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JPH06264233A - Tft製造用スパッタリングタ−ゲット - Google Patents

Tft製造用スパッタリングタ−ゲット

Info

Publication number
JPH06264233A
JPH06264233A JP7905693A JP7905693A JPH06264233A JP H06264233 A JPH06264233 A JP H06264233A JP 7905693 A JP7905693 A JP 7905693A JP 7905693 A JP7905693 A JP 7905693A JP H06264233 A JPH06264233 A JP H06264233A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molybdenum
sputtering target
less
ingot
molybdenum alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7905693A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiyuki Shimizu
史幸 清水
Yoshimitsu Shibata
義光 柴田
Yasushi Umemoto
靖 梅本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikko Kinzoku KK
Original Assignee
Nikko Kinzoku KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikko Kinzoku KK filed Critical Nikko Kinzoku KK
Priority to JP7905693A priority Critical patent/JPH06264233A/ja
Publication of JPH06264233A publication Critical patent/JPH06264233A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 機械的強度や耐熱応力性に優れていて取り扱
いが良好な上に、スパッタリング時のパ−ティクル発生
が少なく、かつ膜厚や膜特性の均一な薄膜を安定して形
成することができるTFT製造用のモリブデン又はモリ
ブデン合金製スパッタリングタ−ゲットを提供する。 【構成】 TFT製造用スパッタリングタ−ゲットを、
合計のガス成分含有量が100ppm 以下である“溶製し
たモリブデン又はモリブデン合金の塑性加工材”にて構
成するか、或いは更に結晶粒径(平均結晶粒径)が1mm
以下に調整されて成る如き構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、欠陥の発生が少なく
て膜厚,膜特性の均一なゲ−ト電極及び配線用低抵抗薄
膜を安定して形成することができるTFT(Thin Film
Transister:薄膜トランジスタ)製造用のモリブデン又
はモリブデン合金製スパッタリングタ−ゲットに関する
ものである。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、TFTに代表されるMO
S−LSIの高集積化に伴って電気配線抵抗の遅延が問
題となり、ゲ−ト電極や配線用薄膜の材料として電気抵
抗値がより低い高融点金属(モリブデン又はモリブデン
合金等)を利用する技術が注目を集めている。
【0003】しかし、実際には、例えばモリブデン又は
モリブデン合金にてTFTのゲ−ト電極や配線用の薄膜
を形成した場合を例に取っても、得られる薄膜に理論か
ら推し量れる十分な特性が得られにくい上、薄膜形成時
の作業性にも難があり、そのためモリブデン又はモリブ
デン合金の薄膜形成技術に問題があるのではないかとの
認識が高まっていた。
【0004】即ち、通常、TFTの薄膜ゲ−ト電極や配
線の形成にはスパッタリング法が適用されるが、モリブ
デン又はモリブデン合金にて上記ゲ−ト電極や配線を形
成する場合は、モリブデンが2600℃を超える高融点
金属であるため、使用するスパッタリングタ−ゲットは
モリブデンや合金成分の高純度粉末を焼結する粉末冶金
の手法で製造されるのが一般的である。ところが、様々
な観点からの検討により、このようにして製造されたモ
リブデン又はモリブデン合金タ−ゲットは機械的強度や
耐熱応力性が十分でなくて取り扱いが面倒な上に、スパ
ッタリング時のパ−ティクル発生が比較的多く、しかも
得られる薄膜は均一性の点でも劣るきらいがあるとの指
摘がなされるようになったのである。
【0005】そこで、このような問題は、使用するスパ
ッタリングタ−ゲットに起因するものであり、特にスパ
ッタリングタ−ゲットが焼結材であるが故に生じるもの
であると考えた本発明者等は、高純度モリブデン粉末を
焼結して得られた焼結インゴットを電子ビ−ム溶解して
モリブデン溶製材を作り、これを鍛造してスパッタリン
グタ−ゲットを製造する試験を行った。ところが、この
ようにして製造されたモリブデン製スパッタリングタ−
ゲットでは、前述した問題が多少は緩和されるものの、
それでも問題の解決は十分でなく、依然として満足でき
る結果が得られなかった。
【0006】このようなことから、本発明が目的とした
のは、機械的強度や耐熱応力性が十分に高くて取り扱い
の点で格別な問題がない上に、スパッタリング時のパ−
ティクル発生が少なく、かつ膜厚や膜特性の均一な薄膜
を安定して形成することができるTFT製造用のモリブ
デン又はモリブデン合金製スパッタリングタ−ゲットを
提供することである。
【0007】本発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意
研究を重ねたところ、次のような知見を得ることができ
た。 a) 粉末原料を焼結して作成した“焼結タ−ゲット”に
前記不都合が指摘される最大の原因は不純物の混入防止
に限界がある点にあり、タ−ゲットの製造を粉末冶金法
で行う場合には、特にO,N,C,S,H等のガス成分
の混入が多くなるのを十分に阻止することは実際上不可
能である。そして、この不純物たるガス成分がタ−ゲッ
トの機械的強度や耐熱応力性に微妙な悪影響を及ぼして
スパッタリング作業性を悪化させる上、高真空中でのス
パッタリング時に環境へ放出されてパ−ティクル発生の
大きな要因となる。しかも、粉末原料から一旦“焼結イ
ンゴット”を作成し、これを電子ビ−ム溶解して溶製材
とした場合でも、通常の電子ビ−ム溶解法では上述した
悪影響が出なくなる程度にまで十分な不純物除去が行わ
れないので、これを加工して得たスパッタリングタ−ゲ
ットであっても、依然として不純物に起因した上記問題
の解消は叶わない。その上、素材金属がモリブデンやモ
リブデン合金の場合には大気中で非常に活性であり、特
に高温に加熱すると大気中の酸素や窒素等のガス成分と
激しく反応して表面及び表面近傍が汚染されてしまう。
そのため、前記溶製材からタ−ゲットを作成すべく鍛造
等の熱間加工を施すとこの時点でのガス成分による汚染
も加わって前述した問題が顕著化するばかりか、ガス成
分で汚染されたモリブデン又はモリブデン合金は加工性
に乏しいので、これらに鍛造等の塑性加工を施すと低い
加工度でも割れ等の欠陥を生じることが多い。
【0008】b) ところが、モリブデン又はモリブデン
合金製スパッタリングタ−ゲットを製造するための素材
として特に“電子ビ−ムコ−ルドハ−スリメルト法”を
適用し、鋳造インゴットを造ると共に、その後の加工処
理での不純物ガス汚染の適切な防止策を講じると、材料
中に含有されるガス成分の合計含有量を100ppm 以下
という極めて低い値にまで低減することができ、上述し
た問題の十分なる解消が期待できるようになる。
【0009】c) そして、モリブデン又はモリブデン合
金の鋳造インゴットに鍛造等の熱間加工を施す際、該鋳
造インゴットに対して、従来は粉末材等の成型加工に用
いられていた“キャニング”を特に適用し、別材で鋳造
インゴットの全面をシ−ルしてから加工を実施すると、
大気中においてもガス成分による汚染の懸念なく安定し
た作業を行えるようになると同時に、欠陥(割れ等)発
生が極力抑えられて十分な加工度での加工が可能とな
る。
【0010】d) しかも、キャニングしたモリブデン又
はモリブデン合金の鋳造インゴットに熱間加工を施した
場合には、得られる加工材は強度や変形能の点で非常に
有利な組織状態を有したものとなり、この加工材に対し
ては通常の温間間又は熱間圧延や冷間圧延が適用できる
ため、これを素材とすればより安定した機械的特性や良
好な耐熱応力性能を有するモリブデン又はモリブデン合
金製スパッタリングタ−ゲットを得ることができ、これ
を使用した場合には安定した作業性の下で優れた性能を
発揮するTFTのゲ−ト電極や配線の形成が可能とな
る。
【0011】e) 更に、上記工程でモリブデン又はモリ
ブデン合金製スパッタリングタ−ゲットを製造するに際
し、使用する鋳造インゴットの結晶粒径,加工条件(加
熱温度,加工度,中間熱処理条件)等を制御することで
得られるタ−ゲットの平均結晶粒径を特定の値以下に調
整すると、スパッタリングによって形成される薄膜の均
一性が一層改善され、製造されるTFTの性能が一段と
向上する。
【0012】本発明は、上記知見事項等に基づいて完成
されたもので、「TFT製造用スパッタリングタ−ゲッ
トを、 合計のガス成分含有量が100ppm 以下である
“溶製したモリブデン又はモリブデン合金の塑性加工
材”にて構成するか、 或いは更に結晶粒径(平均結晶粒
径)が1mm以下に調整されて成る如くに構成した点」に
大きな特徴を有するものである。
【0013】なお、本発明に係るモリブデン又はモリブ
デン合金(モリブデンシリサイドを含むことは言うまで
もない)製のスパッタリングタ−ゲットは、例えば次の
方法によって製造することができる。即ち、電子ビ−ム
溶解した原料溶湯を一旦水冷式のコ−ルドハ−ス内に保
持して不純物を真空環境へ逸散させ、これをモ−ルド内
へオ−バ−フロ−させて連続的に凝固させつつインゴッ
トとして下方から引き抜く「電子ビ−ムコ−ルドハ−ス
リメルト法」にて得たモリブデン又はモリブデン合金の
鋳造インゴットを出発材とし、これをシ−ス材でキャニ
ングしてから熱間鍛造するか、或いはこの鍛造の後に更
に温間又は熱間圧延及び/又は冷間圧延を施してから機
械加工により所要寸法のタ−ゲットとする方法である。
【0014】つまり、「電子ビ−ムコ−ルドハ−スリメ
ルト法」にて得られる不純物含有量が極めて少ない鋳造
インゴットの使用は、諸性能(機械的強度,耐熱応力
性,特に非ガス放出性に裏付けられる非パ−ティクル発
生性,形成薄膜の均一性等)がより優れたモリブデン又
はモリブデン合金製スパッタリングタ−ゲットを得る上
で極めて好ましいことである。特に、一度溶解された溶
製材は熱歪に強く、耐熱応力性が著しく向上する。
【0015】しかも、「電子ビ−ムコ−ルドハ−スリメ
ルト法」により不純物含有量を極力低減し、かつキャニ
ングを施してガス汚染を防止して塑性加工を施すことで
特にガス成分含有量を合計で100ppm 以下に調整した
モリブデン又はモリブデン合金製スパッタリングタ−ゲ
ットでは、高真空中での使用時におけるガスの放出量が
極めて少なく、パ−ティクルの発生が激減する。
【0016】なお、出来ればタ−ゲット中に含有される
各ガス成分やその他の不純物成分は次のレベルにまで低
減することが好ましく、これは「電子ビ−ムコ−ルドハ
−スリメルト法」と「キャニングを施しての塑性加工」
の採用によって実現することが可能である。 〈ガス成分〉 O:50ppm 以下, N:50ppm 以下, C:50pp
m 以下,S:10ppm 以下, H:10ppm 以下。 〈その他の不純物成分〉 Nb:0.01wt%以下, Ta:0.01wt%以下, W:0.05wt
%以下,Fe:0.01wt%以下, Al:0.01wt%以下, N
i:0.01wt%以下。
【0017】そして、更に推奨されるのは、結晶粒径
(鋳造方向とは垂直の断面における平均結晶粒径)が3
0mm以下、好ましくは10mm以下に抑えられた高純度イ
ンゴットの使用である。モリブデン又はモリブデン合金
鋳造インゴットの結晶粒径が30mm以下(好ましくは1
0mm以下)になると、結晶粒の微細化によって粒界の総
面積が著しく増大するので結晶粒界におけるガス成分等
の偏析が小さくなり、結晶粒界における粒界面積当りの
不純物偏析量は極めて少ない値となる。そして、これが
著しい加工性の向上に結び付いて鍛造や圧延等の加工が
一段と容易化する。また、最終製品たるタ−ゲット中に
存在する不純物ガス量の低減や最終製品の結晶粒微細化
にも大きく寄与する。
【0018】ただ、このような微細結晶インゴットは、
既知の“電子ビ−ムコ−ルドハ−スリメルト法”をその
まま適用したとしても安定に得ることはできない。前記
インゴットは、モリブデン又はモリブデン合金材を電子
ビ−ムコ−ルドハ−スリメルト法にて溶製すると共に、
その際、モ−ルド内の溶湯プ−ルに振動を加えるか、該
溶湯プ−ルにモリブデン又はモリブデン合金の粒を添加
するか、或いはこれら両方の手立てを同時に実施しつつ
凝固を進行させて結晶粒の微細化を図り、かつモ−ルド
から引き抜かれる凝固材を二次冷却して冷却を促進させ
ることで結晶粒の成長・粗大化を防止することによって
得ることができる。
【0019】モリブデン又はモリブデン合金鋳造インゴ
ットのキャニングは、加熱・加工中の表面汚染による割
れ等の欠陥を防止し、かつ静水圧効果による3軸圧縮加
工を可能にして変形能が改善された組織を実現するため
に行われる。そして、この加工に有利な組織を有したモ
リブデン又はモリブデン合金では、比較的容易に温間又
は熱間圧延や冷間圧延を行うことができる。
【0020】なお、従来より粉末材等の成型加工に用い
られてきたキャニングを、特にモリブデン又はモリブデ
ン合金鋳造インゴットに適用して加工した場合の主な作
用効果をまとめると、次のようになる。
【0021】(A) 大気中においてもガス成分による汚染
の懸念なく成形加工を行えるようになる。 (B) 比較的強度が高くて厚肉のキャニング材を用いる
と、1軸方向の圧縮荷重のみではなく3軸方向の圧縮荷
重を被加工材(鋳造インゴット)に負荷できる静水圧効
果も加わって、加工(鍛造)時における欠陥(割れ等)
発生が効果的に抑えられる(モリブデン又はモリブデン
合金のような難加工性材料に対して前記の如き静水圧効
果は特に有効である)。
【0022】(C) 更に、高温に加熱した被加工材をハン
マ−又はプレス等の如き鍛造装置で加工する場合には、
冷えた金敷等の工具で支持して圧縮荷重を被加工材に負
荷するため被加工材の熱が工具に奪われ、被加工材の表
面温度が低下して欠陥発生の原因となるが、キャニング
を施しておくことでこのような温度低下も効果的に防止
され健全な加工を行うことが可能になる。なお、高温加
工中の温度低下を防止し、一定温度でしかも歪速度(加
工速度)を低く保ちつつ加工を行う方法として“恒温鍛
造法”が知られているが、この恒温鍛造法ではやはり高
価な装置を必要とする上、品質面からは好ましい加工法
ではあるが歪速度を低く保つことから生産能率面で好ま
しい方法とは言えない。
【0023】(D) つまり、上述した 「ガス成分の汚染防
止」, 「静水圧効果による3軸圧縮」及び 「表面温度の低
下防止」 の3つの効果を醸し出す“キャニング法”の採
用により、モリブデン又はモリブデン合金鋳造インゴッ
トを工業的に極めて有利な手段で板材,棒材,線材等へ
容易に成形加工することが可能になる。
【0024】キャニングは、例えば図1で示すように、
円柱状の被加工材たるモリブデン又はモリブデン合金イ
ンゴット1を被覆するため、市販の耐熱鋼(SUS31
6,SUS310等)製のチュ−ブを適当な長さに切断
したシ−ス2とその両端面を被覆する2枚の円板3(シ
−スと同材質が好ましい)とを用いて行えば良い。な
お、円筒状のシ−ス2と円板3とはTIG等の適当な溶
接方法で接合・密封される。図1における符号4は、こ
の溶接部を示す。
【0025】シ−ス2内径とモリブデン又はモリブデン
合金インゴット1との隙間(クリアランス)は小さいほ
ど良いが、このクリアランスが大きい場合でも残留する
ガス成分を除去するための脱気処理を行う必要はない。
ただ、クリアランスの容積が5%を超えると、モリブデ
ン又はモリブデン合金インゴット1の表面と接触するガ
ス成分量が多くなる結果となり、そのため加熱・加工が
終了した後に余分な皮剥きを必要とするので加工歩留が
低下することになる。
【0026】キャニング後の被加工材においてシ−ス材
が占める断面積は全体の10〜40%が適切であり、材
質に応じてこの範囲でシ−スの肉厚を調整するのが良
い。即ち、シ−ス断面積が10%未満であると、前述し
たキャニングの3つの効果のうち「静水圧効果による3
軸圧縮」及び「表面温度の低下防止」が十分でなく、一
方、シ−ス断面積が40%を超えると溶接等による接合
が困難となる上、キャニング材質によっては材料代が嵩
むことになる。
【0027】なお、シ−スの寸法及び材質は鍛造,押出
し前の加熱温度やインゴットの材質により決定される
が、静水圧効果をより期待する場合には肉厚は厚い方が
良く、材質は被加工材であるモリブデン又はモリブデン
合金インゴットの変形抵抗に近い特性を持つものが望ま
しい。一般的には、先に例示した市販の316ステンレ
ス鋼や310ステンレス鋼といった耐熱鋼がキャニング
材として望ましいが、より安価な炭素鋼でも厚肉とする
ことでキャニング材として用いることができる。
【0028】以上のキャニングを行ったモリブデン又は
モリブデン合金鋳造インゴットは、既に述べたように大
気中でも鍛造加工することが可能となり、これにより健
全な組織及び変形能を持った加工材を容易に得ることが
できる。つまり、このような手法によって得られた加工
材(鍛造材)には、一般の温間又は熱間圧延又は冷間圧
延、或いはこれら双方を施すことが可能で、優れた特性
を持ったより小さい寸法のモリブデン又はモリブデン合
金製板材等にまで容易かつ安定に成形加工することがで
きる。
【0029】鍛造等の熱間加工後に圧延(温間又は熱間
圧延及び/又は冷間圧延)を施して板材を得る場合に
は、次の加工条件を選ぶのが良い。即ち、まず温間又は
熱間圧延については、加熱温度500〜1200℃にて
圧下率50%以上の条件で行う。なぜなら、温間又は熱
間圧延に際しての加熱温度が500℃未満であると被圧
延材のエッジ部に割れを発生することが多くなり、一
方、1200℃を超える温度にまで加熱すると組織が粗
大化したり、表面汚染が激しくなるためである。また、
温間又は熱間圧延の圧下率が50%未満であると不均一
な断面組織となることが多く、均一な断面組織を得るた
めには50%以上、好ましくは60%以上の圧下率が必
要となる。
【0030】冷間圧延については、適当な処理によって
表面のスケ−ル層を除去した後に実施されるが、冷間圧
延での圧下率は30%以上とするのが良い。なぜなら、
圧下率が30%未満であると均一な断面組織を得ること
が困難な上に、冷間加工材特有の優れた表面性状を確保
することができないからである。また、冷間圧延におい
て、圧延方向を途中で変更しクロスさせて圧延すると、
面内異方性の小さな組織及び機械的特性を持ったモリブ
デン又はモリブデン合金板を得ることができ、これを素
材とするスパッタリングタ−ゲットの性能向上につなが
る。なお、温間又は熱間圧延や冷間圧延の際、必要に応
じて歪取り熱処理(真空熱処理)を施して良いことは言
うまでもない。
【0031】鍛造,温間又は熱間圧延或いは冷間圧延を
施して得られたモリブデン又はモリブデン合金板は、更
に800〜1200℃で 0.5〜4時間の真空熱処理を行
うことでより安定で均一な組織の焼鈍材とすることがで
き、スパッタリングタ−ゲットの素材として一層良好な
結果を期待できるようになる。この場合、800℃未満
の加熱温度では加工歪の除去が不十分であり、溶接等の
加熱で変形することがある。また、1200℃を超える
加熱温度では、結晶粒が成長粗大化して脆化を引き起こ
すことがある。加熱時間については、 0.5時間よりも短
いと歪の除去が不十分となり易く、一方、4時間を超え
る長時間加熱では結晶粒の粗大化を起こすことがあるた
め、加熱温度と相関した加熱時間が選ばれる。なお、上
記真空熱処理は10-4torr以上の真空下で実施するのが良
い。つまり、真空度が10-4torrよりも低いと表面のガス
汚染(O,Nとの反応)が懸念されるからである。
【0032】そして、これらの処理を経て得られたモリ
ブデン又はモリブデン合金の塑性加工材は機械加工によ
り所要形状・寸法のスパッタリングタ−ゲットに加工さ
れ、使用に供される。
【0033】この場合、上記モリブデン又はモリブデン
合金製のスパッタリングタ−ゲットは、前述したよう
に、より均一な薄膜形成のため平均結晶粒径を1mm以下
に調整しておくことが好ましい。平均結晶粒径が1mm以
下とすることで、形成する薄膜の均一性は著しく向上す
る。この結晶粒径の調整は、鋳造インゴットの結晶粒
径,加工条件(加熱温度,加工度,熱処理条件)等の制
御により可能である。
【0034】続いて、本発明を実施例により更に具体的
に説明する。
【実施例】まず、電子ビ−ムコ−ルドハ−スリメルト法
を適用した溶解・鋳造により、何れも結晶粒径が30mm
以下のモリブデンインゴット(直径:120mm)を製造
した。
【0035】なお、得られたモリブデンインゴットの化
学分析値は次の通りであった。 〔モリブデンインゴットの化学分析値〕 Al:0.0003wt%,Fe: 0.001wt%,Ti:0.01wt%以下,
W:0.02wt%,O:4ppm, N:1ppm以下,C:25ppm
,S:1ppm以下,H:1ppm以下,Mo: 99.95wt%以
上。
【0036】次に、このモリブデンインゴットを、SU
S316鋼製のチュ−ブ(肉厚20mm)と厚さ30mmの
円板とを使用して図1で示す如くにキャニングした後
(キャニング材は外径D:150mm,長さL:450mm)、これ
らを1200℃に加熱し加工率90%で熱間鍛造した。
【0037】次いで、上記鍛造板から機械加工によって
スパッタリングタ−ゲット材を切出し、これに1200
℃で1hrの真空熱処理を施してTFT製造用スパッタリ
ングタ−ゲットを作成した。このようにして作成された
スパッタリングタ−ゲットのガス成分含有量は鋳造イン
ゴットのそれと実質的に同じであり、平均結晶粒径は
0.5mmであった。ところで、図2は、上記スパッタリン
グタ−ゲット断面の組織写真図を示しているが、欠陥の
無い非常に均一な再結晶組織となっていることが確認で
きる。
【0038】そして、このスパッタリングタ−ゲットを
用いたスパッタリングによりTFTのゲ−ト電極及び配
線となる薄膜の形成を試みたところ、パ−ティクルを殆
ど発生することなく厚さや性能の均一な電極,配線が形
成され、得られたTFTは優れた性能を示すことが確認
された。
【0039】また、このスパッタリングタ−ゲットは十
分な強度を有している上、“室温”と“スパッタリング
時の高温”間の加熱冷却を繰り返しても割れを発生しな
い優れた耐熱応力性を備えていて、この点からもスパッ
タリング作業の安定化に大きく寄与することが分かっ
た。なお、この実施例では、鍛造加工を施して得たモリ
ブデン製スパッタリングタ−ゲットの例のみを示した
が、モリブデン合金を用いた場合や、塑性加工が“鍛造
のみ", "鍛造と熱間圧延のみ”更には“鍛造と冷間圧延
のみ”の場合にも、従来品に比べて著しく優れた結果が
得られることは確認済である。
【0040】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、機械的強度や耐熱応力性に優れ、しかもスパッタリ
ング時のパ−ティクル発生が少なく、かつ膜厚や膜特性
の均一な導電薄膜を安定して形成することができるTF
T製造用のモリブデン又はモリブデン合金製スパッタリ
ングタ−ゲットを比較的安価に提供することができ、T
FTの性能を一段と向上させ安定化することが可能にな
るなど、産業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インゴットのキャニング手法例を説明した概念
図である。
【図2】実施例で製造された本発明係るモリブデン製ス
パッタリングタ−ゲット断面の金属組織写真図である。
【符号の説明】
1 モリブデン又はモリブデン合金インゴット 2 シ−ス(円筒状) 3 円板 4 溶接部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合計のガス成分含有量が100ppm 以下
    であるところの、溶製したモリブデン又はモリブデン合
    金の塑性加工材から成ることを特徴とするTFT製造用
    スパッタリングタ−ゲット。
  2. 【請求項2】 結晶粒径が1mm以下に調整されて成るこ
    とを特徴とする、請求項1に記載のTFT製造用スパッ
    タリングタ−ゲット。
JP7905693A 1993-03-12 1993-03-12 Tft製造用スパッタリングタ−ゲット Pending JPH06264233A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7905693A JPH06264233A (ja) 1993-03-12 1993-03-12 Tft製造用スパッタリングタ−ゲット

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JP7905693A JPH06264233A (ja) 1993-03-12 1993-03-12 Tft製造用スパッタリングタ−ゲット

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JPH06264233A true JPH06264233A (ja) 1994-09-20

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ID=13679243

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JP7905693A Pending JPH06264233A (ja) 1993-03-12 1993-03-12 Tft製造用スパッタリングタ−ゲット

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JP (1) JPH06264233A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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