整コンクリートCad、第2段目の調整リングCru、及び第1段目の調整リングCrlの大部分)と下部のコンクリート構造物(この例では第1段目の調整リングCrlの下端側一部分、斜壁Csl、直壁Cst等)とに分断する。図9は、このインカッタ装置100のカッタ102cによる本切削途中の状態を表す図である。なお前述の図2もこのときの状態を表している。
【0044】
(3)アウトカッタの設置
上記のようにしてインカッタ装置100によるコンクリート構造体Cの切断が終了したら、インカッタ装置100をマンホールM内から地上側へ吊り上げて撤去し、代わってアウトカッタ装置200を配置してマンホール枠2外周側の路面Rの切削を行う。
【0045】
このアウトカッタ装置200の詳細構造を以下説明する。
【0046】
図10は、アウトカッタ装置200の全体構造を路面R上における配置状況とともに表す側断面図である。
【0047】
この図10において、アウトカッタ装置200は、略円形の上記マンホール枠2の内周(あるいはその下方に位置する略環状のコンクリート構造体Cの内周でもよい。以下同様)を径方向に押圧して固定されるセンターホールユニット201と、回転切削ユニット202とを有する。
【0048】
図11(a)は、センターホールユニット201の詳細構造を表す上面図であり、図11(b)は図11(a)中XI−XI断面による側断面図である。
【0049】
これら図11(a)、図11(b)、及び前述の図10において、センターホールユニット201は、径方向中心部にセンターホールSを備えた本体部201aと、マンホール枠2の内周の径方向少なくとも3カ所(この例では120°等間隔で3箇所)にそれぞれ接して押圧把持する少なくとも3つ(この例では120°等間隔で3箇所)の爪部201bと、本体部201aと爪部201bとの間に設けたアーム部201cとを有する。
【0050】
本体部201aは、例えば多角形形状(この例では六角形)を備えた上記センターホールSを備えたホールブラケット201aAと、このホールブラケット201aAの径方向外周側に複数箇所(この例では180°間隔で2箇所)のブリッジ部201aBのみを介して連結された略リング状のリング部201aCと、このリング部201aCのさらに径方向外周側に複数箇所(この例では上記ブリッジ部201aBと90°位相がずれた180°間隔で2箇所)のブリッジ部201aDのみを介して連結された略リング状のリング部201aEとをそなえている。
【0051】
このようなホールブラケット201aA〜ブリッジ部201aB〜リング部201aC〜ブリッジ部201aD〜リング部201aEという、リング部をブリッジで連結しすきまを持たせた支持構造とすることにより、構造全体として弾性をもたせることができ、シャフト部202A(後述)を柔軟に追従性よく支持することが可能である。特に、この例では、ブリッジ部201aBとブリッジ部201aDとの位相を同一とせず、互いに交互に千鳥配列(この例では90°間隔)していることにより、その効果が大きい。
【0052】
アーム部201cは、最外周側のリング部201aEの径方向外周側に放射状に3つ(この例では120°等間隔で3箇所)延設配置されており、そのうち2つのアーム部201ca,201cbは、本体部201aと爪部201bとの間にこれらを連結するように設けられている。残りの1つのアーム部201ccは、他の2つより短尺となっており、内周側が上記最外周側のリング部201aEに固定される一方、外周側と爪部201bとの間にこれらを連結する手動ジャッキ201dが設けられている。
【0053】
手動ジャッキ201dは、この例では、ハンドル部201dAを例えば地上側から人力により回転させることにより伸縮し、本体部201aと当該爪部201bとの間の距離を変化(遠近)させ、これによって、3つの爪部201b全体によるマンホール枠2に対する押圧把持力を調整できるようになっている。
【0054】
図10に戻り、回転切削ユニット202は、中実構造のシャフト部202Aと、このシャフト部202Aの上部に一体的に設けられた駆動部202Bと、略円筒形状のカッタ部202Cとを備えている。
【0055】
シャフト部202Aは、例えば多角形形状(この例では六角形)を備え上記本体部201aのホールブラケット201aAのセンターホールSに軸方向に移動可能に挿通される挿通部202Aaと、この挿通部202Aaの上部に位置する例えば略円棒状の取付け部202Abと、この取付け部202Abの外周側に設けたフランジ部202Acと、取付け部202Abの上部に設けられ例えばレバーブロックB等の吊り具係止用の係止具202Adとを備えている。挿通部202Aaは、シャフト部202Aの軸線方向がセンターホールSの軸線方向に対し微小な角度を持つことを許容できるように、所定の間隙△x(後述の図16参照)を介在させつつセンターホールSで径方向に支持されるようになっている。
【0056】
駆動部202Bは、略円盤状の鍔部202Ba1及びその下部に位置する略円筒部202Ba2からなるベースフレーム202Baと、回転駆動力を発生するモータ202Bbと、略円筒部202Ba2の外周側に回転可能に配置されたカッタ支持部202Bcとを備えている。
【0057】
略円筒部202Ba2は、シャフト部202Aのフランジ部202Ac上に載置された状態で、取付け部202Abの外周側に一体的に固定されている。
【0058】
モータ202Bbは、鍔部202Ba1上にモータ軸を鉛直となるように縦置きに配置されており、鍔部202Ba1を貫通して設けたモータ軸(図示せず)の下端部には、ピニオンギア202Bdが取り付けられている。このピニオンギア202Bdには、カッタ支持部202Bcの上部内周側に設けた内歯歯車202Beが噛合しており、これによってモータ202Bbの回転駆動力によりカッタ支持部202Bcが回転するようになっている。なお、カッタ支持部202Bcは、ベアリング202Bfを介し略円筒部202Ba2の外周側に回転可能に配設されており、また上部の鍔部202Ba1の下面との間を、シール部材202Bgによってシールされている。
【0059】
鍔部202Ba1の外周側には、略円板状の天板部202Bhが固定されており、その外縁部には、例えば蛇腹構造物からなりカッタ部202Cをすっぽりと覆う危険防止用かつ粉塵飛散防止用の安全カバー202Biが取り付けられている。
【0060】
カッタ部202Cは、その内周側縁部202Caをボルト202Cbを介して上記カッタ支持部202Bcの外縁部に固定されており、前述したようにモータ202Bbの回転駆動力でカッタ支持部202Bcとともに回転し、その下端部に設けた歯(又は刃物、あるいは砥石;図示せず)によってマンホール枠2の外周側の路面Rを略円形に切削する。このときの回転反力は、駆動部202Bのベースフレーム202Ba、シャフト部202A、センターホールユニット201を介し、マンホール枠2の内周面にとることができる。
【0061】
なお、このとき、前述したシャフト部202Aとベースフレーム202Baとの固定構造や、略円筒部202Ba2の外周側でかつ鍔部202Ba1の下方へのカッタ支持部202Bcの配設構成により、カッタ202Cには、切削時において、最終的にシャフト部202A及び駆動部202Bの自重が推進力として加わるようになっている。
【0062】
(4)アウトカッタ装置による切断
上記構造のアウトカッタ装置200を、カッタ部200Cが略円形の上記マンホール枠2の外周側上に位置するように配置し、路面Rの切削を行う。その際には、まず、前述のようにしてインカッタ装置100を撤去した後、センターホールユニット201を、マンホール枠2内に吊り下ろし、その内周に押圧固定する。吊り下ろす際には、予め、手動ジャッキ201dのハンドル部201dAを操作して対応する爪部201bを本体部201a寄りに十分に退行させ3つの爪部202bのいずれもがマンホール枠2の内周面に干渉しない状態としておいた後、例えば作業車のレバーブロック等により吊架しつつ、ゆっくりとマンホール枠2内に吊り下ろす。
【0063】
センターホールユニット201をマンホール枠2内周側の所定の高さ位置に配置し終わったら、手動ジャッキ201dのハンドル部201dAを回転させて対応する爪部201bをマンホール枠2に対し前進させていく。そして、3つの爪部201bすべてをマンホール枠2の内周面に接しさせ、さらに同一方向に手動ジャッキハンドル部201dAを回転させて各爪部201でマンホール枠2の内周面を押圧し、センターホールユニット201が強固に固定される。図12は、このセンターホールユニット201固定時の様子を表す側断面図である(但し防護蓋4の図示は省略している)。
【0064】
以上のようにしてセンターホールユニット201を固定し終わったら、回転切削ユニット202を、シャフト部202Aがセンターホールユニット201のセンターホールSに挿通させるようにしつつ配置し、カッタ部202Cの下端部(歯)を路面R上に接触させる。図13は、この回転切削ユニット202装着時の様子を表す側断面図である(但し防護蓋4の図示は省略している)。
【0065】
その後、駆動部202B、シャフト部202A、カッタ部202Cの自重によりカッタ部202Cを切削対象である路面Rに押しつけながら、モータ202Bbの回転駆動力でカッタ部202Cを回転させ、路面(舗装部)Rを表面側より全深さにわたって切削し、その切削位置より内周側の舗装構造物Ri(後述の図14参照)と外周側の舗装構造物Ro(後述の図14参照)とに分断する。
【0066】
(5)コンクリート構造物の撤去
上記のようなアウトカッタ装置200による舗装構造物Ri,Roへの切断の後、油圧キャンバー装置300を用いて、撤去対象部分をマンホールM外へ撤去する。図14は、その撤去時の様子を表す側断面図である。
【0067】
図14において、まず、撤去に際し、最初に、インカッタ装置100のカッタ102cにより分断された上部のコンクリート構造物(この例では、調整コンクリートCad、第2段目の調整リングCru、及び第1段目の調整リングCrlの大部分、以下適宜上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlのように称する)と、下部のコンクリート構造物(この例では第1段目の調整リングCrlの下端側一部分、斜壁Csl、直壁Cst等、以下適宜下部コンクリート構造物Crl,Csl,Cstのように称する)との境界面に、油圧キャンバー装置300を係合させる。
【0068】
油圧キャンバー装置300は、ボトム部300Aa及びこのボトム部300Aaより伸縮自在に出没するロッド部300Abよりなる油圧シリンダ部300Aと、ボトム部300Aaのさらに外方側に取り付けられた尖端部300Bと、ロッド部300Abのさらに外方側に取り付けられた尖端部300Cとを備えている。
【0069】
上記構造の油圧キャンバー装置300を、図14に示すようにコンクリート構造体C内に吊り下ろす。吊り下ろす際には、予め、油圧シリンダ部300Aを縮短させて尖端部300B,300Cがコンクリート構造体Cの内周面に干渉しない状態としておいた後、例えば作業車のレバーブロックB等により吊架しつつ、ゆっくりと吊り下ろす。
【0070】
油圧キャンバー装置300をコンクリート構造体C内周側の所定の高さ位置に配置し終わったら、油圧シリンダ部300Aを伸長させて尖端部300B,300Cをマンホール枠2に対し前進させ、上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlと下部コンクリート構造物Crl,Csl,Cstとの境界面(=インカッタ装置100による切断面)に尖端部300B,300Cを食い込ませる。
【0071】
このようにして食い込ませたら、そのままの状態で油圧キャンバー装置300ごとマンホールM外へと吊り上げる。この結果、油圧キャンバー装置300の上部に位置する上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlが、上記アウトカッタ装置200のカッタ部202Cにより分断された内周側の舗装構造物Ri及びこれに固着したマンホール枠2とともに一体のまま吊り上げられ、地上側へと撤去される。図14はこの吊り上げ開始直後の状態を表しているものである。
【0072】
(6)新コンクリート構造物の設置及び充填物の充填
上記のようにして上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crl、内周側舗装構造物Ri、マンホール枠2を撤去したら、これに代わる新しい上部コンクリート構造物CadN,CruN,CrlN、マンホール枠2N、内周側舗装構造物RiNを設置する。
【0073】
このときの手順としては、第1段目の調整リングCrlの残存部分及び斜壁Cslの上端部に埋まる形で残存するアンカーボルト3の先端部を除去した後、第1段目の調整リングCrlの残存部分に新たな第1段目の調整リングCrlNを前述と同様にしてマンホールM内に吊り下ろして設置し、さらにその上に第2段目の調整リングCruを吊り下ろして設置し、さらにその上に、新たなマンホール枠2N及びマンホール蓋1Nをもとの路面Rの高さに対応させるために、その場において調整コンクリートCadNを打設し、最後に、新たなアンカーボルト3Nを、調整コンクリートCadNの上部に設けたマンホール枠2Nの上部から、マンホール枠2N、調整コンクリートCadN、調整リングCruN、調整リングCrlN、そしてもとの調整リングCrl残存部を貫通して、先端部を斜壁Cslの上端部にまで届かせて締結する。
【0074】
その後、上記新たなマンホール枠2Nと残存する上記外周側の舗装構造物Roとの間に、所定の充填物(例えばモルタル)を充填する。図15は、以上のようにして改築をすべて完了した状態を表す側断面図である。
【0075】
以上のように構成した本実施形態の改築施工方法によれば、以下の効果を奏する。
【0076】
(1)アウトカッタ装置における効果
(1−1)装置構成の簡素化・小型化
本実施形態において用いるアウトカッタ装置200においては、略円筒形状のカッタ部202C、これを回転させる駆動部202B、そしてカッタ部202Cの回転中心となるシャフト部202Aを一体的に回転切削ユニット202として構成し、そのシャフト部202Aを、マンホール枠2に固定したセンターホールユニット201のセンターホールSに挿通させる構造とする。この結果、切断時において、カッタ部202Cに駆動部202Bやシャフト部202Aの自重が加わるので、これを推進力とすることで、従来構造のような推進用の油圧シリンダが不要とすることができる。これにより、装置構成の簡素化や小型化を図ることができる。また、挿入される側のセンターホールユニット201と、挿入する側の回転切削ユニット202とを完全に別体の分離構造にすることができるので、これによっても装置構成の簡素化・小型化を図ることができる。また2つに分離することで、1つあたりの機械重量を低減できる結果、例えば装置の運搬・運転時の取り扱いを容易にすることができる。
【0077】
また一方、センターホールユニット201は、シャフト部202A、駆動部202B、カッタ部202C等を備えた回転切削ユニット202と切り離された比較的軽量の機械となる。したがって、施工開始の際には、図12を用いて説明したように、この軽量のセンターホールユニット201をマンホール枠2の内周側に固定し、その後で回転切削ユニット202を装着するようにすれば足りる。この結果、センターホールユニット201の固定時には、従来構造のようにグリッパ用の油圧シリンダを用いる必要はなく、人力による手動ジャッキ201dで十分足りる。このように油圧シリンダを不要とできることにより、さらに装置構成を簡略化することができる。また油圧シリンダを用いる従来構造においては内部に油圧配管を通すために実際には支持軸を中空構造にする必要があるが、本実施形態においてはそのような必要もなくシャフト部202Aを単なる中実構造とすることができる。この結果、これによっても構造の簡素化を図れると共に、同一強度確保のために必要な軸(シャフト部)の径を細くすることができるので、これによって径方向の小型化を図ることもできる。
【0078】
(1−2)凹凸路面に対する効果
さらに、マンホール枠2に固定したセンターホールユニット201のセンターホールSに対し、カッタ部202Cと一体のシャフト部202Aを挿入配置する構造とすることにより、図16に示すように、仮にシャフト部202Aの軸線(言い換えればカッタ部202Cの軸線)αがマンホール枠2等の軸線βから傾こうとした場合の回動中心位置Pは駆動部202B・シャフト部202Aの結合位置(ベースフレーム202Baとシャフト部202Aとの固定部分)から下方に離れたセンターホールS付近となる。したがって、同様の場合に回動中心が駆動部の支持軸貫通部となる従来構造に比べ、回動中心が遠くなる分、上記傾きを許容しやすくなる。この結果、一様な傾きの斜面でなく局所的な斜面があったり多少の凹凸形状がある路面R′を切削する場合であっても、これに応じてカッタ部202Cの軸線αが微妙に傾きながらのフレキシブルな切削が可能となるので、円滑かつ効率的な施工を行うことができる。
【0079】
またこのとき、前述したように、シャフト部202Aの挿通部202Aaは、カッタ部202Cの軸線αがセンターホールSの軸線βに対し微小な角度を持つことを許容できるように、所定の間隙△xを介在させつつセンターホールSで径方向に支持されている。このように間隙△xを設けることにより、カッタ部202Cの軸線αの傾きをさらに容易に許容できるようになるので、凹凸路面R′への追従性をさらに向上することができる。
【0080】
(1−3)その他
装置構成を小型化できることにより、マンホール修繕工事周辺の住民への騒音・振動を低減できる。また、走行車両の通行の妨げになるのを抑制できる。また、特に凹凸形状等を備えた路面R′に高効率化による工事の迅速化を図れるため、車両通行を遮断する場合はその時間を短縮をはかり、あわせて工事費の縮減を図ることができる。
【0081】
(2)インカッタ装置を用いることによる効果
(2−1)耐久性の向上
本実施形態の改築施工方法においては、インカッタ装置100の略円盤状のカッタ102cをコンクリート構造体Cの内周側に配置して回転させて全周にわたって切削し、これより上部のコンクリート構造物Cad,Cru,Crlを、アウトカッタ装置200の略円筒状のカッタ部202Cで切削した内周側舗装構造物Riとともに吊り上げて撤去する。そして、撤去部分には新たなコンクリート構造物CadN,CruN,CrlN、マンホール枠2N、所定の充填物(内周側舗装構造物)RiNを順次設置して仕上げる。このような手法により、撤去すべきコンクリート構造物部分のみを明確に区分して撤去することができるので、従来手法のブレーカを用いる場合のように残存部分に歪みや損傷等を与えることがなく、結果として改築後における耐久性を確実に向上することができる。
【0082】
(2−2)カッタブレードの寿命向上
また、インカッタ装置100は、前述したように、略円盤状カッタ102cの軌道を安定させ、略水平面内において全周にわたる略円盤状カッタ102cの切削をさらに効率よく円滑に行うことができ、切削中の位置ズレ等による不用意な傷つけ等を確実に防止できるので、さらに確実に耐久性を向上できる。また、ほぼ一平面上で切削が完了し、ブレがない(切削軌道が安定する)ため、カッタブレードの消耗を最小限に抑えることができる効果もある。またこれによって工事費の低減も図れる。
【0083】
なお、図16を用いて説明したような凹凸面や斜面(一様な斜面でもよい)を施工対象とするときには、インカッタ装置100についても、これに対応した所定の治具(安定台)を用いることで、このような場合でもブレのない安定的な施工を行うことが可能となる。以下、その詳細を説明する。
【0084】
図17は、インカッタ装置100の切削軌道を安定化させる安定台の全体構造を表す斜視図である。
【0085】
図17において、安定台400は、それぞれ中央側に円形開口部を備えた略円環状の板である、摺動面板400H、中間板400M、底板400Lを備えている。摺動面板400Hと中間板400Mとの間は、周方向複数箇所(この例では120°等間隔で3箇所)において、略鉛直方向に配設された3本の支柱401によってそれぞれ連結されている。また中間板400Mと底板400Lとの間は、周方向複数箇所(この例では120°等間隔で3箇所)において、略鉛直方向に配設された3本の調整ボルト402及びこれに螺合する上下ナット403U,403Lによってそれぞれ連結されている。このとき、3本の支柱401と3本の調整ボルト402との位相は、互いに交互に千鳥配列(この例では60°間隔)となっている。
【0086】
図18は、上記構成の安定台400を用いて、インカッタ装置100によって斜面状の路面R″に設けたマンホールMにおけるコンクリート構造体の切削を行っている状態を表す側断面図である。
【0087】
図18において、インカッタ装置100を設置する前に、マンホール枠2の傾きに関係なく水平面を確保するために、各調整ボルト402に螺合している上・下ナット403U,403Lを操作してその位置を調整する。そして、路面R″の傾斜角度に対応するように中間板400Mと底板400Lとの間に角度を形成し、底板400Lを傾斜したマンホール枠2においても中間板400M及び摺動面板400Hが水平面となるようにする。
【0088】
この状態で、前述のようにしてインカッタ装置100を摺動面板400H、中間板400M、底板400Lの中央側開口部よりマンホールM内に吊り下ろし、ハンドル本体103aを摺動面板400Hの上に載置させ、この状態で静止させる。ハンドル本体103aを360°回転させるときは、この摺動面板400H上でハンドル本体103aを摺動させながら回転させればよい。これにより、略水平面内においてカッタ102cの軌道を安定的に完成させることができるので、カッタ102cの切削をさらに効率よく円滑に行うことができる。
【0089】
なお、安定台の構造は上記に限られるものではなく、例えば単純な円筒の外周複数箇所に設けたブラケットにネジジャッキを挿通させ、各ジャッキのブラケットからの突き出し高さを調整することで円筒の上面を略水平とし、上記摺動面板400Hに代えてその略水平な円筒上面にハンドル本体103aを載置するようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0090】
(2−3)その他
コンクリート構造体CをマンホールM内側から切断することにより、例えばアンカーボルト3を有するマンホールMであっても改築作業を低振動・低騒音で迅速に行うことができる。
【0091】
なお、上記実施形態では、インカッタ装置100により、切削位置より上部のコンクリート構造物(調整コンクリートCad、第2段目の調整リングCru、及び第1段目の調整リングCrlの大部分)と、下部のコンクリート構造物(は第1段目の調整リングCrlの下端側一部分、斜壁Csl、直壁Cst等)とに分断を行って、上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlを撤去した後、これに対応した新しい上部コンクリート構造物CadN,CruN,CrlNを設置した。すなわち、第1段目の調整リングCrlの残存部分に新たな第1段目の調整リングCrlNを前述と同様にしてマンホールM内に吊り下ろして設置し、さらにその上に第2段目の調整リングCruを吊り下ろして設置し、さらにその上に、新たなマンホール枠2N及びマンホール蓋1Nをもとの路面Rの高さに対応させるために、その場において調整コンクリートCadNを打設した。調整リングCruN,CrlNはコンクリートII次製品であって規格がきまっているため、余った分や半端な分を現場打設の調整コンクリートCadNの打設によって調整した。
【0092】
しかしながら、予め新たに搬入する調整リングCruN,CrlNの厚さ方向寸法を考慮し、それらを積み重ねるのみでマンホール枠2と路面Rの同一性を確保できるような位置をインカッタ装置100で切断する(すなわち調整リングの厚さ分だけ切断する)ようにすれば、上記現場打設の調整コンクリートCadNは不要となるはずである。
【0093】
以下、そのような変形例を図19(a)、図19(b)、図19(c)により説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0094】
図19(a)は改築前における本変形例のマンホール上部構造を表す側断面図であり、図19(b)は改築時におけるインカッタ装置100の切断位置の設定における考え方を表す側断面図である。
【0095】
図19(a)において、この例では、コンクリート構造体Cは、直壁Cst、斜壁Csl、調整リングCr、調整コンクリートCad等によってコンクリート構造体Cが構成され、その上部にマンホール枠2及びこれに支持されるマンホール蓋1が設けられ、路面Rの高さとほぼ同一となっている。
【0096】
ここで、本変形例においては、図19(b)に示すように、インカッタ装置100による切削位置を、地上側へと撤去する上部のコンクリート構造物の厚さが、既製のコンクリート製リング部材(調整リング)CrNの厚さtと略同一となるように設定し、その位置Q(この例では調整リングCrの下端部付近)で切断を行う(言い換えれば、切断位置Qを、マンホール枠2の下端より調整リングCrNの厚さtだけ下の位置とする)。そして、この位置Qより上方の上部コンクリート構造物Cr(厚さt)を撤去した後、新たなコンクリート構造物として、略同一厚さtのコンクリート製リング部材CrNを、残存する下部コンクリート構造物(この例では調整リングCrの下端側一部分、斜壁Csl、直壁Cst)上に設置し、接着する。最後に、アンカーボルト3に代えて、例えば周方向3箇所に設けるセットボルト3′によってマンホール枠2Nをリング部材CrNに固定する。図19(c)はこのときの状態を表している。
【0097】
以上のように、撤去する上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlの厚さを、既製のコンクリート製リング部材(調整リング)CrNとほぼ同一となるようにすることで、撤去後に空いたスペースに、既製品である上記リング部材(厚さt)をただ設置するだけで足り、余ったスペースを埋めるために通常現場にて行われる調整コンクリートを打設する必要がなくなる。これにより、工期の短縮及びコスト低減を図れる。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、インカッタ装置を用いてコンクリート構造物のうち撤去すべき部分のみを明確に区分して撤去することができるので、従来手法のブレーカを用いる場合のように残存部分に歪みや損傷等を与えることがなく、結果として改築後における耐久性を確実に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による改築施工方法の適用対象であるマンホールの上部構造を表す側断面図である。
【図2】インカッタ装置の全体構造をコンクリート構造体における配置状況とともに表す側断面図である。
【図3】図2中III方向から見た上面図である。
【図4】インカッタ装置を構成するベース部、駆動部、ガイドローラ部の詳細構造を表す拡大抽出上面図である。
【図5】図4中V方向から見た側面図である。
【図6】インカッタ装置をマンホール内に吊り下ろした状態を表す図である。
【図7】インカッタ装置のカッタをコンクリート構造体内周面に接触させた状態を表す図である。
【図8】インカッタ装置のカッタによる予切削開始直後の状態を表す図である。
【図9】インカッタ装置のカッタによる本切削途中の状態を表す図である。
【図10】アウトカッタ装置の全体構造を路面上における配置状況とともに表す側断面図である。
【図11】センターホールユニットの詳細構造を表す上面図、及び図11(a)中XI−XI断面による側断面である。
【図12】センターホールユニット固定時の様子を表す側断面図である。
【図13】回転切削ユニット装着時の様子を表す側断面図である。
【図14】油圧キャンバー装置による撤去時の様子を表す側断面図である。
【図15】改築をすべて完了した状態を表す側断面図である。
【図16】凹凸面又は局所傾斜面等の路面切削時にシャフト部の軸線(カッタ部の軸線)がマンホール枠の軸線から傾いている状態を表す図である。
【図17】インカッタ装置の切削軌道を安定化させる安定台の全体構造を表す斜視図である。
【図18】図17に示した安定台を用いて、インカッタ装置によって斜面状の路面に設けたマンホールにおけるコンクリート構造体の切削を行っている状態を表す側断面図である。
【図19】現場打設の調整コンクリートを不要とする変形例の改築前におけるマンホール上部構造、基本原理、改築後をそれぞれ表す側断面図である。
【符号の説明】
2 新たなマンホール枠
2N マンホール枠
100 インカッタ装置
102c カッタ
200 アウトカッタ装置
202C カッタ部
C コンクリート構造体
Cad 調整コンクリート
CadN 新たな調整コンクリート
Cr 調整リング
Crl 第1段目の調整リング
CrlN 新たな第1段目の調整リング
Cru 第2段目の調整リング
CruN 新たな第2段目の調整リング
Csl 斜壁
Cst 直壁
R 舗装部(路面)
Ri 内周側舗装構造物
Ro 外周側舗装構造物
【発明の属する技術分野】
本発明は、老朽化したマンホールの補修時に実施されるマンホールの改築施工方法及びこれに用いるマンホール改築施工用インカッタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
舗装路面に設置されたマンホール蓋及びこれを支持するマンホール枠は、長年使用すると、例えば車輌の走行により歪み、変形、損傷等が生じ材料強度が劣化する。このように老朽化したマンホール蓋及びマンホール枠は交換・補修が行われる。
【0003】
このようなマンホール修繕維持工法として、従来、マンホール蓋周辺の舗装部(路盤)を路面カッタ等を用いて円形に切断し、一方でマンホール枠下部のコンクリート構造体をその内周側より手動操作のブレーカーなどを用いて破壊し、さらにアンカーボルトがある場合にはグライダ等を用いて切断し、これらを地上側へと撤去した後、それら撤去物に代わる新たなマンホール枠及びその下部のコンクリート構造物を設置し、さらにマンホール枠の周囲に無収縮モルタル等を充填し、最後に舗装して改築を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−226996号公報(段落番号0002−0009)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術には以下の課題が存在する。
【0006】
すなわち、上記のようにコンクリート構造体を手動操作のブレーカーで破壊する場合、大きな振動等を伴いつつ手動操作で作業員がブレーカーを大ざっぱに移動させながらコンクリート構造体を順次破壊することとなる。したがって、実際には、撤去すべき領域のみをきちんと画定して破壊するのは困難であり、本来撤去対象ではない領域(補修後もひきつづき構造体として残存する部分)にもブレーカにより歪みや損傷等を与える可能性がある。このような場合、老朽化に伴ってマンホール蓋、マンホール枠、その下部のコンクリート構造物をせっかく新しくしても、当該痛んだ部分が残存する限り、マンホールとしての耐久性が低下する可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、改築後において耐久性を確実に向上できるマンホールの改築施工方法及びこれに用いるマンホール改築施工用インカッタ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明のマンホール改築施工方法は、略円形のマンホール枠の下方に位置する略環状のコンクリート構造体の内周側に、インカッタ装置の略円盤状のカッタを配置し、前記略円盤状のカッタを回転させて前記コンクリート構造体を前記内周側より全周にわたって切削し、切削位置より上部のコンクリート構造物と下部のコンクリート構造物とに分断し、前記マンホール枠の外周側の舗装部上に、アウトカッタ装置の略円筒状のカッタを配置し、前記略円筒状のカッタを回転させて前記舗装部を表面側より全深さにわたって切削し、切削位置より内周側の舗装構造物と外周側の舗装構造物とに分断し、前記インカッタ装置の前記略円盤状のカッタにより分断された前記上部のコンクリート構造物を、前記アウトカッタ装置の前記略円筒状のカッタにより分断された前記内周側の舗装構造物及びこれに固着した前記マンホール枠と一体のまま吊り上げて、地上側へと撤去し、撤去した前記上部のコンクリート構造物に対応する新たなコンクリート構造物を残存する前記下部のコンクリート構造物上に設置し、さらにその新たなコンクリート構造物の上部に新たなマンホール枠を設置し、この新たなマンホール枠と残存する前記外周側の舗装構造物との間に、所定の充填物を充填する。
【0009】
本発明においては、インカッタ装置の略円盤状のカッタをコンクリート構造体の内周側に配置して回転させて全周にわたって切削し、これより上部のコンクリート構造物を、アウトカッタ装置の略円筒状のカッタで切削した内周側舗装構造物とともに吊り上げて撤去する。そして、撤去部分には新たなコンクリート構造物、マンホール枠、所定の充填物を順次設置して仕上げる。このような手法により、コンクリート構造物のうち撤去すべき部分のみを明確に区分して撤去することができるので、従来手法のブレーカを用いる場合のように残存部分に歪みや損傷等を与えることがなく、結果として改築後における耐久性を確実に向上することができる。
【0010】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記インカッタ装置の前記切削にあたっては、最初に前記略円盤状のカッタを前記コンクリート構造体の内周面に浅く食い込ませた状態で全周にわたって予切削を行い前記内周面の全周に溝を形成し、その後、前記インカッタ装置において前記略円盤状のカッタと略同一水平面内に配置された複数のローラを前記全周に形成された溝に貫入させながら、これをガイドとして前記略円盤状のカッタをさらに深く食い込ませつつ前記コンクリート構造体を前記内周側より全周にわたって本切削し、前記分断を行う。
【0011】
これにより、略円盤状カッタの軌道を安定させ、略水平面内において全周にわたる略円盤状カッタの切削をさらに効率よく円滑に行うことができ、切削中の位置ズレ等による不用意な傷つけ等を確実に防止できるので、さらに確実に耐久性を向上できる。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記インカッタ装置の前記略円盤状のカッタによる切削位置を、前記地上側へと撤去する前記上部のコンクリート構造物の厚さが、既製のコンクリート製リング部材の厚さと略同一となるように設定し、前記新たなコンクリート構造物として、前記コンクリート製リング部材を残存する前記下部のコンクリート構造物上に設置する。
【0013】
撤去する上部コンクリート構造物の厚さを、既製のコンクリート製リング部材(いわゆる調整リング)とほぼ同一となるようにすれば、撤去後に空いたスペースに、既製品である上記リング部材をただ設置するだけで足り、余ったスペースを埋めるために通常現場にて行われる調整コンクリートを打設する必要がなくなる。これにより、工期の短縮及びコスト低減を図れる。
【0014】
(4)上記目的を達成するために、本発明のマンホール改築施工用インカッタ装置は、略円形のマンホール枠の下方に位置する略環状のコンクリート構造体の内周側において略水平に配置されるベース部と、回転駆動力を発生するモータ及びこのモータの回転駆動力により回転して前記コンクリート構造体の内周側を切削する略円盤状のカッタを備え、前記ベース部より進退して前記コンクリート構造体の前記内周側に遠近可能に設けられた駆動部と、下端側が前記ベース部に接続されるとともに上端側がマンホール外の地上側に現出するように配置され、人力により把持回転可能な旋回ハンドル部と、略水平面内で自転しつつ前記コンクリート構造体の前記内周側に当接する複数のローラを備え、前記ベース部に接続されて前記旋回ハンドル部の操作による前記ベース部の回転を案内するガイドローラ部とを有する。
【0015】
(5)上記(4)において、好ましくは、前記ガイドローラ部の各ローラは、前記カッタと略同一水平面内に配置されるとともに、前記カッタの厚さと略同一かそれ以下の厚さを備え前記駆動部のカッタにより切削した切削溝に貫入可能に凸設された鍔部を有する。
【0016】
(6)上記(4)又は(5)において、また好ましくは、前記ガイドローラ部の前記複数のローラは、前記ベース部に対しばねを介して接続され前記コンクリート構造体の前記内周側を前記ばねの付勢力で押圧する押圧ローラを含む。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
本発明は、老朽化したマンホール蓋及びマンホール枠の交換・補修作業に係わるものである。以下、その作業工程及びこれに用いる装置構成を順を追って説明する。
【0019】
(0)マンホールの上部構造
図1は、本実施形態による改築施工方法の適用対象であるマンホールMの上部構造を表す側断面図である。図1において、マンホールMは、上面が路面(舗装部)Dと略同一面となるように配置される略円形のマンホール蓋1と、このマンホール蓋1を支持する略円形(円環形)のマンホール枠2と、このマンホール枠2の下部に設けられるコンクリート構造体(マンホール躯体)Cと、マンホール枠2をコンクリート構造体Cに固定するためのアンカーボルト3とを有している。
【0020】
コンクリート構造体Cは、大径の直壁Cstと、この直壁Cstの上部に固定され、直壁Cstの大径からマンホール蓋1の小径に対応するように上方へ向かって縮径する斜壁Cslと、斜壁Cslの上部に固定された第1段目の調整リングCrlと、この第1段目の調整リングCrlの上部に固定された第2段目の調整リングCruと、前述のようにマンホール枠2及びマンホール蓋1を路面Rの高さに対応させて調整するために、実際の施工現場において打設された調整コンクリートCadとを備えており、全体として、略環状となっている。なお、上記直壁Cst、斜壁Csl、調整リングCrl、調整リングCruはコンクリート2次製品であり、定められた所定の規格ごとに市販されているものである。
【0021】
アンカーボルト3は、調整コンクリートCadの上部に設けたマンホール枠2の上部から、マンホール枠2、調整コンクリートCad、調整リングCru、調整リングCrlを貫通して、先端部を斜壁Cslの上端部にまで届かせて締結されている。
【0022】
(1)インカッタ装置の設置
上記構造のマンホールMに対し、マンホール蓋1の交換を含む上部構造の補修を行う場合、まず、図1に示すようにコンクリート構造体Cの内周側に施工に伴う破片・粉塵等からマンホール下部を保護するための防護蓋4を設置する。この例では、斜壁Cslの上端部付近に防護蓋4を設けている。その後、コンクリート構造体Cを切断するためのインカッタ装置100をマンホールM内に吊り降ろし、その略円盤状のカッタ(後述)をコンクリート構造体Cの内周側に配置する(後述の図2参照)。
【0023】
このインカッタ装置100の詳細構造を以下説明する。
【0024】
図2は、インカッタ装置100の全体構造をコンクリート構造体Cにおける配置状況とともに表す側断面図であり、図3は、図2中III方向から見た上面図である。
【0025】
これら図2及び図3において、インカッタ装置100は、略円形のマンホール枠2の下方に位置する略環状のコンクリート構造体Cの内周側において略水平に配置されるベース部101と、ベース部101より進退してコンクリート構造体Cの内周側に遠近可能に設けられた駆動部102と、下端側がベース部101に接続されるとともに上端側がマンホールM外の地上側に現出するように配置された旋回ハンドル部103と、ベース部101に接続されて旋回ハンドル部103の操作によるベース部101の回転を案内するガイドローラ部104とを有している。
【0026】
図4は、ベース部101、駆動部102、ガイドローラ部104の詳細構造を表す拡大抽出上面図であり、図5は、図4中V方向から見た側面図(但し後述のロックピンブラケット及びロックピンは図示省略)である。
【0027】
ベース部101は、ベース部本体101aと、ベース部本体101aの幅方向(図4中上下方向)中央部に立設され、送りジャッキ105のボールネジ105aを挿通螺合させる内ネジを備えたジャッキ挿通ブラケット101bとを備えている。
【0028】
駆動部102は、幅方向(図4中上下方向)中央部に位置するメインフレーム部102aA、その両側に位置するサイドフレーム部102aB,102aCからなるフレーム102aと、メインフレーム部102aAの後方側(図4中右側)に搭載され回転駆動力を発生するモータ(例えば油圧モータ)102bと、メインフレーム部102aAの図4中左側尖端部の下部に回転自在に軸支され、モータ102bの回転駆動力により回転してコンクリート構造体Cの内周側を切削する略円盤状のカッタ102cとを備えている。
【0029】
軸受102dAにより回転自在に支持されるカッタ102cの回転軸102dには、メインフレーム部102aA先端部とカッタ102cとの間になるようにプーリ102eが配置されており、モータ102bの出力軸(図示せず)に取り付けられたプーリ102fとの間に、動力伝達用のベルト102gが巻き回され、モータ102が回転するとプーリ102f、ベルト102g、プーリ102eを介しカッタ102cが回転するようになっている。
【0030】
また駆動部102は、前述の送りジャッキ105のボールネジ105aを回転自在に支持しかつ軸方向の動きを拘束するようにボールネジ105aに接続されたジャッキ支持ブラケット(図示せず)をメインフレーム部102aAの下部に備えている。このような構造により、送りジャッキ105のハンドル部105bを回転させることにより、ベース部101に対して駆動部102が進退するようになっている。なお、このような手動式の送りジャッキに代えて、油圧シリンダを用いてもよい。
【0031】
ガイドローラ部104は、幅方向(図4中上下方向)左・右両側に、互いに同一構造のローラ組立体104L,104Rを備えている。
【0032】
これらローラ組立体104L,104Rは、後方側(図4中右側)に位置し前述のベース部101のベース部本体101aの幅方向端部に固定された後ローラブラケット104aと、この後ローラブラケット104aに回転自在に支持され、略水平面内(図4紙面の面内)で自転しコンクリート構造体Cの内周側に当接する(後述)後ローラ(固定ローラ)104bと、後ローラブラケット104aから前方側に向かって延びるように取り付けられ、駆動部102の前述のサイドフレーム部102aB又は102aCに設けた貫通孔(図示せず)に軸方向移動可能に挿通される略円筒(シリンダ)形状のガイドアーム104cと、ガイドアーム104cの前方側(図4中左側)に可動に(詳細は後述)配置された前ローラブラケット104dと、この前ローラブラケット104dに回転自在に支持され、略水平面内(図4紙面の面内)で自転する前ローラ(伸縮ローラ)104eとを備えている。
【0033】
後ローラ104b,104b及び前ローラ104e,104eは、図5に示すようにカッタ102cと略同一水平面内に配置されている。また各ローラ104b又は104eは、カッタ102cの厚さと略同一かそれ以下の厚さを備えカッタ102cにより切削した切削溝T(図2参照)に貫入可能に凸設された鍔部104bA又は104eAを有している。
【0034】
前ローラブラケット104dは、前支持ブラケット104h内に前後方向(図4中左右方向)に摺動可能に配置されており、その後方側(図4中右側)には上記ガイドアーム104cより小径のシャフト104fが固定されている。このシャフト104fの後方側はガイドアーム104cの内部に軸方向摺動可能に挿通配置されている。また、シャフト104fの外周側にはばね104gが巻装されている。ばね104gの前端部は前ローラブラケット104dの後端部に当接しており(図5参照)、ばね104gの後方側はガイドアーム104cの内部に挿通されるとともに、後端部はガイドアーム104c内部にてその後方側(例えばフランジ部104cAの内部)にて固定されている。このような構造により、前ローラブラケット104d及び前ローラ104eは、ガイドアーム104cに対して進退可能であり、言い換えれば後ローラ104bとの距離が伸縮可能である。そして、ばね104gを介しガイドアーム104c及び後ローラブラケット104aに(言い換えればベース部101に)対し接続され、コンクリート構造体Cの内周側をばね104gの付勢力で押圧する押圧ローラとして機能する(詳細は後述)。
【0035】
このとき、前ローラブラケット104dの外周側に張り出すように設けたピン取り付け部104dAに形成した貫通孔(図示せず)にはロックピン104iが挿通され、ロックピン104iの前端部はピン取り付け部部104dAに固定されている。一方、ロックピン104iの他端側は、サイドフレーム部102aB又は102aCのさらに幅方向外側に突設したロックピン挿通ブラケット102aD又は102aEの貫通孔(図示せず)に挿通され、先端ネジ部にナット104jが螺合されている。これにより、後述するように、送りジャッキ105の操作によって駆動部102がベース部101に対し近づけられたときには、ロックピン挿通ブラケット102aD又は102aEが後方へ移動してナット104jへ当接し、この結果、上記駆動部102の退行に応じて前ローラ104e及び前ローラブラケット104dもばね104gを縮ませながらガイドアーム104側に近づくようになっている。
【0036】
なお、前支持ブラケット104hは、後述するように旋回ハンドル部103の下端部に固定されており、ベース部101に対する駆動部102の進退や前ローラ104e及び前ローラブラケット104dの伸縮に関係なく、そのベース部101に対する相対位置は固定されている。
【0037】
旋回ハンドル部103は、人力により把持回転可能なハンドル本体103aと、このハンドル本体103aの径方向中央側上部に設けられた吊り具係止用の係止具103bと、ハンドル本体103aとガイドローラ部104とを連結しインカッタ装置100全体の自重を支持するハンドリングアーム103cとを備える。
【0038】
ハンドリングアーム103cは、ハンドル本体103aの径方向中央側下部から鉛直下方に延設配置される1本の吊りアーム部103cAと、この吊りアーム部103cAの下端部から径方向放射状に拡がりつつ下方に降りるように延設配置される合計4本の分岐アーム部103cBとから構成されている。4本の分岐アーム部103cBのうち、前側2本の下端部は前述のガイドローラ部104の前支持ブラケット104hに固定され、後側2本の下端部は前述のガイドアーム104cの後端部に設けた後支持ブラケット104cBに固定されている。
【0039】
(2)インカッタによる切断
上記構造のインカッタ装置100をマンホールM内に吊り下ろし、以下に示す手順によりコンクリート構造体Cの切断を行う。図6〜図9は、その切断手順を表す上面側から見た説明図である。
【0040】
図6は、インカッタ装置100をマンホールM内に吊り下ろした状態を表す図である。吊り下ろす際には、予め、送りジャッキ105のハンドル部105bを操作して駆動部102をベース部101寄りに十分に退行させ前ローラ104e,104e及び後ローラ104b,104bのいずれもがコンクリート構造体Cの内周面に干渉しない状態としておいた後、例えば旋回ハンドル部103の係止具103bを作業車のレバーブロック等により吊架しつつ、ゆっくりとマンホールM内に吊り下ろす。
【0041】
カッタ102cをコンクリート構造体C内周側の所定の高さ位置(この例では詳細には第1段目の調整リングCrlの下端部付近)に配置し終わったら、マンホールM外の地上側より、所定の道具(例えばラチェットハンドル等)を介して送りジャッキ105のハンドル部105bを回転させてボールネジ105aを回転させ、駆動部102をベース部101より前進させていく。そして、まず前ローラ104e,104eがコンクリート構造物Cの内周面に接する。さらに同一方向にボールネジ105aを回転させると、ロックピン挿通ブラケット102aD又は102aEの端面(後面)がナット104jから離れてさらに駆動部102が前進し、カッタ102cがコンクリート構造体C(詳細には調整リングCrl)に接触する。図7は、このインカッタ装置100のカッタ102cをコンクリート構造体C内周面に接触させた状態を表す図である。
【0042】
この接触状態になったら、モータ102bを起動してカッタ102cを回転させつつ、さらに同一方向にボールネジ105aを回転させてコンクリート構造体Cの内周面に浅く(例えば10mm程度)食い込ませ、この切削状態で地上側において旋回ハンドル部103aを把持してゆっくりと一回転(360°)させることにより、コンクリート構造体Cの全周にわたって内周面に切削溝T(図2及び後述の図9参照)を形成する(予切削)。図8は、このインカッタ装置100のカッタ102cによる予切削開始直後の状態を表す図である。ここで、図8の白矢印に示すようにして360°回転させていくとき、回転方向側に先行するカッタ102cによって既に形成された切削溝Tに、カッタ102と略同一平面に存在する後行の前ローラ鍔部104eA、前ローラ鍔部104eA、後ローラ鍔部104bA、後ローラ鍔部104bAがこの順序で順次はまりこんでいき、これによって回転及び切削が円滑にガイドされるようになっている。
【0043】
上記のようにして360°ほぼ全周にわたって切削溝Tを形成したら、さらに同一方向にボールネジ105aを大きく回転させて例えば全ストローク突出させ、カッタ102cをコンクリート構造体Cの内周面に深く食い込ませていき、最終的にコンクリート構造体Cの厚さ分(アンカーボルト3も含む)をすべて突っ切らせる。そしてこの状態で地上側において再び旋回ハンドル部103aを把持して一回転(360°)させることにより、コンクリート構造体Cの全周にわたって本格的な深い切削を行い(本切削)、コンクリート切削位置より上部のコンクリート構造物(この例では、調整コンクリートCad、第2段目の調整リングCru、及び第1段目の調整リングCrlの大部分)と下部のコンクリート構造物(この例では第1段目の調整リングCrlの下端側一部分、斜壁Csl、直壁Cst等)とに分断する。図9は、このインカッタ装置100のカッタ102cによる本切削途中の状態を表す図である。なお前述の図2もこのときの状態を表している。
【0044】
(3)アウトカッタの設置
上記のようにしてインカッタ装置100によるコンクリート構造体Cの切断が終了したら、インカッタ装置100をマンホールM内から地上側へ吊り上げて撤去し、代わってアウトカッタ装置200を配置してマンホール枠2外周側の路面Rの切削を行う。
【0045】
このアウトカッタ装置200の詳細構造を以下説明する。
【0046】
図10は、アウトカッタ装置200の全体構造を路面R上における配置状況とともに表す側断面図である。
【0047】
この図10において、アウトカッタ装置200は、略円形の上記マンホール枠2の内周(あるいはその下方に位置する略環状のコンクリート構造体Cの内周でもよい。以下同様)を径方向に押圧して固定されるセンターホールユニット201と、回転切削ユニット202とを有する。
【0048】
図11(a)は、センターホールユニット201の詳細構造を表す上面図であり、図11(b)は図11(a)中XI−XI断面による側断面図である。
【0049】
これら図11(a)、図11(b)、及び前述の図10において、センターホールユニット201は、径方向中心部にセンターホールSを備えた本体部201aと、マンホール枠2の内周の径方向少なくとも3カ所(この例では120°等間隔で3箇所)にそれぞれ接して押圧把持する少なくとも3つ(この例では120°等間隔で3箇所)の爪部201bと、本体部201aと爪部201bとの間に設けたアーム部201cとを有する。
【0050】
本体部201aは、例えば多角形形状(この例では六角形)を備えた上記センターホールSを備えたホールブラケット201aAと、このホールブラケット201aAの径方向外周側に複数箇所(この例では180°間隔で2箇所)のブリッジ部201aBのみを介して連結された略リング状のリング部201aCと、このリング部201aCのさらに径方向外周側に複数箇所(この例では上記ブリッジ部201aBと90°位相がずれた180°間隔で2箇所)のブリッジ部201aDのみを介して連結された略リング状のリング部201aEとをそなえている。
【0051】
このようなホールブラケット201aA〜ブリッジ部201aB〜リング部201aC〜ブリッジ部201aD〜リング部201aEという、リング部をブリッジで連結しすきまを持たせた支持構造とすることにより、構造全体として弾性をもたせることができ、シャフト部202A(後述)を柔軟に追従性よく支持することが可能である。特に、この例では、ブリッジ部201aBとブリッジ部201aDとの位相を同一とせず、互いに交互に千鳥配列(この例では90°間隔)していることにより、その効果が大きい。
【0052】
アーム部201cは、最外周側のリング部201aEの径方向外周側に放射状に3つ(この例では120°等間隔で3箇所)延設配置されており、そのうち2つのアーム部201ca,201cbは、本体部201aと爪部201bとの間にこれらを連結するように設けられている。残りの1つのアーム部201ccは、他の2つより短尺となっており、内周側が上記最外周側のリング部201aEに固定される一方、外周側と爪部201bとの間にこれらを連結する手動ジャッキ201dが設けられている。
【0053】
手動ジャッキ201dは、この例では、ハンドル部201dAを例えば地上側から人力により回転させることにより伸縮し、本体部201aと当該爪部201bとの間の距離を変化(遠近)させ、これによって、3つの爪部201b全体によるマンホール枠2に対する押圧把持力を調整できるようになっている。
【0054】
図10に戻り、回転切削ユニット202は、中実構造のシャフト部202Aと、このシャフト部202Aの上部に一体的に設けられた駆動部202Bと、略円筒形状のカッタ部202Cとを備えている。
【0055】
シャフト部202Aは、例えば多角形形状(この例では六角形)を備え上記本体部201aのホールブラケット201aAのセンターホールSに軸方向に移動可能に挿通される挿通部202Aaと、この挿通部202Aaの上部に位置する例えば略円棒状の取付け部202Abと、この取付け部202Abの外周側に設けたフランジ部202Acと、取付け部202Abの上部に設けられ例えばレバーブロックB等の吊り具係止用の係止具202Adとを備えている。挿通部202Aaは、シャフト部202Aの軸線方向がセンターホールSの軸線方向に対し微小な角度を持つことを許容できるように、所定の間隙△x(後述の図16参照)を介在させつつセンターホールSで径方向に支持されるようになっている。
【0056】
駆動部202Bは、略円盤状の鍔部202Ba1及びその下部に位置する略円筒部202Ba2からなるベースフレーム202Baと、回転駆動力を発生するモータ202Bbと、略円筒部202Ba2の外周側に回転可能に配置されたカッタ支持部202Bcとを備えている。
【0057】
略円筒部202Ba2は、シャフト部202Aのフランジ部202Ac上に載置された状態で、取付け部202Abの外周側に一体的に固定されている。
【0058】
モータ202Bbは、鍔部202Ba1上にモータ軸を鉛直となるように縦置きに配置されており、鍔部202Ba1を貫通して設けたモータ軸(図示せず)の下端部には、ピニオンギア202Bdが取り付けられている。このピニオンギア202Bdには、カッタ支持部202Bcの上部内周側に設けた内歯歯車202Beが噛合しており、これによってモータ202Bbの回転駆動力によりカッタ支持部202Bcが回転するようになっている。なお、カッタ支持部202Bcは、ベアリング202Bfを介し略円筒部202Ba2の外周側に回転可能に配設されており、また上部の鍔部202Ba1の下面との間を、シール部材202Bgによってシールされている。
【0059】
鍔部202Ba1の外周側には、略円板状の天板部202Bhが固定されており、その外縁部には、例えば蛇腹構造物からなりカッタ部202Cをすっぽりと覆う危険防止用かつ粉塵飛散防止用の安全カバー202Biが取り付けられている。
【0060】
カッタ部202Cは、その内周側縁部202Caをボルト202Cbを介して上記カッタ支持部202Bcの外縁部に固定されており、前述したようにモータ202Bbの回転駆動力でカッタ支持部202Bcとともに回転し、その下端部に設けた歯(又は刃物、あるいは砥石;図示せず)によってマンホール枠2の外周側の路面Rを略円形に切削する。このときの回転反力は、駆動部202Bのベースフレーム202Ba、シャフト部202A、センターホールユニット201を介し、マンホール枠2の内周面にとることができる。
【0061】
なお、このとき、前述したシャフト部202Aとベースフレーム202Baとの固定構造や、略円筒部202Ba2の外周側でかつ鍔部202Ba1の下方へのカッタ支持部202Bcの配設構成により、カッタ202Cには、切削時において、最終的にシャフト部202A及び駆動部202Bの自重が推進力として加わるようになっている。
【0062】
(4)アウトカッタ装置による切断
上記構造のアウトカッタ装置200を、カッタ部200Cが略円形の上記マンホール枠2の外周側上に位置するように配置し、路面Rの切削を行う。その際には、まず、前述のようにしてインカッタ装置100を撤去した後、センターホールユニット201を、マンホール枠2内に吊り下ろし、その内周に押圧固定する。吊り下ろす際には、予め、手動ジャッキ201dのハンドル部201dAを操作して対応する爪部201bを本体部201a寄りに十分に退行させ3つの爪部202bのいずれもがマンホール枠2の内周面に干渉しない状態としておいた後、例えば作業車のレバーブロック等により吊架しつつ、ゆっくりとマンホール枠2内に吊り下ろす。
【0063】
センターホールユニット201をマンホール枠2内周側の所定の高さ位置に配置し終わったら、手動ジャッキ201dのハンドル部201dAを回転させて対応する爪部201bをマンホール枠2に対し前進させていく。そして、3つの爪部201bすべてをマンホール枠2の内周面に接しさせ、さらに同一方向に手動ジャッキハンドル部201dAを回転させて各爪部201でマンホール枠2の内周面を押圧し、センターホールユニット201が強固に固定される。図12は、このセンターホールユニット201固定時の様子を表す側断面図である(但し防護蓋4の図示は省略している)。
【0064】
以上のようにしてセンターホールユニット201を固定し終わったら、回転切削ユニット202を、シャフト部202Aがセンターホールユニット201のセンターホールSに挿通させるようにしつつ配置し、カッタ部202Cの下端部(歯)を路面R上に接触させる。図13は、この回転切削ユニット202装着時の様子を表す側断面図である(但し防護蓋4の図示は省略している)。
【0065】
その後、駆動部202B、シャフト部202A、カッタ部202Cの自重によりカッタ部202Cを切削対象である路面Rに押しつけながら、モータ202Bbの回転駆動力でカッタ部202Cを回転させ、路面(舗装部)Rを表面側より全深さにわたって切削し、その切削位置より内周側の舗装構造物Ri(後述の図14参照)と外周側の舗装構造物Ro(後述の図14参照)とに分断する。
【0066】
(5)コンクリート構造物の撤去
上記のようなアウトカッタ装置200による舗装構造物Ri,Roへの切断の後、油圧キャンバー装置300を用いて、撤去対象部分をマンホールM外へ撤去する。図14は、その撤去時の様子を表す側断面図である。
【0067】
図14において、まず、撤去に際し、最初に、インカッタ装置100のカッタ102cにより分断された上部のコンクリート構造物(この例では、調整コンクリートCad、第2段目の調整リングCru、及び第1段目の調整リングCrlの大部分、以下適宜上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlのように称する)と、下部のコンクリート構造物(この例では第1段目の調整リングCrlの下端側一部分、斜壁Csl、直壁Cst等、以下適宜下部コンクリート構造物Crl,Csl,Cstのように称する)との境界面に、油圧キャンバー装置300を係合させる。
【0068】
油圧キャンバー装置300は、ボトム部300Aa及びこのボトム部300Aaより伸縮自在に出没するロッド部300Abよりなる油圧シリンダ部300Aと、ボトム部300Aaのさらに外方側に取り付けられた尖端部300Bと、ロッド部300Abのさらに外方側に取り付けられた尖端部300Cとを備えている。
【0069】
上記構造の油圧キャンバー装置300を、図14に示すようにコンクリート構造体C内に吊り下ろす。吊り下ろす際には、予め、油圧シリンダ部300Aを縮短させて尖端部300B,300Cがコンクリート構造体Cの内周面に干渉しない状態としておいた後、例えば作業車のレバーブロックB等により吊架しつつ、ゆっくりと吊り下ろす。
【0070】
油圧キャンバー装置300をコンクリート構造体C内周側の所定の高さ位置に配置し終わったら、油圧シリンダ部300Aを伸長させて尖端部300B,300Cをマンホール枠2に対し前進させ、上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlと下部コンクリート構造物Crl,Csl,Cstとの境界面(=インカッタ装置100による切断面)に尖端部300B,300Cを食い込ませる。
【0071】
このようにして食い込ませたら、そのままの状態で油圧キャンバー装置300ごとマンホールM外へと吊り上げる。この結果、油圧キャンバー装置300の上部に位置する上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlが、上記アウトカッタ装置200のカッタ部202Cにより分断された内周側の舗装構造物Ri及びこれに固着したマンホール枠2とともに一体のまま吊り上げられ、地上側へと撤去される。図14はこの吊り上げ開始直後の状態を表しているものである。
【0072】
(6)新コンクリート構造物の設置及び充填物の充填
上記のようにして上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crl、内周側舗装構造物Ri、マンホール枠2を撤去したら、これに代わる新しい上部コンクリート構造物CadN,CruN,CrlN、マンホール枠2N、内周側舗装構造物RiNを設置する。
【0073】
このときの手順としては、第1段目の調整リングCrlの残存部分及び斜壁Cslの上端部に埋まる形で残存するアンカーボルト3の先端部を除去した後、第1段目の調整リングCrlの残存部分に新たな第1段目の調整リングCrlNを前述と同様にしてマンホールM内に吊り下ろして設置し、さらにその上に第2段目の調整リングCruを吊り下ろして設置し、さらにその上に、新たなマンホール枠2N及びマンホール蓋1Nをもとの路面Rの高さに対応させるために、その場において調整コンクリートCadNを打設し、最後に、新たなアンカーボルト3Nを、調整コンクリートCadNの上部に設けたマンホール枠2Nの上部から、マンホール枠2N、調整コンクリートCadN、調整リングCruN、調整リングCrlN、そしてもとの調整リングCrl残存部を貫通して、先端部を斜壁Cslの上端部にまで届かせて締結する。
【0074】
その後、上記新たなマンホール枠2Nと残存する上記外周側の舗装構造物Roとの間に、所定の充填物(例えばモルタル)を充填する。図15は、以上のようにして改築をすべて完了した状態を表す側断面図である。
【0075】
以上のように構成した本実施形態の改築施工方法によれば、以下の効果を奏する。
【0076】
(1)アウトカッタ装置における効果
(1−1)装置構成の簡素化・小型化
本実施形態において用いるアウトカッタ装置200においては、略円筒形状のカッタ部202C、これを回転させる駆動部202B、そしてカッタ部202Cの回転中心となるシャフト部202Aを一体的に回転切削ユニット202として構成し、そのシャフト部202Aを、マンホール枠2に固定したセンターホールユニット201のセンターホールSに挿通させる構造とする。この結果、切断時において、カッタ部202Cに駆動部202Bやシャフト部202Aの自重が加わるので、これを推進力とすることで、従来構造のような推進用の油圧シリンダが不要とすることができる。これにより、装置構成の簡素化や小型化を図ることができる。また、挿入される側のセンターホールユニット201と、挿入する側の回転切削ユニット202とを完全に別体の分離構造にすることができるので、これによっても装置構成の簡素化・小型化を図ることができる。また2つに分離することで、1つあたりの機械重量を低減できる結果、例えば装置の運搬・運転時の取り扱いを容易にすることができる。
【0077】
また一方、センターホールユニット201は、シャフト部202A、駆動部202B、カッタ部202C等を備えた回転切削ユニット202と切り離された比較的軽量の機械となる。したがって、施工開始の際には、図12を用いて説明したように、この軽量のセンターホールユニット201をマンホール枠2の内周側に固定し、その後で回転切削ユニット202を装着するようにすれば足りる。この結果、センターホールユニット201の固定時には、従来構造のようにグリッパ用の油圧シリンダを用いる必要はなく、人力による手動ジャッキ201dで十分足りる。このように油圧シリンダを不要とできることにより、さらに装置構成を簡略化することができる。また油圧シリンダを用いる従来構造においては内部に油圧配管を通すために実際には支持軸を中空構造にする必要があるが、本実施形態においてはそのような必要もなくシャフト部202Aを単なる中実構造とすることができる。この結果、これによっても構造の簡素化を図れると共に、同一強度確保のために必要な軸(シャフト部)の径を細くすることができるので、これによって径方向の小型化を図ることもできる。
【0078】
(1−2)凹凸路面に対する効果
さらに、マンホール枠2に固定したセンターホールユニット201のセンターホールSに対し、カッタ部202Cと一体のシャフト部202Aを挿入配置する構造とすることにより、図16に示すように、仮にシャフト部202Aの軸線(言い換えればカッタ部202Cの軸線)αがマンホール枠2等の軸線βから傾こうとした場合の回動中心位置Pは駆動部202B・シャフト部202Aの結合位置(ベースフレーム202Baとシャフト部202Aとの固定部分)から下方に離れたセンターホールS付近となる。したがって、同様の場合に回動中心が駆動部の支持軸貫通部となる従来構造に比べ、回動中心が遠くなる分、上記傾きを許容しやすくなる。この結果、一様な傾きの斜面でなく局所的な斜面があったり多少の凹凸形状がある路面R′を切削する場合であっても、これに応じてカッタ部202Cの軸線αが微妙に傾きながらのフレキシブルな切削が可能となるので、円滑かつ効率的な施工を行うことができる。
【0079】
またこのとき、前述したように、シャフト部202Aの挿通部202Aaは、カッタ部202Cの軸線αがセンターホールSの軸線βに対し微小な角度を持つことを許容できるように、所定の間隙△xを介在させつつセンターホールSで径方向に支持されている。このように間隙△xを設けることにより、カッタ部202Cの軸線αの傾きをさらに容易に許容できるようになるので、凹凸路面R′への追従性をさらに向上することができる。
【0080】
(1−3)その他
装置構成を小型化できることにより、マンホール修繕工事周辺の住民への騒音・振動を低減できる。また、走行車両の通行の妨げになるのを抑制できる。また、特に凹凸形状等を備えた路面R′に高効率化による工事の迅速化を図れるため、車両通行を遮断する場合はその時間を短縮をはかり、あわせて工事費の縮減を図ることができる。
【0081】
(2)インカッタ装置を用いることによる効果
(2−1)耐久性の向上
本実施形態の改築施工方法においては、インカッタ装置100の略円盤状のカッタ102cをコンクリート構造体Cの内周側に配置して回転させて全周にわたって切削し、これより上部のコンクリート構造物Cad,Cru,Crlを、アウトカッタ装置200の略円筒状のカッタ部202Cで切削した内周側舗装構造物Riとともに吊り上げて撤去する。そして、撤去部分には新たなコンクリート構造物CadN,CruN,CrlN、マンホール枠2N、所定の充填物(内周側舗装構造物)RiNを順次設置して仕上げる。このような手法により、撤去すべきコンクリート構造物部分のみを明確に区分して撤去することができるので、従来手法のブレーカを用いる場合のように残存部分に歪みや損傷等を与えることがなく、結果として改築後における耐久性を確実に向上することができる。
【0082】
(2−2)カッタブレードの寿命向上
また、インカッタ装置100は、前述したように、略円盤状カッタ102cの軌道を安定させ、略水平面内において全周にわたる略円盤状カッタ102cの切削をさらに効率よく円滑に行うことができ、切削中の位置ズレ等による不用意な傷つけ等を確実に防止できるので、さらに確実に耐久性を向上できる。また、ほぼ一平面上で切削が完了し、ブレがない(切削軌道が安定する)ため、カッタブレードの消耗を最小限に抑えることができる効果もある。またこれによって工事費の低減も図れる。
【0083】
なお、図16を用いて説明したような凹凸面や斜面(一様な斜面でもよい)を施工対象とするときには、インカッタ装置100についても、これに対応した所定の治具(安定台)を用いることで、このような場合でもブレのない安定的な施工を行うことが可能となる。以下、その詳細を説明する。
【0084】
図17は、インカッタ装置100の切削軌道を安定化させる安定台の全体構造を表す斜視図である。
【0085】
図17において、安定台400は、それぞれ中央側に円形開口部を備えた略円環状の板である、摺動面板400H、中間板400M、底板400Lを備えている。摺動面板400Hと中間板400Mとの間は、周方向複数箇所(この例では120°等間隔で3箇所)において、略鉛直方向に配設された3本の支柱401によってそれぞれ連結されている。また中間板400Mと底板400Lとの間は、周方向複数箇所(この例では120°等間隔で3箇所)において、略鉛直方向に配設された3本の調整ボルト402及びこれに螺合する上下ナット403U,403Lによってそれぞれ連結されている。このとき、3本の支柱401と3本の調整ボルト402との位相は、互いに交互に千鳥配列(この例では60°間隔)となっている。
【0086】
図18は、上記構成の安定台400を用いて、インカッタ装置100によって斜面状の路面R″に設けたマンホールMにおけるコンクリート構造体の切削を行っている状態を表す側断面図である。
【0087】
図18において、インカッタ装置100を設置する前に、マンホール枠2の傾きに関係なく水平面を確保するために、各調整ボルト402に螺合している上・下ナット403U,403Lを操作してその位置を調整する。そして、路面R″の傾斜角度に対応するように中間板400Mと底板400Lとの間に角度を形成し、底板400Lを傾斜したマンホール枠2においても中間板400M及び摺動面板400Hが水平面となるようにする。
【0088】
この状態で、前述のようにしてインカッタ装置100を摺動面板400H、中間板400M、底板400Lの中央側開口部よりマンホールM内に吊り下ろし、ハンドル本体103aを摺動面板400Hの上に載置させ、この状態で静止させる。ハンドル本体103aを360°回転させるときは、この摺動面板400H上でハンドル本体103aを摺動させながら回転させればよい。これにより、略水平面内においてカッタ102cの軌道を安定的に完成させることができるので、カッタ102cの切削をさらに効率よく円滑に行うことができる。
【0089】
なお、安定台の構造は上記に限られるものではなく、例えば単純な円筒の外周複数箇所に設けたブラケットにネジジャッキを挿通させ、各ジャッキのブラケットからの突き出し高さを調整することで円筒の上面を略水平とし、上記摺動面板400Hに代えてその略水平な円筒上面にハンドル本体103aを載置するようにしてもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0090】
(2−3)その他
コンクリート構造体CをマンホールM内側から切断することにより、例えばアンカーボルト3を有するマンホールMであっても改築作業を低振動・低騒音で迅速に行うことができる。
【0091】
なお、上記実施形態では、インカッタ装置100により、切削位置より上部のコンクリート構造物(調整コンクリートCad、第2段目の調整リングCru、及び第1段目の調整リングCrlの大部分)と、下部のコンクリート構造物(は第1段目の調整リングCrlの下端側一部分、斜壁Csl、直壁Cst等)とに分断を行って、上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlを撤去した後、これに対応した新しい上部コンクリート構造物CadN,CruN,CrlNを設置した。すなわち、第1段目の調整リングCrlの残存部分に新たな第1段目の調整リングCrlNを前述と同様にしてマンホールM内に吊り下ろして設置し、さらにその上に第2段目の調整リングCruを吊り下ろして設置し、さらにその上に、新たなマンホール枠2N及びマンホール蓋1Nをもとの路面Rの高さに対応させるために、その場において調整コンクリートCadNを打設した。調整リングCruN,CrlNはコンクリートII次製品であって規格がきまっているため、余った分や半端な分を現場打設の調整コンクリートCadNの打設によって調整した。
【0092】
しかしながら、予め新たに搬入する調整リングCruN,CrlNの厚さ方向寸法を考慮し、それらを積み重ねるのみでマンホール枠2と路面Rの同一性を確保できるような位置をインカッタ装置100で切断する(すなわち調整リングの厚さ分だけ切断する)ようにすれば、上記現場打設の調整コンクリートCadNは不要となるはずである。
【0093】
以下、そのような変形例を図19(a)、図19(b)、図19(c)により説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0094】
図19(a)は改築前における本変形例のマンホール上部構造を表す側断面図であり、図19(b)は改築時におけるインカッタ装置100の切断位置の設定における考え方を表す側断面図である。
【0095】
図19(a)において、この例では、コンクリート構造体Cは、直壁Cst、斜壁Csl、調整リングCr、調整コンクリートCad等によってコンクリート構造体Cが構成され、その上部にマンホール枠2及びこれに支持されるマンホール蓋1が設けられ、路面Rの高さとほぼ同一となっている。
【0096】
ここで、本変形例においては、図19(b)に示すように、インカッタ装置100による切削位置を、地上側へと撤去する上部のコンクリート構造物の厚さが、既製のコンクリート製リング部材(調整リング)CrNの厚さtと略同一となるように設定し、その位置Q(この例では調整リングCrの下端部付近)で切断を行う(言い換えれば、切断位置Qを、マンホール枠2の下端より調整リングCrNの厚さtだけ下の位置とする)。そして、この位置Qより上方の上部コンクリート構造物Cr(厚さt)を撤去した後、新たなコンクリート構造物として、略同一厚さtのコンクリート製リング部材CrNを、残存する下部コンクリート構造物(この例では調整リングCrの下端側一部分、斜壁Csl、直壁Cst)上に設置し、接着する。最後に、アンカーボルト3に代えて、例えば周方向3箇所に設けるセットボルト3′によってマンホール枠2Nをリング部材CrNに固定する。図19(c)はこのときの状態を表している。
【0097】
以上のように、撤去する上部コンクリート構造物Cad,Cru,Crlの厚さを、既製のコンクリート製リング部材(調整リング)CrNとほぼ同一となるようにすることで、撤去後に空いたスペースに、既製品である上記リング部材(厚さt)をただ設置するだけで足り、余ったスペースを埋めるために通常現場にて行われる調整コンクリートを打設する必要がなくなる。これにより、工期の短縮及びコスト低減を図れる。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、インカッタ装置を用いてコンクリート構造物のうち撤去すべき部分のみを明確に区分して撤去することができるので、従来手法のブレーカを用いる場合のように残存部分に歪みや損傷等を与えることがなく、結果として改築後における耐久性を確実に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による改築施工方法の適用対象であるマンホールの上部構造を表す側断面図である。
【図2】インカッタ装置の全体構造をコンクリート構造体における配置状況とともに表す側断面図である。
【図3】図2中III方向から見た上面図である。
【図4】インカッタ装置を構成するベース部、駆動部、ガイドローラ部の詳細構造を表す拡大抽出上面図である。
【図5】図4中V方向から見た側面図である。
【図6】インカッタ装置をマンホール内に吊り下ろした状態を表す図である。
【図7】インカッタ装置のカッタをコンクリート構造体内周面に接触させた状態を表す図である。
【図8】インカッタ装置のカッタによる予切削開始直後の状態を表す図である。
【図9】インカッタ装置のカッタによる本切削途中の状態を表す図である。
【図10】アウトカッタ装置の全体構造を路面上における配置状況とともに表す側断面図である。
【図11】センターホールユニットの詳細構造を表す上面図、及び図11(a)中XI−XI断面による側断面である。
【図12】センターホールユニット固定時の様子を表す側断面図である。
【図13】回転切削ユニット装着時の様子を表す側断面図である。
【図14】油圧キャンバー装置による撤去時の様子を表す側断面図である。
【図15】改築をすべて完了した状態を表す側断面図である。
【図16】凹凸面又は局所傾斜面等の路面切削時にシャフト部の軸線(カッタ部の軸線)がマンホール枠の軸線から傾いている状態を表す図である。
【図17】インカッタ装置の切削軌道を安定化させる安定台の全体構造を表す斜視図である。
【図18】図17に示した安定台を用いて、インカッタ装置によって斜面状の路面に設けたマンホールにおけるコンクリート構造体の切削を行っている状態を表す側断面図である。
【図19】現場打設の調整コンクリートを不要とする変形例の改築前におけるマンホール上部構造、基本原理、改築後をそれぞれ表す側断面図である。
【符号の説明】
2 新たなマンホール枠
2N マンホール枠
100 インカッタ装置
102c カッタ
200 アウトカッタ装置
202C カッタ部
C コンクリート構造体
Cad 調整コンクリート
CadN 新たな調整コンクリート
Cr 調整リング
Crl 第1段目の調整リング
CrlN 新たな第1段目の調整リング
Cru 第2段目の調整リング
CruN 新たな第2段目の調整リング
Csl 斜壁
Cst 直壁
R 舗装部(路面)
Ri 内周側舗装構造物
Ro 外周側舗装構造物
Claims (6)
- 略円形のマンホール枠の下方に位置する略環状のコンクリート構造体の内周側に、インカッタ装置の略円盤状のカッタを配置し、
前記略円盤状のカッタを回転させて前記コンクリート構造体を前記内周側より全周にわたって切削し、切削位置より上部のコンクリート構造物と下部のコンクリート構造物とに分断し、
前記マンホール枠の外周側の舗装部上に、アウトカッタ装置の略円筒状のカッタを配置し、
前記略円筒状のカッタを回転させて前記舗装部を表面側より全深さにわたって切削し、切削位置より内周側の舗装構造物と外周側の舗装構造物とに分断し、
前記インカッタ装置の前記略円盤状のカッタにより分断された前記上部のコンクリート構造物を、前記アウトカッタ装置の前記略円筒状のカッタにより分断された前記内周側の舗装構造物及びこれに固着した前記マンホール枠と一体のまま吊り上げて、地上側へと撤去し、
撤去した前記上部のコンクリート構造物に対応する新たなコンクリート構造物を残存する前記下部のコンクリート構造物上に設置し、
さらにその新たなコンクリート構造物の上部に新たなマンホール枠を設置し、この新たなマンホール枠と残存する前記外周側の舗装構造物との間に、所定の充填物を充填することを特徴とするマンホールの改築施工方法。 - 請求項1記載のマンホールの改築施工方法において、
前記インカッタ装置の前記切削にあたっては、最初に前記略円盤状のカッタを前記コンクリート構造体の内周面に浅く食い込ませた状態で全周にわたって予切削を行い前記内周面の全周に溝を形成し、
その後、前記インカッタ装置において前記略円盤状のカッタと略同一水平面内に配置された複数のローラを前記全周に形成された溝に貫入させながら、これをガイドとして前記略円盤状のカッタをさらに深く食い込ませつつ前記コンクリート構造体を前記内周側より全周にわたって本切削し、前記分断を行うことを特徴とするマンホールの改築施工方法。 - 請求項1又は2記載のマンホールの改築施工方法において、
前記インカッタ装置の前記略円盤状のカッタによる切削位置を、前記地上側へと撤去する前記上部のコンクリート構造物の厚さが、既製のコンクリート製リング部材の厚さと略同一となるように設定し、
前記新たなコンクリート構造物として、前記コンクリート製リング部材を残存する前記下部のコンクリート構造物上に設置することを特徴とするマンホールの改築施工方法。 - 略円形のマンホール枠の下方に位置する略環状のコンクリート構造体の内周側において略水平に配置されるベース部と、
回転駆動力を発生するモータ及びこのモータの回転駆動力により回転して前記コンクリート構造体の内周側を切削する略円盤状のカッタを備え、前記ベース部より進退して前記コンクリート構造体の前記内周側に遠近可能に設けられた駆動部と、
下端側が前記ベース部に接続されるとともに上端側がマンホール外の地上側に現出するように配置され、人力により把持回転可能な旋回ハンドル部と、
略水平面内で自転しつつ前記コンクリート構造体の前記内周側に当接する複数のローラを備え、前記ベース部に接続されて前記旋回ハンドル部の操作による前記ベース部の回転を案内するガイドローラ部とを有することを特徴とするマンホール改築施工用インカッタ装置。 - 請求項4記載のマンホール改築施工用インカッタ装置において、
前記ガイドローラ部の各ローラは、前記カッタと略同一水平面内に配置されるとともに、前記カッタの厚さと略同一かそれ以下の厚さを備え前記駆動部のカッタにより切削した切削溝に貫入可能に凸設された鍔部を有することを特徴とするマンホール改築施工用インカッタ装置。 - 請求項4又は5記載のマンホール改築施工用インカッタ装置において、
前記ガイドローラ部の前記複数のローラは、前記ベース部に対しばねを介して接続され前記コンクリート構造体の前記内周側を前記ばねの付勢力で押圧する押圧ローラを含むことを特徴とするマンホール改築施工用インカッタ装置。
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Cited By (2)
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JP2010058272A (ja) * | 2008-09-01 | 2010-03-18 | Prime Sangyo Kk | マンホール内壁切断機及びマンホール内壁切断機用治具 |
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-
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