JP2005069284A - クランクベアリング - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 このクランクベアリング1は、半円状のアッパベアリング11及びロワベアリング21の組み合わせを通じてクランクジャーナルの支持を実現する。また、アッパベアリング11の内周面15の周方向に同ベアリング11の一方の端面16から他方の端面16まで形成された給油溝13を有するとともに、各ベアリング11,21の端部17,22の内周面15,23にクラッシュリリーフ及び面取り部を有する。そして、アッパベアリング11の端面16における給油溝13の面積を、「0」より大きく、且つクラッシュリリーフと面取り部とクランクジャーナルの外周面とにより囲まれて形成されるリリーフ通路の断面の面積よりも小さく設定した。
【選択図】 図1
Description
半円状の各ベアリングの端部には、拡径部(例えば、クラッシュリリーフとこのクラッシュリリーフに連続して形成された面取り部)が設けられている。
こうした構成のクランクベアリングを備えたエンジンにおいては、潤滑油が給油孔を介して軸受部内(クランクジャーナルとクランクベアリングとの接触部)へ供給される。
なお、本発明にかかる先行技術文献としては、以下に示す特許文献1が挙げられる。
このため、上記クランクベアリングを備えたエンジンにおいては、潤滑系統の油圧の低下が問題となっている。
こうしたクランクベアリングによれば、クランクシャフトを支持した際に上記流通路が形成されないため、油圧の低下が抑制されるようになるものの、次のようなことが懸念される。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ベアリングの合わせ部から流出する潤滑油量を低減する一方で、クランクピンへ供給される潤滑油量の不足を回避することのできるクランクベアリングを提供することにある。
請求項1記載の発明は、半円状の第1ベアリング及び第2ベアリングの組み合わせを通じてクランクジャーナルの支持を実現し、前記第1ベアリングの内周面の周方向に該ベアリングの一方の端面から他方の端面まで形成された給油溝を有するとともに、前記各ベアリングの端部の内周面に拡径部を有するクランクベアリングにおいて、前記第1ベアリングの端面における給油溝の面積(イ)と、前記第1ベアリングの端面以外における給油溝の断面の面積(ロ)とを以下の関係
(ロ)>(イ)>0
に設定したことを要旨としている。
(ハ)>(イ)>0
に設定したことを要旨としている。
(ロ)>(ハ)>(イ)>0
に設定したことを要旨としている。
本発明の第1実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
<クランクベアリングの構造>
図1及び図2を参照して、クランクベアリング1の構造について説明する。
図2は、クランクベアリング1の正面構造を示す。
クランクベアリング1は、半円状のアッパベアリング11(第1ベアリング)及びロワベアリング21(第2ベアリング)を一組として構成される。
給油孔12は、アッパベアリング11の外周面14と内周面15とを連通する。
給油溝13は、内周面15の周方向に沿って形成されている。また、一方の端面16から他方の端面16まで形成されている。なお、端面16における給油溝13の開口部を開口面13oとする。
クラッシュリリーフ18及び面取り部19は、アッパベアリング11の軸方向に沿って給油溝13から各側面1s(外周面14と内周面15とを接続する円弧状の面)まで形成されている。なお、アッパベアリング11においては、クラッシュリリーフ18及び面取り部19により拡径部が構成されている。
クラッシュリリーフ24及び面取り部26は、ロワベアリング21の軸方向に沿って一方の側面2s(外周面27と内周面23とを接続する円弧状の面)から他方の側面2sまで形成されている。なお、ロワベアリング21においては、クラッシュリリーフ24及び面取り部26により拡径部が構成されている。
<クランクシャフトの軸受構造>
図3〜図5を参照して、クランクシャフトの軸受構造について説明する。
図4は、図3のD−D線に沿ったクランクシャフトの断面構造を示す。
図5は、図4のA部の拡大図を示す。
クランクシャフト4は、以下の各要素を備えて構成される。
[a]クランクシャフト4の回転軸を構成するクランクジャーナル41。
[b]コネクティングロッド32が取り付けられるクランクピン42。
[c]クランクジャーナル41とクランクピン42とを接続するクランクアーム43。
[d]クランクシャフト4の回転バランスをとるためのカウンタウエイト44。
シリンダブロック31及びクランクシャフト4には、クランクジャーナル41の外周面とクランクベアリング1の内周面との間(軸受部)、及びクランクピン42の外周面とコンロッドベアリング45の内周面との間へ潤滑油を供給するための潤滑油供給路が形成されている。この潤滑油通供給路は、以下の各通路から構成されている。
[a]シリンダブロック31に形成されている第1潤滑油通路R1。
[b]クランクジャーナル41に形成されている第2潤滑油通路R2。
[c]クランクジャーナル41からクランクピン42へかけて形成されている第3潤滑油通路R3。
[d]クランクピン42に形成されている第4潤滑油通路R4。
第2潤滑油通路R2は、クランクジャーナル41の軸線L1と垂直に交差してクランクジャーナル41を貫通している。
第4潤滑油通路R4は、クランクピン42の軸線L2と垂直に交差してクランクピン42を貫通している。
図5に示すように、リリーフ通路R5は、クラッシュリリーフ18,24と面取り部19,26とクランクジャーナル41の外周面(クランクジャーナル外周面41o)とにより囲まれて形成されている。リリーフ通路R5は、給油溝13と各側面1s,2sとを接続している。
潤滑油の流通態様について説明する。
エンジン3の潤滑油は、第1潤滑油通路R1を介してクランクジャーナル41の外周面とクランクベアリング1の内周面との間へ流入する。なお、流入した潤滑油の一部は、リリーフ通路R5を介してクランクベアリング1の外部へ流出する。
第2潤滑油通路R2の潤滑油は、第3潤滑油通路R3及び第4潤滑油通路R4を介してクランクピン42の外周面とコンロッドベアリング45の内周面との間へ流入する。
図6を参照して、給油溝13の形状について説明する。
以降では、給油溝13に関する各パラメータを次のように示す。
給油溝13の幅を溝幅Wとする。
給油溝13の断面(クランクベアリング1の軸方向の断面)の面積を溝面積Sとする。
開口面13oにおける給油溝13の深さを開口部溝深さHoとする。
開口面13oにおける給油溝13の幅を開口部溝幅Woとする。
溝深さHと開口部溝深さHoとは同じ大きさに設定されている。即ち、給油溝13の深さは、以下の関係
H=Ho>0
を満たすように設定されている。
W>Wo>0
を満たすように設定されている。給油溝13は、端部17において溝幅Wから開口部溝幅Woとなるようにテーパ状に形成されている(給油溝13の端部17に絞り部13sが設けられている)。
Sr>So>0
を満たすように設定されている。
S>Sr>So>0
を満たすようにも設定されている。
クランクベアリング1を通じて奏せられる作用効果について、以下に示す各クランクベアリングA,B(図7及び図8)との対比に基づいて説明する。
溝深さHと開口部溝深さHoとは同じの大きさに設定されている。即ち、給油溝A1は、以下の関係
H=Ho>0
を満たす形状となっている。
W=Wo>0
を満たす形状となっている。
So>Sr>0
を満たす形状となっている。
本実施形態では、端面16において給油溝13の面積を最も小さくするようにしている。これにより、給油溝13からリリーフ通路R5へ流入する潤滑油量がより減量されるため、油圧低下の抑制の効果が一層高められるようになる。
給油溝B1は、ベアリングBの両端部において閉塞されている(給油溝B1の両端部に閉塞部B2が設けられている)。即ち、給油溝B1は、以下の各関係
H>Ho=0
W>Wo=0
Sr>So=0
を満たす形状となっている。
即ち、第2潤滑油通路R2の開口部が給油溝B1の閉塞部B2と対応する位置にあるとき、コンロッドベアリング45への潤滑油の供給が途切れるため、クランクピン42とコンロッドベアリング45との間の潤滑油が著しく不足するようになる。これにより、ピストンにかかる衝撃荷重が十分に吸収されなくなるため、クランクピン42とコンロッドベアリング45との衝突による打音が生じるようになる。
この点、本実施形態のクランクベアリング1によれば、給油溝13を流通する潤滑油がリリーフ通路R5を介してベアリング1の外部へ流出するため、給油溝B1内への異物の滞留を抑制することができるようになる。
以上詳述したように、この第1実施形態にかかるクランクベアリングによれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(3)また、上記(1)の構成を通じて、オイルポンプの吐出量を小さくすることが可能となるため、エンジン3の出力や燃費の向上を図ることができるようになる。
(7)本実施形態では、端面16において給油溝13の面積を最も小さくするようにしている。これにより、コンロッドベアリング45への潤滑油の供給をより的確に継続することができるようになる。
本発明の第2実施形態について、図9を参照して説明する。
本実施形態のクランクベアリングにおいて、給油溝の形状を除くその他の構成は、前記第1実施形態のクランクベアリング1と同様となっている。
図9を参照して、給油溝13の形状について説明する。
給油溝13の深さは、以下の関係
H>Ho>0
を満たすように設定されている。
給油溝13の幅は、以下の関係
W=Wo>0
を満たすように設定されている。
Sr>So>0
を満たすように設定されている。なお、図9〔C〕においては、網掛けで示した領域の面積が開口部溝面積Soに相当する。
S>Sr>So>0
を満たすようにも設定されている。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図10を参照して説明する。
<クランクベアリングの給油溝の形状>
図10を参照して、給油溝13の形状について説明する。
H>Ho>0
を満たすように設定されている。
給油溝13の幅は、以下の関係
W>Wo>0
を満たすように設定されている。
給油溝13及びリリーフ通路R5の断面積は、以下の関係
Sr>So>0
を満たすように設定されている。なお、図10〔C〕においては、網掛けで示した領域の面積が開口部溝面積Soに相当する。
S>Sr>So>0
を満たすようにも設定されている。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図11を参照して説明する。
<クランクベアリングの給油溝の形状>
図11を参照して、給油溝13の形状について説明する。
H=Ho>0
を満たすように設定されている。
W>Wo>0
を満たすように設定されている。
給油溝13及びリリーフ通路R5の断面積は、以下の関係
Sr>So>0
を満たすように設定されている。なお、図11〔C〕においては、網掛けで示した領域の面積が開口部溝面積Soに相当する。
S>Sr>So>0
を満たすようにも設定されている。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について、図12を参照して説明する。
<クランクベアリングの給油溝の形状>
図12を参照して、給油溝13の形状について説明する。
H>Ho>0
を満たすように設定されている。
給油溝13の幅は、以下の関係
W=Wo>0
を満たすように設定されている。
Sr>So>0
を満たすように設定されている。なお、図12〔C〕においては、網掛けで示した領域の面積が開口部溝面積Soに相当する。
S>Sr>So>0
を満たすようにも設定されている。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について、図13を参照して説明する。
<クランクベアリングの給油溝の形状>
図13を参照して、給油溝13の形状について説明する。
H>Ho>0
を満たすように設定されている。
給油溝13の幅は、以下の関係
W>Wo>0
を満たすように設定されている。
給油溝13及びリリーフ通路R5の断面積は、以下の関係
Sr>So>0
を満たすように設定されている。なお、図13〔C〕においては、網掛けで示した領域の面積が開口部溝面積Soに相当する。
S>Sr>So>0
を満たすようにも設定されている。
(その他の実施形態)
その他、上記各実施形態に共通して変更することが可能な要素を以下に列挙する。
・上記各実施形態において、絞り部13sの周方向の長さLo(給油溝13の断面積が溝面積Sよりも小さい箇所の周方向の長さ)は、例えば、次のように設定することが可能である。即ち、第2潤滑油通路R2の一方の開口部が絞り部13sと連通しているときに、他方の開口部がもう一方の絞り部13sと連通するように設定することができる。
[イ]「リリーフ面積Sr>開口部溝面積So>0」
[ロ]「溝面積S>開口部溝面積So>0」
[ハ]「溝面積S>リリーフ面積Sr>開口部溝面積So>0」
上記[イ]〜[ハ]の条件の少なくとも1つが満たされるように本発明を具体化することもできる。
[a]アッパベアリング及びロワベアリングの端部の内周面に形成されたクラッシュリリーフにより拡径部が構成されるクランクベアリング。
[b]アッパベアリング及びロワベアリングの端部の内周面に形成された面取り部により拡径部が構成されるクランクベアリング。
[い]「半円状のアッパベアリング及びロワベアリング」
[ろ]「アッパベアリングの内周面の周方向において、一方の端面から他方の端面まで形成された給油溝」
[は]「アッパベアリング及びロワベアリングの端部の内周面に形成された拡径部」
上記[い]〜[は]の構成要素を備えたクランクベアリングであれば、いずれのクランクベアリングに対しても本発明を適用することができる。
Claims (8)
- 半円状の第1ベアリング及び第2ベアリングの組み合わせを通じてクランクジャーナルの支持を実現し、前記第1ベアリングの内周面の周方向に該ベアリングの一方の端面から他方の端面まで形成された給油溝を有するとともに、前記各ベアリングの端部の内周面に拡径部を有するクランクベアリングにおいて、
前記第1ベアリングの端面における給油溝の面積(イ)と、前記第1ベアリングの端面以外における給油溝の断面の面積(ロ)とを以下の関係
(ロ)>(イ)>0
に設定した
ことを特徴とするクランクベアリング。 - 半円状の第1ベアリング及び第2ベアリングの組み合わせを通じてクランクジャーナルの支持を実現し、前記第1ベアリングの内周面の周方向に該ベアリングの一方の端面から他方の端面まで形成された給油溝を有するとともに、前記各ベアリングの端部の内周面に拡径部を有するクランクベアリングにおいて、
前記第1ベアリングの端面における給油溝の面積(イ)と、前記拡径部と前記クランクジャーナルの外周面とにより囲まれて形成される通路の断面の面積(ハ)とを以下の関係
(ハ)>(イ)>0
に設定した
ことを特徴とするクランクベアリング。 - 半円状の第1ベアリング及び第2ベアリングの組み合わせを通じてクランクジャーナルの支持を実現し、前記第1ベアリングの内周面の周方向に該ベアリングの一方の端面から他方の端面まで形成された給油溝を有するとともに、前記各ベアリングの端部の内周面に拡径部を有するクランクベアリングにおいて、
前記第1ベアリングの端面における給油溝の面積(イ)と、前記第1ベアリングの端面以外における給油溝の断面の面積(ロ)と、前記拡径部と前記クランクジャーナルの外周面とにより囲まれて形成される通路の断面の面積(ハ)とを以下の関係
(ロ)>(ハ)>(イ)>0
に設定した
ことを特徴とするクランクベアリング。 - 半円状の第1ベアリング及び第2ベアリングの組み合わせを通じてクランクジャーナルの支持を実現し、前記第1ベアリングの内周面の周方向に該ベアリングの一方の端面から他方の端面まで形成された給油溝を有するとともに、前記各ベアリングの端部の内周面に拡径部を有するクランクベアリングにおいて、
前記給油溝に絞りを形成した
ことを特徴とするクランクベアリング。 - 請求項4記載のクランクベアリングにおいて、
前記給油溝の断面の面積が前記第1ベアリングの端面において最小となるように前記絞りを形成した
ことを特徴とするクランクベアリング。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のクランクベアリングにおいて、
前記拡径部は、前記各ベアリングの端部の内周面に形成されたクラッシュリリーフにより構成される
ことを特徴とするクランクベアリング。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のクランクベアリングにおいて、
前記拡径部は、前記各クランクベアリングの端部の内周面に形成された面取り部により構成される
ことを特徴とするクランクベアリング。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のクランクベアリングにおいて、
前記拡径部は、前記各クランクベアリングの端部の内周面に形成されたクラッシュリリーフとこのクラッシュリリーフに連続して形成された面取り部とにより構成される
ことを特徴とするクランクベアリング。
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