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JP2005091907A - 波長合分波器 - Google Patents

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JP2005091907A JP2003326675A JP2003326675A JP2005091907A JP 2005091907 A JP2005091907 A JP 2005091907A JP 2003326675 A JP2003326675 A JP 2003326675A JP 2003326675 A JP2003326675 A JP 2003326675A JP 2005091907 A JP2005091907 A JP 2005091907A
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Abstract

【課題】3波以上の光の合分波を一つの光学部品で行う際の偏光面に依存する特性劣化を改善する。
【解決手段】それぞれの波長帯域の中心波長をλ1、λ2、λ3としたとき、0.92≦λ2/λ1≦1.08であり、0.20≦λ3/λ1≦0.92または1.08≦λ3/λ1≦5.00の関係にある3波長多重光を、同一パッケージ内の1つまたは複数の光学基板により支持された2つの異なる特性の光学フィルタを一体にした波長合分波器を使って、それぞれの帯域に分波または/および合波する際に、3波長多重光は第1のフィルタAに導かれ、フィルタAは3波長多重光をλ3の帯域と、λ1とλ2の2波長多重光に分離し、該2波長多重光は第2のフィルタBに導かれ、フィルタBは2波長多重光をλ1の帯域とλ2の帯域の光に分離するものであって、該フィルタAは光学エッジフィルタであり、該フィルタBは光学バンドパスフィルタとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、波長合分波器に関する。
誘電体多層膜は眼鏡レンズ表面に反射防止膜として被着して用いられたり、ガラス基板上に被着してTVの色分解フィルタ等として一般に用いられていた。一方、近年の機器のコンパクト化等の観点から、例えば液晶プロジェクタやカメラなどに用いられる色分解フィルタ、あるいはDVD(Digital Versatile Disk)装置等に用いられるレーザー検出用ミラーとしてプリズム形状の2つのガラス基板の間に誘電体多層膜を挟持し、誘電体多層膜に光が角度を持って入射するような構成のものが必要になってきている。また、通信分野においては、インターネットの進展に伴う通信量の増大に対処するため、波長多重光通信技術の導入が進められており、その中で、異なる波長の光を分離するため、ガラス基板上にエッジフィルタやバンドパスフィルタとなる誘電多層膜を形成したフィルタが必要となってきている。
光通信では、3端子モジュールを、カスケードに組み合わせることで、複数波長の合分波が可能になるが、合分波の数だけモジュールが必要となり、装置コストが上がり、収容面積も大きくなり、設置コストも上がることが考えられる。また、特許文献1や、非特許文献1に開示されてるように、単一モジュール内に複数のバンドパスフィルタ、エッジフィルタを組み込み、複数波長合分波するモジュールも提案されているが、光の分離角が小さいので、発信用レーザ、受信用のダイオードを組み込もうとすると、光学パスを長く取る必要がり装置が大型化して設置コストが上がるという問題が生じる。また、装置を小型化しようとすると、レーザ/ダイオードアレイを使う必要があり、コストアップの要因となる。装置コストを上げずに小型化使用とすると、光の分離角を大きくする必要があるが、この場合は、出射光のPおよびS波の乖離が大きくなり、合分波特性が劣化すると言う問題が起こる。
この高乖離角、即ち高入射角度でのPおよびS偏光に依存する特性劣化問題、即ち入射光の偏光方向により出射光の振幅波長特性が大きく乖離する問題を改善するために、特許文献2においては、誘電体多層膜フィルタの高屈折率層にSiを用いている。高屈折率層に屈折率の高いSi、Ge、ZnS、ZnSe等を用いれば振幅特性の特性差を改善できるが、前記特許文献2で開示されているように低屈折率層にTiO2、SiO2を用いると、85℃85%RHの高温高湿下に長時間放置すると、TiO2、SiO2の酸素が高屈折率層側に拡散し、Si、Ge層の屈折率の低下、低屈折率層の屈折率上昇による波長シフト、光学特性の変動を引き起こす。また、ZnS、ZnSeについてはSiO2、TiO2とは密着性が弱いため、剥離しやすいという問題も引き起こす。
入射媒質が屈折率1の空気であれば、偏光方向の違いによる特性差を小さくできるが、近年の光学部品では小型化のため集積度が上がっており、フィルタは他の光部品、ファイバキャピラリ、プリズム、レンズ、導波路、に直接、接合して使われることが多い。この場合、入射媒質を空気とするためには、エアーサンドイッチ構造とする必要がある。エアーサンドイッチ構造とする場合は、接合面同士に多重反射による振幅変動を抑えるため反射防止膜を形成することになる。この反射防止膜は屈折率1の空気に対し最適化されているので、接合時の樹脂等が光り通過面に回り込むと透過特性が劣化するので、樹脂が回りこまないような接合構造とする必要があり、コストアップの要因となる。また、単に樹脂接合すると歩留り劣化となる。
上記、偏光面による特性差を解消するために入射光の偏光面を揃えるという方法もあるが、偏光子を使って、どちらかの偏光のみを取り出すと、光量の減少を招く。また、S波とP波に分離後、S波をP波に、もしくはP波をS波に変換して偏光状態を揃えると、偏光面変換分品が新たに必要となり、装置の大型化、コスト上昇を招く。
特開平8−82711号公報 特開2000−162413号公報 藤井陽一著 「光工学」 アグネ承風社 1993年(169頁)
上記のような状況に鑑みて本発明はなされたもので、3波以上の光の合分波を一つの光学部品で行う際の偏光面に依存する特性劣化を改善し、もって小型で合分波特性に優れ、かつ保存特性に優れた多層膜フィルタおよび合分波用光学部品を提供することを目的とする。
本発明は、それぞれの波長帯域の中心波長をλ1、λ2、λ3としたとき、0.92≦λ2/λ1≦1.08であり、0.20≦λ3/λ1≦0.92または1.08≦λ3/λ1≦5.00の関係にある3波長多重光を、同一パッケージ内の1つまたは複数の光学基板により支持された2つの異なる特性の光学フィルタを一体にした波長合分波器を使って、それぞれの帯域に分波または/および合波する際に、図8に示すように3波長多重光は第1のフィルタAに導かれ、フィルタAは3波長多重光をλ3の帯域と、λ1とλ2の2波長多重光に分離し、この2波長多重光は第2のフィルタBに導かれ、フィルタBは2波長多重光をλ1の帯域とλ2の帯域の光に分離するとき、フィルタAは光学エッジフィルタであり、フィルタBは光学バンドパスフィルタとすることで、入射光の偏光面、S波、P波により、出射光の振幅波長特性が乖離する問題を改善できることを見出した。
この際、フィルタAは3波長多重光のλ3の帯域を反射し、λ1とλ2の2波長多重光を透過し、フィルタBはフィルタAを透過した2波長多重光のうち、λ2の帯域を反射し、λ1の帯域を透過し、フィルタAの入射媒質の屈折率をnA、フィルタAへの3波長多重光とフィルタA面の法線とのなす角をθAとし、同様に、フィルタBの入射媒質の屈折率をnB、フィルタBへの2波長多重光とフィルタB面の法線とのなす角をθBとしたとき、θA≧15度かつnA・SinθA≦0.95かつθB≦15度かつnB・SinθB≦0.85とすることが望ましい。
また、フィルタAとフィルタBとのなす角をαとしたとき、60度≦α≦120度である。θAの角度は、15度より小さいと3波長多重光と1310nmの送信光との角度差が小さくなるため、それぞれの素子が接近し配置が難しくなるため、θAは15度以上にするのがよい。一方、θAを大きくするとフィルタAへの入射角が大きくなるためフィルタAに成膜されているエッジフィルタのP偏光の反射率が低下する。筆者らの検討によれば、θAの上限は基板Aの屈折率nAと関係し、nA・SinθAを0.95以下にしないとP偏光において十分な反射率が得られないことが明らかとなった。
従って、nAは低い方がθAの設計の自由度が大きくなり、また、同じθAを使用するならnAが低いほどP偏光の反射率は大きくなるため、nAは低い方が好ましい。入射角度θAは好ましくは20度以上であり、nA・SinθAは好ましくは0.8以下とするのが良い。また、フィルタAの出射媒質とフィルタBの入射媒質を共に空気とした場合、入射角θBを得るためのαは、下記の(数1)から求めることができる。
(数1) α=θB+arcsin(nA・sinθA)
従って、基板Aの屈折率nAとフィルタAへの入射角θAを設定しておけば、所望のθBを得るためのフィルタAとフィルタBのなす角αを計算により求めることができる。筆者らの検討によれば有効なαの範囲は60度≦α≦120度であり、好ましくは、70度≦α≦100度である。
本発明の高屈折率膜の材料としては、酸化Ta、酸化Ti、酸化Ce、酸化Hf、酸化Zr、酸化Nb、酸化Y、酸化Crなどの酸化物、窒化Si、窒化Ge等の窒化物、炭化Siなどの炭化物、ZnS、ZnSe、GaP、InP、GaAs、GaAl、GaNなどの半導体およびこれらの混合材から選ばれる少なくとも1種が、低屈折率膜の材料としては酸化Si、酸化Al、酸化Mg、酸化Geなどの酸化物、フッ化Ca、フッ化Ba、フッ化Ce、フッ化Mg、フッ化Na、フッ化Nd、Na5Al3F14、Na3AlF6などのフッ化物、およびこれらの混合材から選ばれる少なくとも1種がある。なお、各屈折率膜は同種のものを用いることが好ましいが、屈折率が近似した材料であれば、一部を他の材料からなる屈折率膜に置換することも可能である。また、高温高湿環境下での保存特性向上のためには、酸化物、窒化物、炭化物、フッ化物を用いることが望ましい。
本発明の誘電体多層薄膜フィルタは、真空成膜法で作製される。真空成膜法には、真空蒸着法、スパッタ法、化学気相成長法、レーザブレイション法など各種成膜法を用いることができる。真空蒸着法を用いる場合、膜質を改善するため蒸気流の一部をイオン化するとともに基板側にバイアスを印加するイオンプレーティング法、クラスタイオンビーム法、別イオン銃を用いて基板にイオンを照射するイオンアシスト蒸着法を用いると有効である。スパッタ法としては、DC反応性スパッタ法、RFスパッタ法、イオンビームスパッタ法などがある。また、化学的気相法としては、プラズマ重合法、光アシスト気相法、熱分解法、有機金属化学気相法などがある。なお、各屈折率膜の膜厚は膜形成時の蒸着時間等を変えることで、所望の膜厚とすることができる。
また、基板には石英ガラス、硼珪酸ガラス、などの光学ガラス、結晶化ガラス以外ににも、Siウエハー、GaAsウエハー、GaInウエハー、SiCウエハーなどの半導体基板、LiNbO3、LiTaO3、TiO2、SrTiO3、Al2O3、MgOなどの酸化物単結晶、多結晶基板、CaF2、MgF2、BaF2、LiFなどのフッ化物単結晶基板、多結晶基板、NaCl、KBr、KClなどの塩化物、臭化物単結晶、他結晶基板、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ポリカーボネイトなどのプラスチック等、使用帯域で透明な基板であれば、何れでも適用できる。
本発明によれば、低コストで特性の優れた3波長多重光を3つの帯域の信号光に分波・合波する波長合分波器を提供することができる。
以下本発明の実施例を図面に沿って説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。実施例で説明するフィルタに用いる材料には、屈折率が1.46の酸化Si、2.21の酸化Nb、基板には石英ガラス(屈折率1.44)を用いた。空気の屈折率は1.00とした。
また、本実施例による波長合分波器が扱う帯域は、表1によるものとする。
Figure 2005091907
すなわちλ1の帯域は1540〜1560nmの範囲の光を受信用に使用し、その中心波長は1550nmである。同様に、λ2の帯域は1480〜1500nmの範囲の光を受信用に使用し、その中心波長は1490nmである。更に、λ3の帯域は1260〜1360nmの範囲の光を送信用に使用し、その中心波長は1310nmである。そして、使用する帯域のそれぞれの中心波長の間には、λ2/λ1=0.96、λ3/λ1=0.85の関係がある。
表1のような関係にある3つの帯域を取り扱う波長合分波器においては、接近したλ1とλ2の帯域と、それより離れたλ3の帯域とをそれぞれうまく取り扱えるような構成を取る必要がある。一般に0.92≦λ2/λ1≦1.08の範囲にあるような接近した2つの帯域を分離する場合、光学エッジフィルタより光学バンドパスフィルタを使用した方が、透過/反射の遷移幅を急峻にすることができ好ましい。
しかし、このような光学バンドパスフィルタにλ1・λ2の帯域から離れたλ3の帯域を投入すると、大きな透過率や反射率が得られにくく、特性が安定しないことが分かった。
一方光学エッジフィルタは離れた2波の帯域の光を分離するには適しており、透過帯域を非常に広くとることができるが、接近した2波を分離しようとした場合には層数が多くなり、製造が難しくなり使用に適さない。そこで本発明者らは、表1のように接近した2波λ1・λ2と離れた1波λ3を分離する場合には、最初に光学エッジフィルタでλ3を分離し、残りのλ1とλ2を光学バンドパスフィルタに導き、そこで両者を分離すれば低コストで性能に優れた波長合分波器が実現できると考えた。
図1は、上記の考えを実現するために考案された本発明による波長合分波器の1例である。波長合分波器1は、2つの光学基板、基板Aと基板Bをなす角αで接着等の方法でV字状に固定することにより構成される。基板AにはV字状の内側の面にフィルタAを配置し、もう一方の基板BにはV字状の内側の面にフィルタBを配置し、基板Aと基板Bが固定されることにより一体となっている。入出射光である3波長多重光は、まず、フィルタAでλ3の帯域を分離し、分離された残りのλ1とλ2の帯域である2波長多重光はフィルタBに導かれ、フィルタBはλ1とλ2の帯域の光に分離する。
ここでフィルタAとして長波長透過型の光学エッジフィルタを配置し、フィルタBとして光学バンドパスフィルタを配置する。図1では基板Aと基板Bの接合面にフィルタBが配置されているが、この接合面にはフィルタBは配置されていなくても良い。フィルタAおよびフィルタBは先に述べた真空成膜法で、基板上に形成した。
基板Aには、3波長多重光を入射しやすくするために切削面Aを設けているが、これは設けなくても良い。切削面Aを設ける場合、切削面Aの角度は3波長多重光に垂直もしくはそれよりも1〜10度傾いた角度とすることができる。切削面Aには波長合分波器1に接続する送受信光である3波長多重光を入射・出射させる。これには光ファイバ等により導かれた3波長多重光を、コリメータレンズ等を使用して平行光をフィルタAに導く方法や、光ファイバのフェルールを切削面Aに接着または融着等の方法で固定し光ファイバのNAにより定められる広がり角を持つ拡散光をフィルタAに導く方法などをとることができる。
入出力信号光である3波長多重光は、フィルタAの法線に対してθAの角度で入射するように設定する。その際、3波長多重光のうちの1550nmと1490nmの帯域の光は、フィルタAを透過しフィルタBに導かれる。もし1310nmの帯域の光が3波長多重光に混入してきた場合には、角度θAで反射され、基板Aから出射する。送信に使用する1310nmの帯の光は、光学基板Aを透過し、角度θAでフィルタAに入射し、角度θAで反射後に3波長多重光を送ってきた光ファイバに入射するよう角度づけされる。
θAの角度は、15度より小さいと3波長多重光と1310nmの送信光との角度差が小さくなるため、それぞれの素子が接近し配置が難しくなるため、θAは15度以上にするのがよい。一方、θAを大きくするとフィルタAへの入射角が大きくなるためフィルタAに成膜されているエッジフィルタのP偏光の反射率が低下する。
本検討によれば、θAの上限は基板Aの屈折率nAと関係し、nA・SinθAを0.95以下にしないとP偏光において十分な反射率が得られないことが明らかとなった。従って、nAは低い方がθAの設計の自由度が大きくなり、また、同じθAを使用するならnAが低いほどP偏光の反射率は大きくなるため、nAは低い方が好ましい。入射角度θAは好ましくは20度以上であり、nA・SinθAは好ましくは0.8以下とするのが良い。
本実施例では、光学基板を石英とし、θAを30度に設定した。従って、nA・sinθA=0.72としている。なお、1310nm帯の送信光は、基板に対してP偏光を入射すると、基板表面の反射を低減できるため、送信損失を低減できるため好ましい。
また、1310nm帯の送信光は基板Aの表面で屈折してフィルタBに入射するため、その角度を見込んで送信光の基板表面への入射角を決めなければならない。従って、基板Aの屈折率nAのばらつきは小さい方が好ましい。もし、nAのばらつきをある程度見込まなければならない場合は、フィルタAの裏面を送信光の入射光に対して垂直になるよう角度づけをすることにより、基板Aの屈折率のばらつきによる、送信光の入射角の変動を抑えることができる。
一方、フィルタAを透過し1550nmと1490nmの2波長多重光になった光は、フィルタBの面の法線とのなす角θBでフィルタBに入射する。フィルタBは、1550nmと1490nmの帯域のどちらかを透過し、もう一方を反射するような光学バンドパスフィルタにすることにより、2波長透過光を分離することができる。本実施例では、1550nmの帯域の光を透過し、1490nmの帯域を反射するようにバンドパスフィルタを設計した。
θBの角度は、15度より小さいとλ2の帯域光とフィルタBとの角度差が小さくなり、また、3波長多重光とλ2との角度差が小さくなり素子の配置が難しくなるため、θBは15度以上にするのが良い。一方、θBを大きくするとフィルタBへの入射角が大きくなるためフィルタBに成膜されているバンドパスフィルタの特性が悪化する。筆者らの検討によれば、θBの上限はフィルタBの入射媒質の屈折率nBとも関係があり、nB・SinθAを0.85以下にしないとバンドパスフィルタの透過帯域の特性を平坦にすることが難しく、またP偏光も反射率も十分な値が得られないことが明らかとなった。ここでもフィルタBの入射媒質の屈折率nBは小さいほどθBの設計の自由度は大きくなり、更に、フィルタBの透過帯域の平坦さや反射帯域のP偏光の反射率を上げられるため、小さい方が良い。入射角θBは好ましくは20度以上であり、nB・SinθBは好ましくは0.7以下とするのが良い。本実施例ではフィルタBの入射媒質は空気としたためnB=1であり、θBを30度とすると、nB・SinθBは0.5である。
本実施例のごとくフィルタAの出射媒質とフィルタBの入射媒質を共に空気とした場合、入射角θBを得るためのαは、(数1)から求めることができる。
従って、基板Aの屈折率nAとフィルタAへの入射角θAを設定しておけば、所望のθBを得るためのフィルタAとフィルタBのなす角αを計算により求めることができる。筆者らの検討によれば有効なαの範囲は60度≦α≦120度であり、好ましくは、70度≦α≦100度である。
本実施例では、θA=30度、nA=1.44であるから、θBを30度とするために、α=76.1度とした。ここで、nB・sinθB=0.5である。
なお、本実施例ではフィルタAの出射媒質とフィルタBの入射媒質は共に空気としたが、フィルタBの出射面に別の光学基板等の光学素材を配置する等の構成にすることにより、フィルタAの出射媒質とフィルタBの入射媒質を異ならせても良く、その場合、そこに配置する光学素材の屈折率・形状によりθBの角度を変えることが可能である。
また、フィルタBを透過したλ1の帯域の光は、裏面Bで反射率数パーセントの割合で反射後フィルタBを透過してλ2の方向に到達することがあり、このλ1の帯域の光がλ2の受光素子に混合した場合、クロストークが発生することがある。このクロストークが問題となる場合には、裏面BにARコートを施すか、裏面Bを反射した光が散乱されるように基板Bを切削面Bの形状に粗面に切削しておく方法がある。対策としてはどちらも有効である、コストの安い方法を選択することができる。
なお、基板Bの屈折率は1550nm帯域の光であるλ1の出射角に影響する。基板Bの屈折率のばらつきが大きい場合、λ1の出射角がばらつくため、基板Bに使用する材料は屈折率のばらつきが小さい材料を使用するのがよい。基板Bの屈折率の値については、フィルタAおよびフィルタBの特性には影響を与えないため特に問題にはならない。ただし、裏面BにARコートを施さない場合には、裏面Bでの反射を抑えるために、基板Bの屈折率は低い方が良い。
図4は、本実施例のフィルタAで用いる長波長透過型の光学エッジフィルタの特性である。入射媒質は石英(屈折率1.44)、入射角度θA=30度、出射媒質は空気である。使用した低屈折率材は、屈折率が1.46の酸化Si、高屈折率材は、屈折率が、2.21の酸化Nbである。
図5は、本実施例のフィルタBに用いる光学バンドパスフィルタの特性である。入射媒質は空気、入射角度θA=30度、出射媒質は石英、高屈折率材は酸化Nb、低屈折率材は酸化Siである。使用した材料の屈折率は、高屈折率膜が2.21、低屈折率膜が1.46、石英が1.44である。
図6は、本実施例の波長合分波器において、1310nmの帯域の送信信号の特性である。使用する帯域である1260〜1360nmの範囲において、P偏光・S偏光とも透過損失が低く、良好な合波特性となっている。なお、S偏光の透過損失はほぼ0dBで推移している。
図7は、本実施例の波長合分波器において、1490nmと1550nmの帯域の受信信号の特性である。1490nmの受信光においては1480〜1300nmの範囲で、1550nmの受信光においては1540〜1560nmの範囲において、両方の帯域においてP偏光・S偏光とも透過損失が低く、良好な分波特性となっている。
図2は、本発明を実施する別の例である。V字の組み方が異なっているが光学的にはすべて図1と同じである。従って、本実施例においては、実施例1と同様の光学特性を得ることができる。
図3は、本発明を実施する別の例である。
基板Aは石英、フィルタAへの入射角30度であり、基板Bは石英、フィルタBへの入射角は30度であり、フィルタAとフィルタBのなす角αは60度である。
本実施例においても、上記実施例1及び2と同等の効果を得ることができる。
本発明は、3つの異なる波長を合波及び/または分波する波長合分波器に適用できる。
波長合分波器を示した図である。 波長合分波器を示した図である。 波長合分波器を示した図である。 光学エッジフィルタの特性を示した図である。 光学バンドパスフィルタの特性を示した図である。 波長合分波器の送信信号の特性を示した図である。 波長合分波器の受信信号の特性を示した図である。 波長合分波器を示した図である。
符号の説明
1 波長合分波器
10 基板A
11 フィルタA
12 フィルタA面の法線と3波長多重光とのなす角θAを示す
13 切削面A
20 基板B
21 フィルタB
22 フィルタB面の法線と2波長多重光とのなす角θBを示す
23 フィルタAとフィルタBとのなす角αを示す
24 裏面B
25 切削面B
30 3波長多重光
31 λ1の帯域光であり、1550nm帯の受信信号光を示す
32 λ2の帯域光であり、1490nm帯の受信信号光を示す
33 λ3の帯域光であり、1310nm帯の送信信号光を示す
34 2波長多重光

Claims (3)

  1. 3つの波長帯域からなる3波長多重光をそれぞれの帯域に分波または/および合波する機能を有し、それぞれの波長帯域の中心波長をλ1、λ2、λ3としたとき、0.92≦λ2/λ1≦1.08であり、0.20≦λ3/λ1≦0.92または1.08≦λ3/λ1≦5.00の関係にあり、1つまたは複数の光学基板により支持された2つの異なる特性の光学フィルタを一体にした波長合分波器であって、3波長多重光は第1のフィルタAに導かれ、前記フィルタAは3波長多重光をλ3の帯域と、λ1とλ2の2波長多重光に分離し、2波長多重光は第2のフィルタBに導かれ、前記フィルタBは2波長多重光をλ1の帯域とλ2の帯域の光に分離するとき、前記フィルタAは光学エッジフィルタであり、前記フィルタBは光学バンドパスフィルタであることを特徴とする波長合分波器。
  2. 請求項1記載の波長合分波器において、前記フィルタAは3波長多重光のλ3の帯域を反射し、λ1とλ2の2波長多重光を透過し、前記フィルタBは前記フィルタAを透過した2波長多重光のうち、λ2の帯域を反射し、λ1の帯域を透過し、前記フィルタAの入射媒質の屈折率をnA、前記フィルタAへの3波長多重光とフィルタA面の法線とのなす角をθAとし、同様に、前記フィルタBの入射媒質の屈折率をnB、前記フィルタBへの2波長多重光とフィルタB面の法線とのなす角をθBとしたとき、θA≧15度、nA・SinθA≦0.95、θB≦15度、nB・SinθB≦0.85であることを特徴とした請求項1記載の波長合分波器。
  3. 請求項2記載の波長合分波器において、前記フィルタAと前記フィルタBとのなす角をαとしたとき、60度≦α≦120度であることを特徴とした請求項2記載の波長合分波器。
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