JP2005091483A - 光学用シートおよびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 透明性、色調の再現性および安定性が優れかつシート厚さが極めて薄い光学用シートを容易かつ経済的に提供する。
【解決手段】 基材フィルム層と、該基材フィルム層に積層して形成された熱可塑性樹脂層からなる賦形化表面を有する光学機能層とからなる光学用シートであって、前記基材フィルム層と前記賦形化表面を有する光学機能層との合計厚さが0.3mm以下であることを特徴とする、光学用シート
前記の光学用シートの製造法であって、下記の工程(a)〜工程(c)をこの順序で連続的に実施することを特徴とする、光学用シートの製造法。
工程(a):移動する基材フィルム上に溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的に供給する工程。
工程(b):前記基材フィルム上の前記熱可塑性樹脂に型ロールを押しあてて、前記型ロール表面の賦形パターンを前記熱可塑性樹脂に転写することによって前記熱可塑性樹脂を成形し、このように成形された熱可塑性樹脂と基材フィルムの積層物を連続的に押し出す工程。
工程(c):前記の成形された熱可塑性樹脂を硬化させる工程。
【選択図】 図4
【解決手段】 基材フィルム層と、該基材フィルム層に積層して形成された熱可塑性樹脂層からなる賦形化表面を有する光学機能層とからなる光学用シートであって、前記基材フィルム層と前記賦形化表面を有する光学機能層との合計厚さが0.3mm以下であることを特徴とする、光学用シート
前記の光学用シートの製造法であって、下記の工程(a)〜工程(c)をこの順序で連続的に実施することを特徴とする、光学用シートの製造法。
工程(a):移動する基材フィルム上に溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的に供給する工程。
工程(b):前記基材フィルム上の前記熱可塑性樹脂に型ロールを押しあてて、前記型ロール表面の賦形パターンを前記熱可塑性樹脂に転写することによって前記熱可塑性樹脂を成形し、このように成形された熱可塑性樹脂と基材フィルムの積層物を連続的に押し出す工程。
工程(c):前記の成形された熱可塑性樹脂を硬化させる工程。
【選択図】 図4
Description
本発明は、光学用シートおよび光学用シートの製造法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、従来よりもシート厚さが薄い光学用シートおよびその製造法に関するものである。
従来より、種々の光学用シートが提案されている。例えば透過型スクリーン用シート、特にプロジェクションテレビ用の透過型スクリーン用拡散シート、においては、その表面をレンズ形状に加工することが行われている。
このような透過型スクリーン用拡散シートでは、通常、透明ないし半透明の材料から形成されたシートの片方の面をレンチキュラー形状に加工するとともに、シートのもう片方の面にはストライプ状の遮光層を設けることが行われている。
このような光学シートに関する技術は、特開2000−338606号公報、特開2001−209131号公報、特開2002−174859号公報および特開2002−303709号公報等に開示されている。
特開2000−338606号公報
特開2001−209131号公報
特開2002−174859号公報
特開2002−303709号公報
上記の従来技術は、放射線、紫外線、電子線等の電離放射線の作用によってレンチキュラー形状に成形された樹脂組成物の重合および硬化を行うことからなるものである。しかしながら、上記技術では高価な放射線硬化型樹脂や感光性樹脂を使用する必要があって製造コストが高くなったり、そして配合された紫外線吸収剤や光重合開始剤等に起因して樹脂が経時的に着色したり透明性が低下してしまうことがあった。よって、安価に製造でき、かつ透明性、色調の再現性および安定性の優れた光学用シートが求められている。
また、このような電離放射線によって樹脂の重合および硬化を行う方法は、型の形状をきわめて忠実に成形物表面上に表現できる点で好ましいものの、例えば型に傷がついた場合には当然にその傷も成形体表面に忠実に再現されてしまうことになる。一般に、型の傷は、型の鋭角状の部分で、型の突端部(即ち、例えばレンチキュラーレンズを成形する場合には、レンチキュラーレンズの谷部分)に発生することが多い。よって、成形用の型にもし傷が存在したとしても、それが最終成形品に反映されるのを抑制して、光学的特性の劣化を防止する技術が求められている。
また、一般に、テレビジョン用スクリーンは、フレネルレンズ基材とレンチキュラーレンズ基材とがそのレンズ表面が対向するように配置された構成となっている。このようなことから、外部から力がかかり両レンズ基材が接触した場合には、レンズ表面に傷や潰れなどが発生することがある。レンズ表面の潰れは、硬質のレンズ材料を使用することによってある程度防止ないし抑制することができる。例えば、架橋密度を上げて硬質化させた紫外線硬化型樹脂をレンズ材料として使用することができる。しかし、そのような硬質の材料は、脆いことが多いので、レンズ表面に欠損が生じたり、欠損により粉体が発生したり、微小なヒビや歪みが生じる恐れがある。よって、レンズ基材の傷および潰れあるいは欠損を抑制する技術が求められている。
さらに、近年、画像表現の高品質化およびスクリーンの大型化に対応して、高精細な画像が得られかつ容易、安価に製造できる光学用シートが求められている。画像を高品質化するための有効な一つの方法としては、前記のような透過型スクリーン用拡散シートにおいては、レンズ要素のピッチを狭くすること、即ち狭ピッチ化ないしファインピッチ化すること、が挙げられる。
なお、この遮光層のピッチはレンチキュラーレンズの形状ないしピッチに対応させる必要があることから、遮光層を狭ピッチ化するにはレンチキュラーレンズについても同時に狭ピッチ化する必要がある。
しかし、従来、光学用シートでは、主としてレンチキュラーレンズ側の加工精度上の制限から一定以上にファインピッチ化を図ることが困難であった。
よって、高精細な画像が得られかつ容易、安価に製造でき、さらに軽量かつ耐久性の優れた光学用シートが求められている。
本発明では、上記課題に解決を与えることを目的とするものである。
したがって、本発明による光学用シートは、基材フィルム層と、該基材フィルム層に積層して形成された熱可塑性樹脂層からなる賦形化表面を有する光学機能層とからなる光学用シートであって、前記基材フィルム層と前記賦形化表面を有する光学機能層との合計厚さが0.3mm以下であること、を特徴とするものである。
したがって、本発明による光学用シートは、基材フィルム層と、該基材フィルム層に積層して形成された熱可塑性樹脂層からなる賦形化表面を有する光学機能層とからなる光学用シートであって、前記基材フィルム層と前記賦形化表面を有する光学機能層との合計厚さが0.3mm以下であること、を特徴とするものである。
このような本発明による光学用シートにおいて、好ましくは前記光学機能層をレンチキュラー形状に成形されたものとすることができる。
また、このような本発明による光学用シートにおいて、好ましくは前記光学機能層をTm(融解温度)50〜200℃の熱可塑性性樹脂から形成されたものとすることができる。
このような本発明による光学用シートにおいて、好ましくは前記光学機能層を、紫外線吸収剤および(または)光重合開始剤を実質的に含まないものとすることができる。
本発明による光学用シートの好ましい具体例としては、前記基材フィルム層と前記光学機能層との間に接着層が形成されてなるものを挙げることができる。
本発明による光学用シートの好ましい具体例としては、前記基材フィルム層の、前記光学機能層が形成された面とは反対側の面に、直接または粘着層を介してストライプ状の遮光層が形成されてなるものを例示することができる。
このような本発明による光学用シートにおいて、好ましくは前記ストライプ状の遮光層を、ピッチ0.2mm以下で形成されてなるものとすることができる。
本発明による光学用シートの好ましく具体例としては、前記ストライプ状の遮光層に直接あるいは接着層を介して支持体が設けられてなるものを例示することができる。
このような本発明による光学用シートにおいて、好ましくは前記支持体を飽和吸水伸び率0.2%以下を有するものとすることができる。
このような本発明による光学用シートにおいて、前記の粘着層、接着層もしくは支持体の少なくとも1つを、光拡散性のものとすることができる。
また、本発明による光学用シートの製造法は、前記の光学用シートの製造法であって、下記の工程(a)〜工程(c)をこの順序で連続的に実施すること、を特徴とするものである。
工程(a):移動する基材フィルム上に溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的に供給する工程。
工程(b):前記基材フィルム上の前記熱可塑性樹脂に型ロールを押しあてて、前記型ロール表面の賦形パターンを前記熱可塑性樹脂に転写することによって前記熱可塑性樹脂を成形し、このように成形された熱可塑性樹脂と基材フィルムの積層物を連続的に押し出す工程。
工程(c):前記の成形された熱可塑性樹脂を硬化させる工程。
工程(a):移動する基材フィルム上に溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的に供給する工程。
工程(b):前記基材フィルム上の前記熱可塑性樹脂に型ロールを押しあてて、前記型ロール表面の賦形パターンを前記熱可塑性樹脂に転写することによって前記熱可塑性樹脂を成形し、このように成形された熱可塑性樹脂と基材フィルムの積層物を連続的に押し出す工程。
工程(c):前記の成形された熱可塑性樹脂を硬化させる工程。
このような本発明による光学用シートの製造法において、好ましくは前記型ロールと前記型ロールに対向して設けられた押圧ロールとの間に前記基材フィルムと前記溶融状態の熱可塑性樹脂とを、同時に供給しながら成形と押し出しを連続的に行なうことができる。
本発明によれば、高価な放射線硬化型樹脂や感光性樹脂を使用する必要がなく、紫外線吸収剤や光重合開始剤等に起因して着色したり透明性が低下することがないので、極めて薄く、かつ透明性、色調の再現性および安定性の優れた光学用シートを低コストで製造することができる。
また、本発明では、光学機能層を熱可塑性樹脂によって形成しているため、成形用の型にもし傷が存在したとしてもそれが最終成形品に反映されるのが適度に抑制されており、光学的特性の劣化が防止されている。
そして、本発明による光学用シートの光学機能層は、適度の柔軟性および硬度を有していることから、光学用シートおよびこの光学用シートを適用した製品の製造時あるいは使用時における破損や傷つきが抑制される。
また、基材フィルムの供給ならびに移送とともに熱可塑性樹脂の供給と表面賦形化をともなう押出成形ならびにラミネーションを連続的に行なう、いわば押出エンボスラミ成形法を採用しているので、光学機能層の厚さを可能な限り薄くすることができ、従来得られなかった0.3mm以下の光学用シートの製造が可能になる。
よって、本発明」によれば、例えば光透過型スクリーン用の光拡散シートとして好適な光学用シートをきわめて容易にかつ経済的に提供することができる。
以下に、本発明を必要に応じて図面を参照しながら説明する。
<光学用シート>
図1〜図4は、本発明による光学用シートの好ましい具体例について、その断面を模式的に示すものである。
図1に示される本発明による光学用シート(1)は、基材フィルム層(2)と、該基材フィルム層(1)に積層して形成された熱可塑性樹脂層からなる賦形化表面を有する光学機能層(3)とからなる光学用シートであって、前記基材フィルム層(2)と前記賦形化表面を有する光学機能層(3)との合計厚さ(即ち、前記基材フィルム層(2)の外表面と光学機能層(3)のレンズ凸部頂点との距離)が0.3mm以下であるものである。
<光学用シート>
図1〜図4は、本発明による光学用シートの好ましい具体例について、その断面を模式的に示すものである。
図1に示される本発明による光学用シート(1)は、基材フィルム層(2)と、該基材フィルム層(1)に積層して形成された熱可塑性樹脂層からなる賦形化表面を有する光学機能層(3)とからなる光学用シートであって、前記基材フィルム層(2)と前記賦形化表面を有する光学機能層(3)との合計厚さ(即ち、前記基材フィルム層(2)の外表面と光学機能層(3)のレンズ凸部頂点との距離)が0.3mm以下であるものである。
この図1に示される光学用シート(1)は、プロジェクションテレビの透過型スクリーンにおける光拡散シートを構成する光学用シートに特に適したものである。光学機能層(3)の具体的内容(例えば、構成成分、賦形化表面の表面状態ないし形態、厚さ等)は、本発明による光学用シート(1)の具体的用途に応じて適宜決定することができる。なお、賦形化表面は必ずしも規則的パターンが連続的に配置されていなくてもよい。
基材フィルム層(2)は、光学用シートの基材として必要な特性、例えば透明性、強度、耐久性等を有していれば、各種の熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を用いて構成することができる。ここで、本発明で使用できる熱可塑性樹脂の具体例として特に好ましいものは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、四フッ化エチレン(PTFE)等である。
この基材フィルム層(2)の厚さは、0.015〜0.29mm、好ましくは0.05〜0.15mmである(但し、光学機能層(3)との合計厚さで0.3mm以下)。
本発明における光学機能層(3)は、上記基材フィルム層(2)に積層して形成された熱可塑性樹脂層からなる賦形化表面を有するものである。ここで、光学機能層(3)を形成する熱可塑性樹脂としては、透明性、強度および耐久性が良好で、前記基材フィルム層(2)との積層および賦形化する際の安定性、操作性が良好で、所定の光学的機能が得られるものを使用することができる。具体的には、例えばTm(融解温度)が50〜200℃、好ましくは120〜170℃、の熱可塑性性樹脂を例示することができる。そのような熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、四フッ化エチレン(PTFE)等を例示することができる(ここで、Tm値は、JIS K7121の方法で測定したときのものである)。
本発明に使用されるこのような熱可塑性樹脂は、通常、放射線硬化型樹脂や感光性樹脂に比べて非常に安価であるばかりでなく、紫外線吸収剤や光重合開始剤等を必須としないので、これらの配合成分に起因して樹脂が着色したり透明性が低下することがない。このことから、透明性、色調の再現性および安定性の優れた光学用シートを安価に得ることができる。
本発明による光学用シートの製造法においてこのような熱可塑性樹脂を使用した場合、その熱可塑性樹脂層の賦形化表面が若干熱戻りすることが観察される場合がある。そのような場合、賦形化に使用される型ロール表面に多少の傷が認めれる場合であっても、光学機能層(3)の賦形化表面ではその傷が熱戻りにより修復されて、視覚的に目立たなくなって光学的特性の向上が図られる。これは画像表現の高品質化のため遮光層をファインピッチに設ける場合にその効果が顕著になる。
また、本発明による光学用シートに使用される熱可塑性樹脂は、従来使用されてきた放射線硬化型樹脂のように硬度が高すぎることがなく、賦形後の硬化処理によって表面硬度および柔軟性が適度のものになる。このことから、この賦形化表面の傷つきや潰れが有効に防止されている。そして、この光学用シート製造時および使用時に他の部材(例えば、この光学用シートに対向して設けれたフレネルレンズ)と接触したとしてもそれを傷つけることが防止されている。
また、本発明では、予め熱可塑性樹脂をペレット状にし、これを光学用シート製造の際に溶融して使用することが可能である。例えば、熱可塑性樹脂に他の資材(例えば、光拡散剤、着色剤等)を混合する場合や、二種以上の熱可塑性樹脂を用いる場合など、予め調製しておいたペレット同士を混合・溶融することによって、あるいは溶融した樹脂中にペレットを混合・溶融することによって、各成分の混合を良好に行うことが可能である。これにより、各混合成分の比重の差が大きい場合や、樹脂粘度が比較的高い場合であっても、混合を良好に行うことができる。よって、より高品質の光学用シートを安定的かつ経済的に製造することが可能になる。
この光学機能層(3)の厚さは、0.01〜0.285mm、好ましくは0.05〜0.2mmである(但し、基材フィルム層(2)との合計厚さで0.3mm以下)。
<他の具体例>
図2〜図4は、本発明による光学用シートの他の好ましい具体例について、その断面を模式的に示すものである。
図2に示される本発明による光学用シート(1)は、前記基材フィルム層(2)と前記光学機能層(3)との間に接着層(4)が形成されてなるものである。
図2〜図4は、本発明による光学用シートの他の好ましい具体例について、その断面を模式的に示すものである。
図2に示される本発明による光学用シート(1)は、前記基材フィルム層(2)と前記光学機能層(3)との間に接着層(4)が形成されてなるものである。
図3に示される本発明による光学用シート(1)は、前記基材フィルム層(2)、前記光学機能層(3)が形成された面とは反対側の面に、粘着層(5)を介してストライプ状の遮光層(6)が形成されてなるものである。なお、粘着層(5)を省略して、基材フィルム層(2)に直接的にストライプ状の遮光層(6)を形成することもできる。
図4に示される本発明による光学用シート(1)は、前記ストライプ状の遮光層(6)に接着層(7)を介して支持体(8)が設けられてなるものである。なお、接着層(7)を省略して、遮光層(6)に直接的に支持体(8)を設けるここともできる。ここで、ストライプ状の遮光層(6)が設けられていない部分については、粘着層(5)に接着層(7)が、あるいは粘着層(5)に支持体(8)が(接着層(7)が省略された場合)、直接設けられることになる。
図2または図4に示される光学用シート(1)において、接着層(4)および接着層(7)は、それが接する層(例えば、基材フィルム層(2)、光学機能層(3)、粘着層(5)、遮光層(6)、支持体(8))との間に十分な接着強度が得られ、本発明の光学用シートを構成する各層および本発明の光学用シートそれ自身の機能・特性等に実質的に悪影響を及ぼすことがないものであるならば、任意のものを使用することができる。接着層(4)または接着層(7)の具体的内容および厚さは、光学用シートを構成する各層の材質および必要な接着強度等を考慮して定めることができる。本発明においては、好ましくは、接着層(4)はイソシアネート、アクリル塩酢酸ビニル、等によって、接着層(7)はウレタン系、アクリル系、エポキシ系、他等によって、形成することができる。
本発明による光学用シート(1)において、遮光層(6)は、光学機能層(3)が図3に示されるようにレンチキュラー形状のものである場合、この光学機能層(3)により集光された光の非通過領域に形成される。なお、図1〜図4に示される光学用シート(1)において、光は、光学用シート(1)の下側から入射し、光学機能層3によって集光されたのち、遮光層(6)の非形成領域から光学用シート(1)の上方に向けて通過する。光学機能層(3)の賦形化表面に対応して、光学機能層(3)によって集光された光の非通過領域はストライプ状になるから、この遮光層(6)もストライプ状となる。この遮光層(6)は、好ましくは黒色の遮光性材料、例えばカーボンブラック、黒色インキ、黒トナー等によって形成することができる。
このストライプ状の遮光層(6)のレンズピッチに対する比率は(図3におけるb)は、好ましくは50〜90%、特に好ましくは55〜75%、とすることができる。本発明によれば、このような高い比率で遮光層(6)が形成された光学用シートが得られるので、高品質の画像表現が可能な光学用シートを容易に製造することができる。
遮光層(6)の形成方法は任意であるが、本発明においては、光照射(主として紫外線照射)によって粘着性が消失ないし低下する特性の粘着剤の層(粘着層5)を形成し、これに光学機能層(3)により集光された光(主として紫外線)を作用させて光通過領域部分について粘着性を消失させた後、遮光層形成材料(例えば微粉状のカーボンブラック、黒色インキ等)を施して、この遮光層形成材料を粘着層(5)の粘着性領域(即ち、光の非通過部分)のみに付着させることからなる方法が好ましい。
本発明による光学用シート(1)においては、図4に示されるように、必要に応じて支持体(8)を設けることができる。この支持体(8)としては任意のもの、好ましくは飽和吸水伸び率0.2%以下、特に好ましくは0.15%以下、のもの、具体的には、メチルメタクリレート・スチレン共重合体(MS樹脂)等を使用することができる。
また 本発明による光学用シート(1)では、この光学用シートを構成する少なくとも一層(好ましくは、例えば支持体(8)、接着層(7)、粘着層(5)、その他の層(図示せず)のいずれか一層または二層以上)を、光拡散性のものとすることができる。光拡散性のものとする方法としては、光拡散剤(好ましくは、例えばアクリルビーズ、スチレン系ビーズ、ガラスビーズ等)を配合する方法を例示することができる。
また 本発明による光学用シート(1)では、この光学用シートを構成する少なくとも一層(好ましくは、例えば基材シート層(2)、光学機能層(3)、支持体(8)、その他の層(図示せず)のいずれか一層または二層以上)を、ノングレア性、帯電防止性または耐汚染防止性のものとすることができる。
また、図1〜図4に示される本発明による光学用シート(1)では、ノングレア層、帯電防止層および(または)耐汚染防止層(図示せず)等を、必要に応じてさらに設けることができる。
<光学用シートの製造法>
図5は、本発明による光学用シートの製造法の好ましい一具体例の概要を示すものである。
この図5に示される本発明による光学用シートの製造法は、下記の工程(a)〜工程(c)をこの順序で連続的に実施することからなるものである。
工程(a):移動する基材フィルム(10)上に溶融状態の熱可塑性樹脂(11)を連続的に供給する工程。
工程(b):前記基材フィルム(10)上の前記熱可塑性樹脂(11)に型ロール(12)を押しあてて、前記型ロール(12)表面の賦形パターン(12a)を前記熱可塑性樹脂(11)に転写することによって前記熱可塑性樹脂(11)を成形し、このように成形された熱可塑性樹脂(11)と基材フィルム(10)の積層物(13)を連続的に押し出す工程。
工程(c):前記の成形された前記熱可塑性樹脂を硬化させる工程。
図5は、本発明による光学用シートの製造法の好ましい一具体例の概要を示すものである。
この図5に示される本発明による光学用シートの製造法は、下記の工程(a)〜工程(c)をこの順序で連続的に実施することからなるものである。
工程(a):移動する基材フィルム(10)上に溶融状態の熱可塑性樹脂(11)を連続的に供給する工程。
工程(b):前記基材フィルム(10)上の前記熱可塑性樹脂(11)に型ロール(12)を押しあてて、前記型ロール(12)表面の賦形パターン(12a)を前記熱可塑性樹脂(11)に転写することによって前記熱可塑性樹脂(11)を成形し、このように成形された熱可塑性樹脂(11)と基材フィルム(10)の積層物(13)を連続的に押し出す工程。
工程(c):前記の成形された前記熱可塑性樹脂を硬化させる工程。
ここで、本発明において、「工程(a)〜工程(c)をこの順序で連続的に実施する」とは、本発明の光学用シートを製造する全工程の一部分において、工程(a)〜工程(c)をこの順序で連続的に実施されていれば良いことを意味する。よって、本発明による光学用シートの製造法は、例えば工程(a)の実施前の段階で、あるいは工程(c)実施後の段階で、場合により各工程の間で、他の工程ないし操作が行われる方法を包含する。
工程(a)
この図5に示される本発明による光学用シートの製造法において、基材フィルム(10)は、基材フィルム供給源(14)から供給され、この基材フィルム供給源(14)から左方向に向けて移動している。そして、基材フィルム(10)は、押圧ロール(18)に接触し、押圧ロール(18)のロール表面部をその回転に従って移動した後、押圧ロール(18)と型ロール(12)との間の圧着点(19)を経たのち、熱可塑性樹脂層と積層された状態で型ロール(12)の回転に従って移動している。
この図5に示される本発明による光学用シートの製造法において、基材フィルム(10)は、基材フィルム供給源(14)から供給され、この基材フィルム供給源(14)から左方向に向けて移動している。そして、基材フィルム(10)は、押圧ロール(18)に接触し、押圧ロール(18)のロール表面部をその回転に従って移動した後、押圧ロール(18)と型ロール(12)との間の圧着点(19)を経たのち、熱可塑性樹脂層と積層された状態で型ロール(12)の回転に従って移動している。
なお、図2に示されるような接着層(4)を有する光学用シートを製造する場合には、基材フィルム上に接着層を設けた積層物を基材フィルム供給源(14)に用意しておくことができる。
本発明による光学用シートの光学機能層(3)を形成する熱可塑性樹脂は、ホッパー(15)から、例えばペレット状で投入され、バレル(16)内で所定温度に加熱され、ダイス(17)から溶融状態で、移動する基材フィルム(10)上に連続的に供給される。なお、溶融した熱可塑性樹脂の供給量は、基材フィルム(10)の移動量および必要な熱可塑性樹脂層の厚み等を考慮して適宜定めることができる。
溶融した熱可塑性樹脂の供給位置は、図5に示されるように、移動する基材フィルム(10)上であって、押圧ロール(18)と型ロール(12)との間の圧着点(19)部付近が好ましく、基材フィルム(10)に供給された熱可塑性樹脂に対して直ちに工程(b)の賦形パターンに転写および成形がなされるような位置が好ましい。
工程(b)
この図5に示される本発明による光学用シートの製造法においては、前記基材フィルム(10)上の前記熱可塑性樹脂(11)に、型ロール(12)を押しあてて、この型ロール(12)表面の賦形パターン(12a)を熱可塑性樹脂(11)に転写することによって、前記熱可塑性樹脂(11)を成形している。賦形パターン(12a)は、本発明による光学用シートの光学機能層に所定の賦形化表面が形成されるように定めることができる。
この図5に示される本発明による光学用シートの製造法においては、前記基材フィルム(10)上の前記熱可塑性樹脂(11)に、型ロール(12)を押しあてて、この型ロール(12)表面の賦形パターン(12a)を熱可塑性樹脂(11)に転写することによって、前記熱可塑性樹脂(11)を成形している。賦形パターン(12a)は、本発明による光学用シートの光学機能層に所定の賦形化表面が形成されるように定めることができる。
この型ロール(12)は、成形された熱可塑性樹脂(11)と基材フィルム(10)の積層物(13)を連続的に送り出している。
そして、前記型ロール(12)と前記型ロールに対向して設けられた押圧ロール(18)との間に前記基材フィルム(10)と前記熱可塑性樹脂(11)とを、同時に供給しながら成形と押し出しを連続的に行なうようになっている。
なお、型ロール(12)と押圧ロール(18)のそれぞれの半径は、同一である必要はなく、異なっていてもよい。また、型ロール(12)と押圧ロール(18)には、それぞれ温度制御手段を設けることができ、良好な光学用シートが得られるように両ロールの温度をそれぞれ最適範囲に制御することもできる。
工程(c)
工程(c)は、前記の成形された前記熱可塑性樹脂(11)を硬化させる工程である。このことによって、熱可塑性樹脂層における賦形化表面形状が固定化される。図3および図4等に示される構成の本発明による光学用シートを製造するためには、この工程(c)の後にそのような構成の光学用シートが得れられるような工程を適宜実施することができる。
工程(c)は、前記の成形された前記熱可塑性樹脂(11)を硬化させる工程である。このことによって、熱可塑性樹脂層における賦形化表面形状が固定化される。図3および図4等に示される構成の本発明による光学用シートを製造するためには、この工程(c)の後にそのような構成の光学用シートが得れられるような工程を適宜実施することができる。
本発明においては、このような基材フィルムの供給ならびに移送とともに熱可塑性樹脂の供給と表面賦形化をともなう押出成形ならびにラミネーションを連続的に行なう、いわば押出エンボスラミ成形法を採用しているので、光学機能層の厚さを可能な限り薄くすることができ、従来得られなかった0.3mm以下の光学用シートの製造が可能になる。さらに、安価な熱可塑性樹脂を使用し、連続的に安定して製造できるので、製造効率が高くかつ経済的である。
MFR5g/10分のポリプロピレンペレットを、図5に示される押出しエンボス成型装置のホッパーに投入した。
この装置の六分割されたバレルの各分割部の温度を、ポッパーに近い順に165℃→205℃→225℃→235℃→245℃→245℃に順次昇温設定し、ダイス部の温度は245℃に設定した。このダイスより溶融したポリプロピレンを0.16kg/36secの流量でレンチキュラーレンズ形状を付与した型ロールと押圧ロールの間に塗出し、併せて、押圧ロールに接するように供給した基材フィルム(透明延伸ポリプロピレンフィルム(透明OPPフィルム)、厚さ30μm)と積層させた状態にて、型押しを実施した。この時、型ロール温度は20℃に設定した。
その際、基材フィルムの引取り速度は3m/min にて実施した。
この条件により成形を実施することにより、総厚み(OPP/PP)が200μmの本発明による光学用シートを製造した。
その際、基材フィルムの引取り速度は3m/min にて実施した。
この条件により成形を実施することにより、総厚み(OPP/PP)が200μmの本発明による光学用シートを製造した。
上記で得られた光学用シートの非レンチキュラーレンズ形状面側に、グラビアコートにて感光性粘着剤を10μmの厚みとなるように塗布した。こうして得られたシートのレンチキュラーレンズ面側より平行光とした放射線を1000mj相当のエネルギー量となるよう露光した。レンチキュラーレンズ形状の効果により集光した放射線が、前記感光性粘着剤の塗布層中を光路として通過した部位のみ粘着剤が硬化し、未露光部は粘着性を有した状態で保持されていた。この状態の粘着剤表面に黒色転写剤を圧着して、60℃の転写温度にて2kg/cm2の圧力条件で転写操作を行い、これを感光性粘着面より剥離した。これにより、粘着剤の未露光部のみに黒色転写剤層が付着し、ストライプ状の遮光層が形成された本発明の光学用シートを製造した。
更に、この光学用シートの前記遮光層面側に、接着剤(インクテック社製、商品名:SFL268H)を50μmの厚みとなるように塗布し、次いで、支持体(厚さ2mm)を積層することによって、本発明による光学用シートを製造した。なお、この支持体は、MS系材料に平均粒径10μm相当のスチレン系拡散剤を0.08重量部配合したものであって、光拡散性を有するものである。
1 光学用シート
2 基材フィルム層
3 光学機能層
4 接着層
5 粘着層
6 遮光層
7 接着層
8 支持体
10 基材フィルム
11 熱可塑性樹脂
12 型ロール
13 積層物
14 基材フィルム供給源
15 ホッパー
16 バレル
17 ダイス
18 押圧ロール
19 圧着点
2 基材フィルム層
3 光学機能層
4 接着層
5 粘着層
6 遮光層
7 接着層
8 支持体
10 基材フィルム
11 熱可塑性樹脂
12 型ロール
13 積層物
14 基材フィルム供給源
15 ホッパー
16 バレル
17 ダイス
18 押圧ロール
19 圧着点
Claims (14)
- 基材フィルム層と、該基材フィルム層に積層して形成された熱可塑性樹脂層からなる賦形化表面を有する光学機能層とからなる光学用シートであって、前記基材フィルム層と前記賦形化表面を有する光学機能層との合計厚さが0.3mm以下であることを特徴とする、光学用シート。
- 前記光学機能層が、レンチキュラー形状に成形されたものである、請求項1に記載の光学用シート。
- 前記光学機能層が、Tm(融解温度)50〜200℃の熱可塑性樹脂から形成されたものである、請求項1または2に記載の光学用シート。
- 前記光学機能層が、紫外線吸収剤および(または)光重合開始剤を実質的に含まないものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学用シート。
- 前記基材フィルム層と前記光学機能層との間に接着層が形成されてなるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学用シート。
- 前記基材フィルム層の、前記光学機能層が形成された面とは反対側の面に、直接または粘着層を介してストライプ状の遮光層が形成されてなるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学用シート。
- 前記ストライプ状の遮光層が、ピッチ0.2mm以下で形成されてなるものである、請求項6に記載の光学用シート。
- 前記ストライプ状の遮光層に直接あるいは接着層を介して支持体が設けられてなるものである、請求項6または7に記載の光学用シート。
- 前記支持体が飽和吸水伸び率0.2%以下を有する、請求項8に記載の光学用シート。
- 請求項6に記載の粘着層、請求項8に記載の接着層もしくは支持体の少なくとも1つが、光拡散性のものである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の光学用シート。
- 請求項1の光学用シートの透過型スクリーン用光拡散シートとしての使用。
- 請求項1に記載の光学用シートの製造法であって、下記の工程(a)〜工程(c)をこの順序で連続的に実施することを特徴とする、光学用シートの製造法。
工程(a):移動する基材フィルム上に溶融状態の熱可塑性樹脂を連続的に供給する工程。
工程(b):前記基材フィルム上の前記熱可塑性樹脂に型ロールを押しあてて、前記型ロール表面の賦形パターンを前記熱可塑性樹脂に転写することによって前記熱可塑性樹脂を成形し、このように成形された熱可塑性樹脂と基材フィルムの積層物を連続的に押し出す工程。
工程(c):前記の成形された熱可塑性樹脂を硬化させる工程。 - 前記型ロールと前記型ロールに対向して設けられた押圧ロールとの間に、前記基材フィルムと前記溶融状態の熱可塑性樹脂とを、同時に供給しながら成形と押し出しを連続的に行なう、請求項12に記載の光学用シートの製造法。
- 請求項12によって製造された光学用シートからなることを特徴とする、請求項2〜10のいずれか1項に記載の光学用シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003321684A JP2005091483A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | 光学用シートおよびその製造法 |
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JP2003321684A JP2005091483A (ja) | 2003-09-12 | 2003-09-12 | 光学用シートおよびその製造法 |
Publications (1)
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JP2005091483A true JP2005091483A (ja) | 2005-04-07 |
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ID=34453297
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005091483A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009002049A1 (en) * | 2007-06-22 | 2008-12-31 | Samsung Fine Chemicals Co., Ltd. | Optical sheet with excellent adhesive force, filter comprising the same, and display device including the sheet or the filter |
-
2003
- 2003-09-12 JP JP2003321684A patent/JP2005091483A/ja active Pending
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WO2009002049A1 (en) * | 2007-06-22 | 2008-12-31 | Samsung Fine Chemicals Co., Ltd. | Optical sheet with excellent adhesive force, filter comprising the same, and display device including the sheet or the filter |
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