JP2005046854A - 高Nb合金の熱間加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)素材である高Nb合金を熱間圧延または熱間押出を行う場合に、前記素材に酸化防止剤を塗布し、その素材を加熱開始から60分以内に700〜1000℃に加熱した後、1回の加工で、かつ熱間加工を1分以内に終了させることを特徴とするNbまたはNb基合金の熱間加工方法である。(2)素材である高Nb合金を熱間鍛造を行う場合に、前記素材に酸化防止剤を塗布し、その素材を加熱開始から60分以内に700〜1000℃に加熱した後、1回乃至2回の加工で、かつ熱間加工を1分以内に終了させることを特徴とするNbまたはNb基合金の熱間加工方法である。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加工用の素材としてNbまたはNb基合金(以下、これらを総称して「高Nb合金」という)を用いて、熱間圧延、熱間押出または熱間鍛造する熱間加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、Nb(ニオブ)は、単体で第1種超電導体として良好な金属であり、SQUID素子を用いた脳磁計、心磁計(脳および心臓の磁気センサー)等の微弱なノイズ磁界のシールド材として、また、NbまたはNb−Ti、Nb−Sn等の合金は超電導材料として注目を集めている。特に、Nbは臨界磁界が低いため、外部磁界の小さい超電導加速空洞の素材として用いられている。
【0003】
さらに、Nbは高融点金属材料の特性を有することから、半導体素子の表面に配線網を形成するための薄膜形成用スパッタリングターゲットの材料として多く用いられている。
【0004】
高Nb合金をこれらの材料として成形加工する場合に、冷間加工に耐える延性を有しており、容易に板材、棒材または管材に加工することができる。しかし、高Nb合金は、TiやZrと同様に活性な金属材料であり、比較的低温で酸化や窒化を生じて延性および靱性を低下させることになる。
【0005】
このため、高Nb合金を成形加工する場合には熱間加工を行わず、冷間加工(鍛造、圧延等)で素材から必要形状に成形している。さらに、冷間加工で発生した歪を除去するため、焼鈍(アニール)を行う場合には、酸化や窒化を防止する観点から、真空雰囲気で熱処理を行う必要がある。
【0006】
例えば、特許文献1には超電導材料用Nb圧延板の製造方法が記載されており、Nb圧延板の製造に際して、電子ビーム溶解法により鋳造した純Nbのインゴットを材料温度が100℃以下で冷間圧延すること、および1×10−4Torr以下の真空中で焼鈍を行うことが開示されている。
【0007】
さらに、同特許文献では、従来のNb圧延板は鋳造されたインゴットを冷間鍛造し、割れやしわ等の表面欠陥を研削除去し、焼鈍した後冷間圧延し、内面歪みを除去または再結晶組織を得るために焼鈍し製造していることが記載されている。そして、冷間鍛造の加工率が低い場合には、焼鈍を省略して冷間圧延を行うことがあるとしている。
【0008】
換言すれば、通常、高Nb合金は酸化、窒化および浸炭され易いので、大気中での加熱は避けて焼鈍は真空雰囲気で行われるとともに、大気中での熱間鍛造、熱間圧延等の熱間加工は行われない。
【0009】
ところで、Nbの熱間加工に関し、特許文献2ではNbおよび/またはVからなる積層体を有する超電導クラッド板の製造に際して、この積層体を300℃以上の温度に加熱して熱間加工を施して減厚加工を行った後、冷間加工を行って減厚加工を行い所望の板厚にすることが示されている。
【0010】
しかしながら、この熱間加工に際して、この積層体の端面を真空中で溶接密封して行うことにしているので、温度300℃以上に加熱して、熱間加工を施して減厚加工を行うが、この真空密封によって、熱間加工における界面酸化が防止されて、良好な金属接合を得ることができるとしている。したがって、特許文献2で開示する温度300℃以上に加熱する加工は、大気中で熱間加工を行うものではない。
【0011】
上述の通り、高Nb合金は酸化や窒化を生じ易いことから、成形加工する場合には熱間加工を行わず冷間加工を行っており、さらに冷間加工により発生した歪を除去する場合には、真空熱処理等の加熱雰囲気を調整して焼鈍(アニール)を行う必要がある。このため、Nb合金の成形加工には、冷間加工による長時間を要する加工とともに、雰囲気調整等に設備投資を要し、加工コストが増加するという問題がある。
【0012】
【特許文献1】
特開平3−247745号公報、特許請求の範囲、
第1頁右下欄18行〜第2頁右上欄7行
【特許文献2】
特開2002−367449号公報、特許請求の範囲、
段落(0012)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の高Nb合金の成形加工が内包する問題に鑑みてなされたものであり、高Nb合金の成形加工を熱間加工でも可能とすると同時に、素材の加熱に際し雰囲気を調整することなく加熱できるようにして、成形加工を工業的に安定させ、それに要する時間を短縮し加工コストの低減を図ることができる高Nb合金の熱間加工方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決するため、高Nb合金の成形加工を工業的に安定して、低い加工コストで行うために種々の実験検討を加えた結果、加工素材の加熱段階において、素材である高Nb合金を酸化や窒化から防止できれば、熱間加工が可能になることに着目した。
【0015】
この着目に基づいて、高Nb合金の酸化や窒化に及ばす影響を、酸化防止剤の有無、加熱温度および加熱時間等の加熱条件、並びに加工回数および加工時間等の加工条件との関係で詳細に検討した。その検討結果から、次の知見を得ることができた。
【0016】
一般に、加工素材を酸化や窒化から防止するだけであれば、酸化防止剤のような表面被覆剤を素材表面に塗布することにより、酸化や窒化の発生をある程度抑制することが可能になる。しかし、素材の加熱時や熱間加工時に酸化防止剤の剥離が発生すると、局部的に酸化や窒化が発生する。
【0017】
また、素材の加熱時間が長いと酸化防止剤を通して酸素や窒素が浸入して、素材に酸化や窒化が発生することがある。例えば、加熱に用いる炉が連続炉であれ、またバッチ炉であれ、加熱素材を所定温度で加熱するのに加熱開始から数時間を超える時間を要するようになると、加熱素材を酸化や窒化から防止することが困難になる。
【0018】
さらに、加熱時に素材の酸化や窒化を抑制でき、引き続き熱間加工を施すことができる場合であっても、熱間加工の途中工程で酸化や窒化が進行することがある。例えば、加熱時に酸化防止剤を塗布していても、熱間圧延または熱間鍛造のように数回の加工回数で成形する場合に、1回の加工毎に加工素材に新生面が現れるが、この新生面には酸化防止剤が被覆されていないため、それ以降の熱間加工から素材が冷却するに至るまで、新生面での酸化や窒化を防止することができない。
【0019】
したがって、加工素材の表面には酸化防止剤を塗布して、例えば、インダクションヒータを用いて短時間で所定の加熱を行うことにより、加熱時の酸化や窒化をある程度抑制することができる。そして、その後の熱間加工の加工回数および加工時間を制限することによって 高Nb合金の熱間加工が可能になる。
【0020】
しかしながら、熱間加工に際して、熱間圧延または熱間押出を行う場合には1回の加工毎に加工素材に現れる新生面が顕著になるため、加工回数は最少回数の1回の加工に限定される。しかし、いずれも熱間加工であるため、冷間加工に比べ1回当たりの加工量を確保することができる。
【0021】
これに対し、熱間加工として熱間鍛造を行う場合には、加工毎に加工素材に現れる新生面はそれ程顕著でないため、加工回数は1回乃至2回が許容される。
【0022】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記の(1)および(2)の高Nb合金の熱間加工方法を要旨としている。
(1)素材である高Nb合金を熱間圧延または熱間押出を行う場合に、前記素材に酸化防止剤を塗布し、その素材を加熱開始から60分以内に700〜1000℃に加熱した後、1回の加工で、かつ熱間加工を1分以内に終了させることを特徴とするNbまたはNb基合金の熱間加工方法である。
(2)素材である高Nb合金を熱間鍛造を行う場合に、前記素材に酸化防止剤を塗布し、その素材を加熱開始から60分以内に700〜1000℃に加熱した後、1回乃至2回の加工で、かつ熱間加工を1分以内に終了させることを特徴とするNbまたはNb基合金の熱間加工方法である。
【0023】
本発明が対象とする高Nb合金は、前述の通り、NbまたはNb基合金に区分できる。Nbは、いわゆる純Nbであって純度99.99%以上のものが相当する。高純度Nbの成形加工材は、前述の磁界シールド材、超電導加速空洞の素材、または薄膜形成用スパッタリングターゲットの材料とて用いられる。
【0024】
また、Nb基合金は、Nbが主元素である合金材である。前述のNb−Sn等は脆く直接加工ができないため、ここではNb−5%HfやNb−1%Zrが例示される。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の熱間加工方法は、熱間圧延、熱間押出または熱間鍛造を対象としており、素材である高Nb合金を潤滑剤を用いて、または潤滑剤を用いることなく熱間加工を行う場合に、前記素材に酸化防止剤を塗布し、その素材を加熱開始から60分以内に700〜1000℃に加熱した後、1回、または1回乃至2回の熱間加工を1分(60秒)以内に終了させることを特徴とする。
【0026】
対象とする熱間圧延は、単に厚板、薄板圧延に限定するものでなく、高Nb合金の成形加工に用いられるものであれば、条鋼や棒材の圧延も対象となる。同様に、熱間押出は、高Nb合金の成形加工に用いられるものであれば、棒材や型材の押出も対象となる。しかし、熱間圧延または熱間押出を行う場合には、加工回数は最少回数の1回の加工に限定される。
【0027】
通常、熱間圧延または熱間押出を行う場合には、素材の変形流れを均一にして局部的な応力集中をなくし、工具の損傷を防ぐため、潤滑剤が用いられるが、本発明も同様の目的で、潤滑剤を使用するのが望ましい。
【0028】
他の熱間加工の対象となる熱間鍛造は、鍛造プレス間で素材を挟み圧縮して変形する自由鍛造であってもよく、金型を用いて鍛造する型鍛造であってもよい。熱間鍛造を行う場合には、加工回数は1回乃至2回が許容され、潤滑剤の使用は必須ではない。
【0029】
熱間加工の加工時間は、熱間圧延、熱間押出、また熱間鍛造のいずれの場合であっても、1分(60秒)以内にする必要がある。加工により現れる新生面での酸化や窒化の進展を抑制するためである。
【0030】
本発明で採用する酸化防止剤は、特に限定するものではなく慣用されているものでよく、例えば、SiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤(日本フェロー社製、アクナス25051−軟化点:700℃)を用いるのが望ましい。他には、アルカリ硫酸塩(千代田化学(株)製、軟化点:740℃)等も用いることができる。
【0031】
酸化防止剤の軟化点は適宜成分を調整し、熱間加工で採用する加工温度よりも低くする必要がある。本発明で採用する酸化防止剤は、軟化点を900℃〜700℃に調整するのが望ましい。
【0032】
加熱時間が長いと酸化防止剤を通して素材が酸化や窒化することから、その素材を加熱開始から60分以内に所定温度に加熱し、熱間加工に供する必要がある。このため、加熱方法は、急速に素材を加熱できれば、どのような方法でもよい。急速に加熱するために、例えば、インダクションヒータを用いることができ、素材の均熱化も可能である。本発明では、酸化防止剤が素材に塗布されているので、加熱雰囲気を調整する必要がなく、大気中で加工素材を加熱する。
【0033】
熱間加工前の加熱温度は、700〜1000℃にする。加熱温度を700℃以上にし素材の再結晶を完了させることによって、素材を軟化させて熱間加工を容易にする。一方、結晶粒の粗大化を防止するため、1000℃以下とする。
【0034】
したがって、本発明の加工方法では、素材の組成に合わせて、適宜、加熱温度を設定すればよい。すなわち、加熱温度が高い(1000℃に近い)ほど、素材は軟化し熱間加工が容易になる。一方、素材が軟加工材である場合には、加熱温度は低温(700℃に近い)でよい。
【0035】
本発明の方法では、熱間加工後の冷却速度を特に限定するものではない。上記の条件で加熱および熱間加工を行えば、熱間圧延または熱間押出の場合には、潤滑剤と酸化防止剤とが相まって、素材表面が露出することを防止できる。また、熱間鍛造を行う場合にも、素材表面が露出することが少なく、酸化や窒化の許容できるレベルに留まる。したがって、熱間加工後も高温酸化を防ぐため、急冷する必要がない。
【0036】
【実施例】
加工用素材として、電子ビーム溶解法により溶解・鋳造した純Nb(純度99.99%)と、Nb−5%HfおよびNb−1%ZrのNb基合金とを用いて、本発明の熱間加工方法の効果を確認した。熱間加工に供試するため、純NbおよびNb基合金の素材を200mmφに切削加工し、熱間加工用ビレットを作製した。熱間加工法として、熱間押出(供試No.1〜5、7、11〜14)、熱間鍛造(供試No.6、9、10)および熱間圧延(供試No.8)を採用した。
【0037】
実施例では、加熱条件および加工条件を変化させて熱間加工を行った後、得られた加工材表面の酸化層厚さおよび表面疵の発生状況を調査した。熱間加工の条件および加工表面の調査結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1中の供試No.1〜3は、Nbビレットを使用し軟化点を900℃に調整したSiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤を表面に塗布した後、大気中で低周波インダクションヒータにより加熱時間30分で900および1000℃に加熱し、さらに加熱時間60分で900℃に加熱した。次に、潤滑剤に軟化点800℃に調整したガラスを用い、熱間押出で50mmφの丸棒を押出した。このときの加工時間は、5秒および60秒であった。
【0040】
供試No.1〜3はいずれも本発明の条件を満足しており、丸棒表面の酸化層厚さは最大で30μmであり、表面疵が発生しても極微小に留まっており、良好な熱間加工後の表面状況であった。
【0041】
供試No.4は、Nbビレットを使用し軟化点を700℃に調整したSiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤を表面に塗布した後、LNGガスを燃料としたバッチ式加熱炉を用いて、加熱時間240分で900℃に加熱した。次に、潤滑剤に軟化点800℃に調整したガラスを用い、熱間押出で50mmφの丸棒を押出した。このときの加工時間は5秒であった。
【0042】
供試No.4は、加熱時間が240分と本発明の規定外であったため、丸棒表面の酸化層厚さは300μmと深く、表面疵も割れ状の大きな疵が発生した。
【0043】
供試No.5は、Nbビレットを使用し軟化点を700℃に調整したSiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤を表面に塗布した後、大気中で低周波インダクションヒータで加熱時間30分で700℃に加熱した。次に、潤滑剤に軟化点700℃に調整したガラスを用い、熱間押出で50mmφの丸棒を押出した。このときの加工時間は5秒であった。
【0044】
供試No.5は本発明例であって、丸棒表面の酸化層厚さは10μm以下であり、表面疵の発生が見られず、良好な熱間加工の表面状況であった。
【0045】
供試No.6は、Nbビレットを使用し軟化点を700℃に調整したSiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤を表面に塗布した後、大気中で低周波インダクションヒータで加熱時間30分で900℃に加熱した。次いで、鍛造プレスを用いて、1回の加工で加工時間5分(300秒)で50mm厚さまで加工した。
【0046】
供試No.6は、加工に要した時間が5分と本発明の規定外であったため、酸化層厚さは、加工により生じた新生面で最大100μmとなった。表面疵は、加工前に酸化防止剤を塗布した部分では発生していないが、新生面の部位で亀裂が発生していた。
【0047】
供試No.7は、Nbビレットを使用し軟化点を700℃に調整したSiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤を表面に塗布した後、大気中で低周波インダクションヒータで加熱時間30分で1050℃に加熱した。次に、潤滑剤に軟化点700℃に調整したガラスを用いて、熱間押出で50mmφの丸棒を押出した。このとき加工に要した時間は5秒であった。
【0048】
供試No.7は、加熱温度が1050℃と本発明の規定外であったため、酸化層厚さは500μmと厚く、表面疵も大であった。
【0049】
供試No.8は、Nbビレットを使用し軟化点を700℃に調整したSiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤を表面に塗布した後、大気中で低周波インダクションヒータで加熱時間30分で700℃に加熱した。次に、熱間圧延で厚さ50mmの厚板に圧延した。このときの加工時間は5秒であった。
【0050】
供試No.8は本発明例であり、丸棒表面の酸化層厚さは10μmであり、表面疵の発生が見られず、良好な熱間加工後の表面状況であった。
【0051】
供試No.9、10は、Nbビレットを使用し軟化点を700℃に調整したSiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤を表面に塗布した後、大気中で低周波インダクションヒータで加熱時間30分で900℃に加熱した。次いで、鍛造プレスを用いて、1回当たり5秒の加工を2回または3回実施した。
【0052】
供試No.9の鍛造加工2回の場合では、酸化層厚さは50μmであり、表面疵は微小のものが見られたが、特に問題にならないレベルであった。一方、供試No.10の鍛造加工3回の場合では、酸化層厚さは100μmとなり、表面疵も大であった。なお、供試No.9、10で見られた酸化層、表面疵は共に加工により生じた新生面で発生していた。
【0053】
供試No.11は、Nbビレットを使用しその表面に酸化防止剤を塗布せずに、大気中で低周波インダクションヒータで加熱時間30分で900℃に加熱した。次に、潤滑剤に軟化点700℃に調整したガラスを用い、熱間押出で50mmφの丸棒を押出した。このときの加工時間は5秒であった。
【0054】
供試No.11は、酸化防止剤の塗布がなく本発明の規定外であったため、酸化層厚さは2mm(2000μm)と厚く、表面疵も大であった。
【0055】
供試No.12は、Nbビレットを使用し軟化点を600℃に調整したSiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤を表面に塗布した後、大気中で低周波インダクションヒータで加熱時間30分で650℃に加熱した。次に、潤滑剤に軟化点600℃に調整したガラスを用いて、熱間押出で50mmφの丸棒を押出した。このときの加工時間は5秒であった。
【0056】
供試No.12は、加熱温度が650℃と本発明の規定外であったため、丸棒表面の酸化層厚さは10μm以下であったが、延性が不充分な温度域での加工であり表面疵が大であった。
【0057】
供試No.13、14は、Nb基合金としてNb−5%HfおよびNb−1%Zrビレットを使用して、軟化点を900℃に調整したSiO2−Al2O3−B2O3系酸化防止剤を表面に塗布した後、大気中で低周波インダクションヒータにより加熱時間30分で900に加熱した。次に、潤滑剤に軟化点800℃に調整したガラスを用いて、熱間押出で50mmφの丸棒を押出した。このときの加工時間は5秒であった。
【0058】
供試No.13、14はいずれも本発明例であり、丸棒表面の酸化層厚さは10μm以下であり、表面疵の発生もなく、良好な熱間加工後の表面状況であった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の熱間加工方法によれば、高Nb合金の成形加工を熱間加工でも可能とすると同時に、素材の加熱に際して雰囲気を調整することなく加工素材を所定温度に加熱できるので、成形加工に要する時間を短縮して、加工コストの低減を図ることができる。
【0060】
これにより、磁界シールド材、超電導材料、または薄膜形成用スパッタリングターゲット材として用いられる高Nb合金を、工業的に安定して提供することができる。
Claims (2)
- 素材であるNbまたはNb基合金を熱間圧延または熱間押出を行う場合に、前記素材に酸化防止剤を塗布し、その素材を加熱開始から60分以内に700〜1000℃に加熱した後、1回の加工で、かつ熱間加工を1分以内に終了させることを特徴とするNbまたはNb基合金の熱間加工方法。
- 素材であるNbまたはNb基合金を熱間鍛造を行う場合に、前記素材に酸化防止剤を塗布し、その素材を加熱開始から60分以内に700〜1000℃に加熱した後、1回乃至2回の加工で、かつ熱間加工を1分以内に終了させることを特徴とするNbまたはNb基合金の熱間加工方法。
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