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JP2005081753A - 印刷版材料及び製版方法 - Google Patents

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JP2005081753A
JP2005081753A JP2003317910A JP2003317910A JP2005081753A JP 2005081753 A JP2005081753 A JP 2005081753A JP 2003317910 A JP2003317910 A JP 2003317910A JP 2003317910 A JP2003317910 A JP 2003317910A JP 2005081753 A JP2005081753 A JP 2005081753A
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JP2003317910A
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Yasunobu Kobayashi
康伸 小林
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Konica Minolta Medical and Graphic Inc
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Konica Minolta Medical and Graphic Inc
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、保存安定性に優れかつ耐刷性に優れたCTPシステムに用いられる印刷版材料及び製版方法の提供にある。
【解決手段】 基材上に、親水性層及び熱溶融性化合物又は熱軟化性化合物を含有する感熱画像形成層を有する印刷版材料において、該感熱画像形成層の基材に近い側の画像形成層に含まれる熱溶融性化合物の融点より表面に近い側の画像形成層に含まれる熱溶融性化合物の融点が低いか又は該感熱画像形成層の基材に近い側の画像形成層に含まれる熱軟化性化合物の軟化点より表面に近い側の画像形成層に含まれる熱軟化性化合物の軟化点が低いことを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は印刷版材料及び印刷版材料の製版方法に関し、特にコンピューター・トゥー・プレート(以下CTPと略記)方式により画像形成が可能な印刷版材料及びその製版方法に関する。
印刷の分野において、印刷データのデジタル化に伴い、安価で取り扱いが容易で従来のPS版と同等の印刷適性を有したCTP方式用の印刷版材料が求められている。特に近年、特別な薬剤による現像処理が不要であって、ダイレクトイメージング(DI)機能を備えた印刷機に適用可能であり、またPS版と同等の使い勝手を有する、汎用タイプのサーマルプロセスレスプレートが求められている。
一般的に、サーマルプロセスレスプレートの画像形成に主として用いられるのは近赤外〜赤外線の波長を有するサーマルレーザー記録方式である。この方式で画像形成可能なサーマルプロセスレスプレートには、大きく分けて、後述するアブレーションタイプと熱融着タイプ、および相変化タイプが存在する。
アブレーションタイプとしては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に記載されているものが挙げられる。
これらは、例えば、基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層したものである。表層が親水性層であれば、画像様に露光し、親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出することで画像部を形成することができる。アブレーションタイプの場合、画像を形成させる層をアブレートさせるため、短時間で高照度のエネルギーを加えなければならず、出力の大きいレーザーを使用する必要がある。この場合装置のコストが上昇し、更に露光を高速化することが困難になるという問題がある。
相変化タイプとしては、特開平11−240270に記載されているような、印刷時に除去されない親水性層中に、疎水化前駆体粒子を含有させ、露光部を親水性から親油性へと相変化させるというものが挙げられる。化合物を外部からのエネルギーにより組成を変化させるため、この方式もある程度のレーザーパワーが必要となってくる。
熱融着タイプとしては、基材上に親水性層と熱可塑性微粒子と水溶性の結合剤とを含有する感熱画像形成層を有するものが挙げられる。この方式であれば融着させられるエネルギーが有れば良く、アブレーションタイプ、相変化タイプと比べて、画像形成に必要なエネルギーが少なくて済み、高出力のレーザーを用いれば高速化も可能である(例えば特許文献1及び特許文献2参照。)。
しかしながら、熱融着タイプは低エネルギーで画像を形成するものであるために保存条件によっては性能が変動してしまう。また、強固な画像形成層を作ることが難しく、前述の2方式に比べ耐刷性に劣り、傷にも弱いという問題があった。従来からも画像形成にワックスを用いたものが考案されているが少量部数用の刷版であって、新聞等を印刷するには耐刷力が不足しており、より一層の耐刷力の向上が望まれている。
特開平9−123387号公報 特開平9−123388号公報
本発明の目的は、保存安定性に優れかつ耐刷性に優れたCTPシステムに用いられる印刷版材料及び製版方法の提供にある。
(請求項1)
基材上に、親水性層及び熱溶融性化合物又は熱軟化性化合物を含有する感熱画像形成層を有する印刷版材料において、該感熱画像形成層の基材に近い側の画像形成層に含まれる熱溶融性化合物の融点より表面に近い側の画像形成層に含まれる熱溶融性化合物の融点が低いか又は該感熱画像形成層の基材に近い側の画像形成層に含まれる熱軟化性化合物の軟化点より表面に近い側の画像形成層に含まれる熱軟化性化合物の軟化点が低いことを特徴とする印刷版材料。
(請求項2)
前記感熱画像形成層が複数の層であることを特徴とする請求項1記載の印刷版材料。
(請求項3)
前記感熱画像形成層が光熱変換材を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の印刷版材料。
(請求項4)
前記感熱画像形成層が機上現像可能な層であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の印刷版材料。
(請求項5)
請求項4記載の印刷版材料を印刷機上で現像することを特徴とする印刷版材料の製版方法。
本発明によれば、保存安定性に優れかつ耐刷性に優れたCTPシステムに用いられる印刷版材料及び製版方法を提供できる。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の印刷版材料は、基材上に熱溶融性化合物または熱軟化性化合物を含有する感熱画像形成層を有し、この画像形成層の上部と下部とで、含まれる熱溶融性物質または熱軟化性物質の融点または軟化点が異なり、上部のほうが下部より融点または軟化点が低いという構成を有する。
本発明において、感熱画像形成層とは、像様加熱により画像を形成する機能を有する層であり、熱溶融性化合物または熱軟化性化合物を含有し、複数層から成っていてもよい。
本発明において、画像形成層の基材に近い側の画像形成層とは、画像形成層が複数の層からなる場合は、画像形成層のうち最も基材に近い側の層を指し、1つの層の場合には、画像形成層のうち基材側から厚みで20%の層部分を指し、画像形成層の表面に近い側の画像形成層とは、画像形成層が複数の層から成る場合は画像形成層のうち基材から最も遠い層を指し、1つの層の場合には、画像形成層のうち基材側とは反対側から厚みで20%の層部分を指す。
本発明においては、感熱画像形成層が複数の層である場合が好ましく用いられる。
本発明における融点とは、通常の有機物の融点を測定する方法が適用でき、加熱しつつ状態変化を観察することにより、液体状に変化する温度を融点とする。又本発明の軟化点とは環球法(ASTM E 28)による軟化点の値をいう。
画像形成のための加熱方法は、加熱された熱源を直接用いる方法、赤外線、近赤外線などの光により、光露光して加熱する方法などがあるが、本発明においては、光露光して加熱する方法が好ましく用いられる。
特に赤外〜近赤外領域のレーザー光による画像露光を用いる方法が好ましく用いられ、この場合、光熱変換材を含有する層を有することが好ましい。
本発明においては、画像形成層が機上現像可能な画像形成層である場合に特にその効果が大きい。
本発明における機上現像とは、通常のオフセット印刷機に露光済みの印刷版材料を取り付けて印刷を行った際、版面に与えられた湿し水と印刷インクの作用により印刷版材料の未露光領域の画像形成層が印刷の初期に選択的に除去され現像されることを意味している。
また本発明においては基材がプラスチック基材、金属基材いずれも用いることができるが、特にアルミニウム基材を用いた場合に特に効果が有利に発揮される。
(基材)
基材としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板としては、下記のような粗面化されたアルミニウム基材、いわゆるアルミ砂目を有する板を、親水性表面即ち親水性層を有する基材として使用することもできる。
粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。
用いられる機械的粗面化法は特に限定されるものではないが、ブラシ研磨法、ホーニング研磨法が好ましい。
電気化学的粗面化法も特に限定されるものではないが、酸性電解液中で電気化学的に粗面化を行う方法が好ましい。
上記の電気化学的粗面化法で粗面化した後、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸又はアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/m2が好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
機械的粗面化処理法、電気化学的粗面化法はそれぞれ単独で用いて粗面化してもよいし、機械的粗面化処理法に次いで電気化学的粗面化法を行って粗面化してもよい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行うことができる。本発明において用いることができる陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行うことにより、支持体上には酸化皮膜が形成される。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
更に、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。更に、特開平5−304358号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起し得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
プラスチックの基材としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機または無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。
また、裏面のすべり性を制御する(例えば版胴表面との摩擦係数を低減させる)目的で、裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
(親水性層)
本発明の親水性層は印刷時非画像部となり得る層であり、基材上に設層されたものあるいは、基材の表面を親水化処理したときの表面層をいう。
親水性層は一層であっても良いし、複数の層から形成されていても良い。
親水性層の付量としては、0.1〜10g/m2が好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましい。
親水性層は親水性素材を含む。
親水性素材としては、金属酸化物が好ましい。
金属酸化物としては、金属酸化物微粒子の状態のものが好ましい。例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明には、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上というような層においても良好な強度を得ることができる。
上記コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称である。本発明に用いられるネックレス状コロイダルシリカとは1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。
製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、層の多孔質化材として好ましく使用できる。
これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され特に好ましい。
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。
平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
本発明の印刷版材料の親水性層は金属酸化物として多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。多孔質金属酸化物粒子としては、多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
本発明の親水性層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
本発明は、親水性層中には親水性有機樹脂を含有させてもよい。
親水性有機樹脂としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
又、カチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は微粒子状の形態で添加しても良い。これは、例えば特開平6−161101号に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
本発明のより好ましい態様としては、親水性層中に含有される親水性有機樹脂は水溶性である。水溶性素材としては、糖類が好ましい。
糖類としては、後に詳細に説明するオリゴ糖を用いることもできるが、特に多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)はアルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
凹凸構造のピッチとしては0.2〜30μmであることがより好ましく、0.5〜20μmであることが更に好ましい。又、ピッチの大きな凹凸構造の上に、それよりもピッチの小さい凹凸構造が形成されているような多重構造の凹凸構造が形成されていてもよい。
表面粗さとしては、Raで100〜1000nmが好ましく、150〜600nmがより好ましい。
また、親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。
本発明の親水性層用の塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
また、本発明の親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
(光熱変換素材)
光熱変換素材としては下記のような素材を挙げることができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号に記載の化合物も好ましく用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。
前者としては、黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。
後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
黒色酸化鉄(Fe34)としては、平均粒子径0.01〜1μmであり、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。
このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒径0.2μm)等を好ましく用いることができる。
さらに、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒径0.2μm)が挙げられる。
黒色複合金属酸化物としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
これらの中で、本発明においては色素を用いることが好ましく、可視光での着色の少ない色素を用いることがより好ましい。
(熱溶融性化合物および熱軟化性化合物)
本発明においては、感熱画像形成層は熱溶融性化合物または熱軟化性化合物を含むが、好ましい態様としては、これらを微粒子で含むことが好ましい。
熱溶融性微粒子および熱軟化性微粒子としては、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子があげられる。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。
使用可能な素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものである。又、乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスにステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でもポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
熱溶融性微粒子は機上現像性、解像度の面より水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
又、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。
被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明に用いられる熱軟化性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、高分子重合体微粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10、000〜1、000、000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。
又、熱軟化性微粒子は機上現像性、解像度の面より水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
熱軟化性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
(画像形成層に含有可能なその他の素材)
本発明に用いられる画像形成層にはさらに以下のような素材を含有させることができる。
画像形成層には上述の光熱変換素材を含有させることができる。画像形成層は一部が機上現像されるため、可視光での着色の少ない素材を用いることが好ましく、色素を用いることが好ましい。
画像形成層には水溶性樹脂、水分散性樹脂を含有させることができる。水溶性樹脂、水分散性樹脂としては、オリゴ糖、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。
これらのなかでは、オリゴ糖、多糖類、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドが好ましい。
オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(Na塩等)、ポリアクリルアミドとしては、分子量3000〜500万であることが好ましく、5000〜100万であることがより好ましい。
また、画像形成層には、水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体の固形分に対して0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
画像形成層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
(保護層)
画像形成層の上層として保護層を設けることもできる。
保護層に用いる素材としては、上述の水溶性樹脂、水分散性樹脂を好ましく用いることができる。
また、特開2002−19318号や特開2002−86948号に記載されている親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。
保護層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
(製版方法(機上現像))
本発明においては、画像形成層が機上現像可能である場合が好ましい。
機上現像可能とは、画像露光の後、特別な現像行程を経ることなく、印刷時の湿し水または湿し水及び印刷インキにより、画像形成層の未露光部の層が除去されて非画像部となり得るものである。
印刷機上での画像形成層の未露光部の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行うことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行うことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2)印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
本発明の製版方法においては、上記のように印刷版材料を、機上で現像することにより印刷版を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
実施例1
(基材1)
厚さ175μmの二軸延伸ポリエステルフィルムフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。塗布後の25℃、相対湿度25%での表面電気抵抗は108Ωであった。このようにして、両面に下引き層を形成した基材1を得た。
(基材2)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。
次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が50A/dm2の条件で電解粗面化処理を行なった。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は12回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dm2とし、合計で480C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。また、各回の粗面化処理の間に5秒間の休止時間を設けた。
電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が1.2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、さらに水洗した。
次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた1質量%のリン酸二水素ナトリウム水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、基材2を得た。基材2の粗さRaは460nmであった(WYKO社製RST Plusを使用し、40倍で測定した)。
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1(モル比)の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40(モル比)の3元系共重合ラテックス 1.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 92.0部
《下引き塗布液b》
ゼラチン 1部
アニオン系界面活性剤S−1 0.05部
硬膜剤H−1 0.02部
マット剤(シリカ、平均粒径3.5μm) 0.02部
防黴剤F−1 0.01部
水 98.9部
Figure 2005081753
《下引き塗布液c》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40(モル比)の3元系共重合ラテックス 0.4部
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチル メタクリレート=39/40/20/1(モル比)の4元系共重合ラテックス
7.6部
アニオン系界面活性剤S−1 0.1部
水 91.9部
《下引き塗布液d》
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1(質量比)の導電性組成物
6.4部
硬膜剤H−2 0.7部
アニオン系界面活性剤S−1 0.07部
マット剤(シリカ、平均粒径3.5μm) 0.03部
水 92.8部
成分d−1;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50(モル比)の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20(モル比)からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20(モル比)からなる高分子活性剤
Figure 2005081753
(親水性層の作製)
下記組成の素材をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分15質量%の親水性層の塗布液を調製した。基材1の下引き面A上に親水性層の塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の付量が2.0g/m2となるように塗布し、100℃で3分間乾燥した。次いで、60℃24時間のエイジング処理を行った。
《親水性層》
コロイダルシリカ(アルカリ系): スノーテックス−S
(日産化学社製、固形分30質量%) 12.86部
ネックレス状コロイダルシリカ(アルカリ系): スノーテックス−PSM
(日産化学社製、固形分20質量%) 35.83部
赤外線吸収色素:ADS830WS(AmericanDyeSource社製)
0.45部
層状鉱物粒子 モンモリロナイト: ミネラルコロイドMO(Southern Cl ayProducts社製、平均粒径0.1μm程度)をホモジナイザで強攪拌して5 質量%の水膨潤ゲルとしたもの 6.00部
カルボキシメチルセルロースナトリウム:CMC1220
(ダイセル化学社製)の4質量%の水溶液 3.75部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学社製試薬)の10質量%の水溶液
0.75部
多孔質金属酸化物粒子 シルトンAMT08(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケー ト粒子、平均粒径0.6μm) 1.50部
多孔質金属酸化物粒子 シルトンJC−30(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケー ト粒子、平均粒径3μm) 1.50部
純水 37.36部
(画像形成層P−1の作製)
カルナバワックスエマルジョン:A118
(岐阜セラック社製、平均粒子径0.4μm、融点80℃、固形分40質量%)
7.50部
二糖類トレハロース(林原商事社製商品名トレハ、融点97℃)の水溶液、固形分20 質量% 6.00部
ポリアクリル酸ナトリウム:アクアリックDL522
(日本触媒社製)の水溶液、固形分10質量% 3.00部
純水 53.5部
(画像形成層P−2の作製)
画像形成層P−1のカルナバワックスエマルジョンA118をポリエチレンワックスエマルジョンA101(岐阜セラック社製、平均粒子径1.5μm、融点120℃、固形分40質量%)に変更した以外は画像形成層P−1と同様にして画像形成層P−2を作製した。
(画像形成層P−3)
画像形成層P−1に下記を加えた以外は画像形成層P−1と同様にして画像形成層P−3を作製した。
光熱変換色素:ADS830WS
(AmericanDyeSource社製)の1質量%水溶液 50.00部
純水 3.5部
(画像形成層P−4)
画像形成層P−1に下記を加えた以外は画像形成層P−1と同様にして画像形成層P−4を作製した。
光熱変換色素:ADS830WS
(AmericanDyeSource社製)の1質量%水溶液 50.00部
純水 3.5部
(画像形成層P−5)
画像形成層P−1のカルナバワックスエマルジョンA118を(三井化学(株)社製低分子量ポリオレフィン水性ディスパージョン、ケミパールW400、軟化点110℃、固形分40質量%)に変更した以外は画像形成層P−1と同様にして画像形成層P−5を作製した。
(画像形成層P−6)
画像形成層P−1のカルナバワックスエマルジョンA118を(三井化学(株)社製低分子量ポリオレフィン水性ディスパージョン、ケミパールW300、軟化点132℃、固形分40質量%)に変更した以外は画像形成層P−1と同様にして画像形成層P−6を作製した。
(保護層の作製)
二糖類トレハロース
(林原商事社製商品名トレハ、融点97℃)の水溶液、固形分20質量%
5.00部
ポリアクリル酸ナトリウム:アクアリックDL522(日本触媒社製)の水溶液、固形分10質量% 10.00部
純水 85.00部
(印刷版試料の作製)
印刷版試料1〜5
表1に示す構成で印刷版試料を作製した。作製時の条件としては、各層をワイヤーバーを用いて塗布を行い、乾燥し、その後エイジング処理を行ない、印刷版試料を得た。
基材 :基材1(PET)
親水性層 :乾燥付き量0.50g/m2、乾燥条件100℃/3分
画像形成層P−1:乾燥付き量0.75g/m2、乾燥条件55℃/3分
画像形成層P−2:乾燥付き量0.75g/m2、乾燥条件55℃/3分
保護層 :乾燥付き量0.30g/m2、乾燥条件55℃/3分
エイジング条件 :40℃/24時間
なお、画像形成層が1層の試料は乾燥付き量を1.5g/m2とした。
印刷版試料6〜10
表1に示す構成で印刷版試料を作製した。作製時の条件としては、各層をワイヤーバーを用いて塗布を行い、乾燥し、その後エイジング処理を行ない、印刷版試料を得た。
基材 :基材2(アルミニウム)
画像形成層P−1:乾燥付き量0.75g/m2、乾燥条件55℃/3分
画像形成層P−2:乾燥付き量0.75g/m2、乾燥条件55℃/3分
保護層 :乾燥付き量0.30g/m2、乾燥条件55℃/3分
エイジング条件 :40℃/24時間
なお、画像形成層が1層の試料は乾燥付き量を1.5g/m2とした。
(赤外線レーザー露光による画像形成)
印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを250mJ/cm2として、2400dpi(dpiは2.54cm当りのドット数を表す)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。
印刷版試料11
表1に示す構成で、画像形成層P−1の塗布条件と同じ条件でP−5を設層し、画像形成層P−2の塗布条件と同じ条件でP−6を設層し、印刷版試料11を作製した。
(印刷方法)
印刷機:三菱重工業(株)製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製TKハイユニティ紅)を使用して印刷を行った。印刷版材料は露光後そのままの状態で版胴に取り付け、PS版と同じ刷り出しシークエンスを用いて印刷した。
(評価方法)
保存安定性
各印刷版材料について、55℃、20%RH環境下で7日間保存した後の、機上現像性、耐刷性を下記の様に評価し、保存安定性の目安とした。
機上現像性
各印刷版材料について、刷り出しから何枚目の印刷で機上現像が終了するか求めた。機上現像終了の指標は、印刷物上で非画像部の汚れがなく、かつ、ベタ画像部の濃度が1.6以上(Macbeth RD918を用いてMのモードで測定)であり、かつ、95%の網点画像が開いていることとした。
耐刷性
3%網点画像が欠け始めた時点の印刷枚数を耐刷性の指標とした。結果を表1に示した。
表1から、本発明の印刷版材料及び製版方法は、良好な耐刷性を示し、保存後も優れた機上現像性、耐刷性を有し保存安定性に優れることが分かる。
Figure 2005081753

Claims (5)

  1. 基材上に、親水性層及び熱溶融性化合物又は熱軟化性化合物を含有する感熱画像形成層を有する印刷版材料において、該感熱画像形成層の基材に近い側の画像形成層に含まれる熱溶融性化合物の融点より表面に近い側の画像形成層に含まれる熱溶融性化合物の融点が低いか又は該感熱画像形成層の基材に近い側の画像形成層に含まれる熱軟化性化合物の軟化点より表面に近い側の画像形成層に含まれる熱軟化性化合物の軟化点が低いことを特徴とする印刷版材料。
  2. 前記感熱画像形成層が複数の層であることを特徴とする請求項1記載の印刷版材料。
  3. 前記感熱画像形成層が光熱変換材を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の印刷版材料。
  4. 前記感熱画像形成層が機上現像可能な層であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の印刷版材料。
  5. 請求項4記載の印刷版材料を印刷機上で現像することを特徴とする印刷版材料の製版方法。
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