JP2005080802A - 超音波口腔清掃具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 超音波歯ブラシ100は、内部に薬液を保持する薬液保持筒154と、この筒の基端側に配置され、薬液保持筒154に薬液を保持したとき、薬液に接し超音波を放射する超音波放射面163Hを有する超音波振動子161とを備える。超音波振動子161は、電気信号により振動する圧電素子162と、圧電素子162が接着した接着面163S及び超音波放射面163Hを有する振動板163とからなる。振動板163は、ABSからなり、振動板における超音波振動の波長をλsとすると、4λs/2、5λs/2、…の厚さを有する。
【選択図】 図2
Description
これらのうち、特許文献1に記載の歯ブラシは、ヘッドに植えた毛及び歯磨き剤を介して、超音波を歯の表面に伝え、歯の表面の柔らかい歯垢を除去するものである。
一方、特許文献2には、歯ブラシのヘッド部に洗浄水の溜まりやすい空間を構成し、この空間に洗浄水を供給し、溜まった洗浄水を通じて、超音波を伝え、歯垢等の除去を行うものである。
しかしながら、空間内に液体がない場合に、超音波発生器で超音波を発生させると、この超音波発生器は無負荷駆動となる。このため、超音波発生器に大きな振動が発生するとともに発熱により大きく昇温し、超音波発生器の圧電素子などが破壊する虞がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、液溜め部を有しながら、この液溜め部に液体が無い場合に超音波を発生させても、超音波発生部が破壊しない超音波口腔清掃具を提供することを目的とする。
しかし、液溜め部に液体がない場合には、超音波発生部は無負荷駆動となる。このため、振動板として例えば金属板を用い、その厚さを4λ/2未満、例えば、3λ/2,2λ/2,λ/2とすると、振動素子及び振動板が大きく振動し、発熱によって振動素子が大きく昇温して、振動素子と振動板との接着部分が破壊したり、振動素子が破壊する虞がある。
一方、液溜め部に液体が無くなった場合でも、振動板自身にある程度の損失が生じるので、超音波発生部全体としては、振動板が負荷となる。このため、振動が抑制され、発熱による昇温も抑制されて、振動板と振動素子との接着部分が破壊したり、振動素子が破壊することが防止できる。
また、振動板としては、樹脂からなり、所定の厚さを有する板であればよい。具体的には、ABS、アクリル、PET、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、変性ポリフェニレネンエーテル、変性PPEなどの樹脂や、PTFE等のフッ素系樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。また、タルク等の粉末を含む樹脂も挙げられる。
また、振動板の厚さは、この超音波口腔清掃具の超音波発生部や液溜め部が口腔内に挿入されることによる寸法制限や、超音波振動の波長λの大きさ、振動板で生じる負荷等を考慮して適宜選択すればよい。
しかし、液溜め部に液体がない場合には、超音波発生部は無負荷駆動となる。このため、振動板として例えば金属板を用いている場合、振動素子及び振動板が大きく振動し、発熱によって振動素子が大きく昇温して、振動素子と振動板との接着部分が破壊したり、振動素子が破壊する虞がある。
一方、液溜め部に液体が無くなった場合でも、超音波振動子で超音波を発生するのに際して、音響負荷層である程度の損失を生じさせることができる。このため、超音波振動子の振動が抑制され、発熱による昇温も抑制されて、振動板と振動素子との接着部分が破壊したり、振動素子が破壊することが防止できる。
また、振動板の厚さは、この超音波口腔清掃具の超音波発生部や液溜め部が口腔内に挿入されることによる寸法制限や、超音波振動の波長λの大きさ、振動板で生じる負荷等を考慮して適宜選択すればよい。
なお、この清掃具は、液溜め部に水、洗浄水等の液体を溜め、口腔内で用いることを考慮し、水に近似した音響インピーダンスを持つ音響負荷層を選択すると良い。
さらに、音響負荷層の厚さは、液体がある場合には十分な超音波出力が得られる一方、無負荷で駆動した場合でも超音波発生部の破壊を防止できる厚さを、選択すればよい。
また、音響負荷層は、接着剤を用いて振動板に接着により固着しても良いが、振動板に未硬化の材料を所定の厚さに塗布した後に硬化させて形成とともに固着しても良い。
また、駆動用回路基板112液送ポンプ116等は、バッテリ117によって駆動されており、このバッテリ117は、充電用回路118を通じて適宜充電される。
また、ヘッド部150は、図2に示すように、リング状のブラシ基体152とこれにリング状に植設された毛束153からなるブラシ本体151を有する。このブラシ本体151の中央部には、ブラシ基体152の中央部から図2(a)中上方に延びる形態で、少なくともその先端部分がゴム状弾性を有するシリコーンからなる薬液保持筒154が配置されている。この薬液保持筒154と、後述する振動板163とで構成される液保持空間155は、先端側(図2(a)中、上方)が先細の約60度の角度を有する円錐台状部分と、それに続く円筒状部分とからなり、薬液保持筒154の先端154K側(図2(a)中、上方)は外部に開放されている。この液保持空間155には、薬液供給チューブ123、及び薬液供給路156を通じて、この液保持空間155に開口する薬液供給口157から、薬液タンク114内の薬液(図示しない)が液送ポンプ116によって適量ずつ供給される。
一方、振動板163は、圧電素子162よりやや大径(11mmφ)の樹脂板、具体的にはABSからなる円板であり、ヘッド部150のブラシ本体部151にインサート成形によって、その周縁部が保持されている。この振動板163のうち、液保持空間155に面する側が超音波放射面163Hである。一方、これと逆の接着面(図2(a)中、下面)163Sに、上述の圧電素子162が接着されている。
このため、圧電素子162で発生した超音波振動は、この振動板163を伝わり、超音波放射面163Hに接し液保持空間155に溜められた薬液内に超音波が放射される。
まず、超音波出力の調査手法について図3を参照して説明する。超音波振動子161を振動板163が容器5内の水6に接するようにして配置し、発振器1及びアンプ2を通じて、超音波振動子161(具体的には圧電素子162)に、その共振周波数に相当する周波数、及び一定電圧の交流電圧を印加する。本例では、3MHz、20Vp−pである。なお、印加電圧はオシロスコープ3でモニタする。
超音波振動子161から水中に放射された超音波の強度を、容器5の底部に設けた超音波パワーメータ4によって測定する。これにより、超音波振動子161から、水中(薬液)を通じて放射される超音波出力が測定できる。
その上で、発振器1の周波数を3MHzとしたまま、所定振幅(具体的には1Vp−p)の電圧を印加して5分間無負荷駆動状態で保持する。すると圧電素子162が昇温するので、その温度を温度シール7の色変化を目視することによって計測する。5分間の間に温度シール7の色が変化しない場合には、圧電素子162の昇温は高々50℃以下であると判断できる。そこで、圧電素子162への電圧印加を2分間中止して超音波振動子161を冷却する。ついで、電圧を前回より大きくして(具体的には電圧振幅を1V分大きくして)再び5分間の無負荷駆動を行う。これを繰り返して、無負荷駆動を5分間継続した場合に圧電素子162の温度が50℃を超えない上限の電圧である、無負荷時入力可能電圧を調査する。
まず、超音波出力の結果を、図5に示す。なお、振動板163は、ABSからなり、その音速は2400m/sであるので、周波数を3MHzとしたとき、振動板163を伝わる超音波の波長λsは、λs=0.8mmである。従って、振動板163の厚さTsが、Ts=0.4mm,0.8mm,1.2mm,1.6mm,2.0mm,及び4.0mmの場合、それぞれ、λs/2,2λs/2,3λs/2,4λs/2,5λs/2,及び10λs/2に相当する。
図5の結果によれば、振動板163の厚さをmλs/2(mは自然数)とすると、超音波振動子161により水中に超音波が放射されることが判る。但し、振動板163の厚さTs=0.4mm(=λs/2)よりもTs=0.8mm(=2λs/2)の方が、超音波出力が若干高くなるものの、これより厚くなると、振動板163の厚さが増えるに従って、超音波出力はほぼ直線的に減少し、Ts=4.0mmでは、超音波出力の大きさはほぼ0となることが判る。
これは、ABSからなる振動板163自身が、圧電素子162と共振すると共に音響的な負荷となっており、厚みが増す毎に音響的な負荷が大きくなるため、振動板163(超音波放射面163H)から放射される超音波が弱くなるためであると解される。
一方、振動板の厚さTsを、Ts=1.0mm(=5λs/4)、1.2mm(=7λs/4)、1.6mm(=9λs/4)としたときには、いずれの場合も、無負荷時入力可能電圧が5Vp−pであった。
従って、振動板163の厚さTsを、λs/2の整数倍とした場合に、その厚さによって、無負荷時入力可能電圧を変化させうることが判る。
これに対し、振動板163の厚さTsを、4λs/2以上(4λs/2、5λs/2、…nλs/2、…、nは4以上の自然数)とした場合には、8Vp−p、あるいは10Vp−p(あるいはそれ以上)の電圧振幅で連続駆動をしている間に、薬液が液保持空間155から無くなって無負荷駆動となっても、超音波振動子161の破壊を防止を免れることが判る。
また、この超音波歯ブラシ100は、その性質上、ヒトに用いる場合、ヒトの口腔内にヘッド部150を挿入することから、超音波振動子161及び振動板163の厚さにも上限がある。振動板163の厚さの上限は、概略5mm以下程度であると解される。
なお、この超音波歯ブラシ100の超音波振動子161について、連続駆動でなく、間欠駆動を行う場合には、さらに高い駆動電圧で超音波振動子161を駆動(無負荷間欠駆動)しても、その破壊を免れることができ、その一方で、間欠的ではあるが高い超音波出力を得ることができる。
液保持空間155の基端側(図2(b)中、下方)には、圧電素子262と振動板263とからなる超音波振動子264に加え、音響負荷板265を有する超音波発生部261が配置されている。
また、振動板263は、圧電素子262よりやや大径(11mmφ)の金属板、具体的にはステンレス(SUS303)からなる円板であり、その厚さは、0.96mmである。この振動板262の音速は5760m/sである。従って、この振動板262を伝わる超音波の波長λsは、λs=1.92mmであり、振動板263の厚さは、λs/2に相当する。
さらに、音響負荷板265は、振動板263と同じく11mmφであり、ゴム状弾性を有するシリコーンからなる。
また、振動板263と音響負荷板265は、ヘッド部250のブラシ本体部251にインサート成形によって、これらの周縁部が保持されている。
このため、圧電素子262で発生した超音波振動は、この振動板263及び音響負荷板265を伝わり、超音波放射面265Hに接し液保持空間155に溜められた薬液内に超音波が放射される。
まず、超音波出力の結果を図7に示す。なお、音響負荷板265は、シリコーンからなり、その音速は1200m/sであるので、周波数を3MHzとしたとき、音響負荷板265を伝わる超音波の波長λaは、λa=0.4mmである。従って、音響負荷板265の厚さTaが、Ta=2.0mm,及び3.0mmの場合、それぞれ、10λa/2、及び15λa/2に相当する。
図7の結果によれば、音響負荷板265の厚さを変えても、超音波振動子261により水中に超音波が放射されることが判る。但し、音響負荷板265が無い場合(音響負荷板の厚さTa=0)に比して、音響負荷板265の厚さが増えると、超音波出力はほぼ直線的に減少することが判る。
これは、シリコーンからなる音響負荷板265が、圧電素子262(超音波振動子264)で生じる超音波振動に対して、音響的な負荷となっており、厚みが増す毎に音響的な負荷が大きくなるため、音響負荷板265(超音波放射面265H)から放射される超音波が弱くなるためであると解される。
このことから、本実施例2の超音波歯ブラシ200においては、超音波振動子264(振動板263)に、音響負荷板265を付加することによって、無負荷時入力可能電圧を向上させられることが判る。これは、圧電素子262と振動板263とで形成される共振系(超音波振動子)に対して、音響負荷板265が負荷になっているため、超音波振動子264(圧電素子262と振動板263)に生じる超音波振動の振幅が、音響負荷板265の存在によって抑制され、発熱が抑えられるためであると解される。一方、音響負荷板265の厚さがある程度以上厚くなると、音響負荷板265における損失で、放射する超音波出力を減少させることはできるが、超音波振動子264の振動を抑制できる効果は、変わらなくなるためであると解される。
このことから、超音波振動子264において、振動板263に音響負荷板265を固着するのが好ましいことが判る。
また、実施例1と同じく、この超音波歯ブラシ200は、その性質上、ヒトに用いる場合、ヒトの口腔内にヘッド部250を挿入することから、超音波振動子264及び振動板263と音響負荷板265の厚さにも上限がある。振動板263と音響負荷板265とを併せた厚さの上限は、概略5mm以下程度であると解される。
なお、間欠駆動を行うと、さらに高い駆動電圧で超音波振動子261を駆動(無負荷間欠駆動)しても、その破壊を免れることができ、その一方で間欠的ではあるが高い超音波出力を得ることができることは実施例2と同様である。
例えば、実施例1,2では、ヘッド部150,250のほか、頸部や把持部を有する超音波歯ブラシ100,200に本発明を適用したが、液溜め部と超音波発生部とを備える超音波口腔清掃具であればよく、頸部や把持部を備えない形態の清掃具にも適用することができる。
また、実施例1,2では、薬液保持筒154の周囲に毛束153を植設したが、薬液保持筒の周囲に毛束を設けない形態の清掃具としても良い。
110 把持部
120 頸部
150,250 ヘッド部
151 ブラシ本体
152 ブラシ基部
153 毛束
154 薬液保持筒(液溜め部)
154K 開口部
155 液保持空間
156 薬液供給路
157 薬液供給口
161 超音波振動子(超音波発生部)
261 超音波発生部
162,262 圧電素子(振動素子)
163,263 振動板
264 超音波振動子
265 音響負荷板(音響負荷層)
163S,263S 接着面
163H,265H 超音波放射面
Claims (2)
- 筒形状をなし、先端側が開放され、内部に液体を保持可能とした液溜め部と、
上記液溜め部の基端側に配置された超音波発生部であって、
上記液溜め部に液体を保持したとき、保持された液体に接する超音波放射面を有し、
この超音波放射面から超音波を放射する超音波発生部と、
を備える超音波口腔清掃具であって、
上記超音波発生部は、
電気信号により振動する振動素子と、
上記振動素子が接着した接着面及び上記超音波放射面を有する振動板と、
を含み、
上記振動板は、
樹脂からなり、
この振動板における超音波振動の波長をλとし、nを4以上の自然数としたとき、nλ/2の厚さを有する
超音波口腔清掃具。 - 筒形状をなし、先端側が開放され、内部に液体を保持可能とした液溜め部と、
上記液溜め部の基端側に配置された超音波発生部であって、
上記液溜め部に液体を保持したとき、保持された液体に接する超音波放射面を有し、
この超音波放射面から超音波を放射する超音波発生部と、
を備える超音波口腔清掃具であって、
上記超音波発生部は、
電気信号により振動する振動素子及び上記振動素子が接着した振動板からなる超音波振動子と、
上記振動板と異なる材質であり、樹脂からなり、上記振動板のうち、上記振動素子とは逆側の面に固着され、表面が上記超音波放射面をなす音響負荷層と、を含む
超音波口腔清掃具。
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