JP2005027532A - 細胞培養基材及びその製造方法、並びに細胞培養方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞培養を行うに際しての、細胞の足場となる細胞接着面、栄養の供給、及び老廃物の除去ルートを有しており、かつ形成された2次元又は3次元組織体を簡便に回収できる細胞培養基材、該細胞培養基材の製造方法、並びに、該細胞培養基材を用いた細胞培養方法を提供する。
【解決手段】少なくとも、微粒子と、親水性成分と、を含む微粒子含有親水性高分子ゲルからなる細胞培養基材、等である。また、少なくとも、微粒子と、親水性モノマー(或いは、親水性モノマー及び疎水性モノマー)と、を混合し架橋反応させることを特徴とする微粒子含有高分子げるからなる細胞培養基材の製造方法、等である。さらに、上記細胞培養基材を敷き詰めた培養皿上で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法、等である。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも、微粒子と、親水性成分と、を含む微粒子含有親水性高分子ゲルからなる細胞培養基材、等である。また、少なくとも、微粒子と、親水性モノマー(或いは、親水性モノマー及び疎水性モノマー)と、を混合し架橋反応させることを特徴とする微粒子含有高分子げるからなる細胞培養基材の製造方法、等である。さらに、上記細胞培養基材を敷き詰めた培養皿上で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法、等である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞培養基材及びその製造方法、並びに細胞培養方法に関する。より詳細には、細胞培養により2次元又は3次元組織体を形成でき、さらに培養後の組織を簡便に回収できる細胞培養基材及びその製造方法、並びに該細胞培養基材を用いた細胞培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞培養技術は、1)細胞産生物の生産、2)生体病変部や欠損部への補綴材、3)薬剤の毒性及び薬理活性評価用のシミュレーターなどの分野で、研究、応用されている。
今日、細胞培養に用いられている動物細胞は2種類に分類される。即ち、接着非依存性細胞(anchorage independent cells)と接着依存性細胞(anchorage dependent cells)である。前者の接着非依存性細胞は、生存、増殖、物質産生能などの細胞機能が細胞の足場である基質が存在しなくても正常に発現される細胞である。典型的な例として、ミエローマ細胞、リンホーマ細胞などから形成されるハイブリドーマが挙げられる。一方、後者の接着依存性細胞は、生存、増殖、物質産生などの細胞機能が細胞の足場である基質が存在しなくては正常に発現されない細胞である。初代培養細胞をはじめとした正常二倍体細胞の大部分は、接着依存性である。さらに無限に増殖可能な樹立細胞系にも、接着依存性を示すものが数多く知られている。例えば、インターフェロン、インターロイキンなどのサイトカイン類、エリスロポエチン、コロニー・スティミュレイティング・ファクター、トロンボポエチンなどの各種分化成長ホルモン、ティッシュ・プラスミノーゲン・アクチベーター、ワクチンなどの有用な細胞産生物を産生する樹立細胞系にも接着依存性を示すものが多く知られている。
【0003】
従来、細胞培養は、ガラス表面上或いは種々の処理を行った合成高分子材料の表面上において行われていた。その一例として、ポリスチレンに対して種々の表面処理(例えば、プラズマ処理、コロナ処理、等)を施したもの、或いはコラーゲン、フィブロネクチン、ポリリジンなどの細胞接着性タンパク質をコートしたものなどの種々の形状の容器が細胞培養用基材として普及している。
【0004】
また、細胞と細胞培養用基材との相互作用に関しては、細胞は基材表面の化学的な性質のみならず微細な形状によっても影響を受けることが知られている。そこで、半導体産業等に利用されているマイクロパターン技術を利用した細胞接着面のサイズコントロール、培養基板への微小溝構造の導入、マイクロスフィアによる微細凹凸の作製が行われ、細胞培養用基材として生産されている。しかし、これらのマイクロパターン技術を使った表面設定は、非常に高度な技術が必要であり、大量生産が出来ない、高コストになる、などの多くの問題を抱えているのが現状である。
【0005】
そして、上述のような細胞培養基材を用いて培養、増殖された細胞は、従来、トリプシンのようなタンパク質分解酵素やEDTAのような化学薬品により処理することで基材表面から剥離、回収されていた。しかしながら、このような手段により細胞を回収した場合、処理工程が煩雑になること、不純物混入の可能性が多くなること、また増殖した細胞が前記処理により変性し、細胞本来の機能が損なわれること、等の欠点が指摘されている。
【0006】
これらの欠点を解消するために、トリプシンのようなタンパク質分解酵素やEDTAのような化学薬品等による処理を必要とせず、培養支持体周囲の温度を変化させるだけで、培養・増殖させた細胞を剥離、回収させることのできる細胞培養用支持体材料、及びその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。このような技術における細胞培養基材としては、ポリイソプロピルアクリルアミド(以下、PNIPAMと略称する。)が用いられている。
【0007】
PNIPAMは、水溶液中において下限臨界点温度(LCST)31℃を有する感温性高分子である。具体的には、臨界点温度以下の温度では分子表面が親水性又は水溶性を呈して水に溶けるが、臨界点温度以上の温度では分子表面が疎水性を示すので水中に析出するという、いわゆる感温性の相分離特性を有している高分子である。しかも、臨界点温度以上の温度環境では、表面が疎水性を有することで細胞に対する接着性を発現する。即ち、細胞培養後に培養液中において、PNIPAM層を臨界点温度以下の温度にすれば、PNIPAM層の表面は親水性になって細胞が接着できなくなると共に、PNIPAM層は水に溶解する。その結果、培養された細胞層は、培養皿の表面から剥離して回収される。しかし、この方法ではポリマーを洗浄することが容易でない等の問題点があった。
【0008】
また、細胞を培養し3次元組織体を形成させるには、コラーゲン、アルギン酸、アガロースなどのような天然高分子材料を用いたゲルやポリ(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル)などのような合成高分子材料を用いたゲルの内部やスポンジ状に成形された基材で細胞培養が行われてきた。例えば、アルギン酸ゲルを用いて培養を行い、カルシウムキレイト剤を添加することにより回収する方法が示されている(例えば、特許文献5参照。)。
また、従来の多くの方法においては、培養した細胞を回収するために、トリプシンのようなタンパク質分解酵素やEDTAのような化学薬品により処理するため、細胞本来の機能が損なわれること等の欠点が指摘されている。
【0009】
これらの欠点を解消するために、温度変化によってゾル−ゲル転移するハイドロゲルを用いて細胞培養を行い、回収する方法が示されている(例えば、特許文献6〜13参照。)。しかし、この方法は、ゲル内部で細胞培養を行うため、3次元組織体を形成させるには、拡散による栄養の供給と老廃物の除去が問題となり、培地交換時にゲルをゾル状態にしなければならないなど工程の煩雑さ、ポリマーを洗浄することが容易でない等の問題点があった。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−211865号公報
【特許文献2】
特開平4−278083号公報
【特許文献3】
特開平9−23876号公報
【特許文献4】
特開平11−349643号公報
【特許文献5】
特開平10−248557号公報
【特許文献6】
特願平4−16114号公報
【特許文献7】
特願平5−18697号公報
【特許文献8】
特願平7−187902号公報
【特許文献9】
特願平7−187903号公報
【特許文献10】
特開平9−12651号公報
【特許文献11】
特開平9−12652号公報
【特許文献12】
特開2002−18270号公報
【特許文献13】
特開2001−329183号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、細胞培養を行うに際して、細胞の足場となる細胞接着面、栄養の供給、及び老廃物の除去ルートを有しており、かつ形成された2次元又は3次元組織体を簡便に回収できる細胞培養基材、該細胞培養基材の製造方法、並びに、該細胞培養基材を用いた細胞培養方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 少なくとも、微粒子と、親水性成分と、を含む微粒子含有親水性高分子ゲルからなることを特徴とする細胞培養基材である。
<2> 少なくとも、微粒子と、疎水性成分と、親水性成分と、を含む微粒子含有高分子ゲルからなることを特徴とする細胞培養基材である。
【0013】
<3> 前記親水性成分が、アニオン成分又はカチオン成分を含むことを特徴とする前記<2>に記載の細胞培養基材である。
<4> 前記親水性成分が、生物由来成分を含むことを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
<5> 感温性高分子成分を含むことを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
【0014】
<6> 前記微粒子が、無機材料であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
<7> 前記微粒子が、有機材料であること特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
<8> 前記微粒子が、金属材料であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
<9> 前記微粒子の濃度が、3〜90質量%の範囲であることを特徴とする前記<1>〜<8>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
【0015】
<10> 前記<1>〜<9>のいずれかに記載の細胞培養基材を敷き詰めた培養皿上で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法である。
<11> 前記<1>〜<9>のいずれかに記載の細胞培養基材からなる集合体中で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法である。
【0016】
<12> 少なくとも、微粒子と、親水性モノマーと、を混合し架橋反応させることを特徴とする微粒子含有親水性高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法である。
<13> 少なくとも、微粒子と、疎水性モノマーと、親水性モノマーと、を混合し架橋反応させることを特徴とする微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法である。
<14> 少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を含む共重合体と、を混合し架橋させることを特徴とする微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法である。
<15> 少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を有する共重合体と、を混合して分散溶液を調製し、該分散溶液を分散媒に添加し懸濁させて、架橋させることを特徴とする微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の細胞培養基材及びその製造方法、並びに細胞培養方法にについて詳細に説明する。
【0018】
[細胞培養基材]
本発明の細胞培養基材の第1の態様は、少なくとも、微粒子と、親水性成分と、を含む微粒子含有親水性高分子ゲルからなることを特徴とする。
本発明の細胞培養基材の第2の態様は、少なくとも、微粒子と、疎水性成分と、親水性成分と、を含む微粒子含有高分子ゲルからなることを特徴とする。
【0019】
ここで、上記第1の態様における微粒子含有親水性高分子ゲルは、少なくとも、微粒子と親水性成分とを含み、高分子ゲルが全体として親水性を示すものであればよい。なお、本発明の細胞培養基材においては、細胞培養時に培養される細胞の足場(接着面)となりうる疎水性部分の存在が必要であるが、微粒子含有高分子ゲルが親水性成分のみにより構成される場合には、疎水性の微粒子を用いることで当該疎水性部分とすることができる。
【0020】
本発明の細胞培養基材は、上記構成としたことにより、細胞培養の際における細胞の足場となる細胞接着面を提供し得るとともに、高分子ゲルが含む微粒子の存在に起因して、培養に必要な栄養分や培養中に生じる老廃物の拡散速度が大きくなり、培養組織体(2次元組織体、又は3次元組織体)を効率よく形成することができる。更に、高分子ゲル中に微粒子が存在することで、培養後の組織体の基材からの分離・回収が、煩雑な工程を経ずに簡便に且つ速やかに行うことができる。
【0021】
〔微粒子含有高分子ゲル〕
本発明の細胞培養基材を構成する微粒子含有高分子ゲルについて説明する。
前記本発明の第1の態様における微粒子含有高分子ゲルは、微粒子と親水性成分とを含む微粒子含有親水性高分子ゲルである。
また、前記第2の態様における微粒子含有高分子ゲルは、微粒子と、親水性成分と、疎水性成分と、を含む微粒子含有高分子ゲルである。
以下、本発明における微粒子含有高分子ゲル(以下、適宜「高分子ゲル」と称する。)を構成する各成分について説明する。
【0022】
<微粒子>
微粒子について説明する。
本発明における微粒子としては、無機材料、有機材料、及び、金属材料からなる微粒子が使用できる。
【0023】
無機材料からなる微粒子(無機微粒子)の具体例としては、酸化鉄等、フェライト、バリウム系化合物等の磁性体、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン、鉛白、酸化ジルコニウム、アルミナ、マイカナイト、マイカレックス、石英、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、珪素土、タルク、カオリン、セリサイト、パーミキュライト、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミックスパウダー、等が挙げられる。
【0024】
有機材料からなる微粒子(有機微粒子)の具体例としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラスチック等やこれら2種類以上の高分子材料の混合材料(ポリマーブレンド)などの高分子材料、等が挙げられる。
【0025】
金属材料からなる微粒子(金属微粒子)の具体例としては、亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、ロジウム金、等が挙げられる。
【0026】
上記した微粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。微粒子は、用途によって適宜選択することができる。例えば、顕微鏡下における観察の容易さ等の観点からは、シリカ微粒子や、ポリスチレン等の有機微粒子などの無着色で光透過性を有する微粒子を用いることが好ましい。また、培養後の組織体を、培養基材から簡便かつ効率的に分離・回収する観点からは、磁性体微粒子を用いることが好ましい。
【0027】
本発明における微粒子の粒径としては、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜5μmのものが好ましい。細胞の足場となる細胞接着面、培養に必要な栄養分や培養中に生じる老廃物の拡散などの観点からは、0.01μm〜0.5μmのものが特に好ましい。
また、微粒子の比重としては、培養後の組織体の分離・回収等の観点から、1.001〜10が好ましく、1.005〜5がより好ましい。
【0028】
高分子ゲル中における微粒子の含有量としては、0.1〜90質量%の範囲から一般的に選択される。特に、ゲル粒子内/外部への溶液の浸透、拡散を速やかに効率的に行う観点からは、その濃度が3〜90質量%、より好ましくは5〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0029】
<親水性成分>
親水性成分としては、ノニオン成分、アニオン成分、及びカチオン成分の各親水性成分を用いることができる。
本発明においては、細胞の足場(細胞接着面)を充分に確保し細胞培養を効率よく行う観点から、親水性成分としては、アニオン成分又はカチオン成分を含むことが好ましい。アニオン成分及びカチオン成分の双方を含んでいてもよい。
但し、多量の電荷を導入することは、細胞に毒性を与えることが知られており、適当な電荷密度とすることが必要である。例えば、正電荷を導入したマイクロキャリアーの場合は、約2.0(meq/gm)が適当(D.W.Levin, et al., Biote chnol. Bioeng. 21, 821, 1979)なことが知られている。従って、アニオン成分、カチオン成分の導入量は、細胞毒性がない範囲で適宜決定される。
【0030】
本発明において、アニオン成分とは、カルボン酸基、スルフォン酸基、硫酸基、リン酸基等の酸基およびこれらの塩を有する成分を意味する。また、カチオン成分とは、アミノ基、4級アミノ基等のイオン性基を有する成分を意味する。
【0031】
これらの各成分は下記のモノマーを用いて合成できる。
ノニオン成分として用いられる親水性モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、等が挙げられる。
【0032】
酸基やその塩を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸あるいはその塩;マレイン酸あるいはその塩;フマル酸あるいはその塩;イタコン酸あるいはその塩;クロトン酸あるいはその塩;ビニルスルホン酸あるいはその塩;ビニルベンゼンスルホン酸あるいはその塩;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミドアルキルスルホン酸あるいはその塩;2−アクリロイルエタンスルホン酸、2−アクリロイルプロパンスルホン酸、2−メタクロイルエタンスルホン酸等のような(メタ)アクリロイルアルキルスルホン酸あるいはその塩;等が挙げられる。
【0033】
一方、アミノ基や4級アミノ基等のイオン性基を有するモノマーの具体例としては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとその4級化物;ジエチルアミノプロピル(メタ)クリルアミドとその4級化物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物;等が挙げられる。
【0034】
<疎水性成分>
疎水性成分としては、疎水性基を有するモノマーから構成されることが好ましい。疎水性基を有するモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチスチレン等のスチレン誘導体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;フッ素化アルキル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。これらは代表的な材料例であるため、これらに限定されるものではない。また、上記各モノマーは複数種類用いてもよい。
【0035】
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリルアミド」なる記述は、「(メタ)アクリルアミド」及び「アクリルアミド」のいずれをも含むことを意味する。
【0036】
また、本発明においては、細胞の足場(細胞接着面)を充分に確保し細胞培養を効率よく行う観点から、親水性成分として生物由来成分を含むことが好ましい。
生物由来成分としては、コラーゲン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、ミオシン、フィブリノーゲン、フィブリン、ケラチン、γ−グロブリン、ラミニン、フィブロネクチン、メチルセルロース、デキストランなどのタンパク質、糖タンパク質、ポリペプタイド、多糖類、等が挙げられる。これらに限定されるものではない。上記生物由来成分の高分子ゲル中における含有の態様としては、高分子ゲル中に遊離した状態で含まれる態様であってもよいし、高分子ゲルに固着した態様であってもよい。
【0037】
本発明における高分子ゲルは、感温性高分子成分を含むことが好ましい。
本発明に適用される感温性高分子成分としては、細胞培養温度下(通常、37℃程度)において疎水性を示し、培養した組織体の回収時の温度下において親水性を示すものが好ましい。なお、感温性高分子が、疎水性から親水性に変化する温度としては、特に限定されないが、培養後の組織体の回収の容易さの観点からは、細胞培養温度よりも低い温度であることが好ましい。
このような感温性高分子成分を含むことで、細胞培養時においては、細胞の足場(細胞接着面)が充分に確保されるため細胞培養を効率よく行うことができる。その一方、培養後の組織体の回収時においては、疎水性部分を親水性に変化させ、培養された組織体を細胞培養基材から分離させることで、当該組織体の回収をより一層容易にすることができる。
【0038】
感温性高分子成分の具体例としては、ポリ[N−イソプロピルアクリルアミド]などのポリ[N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド];N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどから選択される1種以上との共重合体;ポリビニルメチルエーテルやメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体;ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドとのブロック共重合体等に代表されるポリアルキレンオキサイドブロック共重合体;ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体;などが挙げられる。本発明においては、これらの成分が、目的に応じて適宜選択される。
【0039】
本発明における微粒子含有高分子ゲルの形態としては、特に制限はなく、粒子状、ブロック状、不定形状、繊維状など種々ものが適用可能である。中でも、粒子状の形態は、微細凹凸の作製が簡便であること、積層するなどの集合体としたときの非占有空間の制御が簡便であることから好ましい。粒子状における形態についても特に限定はないが、球体、楕円体、多面体、星状などのものが適用できる。
【0040】
また、微粒子含有高分子ゲルが粒子状の形態である場合の粒径としては、細胞培養の効率と細胞の回収の観点から、0.001mm〜1mm程度が好ましく、0.005mm〜0.3mm程度がより好ましい。
【0041】
[微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法]
次に、本発明の微粒子含有高分子ゲルから細胞培養基材の好ましい製造方法について説明する。
【0042】
本発明の細胞培養基材を構成する微粒子含有高分子ゲルの製造方法としては、少なくとも、微粒子と、親水性モノマー(或いは、疎水性成分及び親水性成分のモノマー)と、を混合し架橋反応させて製造する方法が挙げられる。
具体的には、微粒子、親水性成分のモノマー(或いは、疎水性成分及び親水性成分のモノマー)、架橋剤、及び溶媒を均一に分散、混合した後に重合して製造する方法である。
【0043】
また、少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を含む共重合体と、を混合し架橋させる方法が挙げられる。
具体的には、初めに、疎水性成分及び親水性成分のモノマーを用いて高分子ゲルの主鎖を構成する共重合体を合成し、この共重合体に微粒子を均一に分散、混合した後に架橋することにより製造する方法である。
【0044】
さらに、少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を有する共重合体と、を混合して分散溶液を調製し、該分散溶液を分散媒に添加し懸濁させて、架橋させることにより製造する方法が挙げられる。
【0045】
粒子等の形状を有する微粒子含有高分子ゲルを製造するには、乳化法、懸濁法、分散法、機械的粉砕法などの方法を併用し粒子などの形状に加工することも可能である。
【0046】
高分子ゲルにおける酸基やイオン性基といった親水性成分の含有量としては、0.01mol%〜30mol%が好ましく、0.05mol%〜10mol%がより好ましい。
また、高分子ゲルが前記生物由来成分を含む場合の含有量は、目的に応じて適宜決定されるが、高分子ゲルの乾燥重量に対して、0.001質量%〜2質量%の範囲で含有されることが好ましく、0.005質量%〜1質量%の範囲で含有されることがより好ましい。
【0047】
高分子ゲルにおける疎水基の含有量としては、0.1mol%〜50mol%が好ましく、より好ましくは0.5mol%〜40mol%の範囲である。疎水性基の含有量が0.1mol%以下では細胞の足場となり得ない場合がある。一方、50mol%以上ではゲルの吸液量が低下するとともに細胞接着が強固となり所望の特性が発現しない場合がある。
【0048】
また、上記共重合体の種類としては、ブロック型、ランダム型及びグラフト型のいずれであってもよい。
共重合体の分子量としては重量平均分子量で1000以上が好ましく、より好ましくは重量平均分子量で3000以上である。共重合体の分子量があまりにも小さい場合、架橋しても高分子ゲルにならなかったり、高分子ゲルとなっても所望の特性が得られない場合がある。
また、重量平均分子量の上限は、微粒子の分散に問題がないかぎり限定されない。つまりは、分散装置の性能と分散溶液粘度によって満足な分散状態を得られる範囲内で重量平均分子量を高くすることができる。
【0049】
共重合体の架橋方法としては、グルタルアルデヒド等のアルデヒド類、WSC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩) 等のカルボジイミド類、デナコール(商品名)等の多官能エポキシ、多官能イソシアネート等の架橋剤を用いたり、γ線、X線、電子線等の活性光線、ラジカルを発生させる開始剤を用いることができる。
【0050】
重合時において微粒子を添加する場合には、重合性基や不対電子(ラジカル)を有する微粒子を使用し、高分子ゲルに対して化学結合させることも好ましい。また、微粒子は、高分子ゲル中に極力均一に分散されていることが望ましい。
微粒子を均一に分散するには、機械的混練法、攪拌法や超音波分散法を用い、適宜、分散剤などを利用することが好ましい。
【0051】
[細胞培養方法]
次に、本発明の微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材を用いた細胞培養方法について説明する。
本発明の細胞培養方法としては、以下の方法を挙げることができる。
(1)前記本発明の細胞培養基材を敷き詰めた培養皿上で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。この方法によれば、2次元組織体を形成し、かつ簡便に分離・回収することができる。
(2)前記本発明の細胞培養基材からなる集合体中で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。この方法によれば、3次元組織体を形成し、かつ簡便に分離・回収することができる。
これらの方法に適用される微粒子含有高分子ゲルとしては、粒子形状のものであることが好ましい。
【0052】
上記(1)の方法について具体的に説明する。
2次元組織体を形成し、その組織を回収するには、培養皿上に本発明の微粒子含有高分子ゲル粒子を敷き詰めその上で通常の細胞培養を行う。充分に細胞が増殖したのを確認した後、大量の培養液を添加し、培養皿をシェイクしていると培養皿から微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体が剥がれてくる。ピペットなどで微粒子含有高分子ゲル粒子に培養液を吹きかけていると微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体が分離してくるので2次元組織体だけを回収する。あるいは微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体とを回収し、接着性のない培養用フラスコ中で攪拌していると、微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体とが分離してくるので2次元組織体だけを回収する。
この方法で、微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体とを分離回収するために添加する液体は、特に培養液である必要はなく、細胞組織体に悪影響を与えない液体であれば、如何なる液体でも使用できる。
また、この方法において用いられる微粒子含有高分子ゲル粒子径は、培養する細胞の大きさと同等以下の微粒子含有高分子ゲル粒子を用いるのが好ましい。微粒子含有高分子ゲル粒子の粒径が大きいと増殖性、剥離性が不良になる傾向がある。
【0053】
上記(2)の方法について具体的に説明する。
3次元組織体を形成し、その組織を回収するには、従来の細胞培養に用いられている培養皿に本発明の微粒子含有高分子ゲル粒子からなる細胞培養基材を積層し、その積層された微粒子含有高分子ゲル粒子の集合体中で、通常の細胞培養を行う。充分に細胞が増殖したのを確認した後、大量の培養液を添加し余分な微粒子含有高分子ゲル粒子を取り除いた後、接着性のない培養用フラスコ中で攪拌していると微粒子含有高分子ゲル粒子と3次元組織体が分離してくるので3次元組織体だけを回収する。
この方法において、微粒子含有高分子ゲル粒子と3次元組織体とを分離回収するために添加する液体は、特に培養液である必要はなく、細胞組織体に悪影響を与えない液体であれば、如何なる液体でも使用できる。また、3次元組織体を培養するためには、栄養の供給、老廃物の除去が重要となるため、集合体中での微粒子含有高分子ゲル粒子以外の空間(非占有空間)が必要となる。
上記非占有空間としては、個々の大きさが0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。このような大きさの非占有空間を形成しうるものであれば、微粒子含有高分子ゲルの粒子経は特に限定されないが、ゲル粒子内における栄養分や老廃物の拡散等を考慮すると、上記(2)の方法における微粒子含有高分子ゲル粒子径としては1mm以下であることが好ましい。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
<微粒子含有高分子ゲル粒子1の調製>
微粒子を含有した感熱型(高温膨潤型)高分子ゲルの粒子を以下のようなプロセスにより製造した。
アクリルアミド8g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド1.0mg、過硫酸アンモニウム0.004g、ポリスチレン微粒子3.5gに蒸留水0.575g、を攪拌混合した水溶液を調製した。
ソルビトール系界面活性剤(SO−15R:ニッコーケミカル(株)製)3.9gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液を添加し、回転式攪拌羽根を用いて1200rpmで30分攪拌して懸濁させた後、60℃に加熱して6時間、重合を行った。
得られた微粒子含有高分子ゲル粒子を、蒸留水による膨潤、アセトンによる収縮を繰り返し、精製した。得られた粒子を、メッシュを用いて篩分することで、膨潤時の平均粒径が約30μmの微粒子含有高分子ゲル粒子1を得た。
【0056】
<微粒子含有高分子ゲル粒子2の調製>
重合容器内に、アクリルアミド5.44g、n−ブチルメタクリレート0.7gと、アリルアミン塩酸塩0.1gとをジメチルスルホキシド36mlに投入し、これを窒素置換した後にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.015gを添加し、60℃、20時間、重合を行った。生成したポリマーは、メタノール再沈し、ろ過後、大量のメタノールで洗浄し乾燥して、目的のアクリルアミド−n−ブチルメタクリレート−アリルアミン塩酸塩共重合体を6g得た。
ゲルパーミエーション(GPC)の測定結果から得られた共重合体の重量平均分子量は約5.2万であった。また、元素分析結果をもとに計算から共重合率はほぼ仕込み比と同等であった。
【0057】
合成したアクリルアミド−n−ブチルメタクリレート−アリルアミン塩酸塩共重合体6gを、蒸留水12.6mlに溶解した後、含有する微粒子としてシリカ分散液(日産化学工業(株)社製、濃度30質量%)8.6gを添加し、分散させた後、デナコールEX−810(ナガセ化成工業(株)社製のエチレングリコールジグリシジルエーテル)を0.4g添加し、反応溶液を作製した。
反応溶液を、ソルビトール系界面活性剤(SO−15R:ニッコーケミカル(株)製)16gをn−ヘキサン2リットルに溶解した溶液に加え、ウルトラトラックスを用いて5000rpmで10分間攪拌して安定した懸濁状態を得た後、懸濁液を60℃に昇温し300rpmで攪拌しながら6時間反応させ微粒子含有高分子ゲル粒子を得た。
得られた微粒子含有高分子ゲル粒子は、蒸留水による膨潤、アセトンによる収縮を繰り返し、精製した。得られた粒子をメッシュを用いて篩分することで、膨潤時の平均粒径が約30μmの微粒子含有高分子ゲル粒子2を得た。
【0058】
<微粒子含有高分子ゲル粒子3の調製>
実施例1において、微粒子含有高分子ゲル粒子を作製する反応溶液中に、コラーゲン0.6gを添加した以外は実施例1と同様にして、膨潤時の体積平均粒径が約30μmの微粒子含有高分子ゲル粒子(3)を得た。
【0059】
<微粒子含有高分子ゲル粒子4の調製>
重合容器内に、N−イソプロピルアクリルアミド6.68gと、アクリロイルスクシンイミド1.32gと、をジメチルスルホキシド36mlに投入し、これを窒素置換した後にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.015gを添加し、60℃、20時間、重合を行った。生成したポリマーは、ジエチルエーテル再沈し、ろ過後、大量のジエチルエーテルで洗浄し乾燥して目的のN−イソプロピルアクリルアミド−アクリロイルスクシンイミド共重合体を7.8g得た。
ゲルパーミエーション(GPC)の測定結果から得られた共重合体の重量平均分子量は約4万であった。また、元素分析結果をもとに計算から共重合率はほぼ仕込み比と同等であった。
【0060】
合成したN−イソプロピルアクリルアミド−アクリロイルスクシンイミド共重合体6gとアミンPEO6000(川研ファインケミカル社製 両末端に一級アミノ基を有するポリエチレンオキサイド)3gとをジメチルスルホキシド60mlに溶解した。その後、含有する微粒子としてポリスチレン微粒子3.9gを添加し、分散させた後ソルビトール系界面活性剤(SO−15R:ニッコーケミカル(株)製)16gを流動パラフィン2リットルに溶解した溶液に加え、ウルトラトラックスを用いて5000rpmで10分間攪拌して安定した懸濁状態を得た後、懸濁液を60℃に昇温し300rpmで攪拌しながら6時間反応させ微粒子含有高分子ゲル粒子を得た。
得られた微粒子含有高分子ゲル粒子は、蒸留水で透析を行い精製した。得られた粒子をメッシュを用いて篩分することで、膨潤時の平均粒径が約30μmの微粒子含有高分子ゲル粒子4を得た。
【0061】
<比較粒子1の調製>
逆相懸濁重合法を用いてポリアクリルアミドゲル粒子を作製した。得られた粒子をメッシュを用いて篩分することで、膨潤時の平均粒径が約30μmの親水性高分子ゲル粒子(比較粒子1)を得た。
【0062】
<比較粒子2の調製>
比較粒子2としては、平均粒径が約30μmの市販ポリスチレン粒子(株式会社モリテック製)を用いた。
【0063】
(実施例1)
<2次元組織体の培養>
ヒト真皮由来の線維芽細胞をダルベッコ改変イーグル培地(D−MEM.10%牛胎児血清含有、GIBCO社製)を用いて、最終細胞濃度が約2×105細胞/mlになるように細胞分散液を調製し、培養溶液で膨潤している上記で作製した微粒子含有高分子ゲル粒子1、2、3、及び4をそれぞれ敷き詰めた疎水性培養ディッシュ(Falcon 1008、日本ベクトン・ディッキンソン製)に細胞分散液を2mlずつ注入した。これを素早く37℃の炭酸ガスインキュベーター(5%炭酸ガス)内に移し培養した。
なお、コントロール(照査実験)として、微粒子含有高分子ゲル粒子を敷き詰めていない疎水性培養ディッシュ(Falcon 1008、日本ベクトン・ディッキンソン製)でも同様の条件下で培養した。
【0064】
1日間培養後、大量の培養液を添加し、振とう装置で培養皿をシェイクすると、2次元組織体と微粒子含有高分子ゲル粒子が分離し、2次元組織体が回収できた。特に微粒子含有高分子ゲル粒子4は振とう装置で培養皿を振とう攪拌する温度を25℃程度にすることで疎水性部位が親水性部位へ変化し、より容易に回収することができた。疎水性培養ディッシュからは回収できなかった。
【0065】
得られた2次元組織体を集め、トリプシンで処理した後、位相差顕微鏡(OPTIPHOT2−POL、ニコン社製)を用いて細胞の数を測定した。疎水性培養ディッシュから離脱しなかった細胞の数も同様の手法で数を測定した比較した結果、どの培養細胞数も同等であった。
この結果は、用いた微粒子含有高分子ゲル粒子1、2、3、及び4は、細胞増殖に必要な良好な足場を提供していることを示している。また、回収された2次元組織体に接着して残存している粒子は確認されなかった。
【0066】
(実施例2)
<3次元組織体の培養>
コラゲナーゼ消化法によりウシ胸部大動脈から採取した内皮細胞(EC)を、FBS15%、ペニシリン50IU/ml、ストレプトマイシン50μg/mlおよびアンホテリシンB2.5μg/mlを補充したDMEM中で、37℃の炭酸ガスインキュベーター(5%炭酸ガス)内に移し培養した。最終細胞濃度が1×105細胞/mlになるように細胞分散液を調製した。
その細胞分散液1mlを疎水性培養ディッシュ(Falcon 1008、日本ベクトン・ディッキンソン製)中に積層されている微粒子含有高分子ゲル粒子1、2、3、4がそれぞれ固形分4wt%に調整した集合体中に添加し、これを素早く37℃の炭酸ガスインキュベーター(5%炭酸ガス)内に移し培養した。
コントロール(照査実験)として、微粒子含有高分子ゲル粒子がない疎水性培養ディッシュ(Falcon 1008、日本ベクトン・ディッキンソン製)でも同様の条件下で培養した。
【0067】
1日間培養後、大量の培養液を添加し、振とう装置で培養皿を振とう攪拌して3次元組織体だけを回収した。特に微粒子含有高分子ゲル粒子4は振とう装置で培養皿を振とう攪拌する温度を25℃程度にすることでゲル粒子中の疎水性部位が親水性部位へ変化し、より容易に回収することができた。
【0068】
得られた3次元組織体を集め、トリプシンで処理した後、位相差顕微鏡(OPTIPHOT2−POL、ニコン社製)を用いて細胞の数を測定した。疎水性培養ディッシュから離脱しなかった細胞の数も同様の手法で数を測定した比較した。
その結果、いずれの微粒子含有高分子ゲル粒子集合体中で培養された細胞数についても、疎水性培養ディッシュから離脱しなかった細胞の細胞数より2倍以上多かった。また、接着して残存している粒子は確認されなかった。
【0069】
(比較例1)
実施例1に用いた微粒子含有高分子ゲル粒子を、比較粒子1に変更して、同様の評価を行った。
その結果、本比較例においては、充分に細胞増殖しなかったため2次元組織体として回収できなかった。また、細胞数は培養前の調整細胞数と比べ増殖はしていたが、疎水性培養ディッシュから離脱しなかった細胞の細胞数より少なかった。このことは、比較粒子1を構成する親水性高分子ゲルにおいては、細胞増殖に必要な良好な足場がないためであると考えられる。
【0070】
(比較例2)
実施例1に用いた微粒子含有高分子ゲル粒子を、比較粒子2に変更して、同様の評価を行った。
その結果、比較粒子2は疎水性粒子であるため、細胞増殖に必要な良好な足場になるため増殖が良好であり、振とう装置で培養皿を振とう攪拌することにより培養ディッシュから2次元組織体を回収できたが、比較粒子と2次元組織体とが強固に接着しており、これらを分離することができなかった。
【0071】
(比較例3)
実施例2に用いた微粒子含有高分子ゲル粒子を比較粒子1に変更して、同様の評価を行った。その結果、本比較例においては、上記比較例1と同様に、充分に細胞増殖しておらず、3次元組織体を回収できなかった。
【0072】
(比較例4)
実施例3に用いた微粒子含有高分子ゲル粒子を比較粒子2にして、同様の評価を行った。その結果、比較粒子2は疎水性粒子であるため、細胞増殖に必要な良好な足場になるため増殖が良好であり、振とう装置で培養皿を振とう攪拌することにより培養ディッシュから粒子を含む3次元組織体として回収できた。しかし、比較粒子2と3次元組織体とが強固に接着しており、これらを分離することができなかった。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、細胞培養を行うに際しての、細胞の足場となる細胞接着面、栄養の供給、及び老廃物の除去ルートを有しており、かつ形成された2次元又は3次元組織体を簡便に回収できる細胞培養基材、該細胞培養基材の製造方法、並びに、該細胞培養基材を用いた細胞培養方法を提供することにある。
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞培養基材及びその製造方法、並びに細胞培養方法に関する。より詳細には、細胞培養により2次元又は3次元組織体を形成でき、さらに培養後の組織を簡便に回収できる細胞培養基材及びその製造方法、並びに該細胞培養基材を用いた細胞培養方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞培養技術は、1)細胞産生物の生産、2)生体病変部や欠損部への補綴材、3)薬剤の毒性及び薬理活性評価用のシミュレーターなどの分野で、研究、応用されている。
今日、細胞培養に用いられている動物細胞は2種類に分類される。即ち、接着非依存性細胞(anchorage independent cells)と接着依存性細胞(anchorage dependent cells)である。前者の接着非依存性細胞は、生存、増殖、物質産生能などの細胞機能が細胞の足場である基質が存在しなくても正常に発現される細胞である。典型的な例として、ミエローマ細胞、リンホーマ細胞などから形成されるハイブリドーマが挙げられる。一方、後者の接着依存性細胞は、生存、増殖、物質産生などの細胞機能が細胞の足場である基質が存在しなくては正常に発現されない細胞である。初代培養細胞をはじめとした正常二倍体細胞の大部分は、接着依存性である。さらに無限に増殖可能な樹立細胞系にも、接着依存性を示すものが数多く知られている。例えば、インターフェロン、インターロイキンなどのサイトカイン類、エリスロポエチン、コロニー・スティミュレイティング・ファクター、トロンボポエチンなどの各種分化成長ホルモン、ティッシュ・プラスミノーゲン・アクチベーター、ワクチンなどの有用な細胞産生物を産生する樹立細胞系にも接着依存性を示すものが多く知られている。
【0003】
従来、細胞培養は、ガラス表面上或いは種々の処理を行った合成高分子材料の表面上において行われていた。その一例として、ポリスチレンに対して種々の表面処理(例えば、プラズマ処理、コロナ処理、等)を施したもの、或いはコラーゲン、フィブロネクチン、ポリリジンなどの細胞接着性タンパク質をコートしたものなどの種々の形状の容器が細胞培養用基材として普及している。
【0004】
また、細胞と細胞培養用基材との相互作用に関しては、細胞は基材表面の化学的な性質のみならず微細な形状によっても影響を受けることが知られている。そこで、半導体産業等に利用されているマイクロパターン技術を利用した細胞接着面のサイズコントロール、培養基板への微小溝構造の導入、マイクロスフィアによる微細凹凸の作製が行われ、細胞培養用基材として生産されている。しかし、これらのマイクロパターン技術を使った表面設定は、非常に高度な技術が必要であり、大量生産が出来ない、高コストになる、などの多くの問題を抱えているのが現状である。
【0005】
そして、上述のような細胞培養基材を用いて培養、増殖された細胞は、従来、トリプシンのようなタンパク質分解酵素やEDTAのような化学薬品により処理することで基材表面から剥離、回収されていた。しかしながら、このような手段により細胞を回収した場合、処理工程が煩雑になること、不純物混入の可能性が多くなること、また増殖した細胞が前記処理により変性し、細胞本来の機能が損なわれること、等の欠点が指摘されている。
【0006】
これらの欠点を解消するために、トリプシンのようなタンパク質分解酵素やEDTAのような化学薬品等による処理を必要とせず、培養支持体周囲の温度を変化させるだけで、培養・増殖させた細胞を剥離、回収させることのできる細胞培養用支持体材料、及びその製造方法が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。このような技術における細胞培養基材としては、ポリイソプロピルアクリルアミド(以下、PNIPAMと略称する。)が用いられている。
【0007】
PNIPAMは、水溶液中において下限臨界点温度(LCST)31℃を有する感温性高分子である。具体的には、臨界点温度以下の温度では分子表面が親水性又は水溶性を呈して水に溶けるが、臨界点温度以上の温度では分子表面が疎水性を示すので水中に析出するという、いわゆる感温性の相分離特性を有している高分子である。しかも、臨界点温度以上の温度環境では、表面が疎水性を有することで細胞に対する接着性を発現する。即ち、細胞培養後に培養液中において、PNIPAM層を臨界点温度以下の温度にすれば、PNIPAM層の表面は親水性になって細胞が接着できなくなると共に、PNIPAM層は水に溶解する。その結果、培養された細胞層は、培養皿の表面から剥離して回収される。しかし、この方法ではポリマーを洗浄することが容易でない等の問題点があった。
【0008】
また、細胞を培養し3次元組織体を形成させるには、コラーゲン、アルギン酸、アガロースなどのような天然高分子材料を用いたゲルやポリ(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル)などのような合成高分子材料を用いたゲルの内部やスポンジ状に成形された基材で細胞培養が行われてきた。例えば、アルギン酸ゲルを用いて培養を行い、カルシウムキレイト剤を添加することにより回収する方法が示されている(例えば、特許文献5参照。)。
また、従来の多くの方法においては、培養した細胞を回収するために、トリプシンのようなタンパク質分解酵素やEDTAのような化学薬品により処理するため、細胞本来の機能が損なわれること等の欠点が指摘されている。
【0009】
これらの欠点を解消するために、温度変化によってゾル−ゲル転移するハイドロゲルを用いて細胞培養を行い、回収する方法が示されている(例えば、特許文献6〜13参照。)。しかし、この方法は、ゲル内部で細胞培養を行うため、3次元組織体を形成させるには、拡散による栄養の供給と老廃物の除去が問題となり、培地交換時にゲルをゾル状態にしなければならないなど工程の煩雑さ、ポリマーを洗浄することが容易でない等の問題点があった。
【0010】
【特許文献1】
特開平2−211865号公報
【特許文献2】
特開平4−278083号公報
【特許文献3】
特開平9−23876号公報
【特許文献4】
特開平11−349643号公報
【特許文献5】
特開平10−248557号公報
【特許文献6】
特願平4−16114号公報
【特許文献7】
特願平5−18697号公報
【特許文献8】
特願平7−187902号公報
【特許文献9】
特願平7−187903号公報
【特許文献10】
特開平9−12651号公報
【特許文献11】
特開平9−12652号公報
【特許文献12】
特開2002−18270号公報
【特許文献13】
特開2001−329183号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、細胞培養を行うに際して、細胞の足場となる細胞接着面、栄養の供給、及び老廃物の除去ルートを有しており、かつ形成された2次元又は3次元組織体を簡便に回収できる細胞培養基材、該細胞培養基材の製造方法、並びに、該細胞培養基材を用いた細胞培養方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 少なくとも、微粒子と、親水性成分と、を含む微粒子含有親水性高分子ゲルからなることを特徴とする細胞培養基材である。
<2> 少なくとも、微粒子と、疎水性成分と、親水性成分と、を含む微粒子含有高分子ゲルからなることを特徴とする細胞培養基材である。
【0013】
<3> 前記親水性成分が、アニオン成分又はカチオン成分を含むことを特徴とする前記<2>に記載の細胞培養基材である。
<4> 前記親水性成分が、生物由来成分を含むことを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
<5> 感温性高分子成分を含むことを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
【0014】
<6> 前記微粒子が、無機材料であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
<7> 前記微粒子が、有機材料であること特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
<8> 前記微粒子が、金属材料であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
<9> 前記微粒子の濃度が、3〜90質量%の範囲であることを特徴とする前記<1>〜<8>のいずれかに記載の細胞培養基材である。
【0015】
<10> 前記<1>〜<9>のいずれかに記載の細胞培養基材を敷き詰めた培養皿上で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法である。
<11> 前記<1>〜<9>のいずれかに記載の細胞培養基材からなる集合体中で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法である。
【0016】
<12> 少なくとも、微粒子と、親水性モノマーと、を混合し架橋反応させることを特徴とする微粒子含有親水性高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法である。
<13> 少なくとも、微粒子と、疎水性モノマーと、親水性モノマーと、を混合し架橋反応させることを特徴とする微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法である。
<14> 少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を含む共重合体と、を混合し架橋させることを特徴とする微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法である。
<15> 少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を有する共重合体と、を混合して分散溶液を調製し、該分散溶液を分散媒に添加し懸濁させて、架橋させることを特徴とする微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の細胞培養基材及びその製造方法、並びに細胞培養方法にについて詳細に説明する。
【0018】
[細胞培養基材]
本発明の細胞培養基材の第1の態様は、少なくとも、微粒子と、親水性成分と、を含む微粒子含有親水性高分子ゲルからなることを特徴とする。
本発明の細胞培養基材の第2の態様は、少なくとも、微粒子と、疎水性成分と、親水性成分と、を含む微粒子含有高分子ゲルからなることを特徴とする。
【0019】
ここで、上記第1の態様における微粒子含有親水性高分子ゲルは、少なくとも、微粒子と親水性成分とを含み、高分子ゲルが全体として親水性を示すものであればよい。なお、本発明の細胞培養基材においては、細胞培養時に培養される細胞の足場(接着面)となりうる疎水性部分の存在が必要であるが、微粒子含有高分子ゲルが親水性成分のみにより構成される場合には、疎水性の微粒子を用いることで当該疎水性部分とすることができる。
【0020】
本発明の細胞培養基材は、上記構成としたことにより、細胞培養の際における細胞の足場となる細胞接着面を提供し得るとともに、高分子ゲルが含む微粒子の存在に起因して、培養に必要な栄養分や培養中に生じる老廃物の拡散速度が大きくなり、培養組織体(2次元組織体、又は3次元組織体)を効率よく形成することができる。更に、高分子ゲル中に微粒子が存在することで、培養後の組織体の基材からの分離・回収が、煩雑な工程を経ずに簡便に且つ速やかに行うことができる。
【0021】
〔微粒子含有高分子ゲル〕
本発明の細胞培養基材を構成する微粒子含有高分子ゲルについて説明する。
前記本発明の第1の態様における微粒子含有高分子ゲルは、微粒子と親水性成分とを含む微粒子含有親水性高分子ゲルである。
また、前記第2の態様における微粒子含有高分子ゲルは、微粒子と、親水性成分と、疎水性成分と、を含む微粒子含有高分子ゲルである。
以下、本発明における微粒子含有高分子ゲル(以下、適宜「高分子ゲル」と称する。)を構成する各成分について説明する。
【0022】
<微粒子>
微粒子について説明する。
本発明における微粒子としては、無機材料、有機材料、及び、金属材料からなる微粒子が使用できる。
【0023】
無機材料からなる微粒子(無機微粒子)の具体例としては、酸化鉄等、フェライト、バリウム系化合物等の磁性体、酸化亜鉛、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトボン、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、硫化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン、鉛白、酸化ジルコニウム、アルミナ、マイカナイト、マイカレックス、石英、炭酸カルシウム、石膏、クレー、シリカ、ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、珪素土、タルク、カオリン、セリサイト、パーミキュライト、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチン白、硫酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミックスパウダー、等が挙げられる。
【0024】
有機材料からなる微粒子(有機微粒子)の具体例としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ−p−キシリレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素系プラスチック、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、ポリエーテル、ポリカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリアミド、ジエン系プラスチック、ポリウレタン系プラスチック、ポリフェニレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、芳香族ヘテロ環ポリマー、シリコーン、天然ゴム系プラスチック、セルロース系プラスチック等やこれら2種類以上の高分子材料の混合材料(ポリマーブレンド)などの高分子材料、等が挙げられる。
【0025】
金属材料からなる微粒子(金属微粒子)の具体例としては、亜鉛、アルメル、アンチモン、アルミニウム、アルミニウム合金、イリジウム、インジウム、オスミウム、クロム、クロメル、コバルト、ジルコニウム、ステンレス鋼、金、銀、洋銀、銅、青銅、すず、タングステン、タングステン鋼、鉄、鉛、ニッケル、ニッケル合金、ニッケリン、白金、白金ロジウム、タンタル、ジュラルミン、ニクロム、チタン、クルップ・オーステナイト鋼、コンスタンタン、真鍮、白金イリジウム、パラジウム、パラジウム合金、モリブデン、モリブデン鋼、マンガン、マンガン合金、ロジウム、ロジウム金、等が挙げられる。
【0026】
上記した微粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。微粒子は、用途によって適宜選択することができる。例えば、顕微鏡下における観察の容易さ等の観点からは、シリカ微粒子や、ポリスチレン等の有機微粒子などの無着色で光透過性を有する微粒子を用いることが好ましい。また、培養後の組織体を、培養基材から簡便かつ効率的に分離・回収する観点からは、磁性体微粒子を用いることが好ましい。
【0027】
本発明における微粒子の粒径としては、1次粒子の平均粒径で0.001μm〜5μmのものが好ましい。細胞の足場となる細胞接着面、培養に必要な栄養分や培養中に生じる老廃物の拡散などの観点からは、0.01μm〜0.5μmのものが特に好ましい。
また、微粒子の比重としては、培養後の組織体の分離・回収等の観点から、1.001〜10が好ましく、1.005〜5がより好ましい。
【0028】
高分子ゲル中における微粒子の含有量としては、0.1〜90質量%の範囲から一般的に選択される。特に、ゲル粒子内/外部への溶液の浸透、拡散を速やかに効率的に行う観点からは、その濃度が3〜90質量%、より好ましくは5〜80質量%の範囲であることが好ましい。
【0029】
<親水性成分>
親水性成分としては、ノニオン成分、アニオン成分、及びカチオン成分の各親水性成分を用いることができる。
本発明においては、細胞の足場(細胞接着面)を充分に確保し細胞培養を効率よく行う観点から、親水性成分としては、アニオン成分又はカチオン成分を含むことが好ましい。アニオン成分及びカチオン成分の双方を含んでいてもよい。
但し、多量の電荷を導入することは、細胞に毒性を与えることが知られており、適当な電荷密度とすることが必要である。例えば、正電荷を導入したマイクロキャリアーの場合は、約2.0(meq/gm)が適当(D.W.Levin, et al., Biote chnol. Bioeng. 21, 821, 1979)なことが知られている。従って、アニオン成分、カチオン成分の導入量は、細胞毒性がない範囲で適宜決定される。
【0030】
本発明において、アニオン成分とは、カルボン酸基、スルフォン酸基、硫酸基、リン酸基等の酸基およびこれらの塩を有する成分を意味する。また、カチオン成分とは、アミノ基、4級アミノ基等のイオン性基を有する成分を意味する。
【0031】
これらの各成分は下記のモノマーを用いて合成できる。
ノニオン成分として用いられる親水性モノマーとしては、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシメチルメタアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、等が挙げられる。
【0032】
酸基やその塩を有するモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸あるいはその塩;マレイン酸あるいはその塩;フマル酸あるいはその塩;イタコン酸あるいはその塩;クロトン酸あるいはその塩;ビニルスルホン酸あるいはその塩;ビニルベンゼンスルホン酸あるいはその塩;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなアクリルアミドアルキルスルホン酸あるいはその塩;2−アクリロイルエタンスルホン酸、2−アクリロイルプロパンスルホン酸、2−メタクロイルエタンスルホン酸等のような(メタ)アクリロイルアルキルスルホン酸あるいはその塩;等が挙げられる。
【0033】
一方、アミノ基や4級アミノ基等のイオン性基を有するモノマーの具体例としては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとその4級化物;ジエチルアミノプロピル(メタ)クリルアミドとその4級化物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物;ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやその4級化物;等が挙げられる。
【0034】
<疎水性成分>
疎水性成分としては、疎水性基を有するモノマーから構成されることが好ましい。疎水性基を有するモノマーとしては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレン、オクチスチレン等のスチレン誘導体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;フッ素化アルキル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。これらは代表的な材料例であるため、これらに限定されるものではない。また、上記各モノマーは複数種類用いてもよい。
【0035】
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリルアミド」なる記述は、「(メタ)アクリルアミド」及び「アクリルアミド」のいずれをも含むことを意味する。
【0036】
また、本発明においては、細胞の足場(細胞接着面)を充分に確保し細胞培養を効率よく行う観点から、親水性成分として生物由来成分を含むことが好ましい。
生物由来成分としては、コラーゲン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、ミオシン、フィブリノーゲン、フィブリン、ケラチン、γ−グロブリン、ラミニン、フィブロネクチン、メチルセルロース、デキストランなどのタンパク質、糖タンパク質、ポリペプタイド、多糖類、等が挙げられる。これらに限定されるものではない。上記生物由来成分の高分子ゲル中における含有の態様としては、高分子ゲル中に遊離した状態で含まれる態様であってもよいし、高分子ゲルに固着した態様であってもよい。
【0037】
本発明における高分子ゲルは、感温性高分子成分を含むことが好ましい。
本発明に適用される感温性高分子成分としては、細胞培養温度下(通常、37℃程度)において疎水性を示し、培養した組織体の回収時の温度下において親水性を示すものが好ましい。なお、感温性高分子が、疎水性から親水性に変化する温度としては、特に限定されないが、培養後の組織体の回収の容易さの観点からは、細胞培養温度よりも低い温度であることが好ましい。
このような感温性高分子成分を含むことで、細胞培養時においては、細胞の足場(細胞接着面)が充分に確保されるため細胞培養を効率よく行うことができる。その一方、培養後の組織体の回収時においては、疎水性部分を親水性に変化させ、培養された組織体を細胞培養基材から分離させることで、当該組織体の回収をより一層容易にすることができる。
【0038】
感温性高分子成分の具体例としては、ポリ[N−イソプロピルアクリルアミド]などのポリ[N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド];N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどから選択される1種以上との共重合体;ポリビニルメチルエーテルやメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体;ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドとのブロック共重合体等に代表されるポリアルキレンオキサイドブロック共重合体;ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体;などが挙げられる。本発明においては、これらの成分が、目的に応じて適宜選択される。
【0039】
本発明における微粒子含有高分子ゲルの形態としては、特に制限はなく、粒子状、ブロック状、不定形状、繊維状など種々ものが適用可能である。中でも、粒子状の形態は、微細凹凸の作製が簡便であること、積層するなどの集合体としたときの非占有空間の制御が簡便であることから好ましい。粒子状における形態についても特に限定はないが、球体、楕円体、多面体、星状などのものが適用できる。
【0040】
また、微粒子含有高分子ゲルが粒子状の形態である場合の粒径としては、細胞培養の効率と細胞の回収の観点から、0.001mm〜1mm程度が好ましく、0.005mm〜0.3mm程度がより好ましい。
【0041】
[微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法]
次に、本発明の微粒子含有高分子ゲルから細胞培養基材の好ましい製造方法について説明する。
【0042】
本発明の細胞培養基材を構成する微粒子含有高分子ゲルの製造方法としては、少なくとも、微粒子と、親水性モノマー(或いは、疎水性成分及び親水性成分のモノマー)と、を混合し架橋反応させて製造する方法が挙げられる。
具体的には、微粒子、親水性成分のモノマー(或いは、疎水性成分及び親水性成分のモノマー)、架橋剤、及び溶媒を均一に分散、混合した後に重合して製造する方法である。
【0043】
また、少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を含む共重合体と、を混合し架橋させる方法が挙げられる。
具体的には、初めに、疎水性成分及び親水性成分のモノマーを用いて高分子ゲルの主鎖を構成する共重合体を合成し、この共重合体に微粒子を均一に分散、混合した後に架橋することにより製造する方法である。
【0044】
さらに、少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を有する共重合体と、を混合して分散溶液を調製し、該分散溶液を分散媒に添加し懸濁させて、架橋させることにより製造する方法が挙げられる。
【0045】
粒子等の形状を有する微粒子含有高分子ゲルを製造するには、乳化法、懸濁法、分散法、機械的粉砕法などの方法を併用し粒子などの形状に加工することも可能である。
【0046】
高分子ゲルにおける酸基やイオン性基といった親水性成分の含有量としては、0.01mol%〜30mol%が好ましく、0.05mol%〜10mol%がより好ましい。
また、高分子ゲルが前記生物由来成分を含む場合の含有量は、目的に応じて適宜決定されるが、高分子ゲルの乾燥重量に対して、0.001質量%〜2質量%の範囲で含有されることが好ましく、0.005質量%〜1質量%の範囲で含有されることがより好ましい。
【0047】
高分子ゲルにおける疎水基の含有量としては、0.1mol%〜50mol%が好ましく、より好ましくは0.5mol%〜40mol%の範囲である。疎水性基の含有量が0.1mol%以下では細胞の足場となり得ない場合がある。一方、50mol%以上ではゲルの吸液量が低下するとともに細胞接着が強固となり所望の特性が発現しない場合がある。
【0048】
また、上記共重合体の種類としては、ブロック型、ランダム型及びグラフト型のいずれであってもよい。
共重合体の分子量としては重量平均分子量で1000以上が好ましく、より好ましくは重量平均分子量で3000以上である。共重合体の分子量があまりにも小さい場合、架橋しても高分子ゲルにならなかったり、高分子ゲルとなっても所望の特性が得られない場合がある。
また、重量平均分子量の上限は、微粒子の分散に問題がないかぎり限定されない。つまりは、分散装置の性能と分散溶液粘度によって満足な分散状態を得られる範囲内で重量平均分子量を高くすることができる。
【0049】
共重合体の架橋方法としては、グルタルアルデヒド等のアルデヒド類、WSC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩) 等のカルボジイミド類、デナコール(商品名)等の多官能エポキシ、多官能イソシアネート等の架橋剤を用いたり、γ線、X線、電子線等の活性光線、ラジカルを発生させる開始剤を用いることができる。
【0050】
重合時において微粒子を添加する場合には、重合性基や不対電子(ラジカル)を有する微粒子を使用し、高分子ゲルに対して化学結合させることも好ましい。また、微粒子は、高分子ゲル中に極力均一に分散されていることが望ましい。
微粒子を均一に分散するには、機械的混練法、攪拌法や超音波分散法を用い、適宜、分散剤などを利用することが好ましい。
【0051】
[細胞培養方法]
次に、本発明の微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材を用いた細胞培養方法について説明する。
本発明の細胞培養方法としては、以下の方法を挙げることができる。
(1)前記本発明の細胞培養基材を敷き詰めた培養皿上で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。この方法によれば、2次元組織体を形成し、かつ簡便に分離・回収することができる。
(2)前記本発明の細胞培養基材からなる集合体中で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。この方法によれば、3次元組織体を形成し、かつ簡便に分離・回収することができる。
これらの方法に適用される微粒子含有高分子ゲルとしては、粒子形状のものであることが好ましい。
【0052】
上記(1)の方法について具体的に説明する。
2次元組織体を形成し、その組織を回収するには、培養皿上に本発明の微粒子含有高分子ゲル粒子を敷き詰めその上で通常の細胞培養を行う。充分に細胞が増殖したのを確認した後、大量の培養液を添加し、培養皿をシェイクしていると培養皿から微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体が剥がれてくる。ピペットなどで微粒子含有高分子ゲル粒子に培養液を吹きかけていると微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体が分離してくるので2次元組織体だけを回収する。あるいは微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体とを回収し、接着性のない培養用フラスコ中で攪拌していると、微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体とが分離してくるので2次元組織体だけを回収する。
この方法で、微粒子含有高分子ゲル粒子と2次元組織体とを分離回収するために添加する液体は、特に培養液である必要はなく、細胞組織体に悪影響を与えない液体であれば、如何なる液体でも使用できる。
また、この方法において用いられる微粒子含有高分子ゲル粒子径は、培養する細胞の大きさと同等以下の微粒子含有高分子ゲル粒子を用いるのが好ましい。微粒子含有高分子ゲル粒子の粒径が大きいと増殖性、剥離性が不良になる傾向がある。
【0053】
上記(2)の方法について具体的に説明する。
3次元組織体を形成し、その組織を回収するには、従来の細胞培養に用いられている培養皿に本発明の微粒子含有高分子ゲル粒子からなる細胞培養基材を積層し、その積層された微粒子含有高分子ゲル粒子の集合体中で、通常の細胞培養を行う。充分に細胞が増殖したのを確認した後、大量の培養液を添加し余分な微粒子含有高分子ゲル粒子を取り除いた後、接着性のない培養用フラスコ中で攪拌していると微粒子含有高分子ゲル粒子と3次元組織体が分離してくるので3次元組織体だけを回収する。
この方法において、微粒子含有高分子ゲル粒子と3次元組織体とを分離回収するために添加する液体は、特に培養液である必要はなく、細胞組織体に悪影響を与えない液体であれば、如何なる液体でも使用できる。また、3次元組織体を培養するためには、栄養の供給、老廃物の除去が重要となるため、集合体中での微粒子含有高分子ゲル粒子以外の空間(非占有空間)が必要となる。
上記非占有空間としては、個々の大きさが0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。このような大きさの非占有空間を形成しうるものであれば、微粒子含有高分子ゲルの粒子経は特に限定されないが、ゲル粒子内における栄養分や老廃物の拡散等を考慮すると、上記(2)の方法における微粒子含有高分子ゲル粒子径としては1mm以下であることが好ましい。
【0054】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
<微粒子含有高分子ゲル粒子1の調製>
微粒子を含有した感熱型(高温膨潤型)高分子ゲルの粒子を以下のようなプロセスにより製造した。
アクリルアミド8g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド1.0mg、過硫酸アンモニウム0.004g、ポリスチレン微粒子3.5gに蒸留水0.575g、を攪拌混合した水溶液を調製した。
ソルビトール系界面活性剤(SO−15R:ニッコーケミカル(株)製)3.9gをシクロヘキサン300mlに溶解した溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液を添加し、回転式攪拌羽根を用いて1200rpmで30分攪拌して懸濁させた後、60℃に加熱して6時間、重合を行った。
得られた微粒子含有高分子ゲル粒子を、蒸留水による膨潤、アセトンによる収縮を繰り返し、精製した。得られた粒子を、メッシュを用いて篩分することで、膨潤時の平均粒径が約30μmの微粒子含有高分子ゲル粒子1を得た。
【0056】
<微粒子含有高分子ゲル粒子2の調製>
重合容器内に、アクリルアミド5.44g、n−ブチルメタクリレート0.7gと、アリルアミン塩酸塩0.1gとをジメチルスルホキシド36mlに投入し、これを窒素置換した後にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.015gを添加し、60℃、20時間、重合を行った。生成したポリマーは、メタノール再沈し、ろ過後、大量のメタノールで洗浄し乾燥して、目的のアクリルアミド−n−ブチルメタクリレート−アリルアミン塩酸塩共重合体を6g得た。
ゲルパーミエーション(GPC)の測定結果から得られた共重合体の重量平均分子量は約5.2万であった。また、元素分析結果をもとに計算から共重合率はほぼ仕込み比と同等であった。
【0057】
合成したアクリルアミド−n−ブチルメタクリレート−アリルアミン塩酸塩共重合体6gを、蒸留水12.6mlに溶解した後、含有する微粒子としてシリカ分散液(日産化学工業(株)社製、濃度30質量%)8.6gを添加し、分散させた後、デナコールEX−810(ナガセ化成工業(株)社製のエチレングリコールジグリシジルエーテル)を0.4g添加し、反応溶液を作製した。
反応溶液を、ソルビトール系界面活性剤(SO−15R:ニッコーケミカル(株)製)16gをn−ヘキサン2リットルに溶解した溶液に加え、ウルトラトラックスを用いて5000rpmで10分間攪拌して安定した懸濁状態を得た後、懸濁液を60℃に昇温し300rpmで攪拌しながら6時間反応させ微粒子含有高分子ゲル粒子を得た。
得られた微粒子含有高分子ゲル粒子は、蒸留水による膨潤、アセトンによる収縮を繰り返し、精製した。得られた粒子をメッシュを用いて篩分することで、膨潤時の平均粒径が約30μmの微粒子含有高分子ゲル粒子2を得た。
【0058】
<微粒子含有高分子ゲル粒子3の調製>
実施例1において、微粒子含有高分子ゲル粒子を作製する反応溶液中に、コラーゲン0.6gを添加した以外は実施例1と同様にして、膨潤時の体積平均粒径が約30μmの微粒子含有高分子ゲル粒子(3)を得た。
【0059】
<微粒子含有高分子ゲル粒子4の調製>
重合容器内に、N−イソプロピルアクリルアミド6.68gと、アクリロイルスクシンイミド1.32gと、をジメチルスルホキシド36mlに投入し、これを窒素置換した後にアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.015gを添加し、60℃、20時間、重合を行った。生成したポリマーは、ジエチルエーテル再沈し、ろ過後、大量のジエチルエーテルで洗浄し乾燥して目的のN−イソプロピルアクリルアミド−アクリロイルスクシンイミド共重合体を7.8g得た。
ゲルパーミエーション(GPC)の測定結果から得られた共重合体の重量平均分子量は約4万であった。また、元素分析結果をもとに計算から共重合率はほぼ仕込み比と同等であった。
【0060】
合成したN−イソプロピルアクリルアミド−アクリロイルスクシンイミド共重合体6gとアミンPEO6000(川研ファインケミカル社製 両末端に一級アミノ基を有するポリエチレンオキサイド)3gとをジメチルスルホキシド60mlに溶解した。その後、含有する微粒子としてポリスチレン微粒子3.9gを添加し、分散させた後ソルビトール系界面活性剤(SO−15R:ニッコーケミカル(株)製)16gを流動パラフィン2リットルに溶解した溶液に加え、ウルトラトラックスを用いて5000rpmで10分間攪拌して安定した懸濁状態を得た後、懸濁液を60℃に昇温し300rpmで攪拌しながら6時間反応させ微粒子含有高分子ゲル粒子を得た。
得られた微粒子含有高分子ゲル粒子は、蒸留水で透析を行い精製した。得られた粒子をメッシュを用いて篩分することで、膨潤時の平均粒径が約30μmの微粒子含有高分子ゲル粒子4を得た。
【0061】
<比較粒子1の調製>
逆相懸濁重合法を用いてポリアクリルアミドゲル粒子を作製した。得られた粒子をメッシュを用いて篩分することで、膨潤時の平均粒径が約30μmの親水性高分子ゲル粒子(比較粒子1)を得た。
【0062】
<比較粒子2の調製>
比較粒子2としては、平均粒径が約30μmの市販ポリスチレン粒子(株式会社モリテック製)を用いた。
【0063】
(実施例1)
<2次元組織体の培養>
ヒト真皮由来の線維芽細胞をダルベッコ改変イーグル培地(D−MEM.10%牛胎児血清含有、GIBCO社製)を用いて、最終細胞濃度が約2×105細胞/mlになるように細胞分散液を調製し、培養溶液で膨潤している上記で作製した微粒子含有高分子ゲル粒子1、2、3、及び4をそれぞれ敷き詰めた疎水性培養ディッシュ(Falcon 1008、日本ベクトン・ディッキンソン製)に細胞分散液を2mlずつ注入した。これを素早く37℃の炭酸ガスインキュベーター(5%炭酸ガス)内に移し培養した。
なお、コントロール(照査実験)として、微粒子含有高分子ゲル粒子を敷き詰めていない疎水性培養ディッシュ(Falcon 1008、日本ベクトン・ディッキンソン製)でも同様の条件下で培養した。
【0064】
1日間培養後、大量の培養液を添加し、振とう装置で培養皿をシェイクすると、2次元組織体と微粒子含有高分子ゲル粒子が分離し、2次元組織体が回収できた。特に微粒子含有高分子ゲル粒子4は振とう装置で培養皿を振とう攪拌する温度を25℃程度にすることで疎水性部位が親水性部位へ変化し、より容易に回収することができた。疎水性培養ディッシュからは回収できなかった。
【0065】
得られた2次元組織体を集め、トリプシンで処理した後、位相差顕微鏡(OPTIPHOT2−POL、ニコン社製)を用いて細胞の数を測定した。疎水性培養ディッシュから離脱しなかった細胞の数も同様の手法で数を測定した比較した結果、どの培養細胞数も同等であった。
この結果は、用いた微粒子含有高分子ゲル粒子1、2、3、及び4は、細胞増殖に必要な良好な足場を提供していることを示している。また、回収された2次元組織体に接着して残存している粒子は確認されなかった。
【0066】
(実施例2)
<3次元組織体の培養>
コラゲナーゼ消化法によりウシ胸部大動脈から採取した内皮細胞(EC)を、FBS15%、ペニシリン50IU/ml、ストレプトマイシン50μg/mlおよびアンホテリシンB2.5μg/mlを補充したDMEM中で、37℃の炭酸ガスインキュベーター(5%炭酸ガス)内に移し培養した。最終細胞濃度が1×105細胞/mlになるように細胞分散液を調製した。
その細胞分散液1mlを疎水性培養ディッシュ(Falcon 1008、日本ベクトン・ディッキンソン製)中に積層されている微粒子含有高分子ゲル粒子1、2、3、4がそれぞれ固形分4wt%に調整した集合体中に添加し、これを素早く37℃の炭酸ガスインキュベーター(5%炭酸ガス)内に移し培養した。
コントロール(照査実験)として、微粒子含有高分子ゲル粒子がない疎水性培養ディッシュ(Falcon 1008、日本ベクトン・ディッキンソン製)でも同様の条件下で培養した。
【0067】
1日間培養後、大量の培養液を添加し、振とう装置で培養皿を振とう攪拌して3次元組織体だけを回収した。特に微粒子含有高分子ゲル粒子4は振とう装置で培養皿を振とう攪拌する温度を25℃程度にすることでゲル粒子中の疎水性部位が親水性部位へ変化し、より容易に回収することができた。
【0068】
得られた3次元組織体を集め、トリプシンで処理した後、位相差顕微鏡(OPTIPHOT2−POL、ニコン社製)を用いて細胞の数を測定した。疎水性培養ディッシュから離脱しなかった細胞の数も同様の手法で数を測定した比較した。
その結果、いずれの微粒子含有高分子ゲル粒子集合体中で培養された細胞数についても、疎水性培養ディッシュから離脱しなかった細胞の細胞数より2倍以上多かった。また、接着して残存している粒子は確認されなかった。
【0069】
(比較例1)
実施例1に用いた微粒子含有高分子ゲル粒子を、比較粒子1に変更して、同様の評価を行った。
その結果、本比較例においては、充分に細胞増殖しなかったため2次元組織体として回収できなかった。また、細胞数は培養前の調整細胞数と比べ増殖はしていたが、疎水性培養ディッシュから離脱しなかった細胞の細胞数より少なかった。このことは、比較粒子1を構成する親水性高分子ゲルにおいては、細胞増殖に必要な良好な足場がないためであると考えられる。
【0070】
(比較例2)
実施例1に用いた微粒子含有高分子ゲル粒子を、比較粒子2に変更して、同様の評価を行った。
その結果、比較粒子2は疎水性粒子であるため、細胞増殖に必要な良好な足場になるため増殖が良好であり、振とう装置で培養皿を振とう攪拌することにより培養ディッシュから2次元組織体を回収できたが、比較粒子と2次元組織体とが強固に接着しており、これらを分離することができなかった。
【0071】
(比較例3)
実施例2に用いた微粒子含有高分子ゲル粒子を比較粒子1に変更して、同様の評価を行った。その結果、本比較例においては、上記比較例1と同様に、充分に細胞増殖しておらず、3次元組織体を回収できなかった。
【0072】
(比較例4)
実施例3に用いた微粒子含有高分子ゲル粒子を比較粒子2にして、同様の評価を行った。その結果、比較粒子2は疎水性粒子であるため、細胞増殖に必要な良好な足場になるため増殖が良好であり、振とう装置で培養皿を振とう攪拌することにより培養ディッシュから粒子を含む3次元組織体として回収できた。しかし、比較粒子2と3次元組織体とが強固に接着しており、これらを分離することができなかった。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、細胞培養を行うに際しての、細胞の足場となる細胞接着面、栄養の供給、及び老廃物の除去ルートを有しており、かつ形成された2次元又は3次元組織体を簡便に回収できる細胞培養基材、該細胞培養基材の製造方法、並びに、該細胞培養基材を用いた細胞培養方法を提供することにある。
Claims (15)
- 少なくとも、微粒子と、親水性成分と、を含む微粒子含有親水性高分子ゲルからなることを特徴とする細胞培養基材。
- 少なくとも、微粒子と、疎水性成分と、親水性成分と、を含む微粒子含有高分子ゲルからなることを特徴とする細胞培養基材。
- 前記親水性成分が、アニオン成分又はカチオン成分を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の細胞培養基材。
- 前記親水性成分が、生物由来成分を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の細胞培養基材。
- 感温性高分子成分を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の細胞培養基材。
- 前記微粒子が、無機材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の細胞培養基材。
- 前記微粒子が、有機材料であること特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の細胞培養基材。
- 前記微粒子が、金属材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の細胞培養基材。
- 前記微粒子の濃度が、3〜90質量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の細胞培養基材。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の細胞培養基材を敷き詰めた培養皿上で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の細胞培養基材からなる集合体中で、細胞を培養することを特徴とする細胞培養方法。
- 少なくとも、微粒子と、親水性モノマーと、を混合し架橋反応させることを特徴とする微粒子含有親水性高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法。
- 少なくとも、微粒子と、疎水性モノマーと、親水性モノマーと、を混合し架橋反応させることを特徴とする微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法。
- 少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を含む共重合体と、を混合し架橋させることを特徴とする微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法。
- 少なくとも、微粒子と、疎水性成分及び親水性成分を有する共重合体と、を混合して分散溶液を調製し、該分散溶液を分散媒に添加し懸濁させて、架橋させることを特徴とする微粒子含有高分子ゲルからなる細胞培養基材の製造方法。
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