JP2005060577A - ラテックス組成物及びその製造方法、並びにこれを用いたアスファルト組成物及びカチオン性アスファルト乳剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】アスファルトに対する優れた相溶性と骨材に対する強固な接着力とを併有するラテックス組成物及びその製造方法、並びにこれを用いたアスファルト組成物及びカチオン性アスファルト乳剤を提供する。
【解決手段】(イ)(A)共役ジエン単位55〜99.99質量%、(B)不飽和カルボン酸単位0.01〜5質量%、(C)芳香族ビニル化合物単位0〜44.99質量%、及び(D)これらと共重合可能な他の不飽和化合物単位0〜40質量%を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックス100質量部(固形分換算)と、(ロ)ノニオン性界面活性剤0.1〜20質量部と、(ハ)カチオン性界面活性剤0.1〜10質量部とを含有するラテックス組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(イ)(A)共役ジエン単位55〜99.99質量%、(B)不飽和カルボン酸単位0.01〜5質量%、(C)芳香族ビニル化合物単位0〜44.99質量%、及び(D)これらと共重合可能な他の不飽和化合物単位0〜40質量%を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックス100質量部(固形分換算)と、(ロ)ノニオン性界面活性剤0.1〜20質量部と、(ハ)カチオン性界面活性剤0.1〜10質量部とを含有するラテックス組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えば、防水施工材、セメント混和材、油展ゴム、特に、道路舗装材の製造に好適に用いることができるラテックス組成物及びその製造方法、並びにこれを用いたアスファルト組成物及びカチオン性アスファルト乳剤に関する。
アスファルトは防水性、防腐性を有することから、従来より、道路舗装材、防水施工材等として利用されてきた。そして、その接着性、耐摩耗性、耐衝撃性、低温特性(例えば、低温伸度)等を改善することを目的として、アスファルトにラテックスを添加し、アスファルトを改質することが行われている。
上記のようなアスファルト改質用途に用いられるラテックス(アスファルト改質剤)としては、例えば、アニオン性のスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスをカチオン性界面活性剤によりカチオン転換したカチオン性ラテックス(例えば、特許文献1〜2参照)、或いは不飽和カルボン酸単位を含む共役ジエン系共重合体をアニオン系界面活性剤で水中に分散させたアニオン性ラテックス(例えば、特許文献3参照)が知られている。
上記カチオン性ラテックスはアスファルト(通常、カチオン性界面活性剤によりカチオン化された形で用いられる)、又はアスファルト乳剤、特にカチオン性アスファルト乳剤との相溶性に優れており、また、上記アニオン性ラテックスは骨材に対する強固な接着力を示すため、いずれもアスファルト改質剤として好適に用いられている。
特公昭48−10615号公報
特公昭48−10939号公報
特許第3336833号公報
しかしながら、近年においては、上記カチオン性ラテックスのアスファルトに対する優れた相溶性と、上記アニオン性ラテックスの骨材に対する強固な接着力とを併有する、より高性能なラテックス(アスファルト改質剤)が切望されている。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、アスファルトに対する優れた相溶性と骨材に対する強固な接着力とを併有するラテックス組成物及びその製造方法、並びにこれを用いたアスファルト組成物及びカチオン性アスファルト乳剤を提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するべく鋭意研究した結果、不飽和カルボン酸単位を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックスと、ノニオン性界面活性剤と、カチオン性界面活性剤とを所定の割合で含有するラテックス組成物によって、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明によれば、(イ)(A)共役ジエン単位55〜99.99質量%、(B)不飽和カルボン酸単位0.01〜5質量%、(C)芳香族ビニル化合物単位0〜44.99質量%、及び(D)これらと共重合可能な他の不飽和化合物単位0〜40質量%を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックス100質量部(固形分換算)と、(ロ)ノニオン性界面活性剤0.1〜20質量部と、(ハ)カチオン性界面活性剤0.1〜10質量部とを含有するラテックス組成物が提供される。
本発明のラテックス組成物は、前記共役ジエン系共重合体が、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が70〜170の共役ジエン系共重合体であるものが好ましい。
本発明のラテックス組成物は、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、及び天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものであってもよい。
本発明のラテックス組成物は、更に、(ニ)ハロゲン化物イオン源0〜10質量部を含有するものであることが好ましく、前記(ニ)ハロゲン化物イオン源が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩酸からなる群より選択される少なくとも1種であるものが更に好ましい。また、本発明のラテックス組成物は、更に、(ホ)増粘剤0〜2質量部を含有するものであることが好ましい。
また、本発明によれば、(I)(イ)(A)共役ジエン単位55〜99.99質量%、(B)不飽和カルボン酸単位0.01〜5質量%、(C)芳香族ビニル化合物単位0〜44.99質量%、及び(D)その他の共重合可能な化合物単位0〜40質量%を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックス100質量部(固形分換算)に対し、(ロ)ノニオン性界面活性剤0.1〜20質量部を添加し、撹拌混合することによってラテックス組成物中間体を製造する工程と、(II)前記ラテックス組成物中間体に対し、(ハ)カチオン性界面活性剤0.1〜10質量部を添加し、撹拌混合することによってラテックス組成物を製造する工程とを備えたラテックス組成物の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、少なくともアスファルトと、ラテックス組成物とを含有するアスファルト組成物であって、前記アスファルト100質量部と、前記ラテックス組成物0.5〜20質量部(固形分換算)とを含有し、かつ、前記ラテックス組成物が、上述した本発明のラテックス組成物であるアスファルト組成物が提供される。
更にまた、少なくともアスファルトと、ラテックス組成物と、水と、カチオン性界面活性剤とを含有し、これらの成分がエマルジョンを形成しているカチオン性アスファルト乳剤であって、前記ラテックス組成物が、上述した本発明のラテックス組成物であるカチオン性アスファルト乳剤が提供される。
本発明のラテックス組成物は、アスファルトに対する優れた相溶性と骨材に対する強固な接着力とを併有するので、タフネス、テナシティが高いアスファルト組成物、動的安定度(耐流動性)が高いアスファルト乳剤を得ることができる。
以下、本発明のラテックス組成物及びその製造方法、並びにこれを用いたアスファルト組成物及びカチオン性アスファルト乳剤の実施の形態について具体的に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「含骨材アスファルト組成物」というときは、少なくともアスファルト、及びラテックス組成物を含有するアスファルト組成物であって、更に骨材を含有するものを意味するものとする。
(1)ラテックス組成物
本発明のラテックス組成物は、不飽和カルボン酸単位を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックスと、ノニオン性界面活性剤と、カチオン性界面活性剤とを所定の割合で含有するラテックス組成物である。
本発明のラテックス組成物は、不飽和カルボン酸単位を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックスと、ノニオン性界面活性剤と、カチオン性界面活性剤とを所定の割合で含有するラテックス組成物である。
このようなラテックス組成物は、共役ジエン系共重合体が不飽和カルボン酸単位を含むため骨材に対する強固な接着力を示すことに加え、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤によってアニオン性ラテックスがカチオン転換されているのでアスファルトとの相溶性にも優れる。即ち、骨材に対する強固な接着力とアスファルト及びアスファルト乳剤、特にカチオン性アスファルト乳剤に対する優れた相溶性とを併有する高性能なラテックス組成物であり、タフネス、テナシティが高いアスファルト組成物、動的安定度(耐流動性)が高いアスファルト乳剤の製造に好適に用いることができる。
(イ)アニオン性ラテックス
本発明におけるアニオン性ラテックスは、(A)共役ジエン単位、及び(B)不飽和カルボン酸単位を必須構成単位とする共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックスである。
本発明におけるアニオン性ラテックスは、(A)共役ジエン単位、及び(B)不飽和カルボン酸単位を必須構成単位とする共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックスである。
(A)共役ジエン単位
本発明における共役ジエン単位を構成する共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、又はクロロプレン等を挙げることができる。
本発明における共役ジエン単位を構成する共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、又はクロロプレン等を挙げることができる。
これらの共役ジエンの中でも、工業的に入手が容易であることに加え、アスファルト改質剤として用いた際に、優れた耐クラック性、耐流動性を発揮する点において、1,3−ブタジエン、イソプレン、又は1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエンが特に好ましい。共役ジエン単位は、これらの共役ジエンの1種又は2種以上によって構成される。
本発明においては、共役ジエン系共重合体中の共役ジエン単位の含有率が55〜99.9質量%であることが必要であり、60〜80質量%であることが好ましい。共役ジエン単位の含有率が上記範囲未満であると、アスファルト組成物の可撓性が低下して、テナシティ(粘結力)や低温伸度等が損なわれるおそれがある点において好ましくない。
一方、上記範囲を超えると、ラテックスの機械的安定性、アスファルトに対する分散・溶解性、アスファルト組成物のタフネス(骨材に対する把握力)、含骨材アスファルト組成物の動的安定性(耐流動性)等が低下するおそれがある点において好ましくない。より具体的には、ラテックスの機械的安定性が低下すると、ポンプ送液の際に凝集物が発生し易いという問題があり、含骨材アスファルト組成物の動的安定性(耐流動性)が低下すると、道路舗装材として用いた際に「わだち掘れ」が発生し易いという問題がある。
なお、本明細書に言う「機械的安定性」は、JIS K6387に記載の方法に準拠し、マロン式試験機を用いて評価することができる。また、本明細書に言う「タフネス」、「テナシティ」は、「舗装試験法便覧」(昭和63年11月10日、(社)日本道路協会発行)に記載の方法に準拠して評価することができる。
(B)不飽和カルボン酸単位
本発明における不飽和カルボン酸単位を構成する不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、又はメサコン酸等を挙げることができるが、中でも、アクリル酸、メタクリル酸、又はマレイン酸が特に好ましい。
本発明における不飽和カルボン酸単位を構成する不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、又はメサコン酸等を挙げることができるが、中でも、アクリル酸、メタクリル酸、又はマレイン酸が特に好ましい。
不飽和カルボン酸単位は、上記の不飽和カルボン酸のアルカリ金属塩によって構成されていてもよい。アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、又はカリウム等を挙げることができる。不飽和カルボン酸単位は、これらの不飽和カルボン酸又はそのアルカリ金属塩の1種又は2種以上によって構成される。
本発明においては、共役ジエン系共重合体中の不飽和カルボン酸単位の含有率が0.01〜5質量%であることが必要であり、0.05〜2質量%であることが好ましい。不飽和カルボン酸単位の含有率が上記範囲未満であると、ラテックスの機械的安定性、アスファルトに対する分散・溶解性、アスファルト組成物のテナシティやタフネス、含骨材アスファルト組成物の動的安定性等が低下するおそれがある点において好ましくない。
一方、上記範囲を超えると、ラテックスの粘度が上昇しハンドリングが困難となることに加え、アスファルトに対する分散・溶解性、アスファルト組成物のテナシティやタフネス、含骨材アスファルト組成物の動的安定性等が低下するおそれがある点において好ましくない。
本発明における共役ジエン系共重合体は、(A)共役ジエン単位、及び(B)不飽和カルボン酸単位を必須構成単位とするものであるが、他の構成単位、例えば、(C)芳香族ビニル化合物単位や(D)その他の不飽和単量体単位を含むものであってもよい。
(C)芳香族ビニル化合物単位
本発明における芳香族ビニル化合物単位を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、又はビニルピリジン等を挙げることができる。
本発明における芳香族ビニル化合物単位を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノスチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、又はビニルピリジン等を挙げることができる。
これらの芳香族ビニル化合物の中でも、スチレン、又はα−メチルスチレンが特に好ましい。芳香族ビニル化合物単位は、これらの芳香族ビニル化合物の1種又は2種以上によって構成される。
本発明においては、共役ジエン系共重合体中の芳香族ビニル化合物単位の含有率が0〜44.99質量%であることが必要であり、15〜40質量%であることが好ましい。芳香族ビニル化合物単位の含有率が上記範囲未満であると、アスファルトに対する相溶性が悪化するおそれがある点において好ましくない。
一方、上記範囲を超えると、アスファルト組成物の可撓性が低下して、テナシティ(粘結力)や低温伸度等が損なわれるおそれがある点において好ましくない。
(D)その他の不飽和単量体単位
本発明における「その他の不飽和単量体単位」を構成する不飽和単量体としては、上記の共役ジエン、不飽和カルボン酸、又は芳香族ビニル化合物と共重合可能な不飽和単量体であれば特に限定されるものではない。
本発明における「その他の不飽和単量体単位」を構成する不飽和単量体としては、上記の共役ジエン、不飽和カルボン酸、又は芳香族ビニル化合物と共重合可能な不飽和単量体であれば特に限定されるものではない。
例えば、i)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートをはじめとする(メタ)アクリル酸エステル類、ii)(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、マレイミドをはじめとする不飽和アミド、又は不飽和イミド類、iii)(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデンをはじめとするシアン化ビニル化合物等が挙げられる。
「その他の不飽和単量体単位」は、上記の不飽和単量体の1種又は2種以上によって構成される。本発明においては、共役ジエン系共重合体中の「その他の不飽和単量体単位」の含有率が0〜40質量%であることが必要であり、1〜10質量%であることが好ましい。「その他の不飽和単量体単位」の含有率が上記範囲未満であると、ラテックスの機械的安定性が悪化するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、アスファルトに対する相溶性が悪化するおそれがある点において好ましくない。
本発明における共役ジエン系共重合体は、固形ゴムとした際のムーニー粘度(ML1+4,100℃)が70〜170の共役ジエン系共重合体であるものが好ましく、80〜150の共役ジエン系共重合体であるものが更に好ましい。ムーニー粘度が上記範囲未満であると、アスファルトに対する相溶性が悪化するおそれがある点において好ましくない。一方、上記範囲を超えると、骨材に対する接着力が低下するおそれがある点において好ましくない。
共役ジエン系共重合体のムーニー粘度は、乳化重合時の連鎖移動剤の種類や量、重合開始剤の量等の条件を適切に組み合わせることによって、容易に目的とする値に調整することができる。なお、本明細書において「ムーニー粘度」というときは、ラテックスから共役ジエン系共重合体を回収し、JIS K6387に記載の方法に準拠して測定した値を意味するものとする。
(ロ)ノニオン性界面活性剤
ノニオン性界面活性剤は、親水基がイオン性でない界面活性剤であり、本発明においては、アニオン性ラテックスのカチオン転換の際、ラテックス中のゴム成分(共役ジエン共重合体等)が凝集することを防止するために、カチオン性界面活性剤の添加に先立って添加される。
ノニオン性界面活性剤は、親水基がイオン性でない界面活性剤であり、本発明においては、アニオン性ラテックスのカチオン転換の際、ラテックス中のゴム成分(共役ジエン共重合体等)が凝集することを防止するために、カチオン性界面活性剤の添加に先立って添加される。
本発明におけるノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。本発明においては、ラテックス組成物中のアニオン性ラテックス(固形分換算)の含有量を100質量部とした場合に、ノニオン性界面活性剤が0.1〜20質量部含有されていることが必要であり、1〜15質量部含有されていることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の含有量が上記範囲未満であると、アスファルトに対する相溶性が悪化するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、骨材に対する接着力が低下するおそれがある点において好ましくない。
(ハ)カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、親水基がカチオン性を示す界面活性剤であり、本発明においては、アニオン性ラテックスをカチオン転換するために添加される。
カチオン性界面活性剤は、親水基がカチオン性を示す界面活性剤であり、本発明においては、アニオン性ラテックスをカチオン転換するために添加される。
本発明におけるカチオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン等が挙げられる。本発明においては、ラテックス組成物中のアニオン性ラテックス(固形分換算)の含有量を100質量部とした場合に、カチオン性界面活性剤が0.1〜10質量部含有されていることが必要であり、0.5〜7.0質量部含有されていることが好ましい。カチオン性界面活性剤の含有量が上記範囲未満であると、アスファルトに対する相溶性が悪化するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、骨材に対する接着力が低下するおそれがある点において好ましくない。
本発明のラテックス組成物は、(イ)アニオン性ラテックス、(ロ)ノニオン性界面活性剤、及び(ハ)カチオン性界面活性剤を必須構成成分とするものであるが、他の構成成分、例えば、(ニ)ハロゲン化物イオン源や(ホ)増粘剤を含有するものであってもよい。
(ニ)ハロゲン化物イオン源
本発明に言うハロゲン化物イオン源とは、水中でイオン解離してハロゲン化物イオンを生ずる物質を意味し、本発明においては、ラテックス中のゴム成分(共役ジエン共重合体等)が凝集することを防止するために添加される。ハロゲン化物イオン源の添加によってラテックス組成物の機械的安定性が向上するため、例えば、本発明のラテックス組成物をノズルから噴霧する際に、ノズルを詰まらせる事態を効果的に防止することができる。
本発明に言うハロゲン化物イオン源とは、水中でイオン解離してハロゲン化物イオンを生ずる物質を意味し、本発明においては、ラテックス中のゴム成分(共役ジエン共重合体等)が凝集することを防止するために添加される。ハロゲン化物イオン源の添加によってラテックス組成物の機械的安定性が向上するため、例えば、本発明のラテックス組成物をノズルから噴霧する際に、ノズルを詰まらせる事態を効果的に防止することができる。
本発明におけるハロゲン化物イオン源としては、発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、臭化カリウム等のアルカリ金属のハロゲン化物、及び塩酸からなる群より選択される少なくとも1種等が挙げられ、これらのハロゲン化物イオン源の中でも、安全性が高く、ラテックス組成物の機械的安定性を向上させる効果が大きい点において、塩化ナトリウムや塩化カリウムが特に好ましい。
本発明においては、ラテックス組成物中のアニオン性ラテックス(固形分換算)の含有量を100質量部とした場合に、ハロゲン化物イオン源が0〜10質量部含有されていることが好ましく、0.1〜5質量部含有されていることが更に好ましい。ハロゲン化物イオン源の含有量が上記範囲未満であると、アスファルトに対する相溶性が悪化するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、ラテックスの機械的安定性が悪化するおそれがある点において好ましくない。
(ホ)増粘剤
本発明に言う増粘剤とは、ラテックス組成物の粘度を増加させ、流動性を調整する物質を意味し、本発明においては、ラテックスの静置貯蔵中において上層、下層の濃度分布が発生することを防止するために添加される。増粘剤の添加によってラテックス組成物の機械的安定性が向上するため、例えば、本発明のラテックス組成物を他の成分と混和した際に、構成成分の粒子径や比重の相違により、ラテックスの静置貯蔵中において上層、下層の濃度分布が発生する事態を効果的に防止することができる。
本発明に言う増粘剤とは、ラテックス組成物の粘度を増加させ、流動性を調整する物質を意味し、本発明においては、ラテックスの静置貯蔵中において上層、下層の濃度分布が発生することを防止するために添加される。増粘剤の添加によってラテックス組成物の機械的安定性が向上するため、例えば、本発明のラテックス組成物を他の成分と混和した際に、構成成分の粒子径や比重の相違により、ラテックスの静置貯蔵中において上層、下層の濃度分布が発生する事態を効果的に防止することができる。
本発明における増粘剤としては、高分子多糖類、例えば、キサンタンガム等が挙げられる。本発明においては、ラテックス組成物中のアニオン性ラテックス(固形分換算)の含有量を100質量部とした場合に、増粘剤が0〜2質量部含有されていることが好ましく、0.1〜1.5質量部含有されていることが更に好ましい。増粘剤の含有量が上記範囲未満であると、ラテックスの静置貯蔵中における上層、下層の濃度分布が発生するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、ラテックスの粘度が必要以上に高くなり、実用性に欠けるおそれがある点において好ましくない。
本発明のラテックス組成物は、上記の共役ジエン系共重合体を主成分(固形分換算で30質量%以上)とするものであれば足り、主成分の上記共役ジエン系共重合体の他に、スチレン−ブタジエン共重合体(不飽和カルボン酸単位を含まないもの)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、及び天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものであってもよい。
なお、本発明のラテックス組成物には、必要に応じて、分散剤、安定化剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、剥離防止剤、防腐剤、消泡剤の他、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の保護コロイドを含有せしめてもよい。
本発明のラテックス組成物は、通常、粘度が0.01〜1Pa・秒程度であるが、粘度が0.02〜0.5Pa・秒であるものが好ましい。また、通常、固形分濃度が40〜70質量%程度であるが、固形分濃度が45〜60質量%であるものが好ましい。
また、本発明のラテックス組成物におけるゴム成分(共役ジエン共重合体等)の平均粒子径は、通常、60〜300nm程度であるが、平均粒子径が80〜200nmであるものが好ましい。平均粒子径が上記範囲未満であると、ラテックスの粘度が上昇しハンドリングが困難となることに加え、アスファルトに対する分散・溶解性が低下するおそれがある点において好ましくない。一方、上記範囲を超える場合も、アスファルトに対する分散・溶解性が低下するおそれがある点において好ましくない。
ラテックス組成物におけるゴム成分の平均粒子径は、乳化重合時の水、乳化剤、又は重合開始剤の使用量、或いは重合温度等の条件を適切に組み合わせることによって、容易に目的とする値に調整することができる。
なお、本明細書において「平均粒子径」というときは、ラテックスをオスミウム酸で処理し、レーザー粒径解析システム(商品名:LPA−3100、大塚電子(株)製)を用いて、倍率3万倍の電子顕微鏡写真を撮像し、粒子100個以上の粒子径を測定し、数平均により算出した値を意味するものとする。
本発明のラテックス組成物のゲル含量は、通常、0.1〜80%程度であるが、0.1〜50質量%であるものが好ましく、0.1〜30%であるものが更に好ましい。ゲル含量が上記範囲未満であると、アスファルト組成物のテナシティやタフネスが低下するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、アスファルトに対する分散・溶解性が低下するおそれがある点において好ましくない。
ラテックス組成物のゲル含量は、乳化重合時に分子量調整剤として作用する連鎖移動剤の種類や量、或いは乳化重合時の重合開始剤の量や重合温度等を適切に選定することによって、容易に目的とする値に調整することができる。
なお、本明細書において「ゲル含量」というときは、ラテックスから形成した乾燥フィルム(質量aミリグラム)を、撹拌下で、50℃のトルエン100ミリリットル中に2時間浸漬した後、120メッシュ金網を用いて濾過し、その濾液の一部(cミリリットル)を正確に分取して、蒸発乾固させ、得られた残存固形分(トルエン不溶解分:bミリグラム)を秤量し、下記式(1)に従って算出した値を意味するものとする。
ゲル含量(%)={〔a−(b×100/c)〕/a}×100…(1)
ゲル含量(%)={〔a−(b×100/c)〕/a}×100…(1)
本発明のラテックス組成物のpHは、通常、3〜11程度であるが、4〜10であるものが好ましい。ラテックス組成物のpHが上記範囲未満であると、ラテックスの機械的安定性が悪化するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、アスファルトに対する相溶性が悪化するおそれがある点において好ましくない。
ラテックス組成物のpHは、ノニオン性界面活性剤の種類や量、或いはカチオン界面活性剤の種類や量等を適切に選定することによって、容易に目的とする値に調整することができる。
(2)ラテックス組成物の製造方法
本発明のラテックス組成物の製造方法は、(I)不飽和カルボン酸単位を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックスに対し、ノニオン性界面活性剤を添加し、撹拌混合することによってラテックス組成物中間体を製造する工程と、(II)ラテックス組成物中間体に対し、カチオン性界面活性剤を添加し、撹拌混合することによってラテックス組成物を製造する工程とを備えたラテックス組成物の製造方法である。
本発明のラテックス組成物の製造方法は、(I)不飽和カルボン酸単位を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックスに対し、ノニオン性界面活性剤を添加し、撹拌混合することによってラテックス組成物中間体を製造する工程と、(II)ラテックス組成物中間体に対し、カチオン性界面活性剤を添加し、撹拌混合することによってラテックス組成物を製造する工程とを備えたラテックス組成物の製造方法である。
このような製造方法によれば、ラテックス中のゴム成分(共役ジエン共重合体等)の凝集を伴うことなく、骨材に対する強固な接着力とアスファルトに対する優れた相溶性とを併有する高性能なラテックス組成物を簡便に得ることができる。
(I)ラテックス組成物中間体製造工程
まず、(イ)(A)共役ジエン単位55〜99.99質量%、(B)不飽和カルボン酸単位0.01〜5質量%、(C)芳香族ビニル化合物単位0〜44.99質量%、及び(D)その他の共重合可能な化合物単位0〜40質量%を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックスを用意する。
まず、(イ)(A)共役ジエン単位55〜99.99質量%、(B)不飽和カルボン酸単位0.01〜5質量%、(C)芳香族ビニル化合物単位0〜44.99質量%、及び(D)その他の共重合可能な化合物単位0〜40質量%を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックスを用意する。
このようなアニオン性ラテックスは、例えば、所定量の共役ジエン、及び不飽和カルボン酸、所望により芳香族ビニル化合物やその他の不飽和単量体を、従来公知の乳化重合法により共重合し、重合途中及び/又は重合終了後に共役ジエン系共重合体中のカルボキシル基をアルカリにより中和し、pHを6以上に調整することにより製造することができる。
この際、pHが6未満であると、得られる共役ジエン系共重合体中の不飽和カルボン酸をアルカリ金属塩に転換することができず、不飽和カルボン酸アルカリ金属塩の含有量が低下するため、ラテックスの機械的安定性、アスファルトに対する分散・溶解性、アスファルト組成物のタフネスやテナシティ、含骨材アスファルト組成物の動的安定度等が低下するおそれがある点において好ましくない。
また、上記のアニオン性ラテックスは、所定量の共役ジエン、及び不飽和カルボン酸アルカリ金属塩、所望により芳香族ビニル化合物やその他の不飽和単量体を、従来公知の乳化重合法により共重合することによっても製造することができる。
上記の乳化重合法に用いる界面活性剤(乳化剤)、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調整剤)等は特に限定されるものではないが、界面活性剤としては、例えば、オレイン酸硫酸エステルナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、又はコハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、或いはフッ素系界面活性剤等を挙げることができる。
中でも、オレイン酸硫酸エステルナトリウム塩は、ラテックスの機械的安定性を向上させるという特に優れた効果を奏する点において好適に用いることができる。本発明の製造方法においては、これらの界面活性剤の1種又は2種以上を用いることができる。
乳化剤の使用量は、全ての単量体成分の合計質量を100質量部とした場合に、この100質量部に対して、0.5〜10質量部使用することが一般的であるが、1〜8質量部使用することが好ましい。乳化剤の使用量を上記範囲未満とすると、凝集物の生成等によってラテックスの重合安定性が低下し、アニオン性ラテックスの製造に支障を来たすおそれがある点において好ましくなく、一方、上記範囲を超えると、アスファルト組成物のタフネスやテナシティが低下するおそれがある点において好ましくない。
重合開始剤としては、例えば、i)過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等をはじめとする無機系重合開始剤、ii)ベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ化合物等の有機系重合開始剤を挙げることができる。本発明の製造方法においては、これらの重合開始剤の1種又は2種以上を用いることができる。
重合開始剤の使用量は、全ての単量体成分の合計質量を100質量部とした場合に、この100質量部に対して、0.03〜2質量部使用することが一般的であるが、0.05〜1質量部使用することが好ましい。重合開始剤の使用量が上記範囲未満であると、重合反応が進行しなくなるおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、重合反応が必要以上に速く進行し、ラテックスの粒子径やムーニー粘度の制御が困難となるおそれがある点において好ましくない。
また、乳化重合を促進させるために、上記の重合開始剤とともに、例えば、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、グルコース、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、L−アスコルビン酸及びその塩等の還元剤や、グリシン、アラニン、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤を併用してもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、α−スチレンダイマー(好ましくは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン成分を60質量%以上含有するもの)、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、ジメチルキサンゲンジスルフィド、ジエチルキサンゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサンゲンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、又はジペンタメチレンチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
本発明の製造方法においては、これらの連鎖移動剤の1種又は2種以上を用いることができる。連鎖移動剤の使用量は、全ての単量体成分の合計質量を100質量部とした場合に、この100質量部に対して、0.01〜5質量部使用することが一般的であるが、0.03〜1質量部使用することが好ましい。連鎖移動剤の使用量が上記範囲未満であると、共役ジエン系共重合体のムーニー粘度が70以下となり、骨材に対する接着力が低下するおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、共役ジエン系共重合体のムーニー粘度が170以上となり、アスファルトに対する相溶性が悪化するおそれがある点において好ましくない。
乳化重合に際しては、上記の界面活性剤(乳化剤)、重合開始剤、連鎖移動剤の他、必要に応じて各種電解質、pH調整剤等を併用することができる。分散媒の量としては、全ての単量体成分の合計質量を100質量部とした場合に、水を100〜300質量部使用することが一般的である。重合温度については、10〜80℃とすることが一般的であり、30〜60℃とすることが好ましい。重合時間については、通常、15〜40時間とする。
乳化重合時の各単量体の添加方法については、一括添加方式、分割添加方式、連続添加方式のいずれとしてもよい。また、単量体成分の一部ないし全部を予め乳化してから添加してもよく、或いはこれらの方式を適宜組み合わせてもよい。
本発明の製造方法においては、上記のように用意されたアニオン性ラテックスに対し、(ロ)ノニオン性界面活性を添加し、撹拌混合することによってラテックス組成物中間体を製造することができる。この際、ノニオン性界面活性剤の添加量は、アニオン性ラテックス100質量部(固形分換算)に対し、ノニオン性界面活性剤が0.1〜20質量部となるように調整する。
なお、ノニオン性界面活性剤を添加する前に、既に説明したハロゲン化物イオン源及び/又は増粘剤を添加しておくことが好ましく、既に説明した分散剤、安定化剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、剥離防止剤、防腐剤、消泡剤、保護コロイドの1種又は2種以上を添加しておいてもよい。
また、ノニオン性界面活性剤を添加する前に、他のゴム成分、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(不飽和カルボン酸単位を含まないもの)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エマルジョン、及び天然ゴムラテックスからなる群より選択される少なくとも1種を添加しておいてもよい。
(II)ラテックス組成物製造工程
上記のラテックス組成物中間体製造工程において得られたラテックス組成物中間体に対し、(ハ)カチオン性界面活性剤を添加し、撹拌混合することによってアニオン性ラテックスがカチオン転換され、本発明のラテックス組成物を製造することができる。この際、カチオン性界面活性剤の添加量は、アニオン性ラテックス100質量部(固形分換算)に対し、カチオン性界面活性剤が0.1〜10質量部となるように調整する。
上記のラテックス組成物中間体製造工程において得られたラテックス組成物中間体に対し、(ハ)カチオン性界面活性剤を添加し、撹拌混合することによってアニオン性ラテックスがカチオン転換され、本発明のラテックス組成物を製造することができる。この際、カチオン性界面活性剤の添加量は、アニオン性ラテックス100質量部(固形分換算)に対し、カチオン性界面活性剤が0.1〜10質量部となるように調整する。
また、カチオン性界面活性剤を添加した後に、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(不飽和カルボン酸単位を含まないもの)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エマルジョン、及び天然ゴムラテックスからなる群より選択される少なくとも1種が、カチオン転換されてなるものを添加してもよい。
(3)アスファルト組成物
本発明のアスファルト組成物は、少なくともアスファルトと、ラテックス組成物とを含有するアスファルト組成物であって、アスファルト100質量部と、ラテックス組成物0.5〜20質量部(固形分換算)とを含有し、かつ、ラテックス組成物が、上述した本発明のラテックス組成物であるアスファルト組成物である。
本発明のアスファルト組成物は、少なくともアスファルトと、ラテックス組成物とを含有するアスファルト組成物であって、アスファルト100質量部と、ラテックス組成物0.5〜20質量部(固形分換算)とを含有し、かつ、ラテックス組成物が、上述した本発明のラテックス組成物であるアスファルト組成物である。
このようなアスファルト組成物は、骨材に対する強固な接着力とアスファルトに対する優れた相溶性とを併有する本発明のラテックス組成物を含有するので、テナシティやタフネスが高く、含骨材アスファルト組成物とした際の動的安定度(耐流動性)に優れる。従って、ひび割れやわだち掘れを効果的に防止し得る道路舗装材用のアスファルト改質剤として好適に用いることができる。
本発明のアスファルト組成物に用いられるアスファルトは、特に限定されるものではなく、天然アスファルト、石油アスファルト、再生アスファルト、或いはこれらの混合物等を挙げることができる。
上記の天然アスファルトとしては、例えば、ギルソナイト、グランスピッチ、グラハマイト、トリニダッドレークアスファルト等を挙げることができ、本発明においては、これらの天然アスファルトの1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記の石油アスファルトとしては、例えば、原油の蒸留により得られる各種針入度グレードのストレートアスファルト、これらのストレートアスファルトを触媒の存在下、又は不存在下で空気を吹き込むことにより製造されるブローンアスファルトやセミブローンアスファルト、アスファルト質を含む石油留分からプロパン、ブタン等の溶剤により分離して得られる溶剤脱瀝アスファルト等を挙げることができ、本発明においては、これらの石油アスファルトの1種又は2種以上が好適に用いられる。
上記の再生アスファルトは、例えば、使用済アスファルト系道路舗装材等からプロパン、ブタン等の溶剤によりアスファルト成分を抽出することにより得られるものである。このような再生アスファルトを使用する際には、本発明のラテックス組成物に再生用添加剤(例えば、アロマティック系オイル、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル等)を添加してなる油展ゴムを用いることが好ましい。
これらのアスファルトの中でも、ストレートアスファルト、特に、25℃針入度が40〜150、より好ましくは60〜120の範囲に入るストレートアスファルトが好ましい。
アスファルト組成物中におけるラテックス組成物の含有量は、その使用目的によっても異なるが、例えば、道路舗装材として用いる場合であれば、アスファルト組成物中のアスファルト100質量部に対して、ラテックス組成物が0.5〜20質量部(固形分換算)含有されていることが必要であり、1〜10質量部含有されていることが更に好ましい。ラテックス組成物の含有量が上記範囲未満であると、アスファルトの改質効果が発揮されなくなるおそれがある点において好ましくなく、上記範囲を超えると、アスファルトに対する相溶性が悪化するおそれがある点において好ましくない。
本発明のアスファルト組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、アスファルトに対して本発明のラテックス組成物が所定の比率となるように添加し、均一に撹拌混練する方法等が挙げられる。撹拌混練のための設備としては、適当なプラント、例えば、道路舗装用加熱アスファルト組成物製造プラント等を使用することができる。撹拌混練は、常温、80〜120℃の比較的低温、又は120℃を超える高温で行うことができるが、短時間で均一に混合することが可能である点において、120℃を超える高温で撹拌混練を行うことが好ましい。
(4)カチオン性アスファルト乳剤
本発明のカチオン性アスファルト乳剤は、少なくともアスファルトと、ラテックス組成物と、水と、カチオン性界面活性剤とを含有し、これらの成分がエマルジョンを形成しているカチオン性アスファルト乳剤であって、ラテックス組成物が、上述した本発明のラテックス組成物であるカチオン性アスファルト乳剤である。
本発明のカチオン性アスファルト乳剤は、少なくともアスファルトと、ラテックス組成物と、水と、カチオン性界面活性剤とを含有し、これらの成分がエマルジョンを形成しているカチオン性アスファルト乳剤であって、ラテックス組成物が、上述した本発明のラテックス組成物であるカチオン性アスファルト乳剤である。
このようなカチオン性アスファルト乳剤は、骨材に対する強固な接着力とアスファルトに対する優れた相溶性とを併有する本発明のラテックス組成物を含有するので、テナシティやタフネスが高く、含骨材アスファルト組成物とした際の動的安定度(耐流動性)に優れる。従って、カチオン性アスファルト乳剤単独で、基盤層と新たな舗装層(表層)との接着性を向上させ、表層滑りを防止するためのタックコート用道路舗装材として好適に用いることができる。また、カチオン性アスファルト乳剤を骨材(粒子径2〜5mm程度の砕石)と混合して、スラリー状混合物を路面上に薄く敷きならすマイクロサーフェシング用道路舗装材として好適に用いることができる。
なお、本発明のカチオン性アスファルト乳剤には、アスファルト、ラテックス組成物、水、及びカチオン性界面活性剤の他、酸や他の添加剤を適宜含有せしめることができる。
本発明のカチオン性アスファルト乳剤の製造方法は特に限定されないが、例えば、市販のアスファルト乳剤(アスファルト、水、及びカチオン性界面活性剤を含み、これらの成分がエマルジョンを形成しているもの:例えば、JIS K2208に規定されるPK−4等)に対し、少なくとも本発明のラテックス組成物、所望により酸、及びその他の添加剤を添加し、均一に撹拌混合する方法等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下に示す実施例、及び比較例に記載された平均粒子径、ゲル含量、ムーニー粘度、機械的安定性、タフネス、テナシティについては、既に説明した方法により測定した値を使用した。
[アニオン性ラテックスの製造]
(実施例1)
内容量100リットルのオートクレーブに、ブタジエン65質量部、アクリル酸1質量部、スチレン34質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5質量部、連鎖移動剤(分子量調節剤)としてt−ドデシルメルカプタン0.15質量部、更に、乳化剤としてオレイン酸硫酸エステルナトリウム塩5質量部、及び水120質量部を仕込み、重合温度45〜70℃、パドル翼を用い、170rpmの回転数で撹拌して乳化重合を行った。
(実施例1)
内容量100リットルのオートクレーブに、ブタジエン65質量部、アクリル酸1質量部、スチレン34質量部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.5質量部、連鎖移動剤(分子量調節剤)としてt−ドデシルメルカプタン0.15質量部、更に、乳化剤としてオレイン酸硫酸エステルナトリウム塩5質量部、及び水120質量部を仕込み、重合温度45〜70℃、パドル翼を用い、170rpmの回転数で撹拌して乳化重合を行った。
重合転化率が65%の状態において、反応停止剤としてN,N―ジエチルヒドロキシルアミン0.5質量部を添加した。最後に、水酸化カリウム1.5質量部を添加してpHを調整した後、モノマーを除去し、濃縮することにより、実施例1のアニオン性ラテックスを得た。
(実施例2〜5、比較例1〜2)
原料の仕込み比を表1に記載の値に変更したことを除いては、実施例1と同様にして、実施例2〜5、及び比較例1〜2のアニオン性ラテックスを得た。
原料の仕込み比を表1に記載の値に変更したことを除いては、実施例1と同様にして、実施例2〜5、及び比較例1〜2のアニオン性ラテックスを得た。
[ラテックス組成物の製造]
(実施例1)
実施例1のアニオン性ラテックス100質量部に対して、ハロゲン化物イオン源として塩化カリウム2質量部、及び増粘剤としてキサンタンガム0.5質量部を添加して撹拌混合を行い、次いで、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル10質量部を添加して撹拌混合を行ってラテックス組成物中間体を製造した。
(実施例1)
実施例1のアニオン性ラテックス100質量部に対して、ハロゲン化物イオン源として塩化カリウム2質量部、及び増粘剤としてキサンタンガム0.5質量部を添加して撹拌混合を行い、次いで、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル10質量部を添加して撹拌混合を行ってラテックス組成物中間体を製造した。
このラテックス組成物中間体に、カチオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルプロピレンジアミン2質量部を添加して撹拌混合を行うことにより、実施例1のラテックス組成物を製造した。このラテックス組成物の性状・性能を評価した結果を表1に示す。
(実施例2〜5、比較例1〜2)
アニオン性ラテックスとして実施例2〜5、及び比較例1〜2のアニオン性ラテックスを用い、原料の仕込み比、及びハロゲン化物イオン源の種類を表1に記載の値、種類に変更したことを除いては、実施例1と同様にして、実施例2〜5、及び比較例1〜2のラテックス組成物を得た。これらのラテックス組成物の性状を評価した結果を表2に示す。
アニオン性ラテックスとして実施例2〜5、及び比較例1〜2のアニオン性ラテックスを用い、原料の仕込み比、及びハロゲン化物イオン源の種類を表1に記載の値、種類に変更したことを除いては、実施例1と同様にして、実施例2〜5、及び比較例1〜2のラテックス組成物を得た。これらのラテックス組成物の性状を評価した結果を表2に示す。
また、実施例1〜5、及び比較例1〜2のラテックス組成物については、以下の方法により、アスファルト乳剤(タックコート用道路舗装材)、又は含骨材アスファルト組成物(マイクロサーフェシング用道路舗装材)としての性能を評価した。
[アスファルト乳剤の製造]
(実施例6〜10、比較例3〜4)
JIS K2208に規定される、市販のアスファルト乳剤PK−4、100質量部に対して、実施例1〜5、及び比較例1〜2のいずれかのラテックス組成物4質量部を添加し、4枚羽根撹拌翼を備えた撹拌機により撹拌して、実施例6〜10、及び比較例3〜4のアスファルト乳剤を得た。これらのアスファルト乳剤を90℃、回転速度400〜500rpmの条件下で混練して、アスファルト乳剤中の水分の大半を蒸散させた後、160℃まで昇温することによってアスファルト乳剤中の水分を完全に蒸散させて供試体を作製した。これらの供試体を「舗装試験法便覧」(昭和63年11月10日、(社)日本道路協会発行)記載の方法に準拠して、アスファルト乳剤としての性能を評価した。その結果を表3に示す。
(実施例6〜10、比較例3〜4)
JIS K2208に規定される、市販のアスファルト乳剤PK−4、100質量部に対して、実施例1〜5、及び比較例1〜2のいずれかのラテックス組成物4質量部を添加し、4枚羽根撹拌翼を備えた撹拌機により撹拌して、実施例6〜10、及び比較例3〜4のアスファルト乳剤を得た。これらのアスファルト乳剤を90℃、回転速度400〜500rpmの条件下で混練して、アスファルト乳剤中の水分の大半を蒸散させた後、160℃まで昇温することによってアスファルト乳剤中の水分を完全に蒸散させて供試体を作製した。これらの供試体を「舗装試験法便覧」(昭和63年11月10日、(社)日本道路協会発行)記載の方法に準拠して、アスファルト乳剤としての性能を評価した。その結果を表3に示す。
[含骨材アスファルト組成物の製造]
骨材100質量部に対して、セメント0.3質量部、水12質量部、剥離防止剤0.8質量部、及び実施例6〜10、及び比較例3〜4のいずれかのアスファルト乳剤15質量部を添加して撹拌混合を行い、7種類の含骨材アスファルト組成物を得た。これらの含骨材アスファルト組成物を厚さ6mmの円形型枠に流し込んで供試体を作製した。これらの供試体をASTM D3910記載の方法に準拠して、含骨材アスファルト組成物としての性能を評価した。その結果を表3に示す。
骨材100質量部に対して、セメント0.3質量部、水12質量部、剥離防止剤0.8質量部、及び実施例6〜10、及び比較例3〜4のいずれかのアスファルト乳剤15質量部を添加して撹拌混合を行い、7種類の含骨材アスファルト組成物を得た。これらの含骨材アスファルト組成物を厚さ6mmの円形型枠に流し込んで供試体を作製した。これらの供試体をASTM D3910記載の方法に準拠して、含骨材アスファルト組成物としての性能を評価した。その結果を表3に示す。
(評価)
実施例1〜5のラテックス組成物は、ラテックスとしての機械的安定性、及びアスファルト乳剤との相溶性が良好であり(表2参照)、カチオン性アスファルト乳剤(実施例6〜10)とした際の性能(タフネス、及びテナシティ、軟化点)、及び含骨材アスファルト組成物とした際の性能(ウエットトラック摩耗試験における摩耗量)に優れていた(表3参照)。特に、共役ジエン系共重合体のムーニー粘度が70〜170の範囲を満たす実施例1〜4のラテックス組成物については、カチオン性アスファルト乳剤(実施例6〜9)とした際に極めて良好な性能を示した。
実施例1〜5のラテックス組成物は、ラテックスとしての機械的安定性、及びアスファルト乳剤との相溶性が良好であり(表2参照)、カチオン性アスファルト乳剤(実施例6〜10)とした際の性能(タフネス、及びテナシティ、軟化点)、及び含骨材アスファルト組成物とした際の性能(ウエットトラック摩耗試験における摩耗量)に優れていた(表3参照)。特に、共役ジエン系共重合体のムーニー粘度が70〜170の範囲を満たす実施例1〜4のラテックス組成物については、カチオン性アスファルト乳剤(実施例6〜9)とした際に極めて良好な性能を示した。
一方、比較例1のラテックス組成物は、共役ジエン系共重合体中に不飽和カルボン酸単位(アクリル酸単位)が含まれないため、ラテックスの機械的安定性、貯蔵安定性に劣るものであった(表2参照)。また、ムーニー粘度が70〜170の範囲を満たしていないため、アスファルト乳剤(比較例3)とした際の性能(タフネス、及びテナシティ、軟化点)、及び含骨材アスファルト組成物とした際の性能(ウエットトラック摩耗試験における摩耗量)が不良であった(表3参照)。
また、比較例2のラテックス組成物は、共役ジエン系共重合体中の共役ジエン単位であるブタジエンの含有率が55質量%未満であり、アスファルト乳剤(比較例4)とした際の性能(タフネス、及びテナシティ、軟化点、7℃伸度)、及び含骨材アスファルト組成物とした際の性能(ウエットトラック摩耗試験における摩耗量)が不良であった(表3参照)。
本発明のラテックス組成物は、防水施工材、セメント混和材、油展ゴム、特に、タックコート用やマイクサーフェシング用の道路舗装材の製造に好適に用いることができる。
Claims (9)
- (イ)(A)共役ジエン単位55〜99.99質量%、(B)不飽和カルボン酸単位0.01〜5質量%、(C)芳香族ビニル化合物単位0〜44.99質量%、及び(D)これらと共重合可能な他の不飽和化合物単位0〜40質量%を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックス100質量部(固形分換算)と、(ロ)ノニオン性界面活性剤0.1〜20質量部と、(ハ)カチオン性界面活性剤0.1〜10質量部とを含有するラテックス組成物。
- 前記共役ジエン系共重合体が、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)が70〜170の共役ジエン系共重合体である請求項1に記載のラテックス組成物。
- スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、及び天然ゴムからなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載のラテックス組成物。
- 更に、(ニ)ハロゲン化物イオン源0〜10質量部を含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のラテックス組成物。
- 前記(ニ)ハロゲン化物イオン源が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び塩酸からなる群より選択される少なくとも1種である請求項4に記載のラテックス組成物。
- 更に、(ホ)増粘剤0〜2質量部を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のラテックス組成物。
- (I)(イ)(A)共役ジエン単位55〜99.99質量%、(B)不飽和カルボン酸単位0.01〜5質量%、(C)芳香族ビニル化合物単位0〜44.99質量%、及び(D)その他の共重合可能な化合物単位0〜40質量%を含む共役ジエン系共重合体を主成分とするアニオン性ラテックス100質量部に対し、(ロ)ノニオン性界面活性剤0.1〜20質量部を添加し、撹拌混合することによってラテックス組成物中間体を製造する工程と、
(II)前記ラテックス組成物中間体に対し、(ハ)カチオン性界面活性剤0.1〜10質量部を添加し、撹拌混合することによってラテックス組成物を製造する工程とを備えたラテックス組成物の製造方法。 - 少なくともアスファルトと、ラテックス組成物とを含有するアスファルト組成物であって、
前記アスファルト100質量部と、前記ラテックス組成物0.5〜20質量部(固形分換算)とを含有し、かつ、前記ラテックス組成物が、請求項1〜6のいずれか一項に記載のラテックス組成物であるアスファルト組成物。 - 少なくともアスファルトと、ラテックス組成物と、水と、カチオン性界面活性剤とを含有し、これらの成分がエマルジョンを形成しているカチオン性アスファルト乳剤であって、
前記ラテックス組成物が、請求項1〜6のいずれか一項に記載のラテックス組成物であるカチオン性アスファルト乳剤。
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