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JP2005078941A - 有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子 - Google Patents

有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子 Download PDF

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JP2005078941A JP2003308030A JP2003308030A JP2005078941A JP 2005078941 A JP2005078941 A JP 2005078941A JP 2003308030 A JP2003308030 A JP 2003308030A JP 2003308030 A JP2003308030 A JP 2003308030A JP 2005078941 A JP2005078941 A JP 2005078941A
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Tomoyoshi Tateishi
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Abstract

【課題】 基板上にパターニングされた有機層を簡便に形成できるとともに、形成した有機層が界面で混合しないために発光効率及び耐久性に優れた有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】 凸部12を有する押圧部材10の前記凸部12側の面に、少なくとも一層の有機層13を有する転写材料100を用いて、前記有機層13を、一部又は全面に電極を有する第一の基板の電極側に重ねて加圧し、前記押圧部材10を引き剥がすことにより前記第一の基板の電極側に前記有機層13を転写することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子。
【選択図】 図2


Description

本発明はフルカラーディスプレイ、バックライト、照明光源等の面光源やプリンター等の光源アレイ等に有効に利用できる有機電界発光素子(有機発光素子、有機EL素子)及びその製造方法に関する。
有機電界発光素子は容易に面状発光素子に適用し得るため、新たな光デバイスとして注目されている。具体的には、固体発光型の安価な大面積フルカラー表示素子や書き込み光源アレイとしての用途が有望視され、多くの開発が行われている。一般に有機発光素子は、一対の電極(背面電極及び透明電極)の間に発光層を含む少なくとも一層の有機層を有する構成である。前記有機発光素子において、一対の電極間に電界が印加されると、有機発光素子内に片方の電極から電子が注入されるとともに、もう片方の電極から正孔が注入される。電子と正孔とが前記発光層中で再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーが光として放出され、有機電界発光素子は発光する。
国際公開00/41893号は、有機薄膜層と光熱変換層を形成したドナーシートを用いて、レーザにより有機薄膜層と光熱変換層を基板上に熱転写する方法を提案している。ところが熱転写の場合、有機薄膜層の接合界面に気体を巻き込み易いという問題がある。有機電界発光素子の発光効率や耐久性、並びに発光面の均一性は、有機薄膜層の界面の状態に依存し、有機薄膜層と基板との接合界面に気体の巻き込みがあると、素子機能は悪化する。
プリント技術分野で利用されている熱ヘッドや、レーザを用いたパターン状の熱書き込みの場合、熱拡散性によりパターンの周辺に温度分布が生じて、有機薄膜パターンの輪郭がきれいにドナー側から切断されない。このため発光量のばらつきが生じたり、また電気的不良や薄膜破片による欠陥が起こり、更に耐久性も悪くなるという問題がある。また基板と熱ヘッドやレーザとの位置合わせの不良により、歩留まり低下の問題もある。
パターニングされた有機層を作製する方法として、レリーフ染色法、顔料分散法、電着法、真空蒸着法、インクジェット法、オフセット印刷法が提案されている。これらのうちレリーフ染色法は有機層に感光性レジストを使って所定のパターンを形成した後、その有機層が形成された基板を染色液に浸漬して着色する方法であり、顔料分散法は感光性レジストに顔料を分散させたものを基板上に塗布、露光、現像してパターンを形成する方法であり、電着法は電極に所定のパターンを電着する方法である。これらの方法により、多色の発光材料を含む有機層を基板上にパターニングしようとすると、少なくとも色の数と同じ回数の繰り返し工程が必要であるためコスト高であり、量産化に不向きである。
有機層と蒸着源の間にマスクを設置した状態で、発光材料を加熱蒸発させることによりパターニングする真空蒸着法を大面積の有機電界発光素子に適用すると、熱によってマスクが歪む惧れがある。また使用後のマスクを洗浄するには、真空中で洗浄するか、一旦真空から取り出して洗浄した後で真空中に戻す必要が生じるため、量産化に不向きである。またインクジェット法、オフセット印刷法は、発光材料を含む有機層を積層する際に溶剤の選択が難しい上、積層した有機層が接合界面で混ざり合うために、有機電界発光素子の発光効率及び耐久性が低下するという問題がある。
国際公開00/41893号パンフレット
従って本発明の目的は、基板上にパターン状の有機層を簡便に形成できるとともに、形成した有機層が界面で混合しないために発光効率及び耐久性に優れた有機電界発光素子を製造する方法及び有機電界発光素子を提供することである。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、一方の面に所望のパターンの凸部が形成された押圧部材の前記凸部側の面に有機層を形成することにより転写材料を作製し、一部又は全面に電極を有する基板の電極側に、前記有機層が対面するように前記転写材料を重ねて加圧した後、前記押圧部材を引き剥がすことにより所望のパターンの有機層が基板上に形成することを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の有機電界発光素子の製造方法は、凸部を有する押圧部材の前記凸部側の面に、少なくとも一層の有機層を有する転写材料を用いて、前記有機層を、一部又は全面に電極を有する第一の基板の電極側に重ねて加圧し、前記押圧部材を引き剥がすことにより前記第一の基板の電極側に前記有機層を転写することを特徴とする。
本発明の有機電界発光素子の製造方法の好ましい実施例として、以下のものが挙げられる。
(1) 前記凸部の上面の最大表面粗さRmax(JIS B0601-1982により規定される)は、前記有機層の膜厚0.5倍以下である。
(2) 前記凸部の表面に平滑化層を設ける。
(3) 前記基板の一面又は部分的に電極を形成する。
(4) 前記基板の一面又は部分的に電極を形成することにより第一の基板を作製し、前記第一の基板に前記有機層を転写した後で、前記第一の基板を一面又は部分的に電極を形成した第二の基板に前記有機層が対面するように貼り合せる。
(5) 紫外線硬化性有機化合物、電子線硬化性有機化合物、熱硬化性有機化合物、無機酸化物及び無機窒化物からなる群から選ばれた少なくとも一種により前記凸部の表面に平滑化層を形成する。
(6) 熱線膨張係数が20 ppm/℃以下の物質により前記押圧部材を作製する。
(7) 前記有機層を形成する物質を含む塗布液を前記押圧部材に塗布する。
(8) 前記有機層を形成する物質を前記押圧部材に真空蒸着する。
本発明の有機電界発光素子は、本発明の有機電界発光素子の製造方法により得られることを特徴とする。
本発明の製造方法により、所望のパターンの凸部を有する押圧部材に有機層を形成し、得られた転写材料を基板の被成膜面に前記有機層が対面するように重ねて加熱及び/又は加圧した後、前記押圧部材を引き剥がすことにより、基板上に所望のパターンの有機層を簡便に形成できるとともに、有機層がパターンの界面で混合しないために発光効率及び耐久性に優れた有機電界発光素子を製造できる。
押圧部材の凸部の最大表面粗さRmax(JIS B0601-1982により規定される)を有機層の0.5倍以下とすることにより、有機層の転写性が向上する。また押圧部材の熱線膨張係数を20 ppm/℃以下にすることにより、高精彩パターニングを行ってもパターンの位置ずれが少なくなる。
[1] 有機電界発光素子の製造方法
本発明の有機電界発光素子の製造方法においては、凸部を有する押圧部材上に有機層を形成し、得られた転写材料を有機層が基板の被成膜面に対面するように基板上に重ねて加圧及び/又は加熱することにより、所望のパターンの有機層を基板上に形成する。
(1) 有機層のパターニング
図1及び図2は、本発明の有機電界発光素子の製造方法により基板上に3色パターンの有機層を形成する方法の一例を示す。図1(a)に示すように、押圧部材10は板状の本体部11と、本体部11上にパターン状に形成された凸部12を有する。有機層に含有される化合物を含む有機層塗布物20を押圧部材10の凸部12側の面にローラコート法により塗布すると、凸部12に有機層塗布物20が付着する(図1(b))。この有機層塗布物20を乾燥することにより、押圧部材10上に有機層13が形成し、第一の転写材料100が得られる(図1(c))。
図2(a)に示すように、基板30の被成膜面31に有機層13を向かい合わせて、位置合わせをし、転写材料100を基板30に重ねて加熱及び/又は加圧する(図2(b))。押圧部材10を引き剥がすと、基板30上にパターニングされた第一の有機層32aが形成する(図2(c))。
それぞれ異なる発色を示す有機層を形成する以外、第一の有機層32aの転写と同様にして、位置合わせをしながら基板30上に第二の有機層32b及び第三の有機層32cを形成すると、三色パターンの有機層32が基板30上に形成する(図2(d))。
真空蒸着法により押圧部材10に有機層13を形成しても良い。図3(a)に示すように、真空蒸着装置は真空槽(ベルジャー)40内に、ターゲットホルダー41を有しており、ターゲットホルダー41は加熱装置(図示せず)に接続されている。ターゲットホルダー41に発光材料を含む蒸着材料21を設置し、凸部12を有する面が蒸着材料21と向き合うように、蒸着材料21から離隔した位置に押圧部材10を設置する。真空槽40内を減圧状態にした後でホルダー41を加熱することにより、蒸着材料21は蒸発して押圧部材10の凸部12側の面に蒸着し、有機層13が形成する(図3(b))。
図4(a)に示すように、有機層13を基板30の被成膜面31に向かい合わせて位置合わせをし、転写材料100を基板30に重ねて、加熱及び/又は加圧する(図4(b))。押圧部材10を引き剥がすと、基板30上に有機層32が転写されている(図4(c))。有機層13は押圧部材10の凸部12のみならず凸部12の一面に形成しているが、転写材料100を基板30に重ねると、凸部12に形成された有機層13のみが被成膜面31に接触し、被成膜面31に転写されるので、被成膜面31にパターニングされた有機層32が形成する。
(2) 剥離転写法
剥離転写法は、転写材料を加熱及び/又は加圧することにより有機層を軟化させて、基板の被成膜面に接着させた後、押圧部材を剥離することにより、有機層だけを被成膜面に残留させる方法(転写方法)である。
図5は、転写材料101の有機層101aを基板30に転写する方法の一例を示す。この例では、転写材料101はロール状であり、外面に有機層101aを有している。基板30は、転写材料101と加熱ローラ50に挟まれており、被成膜面31が転写材料101に対面している。加熱ローラ50によって基板30を加熱しながら、転写材料101とローラ50との間を基板30が通過するようにすると、転写材料101のパターニングされた有機層101aが基板30に転写される。
図6は、シート状の転写材料102の有機層102aを基板30に転写する方法を示す。転写材料102は一対のローラ51,51により支持されており、転写材料102の外面には有機層102aが形成されている。基板30と転写材料102は、加熱ローラ50及びローラ51に挟まれており、基板30の被成膜面31と転写材料102の有機層102aとが対面している。加熱ローラ50によって基板30を加熱しながら、基板30と転写材料102が加熱ローラ50とローラ51との間を通過するようにすると、転写材料102の有機層102aが基板30に転写される。
有機層を転写するために加える圧力は特に限定的でなく、有機層の材質や加圧部材によって変更することができるが0〜10 t/cm2が好ましく、0〜5 t/cm2がより好ましく、0〜2t/cm2が特に好ましい。ただし転写用の圧力の好ましい範囲は、加圧部材、転写材料及び基板の耐圧性に関係しており、これらの耐圧性が向上すればそれにともなって変化する。転写材料の加圧に当たっては、同時に加熱するのが好ましい。
転写材料の加熱方法としては、一般的な方法を用いることができ、例えばラミネータ、赤外線ヒータ、熱ヘッド、熱板、プレス機等を用いることができる。ラミネータとしては、例えばファーストラミネータVA-400III(大成ラミネータ(株)製)や、熱転写プリント用の熱ヘッド、熱板プレス機等を用いることができる。転写用の温度は特に限定的でなく、有機層の材質や加熱部材によって変更することができるが、40〜250℃が好ましく、50〜200℃がより好ましく、60〜180℃が特に好ましい。ただし転写用の温度の好ましい範囲は、加熱部材、転写材料及び基板の耐熱性に関係しており、耐熱性が向上すればそれにともなって変化する。2種以上の転写材料を使用する場合には、最初の転写温度が次の転写温度以上であるのが好ましく、2種以上の有機層を有する転写材料を使用する場合には、最初に転写する有機層の転写温度が次に転写する有機層の転写温度以上であるのが好ましい。
有機層又はその高分子成分のガラス転移温度又は流動開始温度が40℃以上で、かつ転写温度+40℃以下であるのが好ましい。また転写する2種以上の有機層は少なくとも1種の共通成分を含有してもよい。
転写前に、基板及び/又は転写材料を予熱してもよい。基板及び/又は転写材料の予熱温度は30℃以上で、かつ転写温度+20℃以下であるのが好ましい。また押圧部材を引き剥がす時の温度は−50℃以上で、かつ転写温度以下であるのが好ましい。押圧部材を剥離した後で転写された有機層を再度加熱及び/又は加圧してもよい。
有機層が基板の被成膜面に対面するように転写材料を基板に重ねる際に、転写材料の基板に対する進入角度を高くするほうが気泡等の巻込みが少ないので好ましい。また押圧部材を基板上に転写された有機層から引き剥がす際に、押圧部材の有機層に対する剥離角度を大きくするのが好ましい。
転写材料及び/又は基板は連続ウエブであるのが好ましい。有機電界発光素子の製造に使用する転写材料は、押圧部材上に有機層を形成してなり、1つの押圧部材に同一又は異なる組成の2種以上の有機層が面順次に形成されていてもよい。
有機層は少なくとも発光性有機化合物又はキャリア輸送性有機化合物を有するのが好ましい。転写・剥離工程を繰返し行い、複数の有機層を基板上に積層することもできる。複数の有機層は同一の組成であっても異なっていてもよい。同一組成の場合、転写不良や剥離不良による層の抜けを防止することができるという利点がある。また異なる層を設ける場合、機能を分離して発光効率を向上する設計とすることができ、例えば、本発明の転写法により被成膜面に、透明導電層/発光性有機層/電子輸送性有機層/電子注入層/背面電極、透明導電層/ホール注入層/ホール輸送性有機層/発光性有機層/電子輸送性有機層/電子注入層/背面電極をこの順、又は、逆の順に積層することができる。
基板に転写した有機層に対して、あるいは先に転写した有機層に転写した新たな有機層に対して、必要に応じて再加熱及び/又は再加圧するのが好ましい。再加熱及び/又は再加圧により有機層は基板又は先に転写した有機層にいっそう密着する。再加熱温度は転写温度±50℃の範囲であるのが好ましい。再加圧時の圧力は先の加圧時の±100%の範囲とするのが好ましい。
転写層が次の転写層に逆転写されないように、先の転写工程と次の転写工程の間で、被成膜面に密着力を向上するような表面処理を施してもよい。このような表面処理としては、例えばコロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、プラズマ処理等の活性化処理が挙げられる。表面処理を併用する場合、逆転写しなければ、先の転写材料の転写温度が次の転写材料の転写温度未満であってもよい。
有機電界発光素子の製造装置は、押圧部材上に湿式法等により有機層を形成した転写材料を送給する装置と、転写材料を加熱及び/又は加圧しながら基板の被成膜面に押し当てることにより、有機層を基板の被成膜面に転写する装置と、転写後に押圧部材を有機層から引き剥がす装置とを有する装置を用いることができる。
有機電界発光素子の製造装置は、転写装置に送給する前に転写材料及び/又は基板を予熱する手段を有するのが好ましい。また転写装置の後段に冷却装置を有してもよい。
転写装置の前面には、転写材料の基板に対する進入角度を高くする進入角度調整部を設けてもよく、また転写装置又は冷却装置の後面には、押圧部材の有機層に対する剥離角度を高くする剥離角度調整部を設けてもよい。
有機電界発光素子の製造法・装置についての詳細は、特開2002-260854号や特願2001-089663号等に記載されている。
[2] 転写材料
以下転写材料の構成及び内容について説明する。
(1) 構成
有機層は押圧部材上に少なくとも一層を作製する。複数の有機層を転写する場合、各有機層は、個々独立した転写材料の有機層として作製してもよいし、面順次に設けても良い。すなわち、進行方法順に複数の有機層を一枚の押圧部材上に設けても良い。この面順次の転写材料を使用すれば、転写材料の交換の必要なしに、複数の有機層を連続的に形成することができる。
また押圧部材上に2層以上の有機層を予め積層した転写材料を使用すれば、1回の転写工程で基板の被成膜面に多層膜を積層することができる。押圧部材上に2層以上の有機層を予め積層する場合、積層される各有機層の界面が均一でないと正孔や電子の移動にムラが生じてしまうので、界面を均一にするために成膜法を慎重に選ぶ必要がある。押圧部材上に有機層を成膜する法としては、薄膜が形成できれば特に限定することはなく、湿式法であってもよく、蒸着法等の乾式法であってもよい。
(2) 押圧部材
転写面の全面を均一に押圧できる押圧部材は透明又は不透明のいずれのものも用いることができる。但し、多色のために押圧部材側から観察して位置を合わせる場合、散乱、減衰を抑えるため無色透明であることが好ましい。また可撓性を有しない材料からなるのが好ましい。押圧部材の材料は必要な物性を満足すれば特に限定されない。具体的には、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等からなる無機材料シート、アルミニウム、銅、ステンレス、金、銀等からなる金属箔、ポリイミド、液晶性ポリマー、フッ素樹脂[例えば4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)等]、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)、硬質塩化ビニル等からなるプラスチックシート、これらの積層体等が挙げられる。中でも加工のしやすさやコストの点からガラス板、ステンレス箔、ポリイミドシート、ポリカーボネートシート等が好ましい。
(a) 本体部
図7は、単色パターニングのための押圧部材10の一例を示す。図7(a)及び(b)に示すように、押圧部材10は板状の本体部11を有し、本体部11上に複数の凸部12が形成されている。凸部12は、転写する有機層が所望のパターンとなるように配置されている。この例では、凸部12は断面長方形であるが、本発明はこれに限定されず、凸部12の断面が正方形又は台形であっても良い。凸部12の高さは0.5〜50μmであるのが好ましい。凸部12の高さが0.5μm未満であると、パターン以外の部分まで有機層が転写されてしまうおそれがある。凸部12の高さが50μm超であると、凸部12が折れ易くなり過ぎるので好ましくない。
押圧部材10の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、作製する有機電界発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、ロール状、板状又はシート状である。
押圧部材凸部の上面の最大表面粗さRmax(JIS B0601-1982により規定される。)は、凸部上に形成する有機層の膜厚の0.5倍以下であるのが好ましく、0.25倍以下であるのがより好ましく、0.01〜0.1倍であるのが特に好ましい。最大表面粗さRmaxが0.5倍を超えると、転写した有機層の接合界面が密着せず、電流が短絡することにより有機電界発光素子の発光不良を生じるので好ましくない。
JIS B0601-1982で規定される最大表面粗さRmaxとは、図9に示すように断面曲線から基準長さの部分を抜き取り、その抜き取り部分の平均線に平行な二本の直線(山頂線と谷底線)で抜き取り部分を挟んだ時に、この二本の直線の縦方向(Z軸方向)の間隔を言う。最大表面粗さRmaxを測定する方法としては、原子間力顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、触針法、光学顕微干渉法、多重干渉法、光切断法等が挙げられるが、原子間力顕微鏡法及び共焦点顕微鏡法を用いるのが好ましい。
押圧部材本体部は熱線膨張係数が20 ppm/℃以下の物質からなるのが好ましい。熱膨張係数は、一定速度で加熱及び/又は加圧した時の試料の長さの変化により測定され、主にTMA法により測定される。熱線膨張係数が20 ppm/℃より大きいと、多色の有機層をパターニングするために加熱転写と冷却を繰り返す際に、パターンの位置ずれが生じる原因となる。
押圧部材は透明であっても不透明であっても良いが、透明であるのが好ましく、無色透明であるのがより好ましい。押圧部材が無色透明であると、押圧部材側から観察してパターンの位置合わせをすることができる。
押圧部材本体部の材料としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、アルミニウム、銅、ステンレス、金、銀等の金属、ポリイミド、液晶性ポリマ−、フッ素樹脂[例えば四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)]、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)、硬質塩化ビニル等の有機材料及びこれらの積層体を挙げることができる。この中でも、加工のし易さやコストの点からガラスやステンレス、ポリイミド及びポリカーボネートが好ましい。
押圧部材の厚さは特に限定されず、有機層を転写する圧力や温度に合わせて好ましい範囲が決まる。一般的には厚さが5μm〜5mであるのが好ましく、10μm〜5mであるのがより好ましく、25μm〜5mであるのが特に好ましい。押圧部材の厚さが5μmより小さいと、凸部が形成されていない部分の厚みが小さすぎるため、転写時の圧力により押圧部材が歪み、凸部以外の部分まで有機層が転写されてしまうために、所定パターン形状が得られないという問題を生じる。厚さを5mより大きくしても、製造機械が大きくなるだけである。
(b) 平滑化層
押圧部材10の凸部12側に、平滑化層14を設けてもよい。図8に示すように、平滑化層14は押圧部材10の凸部12側の面に均一に形成されている。平滑化層の厚さは、0.05〜50μmであるのが好ましく、0.1〜20μmであるのがより好ましく、0.5〜10μmであるのが特に好ましい。平滑化層が50μmより厚いと、柔軟性が小さすぎるためにクラックが入りやすく、0.05μmより薄いと、平滑化層を形成する面の平滑性が十分に得られない。
押圧部材本体部が熱線膨張係数20 ppm/℃以下の物質からなる場合、平滑化層も熱線膨張係数20 ppm/℃以下の物質からなるのが好ましい。熱線膨張係数が20 ppm/℃より大きいと、加熱時に平滑化層が本体部から剥がれ易くなり過ぎる。熱線膨張係数が20 ppm以下のプラスチック材料としては、ポリイミドや液晶ポリマーが好ましい。これらのプラスチック材料の詳細は「プラスチック・データブック」(旭化成アミダス(株)「プラスチック」編集部編)等に記載されている。
平滑化層は有機化合物、無機酸化物又は無機窒化物からなっているのが好ましい。有機化合物からなる平滑化層を形成する場合、複数の官能基を有する単量体、オリゴマー又は高分子量体であって、分子鎖の末端あるいは側鎖にアクリレート基を有するポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエーテル、ポリカーボネートのプレポリマーの溶液等を押圧部材の凸部側に塗布し、プレポリマーを重合させるのが好ましい。なかでもアクリレート基を有するポリエステル(ペンタエリスリトールアクリレート等)、アクリレート基を有するポリウレタン(新中村化学(株)の商品名、NKエステルU−108A、U−1001BA)が特に好ましい。
平滑化層を形成する有機化合物としては、硬化性有機化合物が好ましい。硬化性有機化合物としては、熱硬化性有機化合物、紫外線硬化性有機化合物、電子線硬化性有機化合物が挙げられる。例えば押圧部材の凸部側に、硬化性有機化合物のモノマー溶液を塗布し、塗布したモノマーを重合させることにより、硬化性ポリマーからなる平滑化層を形成することができる。
モノマー溶液の塗布方法としては、ダブルロールコータ、スリットコータ、エアナイフコータ、ワイヤーバーコータ、スライドホッパー、スプレーコーチィング、ブレードコータ、ドクターコータ、スクイズコータ、リバースロールコータ、トランスファーロールコータ、エクストロージョンコータ、カーテンコータ、ダイコータ、グラビアロールによる塗工法、押し出し塗布法、ロール塗布法が挙げられる。
有機化合物を重合及び/又は硬化する方法としては、熱、紫外線、電子線を照射する方法が挙げられる。熱によって重合及び/又は硬化する場合、熱源には熱風ヒータ、セラミックヒータ、電熱板、ホットプレート、熱ヒートローラ、ラミネーター、ホットスタンプ、サーマルヘッド、レーザ等、一般的なものを用いることができる。レーザとしては、アルゴンやクリプトンのようなイオンガスレーザ、銅、金及びカドミウムのような金属蒸気レーザ、ルビーやYAGのような固体レーザ、750〜870 nmの赤外域で放出されるガリウム−ヒ素のような半導体レーザ等が挙げられる。このうち半導体レーザは、小型であり、コスト性、安定性、信頼性、耐久性及び変調の容易さに優れているので有効である。レーザ照射により有機化合物を硬化させる場合、平滑化層にレーザ光を強く吸収する材料を添加しておくのが好ましい。レーザ光吸収性材料にレーザ光を照射することにより、この吸収性材料が光エネルギーを熱エネルギーに変換し、すぐ近くのモノマーにその熱を伝達するため、有機化合物の硬化が促進される。レーザ光吸収性材料からなる層を平滑化層と押圧部材との間に形成しても良い。
電子線照射により重合及び/又は硬化させる場合、透過力、硬化力の面から加速電圧を100〜1000 kVとするのが好ましく、100〜300 kVとするのがより好ましい。またワンパスの吸収線量は、0.5〜20 Mradになるようにすることが好ましい。加速電圧、あるいは電子線照射量がこの範囲より低いと、電子線の透過力が低過ぎて平滑化層の内部まで十分に硬化せず、またこの範囲より大きいとエネルギー効率が悪化するばかりでなく、平滑化層の強度低下や樹脂、添加剤の分解等が起こり易い。電子線加速器としては、エレクトロカーテンシステム、スキャンニングタイプ、ダブルスキャンニングタイプが挙げられる。電子線照射に際して、酸素濃度が高いと電子線硬化性有機化合物の硬化が妨げられる。このため電子線の照射に先立って照射装置内の雰囲気を窒素、ヘリウム、二酸化炭素等の不活性ガスに置換することにより、酸素濃度を600 ppm以下とするのが好ましく、400 ppm以下とするのがより好ましい。
紫外線照射の場合は、80 W/cm以上のランプを用いることが好ましい。ランプとしては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられ、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプもある。
平滑化層はバインダーを含有しても良い。平滑化層は、二層以上からなっていても良い。押圧部材の本体部上に平滑化層を設ける前に、必要により表面処理を施したり、アンダーコート層を設けても良い。これにより、平滑化層の剥れ等を防止し、押圧部材の耐久性を向上することができる。
平滑化層を形成する有機化合物としては、紫外線、電子線及び熱のうち少なくとも一つに付加重合性又は開環重合性を示すものが好ましい。付加重合性を有する化合物としてはエチレン性不飽和結合を有する化合物、開環重合性を有する化合物としてはエポキシ基を有する化合物等が挙げられる。
平滑化層はラジカル重合性有機化合物からなっていても良い。ラジカル重合性有機化合物としては、ウレタンアクリレート系、アクリル系、メタクリル系等が好ましい。カチオン重合の場合、エポキシ基含有のグリシジルエーテル系が好ましい。
(b-1) 硬化性有機化合物
(b-1-1) エチレン性不飽和結合を有する化合物
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、アクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N-ビニル複素環類、アリルエーテル類、アリルエステル類及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらの化合物は、アクリロイル基、メタクリロイル基、エタクリロイル基、アクリルアミド基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基等を含む。上記モノマーは、単独で使用しても二種以上を使用してもよい。
以下、エチレン性不飽和結合を有する化合物のうち、代表的なものを例示するが、平滑化層を形成するものはこれらに限定されない。ポリエステルアクリレート及びポリエステルメタクリレートとしては、アロニックスM-5300、M-5400、M-5500、M-5600、M-5700、M-6100、M-6200、M-6300、M-6500、M-7100、M-8030、M-8060及びM-8100(東亜合成化学工業(株)の商品名)、ビスコート700及びビスコート3700(大阪有機化学工業(株)の商品名)、カヤラッドHX-220及びHX-620(日本化薬(株)の商品名)等が挙げられる。
エポキシアクリレート及びエポキシメタクリレートとしては、NKエステルEA-800及びEPM-800(新中村化学(株)の商品名)、ビスコート600及びビスコート540(大阪有機化学工業(株)の商品名)、フォトマー3016及びフォトマー3082(サンノプコ(株)の商品名)等が挙げられる。
ウレタンアクリレート及びウレタンメタクリレートとしては、アロニックスM-1100、M-1200、M-1210、M-1250、M-1260、M-1300及びM-1310(東亜合成化学工業(株)の商品名)、ビスコート812、ビスコート823及びビスコート832(大阪有機化学工業(株)の商品名)、NKエステルU-4HA、U-108A、U-122A、U-200AX、U-340AX、U-1084A、U-4HA、U-6HA、U-324A、U-A-100、U-401A、U-1301A、U-601BA、U-1001BA、U-423A、U-412TXA、U-423TXA及びU-0108B(新中村化学(株)の商品名)等が挙げられる。
単官能アクリレート及び単官能メタクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2―エチルヘキシルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、2―ヒドロキシエチルアクリレート、2―ヒドロキシエチルメタクリレート、2―ヒドロキシプロピルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、トリシクロデカニルオキシアクリレート、ノニルフェニルオキシエチルアクリレート、1,3―ジオキソランアクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等が挙げられる。この他にエチレンオキシド変性フェノキシ化りん酸アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化りん酸アクリレートが挙げられ、東亜合成化学工業(株)の商品ではアロニックスM-101、アロニックスM-102、アロニックスM-111、アロニックスM-113、アロニックスM-114、アロニックスM-117、アロニックスM-120、アロニックスM-152及びアロニックスM-154等、新中村化学(株)商品ではMKエステルM-20G、MKエステルM-40G、MKエステルM-90G、MKエステルM-230GCB−1、MKエステルSA、MKエステルS、トポレンM、MKエステルAMP-18G、MKエステルAMP-20G、MKエステルAMP-60G、MKエステルAM-90G、MKエステルA-SA、MKエステルLA等が挙げられる。
多官能アクリレート、多官能メタクリレート及び多官能オリゴマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、イソシアヌル酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキシド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキシド変性ジペンタエリスリトールポリアクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ポリオキシアルキレン化ビスフェノールAのジメタクリレート、ポリオキシエチレン化ビスフェノールAのジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5,5−ジヒドロキシメチル−1,3−ジオキサントリアクリレート、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド付加物のトリアクリレート、ジペンタエリスリトールのカプローラクトン付加物のヘキサアクリレート、ヒドロキシポリエーテルのポリアクリレート等があげられる。
その他の多官能アクリレート、多官能メタクリレート及び多官能オリゴマーとしては、東亜合成化学工業(株)の商品ではアロニックスM-210、M-215、M-220、M-230、M-233、M-240、M-245、M-305、M-309、M-310、M-315、M-320、M-325、M-330、M-400、TO-458、TO-747、TO-755、THIC及びTA2、日本化薬(株)の商品ではカヤラッドTC-110S、TC-120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX-220、HX-620、R-551、R-712、R-604、R-167、TPA-320、TPA-330、PET−30、カヤラッドD-310、D-330、カヤラッドDPHA、カヤラッドDPCA-20、DPCA-30、DPCA-60及びDPCA-120、新中村化学(株)の商品ではNKエステル1G、2G、3G、4G、5G、14G、23G、BG、HD、NPG、APG-400、APG-700、A-BPE-4、701A、TMPT、A-TMPT、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMMT、9PG、701、BPE-100、BPE-200、BPE-500、BPE-1300、A-200、A-400、A-600、A-HD、A-NPG、APG-200、A-BPE-10、701-A及びA-BPP-3等が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、上述の化合物の他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドン等が挙げられる。これらのうちポリオールの不飽和エステル類が好ましく、ポリオールの不飽和エステル類としては、例えばエチレンジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アクリロイルモルフォリン等を挙げることができる。これらは、分子内に二個以上の不飽和結合を有していてもよい。
(b-1-2) エポキシ基を有する化合物
エポキシ基を有する化合物としては、エポキシ環を一個又は二個以上有する化合物が挙げられ、例えばグリシジルアクリレートであってもよい。これらの化合物はモノマーの他、オリゴマーや高分子量体であってもよい。
エポキシ基を有する化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。エポキシ基含有のグリシジルエーテルとしては、エポライトM-1230、40E、200E、400E、70P、200P、400P、1500NP、1600、80MF、100MF、4000、3002及びFR-1500(共栄社化学(株)の商品名)等を挙げることができる。
(b-2) 重合開始剤
平滑化層を形成するための硬化性有機化合物のモノマー溶液には、必要に応じて反応開始剤、増感剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤等を加えるのが好ましい。光反応開始剤及び光重合開始剤としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類(ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン等)、ベンゾイン類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾ化合物等を挙げることができる。これらの詳細は「紫外線硬化システム」(1989年、総合技術センター)第63頁〜第147頁に記載されている。好ましい光反応開始剤としては、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類が用いられる。具体的化合物例としては、日本チバガイギー(株)社製イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア1174等が挙げられる。
開環重合用の重合開始剤としては、カチオン重合開始剤を挙げることができる。カチオン重合開始剤の例としては、芳香族オニウム塩、周期表第VIa族元素のスルホニウム塩を挙げることができる。芳香族オニウム塩としては、具体的には、周期表第Va族元素の塩、例えばスルホニウム塩(例えばヘキサフルオロリン酸トリフェニルフェナシルホスホニウム等)、周期表第VIa族元素の塩、例えばスルホニウム塩(例えばテトラフルオロホウ酸トリフェニルスルホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリフェニルホスホニウム、ヘキサフルオロリン酸トリス(4−チオメトキシフェニル)スルホニウム及びヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム等)、及び周期表第VIIa族元素の塩、例えばヨードニウム塩(例えば塩化ジフェニルヨードニウム等)を挙げることができる。このような芳香族オニウム塩をカチオン重合開始剤に用いる場合、モノマーとしてはエポキシ系の化合物が好ましい。エポキシ系の化合物の詳細は、米国特許第4058401号、米国特許第4069055号、米国特許第4101513号及び米国特許第4161478号明細書に記述されている。
周期表第VIa族元素のスルホニウム塩としては、ヘキサフルオロアンチモン酸トリアリールスルホニウムを挙げられる。このような重合開始剤の含有量は、モノマー100重量部あたり0.5〜30重量部が好ましく、特に2〜20重量部が好ましい。モノマー100重量部あたり0.5重量部未満の場合は紫外線を照射したときに硬化速度が極端に遅くなる等の理由で好ましくない。反応開始剤としては、有機化合物であるの好ましい。
(b-3) 硬膜剤
硬化性有機化合物からなる平滑化層は、硬膜剤によって硬化してもよい。有機溶剤系のポリマーを硬化する場合には、特開昭61-199997号及び特開昭58-215398号に記載の硬膜剤を使用できる。水溶性ポリマーの硬化には、米国特許第4678739号明細書、特開昭59-116655号、特開昭62-245261号及び特開昭61-18942号に記載の硬膜剤が適している。具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホールムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N'-エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N-メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素等)、あるいは高分子硬膜剤(特開昭62-234157号に記載)が挙げられる。
(b-4) 添加剤
平滑化層には、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、安定剤、滑剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて加えることができる。硬化性有機化合物のモノマー溶液等の中に、硬化を阻害しても実用上差し支えのない範囲で乾燥剤を用いてもよい。乾燥剤としては特に限定されず、半導体分野で一般的なものを用いることができる。例えばアルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、有機物、有機金属化合物が挙げられる。
平滑化層には塗布助剤、帯電防止、搬送滑剤等の目的で種々の界面活性剤を使用することができる。非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤を用いることができる。これらの具体例は特開昭62-173463号、特開昭62-183457号に記載されている。また、有機フルオロ化合物を含有させてもよい。有機フルオロ化合物の代表例としては、特公昭57-9053号、特開昭61-20944号、特開昭62-135826号に記載されているフッ素系界面活性剤、又はフッ素油等のオイル状フッ素系化合物もしくは四フッ化エチレン樹脂等の固体状フッ素化合物樹脂等の疎水性フッ素化合物が挙げられる。また、ポリエチレンワックス、アミドワックス、シリコン系樹脂の微粉末、フッ素系樹脂の微粉末等の固形あるいはワックス状物質、フッ素系やリン酸エステル系等の界面活性剤、パラフィン系、シリコーン系又はフッ素系のオイル類等、一般的な離型剤がいずれも使用できる。シリコーンオイルとしては、無変性のもの以外にカルボキシ変性、アミノ変性、エポキシ変性、ポリエーテル変性、アルキル変性等の変性シリコーンオイルを単独あるいは2種以上併用して用いることができる。その例としては、信越シリコーン(株)発行の「変性シリコーンオイル」技術資料の6〜18B頁に記載の各種変性シリコーンオイルを挙げることができる。平滑化層に有機溶剤系のバインダーを用いる場合は、このバインダーの架橋剤と反応しうる基(例えばイソシアネートと反応しうる基)を有するアミノ変性シリコーンオイルが、また水溶性バインダー中に乳化分散して用いる場合は、カルボキシ変性シリコーンオイル(例えば信越シリコーン(株)製:商品名X-22-3710)あるいはエポキシ変性シリコーンオイル(例えば信越シリコーン(株)製:商品名KF-100T)が有効である。
(b-5) 無機酸化物及び無機窒化物
無機酸化物及び/又は無機窒化物からなる平滑化層を形成する場合、無機酸化物及び/又は無機窒化物は絶縁性を有するのが好ましい。絶縁性を有する無機酸化物としては、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛、酸化アルミ、酸化チタン、酸化銅等が挙げられる。絶縁性を有する無機窒化物としては、窒化珪素、窒化ゲルマニウム、窒化アルミニウム等が挙げられる。平滑化層はこれらの一種により形成しても良いし、二種以上により形成しても良い。
無機酸化物及び/又は無機窒化物からなる平滑化層の厚みは、10 nm以上10μm以下で有るのが好ましい。10 nmより薄いと絶縁性が低下し、1000 nmより厚いとクラックが生じやすくなり、ピンホールができ絶縁性が低下する。金属酸化物及び/又は金属窒化物からなる平滑化層を成膜する方法は、特に限定されず、蒸着法、スパッタ法、CVD方等の乾式法や、ゾル−ゲル法等の湿式法若しくは金属酸化物及び/又は金属窒化物の粒子を溶剤に分散し塗布する方法をとることができる。
(b-6) バインダー
平滑化層はバインダー樹脂を含んでいてもよい。バインダー樹脂はモノマーと相溶しても非相溶でもよく、一般に膜を形成しうる種々の樹脂を用いることができるが、電極層及び/又は基板表面と接着性の良好な樹脂を用いるのが好ましい。バインダー樹脂は、例えばモノマー100重量部当たり約10〜600重量部の割合で使用するのが好ましい。硬化性有機化合物のモノマー及びバインダー樹脂を溶解又は分散するための溶剤としては、一般的なものを使用できる。
バインダー樹脂としては一般的なものを使用することができ、耐熱性が高いものを使用するのが好ましい。例えばポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリル系樹脂(例えばポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン−2−アクリロニトリル)、ポリビニルピロリドンを初めとするビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂(例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン、ポリフェニレンオキサイド、セルロース系樹脂(例えばメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート水素フタレート、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリアセテート)、ポリビニルアルコール系樹脂(例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の部分ケン化ポリビニルアルコール)、石油系樹脂、ロジン誘導体、クマロン−インデン樹脂、テルペン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン)が挙げられる。水溶性のバインダーを使用する場合、乾燥後に水溶性でなくなる水分散性ポリマーが好ましい。
(3) 押圧部材への有機層の形成
有機層がバインダーとして高分子化合物を含む場合、有機層は湿式法により押圧部材上に形成するのが好ましい。湿式法は、有機層を形成する材料を有機溶剤に溶解し、得られた溶液を押圧部材上に塗布する方法である。塗布法としては、乾燥膜厚200 nm以下の均一な有機層が得られる方法であれば特に制限はなく、スピンコート法、グラビアコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、エクストルージェンコート法、インクジェット塗布法等が挙げられる。中でも、ロールツーロール形式のエクストルージェンコート法が好ましい。
低分子化合物により有機層を形成する場合、有機層の乾燥膜厚が200 nm以下で均一な膜厚分布が得られれば特に制限はなく、塗布法の他、蒸着法も用いることができる。中でも、真空蒸着法が好ましい。
(4) 有機層
有機層は有機電界発光素子を構成する層であり、陽極と陰極に挟まれた層である。有機層はそれぞれの特質から発光性有機層、電子輸送性有機層、ホール輸送性有機層、電子注入層、ホール注入層等が挙げられる。また発色性を向上するための種々の層を挙げることができる。各層に用いる化合物の具体例については、例えば「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊の「有機ELディスプレイ」(テクノタイムズ社)等に記載されている。
有機層自体又はその中の成分のガラス転移温度は40℃以上で、かつ転写温度+40℃以下が好ましく、更に50℃以上で、かつ転写温度+20℃以下が好ましく、特に60℃以上で、かつ転写温度以下が好ましい。また転写材料の有機層自体又はその中の成分の流動開始温度は40℃以上で、かつ転写温度+40℃以下が好ましく、更に50℃以上で、かつ転写温度+20℃以下が好ましく、特に60℃以上で、かつ転写温度以下が好ましい。ガラス転移温度は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定することができる。また流動開始温度は、例えば島津製作所(株)製のフローテスターCFT-500を用いて測定することができる。
(a) 発光性有機層
発光性有機層は少なくとも一種の発光性化合物を含有する。発光性化合物は特に限定的ではなく、蛍光発光性化合物であっても燐光発光性化合物であってもよい。また蛍光発光性化合物及び燐光発光性化合物を同時に用いてもよい。本発明においては、発光輝度及び発光効率の点から燐光発光性化合物を用いるのが好ましい。
蛍光発光性化合物としては、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリデン化合物、金属錯体(8-キノリノール誘導体の金属錯体、希土類錯体等)、高分子発光性化合物(ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等)等が使用できる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
燐光発光性化合物は、好ましくは三重項励起子から発光することができる化合物であり、オルトメタル化錯体及びポルフィリン錯体が好ましい。ポルフィリン錯体の中ではポルフィリン白金錯体が好ましい。燐光発光性化合物は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
本発明でいうオルトメタル化錯体とは、山本明夫著「有機金属化学 基礎と応用」,150頁及び232頁,裳華房社(1982年)、H. Yersin著「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」、71〜77頁及び135〜146頁、Springer-Verlag社(1987年)等に記載されている化合物群の総称である。オルトメタル化錯体を形成する配位子は特に限定されないが、2-フェニルピリジン誘導体、7,8-ベンゾキノリン誘導体、2-(2-チエニル)ピリジン誘導体、2-(1-ナフチル)ピリジン誘導体又は2-フェニルキノリン誘導体であるのが好ましい。これら誘導体は置換基を有してもよい。またこれらのオルトメタル化錯体形成に必須の配位子以外に他の配位子を有していてもよい。オルトメタル化錯体を形成する中心金属としては、遷移金属であればいずれも使用可能であり、本発明ではロジウム、白金、金、イリジウム、ルテニウム、パラジウム等を好ましく用いることができる。このようなオルトメタル化錯体を含む有機化合物層は、発光輝度及び発光効率に優れている。オルトメタル化錯体については、特願2000-254171号に具体例が記載されている。
本発明で用いるオルトメタル化錯体は、Inorg. Chem., 30, 1685, 1991、Inorg. Chem., 27, 3464, 1988、Inorg. Chem., 33, 545, 1994、Inorg. Chim. Acta, 181, 245, 1991、J. Organomet. Chem., 335, 293, 1987、J. Am. Chem. Soc., 107, 1431, 1985等に記載の方法により合成することができる。
発光性有機層中の発光性化合物の含有量は特に制限されないが、例えば0.1〜70質量%であるのが好ましく、1〜20質量%であるのがより好ましい。発光性化合物の含有量が0.1質量%未満であるか又は70質量%を超えると、その効果が十分に発揮されないことがある。
発光性有機層は必要に応じてホスト化合物、ホール輸送材料、電子輸送材料、電気的に不活性なポリマーバインダー等を含有してもよい。なおこれらの材料の機能は1つの化合物により同時に達成できることがある。例えば、カルバゾール誘導体はホスト化合物として機能するのみならず、ホール輸送材料としても機能する。
ホスト化合物とは、その励起状態から発光性化合物へエネルギー移動が起こり、その結果その発光性化合物を発光させる化合物である。その具体例としてはカルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8-キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体、ポリシラン化合物、ポリ(N-ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。ホスト化合物は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。ホスト化合物の発光性有機層における含有率としては0〜99.9質量%が好ましく、さらにこのましくは、0〜99.0質量%である。
ホール輸送材料は、陽極からホールを注入する機能、ホールを輸送する機能、及び陰極から注入された電子を障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特に限定されず、低分子材料であっても高分子材料であってもよい。その具体例としては、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリデン化合物、ポルフィリン化合物、ポリシラン化合物、ポリ(N-ビニルカルバゾール)誘導体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。ホール輸送材料の発光性有機層における含有率としては0〜99.9質量%が好ましく、さらにこのましくは0〜80質量%である。
電子輸送材料は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、及び陽極から注入されたホールを障壁する機能のいずれかを有しているものであれば特に限定されない。その具体例としては、例えばトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8-キノリノール誘導体等の金属錯体、メタロフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾール等を配位子とする金属錯体、アニリン共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。電子輸送材料の発光性有機層における含有率としては0〜99.9質量%が好ましく、さらにこのましくは、0〜80質量%である。
ポリマーバインダーとしては、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール等が使用可能である。これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。ポリマーバインダーを含有する発光性有機層は、湿式成膜法により容易に大面積に塗布形成することができる。
発光性有機層の厚さは10〜200 nmとするのが好ましく、20〜80 nmとするのがより好ましい。厚さが200 nmを超えると駆動電圧が上昇することがある。一方10 nm未満であると有機電界発光素子が短絡することがある。
(b) ホール輸送性有機層
有機電界発光素子は、必要に応じて上記ホール輸送材料からなるホール輸送性有機層を有してよい。ホール輸送性有機層は上記ポリマーバインダーを含有してもよい。ホール輸送性有機層の厚さは10〜200 nmとするのが好ましく、20〜80 nmとするのがより好ましい。厚さが200 nmを超えると駆動電圧が上昇することがあり、10 nm未満であると有機電界発光素子が短絡することがある。
(c) 電子輸送性有機層
有機電界発光素子は、必要に応じて上記電子輸送材料からなる電子輸送性有機層を有してもよい。電子輸送性有機層は上記ポリマーバインダーを含有してもよい。電子輸送性有機層の厚さは10〜200 nmとするのが好ましく、20〜80 nmとするのがより好ましい。厚さが200 nmを超えると駆動電圧が上昇することがあり、10 nm未満であると有機電界発光素子が短絡することがある。
有機層を湿式成膜法により塗布形成する場合、該有機化合物層の材料を溶解して塗布液を調整する際に用いられる溶剤としては、特に制限はなく、前記正孔輸送材、前記オルトメタル化錯体、前記ホスト材、前記ポリマーバインダー等の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、クロロホールム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、n-プロピルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系容剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチローラクトン、炭酸ジエチル等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ−テル系溶剤、ジメチルホールムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
塗布液における固形分量溶剤に対する固形分量は、特に制限されず、その粘度も湿式成膜方法に応じて任意に選択することができる。
複数の有機層の形成する際に、本発明の転写法以外に蒸着法やスパッタ法等の乾式成膜法、ディッピング、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、グラビアコート法等の湿式成膜法、印刷法等を併用することができる。
[3] 有機電界発光素子
(1) 構成
有機電界発光素子の全体構成は、基板上に透明導電層/発光性有機層/背面電極、透明導電層/発光性有機層/電子輸送性有機層/背面電極、透明導電層/ホール輸送性有機層/発光性有機層/電子輸送性有機層/背面電極、透明導電層/ホール輸送性有機層/発光性有機層/背面電極、透明導電層/発光性有機層/電子輸送性有機層/電子注入層/背面電極、透明導電層/ホール注入層/ホール輸送性有機層/発光性有機層/電子輸送性有機層/電子注入層/背面電極等をこの順に積層した構成、これらを逆に積層した構成等であってよい。発光性有機層は蛍光発光性化合物及び/又は燐光発光性化合物を含有し、通常透明導電層から発光が取り出される。各層に用いる化合物の具体例については、例えば「月刊ディスプレイ」1998年10月号別冊の「有機ELディスプレイ」(テクノタイムズ社)等に記載されている。
(2) 基板
基板を形成する材料としては、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性及び加工性に優れ、且つ低通気性及び低吸湿性であれば特に限定されない。具体的には、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、アルミ箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等の金属箔や、ポリイミド、液晶性ポリマ−、フッ素樹脂[例えば四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)]、ポリエチレンナフタレート(PEN))、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)、硬質塩化ビニル等のプラスチックシ−ト、又はこれらの積層体を好ましい例として挙げることができる。
基板の形状、構造、大きさ等は有機電界発光素子の用途及び目的に応じて適宜選択することができる。形状は板状とするのが一般的である。構造は単層構造であっても積層構造であってもよい。基板は単一の部材で形成しても、2以上の部材で形成してもよい。また、基板は、透明又は不透明のいずれのものも用いることができる。但し、後述する透明電極が発光層を含む有機層より支持基板側にある等により発光を支持体側から取り出す場合、散乱、減衰を抑えるため無色透明が好ましい。嗜好に合せて色付けすることもある。
電極を形成して発光素子を作製した際に、電流が短絡しにくい基板として、金属箔の片面又は両面に絶縁層を設けた基板が好ましい。金属箔は特に限定されず、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等の金属箔を用いることができる。中でも加工の容易さ及びコストの観点からアルミ箔又は銅箔が好ましい。絶縁層は特に限定的でなく、例えば無機酸化物や無機窒化物等の無機物や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリイミド等のプラスチックにより形成することができる。
基板はその熱線膨張係数が20 ppm/℃以下であるのが好ましい。熱膨張係数は、一定速度で加熱し、試料の長さの変化を検知する方法で測定され、主にTMA法により測定される。熱線膨張係数が20 ppm/℃より大きいと、貼合せ工程や使用時の熱等で電極や有機層の剥がれの原因となり、耐久性悪化の原因となる。
基板に設けた絶縁層の熱線膨張係数も20 ppm/℃以下であるのが好ましい。熱線膨張係数が20 ppm/℃以下の絶縁層を形成する材料としては、酸化珪素、酸化ゲルマニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化銅等の金属酸化物や、窒化珪素、窒化ゲルマニウム、窒化アルミニウム等の金属窒化物が好ましく、これらを一種又は二種以上を組合せて用いることができる。金属酸化物及び/又は金属窒化物の無機絶縁層の厚さは10〜1000 nmであるのが好ましい。無機絶縁層が10 nmより薄いと絶縁性が低すぎる。また。無機絶縁層が1000 nmより厚いとクラックが生じやすくなり、ピンホールができて絶縁性が低下する。金属酸化物及び/又は金属窒化物の絶縁層を成膜する方法は限定的でなく、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の乾式法や、ゾル−ゲル法等の湿式法、又は金属酸化物及び/又は金属窒化物の粒子を溶剤に分散し塗布する方法等を利用することができる。
熱線膨張係数が20 ppm以下のプラスチック材料としては、特にポリイミドや液晶ポリマーが好ましく用いることができる。これらのプラスチック材料の性質等の詳細については「プラスチック・データブック」(旭化成アミダス(株)「プラスチック」編集部編)等に記載されている。ポリイミド等を絶縁層として用いる場合にはポリイミド等のシートとアルミ箔を積層するのが好ましい。ポリイミド等のシートの厚さは10〜200μmであるのが好ましい。ポリイミド等のシートの厚さが10μmより薄いと積層時のハンドリングが困難になる。またポリイミド等のシートの厚さが200μmより厚いと可撓性が損なわれ、ハンドリングが不便になる。絶縁層は金属箔の片面だけに設けても良いが、両面に設けても良い。両面に設ける場合、両面とも金属酸化物及び/又は金属窒化物であっても良く、また両面ともポリイミドのようなプラスチック絶縁層であっても良い。また一方の片面が金属酸化物及び/又は金属窒化物からなる絶縁層であり、他方の片面がポリイミドシート絶縁層であっても良い。さらに必要によりハードコート層やアンダーコート層を設けても良い。
基板の電極側の面、電極と反対側の面又はその両方に透湿防止層(ガスバリア層)を設けてもよい。透湿防止層を構成する材料としては窒化ケイ素、酸化ケイ素等の無機物を用いるのが好ましい。透湿防止層は高周波スパッタリング法等により成膜できる。また基板には必要に応じてハードコート層やアンダーコート層を設けてもよい。
金属箔からなる基板の片面又は両面に、絶縁層を設けるのが好ましい。金属箔は特に限定されず、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、金箔、銀箔等の金属箔を用いることができる。中でも加工性やコストの観点からアルミニウム箔又は銅箔が好ましい。絶縁層は特に限定的でなく、例えば無機酸化物や無機窒化物等の無機物や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジギリコ−ルカーボネート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリイミド等のプラスチックにより形成することができる。
基板の水分透過率は0.1 g/m2・day以下であるのが好ましく、0.05 g/m2・day以下であるのがより好ましく、0.01 g/m2・day以下であるのが特に好ましい。また、酸素透過率は0.1 ml/m2・day・atm以下であるのが好ましく、0.05 ml/m2・day・atm以下であるのがより好ましく、0.01 ml/m2・day・atm以下であるのが特に好ましい。水分透過率はJISK7129B法に準拠した方法(主としてMOCON法)により測定できる。酸素透過率はJISK7126B法に準拠した方法(主としてMOCON法)により測定できる。このようにすることにより、発光素子内に耐久性悪化の原因となる水分や酸素の侵入を防ぐことが可能となる。
基板の表面は平滑であるのが好ましい。JIS B0601-1982により規定される最大表面粗さRmaxが、有機層の膜厚の0.5倍以下であるのが好ましく、0.25倍以下であるのがより好ましく、0.01〜0.1倍であるのが特に好ましい。0.5倍を超えると転写法による有機層の成膜不良(接合界面の密着不良等)を生じ、性能の不均一(短絡や欠落による発光不良)を発生するので好ましくない。基板の電極側の面に平滑化層を設けてもよい。
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、前記形状としては、板又はシート状である。基板は可撓性であるのが好ましい。
(3) 電極
透明導電層・背面電極のどちらでも陰極又は陽極として用いることができる、いずれかは有機電界発光素子を構成する組成によって決まる。
前記陽極としては、通常、有機化合物層に正孔を供給する陽極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極の中から適宜選択することができる。
前記陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、有機導電性化合物、又はこれらの混合物を好適に挙げられ、仕事関数が4.0 eV以上の材料が好ましい。具体例としては、アンチモンやフッ素等をド−プした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の半導性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質、前記半導性金属酸化物又は金属化合物の分散物、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物等が挙げられる。
前記陽極は例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、等の中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えばITOからなる陽極は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法により形成することができる。また前記陽極の材料として有機導電性化合物を選択する場合、湿式成膜法に従って行うことができる。
前記陽極層のパターニングは、フォトリソグラフィー等による化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザ等による物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねた基板に真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
前記陽極層の厚みとしては、前記材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜50μmであり、50nm〜20μmが好ましい。
前記陽極の抵抗値としては、106Ω/□以下が好ましく、105Ω/□以下がより好ましい。105Ω/□以下の場合、バスライン電極を設置することにより性能の優れた大面積発光素子を得ることができる。
前記陽極は、無色透明であっても、有色透明であっても、不透明であっても良いが、陽極を透明陽極とし、透明陽極側から発光を取り出す場合にその透過率としては60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。この透過率は、分光高度計を用いた方法に従って測定できる。透明陽極としては「透明導電膜の新展開」(沢田豊監修、シーエムシー刊、1999年)等に詳細に記載されている電極も本発明に適用できる。特に耐熱性の低いプラスチック基板を用いる場合は、透明導電層材料としてITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜するのが好ましい。
(4) 陰極
前記陰極としては、通常、前記有機化合物層に電子を注入する陰極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、一般的な電極の中から適宜選択することができる。
前記陰極としては、例えば、金属単体や、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物等が挙げられ、仕事関数が4.5 eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れている点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。アルミニウムを主体とする材料としてはアルミニウム、又はアルミニウムと0.01〜10重量%のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属との合金若しくは混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金等)が挙げられる。
陰極側から光を取り出す場合、透明陰極とは、光に対して実質上透明(観察する時の光量が必要量に達している状態)で有ればよい。前記電子注入性と透明性を両立するためには、薄膜の上記金属層と透明な導電層の2層構造をとることもできる。なお、前記薄膜金属層の材料については、特開平2-15595号、特開平5-121172号に詳述されている。前記薄膜の金属層の厚みは1nm以上50 nm以下であることが好ましい。金属層の厚みが1nm未満であると、均一に薄膜層を成膜することが困難になる。また50 nmより厚いと光に対する透明性が悪くなる。
2層構造をとる場合の透明導電層に用いられる材料としては、導電性、半導性が有り、透明である材料であるならば特に限定されることはない。前記陽極に記載した材料が好適に用いることができ、中でも例えばアンチモンやフッ素等をド−プした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等を挙げることができる。
透明導電層の厚みは30 nm以上500 nm以下であることが好ましい。これより薄いと導電性、半導性が劣り、これより厚いと生産性が悪くなる。
前記陰極の形成法は特に限定されず、一般的な方法に従って行うことができるが、本発明においては真空機器内で行うのが好ましい。例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式の中から前記材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、前記陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。また、有機伝導性材料を用いる場合、湿式成膜法を用いても良い。
陰極のパターニングは、フォトリソグラフィー等による化学的エッチングにより行ってもよいし、レーザ等による物理的エッチングにより行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法により行ってもよい。
前記陰極と前記有機化合物層との間に前記アルカリ金属又は前記アルカリ土類金属のフッ化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。なお、誘電体層は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法により形成することができる。
(4) その他の層
有機電界発光素子を構成する層として、発光性能の劣化を防止するために保護層や封止層を設けるのが好ましい。さらに転写材料においては発光性能に影響しなければ、転写性を向上するために押圧部材と有機層の間に剥離層を設けたり、有機層と被成膜面の間に接着層を設けてもよい。
(a) 保護層
有機電界発光素子は、特開平7-85974号、特開平7-192866号、特開平8-22891号、特開平10-275682号、特開平10-106746号等に記載の保護層を有していてもよい。保護層は有機電界発光素子の最上面に形成する。ここで最上面とは、例えば基板、透明導電層、有機化合物層及び背面電極をこの順に積層する場合には背面電極の外側表面を指し、また例えば基板、背面電極、有機化合物層及び透明導電層をこの順に積層する場合には透明導電層の外側表面を指す。保護層の形状、大きさ、厚さ等は特に限定的でない。保護層の材料としては、水分や酸素等の有機電界発光素子を劣化させ得るものが素子内に侵入又は透過するのを抑制する機能を有しているものであれば特に限定されず、例えば一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、一酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウム等が好ましい。
保護層の形成方法は特に限定されず、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシ法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザCVD法、熱CVD法、コーティング法等が適用できる。
(b) 封止層
有機電界発光素子には水分や酸素の侵入を防止するための封止層を設けるのが好ましい。封止層を形成する材料としては、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとの共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリユリア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン又はジクロロジフルオロエチレンと他のコモノマーとの共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、金属(In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等)、金属酸化物(MgO、SiO、SiO2、Al2O3、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe2O3、Y2O3、TiO2等)、金属フッ化物(MgF2、LiF、AlF3、CaF2等)、液状フッ素化炭素(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等)、液状フッ素化炭素に水分や酸素の吸着剤を分散させたもの等が使用可能である。
外部からの水分や酸素を遮断する目的で、有機化合物層を封止板、封止容器等の封止部材により封止するのが好ましい。封止部材を背面電極側のみに設置しても、発光積層体全体を封止部材で覆ってもよい。有機化合物層を封止でき外部の空気を遮断することができれば、封止部材の形状、大きさ、厚さ等は特に限定されない。封止部材に用いる材料としては、ガラス、ステンレススチール、金属(アルミニウム等)、プラスチック(ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート等)、セラミック等を用いることができる。
封止部材を発光積層体に設置する際には、適宜封止剤(接着剤)を用いてもよい。発光積層体全体を封止部材で覆う場合は、封止剤を用いずに封止部材同士を熱融着してもよい。封止剤としては紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、二液型硬化樹脂等が使用可能である。
さらに封止容器と有機電界発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を挿入してもよい。水分吸収剤は特に限定されず、具体例としては酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化リン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等が挙げられる。不活性液体としてはパラフィン類、流動パラフィン類、フッ素系溶剤(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等)、塩素系溶剤、シリコーンオイル類等を用いることができる。
本発明の有機電界発光素子は、前記陽極と前記陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜40ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光させることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動については、特開平2-148687号、特開平6-301355号、特開平5-29080号、特開平7-134558号、特開平8-234685号、特開平8-241047号、米国特許5828429号、米国特許6023308号、日本特許第2784615号に記載の方法を利用することができる。
本発明を以下の実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
(A) 押圧部材の作製
厚み5mmの白板ガラスを2枚使用し、それぞれの一方の面に異なるパターンの凸部を形成して、図7に示す構造の押圧部材201A、201Bを作製した。高精彩パターン用押圧部材Aの凸部は5μm(高さ)×100μm×100μm、凸部間の間隔は25μmとした。微細パターン用押圧部材Bの凸部は、5μm(高さ)×200μm×100μm、凸部間の間隔は50μmとした。また石英ガラス(厚み4mm)からなる以外、押圧部材201と同様にして押圧部材202A、202Bを作製した。
厚み30μmのアルミニウム箔を2枚使用し、それぞれの一方の面に、押圧部材201と同じ形状の凸部を形成した。各アルミニウム箔の両面に、接着剤を用いてポリイミドシート(厚さ50μm、ユーピレックス50s、宇部興産(株)製)をラミネートして押圧部材本体部を作製した。アロニックスM-450(東亜合成(株)製)に10重量%のイルガキュア651(チバスペシャリティケミカルズ製)を添加して紫外線硬化樹脂液とした。各押圧部材本体部の凸部側の面に、この紫外線硬化樹脂液をバーコータを用いて乾燥膜厚3μmになるように塗布し、5cm離れたところから100 W高圧水銀灯を5分間照射して、押圧部材203A、203Bを得た。
熱硬化樹脂液(EPX-49-10、旭電化工業(株)製)をバーコータで乾燥膜厚1μになるように塗布し、120℃30分間加熱した以外押圧部材203と同様にして、押圧部材204A、204Bを作製した。またスパッタ法で窒化珪素膜(厚み50 nm)を成膜した以外押圧部材203と同様にして、図8に示す構造の押圧部材205A、205Bを作製した。
各アルミニウム箔の両面に、PETからなるシート(厚さ50μm、ルミラーT-60、東レ(株)製)をラミネートした以外、押圧部材203と同様にして、押圧部材206A、206Bを作製した。またPETからなるフィルムに熱硬化樹脂液(EPX-49-10、旭電化工業(株))をバーコータで乾燥膜厚1μmになるように塗布した以外押圧部材206と同様にして、押圧部材207A、207Bを作製した。
凸部の上面の最大表面粗さRmax(JIS B0601-1982により規定される。)以外、押圧部材203の本体部と同様にして押圧部材208A、208Bを作製した。また凸部の上面の最大表面粗さRmax以外201A、201Bと同様にして、PETからなるシート(50μm、ルミラーT-60、東レ(株)製)にパターン状の凸部を形成し、押圧部材209A、209Bを作製した。
各押圧部材の熱線膨張係数(TMA測定、20℃)及び凸部の上面の最大表面粗さRmax(JIS B0601-1982により規定される。)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2005078941
注 (1) PI/Al/PIはアルミニウム箔の両面にポリイミドをラミネートしたものを表す。
(2) PET/Al/PETはアルミニウム箔の両面にポリエチレンテレフタレートをラミネートしたものを表す。
(3) PETはポリエチレンテレフタレートを表す。
(B) 転写材料1001〜1014の作製
(A)で作製した各押圧部材の片面上に、下記組成:
ポリビニルカルバゾール(Mw = 63000、アルドリッチ社製): 40質量部
ポリビニルブチラール(Mw = 140000、積水化学工業(株)製、エスレックBX-5) : 25質量部
トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム錯体(オルトメタル化錯体): 1質量部
ジクロロエタン: 4500質量部
を有する発光性有機層用塗布液を、スピンコータを用いて塗布した。押圧部材上に形成した発光性有機層用塗布液からなる層を室温で乾燥させると、厚さ15 nmの発光性有機層を有する転写材料1001が形成した。転写材料1001〜1014の発光性有機層の厚さ及び押圧部材を表2に示す。
(C) 積層体A(基板/陰極/電子輸送性有機層)の作製
厚み30μmのアルミニウム箔の両面に、接着剤を用いてポリイミド(50μm、ユーピレックス50s、宇部興産(株)製)をラミネートし、この上に開口部の面積が5mm×5mmであるマスクを設置し、膜厚250 nmとなるように蒸着法によりAlを成膜して陰極とした。陰極上に、下記構造を有する電子輸送性有機材料に対しLiFが10重量%となるように各々の材料の蒸着速度を調整し、膜厚36 nmとなるように積層して電子輸送性有機層とした。Al陰極には、アルミニウムのリード線を結線した。
Figure 2005078941
(D) 積層体B(基板/陰極/電子輸送性有機層/発光性有機層)の作製
(C)で作製した積層体Aの電子輸送性有機層と発光性有機層が対面するように、積層体A上に転写材料1001を重ね、加圧力0.3 MPaの一対のローラ(両方が160℃の加熱ローラ)の間を0.1 m/分の速度で通すことにより加熱加圧を行った。次いで転写材料から押圧部材を引き剥がすことにより、陰極上に形成した電子輸送性有機層の上面に発光性有機層を形成し、積層体101Bとした。転写材料1002〜1014の発光性有機層を転写する以外積層体101Bと同様にして、積層体102B〜積層体114Bを作製した。
(E) 積層体C(第二の基板/陽極/ホール輸送性有機層)の作製
白板ガラス〔0.5 mm(厚さ)×2.5 cm×2.5 cm、熱線膨張係数4ppm/℃(TMA測定、20℃)、表面平滑性(JIS B0601-1982より規定される)Rmax 0.5 nm〕を真空チャンバーに入れ、SnO2含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫 = 95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基板の温度250℃、酸素圧1×10-3 Pa)により、白板ガラス基板上に厚さ0.2μmのITO薄膜からなる透明電極を形成した。ITO薄膜の表面抵抗は10Ω/□であった。透明電極(ITO)にアルミニウムのリード線を結線した。透明電極を形成したガラス基板を洗浄容器に入れ、イソプロピルアルコール(IPA)により洗浄した後、酸素プラズマ処理を行った。処理した透明電極の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の水性分散液(BAYER社製、Baytron P:固形分1.3質量%)をスピンコートした後、150℃で2時間真空乾燥し、厚さ100 nmのホール輸送性有機層を形成し、積層体C(第二の基板/陽極/ホール輸送性有機層)を得た。
(F) 有機電界発光素子の作製
発光性有機層がホール輸送性有機層に対面するように、積層体101B(基板/陰極/電子輸送性有機層/発光性有機層)と積層体C(第二の基板/陽極/ホール輸送性有機層)を重ね、加圧力0.3 MPaの一対のローラ(各ローラを160℃に加熱)の間を0.1 m/分の速度で通すことにより有機電界発光素子1を作製した。KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を各有機電界発光素子に印加し、発光の様子を観察した。いずれも充分に発光しており、貼り合せは良好であった。
(G) 評価
各有機電界発光素子の面積2mm2を蛍光顕微鏡で観察し、成膜性及び転写性を評価した。結果を表2に示す。成膜性はムラ等の欠陥が面積の1割未満であったものをA、2割未満のものをB、それ以上のものをCとした。転写性は、発光性有機層が95%以上転写したものをA、80%以上95%未満をB、80%未満をCとした。
発光性有機層の転写を3回行い、得られた積層体Bの面積5mm2を蛍光顕微鏡で観察し、パターン形状の位置ずれの有無を評価した。結果を表2に示す。0.02%未満の位置ずれの場合A、0.1%未満をB、0.1%以上をCとした。
Figure 2005078941

注 (1) 膜厚は、発光性有機層の厚さを表す。
(2) Rmax比は、有機層の厚さに対する押圧部材凸部の上面の最大表面粗さRmaxの比を表す。
本発明の有機電界発光素子はパターン形状の位置ずれが少なく、転写性に優れており、欠陥が少ないことが分かった。
実施例2
(H)に示す通り転写材料を作製した以外、実施例1と同様にして有機電界発光素子21〜34を作製した。
(H) 転写材料の作製
(A)で作製した押圧部材201の凸部側の面に、トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム錯体及び4,4'-N,N'-ジカルバゾールビフェニルを真空蒸着法により共蒸着して、厚さ15 nmの発光性有機層を形成し、転写材料221を作製した。トリス(2−フェニルピリジル)イリジウム錯体の蒸着の速度は0.1 nm/秒とし、4,4'-N,N'-ジカルバゾールビフェニルの蒸着速度は1nm/秒とした。真空蒸着法により発光性有機層を形成した以外、転写材料201〜214とそれぞれ同様にして転写材料222〜234を作製した。転写材料221〜234を蛍光顕微鏡で観察したところ、各発光性有機層は均一に形成していた。
(I) 評価
転写材料221〜234を使用して作製した有機電界発光素子21〜34を(G)と同様にして観察及び評価した。結果を表3に示す。
Figure 2005078941
注 (1) 膜厚は、発光性有機層の厚さを表す。
(2) Rmax比は、有機層の厚さに対する押圧部材凸部の上面の最大表面粗さRmaxの比を表す。
実施例3
下記の通り積層体Dを作製し、積層体Dを積層体Bに貼り合せた以外、実施例1同様にして有機電界発光素子を作製した。
(J) 積層体D(第二の基板/陽極/ホール輸送性有機層)の作製
熱線膨張係数4ppm/℃(TMA測定、20℃)、表面平滑性Rmax (JIS B0601-1982により規定される)が0.5 nmの白板ガラス(0.5 mm(厚さ)×2.5 cm×2.5 cm)を真空チャンバーに入れ、SnO2含有率が10質量%のITOターゲット(インジウム:錫 = 95:5(モル比))を用いて、DCマグネトロンスパッタリング(条件:基板の温度250℃、酸素圧1×10-3 Pa)により、厚さ0.2μmのITO薄膜からなる透明電極を白板ガラス基板上に形成した。ITO薄膜の表面抵抗は10Ω/□であった。透明電極(ITO)にアルミニウムのリード線を結線した。透明電極を形成したガラス基板を洗浄容器に入れ、イソプロピルアルコール(IPA)により洗浄した後、酸素プラズマ処理を行った。処理した透明電極の表面に、下記組成:
下記構造式で表される高分子化合物(PTPDES) :40質量部
Figure 2005078941
下記構造式により表される添加剤(TBPA) :10質量部
Figure 2005078941
ジクロロエタン: 3500質量部
を有するホール輸送性有機層用塗布液をエクストルージョン型塗布機を用いて塗布し、室温で乾燥させることにより、厚さ40 nmのホール輸送性有機層を形成し、積層体Dを得た。
(K) 評価
積層体Dを積層体Bに貼り合せた有機電界発光素子を蛍光顕微鏡で観察したところ、実施例1と同様に、転写性は良好であり、パターンの位置ずれは少なかった。
実施例4
転写材料1002の発光性有機層を下記に示すように積層体Cに転写し、転写した発光性有機層上に蒸着により電子輸送性有機層及び陰極を形成した以外実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(L) 積層体E(第二の基板/陽極/ホール輸送性有機層/発光性有機層)の作製
転写材料1002の発光性有機層を積層体C(第二の基板/陽極/ホール輸送性有機層)のホール輸送性有機層に重ね、転写材料1002の背面に押圧部材を重ね、加圧力0.3 MPaの一対のローラ(各ローラを160℃に加熱)の間を0.1 m/分の速度で通すことにより加熱加圧を行った。次いで転写材料1002から押圧部材を引き剥がすことにより、ホール輸送性有機層の上面にパターニングされた発光性有機層を形成し、積層体Eとした。
(M) 有機電界発光素子の作製
積層体Eの発光性有機層上に、下記構造を有する電子輸送性有機材料を膜厚36nmとなるように蒸着した後で、LiFを膜厚3nmとなるように蒸着した。次にAlを膜厚250 nmとなるように蒸着し、形成した陰極にアルミニウムのリード線を結線して、有機電界発光素子とした。
Figure 2005078941
(N) 評価
得られた有機電界発光素子を蛍光顕微鏡で観察し、実施例1と同様に評価した。この有機電界発光素子の転写性は良好であり、パターンの位置ずれは少なかった。
転写材料を作製する方法の一例を示す図であり、(a)は押圧部材を示し、(b)は塗布液を押圧部材に塗布する工程を示し、(c)は転写材料を示す。 基板に有機層を転写する方法の一例を示す図であり、(a)は転写材料が基板に対面した状態を示し、(b)は基板に転写材料を重ねた状態を示し、(c)は有機層が形成した基板を示す。 転写材料を作製する方法の別の例を示す図であり、(a)は真空槽内に押圧部材及び有機層形成用組成物を設置した状態を示し、(b)は押圧部材の凸部側に有機層が形成した状態を示す。 基板に有機層を転写する方法の別の例を示す図であり、(a)は転写材料と基板とを向かい合わせた状態を示し、(b)は基板に転写材料を重ねた状態を示し、(c)は基板上に有機層が転写した状態を示す。 基板に有機層を剥離転写する方法の一例を示す斜視図である。 基板に有機層を剥離転写する方法の別の例を示す斜視図である。 押圧部材の一例を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)は断面図である。 押圧部材の別の例を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)は断面図である。 押圧部材の凸部上面の最大表面粗さRmaxを示すグラフである。
符号の説明
100、101、102・・・転写材料
10・・・押圧部材
11・・・押圧部材本体部
12・・・押圧部材凸部
13・・・有機層
14・・・平滑化層
20・・・有機層塗布物
21・・・蒸着材料
30・・・基板
31・・・被成膜面
32、32a、32b、32c・・・有機層
40・・・真空槽(ベルジャー)
41・・・ターゲットホルダー
50、51・・・ローラ

Claims (8)

  1. 凸部を有する押圧部材の前記凸部側の面に、少なくとも一層の有機層を有する転写材料を用いて、前記有機層を、一部又は全面に電極を有する第一の基板の電極側に重ねて加圧し、前記押圧部材を引き剥がすことにより前記第一の基板の電極側に前記有機層を転写することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  2. 前記凸部の上面の最大表面荒さRmax(JIS B0601-1982により規定される)が、前記有機層の膜厚の0.5倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  3. 前記凸部の表面と前記有機層との間に平滑化層を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  4. 前記平滑化層は、紫外線硬化性有機化合物、電子線硬化性有機化合物、熱硬化性有機化合物、無機酸化物及び無機窒化物からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項3に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  5. 前記押圧部材が熱線膨張係数が20 ppm/℃以下の材料からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法。
  6. 前記有機層に含有される化合物を含む塗布液を前記押圧部材に塗布する工程、又は前記有機層に含有される化合物を前記押圧部材に真空蒸着する工程により前記転写材料を製造することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法。
  7. 前記第一の基板の電極側に前記有機層を転写した後で、一部又は全面に電極を有する第二の基板の電極面と、前記第一の基板の有機層とを貼り合せることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の有機電界発光素子の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られることを特徴とする有機電界発光素子。
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