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JP2005023332A - 微細溝内薄膜形成方法 - Google Patents

微細溝内薄膜形成方法 Download PDF

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JP2005023332A
JP2005023332A JP2003186528A JP2003186528A JP2005023332A JP 2005023332 A JP2005023332 A JP 2005023332A JP 2003186528 A JP2003186528 A JP 2003186528A JP 2003186528 A JP2003186528 A JP 2003186528A JP 2005023332 A JP2005023332 A JP 2005023332A
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Yasuo Suzuki
泰雄 鈴木
Masanori Watanabe
正則 渡邉
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Plasma Ion Assist Co Ltd
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Plasma Ion Assist Co Ltd
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Abstract

【課題】微細溝や微細穴を有する被加工基材に所定元素を含む薄膜及び/又は所定元素を含む化合物薄膜を均一で密着性よく形成する方法を提供する。
【解決手段】真空排気した容器内に所定の元素を含むガスを導入して放電プラズマを発生させ、該放電プラズマに微細溝を有する被加工基材を接触させ、該被加工基材に放電プラズマ電位に対して正負一対のパルス電圧を繰り返し印加することによって、微細溝や微細穴内壁面に所定元素を含む薄膜及び/又は所定元素を含む化合物薄膜を均一で密着性よく形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材表面に機能性薄膜を形成する方法に関し、特に微細溝及び微細穴の内壁表面に密着性よく均一に所定薄膜を形成する微細溝内薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微小機械、MEMSに代表されるマイクロ加工においては、マイクロメーターオーダーの深溝、穴加工が要求される。これらの微細切削加工(前加工)は半導体技術で培われたエッチング技術を活用して行うのが一般的である。微小機械では微細切削加工と同時に精密形状の維持、離形性、潤滑性、流動性等、表面の機能性が要求され、切削加工後の表面改質加工(後加工)が特に重要である。
【0003】
凹凸形状を含む立体形状表面へのイオン注入や薄膜形成技術としてPBII法が開発されている。PBII法は放電プラズマ中に被加工基材を載置し、被加工基材にプラズマ電位に対して負のパルス電圧を印加して所定元素のイオンを注入する、或いは所定元素を含む化合物を形成する方法である。
【0004】
また、微細溝や穴加工内面へのイオン注入や成膜法として、微細溝や微細穴の深さ方向に対して斜め方向からイオン照射する方法や斜め方向から蒸着する方法が開発されている。半導体技術ではSi基板の溝(トレンチ)の内面にボロン、リンといった不純物をイオン注入したり、酸素イオンを注入してSiO酸化膜を形成する場合、200kV程度の高エネルギーイオンを斜め注入して実現している。
【0005】
誘電体膜、導電膜を形成する時は、熱CVD、スパッタ−技術等が使用されており、プラズマイオンによる成膜は研究開発段階にある。曲率がミリメーターオーダー以下の凹凸面やアスペクト比の大きい微細溝、穴加工面への均一なイオン注入、微細溝内、穴加工面に密着性に優れた機能性薄膜を形成する表面加工法は確立されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
PBII法は、溝等の内面にプラズマを一様に生成し、基材に数kVから数10kVの負のパルス電圧を印加することにより、イオンシースを形成し、該シースと基材間にかかる電圧でイオンを引き出し、加速して、基材に均一にイオン注入あるいは成膜する技術である。イオンシース幅は印加電圧、プラズマ密度によって決まるが、通常ミリメーターオーダーからセンチメーターオーダーであって、平面や曲率がミリメーターオーダー以上の比較的滑らかな凹凸面へのイオン注入や薄膜形成に適する。
【0007】
ミリメーターオーダー以下の微細深溝や穴加工表面への均一なイオン注入や薄膜形成には適用出来ないのが現状である。溝幅や穴径に対する深さの比で示すアスペクト比が大きくなればなお更困難である等の課題がある。
【0008】
斜めイオン注入法及び斜め蒸着法では、入射イオン及び蒸着物が一方向から入射するため、被加工基材を回転、あるいは入射角の変更等させる必要がある。特に、アスペクト比が1以上の深溝等へのイオン注入及び蒸着に於いては、溝の表面近傍と深部では注入量や蒸着量が異なり、均一性が得られない課題がある。また、蒸着法に於いては、密着性が劣る等の欠点がある。更に、被加工基材を回転、あるいは入射角の変更等させる必要があるため製造コストが高価である課題がある。
【0009】
本発明の目的は、こうした現状に鑑み、アスペクト比が1以上の微細溝、あるいは微細穴内壁面に均一かつ密着性のよい薄膜を形成する技術を安価に提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
真空排気した容器内に所定の元素を含むガスを導入して放電プラズマを発生させ、該放電プラズマに微細溝を有する被加工基材を接触させ、該被加工基材に放電プラズマ電位に対して正負一対のパルス電圧を繰り返し印加することによって所定元素を含む薄膜及び/又は所定元素を含む化合物薄膜を形成する。
【0011】
本発明においては、放電プラズマに微細溝を有する被加工基材を接触させ、この被加工基材に放電プラズマ電位に対して正のパルス電圧を印加することによって電子照射し、被加工基材に設けた微細溝や微細穴内にマイクロプラズマを生起させる。微細溝内には放電ガスに含まれる原子や分子のイオン及び励起原子や励起分子が生成される。
【0012】
この状態において、被加工基材に放電プラズマ電位に対して負のパルス電圧を瞬時に印加すると、基材表面及び微細溝内の電子は瞬時に吸い出されると同時に、微細溝内では電子が溝の内壁に吸収されて正電荷が過剰になり、溝の内壁に対して数10V以上の高電圧になって電離した所定元素イオンを注入することができる。
【0013】
また、電子照射によって所定元素を含むガスは電離及び励起し、化学反応した化合物が溝内壁に堆積して薄膜を形成する。励起原子や励起分子も薄膜形成に寄与する。
【0014】
以上のように、本発明による成膜方法では、正負一対のパルス電圧を被加工基材に繰り返し印加することによって微細溝や微細穴内に所定の元素を含む薄膜を任意の厚さに形成することができる効果を有する。
【0015】
また、微細溝や微細穴内にほぼ一様なマイクロプラズマを形成でき、従来技術で困難とされていた均一なイオン注入・成膜が可能となる効果がある。
【0016】
本発明の他の効果は、数10V以上のイオンを注入しながら薄膜形成するため、基材との密着性が極めてよい薄膜が形成できることである。
【0017】
本発明による成膜方法においては、前記正のパルス電圧は導入するガスの電離電圧よりも高いことが必要で、プラズマ表面から取り出せる電子電流密度及び電子の衝突による電離断面積を考慮すれば、20Vから2000Vの範囲であることが望ましい。更に、好適な電圧範囲は40Vから1000Vである。
【0018】
また、前記負のパルス電圧は基材表面及び微細溝内の電子を瞬時に吸い出すため、高電圧であることが望ましい。負のパルス電圧の波高値が放電プラズマ電位より少なくとも300V以上であることが望ましい。
【0019】
正負一対のパルス電圧を印加する他の方法はプラズマ電位に対して負のバイアス電圧を被加工基材に印加し、該バイアス電圧に重畳して、前記正負一対のパルス電圧を繰り返し印加する方法である。負のバイアス電圧は可変とし、生成する薄膜に要求される特性に合わせて調整することが可能である。
【0020】
本発明の方法によれば、正負一対のパルス電圧の波高値を同一にすることが可能になり、且つ、放電プラズマのプラズマ電位を越える正のパルス電圧のピーク値を任意の値に設定することが容易になる。従って、生成される薄膜の特性を任意に調整することが可能となる等の効果がある。更に、正負一対のパルス電圧として正負対称な矩形波や正弦波を用いることができ、駆動装置を安価に製造できる効果がある。
【0021】
更に、本発明の特徴は被加工基材に印加する正負一対のパルス電圧が正のパルス電圧から負のパルス電圧への反転時間を1マイクロ秒以下とすることである。例えば、幅1μmの微細溝内におけるイオンの滞留時間は10ns程度であり、幅100μmの溝内で1μs程度と推定される。
【0022】
従って、正のパルス電圧の立ち下がり時間及び連続する負のパルス電圧の立ち上がり時間がイオンの滞留時間より短い正負パルス電圧を印加することによって、高いエネルギーを持つイオンを微細溝内壁に照射することが可能となり、密着性の良い薄膜を形成できる効果を奏する。
【0023】
本発明による薄膜形成方法においては、放電ガスに所定の元素を含むガスを導入することによって、所定の元素を含む薄膜を形成することができる。放電ガスに酸素や窒素、アンモニアガスを導入すれば金属や半導体表面に酸化膜や窒化膜を形成でき、炭化水素や有機金属ガスを導入すれば、DLCや金属薄膜が形成できる。
【0024】
更に、炭化フッ素、ArF、等を混入することによってF−DLC(フッ素を含むDLC)やフッ化物薄膜が形成でき、ジボラン、フォスフィン等を混入すれば、半導体基板表面にドーパントとしてボロンやリンをドーピングできる。また、本発明による薄膜形成方法では前記所定の元素を含むガスに限られるものではなく、必要に応じて前記以外のガスを導入して薄膜形成することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る微細溝内薄膜形成方法について図を参照して説明する。なお、図1には便宜上、本発明の1実施例装置の構成が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。図1には本発明によるECRプラズマを用いた薄膜形成装置の一実施例の形態を示す。図1において、1は真空容器であり、この真空容器1はプラズマ発生室1aと成膜室1bとから成っている。
【0026】
真空容器1には、マイクロ波導入口2、ガス導入口3及び真空排気口4が設けられている。マイクロ波導入口2は周波数2.45GHz、出力100W〜1000Wのマイクロ波発振機(図示せず)に接続されている。真空容器1の内部上面には大気圧のマイクロ波導入口2と真空容器内部の真空度を維持し、マイクロ波を導入するための誘電体板5が設けられている。誘電体板5は石英、高純度アルミナ、ボロンナイトライド等の誘電損失が小さく耐熱性を満たす材料が望ましい。真空排気口4は、高真空ポンプ(例えばターボ分子ポンプ、油拡散ポンプ)と油回転ポンプとを備えた真空排気系(図示せず)に接続され、真空容器1内を所望の高真空にできるように構成されている。また、成膜室1bはリークバルブ13を介して大気に解放できるようにされている。
【0027】
成膜室1b内には、基板ホルダー6が配置され、被加工基材7が基板ホルダー6に載置されている。基板ホルダー6はアルミニウム等ガス放出が少なく、熱伝導性のよい金属導体であることが望ましい。また、イオン照射によって金属導体のスパタリングを抑制するため、基板ホルダー6の放電プラズマに露出する部分をシリコン酸化膜等誘電体膜で被覆することが望ましい。
【0028】
基板ホルダー6はインダクタンス10を介して負の可変バイアス電源9に接続され、これと並列してキャパシタ12を介して正負パルス電源11に接続されている。可変バイアス電源9は0Vから−1000Vまで任意に設定できる直流電源であり、正負パルス電圧の波高値と放電条件を考慮してバイアス電圧を決めることができる。正負パルス電源11は正負一対のパルス電圧発生装置であって、正負パルス電圧の各波高値とパルス幅及びその繰り返し周期は任意に設定できるように設計されている。
【0029】
プラズマ発生室1aの周囲には、磁場発生用の環状コイル8が配置されている。環状コイル8は放電プラズマ中の電子が電子サイクロトロン共鳴(ECR)を起こすのに必要な磁場強度(875ガウス)が得られるように設計されている。
【0030】
以下、本発明に係る実施例1について説明する。実施例1ではシリコン基板表面に設けた微細溝内壁面にシリコン酸化膜を形成した例について説明する。図2はシリコン基板表面に設けた微細溝にシリコン酸化膜を形成した実施例の断面模式図である。図2(a)はシリコン基板20の表面に設けた微細溝21を、同図(b)はシリコン酸化膜22が形成された断面図である。シリコン基板20に幅10μm、深さ20μmの溝をドライエッチング法によって形成した被加工基材7を基板ホルダー6に載置した。シリコン基板20の裏面には裏面電極23を設け、基板ホルダー6と電気的に接触させた。
【0031】
先ず、真空容器1を高真空ポンプによって1×10−4パスカル以上の高真空度に排気した後、放電ガスとして60モル%の酸素ガスを含むアルゴンガスをガス導入口3より導入し、真空容器内のガス圧を1パスカルに保持した。環状コイル8によってプラズマ発生室1bの中心部に約850ガウスの磁場を発生させ、マイクロ波導入口2より約600W、2.45GHzのマイクロ波を導入して放電プラズマを発生させた。
【0032】
基板ホルダー6にはバイアス電圧を0Vとして、正負パルス電源から、パルス幅5μs、波高値300Vの正パルス及びパルス幅0.1μs、波高値1kVの負パルス32の一対の正負パルス電圧を繰り返し周期25μsで6分間印加した。図3に本実施例で用いたパルス波形を示す。ここで、プラズマ電位は接地した真空容器1の電位とほぼ同電位と考えてよい。
【0033】
図2(b)はシリコン酸化膜が形成された断面模式図である。シリコン基板表面には厚さ約9nmの酸化膜及び微細溝側壁面には約5nmの均一な酸化膜が形成された。シリコン基板表面の酸化膜の厚さ及び微細溝内壁面の酸化膜の厚さは正負パルス電圧の波高値、繰り返し周期、印加時間、酸素ガス濃度等によって変化する。シリコン基板表面の酸化膜の厚さ及び微細溝内壁面の酸化膜の厚さは負のパルス電圧32の波高値Vbにほぼ比例して増加するが、パルス電圧印加時間に対しては飽和傾向を示した。
【0034】
本実施例では繰り返し周期を25μsとしたが、この値に限定されるものではなく、基板ホルダーの温度上昇を考慮して任意に設定できる。本実施例では基板ホルダーの温度上昇は100℃以下であったが、被加工基材7は100℃以上になっている可能性があり、基板ホルダー6を必要に応じて冷却することが望ましい。
【0035】
次に、本発明に係る実施例2について説明する。実施例2は実施例1の他の正負パルス電圧の印加方法に関し、シリコン基板表面に設けた微細溝内壁面にシリコン酸化膜を形成した例について説明する。被加工基材7は実施例1と同様にシリコン基板20に幅10μm、深さ20μmの溝をドライエッチング法によって形成した試料基板7を基板ホルダー6に載置した。シリコン基板20の裏面には裏面電極23を設け、基板ホルダー6と電気的に接触させた。放電プラズマ発生条件も実施例1と同一条件とした。
【0036】
図4に本実施例で用いたパルス波形を示す。基板ホルダー6にはバイアス電源によって−300Vのバイアス電圧を印加し、正負パルス電源から、パルス幅5μs、波高値600Vの正負一対の矩形波パルス電圧を繰り返し周期30μsで6分間印加した。図4において、波線43はプラズマ電位を示す。同図から分かるように、被加工基材7にはプラズマ電位より300V高い電圧(同図Va)の正のパルス電圧41とプラズマ電位より900V低い電圧(同図Vb)の負のパルス電圧42が繰り返し印加されるように設計した。
【0037】
本実施例でも実施例1とほぼ同様な結果が得られた。負のバイアス電圧を増加すると、被加工基材7の放電プラズマに曝される表面部分の酸化膜の厚さはイオンの衝突によってスパタリングされ、酸素イオンの侵入深さで律則されることが明らかになった。
【0038】
本実施例では、一対の矩形波パルス電圧を印加したが、矩形波パルス電圧に限られるものではなく、三角波、更には正弦波であってもよい。また、繰り返し周期も任意に選択でき、各パルス対間の時間間隔を0秒、即ち、連続した矩形波パルス電圧又は連続した三角波電圧や正弦波電圧を印加しても同様な酸化膜を得ることができる。更に、他のパルス電圧印加方法として、複数対の正負パルス電圧列を繰り返し印加することも可能である。
【0039】
また、本実施例では、被加工基板としてシリコン基板を用いたが、被加工基板としてコバルトやニッケル等金属基板を用いれば、コバルト酸化膜やニッケル酸化膜等金属酸化膜を形成することができ、放電ガスとして窒素ガスや炭化水素系ガスを混合すればこれらの金属の窒化物や炭化物を形成すること可能である。
【0040】
本発明に係る実施例3について説明する。実施例3ではシリコン基板表面に設けた微細溝内壁面にDLC膜及びF−DLC膜を形成した例について説明する。図5にシリコン基板表面に設けた微細溝にDLC膜及びF−DLC膜を形成した実施例の要部断面図を示す。図5(a)はシリコン基板50の表面に設けた微細溝51を、同図(b)はDLC膜及びF−DLC膜52が形成された断面模式図である。シリコン基板50に幅100μm、深さ200μmの溝51をドライエッチング法によって形成した被加工基材7を基板ホルダー6に載置した。シリコン基板50の裏面には実施例1と同様に裏面電極53を設け、基板ホルダー6と電気的に接触させた。
【0041】
先ず、真空容器1を高真空ポンプによって1×10−4パスカル以上の高真空度に排気した後、放電ガスとしてアセチレンガスを用い、これに20〜80モル%の四フッ化炭素を混合した放電ガスをガス導入口3より導入し、真空容器内のガス圧を0.5〜5パスカルの範囲に保持して実施した。環状コイル8によってプラズマ発生室1bの中心部に約850ガウスの磁場を発生させ、マイクロ波導入口2より約600W、2.45GHzのマイクロ波を導入して放電プラズマを発生させた。
【0042】
本実施例で用いたパルス波形を図6に示す。基板ホルダー6には真空容器1に対してバイアス電圧63を−300Vとし、正負パルス電源から、パルス幅5μs、波高値600Vの正パルス61(Va=300V)及びこれに続くパルス幅1μs、波高値1kVの負パルス62(Vb=1.3kV)の一対の正負パルス電圧を繰り返し周期25μsで10分間印加した。
【0043】
図7は放電ガス圧と堆積したF−DLC膜52の厚さの関係を示す一実施例である。放電ガス圧の増加にほぼ比例して膜圧が増加することは正のパルス電圧の印加によって基板表面及び微細溝内のガスが電子照射を受け、電離した原子や分子、あるいは励起した原子や分子がガス圧にほぼ比例して増加することによるものである。
【0044】
本発明による成膜方法においては、正のパルス電圧のプラズマ電位を越える部分の電位差Vaで電子が加速され、加速された電子によって基板表面及び微細溝内の放電ガスが励起され、電離する。また、この電位差はプラズマ表面から取り出せる電子電流密度及び電子の衝突による電離断面積と励起断面積を決める。従って、正のパルス電圧とバイアス電圧の選択は、放電ガスの選択と同様に成膜速度と堆積する膜の特性を決める重要な要因である。正のパルス電圧のプラズマ電位を越える部分の電位差Vaは20Vから2000Vの範囲であることが望ましい。更に好適な電圧範囲は40Vから1000Vである。
【0045】
本実施例で、四フッ化炭素の混合割合を20モル%から80モル%に変化させたときの堆積膜中のフッ素原子の含有率の変化と得られた薄膜の硬度及び水に対する接触角の変化を図8に示す。放電ガス中の四フッ化炭素の混合割合を増加すれば、得られる薄膜のフッ素原子の含有率は増加し、膜の硬度は著しく減少する。一方、接触角は増加する。
【0046】
本実施例では、アセチレンガスと四フッ化炭素ガスの混合ガスでの実施結果について説明したが、本実施例に限定されるものではなく、炭化水素系ガスとしてはメタン、エタン、ベンゼン、トルエン等、あるいはこれらの混合ガスを用いてもよい。また、フッ素系ガスとしては、二フッ化炭素、四フッ化炭素、ArF等を用いてもよい。
【0047】
更に、アルゴン等不活性ガスを混入することによって、加速された不活性イオンの衝突する表面の堆積膜のスパタリング作用を利用してイオンが衝突する表面の膜厚と微細溝側壁の膜厚を一様にすることも可能である。
【0048】
上記実施例1から3に於いては、放電プラズマ発生方法としてマイクロ波と磁場による電子サイクロトロン共鳴方式を用いたが、該方式に限定されるものではなく、本発明によれば真空容器1内に放電電極を導入する高周波放電方式、誘導結合型高周波放電方式、直流或いは交流グロー放電方式等を用いることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、アスペクト比が1以上のマイクロメーターオーダーの微細溝や微細穴内壁面に所定の元素を含む薄膜を厚さを制御しながら形成することができる。また、本発明によれば、従来困難とされていた微細溝や微細穴内壁面にほぼ均一なイオン照射・成膜が可能となる。
【0050】
本発明の他の効果は、数10エレクトロンボルト以上の高いエネルギーを持つイオンを照射しながら薄膜形成するため、基材との密着性が極めてよい薄膜が形成できる。また、放電ガスに酸素や窒素を導入すれば金属や半導体基板に設けた微細溝や微細穴内壁面に酸化膜や窒化膜を形成でき、炭化水素や有機金属ガスを導入すれば、DLCや金属薄膜が形成できる。
【0051】
更に、本発明によれば、フッ素炭素、ArF、等を混入することによってF−DLCやフッ化物薄膜が形成でき、ジボラン、フォスフィン等を混入することによって、半導体基板表面にドーパントとしてボロンやリンをドーピングできる。
【0052】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いた装置を説明するための概略図である。
【図2】本発明の実施例を説明するためのシリコン基板断面図である。
【図3】本発明の実施例1で用いた正負パルス波形図である。
【図4】本発明の実施例2で用いた正負パルス波形図である。
【図5】本発明の実施例を説明するためのシリコン基板断面図である。
【図6】本発明の実施例3で用いた正負パルス波形図である。
【図7】本発明により得られた結果を示す特性図である。
【図8】本発明により得られた結果を示す特性図である。
1・・・・・真空容器、1a・・・・・プラズマ発生室、1b・・・・・成膜室、2・・・・・マイクロ波導入口、3・・・・・放電ガス導入口、4・・・・・真空排気口、5・・・・・誘電体板、6・・・・・基板ホルダー、7・・・・・被加工基材、8・・・・・環状コイル、9・・・・・バイアス電源、10・・・・・インダクタンス、11・・・・・正負パルス電源、12・・・・・キャパシタ、13・・・・・リークバルブ、20・・・・・シリコン基板、21・・・・・微細溝、22・・・・・シリコン酸化膜、23・・・・・裏面電極31・・・・・正のパルス電圧、32・・・・・負のパルス電圧、33・・・・・プラズマ電位、
41・・・・・正のパルス電圧、42・・・・・負のパルス電圧、43・・・・・プラズマ電位
50・・・・・シリコン基板、51・・・・・微細溝、52・・・・・シリコン酸化膜、53・・・・・裏面電極、61・・・・・正のパルス電圧、62・・・・・負のパルス電圧、63・・・・・プラズマ電位

Claims (6)

  1. 真空排気した容器内に所定の元素を含むガスを導入して放電プラズマを発生させ、該放電プラズマに微細溝を有する被加工基材を接触させ、該被加工基材に放電プラズマ電位に対して正負一対のパルス電圧を繰り返し印加することによって所定元素を含む薄膜及び/又は所定元素を含む化合物薄膜を形成することを特徴とする微細溝内薄膜形成方法。
  2. 前記正のパルス電圧が前記放電プラズマ電位より20V以上高く、負のパルス電圧が放電プラズマ電位より100V以上低いことを特長とする特許請求範囲第1項に記載の微細溝内薄膜形成方法。
  3. 前記被加工基材にプラズマ電位に対して負のバイアス電圧を印加し、該バイアス電圧に重畳して、前記正負一対のパルス電圧を繰り返し印加することすることを特長とする特許請求範囲第1項及び第2項に記載の微細溝内薄膜形成方法。
  4. 前記正負一対のパルス電圧が矩形波又は正弦波の一サイクル分であることを特長とする特許請求範囲第3項に記載の微細溝内薄膜形成方法。
  5. 前記正負一対のパルス電圧が正のパルス電圧から負のパルス電圧への反転時間が1マイクロ秒以下であることを特長とする特許請求範囲第1項から第4項に記載の微細溝内薄膜形成方法。
  6. 前記所定の元素を含むガスが酸素、窒素、アンモニア、炭化水素、フッ化炭素、ジボラン、フォスフィン、ArF、及び有機金属ガスの少なくとも一つを含むことを特長とする特許請求範囲第1項に記載の微細溝内薄膜形成方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007092108A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Plasma Ion Assist Co Ltd 機能性薄膜の形成方法及び機能性薄膜形成装置
JP2016138323A (ja) * 2015-01-29 2016-08-04 株式会社Screenホールディングス 成膜装置および成膜方法
WO2023223860A1 (ja) * 2022-05-20 2023-11-23 東京エレクトロン株式会社 改質方法及び改質装置

Cited By (3)

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