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JP2005066906A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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JP2005066906A JP2003296786A JP2003296786A JP2005066906A JP 2005066906 A JP2005066906 A JP 2005066906A JP 2003296786 A JP2003296786 A JP 2003296786A JP 2003296786 A JP2003296786 A JP 2003296786A JP 2005066906 A JP2005066906 A JP 2005066906A
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Abstract

【課題】 バッファタンクの上部に大きい空間を確保しつつインク液面の面積を小さくして、水分の蒸発を抑制すると共に、インク液面を電極から早期に離間させ、インク残量の誤判定を抑制する。
【解決手段】 バッファタンク3の底部は、略階段状に形成されており、インクカートリッジ2内のインクは、インク導入管51によって階段状部の下段側に供給される。上段面部34上方の空間から外気は外気導入管52によってインクカートリッジ2内に導入される。インクIの液面高さは、上段面部34よりも若干低い位置に保たれる。よって、バッファタンク3の上部に大きい空間を確保しつつインクIの液面面積を小さくして、インク液面からの水分の蒸発を抑制する。また、一定量のインク消費に対するインクIの液面高さの降下速度を速くして、インクIの液面を大気導入針52から早期に離間させ、インク液面の揺れによって、インク有無を誤判定する不具合を抑制する。
【選択図】 図3

Description

本発明はインクジェット記録装置に関し、特に、インク容器から導入したインクをバッファタンクに貯留し、そのバッファタンクから印字ヘッドにインクを供給するインクジェット記録装置に関するものである。
インクジェット記録装置には、従来より、インクカートリッジの下方にバッファタンクを設け、これらインクカートリッジとバッファタンクとをインク供給経路および空気導入経路で連通させることにより、インクカートリッジ内のインク残量に関わらず印字ヘッドに作用する背圧を一定に保つと同時に、バッファタンク内においてインク残量を検知するように構成されたものがある。
例えば、特開2002−307711号公報には、インクタンク(インクカートリッジ)とバッファ室(バッファタンク)とを連通し導電性材料から構成される中空のインク供給針および空気導入針と、バッファ室を外部と連通するバッファ室空気連通部とを備えたインクジェット記録装置が記載されている。
このインクジェット記録装置によれば、インク供給針と空気導入針との下端高さに差を設け、印字ヘッドによるインクの消費にともなってバッファ室内のインク液面が下がると、空気導入針から空気がインクタンク内に導入されるとともにインクタンク内のインクがインク供給針をとおってバッファ室に補給されることで、バッファ室内のインク液面高さを一定として、インクタンク内のインク残量に関わらず印字ヘッドに作用する背圧を一定に保つと共に、インク供給針と空気導入針との間の電気抵抗の変化を測定することにより、バッファ室内でインク残量を検知することできる。
なお、このインクジェット記録装置では、急激な温度変化等によりインクタンク内の空気が膨張し、インクタンクからバッファ室へインクが押し出された場合を想定し、バッファ室は、十分な容積を有して構成されている。即ち、バッファ室には、インク液面の上方に十分な容積の空間が形成されており、かかる空間によって、インクタンクから押し出されたインクを収容し、インクが外部へ溢れ出ることを防止している。
特開2002−307711号公報(段落「0055,0056」、図3など)
しかしながら、上述したインクジェット記録装置では、バッファ室内において、インク液面の上方に大きな容積の空間が形成されるため、その分、インク液面の面積が大きくなり、かかるインク液面からの水分蒸発量が多くなるという問題点があった。その結果、長期にわたって放置された場合などには、インク粘度が増加して、印字ヘッドへのインク供給動作やノズルからのインク吐出動作を円滑に行うことができなくなるという問題点があった。
また、インク液面の面積が大きい場合には、一定量のインク消費に対するインク液面高さの降下量が小さくなるため、インク液面が電極(空気導入針)から十分に離間するまでに長期間を要する。そのため、インク供給針と空気導入針との間の電気的導通が一旦遮断したのを検知した後、インク液面の揺れによって、再度、電気的に導通して、インク有りと誤判定するという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、バッファタンクにおけるインク液面の面積を小さくして、水分の蒸発を抑制すると共に、インク液面を電極から早期に離間させ、インク液面の揺れによるインク残量の誤判定を抑制することができるインクジェット記録装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載のインクジェット記録装置は、インクを吐出可能なインク吐出口を有する印字ヘッドと、その印字ヘッドに供給するインクをインク容器から導入して貯留するバッファタンクと、そのバッファタンク内の上部空間を外気に接続する外気接続路と、前記インク容器から前記バッファタンク内の底部近傍にインクを導入するインク導入管と、前記バッファタンク内の上部空間から外気を前記インク容器に導入する外気導入管とを備えたものであり、前記外気導入管の前記バッファタンク内における開口端は、前記インク導入管の前記バッファタンク内における開口端よりも高く位置し、前記バッファタンク内の、前記外気導入管のほぼ前記開口端を通る高さにおける水平断面積は、それよりも上方における水平断面積よりも小さい。
請求項2記載のインクジェット記録装置は、請求項1記載のインクジェット記録装置において、前記インク導入管および外気導入管は、前記バッファタンク内に貯留されるインクと接触可能に配置されると共に、導電性材料から構成されており、それらインク導入管と外気導入管との間の電気的特性に基づいて前記バッファタンク内のインク残量を検出可能に構成されている。
請求項3記載のインクジェット記録装置は、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置において、前記バッファタンク内の底部は、縦断面視において1段の略階段状に形成されると共に、その階段状部の上段は、前記外気導入管の前記バッファタンク内における開口端を通る高さ位置と略同等の高さ位置かそれよりも高い位置とされている。
請求項4記載のインクジェット記録装置は、請求項3記載のインクジェット記録装置において、前記階段状部の上段は、その上面が前記階段状部の下段側へ向けて下降傾斜して構成されている。
請求項5記載のインクジェット記録装置は、請求項3又は4に記載のインクジェット記録装置において、前記階段状部の上段と下段とを連設する立設部は、少なくともその一部が前記上段側から下段側へ向けて下降傾斜して形成されており、その傾斜部においては、前記バッファタンク内の水平断面積が下方へ向かうに従って漸次小さくなるように構成されている。
請求項6記載のインクジェット記録装置は、請求項3から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記立設部は、前記下段側が前記上段側よりも急な傾斜角または略垂直に構成されている。
請求項7記載のインクジェット記録装置は、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置において、前記バッファタンク内を第1室と第2室とに上下に仕切る仕切部材と、その仕切部材に貫設され前記第1室と第2室とを連通する連通路とを備え、前記外気導入管の前記バッファタンク内における開口端は、前記連通路内に配設されている。
請求項8記載のインクジェット記録装置は、請求項7記載のインクジェット記録装置において、前記連通路は、前記仕切板部材に複数が貫設されている。
請求項9記載のインクジェット記録装置は、請求項8記載のインクジェット記録装置において、前記仕切部材は、上面視略矩形状に形成されるものであり、その仕切部材の4隅部の少なくともいずれかの箇所には、前記連通通路が貫設されている。
請求項10記載のインクジェット記録装置は、請求項7から9のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記仕切部材の前記第1室側の面は、少なくとも前記連通路が貫設される部位の近傍がその連通路へ向けて下降傾斜して形成されている。
請求項11記載のインクジェット記録装置は、請求項7から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記仕切部材の前記第2室側の面は、少なくとも前記連通路が貫設される部位の近傍がその連通路へ向けて上昇傾斜して形成されている。
請求項12記載のインクジェット記録装置は、請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット記録装置において、前記バッファタンク内の容積であって、前記外気導入管の前記バッファタンク内における開口端を通る水平面よりも上方の空間の容積は、前記インク容器の全容量の少なくとも略1割以上の容積を有して構成されている。
請求項1記載のインクジェット記録装置によれば、バッファタンク内において、外気導入管のほぼ開口端を通る高さにインク液面を形成することができる。この外気導入管のほぼ開口端を通る高さにおけるバッファタンク内の水平断面積は、それよりも上方における水平断面積よりも小さくされているので、インク液面の面積を小さくして、その分、かかるインク液面からの水分の蒸発を抑制することができるという効果がある。その結果、インクの粘度が増加することを抑制して、印字ヘッドへのインク供給動作やノズルからのインク吐出動作を円滑を行うことができるという効果がある。
また、インク液面の面積は小さくしつつも、そのインク液面の上方には、十分な容積の空間を確保することができるので、急激な温度変化等によりインク容器内の空気が膨張し、インクがバッファタンク内へ押し出された場合でも、かかるインクをバッファタンク内の上部空間に収容して、インクが外部へ溢れ出ることを抑制することができるという効果がある。
請求項2記載のインクジェット記録装置によれば、請求項1記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、インク導入管および外気導入管は、バッファタンク内に貯留されるインクと接触可能に配置されると共に、導電性材料から構成されており、それらインク導入管と外気導入管との間の電気的特性に基づいてバッファタンク内のインク残量を検出可能に構成されている。よって、バッファタンク内のインク残量を検出するための電極を別途設ける必要がなく、部品点数が低減されるので、その分、インクジェット記録装置全体としての製造コストの低減を図ることができるという効果がある。
請求項3記載のインクジェット記録装置によれば、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、バッファタンク内の底部は、縦断面視において1段の略階段状に形成されると共に、その階段状部の上段は、外気導入管のバッファタンク内における開口端を通る高さ位置と略同等の高さ位置かそれよりも高い位置とされているので、バッファタンク内のインクの液面高さを階段状部の上段と略同等の高さ位置かそれよりも低い位置に保つことができる。よって、インク液面の面積を小さくして、その分、かかるインク液面からの水分の蒸発を抑制することができるという効果がある。その結果、インクの粘度が増加することを抑制して、印字ヘッドへのインク供給動作やノズルからのインク吐出動作を円滑を行うことができるという効果がある。
また、バッファタンク内の底部を略階段状に形成することにより、インク液面の面積は小さくしつつも、そのインク液面の上方には、十分な容積の空間を確保することができるので、急激な温度変化等によりインク容器内の空気が膨張し、インクがバッファタンク内へ押し出された場合でも、かかるインクをバッファタンク内の上部空間に収容して、インクが外部へ溢れ出ることを抑制することができるという効果がある。
更に、バッファタンク内の底部を略階段状に形成することにより、インク液面の面積を小さくして、一定量のインク消費に対するインク液面高さの降下速度を速くすることができる。よって、インク導入管と外気導入管との間での電気的特性の変化を検知し、その後のインク液面を電極から早期に離間させることができるので、インク液面の揺れによって、再度、電気的特性が変化して、インク有りと誤判定する不具合を抑制することができるという効果がある。
請求項4記載のインクジェット記録装置によれば、請求項3記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、階段状部の上段は、その上面が階段状部の下段側へ向けて下降傾斜して構成されているので、例えば、インク液面が揺れて、階段状部の上段上面がインクで覆われた場合でも、かかるインクを階段状部の下段側、即ち、インク貯留部へ向けて流下させ、階段状部の上段上面にインクが残留することを抑制することができるという効果がある。その結果、バッファタンク内のインクを無駄なく使用して、その使用効率を向上させることができるという効果がある。
請求項5記載のインクジェット記録装置によれば、請求項3又は4に記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、階段状部の上段と下段とを連設する立設部は、少なくともその一部が上段側から下段側へ向けて下降傾斜して形成されているので、かかる立設部が略垂直に形成される場合と比較して、インク液面高さの降下速度をより速くすることができる。よって、例えば、一対の電極間での電気的特性の変化によりインクの有無を検知する場合には、一定量のインク消費に対するインク液面高さの降下量をより大きくして、インク液面を電極からより早期に離間させることができるので、インク液面の揺れによって、再度、電気的特性が変化して、インク有りと誤判定する不具合をより一層抑制することができるという効果がある。
請求項6記載のインクジェット記録装置によれば、請求項3から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、立設部は、階段状部の下段側が上段側よりも急な傾斜角または略垂直に形成されているので、インク残量が多い場合には、インク液面の降下速度を速くしつつ、インク残量が少なくなった場合には、インク液面の降下速度を遅くすることができる。よって、例えば、インク導入管と外気導入管との間で電気的特性の変化を検知後、ソフトカウンター等によりインク使用量を推定してエンプティー警告を発する場合には、その推定誤差によりインク残量にばらつきが発生しても、インク液面が降下し過ぎることを抑制することができるので、印字ヘッド内に気泡を巻き込んで吐出不良が発生することを未然に防止することができるという効果がある。
請求項7記載のインクジェット記録装置によれば、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、バッファタンク内は、仕切部材により第1室と第2室との上下に仕切られると共に、外気導入管のバッファタンク内における開口端は、第1室と第2室とを連通する連通路内に配設されている。よって、バッファタンク内のインクの液面高さを連通路内に保つことができるので、インク液面の面積を小さくして、その分、かかるインク液面からの水分の蒸発を抑制することができるという効果がある。また、仕切部材の下方には、十分な容積の空間(第2室)を確保することができるので、かかる第2室に十分な容量のインクを貯留して、一定量の水分の蒸発に対する乾燥速度を遅くすることができるという効果がある。その結果、インクの粘度が増加することを抑制して、印字ヘッドへのインク供給動作やノズルからのインク吐出動作を円滑を行うことができるという効果がある。
また、バッファタンク内を仕切部材により仕切ることにより、インク液面の面積は小さくしつつも、そのインク液面の上方には、十分な容積の空間(第1室)を確保することができるので、急激な温度変化等によりインク容器内の空気が膨張し、インクがバッファタンク内へ押し出された場合でも、かかるインクをバッファタンク内の上部空間(第1室)に収容して、インクが外部へ溢れ出ることを抑制することができるという効果がある。
更に、バッファタンク内のインク液面を連通路内に保つことにより、インク液面の面積を小さくして、かかるインク液面高さの降下速度を速くすることができる。よって、インク導入管と外気導入管との間での電気的特性の変化を検知し、その後のインク液面を電極から早期に離間させることができると共に、そのインク液面が一旦第2室まで降下した場合には、連通路内へインクが流入され難くなるので、インク液面の揺れによって、再度、電気的特性が変化して、インク有りと誤判定する不具合を抑制することができるという効果がある。
請求項8記載のインクジェット記録装置によれば、請求項7記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、仕切部材には複数の連通路が貫設されているので、急激な温度変化等によりインク容器内の空気が膨張または収縮し、バッファタンク内のインクが増減する場合には、かかるインクの増減を複数の連通路によってスムーズに行わせることができるという効果がある。
請求項9記載のインクジェット記録装置によれば、請求項8記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、上面視略矩形状に形成された仕切部材には、その4隅部の少なくともいずれかの箇所に連通路が貫設されているので、例えば、バッファタンクが傾いて設置されるような状態で、バッファタンク内のインクが増減する場合でも、そのバッファタンク内の一隅部にインクが残留したり、気泡が残留することを抑制することできるという効果がある。
請求項10記載のインクジェット記録装置によれば、請求項7から9のいずれかに記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、仕切部材の第1室側の面は、少なくとも連通路が貫設される部位の近傍がその連通路へ向けて下降傾斜して形成されているので、かかる傾斜部に沿ってインクを流下させ、仕切部材の上面側にインクが残留することを抑制することできるという効果がある。
請求項11記載のインクジェット記録装置によれば、請求項7から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、仕切部材の第2室側の面は、少なくとも連通路が貫設される部位の近傍がその連通路へ向けて上昇傾斜して形成されているので、かかる傾斜部に沿って気泡を上昇させ、仕切部材の下面側に気泡が残留することを抑制することできるという効果がある。
請求項12記載のインクジェット記録装置によれば、請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット記録装置の奏する効果に加え、バッファタンク内の容積であって、外気導入管のバッファタンク内における開口端を通る水平面よりも上方の空間の容積は、インク容器の全容量の少なくとも略1割以上の容積を有して構成されている。よって、急激な温度変化等によりインク容器内の空気が膨張し、インクがバッファタンク内へ押し出された場合でも、かかるインクをバッファタンク内に収容して、インクが外部へ溢れ出ることを確実に抑制することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施例におけるインクジェット記録装置1を模式的に示した図である。
インクジェット記録装置1は、主に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラーインクがそれぞれ充填された複数のインク容器すなわちインクカートリッジ2と、そのインクカートリッジ2を着脱可能に装着すると共に、インクカートリッジ2からインク導入管51を介して供給されるインクを貯留するバッファタンク3と、そのバッファタンク3から供給チューブ4を介して供給されるインクを印字用紙Pに向けて吐出する印字ヘッド5と、印字ヘッド5が搭載され直線方向に往復動作するキャリッジ6と、このキャリッジ6が往復移動する際のガイドとなるキャリッジ軸7と、印字用紙Pを搬送する搬送機構8と、パージ装置9とを備えている。
インクカートリッジ2は、底部にインク導入管51、外気導入管52を受け入れるための2つの挿入部21,22を有し、それら各挿入部21,22には、インクカートリッジ2の内部を密封状態にする栓23,24が圧縮状態で嵌入されている。これら各栓23,24は、インクカートリッジ2の底部に開口される抽出口25,26を介してインクIと接している。
バッファタンク3には、インクカートリッジ2内に貯留されたインクIを抽出して印字ヘッド5に供給する中空針状のインク導入管51と、そのインク導入管51からインクIが抽出されることに伴って外気をインクカートリッジ2内部に導入する中空針状の外気導入管52とが天井壁を貫通して略平行に突出して配設されている。これらインク導入管51及び外気導入管52の下端は、バッファタンク3内に貯留されたインクにそれぞれ接している。インク導入管51及び外気導入管52は導電性材料で構成され、インクの残量検出のための電極を兼用する。
バッファタンク3にインクカートリッジ2を装着すると、インク導入管51及び外気導入管52の先端が栓23,24をそれぞれ突き刺して進入してインクIと接触する。なお、栓23,24は、ブチルゴム等の弾性材料からなり、インク導入管51及び外気導入管52を突き刺し可能であり、また、上述したように圧縮状態で挿入部21,22に嵌入されているため、抜いた後でも弾性作用によって密閉状態に復元する。
バッファタンク3の上部には、上端が開放された外気接続路31が設けられており、この外気接続路31によって、バッファタンク3内の上部空間が外気に接続されている。また、外気導入管52の下端開口部は、インク導入管51の下端開口部よりも高い位置で開口している。なお、バッファタンク3の詳細構成については、後述する。
図1に示すように、バッファタンク3にインクカートリッジ2が装着された後、印字ヘッド5からインクIが印字用紙Pへ吐出されると、その吐出分のインクIが供給チューブ4を介してバッファタンク3から印字ヘッド5へ供給される。このインクIの供給に伴ってバッファタンク3内のインクの液面高さが降下し、外気導入管52の下端開口部がバッファタンク3内の上部空間中に露出される。その結果、インクカートリッジ2内には、外気が、外気接続路31、バッファタンク3の上部空間を介して、外気導入管52から導入される。
インクカートリッジ2内に外気が導入されると、インクカートリッジ2内のインクが、インク導入管51を介して、バッファタンク3内へ導入される。このバッファタンク3内へのインクの導入により、バッファタンク3内では、インクの液面高さが再び上昇し、外気導入管52の下端開口部がインクに浸積される。その結果、バッファタンク3内のインクIの液面高さは、外気導入管52の下端開口部を通る高さの近傍に保たれる。なお、この定常状態においては、インク導入管51と外気導入管52とは、それぞれインクIと接触する状態とされる。
その後、インクカートリッジ2内のインクIがすべて消費された場合には、次いで、バッファタンク3内のインクIが消費され、そのインクIの液面高さの低下により、外気導入管52がインクIと非接触の状態とされる。なお、インク導入管51の上端開口部は、図1に示すように、インクカートリッジ2内の底部に設けられる抽出口25,26内で開口しているので、インクカートリッジ2内のインクIをほぼ使い切ることができる。
印字ヘッド5には、複数のノズルが設けられており、このノズルからバッファタンク3に貯留されたインクIが吐出される。また、印字動作時には、キャリッジ6が往復移動しながらインクを吐出して印字用紙Pに印字がなされる。
パージ装置9は、印字ヘッド5のノズルを閉塞する高粘度化したインクIやエア(気泡)等を吸引して、良好な吐出状態を回復させるパージ処理を実行する装置であり、印字ヘッド5が印字範囲外に設定されているパージ処理実行位置にある場合に、印字ヘッド5のインク吐出面に当接して該面と密閉空間を形成するパージキャップ10と、インクを吸引する吸引ポンプ(PGポンプ)11とを主に備えている。なお、パージキャップ10は、インク吐出面に対して当接隔離する方向に移動可能に構成されている。
図2は、インクジェット記録装置1の電気的構成を示したブロック図である。インクジェット記録装置1を制御するための制御装置は、本体側制御基板60と、キャリッジ6に搭載されたキャリッジ基板61とを備えており、本体側制御基板60には、1チップ構成のマイクロコンピュータ(CPU)62と、そのCPU62により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM63と、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM64と、イメージメモリ67と、ゲートアレイ(G/A)66とが搭載されている。
演算装置であるCPU62は、ROM63に予め記憶された制御プログラムに従い、各種処理を実行するものである。また、印字タイミング信号およびリセット信号を生成し、各信号を後述のG/A66へ転送する。このCPU62には、パージ装置9のPGポンプ(吸引ポンプ)11を駆動するためのPGポンプ駆動回路68、キャリッジ6を往復動作させるCRモータ69を駆動するためのCRモータ駆動回路70、搬送機構8に備えられ印字用紙Pを搬送する搬送モータ(LFモータ)71を動作させるためのLFモータ駆動回路72、印字用紙Pの先端を検出するペーパセンサ73、キャリッジ6の原点位置を検出する原点センサ74、各種の情報を表示する表示パネルやユーザが印字の指示などを行う複数の操作子などを有する操作パネル75、ニアエンプティを判定する第1電極としてのインク導入管51と第2電極としての外気導入管52との間のインクの電気的特性、例えば抵抗値を検出する検出回路76などがそれぞれ接続されている。これら接続される各デバイスの動作は、このCPU62により制御される。
G/A66は、CPU62から転送される印字タイミング信号と、イメージメモリ67に記憶されている画像データとに基づいて、その画像データを印字用紙に印字するための印字データ(駆動信号)と、その印字データと同期する転送クロックと、ラッチ信号と、基本印字波形信号を生成するためのパラメータ信号と、一定周期で出力される吐出タイミング信号とを出力し、それら各信号を、ヘッドドライバが実装されたキャリッジ基板61へ転送する。
また、G/A66は、コンピュータなどの外部機器からセントロ・インターフェース(I/F)77を介して転送されてくる画像データを、イメージメモリ67に記憶させる。そして、G/A66は、ホストコンピュータなどからI/F77を介して転送されてくるセントロ・データに基づいてセントロ・データ受信割込信号を生成し、その信号をCPU62へ転送する。なお、G/A66とキャリッジ基板61との間で通信される各信号は、両者を接続するハーネスケーブルを介して転送される。上記したCPU62と、ROM63、RAM64及びG/A66とは、バスライン45を介して接続されている。
キャリッジ基板61は、実装されたヘッドドライバ(駆動回路)によって印字ヘッド5を駆動するための基板である。印字ヘッド5とヘッドドライバとは、厚さ50〜150μmのポリイミドフィルムに銅箔配線パターンを形成したフレキシブル配線板により接続されている。このヘッドドライバは、本体側制御基板60に実装されたG/A66を介して制御され、印字モードに合った波形の駆動パルスを各駆動素子に印加するものである。これにより、インクが所定量吐出される。
検出回路76は、電極としても構成されるインク導入管51と外気導入管52とに電圧を印加すると共に、そのインク導入管51と外気導入管52との間の抵抗値を検出する。検出された抵抗値に基づく出力はCPU62に入力され、CPU62は、その入力値に基づいてバッファタンク内のインク残量を検知する。
即ち、定常状態(図1参照)においては、インクIによる導通経路がインク導入管51と外気導入管52との間に形成されるため、インク導入管51と外気導入管52との間には、所定の抵抗値(例えば、略10kΩ〜略20kΩ)が検出されるが、バッファタンク3内のインクIが消費され、インク残量が外気導入管52よりも下方となった場合には、インクIによる導通経路が遮断されるため、上記抵抗値が極めて大きな値(例えば、略10MΩ〜略20MΩ)となる。CPU62は、この抵抗値変化に基づいて、バッファタンク3内のインク残量を検知するのである。
次いで、図3を参照して、バッファタンク3の詳細構成について説明する。図3は、バッファタンク3の縦断面図であり、図中では、インクカートリッジ2や供給チューブ4等が省略して図示されている。
バッファタンク3は、下段面部32、立設面部33及び上段面部34を備えており、こられ各部材32〜34によって、バッファタンク3の底部は、図3に示すように、縦断面視において1段の略階段状に形成されている。2つの導入管51,52は、下段面部32に対向する位置にあり、供給チューブ4は、下段面部32の底に接続している。
上段面部34の高さは外気導入管52の下端開口部を通る高さ位置と略同じか好ましくはそれよりも若干高い位置とされている。そのため、図3に示す定常状態においては、バッファタンク3内のインクIの液面高さを階段状部の上段面部34と略同じかそれよりも若干低い位置に保つことができる。
よって、バッファタンク3は、外気導入管52のほぼ下端開口部を通る高さにおける水平断面積が、上段面部34よりも上方の空間における水平断面積よりも小さくなり、インクIを階段状部の下段側に貯留することで、かかるインクIの液面面積を小さくして、その分、インク液面からの水分の蒸発を抑制することができる。その結果、例えば、インクジェット記録装置1が長期にわたって放置され印字動作が行われなかったような場合でも、インクIの粘度が増加することを抑制して、印字ヘッド5へのインク供給動作やノズルからのインク吐出動作を円滑に行うことができる。
また、バッファタンク3の高さ寸法を低く抑えつつ、上段面部34の上方に十分な容積の空間(以下、「上部空間」と称す。)を形成することができる。よって、雰囲気温度の急激な変化等によりインクカートリッジ2内の空気が膨張し、インクIがバッファタンク3内へ押し出された場合でも、かかるインクIをバッファタンク3内の上部空間に収容して、インクIが外気接続路31から外部へ溢れ出ることを抑制することができる。
ここで、バッファタンク3の上部空間の容積は、インクカートリッジ2から流入するインクIを全て収容し、外部へ溢出することを防止するべく、インクカートリッジ2の全容量の略5%以上の容積を確保することが好ましく、より好ましくは、略10%以上の容積を確保するのが良い。なお、本実施例では、略13%に設定されている。ここで、図4を参照して、インクカートリッジ2から押し出されバッファタンク3内へ流入するインクIの最大流入量について説明する。
図4(a),(b)は、雰囲気温度の変化によりインクカートリッジ2内の空気が膨張する様子を示した模式図である。例えば、全容量V0のインクカートリッジ2(初期空気量が「X」、インクIの残量が「V0−X」)の置かれる雰囲気温度Tが「T0(図4(a)参照)」から「T0+ΔT(図4(b)参照)」まで「ΔT」だけ上昇した場合には、図4(b)に示すように、インクカートリッジ2内の空気が「ΔX」だけ膨張し、その膨張分(「ΔX」)に相当するインクIがインクカートリッジ2内から押し出され、インク導入管51及び外気導入管52を介してバッファタンク3内へ流入する。
図4(c)は、インクカートリッジ2内の初期空気量Xとバッファタンク3内への流入インク量ΔXとの関係を示した図であり、横軸81は、インクカートリッジ2の全容量V0に占める初期空気量Xを示し、縦軸82は、インクカートリッジ2からバッファタンク3へ流入する流入インク量ΔXを示している。
インクカートリッジ2内の空気を理想気体と仮定すると、インクカートリッジ2内の気体の状態に対して、理想気体の状態方程式(PV=nRT)を摘要することができる。なお、Pは圧力、Vは体積、nは物質量、Rは気体定数、Tは絶対温度である。この状態方程式によれば、図4(a),(b)に示す各状態は、PX=nRT0,P(X+ΔX)=nR(T0+ΔT)の2つの式で表すことができ、これら2つの式を連立方程式として解くことにより、ΔX=(ΔT/T0)X(以下、「第1式」と称す。)の関係を導くことができる。
この第1式をグラフ化したものが図4(c)に示す直線83である。但し、直線83は、インクカートリッジ2の置かれる雰囲気温度TがT0=273[K](摂氏0度)からΔT=40[K]だけ上昇した場合における第1式:ΔX=0.147Xを示している。この直線83によれば、例えば、インクカートリッジ2内の初期空気量Xが「0.6V0」である場合(即ち、図4(a)に示すように、インクカートリッジ2の全容量V0の内の略60%を空気が占め、残りの略40%をインクIが占める状態)において、雰囲気温度Tが略40[K]だけ上昇すると、流入インク量ΔXが「0.88V0」となり、インクカートリッジ2の全容量V0の略8.8%に相当する量のインクIがインクカートリッジ2から押し出され、バッファタンク3内へ流入することが分かる。
但し、インクカートリッジ2内のインクIの残量が空気の膨張分(図4(b)の「ΔX」)よりも少ない場合には、そのインクIがすべてインクカートリッジ2内から押し出され、バッファタンク3内へ流入されることになる。よって、この場合には、インクカートリッジ2内のインクIの残量が流入インク量ΔXとなるので、ΔX=V0−X(以下、「第2式」と称す。)の関係を導くことができる。なお、この第2式をグラフ化したものが図4(c)に示す直線84である。
以上より、第1式と第2式との交点を求めることにより、流入インク量ΔXの最大値を得ることができる。図4(c)に示す場合では、インクカートリッジ2内の初期空気量Xが「0.872V0」である場合(即ち、インクカートリッジ2の全容量V0の内の略87.2%を空気が占め、残りの略12.8%をインクIが占める場合)に、インクカートリッジ2内のインクIが全て押し出され、流入インク量ΔXが最大値「0.128V0」となる。従って、バッファタンク3内の上部空間(図3参照)がインクカートリッジ2の全容量V0の略12.8%以上を有する場合には、流入されるインクIを全て収容し、外部に溢出することを防止することができる。
なお、雰囲気温度が初期温度T0=273[K](摂氏0度)からΔT=40[K]だけ上昇する場合を説明したが、例えば、雰囲気温度が初期温度T0=263[K](摂氏−10度)、303[K](摂氏30度)からΔT=40[K]だけ上昇する場合には、流入インク量ΔXの最大値は、それぞれ「0.132V0」、「0.117V0」となる。また、雰囲気温度が初期温度T0=273[K](摂氏0度)からΔT=70[K]だけ上昇する場合には、流入インク量ΔXの最大値は、「0.204V0」となる。
図3に戻って説明する。上述したように、バッファタンク3は、その底部が略階段状に形成され、インクIを階段状部の下段側に貯留することができるので、インクIの液面面積を小さくして、一定量のインク消費に対するインクIの液面高さの降下速度を速くすることができる。よって、インクカートリッジ2内のインクが全て消費された後は、バッファタンク3内のインクIの液面を外気導入管52から早期に離間させることができるので、外気導入管52が一旦インク液面から離れたことを検知し、その後のインク液面の揺れによって、再度、外気導入管52にインクが接触して、インク有りと誤判定する不具合を抑制することができる。
なお、バッファタンク3は、図3に示すように、階段状部の上段面部34が下段面部32側へ向けて下降傾斜して構成されているので、例えば、インクIの液面が揺れて、上段面部34上がインクIで覆われた場合でも、かかるインクIを階段状部の下段面部32側、即ち、インク貯留部へ向けて流下させ、上段面部34上にインクが残留することを抑制することができる。よって、バッファタンク内のインクIを無駄なく使用して、その使用効率を向上させることができる。
次に、図5を参照して第2実施例について説明する。第1実施例のバッファタンク3では、立設面部33が略垂直に立設して構成されていたのに対し、第2実施例のバッファタンク103では、立設面部133の一部が下降傾斜して構成されている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図5は、第2実施例におけるバッファタンク103の縦断面図であり、図中では、インクカートリッジ2や供給チューブ4等が省略して図示されている。バッファタンク103は、立設面部133が傾斜部133aと基部133bとを備えて構成されている。傾斜部133aは、図5に示すように、上段面部34側から下段面部132側へ向けて下降傾斜して形成されているので、この傾斜部133aに沿ってインクIの液面高さが降下する場合には、第1実施例のように立設面部33が傾斜部133aと上段面部34との交点位置から略垂直に形成される場合と比較して、その液面高さの降下速度をより速くすることができる。よって、インク有無の誤判定を一層抑制することができる。
傾斜部133aを外気導入管52と対向する位置まで延長することにより、インクIの液面をその下降にともない外気導入管52から水平方向(図5左方向)にも離間させることができる。その結果、インク液面の揺れによる誤判定をより一層抑制することができる。
次に、図6及び図7を参照して第3実施例について説明する。第3実施例のバッファタンク203では、そのバッファタンク203を仕切部材232で上下の2室に仕切ることにより、インクIの液面面積が小さくなるように構成されている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図6は、第3実施例におけるバッファタンク203の縦断面図であり、図7は、図6のVII−VII線におけるバッファタンク203の水平断面図である。なお、図中では、インクカートリッジ2や供給チューブ4等が省略して図示されている。
バッファタンク203内には、図6及び図7に示すように、所定の厚みを有し上面視略矩形状の仕切部材232が配設されており、この仕切部材232により、バッファタンク203内が第1室R1と第2室R2との上下2室に仕切られている。この仕切部材232には、第1室と第2室とを互いに連通する連通路233,234が貫設されており、インク導入管51の下端開口部は、連通路234を通過しつつ第2室R2内において、外気導入管52の下端開口部は、連通路233内において、それぞれ開口されている。
つまり、バッファタンク203内部空間の、外気導入管52のほぼ下端開口部を通る高さにおける水平断面積が、仕切部材232よりも上方の空間における水平断面積よりも小さくされている。
連通路233,234の内周は、各導入管51,52の外周と、外気の流通を可能にする隙間をもって配設され、また外気導入管52の下端が挿入される連通路233の径および上下方向長さ(即ち、仕切部材232の厚さ)は、外気導入管52及び仕切部材232に製作誤差(許容範囲内の誤差)等があって外気導入管52の下端が連通路233内に位置し、かつ外気導入管52の下端からインクIの液面が所定量離れた後、インクIの液面が所定範囲で揺れても外気導入管52の下端にインクが接触しない大きさに設定される。
よって、図6に示す定常状態においては、バッファタンク203内のインクIの液面高さが連通路内233,234内に保たれるので、かかるインクIの液面面積を極めて小さくすることができ、インク液面からの水分の蒸発を抑制することができる。
また、上述のように、バッファタンク203内のインク液面を連通路233,234内で保つように構成することにより、かかるインクIの液面面積を小さくして、その液面高さの降下速度を極めて速くすることができる。よって、インクカートリッジ2内のインクが全て消費された後は、バッファタンク203内のインクIの液面を外気導入管52から早期に離間させることができ、更に、液面が第2室R2まで一旦降下した場合には、その液面が連通路233,234内へ逆戻りし難くすることができる。従って、インク有無の誤判定を抑制することができる。
更に、仕切部材232の下方に十分な容積の空間(第2室R2)が確保され、かかる第2室R2内に十分なインクIを貯留することができるので、2つの導入管51,52間の電気的導通が遮断された後、ソフトカウンター等によりインクの消費量を推定しつつバッファタンク203内のインクIでさらに印字動作を継続する際、印字できるデータ量に余裕を持たせることができる。
また、バッファタンク203内を仕切部材232によって仕切ることにより、インクIの液面面積を極めて小さくし、且つ、バッファタンク203の高さ寸法も低く抑えつつ、かかるバッファタンク203内のインク液面の上方に十分な容積の空間(第1室R1)を形成することができる。よって、インクカートリッジ2から押し出されたインクIをバッファタンク203内の第1室R1内に確実に収容して、外部に溢出することを抑制することができる。なお、第1室R1の容積は、インクカートリッジ2の全容量の略13%の容積を確保して構成されている。
仕切部材232には、図7に示すように、第1室R1と第2室R2とを連通する連通路235a〜235dが複数箇所(本実施例では4箇所)に貫設されている。そのため、急激な温度変化等によりインクカートリッジ2内の空気が膨張または収縮し、バッファタンク203内のインクIが増減する場合には、かかるインクIの増減を複数の連通路235a〜235dによってスムーズに行わせて、インクIが泡立つことを抑制することができるので、印字ヘッド5内に気泡を巻き込んで吐出不良が発生することを未然に防止することができる。なお、各連通路235a〜235dの直径は、上述した連通路233,234の直径よりも小さくされており、水分の蒸発が抑制されている。
また、これら各連通路233,234は、図7に示すように、上面視略矩形状に形成された仕切部材232の4隅部のそれぞれに貫設されている。よって、例えば、インクジェット記録装置1が水平に設置されず、バッファタンク203内のインク液面が傾いているような場合でも、バッファタンク203内のインクIが増量する際に、気泡が第2室R2内(仕切部材232の下面側)の一隅部に残留したり、或いは、バッファタンク203内のインクIが減量する際に、第1室R1内(仕切部材232の上面側)の一隅部にインクIが残留することを抑制することできる。
なお、仕切部材232の第1室R1側の面は、各連通路233,234,235a〜235dが貫設される部位の近傍が、その各連通路233,234,235a〜235dへ向けて下降傾斜されており、また、仕切部材232の第2室R2側の面は、各連通路233,234,235a〜235dが貫設される部位の近傍が、その各連通路233,234,235a〜235dへ向けて上昇傾斜されている。よって、かかる傾斜部に沿ってインクを流下させ、又は、気泡を上昇させることができるので、仕切部材232の上面側にインクが残留したり、仕切部材232の下面側に気泡が残留することを抑制することできる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
本発明の第1実施例におけるインクジェット記録装置を模式的に示した図である。 インクジェット記録装置の電気的構成を示したブロック図である。 バッファタンクの縦断面図である。 (a),(b)は、雰囲気温度の変化によりインクカートリッジ内の空気が膨張する様子を示した模式図であり、(c)は、初期空気量と流入インク量との関係を示した図でありである。 第2実施例におけるバッファタンクの縦断面図である。 第3実施例におけるバッファタンクの縦断面図である。 図6のVII−VII線におけるバッファタンクの水平断面図である。
符号の説明
1 インクジェット記録装置
2 インクカートリッジ(インク容器)
3,103,203 バッファタンク
5 印字ヘッド
31 外気接続路
51 インク導入管
52 外気導入管
32,132 下段面部(階段状部の下段)
33,133 立設面部(立設部)
133a 傾斜部(立設部の上段側)
133b 基部(立設部の下段側)
34 上段面部(階段状部の上段)
232 仕切部材
233,234 連通路
235a〜235d 連通路
R1 第1室
R2 第2室

Claims (12)

  1. インクを吐出可能なインク吐出口を有する印字ヘッドと、その印字ヘッドに供給するインクをインク容器から導入して貯留するバッファタンクと、そのバッファタンク内の上部空間を外気に接続する外気接続路と、前記インク容器から前記バッファタンク内の底部近傍にインクを導入するインク導入管と、前記バッファタンク内の上部空間から外気を前記インク容器に導入する外気導入管とを備えたインクジェット記録装置において、
    前記外気導入管の前記バッファタンク内における開口端は、前記インク導入管の前記バッファタンク内における開口端よりも高く位置し、
    前記バッファタンク内の、前記外気導入管のほぼ前記開口端を通る高さにおける水平断面積は、それよりも上方における水平断面積よりも小さいことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記インク導入管および外気導入管は、前記バッファタンク内に貯留されるインクと接触可能に配置されると共に、導電性材料から構成されており、
    それらインク導入管と外気導入管との間の電気的特性に基づいて前記バッファタンク内のインク残量を検出可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記バッファタンク内の底部は、縦断面視において1段の略階段状に形成されると共に、その階段状部の上段は、前記外気導入管の前記バッファタンク内における開口端を通る高さ位置と略同等の高さ位置かそれよりも高い位置とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記階段状部の上段は、その上面が前記階段状部の下段側へ向けて下降傾斜して構成されていることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記階段状部の上段と下段とを連設する立設部は、少なくともその一部が前記上段側から下段側へ向けて下降傾斜して形成されており、
    その傾斜部においては、前記バッファタンク内の水平断面積が下方へ向かうに従って漸次小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記立設部は、前記下段側が前記上段側よりも急な傾斜角または略垂直に構成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記バッファタンク内を第1室と第2室とに上下に仕切る仕切部材と、その仕切部材に貫設され前記第1室と第2室とを連通する連通路とを備え、
    前記外気導入管の前記バッファタンク内における開口端は、前記連通路内に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記連通路は、前記仕切板部材に複数が貫設されていることを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記仕切板部材は、上面視略矩形状に形成されるものであり、その仕切部材の4隅部の少なくともいずれかの箇所には、前記連通通路が貫設されていることを特徴とする請求項8記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記仕切板部材の前記第1室側の面は、少なくとも前記連通路が貫設される部位の近傍がその連通路へ向けて下降傾斜して形成されていることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記仕切板部材の前記第2室側の面は、少なくとも前記連通路が貫設される部位の近傍がその連通路へ向けて上昇傾斜して形成されていることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記バッファタンク内の容積であって、前記外気導入管の前記バッファタンク内における開口端を通る水平面よりも上方の空間の容積は、前記インク容器の全容量の少なくとも略1割以上の容積を有して構成されていることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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