JP2004526491A - 拡散強調された磁気共鳴画像化データの取得方法および装置 - Google Patents
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Abstract
磁気共鳴画像化方法であって、撮像しようとする対象物内で励起した横磁化が、画像再構成に使用される有効エコー(E)の誘発前に拡散強調される、画像化方法を記載する。対象が動くと、拡散強調横磁化の中で、再構成画像内にアーチファクトを引き起こす位相変化が生じることがある。この妨害となる位相変化は、有効エコー(E)の誘発前に発生されるナビゲータ信号(N1、N2)の解析によって測定される。この測定結果を用いて、測定した位相変化が補償されるように、オンラインで修正介入(C0、C1、C2)によって横磁化の位相特性を変化させる。さらに、この方法を実施する磁気共鳴装置を記載する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴(MR)による対象物の局所解像検査に関し、特定的には、請求項1の序文に従い、拡散現象を際立たせて、選択した局所領域内の対象のMR挙動の空間的分布を表わす画像表示用のデータを取得する方法に関する。本発明の目的はさらに、この方法の実施のための装置である。
【背景技術】
【0002】
以下の明細書では、先行技術の記載および評価の際、一般的に入手可能の専門文献中の対応する該当箇所を挙げる。
【0003】
[1] E.O.Stejskal, J.E.Tanner. “Spin diffusion measurements: spin echoes in the presence of a time−dependent field gradient”. J Chem Phys, 42:288−292, 1965.
[2] V.Waluch, W.G.Bradley. “NMR even echo rephasing in slow laminar flow”. J Comput Assist Tomogr, 8:594−8, 1984.
[3] G.L.Nayler, D.N.Firmin, D.B.Longmore. “Blood flow imaging by cine magnetic resonance.” J Comput Assist Tomogr, 10:715−22, 1986.
[4] A.Haase, J.Frahm, D.Matthaei, W.Haenicke, K.−D.Merboldt. “FLASH imaging, rapid NMR imaging using low flip−angle pulses”. J.Magn.Reson., 67:258−266, 1986.
[5] J.A.Utz, R.J.Herfkens, G.Glover, N.Pelc N. “Three second clinical NMR images using a gradient recalled acquisition in steady state mode (GRASS)”. Magn Res Imag, 4, Supplement:106, 1986.
[6] M.L.Gyngell. “The application of steady−state free precession in rapid 2DFT
NMR imaging: Fast and CE−Fast sequences”. Magn Res Imag, 6:415−419, 1988.
[7] J.Henning, A.Nauerth, H.Friedburg. “RARE imaging: a fast imaging method for clinical MR”. Magn Reson Imag, 3:823−833, 1986.
[8] W.H.Perman, M.Gado, J.C.Sandstrom. “DPSF: snapshot FLASH diffusion/perfusion imaging”. In: Proceedings: 9th Annual Meeting of the Society of Magnetic Resonance in Medicine; New York, page 309, 1990.
[9] U.Sinha, S.Sinha. “High speed diffusion imaging in the presence of eddy currents”. J Magn Reson Imag, 6:657−66, 1996.
[10] K.D.Merboldt, W.Haenicke, H.Bruhn,
M.L.Gyngell, J.Frahm. “Diffusion imaging of the human brain in vivo using highspeed STEAM MRI”. Magn Reson Med, 23:179−192, 1992.
[11] M.N.Yongbi, S.Ding, J.F.Dunn. “A modified sub−second fast−STEAM sequence incorporating bipolar gradients for in vivo diffusion imaging”. Magn Reson Med, 35:911−916, 1996.
[12] D.G.Norris, P.Boernert, T.Reese, D.Leibfritz. “On the application of ultra−fast RARE experiments”. Magn Reson Med, 27:142−164, 1992.
[13] D.G.Norris, P.Boernert. “Coherence and interference in ultra−fast RARE experiments” J Magn Reson A, 105:123−127, 1993.
[14] F.Schick. “SPLICE: sub−second diffusion−sensitive mr imaging using a modified fast spin−echo acquisition mode”. Magn Reson Med, 38:638−644, 1997.
[15] G.Wider, V.Doetsch, K.Wuethrich. “Self compensating pulsed magnetic−field gradients for short recovery times” J Magn Reson A, 108:255−258, 1994.
[16] K.Oshio, D.A.Feinberg “GRASE (Gradient and spin−echo) imaging: a novel fast MRI technique”. Magn Reson Med, 20(2):344−9, August 1991.
[17] F.Schmitt, M.K.Stehling, R.Turner.
“Echo−planar imaging theory, technique and application”. Springer, Berlin, 1998.
[18] C.B.Ahn, J.H.Kim, Z.H.Cho. “High−speed spiral−scan echo planer NMR imaging − I”. IEEE Trans.Med.Imag., MI−5:2−7, 1986.
[19] K.Butts, J.Pauly, A. de Crespigny,
M.Moseley. “Isotropic diffusion−weighted and spiral−navigated interleaved EPI for routine imaging of acute stroke”. Magn Reson Med, 38:741−749, 1997.
上記該当箇所は、明細書本文中において、鉤括弧[]で上記参照番号を記載して表される。
【0004】
一般的なMR画像化方法では、調べようとする対象領域つまり「サンプル」が静磁場Boの中に配置され、選択した周波数にある少なくとも1つの電磁高周波パルス(HFパルス)と、それに続く、異なる空間方向での傾斜磁場のパルスとのシーケンスにさらされ、こうしてHF励起によりエコーが現れ、これらエコーがMR信号として検出されてサンプルの特徴の解明を与える。
【0005】
HFパルスのエネルギー含量は、平衡にあるスピン(縦磁化)との比における、励起されMR信号を送信できるスピン(横磁化)の量を決定する。この比の逆正接がHFパルスのフリップ角度と呼ばれる。
【0006】
スピンの共鳴周波数、およびこれに従い、励起するHFパルスと測定可能のMR信号との周波数は、特に局所磁場強度によって決定される。従って局所解像のために、全ての画像化方法において、信号検出中にいわゆる「読取勾配」(Read Gradient)が選択した空間方向で刻印され、これにより、この方向に沿った異なる場所に信号中のその都度異なる周波数を割り当てる(周波数符号化)。フーリエ変換によって、異なる周波数を分離でき、これに伴い異なる場所の寄与を分離できる。この方法により、「読取方向」(略:R方向)とも呼ばれる該当する空間方向での局所解像が可能になる。
【0007】
好ましくは読取方向と直交する第2の空間方向での局所解像のために、通常は被検信号の出現前に一時的に勾配が前記方向で刻印され、このためサンプル中で励起された振動(スピン)が、該当する空間方向に沿って位相においてずらされる。エコーごとのこの「位相符号化勾配」の時間積分の段階的変化によって、ある場所に由来する信号寄与の位相がエコーごとに変化する。「位相符号化方向」(略:P方向)とも呼ばれる前記方向に沿った異なる場所の信号寄与は、エコーの連続番号に関しフーリエ変換によって互いに分離することができる。周波数と位相は互いに別個に2つの空間座標(R方向およびP方向)に沿った位置に依存しているので、対象の2次元画像を再構成することができる。
【0008】
好ましくはR方向およびP方向の平面と直交し、「層方向」(略:S方向)とも呼ばれる第3空間方向での局所選択は、励起した周波数選択HFパルス中の前記方向への勾配の印加によって行われる。この「層勾配」によって、対象内の層が励起のために選択される。
【0009】
ほとんどの一般的なMR画像化方法は、前記の組み合せによる周波数符号化および位相符号化によって作動する。たとえば2次元N行画像を表示するには、順々にN個のエコーが生成され、ここで各エコーは別の位相符号化を有し、このNエコーシーケンスの各エコーが同じ方法で読取勾配によって周波数符号化され、MR信号として検出される。検出した信号の走査値から2次元データ行列、いわゆるK空間が形成され、その各々の並び、すなわち「行」が別の周波数符号化エコーに割り当てられ、該当するエコーの走査値を含む。行方向はK空間の周波数軸とも呼ばれる。それと直交するK空間の軸は位相座標としてスケーリングされる。すなわちこの軸に沿った並びの位置は、位相符号化勾配の積分によって決定される。このように構成したデータ行列は次に2次元フーリエ変換(2D−FT)にかけられ、こうして画像の画素値を得る。
【0010】
これほど一般的ではない他のMR画像化方法(投影再構成、スパイラル法による撮像)でも2次元K空間を走査するが、位相符号化方向と読取勾配方向との間の厳密な分離がこの方法でなくされている。この方法では一般的に、K空間は、直角でない定角軌道において非等間隔で走査される。従って、この方法のためには他の画像構成法も使用しなければならない。
【0011】
MR信号では3種類の方式が区別される。いわゆる「スピンエコー信号」は、第1HF励起パルス後一定時間で印加される付加的なHFパルスを利用する磁場不均質効果の再焦点合せにより生じる。いわゆる「勾配エコー信号」は、傾斜磁場(通常は読取勾配)の極性反転によって発生され、それによってこの勾配のそれまでの作用によって惹起された位相のずれの再焦点合せが行われる。いわゆる「誘発エコー」は、180°以外のフリップ角度を有する少なくとも3つのHFパルスのシーケンスによって発生する。
【0012】
N行画像の撮像に必要な全エコーシーケンスは、多種多様なMR部分実験によって発生させることができ、ここで各部分実験は、HFパルスおよび傾斜磁場切換過程のただ1回のシーケンスから、または同じシーケンスの複数回の繰返しによって構成されうる。
【0013】
磁気共鳴によって分析できるサンプルの特徴には、HFパルスによって干渉可能のスピンの密度のほかに、スピン磁化の異なる緩和時間定数、とりわけスピン格子緩和時間T1、スピン−スピン緩和時間T2および有効スピン−スピン緩和時間T2*が含まれる。またサンプル中の肉眼で見える流動現象、さらには拡散過程もまた、MR画像化方法によって可視化できる特徴である。MRシーケンスの種類、ならびにシーケンス内のHFパルスおよび勾配パルスの振幅関係および時間関係を意図的に選択することによって、発生するMR信号もしくはエコーの強度が、それぞれ特定の選択されたサンプルの特徴にかなりの程度依存するようにできる。こうして、画像であって、そのコントラストが該当の特徴によって「強調」されている画像を発生することができる。
【0014】
最近10年間で、拡散強調MR画像化方法が、たとえば脳梗塞の早期発見に重要性を増している。MR信号の拡散強調には種々のやり方がある。標準の方法は、1965年のStejskal−Tanner実験に基づく([1]参照)。これは、90°励起パルスと、それに続く180°再焦点合せパルスとを有するスピンエコーシーケンスに関するものであり、再焦点合せパルスの前後に振幅Gおよび持続時間δの勾配パルスが1つずつ印加され、添付図面の図1に示したように、第1勾配パルスの開始から第2勾配パルスの開始までの時間間隔はΔに等しくなる。拡散強調予備実験の変形例を図2および3に示す。図2は、各々が振幅Gと持続時間δとを有する2組の両極拡散勾配を有する二重スピンエコー予備実験であり、ここでΔは、第1組の第1勾配の開始から第2組の第1勾配の開始までの時間であり、aは各組の両勾配間の間隔の持続時間である。図3は誘発したエコーで作動する予備実験を示し、ここでは、連続する3つの90°HFパルスが印加される。第2HFパルスの前かつ第3HFパルスの後に、振幅Gおよび持続時間δの拡散勾配が1つずつ印加され、第1勾配パルスの開始から第2勾配パルスの開始までの間隔はΔに等しくなる。
【0015】
上記および類似の予備実験により、観察した容積中で拡散によって生じる分子運動は、次式
【0016】
【数1】
【0017】
(式中、Dは拡散定数である)に基づき、MR信号の振幅減衰を引き起こす。量b(いわゆるb値)は、それぞれの予備実験のパラメータおよびジャイロ磁気比γに依存する。図1および3に記載の例には次式が当てはまる。
【0018】
【数2】
【0019】
図2に記載の例には次式が当てはまる。
【0020】
【数3】
【0021】
有用な拡散強調、つまり拡散に由来する良好に識別可能な減衰を得るためには、一般的に500〜1000s/mm2の範囲のb値が必要である。たとえば図1による予備実験については、量定値G=40mT/m、δ=20msおよびΔ=30msで、陽子の場合580s/mm2のb値が達成される。しかしまた周知のように、拡散強調シーケンスはコヒーレント運動に対して敏感である。肉眼で見えるほどサンプルが運動すると、MR信号中には局所速度νに依存する位相変化が生じる。図1および3に記載の例には位相に関して次式が当てはまる。
【0022】
【数4】
【0023】
図2に記載の例には次式が当てはまる。
【0024】
【数5】
【0025】
上記の量定例を基礎におくと、肉眼で見える速度ν=0.5mm/sの運動時に位相変化はπに等しくなる。
【0026】
剛体の運動は、並進運動のベクトルと回転運動のベクトルとを示せば完全に記述可能である。回転運動は、空間的に対象上を進むMR信号の位相勾配を引き起こし、この勾配を記述するベクトルは次式
【0027】
【数6】
【0028】
サンプルの肉眼で見える運動は、多くの場合、特に対象が生きているときは除外できない。ヒトおよび動物の生体内検査では、意図的および生理的に惹起される運動(たとえば呼吸もしくは心拍による)を妨げることはできない。このような運動は、検査する対象領域に関して剛体の運動と比較可能であり、つまり「固体運動(Massivbewegungen)」である。該運動は一般的に、拡散強調MR実験が反応できる分子運動(10μm/100msのオーダー)よりもはるかに大きい。この場合、拡散は常にMR信号の低下のみを引き起こし、位相変化はないのに対し、剛体の肉眼で見える運動は、並進運動時には位相シフトを惹起し、回転運動時には位相分布中の勾配を惹起する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
拡散強調MR画像化方法のために、何らかの拡散強調予備実験、たとえば図1〜3に示した予備実験のうち1つの挿入によって従来のMR画像化シーケンスに変更を加えることができる。画像化シーケンスの場合、上記の運動による位相変化は、再構成した画像中にアーチファクトを惹起しうる妨害量である。つまり前記位相変化は状況により、局所解像のためにMR信号中に取り込まれる(位相符号化)位相情報と干渉することがあり、その結果、再構成した画像中にたとえば偽像のような妨害現象が見えるようになる。従って拡散強調MR画像化方法では、運動による位相変化が画像表示に与える影響を最小限にすることが望ましい。そのためにさまざまな方策が考えられる。すなわち、(a)それ自体、固体運動に対して敏感でない画像化シーケンスの適用、(b)補助措置によって固体運動に対しほぼ非鋭敏にされうる画像化シーケンスの適用、(c)運動による位相変化の影響の修正方法である。
【0030】
一般に用いられる運動非鋭敏性のシーケンスは、いわゆる「速度補償」を伴うシーケンスであり、これは、速度による位相拡散によって惹起される望ましくない信号ロスおよび望ましくない位相変化をなくすためにしばしば使用される([2]および[3]参照)。基本的に、あらゆる所望の時間的微分(部位それ自体、速度、加速度、加速度変化等)までの補償を達成することが可能である。しかしこの速度補償の技術によって、拡散のための感度すなわち拡散強調の強さが低下し、それによって画像中の拡散コントラストが比較的弱くなる。
【0031】
第2の運動非鋭敏性の画像化方法としてはいわゆるEPI(Echo Planar Imaging)を挙げることができ、ここでは、1回のHF励起から、読取勾配の極性の急速な交互変化によるエコーの急速なシーケンスが発生され、これは20〜80msの非常に短い時間間隔内で生じることができ、かつ生じなければならず、これにより運動が全く影響を及ぼさないようにする。しかしこのようなEPIによって撮像された画像の空間解像度は、続けて検出可能なエコーの数が非常に限られているので低くなるが、それは、当然短い有効スピン−スピン緩和時間T2*の時間定数によってエコー振幅が下がるからである。
【0032】
当然のことながら、位相変化と干渉しうる位相符号化が全く適用されない画像化方法もまた、運動によるMR信号の位相変化に対してあまり敏感ではない。これには「投影再構成(Projection Reconstuction)」(PR)および「ライン走査(Line Scanning)」(LS)として知られる技術が含まれる。PR法の場合、エコーごとに読取勾配の方向がそれぞれ1角度ステップ分だけ回転され、その結果エコーは、異なる視角からのサンプル容積体の連続的投影(X線コンピュータ断層撮像における投影に類似)を含み、次にここから全画像の画素を計算することができる。基本的にPR法は多種多様なMRシーケンスで使用することができ、そこで通常使用される位相符号化の代わりとなる。しかしながら、画像をぼやけさせる不均質性に対し画像品質がかなり敏感であることが欠点である。前記LS法の場合、2つの直交する層勾配を用いて、ライン投影として画像化が1次元で行われる。2次元の画像表示への拡張は、複数の平行のラインの取得によって行うことができる。しかしこの方法の欠点は、長い繰返し時間を必要とすること、および、拡散強調の際に、位相符号化により作動する画像化に比べ、撮影したラインの数をNとすると係数√N分だけ測定感度の損失をもたらすことである。
【0033】
EPIのほかに、現在MR画像化のために幅広く使用される他の取得技術は、実質的に2つしかない。すなわち名称FLASHとして知られるシーケンス(およびその変形したもの)([4]、[5]、[6]参照)および名称RAREとして知られるシーケンス(しばしばファーストスピンエコーまたはターボスピンエコーとも呼ばれる)([7]参照)である。しかしながら、従来これらシーケンスのいずれによっても、対象の固体運動の出現時にアーチファクトのない拡散強調画像を得ることはできなかった。但し、後述するように或る妥協をする場合は別である。
【0034】
FLASHは、それぞれフリップ角<90°による励起と、それに続く、読取勾配の極性反転によるエコー発生とを含む、短い繰返し時間TR<<T1による部分実験のシーケンスからなる。ここでは励起とエコー取得との間で効果的な拡散強調を挿入する機会はほとんどないが、それは、この場合エコー時間TEが長すぎ、T2*よりはるかに長くなり、Bo領域の不均質性が明らかなアーチファクトを引き起こしうるからである。
【0035】
FLASHシーケンスの拡散強調の手法は、縦軸の方向に進まなければならない準備的磁化であろう。すなわち古典的なStejskal−Tannerシーケンスを使用する場合、横磁化は90°HFパルスを利用して再び縦方向へ後進させなければならない(“Driven Equilibrium”、それ自体DEFTシーケンスとして知られる。[8]参照)。しかしながら生じうる対象の固体運動は、後進の90°パルスが印加される前に磁化の位相を変化させるので、直接的な信号ロスが生じる。この問題の[9]に提案された公知の解決案は、最後の90°パルスの直前に、位相がずれる勾配パルスをDEFTシーケンスの中に挿入し、励起とエコー取得との間において、等しいパルス面積の勾配パルス(振幅にわたる時間積分)をFLASHシーケンスの中に挿入することである。これによりMR信号は完全に運動から独立となるが、残念ながら信号強度(測定感度)もほぼ半減する。
【0036】
FLASHの拡散強調のもう1つのやり方は、誘発エコーの発生用の準備シーケンス、いわゆるSTEAMシーケンスを使用し、ここで標準STEAMシーケンスの最後の90°パルスの代わりに、連続するFLASH部分実験を挿入する。この場合、拡散強調には2つの公知の提案がある。第1案([10]参照)は、「混合時間」(mixing time)TMがSTEAMシーケンス内でT1により制限されるがT2では制限されず、それによって拡散強調において、対応するスピンエコーシーケンスの場合よりはるかに大きい値Δを選ぶことが可能であるという事実を利用する。従って同じb値を達成するために両方の変数Gおよびδは、上記式2により、エコー時間の大きすぎる延長なしにFLASHシーケンスの中へ拡散強調勾配を挿入できる程度にまで縮小させることができる。第2案([11]参照)では、STEAMシーケンスにおける初めの2つの90°パルスの間に、完全な拡散強調のために両極勾配パルスを挿入し、FLASHシーケンス自体を変更させずにおく。しかし残念ながら、誘発エコーの利用もやはり、信号強度の50%ロスをもたらす。
【0037】
RAREは、90°パルス後に励起された横磁化を、連続するHFパルスの連鎖によって何度も再焦点合せして、スピンエコーの対応する連鎖を発生させる、高速スピンエコーシーケンスである。このようなシーケンスは、横磁化と再焦点合せHFパルスの位相との正確な位相関係を規定するCarr−Purcell−Meiboom−Gillの条件(いわゆるCPMG条件)が満たされている場合にのみ、アーチファクトなしの画像を提供することができる。つまり、拡散強調準備実験がアーチファクトをもたらす可能性があることが容易に分かる。これら再焦点合せHFパルスが純粋な180°パルスであるならば、磁化の位相を画像再構成前に修正することも可能であろう。しかしながらこれは、利用されるHFパルスがほんの僅かであるエコーシーケンスの場合でない限り非現実的である。但し、特別の付加的措置が講じられる場合は別である。拡散強調画像は、16までの再焦点合せHFパルスによるエコーシーケンスで得られた。そのフリップ角が180°未満のときは、偶数パリティのエコー群と奇数パリティのエコー群との間の干渉が信号ロスをもたらす。この問題を解決するための公知の案では、両群の一方を消去し、このようにCPMG条件を満たすことの問題をなくし([12]、[13]参照)または両群を別々に取得する([14]参照)。これは全て、2分の1に低減されるシーケンス全体の測定感度に影響を及ぼす。
【0038】
さらに、対象の固体運動の望ましくない効果を修正することによって、運動非鋭敏性のシーケンスを使用したり、または運動鋭敏性のシーケンスを特別の措置によって運動非鋭敏性にしたりすることへと制限される必要をなくす方法も公知である。最も重要な修正方法は、いわゆる「ナビゲータエコー」の使用を含む。この方法の基本をなす考えは、各拡散強調実験と組み合せてナビゲータ実験を挿入し、付加的なエコーを前記ナビゲータエコーとして位相符号化なしに取得することにある。選択されたナビゲータエコーにおいて測定された位相シフトは、次に実際の画像化シーケンスのエコー中の位相を修正するためにに使用される。これは並進運動の補償には充分である。しかし読取勾配の方向と平行に位相勾配を生じさせる回転運動は第1位の位相修正を必要とし、前記方向と直交する位相勾配により、修正不能の信号ロスが生じる。そのため従来は、拡散強調勾配が位相符号化勾配の方向と平行である場合にのみナビゲータエコーによる修正を用いることが勧められていた。しかしながらこれはいくつかの画像化シーケンスにとり不可能な制約である。
【0039】
2次元ナビゲータ実験を利用すれば、より包括的な修正が実現可能である。それによって、位相符号化勾配の方向にある、運動による位相勾配を補償することも可能になる。この修正は、取得したデータが遡及的にK空間内の「正確な」位置に、すなわち運動によって発生した位相勾配と位相符号化勾配との合計に相当する座標に移動されることによって行われる。等間隔行列へのK空間内の格子の換算(“Regridding”)の後、画像再構成を行うことができる。しかしNyquistの定理が満たされる保証はないが、それは、位相勾配が拡散強調と運動との各組み合わせごとに異なりうるからである。上記式6は、回転運動によって発生した位相勾配があることになる平面を定義する。この回転運動の効果を完全に修正するためには、たとえば螺旋状走査を利用して、この平面の全体を走査することが最善である。多くの場合、2つの直交するナビゲータ選択を用いるだけで充分である。しかしながら、K空間の中心が回転運動によって大きく両軸から離れた場所へ移動するときは、それによって発生する信号ロスが修正全体を無効にしうる。
【0040】
つまり上述のように、拡散強調MR画像化方法における運動修正の多くの公知の方法では、回復不能の信号ロスを受け入れなければならない。本発明の課題は、拡散強調MR画像化方法におけるナビゲータ情報によって動作する運動修正のために、この種のロスがほぼ回避される技術を提供することである。、本発明に従いこの課題は、請求項1に要約した方法特徴によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0041】
従って本発明の出発点は、選択した対象領域内における対象の磁気共鳴挙動の空間的な分布を表わす、画像表示用のデータの取得方法であって、前記対象領域が定常かつ可能な限り均質の縦方向の磁場に配置され、かつ異なった空間方向でのHFパルスおよび傾斜磁場パルスのシーケンスにさらされ、こうして定常の磁場を横切る磁化についての、位置に依存する符号化された一連の有効エコーが現われ、前記有効エコーが、表示されるべき画像の再構成用のデータセットとして取得され、横磁化を励起するHFパルスと有効エコーの誘発との間に拡散強調シーケンスが挿入され、前記拡散強調シーケンスが、前記選択した対象領域内の拡散過程に依存する横磁化の減衰をもたらし、前記拡散強調された横磁化からエコー発生によりナビゲータ信号が発生され、前記ナビゲータ信号の特性が、前記対象の動きで生じる画像アーチファクトの修正用の情報として用いられる、データ取得方法である。本発明は、ナビゲータ信号の位相特性における、前記画像アーチファクトを引起こしうる妨害量のうち少なくとも1つが、有効エコーの誘発前に測定され、有効エコーが誘発される横磁化の位相特性を、測定された量の補償のために変化させるために、前記測定の結果が用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
本発明は、拡散強調の場合に対象物の運動によって持ち込まれた位相変化を「オンライン」で修正する、つまりK空間内で書き込む局所解像の画像情報を含むMR有効信号の取得後でなくても修正する方法を提供する。つまり有効信号は、その取得時にすでに運動による妨害成分から解放されているため、運動による画像アーチファクトの抑制のために画像再構成時のデータの操作がもはや不要になる。従ってこのような操作に結びつく欠点、特にNyquistの定理の非履行の危険性および付加的な換算アルゴリズムの負担が省かれる。
【0043】
本発明は、画像化シーケンスの多種多様の方式、従来危惧されていた拡散強調の運動アーチファクトのため入手可能でない方式、または妥協によって運動非鋭敏性にされなければならなかった方式の使用を可能にする。特に50%信号ロスを容認するような妥協をする必要がなくなる。特に拡散強調RAREシーケンスの場合に、本発明による修正方法は、対象の固体運動にもかかわらず、全てのHF再焦点合せパルスのCPMG条件を満たすことができるという付加的な長所を有する。この条件の非履行は周知のように、取得後の後からの位相修正によって修正できない不可逆的な信号ロスを生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明による方法を実施するための装置の本質的な特徴は請求項17に記載されている。本発明の好ましい実施形態はそれぞれ従属請求項に記載する。
【0045】
本発明のより詳細な説明のために、以下、まず有利な実施形態を付属の図面を利用して説明する。この実施形態はRAREシーケンスによる拡散強調MR画像化での本発明による修正方法の適用を含むが、これは一例にすぎず、本発明は当然のことながらこれに制限されない。
【0046】
図示した時間線図は実寸どおりに描かれていないことを述べておく。すなわち個々の時間部分も振幅も、その実際の相互の大きさの割合に忠実に描いていない。
【0047】
本発明による方法は、大幅に簡略化したブロック図で図4に示すようなMR機器によって実施できる。図示したMR機器は、測定ステーション10、電源部20、制御部30およびコンピュータ40を含む。測定ステーション10は、一般に行われているように、一定の均質な(「縦方向の」)B0領域を発生する磁石11と、3つのコイルセット12、13、14とを含むことができ、これらはB0領域に3つの勾配Gx、GyおよびGzを刻印する磁場を発生できるように空間的に配置されて巻かれ、これら勾配のうち通常1つ(Gz)はB0領域と平行に、そして他の2つ(GxおよびGy)はB0領域と垂直に、かつ互いに垂直に向けられる。コイルセット12、13、14の選択した見本の、組合せた同時的な励起によって、結果としての傾斜磁場を、それぞれ選択可能の強度で任意の空間方向に発生させることができる。
【0048】
測定ステーション10内にはさらに、HFパルス、特に横磁化の励起と再焦点合せとに必要なHFパルスが伝達されるコイル配列15を設けている。このHFコイル15は一般的に、対象から放出されたMR信号の受信にも利用される。電源部20は、B0磁石11用の電源ユニット21、勾配コイル12、13、14用の電源ユニット22および、コイル15用のHFパルスを供給する高周波発生器23を含む。制御部30は、それぞれの勾配コイルに供給される電流の持続時間および振幅、ならびにHFパルスの持続時間、振幅、周波数、位相および包絡線を制御する。さらに制御部30は、選択した時間周期で、かつ図示したゲート回路50で表した選択した走査周波数で、コンピュータ40への、HFコイル15から受信したMR信号の選択を制御する。選択した走査値がディジタル化され、K空間を形成するメモリに記憶される。ディジタル化に必要なA/D変換器およびメモリはコンピュータ40に内蔵することができる。
【0049】
この形式のここまで記載したMR設備は公知であり、市場で入手できるため、装置上の詳細のさらに詳しい説明は不要である。新規かつ本発明に従い形成されるのは、選択回路50の出力部から、勾配コイル電源ユニット22と、付加的なコイル11a用の電源ユニット22aとに通じる、付加的な修正制御区間60である。このコイル11aは、検査される対象領域でB0領域と平行であり前記領域全体に一様な場の強さを有する均質な磁場Bzを励起時に発生するように配置され、こうしてB0領域を選択的に(極性に応じ)増加または減少させる。
【0050】
付加的な制御区間60は選択式にオンにすることができ、この制御区間はコンピュータ40と同様に選択回路50から供給されたMR信号を受信し、運動による位相変化の本発明による修正に用いられる。この制御区間は図示した例の場合で専用のA/D変換器61、修正プロセッサ62および、コイル電源ユニット22および22a用のドライバ回路もしくは駆動回路63を含む。制御区間60は独立のハードウエアによって形成してもよく、または全部または一部について制御部30の中に内蔵しても、もしくはコンピュータ40の部分を共に利用してもよい。
【0051】
コンピュータ40は、K空間メモリの中に書込まれたデータから、数学的変換によって画像再生用の画素行列を得る。HFパルス用の時間、周波数、位相および振幅のパラメータの量定と、準備シーケンスおよび画像化シーケンスにおける傾斜磁場用の駆動信号の発生と、選択回路50の作動とのための制御部30はそれぞれ、データ取得するプロセスが、その都度選択した本発明による方法の実施形態に従って進行するように、プログラミングされる。当然のことながら、制御部30も同様に、全部または一部を、コンピュータ40に内蔵可能である。
【0052】
本発明による方法の実施のために、被検対象はコイル11、11a、12、13、14によって取り囲まれた空間の中に持ち込まれ、HFコイル15は被検対象がその影響領域にあるように配置される。次いで、制御部30に供給された選択したプログラムに従ってHF発生器23、コイル電源ユニット22、22aおよび選択回路50が制御され、選択したシーケンス用の必要なHF、Bzおよび勾配のパルスを印加し、現れるエコー信号を選択する。
【0053】
図5に示した例において、対象における選択した領域内にスピンの横磁化を励起するために、第1の時点t0で90°のフリップ角度をもつHF励起パルスが発生される。拡散強調がそれに続く。図示した場合では、それ自体公知([15]参照)であるように、渦電流の影響を最小限に抑制するために、両極拡散勾配制御および二重スピンエコーによる図2に示す実験が拡散強調シーケンスとして選択されている。初めに、一般的にU方向と呼ばれる何らかの任意の所望の空間方向に第1「拡散勾配」パルスが印加される。時点t1=t0+τ1で180°HFパルスが続き、次いでU方向に第2拡散勾配パルスが続く。渦電流の観点から、第1拡散勾配パルスを可能な限りこのHFパルスの前で印加し、第2拡散勾配パルスをこのHFパルスの直後に印加することが有利である。時点t4=t0+2τ1で第1スピンエコーの最大値が現れる(図示せず)。t1から測定して、長さτ2>τ1の別の間隔後に拡散勾配パルスと180°HFパルスの同じシーケンスが繰り返される。時点t0+2τ2で第2エコー信号(図示せず)の最大値が第1スピンエコーのスピンエコーとして現れる。
【0054】
各々の拡散強調シーケンスによって、励起した横磁化は、上記式1に従い、所望の、拡散定数Dに依存する減衰を受けるが、残念ながら望ましくない運動依存性の位相変化も受け、これは並進運動に起因する位相シフトと、回転運動に起因する位相勾配とから構成されうる。図5に示した例において、上記式5による位相シフトと、上記式6による位相勾配とが記述されている。望ましい減衰も望ましくない位相変化も上記第2スピンエコーにおいて明らかとなる。
【0055】
前記の望ましくない横磁化の位相変化(位相シフトおよび位相勾配)は、後続の画像化シーケンスによって取得されるデータの画像において運動によるアーチファクトを惹起しうる妨害量である。たとえばRAREのようないくつかの画像化シーケンスでは、場合によっては修正する必要がないほど影響が小さい位相勾配よりも、位相シフトははるかに強いアーチファクトを引き起こす。しかし図5には位相シフトも位相勾配も補償する措置を示している。
【0056】
上記式6により、対象の回転運動はU方向(拡散勾配の空間方向)に垂直の、以下「修正平面」と呼ばれる平面内に位相勾配を惹起する。その結果、位相勾配の総量と方向がこの修正平面内で算出され、補償のために対応する大きさの傾斜磁場が反対方向に印加される。補償されるべき位相勾配の総量および方向は、修正平面に割り当てられたK空間内で、最大信号強度のシフトのベクトルによって識別可能である。このシフトベクトルは前記K空間の走査によって算出できる。ほとんどの実際の場合では、2つの互いに垂直に位置し原点を通る軸上で走査するだけで充分である。そのため図5に示した例では以下のように行われる。
【0057】
U方向に垂直の修正平面内に2次元デカルト座標系が定義され、その軸方向がVおよびWと呼ばれる。位相勾配のこの方向に進む成分(V成分およびW成分)は互いに独立して測定される。
【0058】
位相勾配のV成分およびW成分の測定のために、準備シーケンスの第2スピンエコー中に相前後してt4の直前および直後の時点t3およびt5で2つの勾配エコーN1およびN2が発生し、その第1の勾配エコーは印加と、それに続くV方向(Gv勾配)への傾斜磁場の極性転換とによって発生する。この勾配切換による再焦点合せエコーN1は、V方向で位置に依存して周波数符号化されている。第2勾配エコーN2は、印加と、それに続くW方向(Gw勾配)への傾斜磁場の極性転換とによって発生し、W方向で位置に依存して周波数符号化される。両方の傾斜磁場は、その時間積分をそれぞれ零にするために、その遮断前にもう1回反転される。
【0059】
両方の勾配エコーN1およびN2は、図4に示したMR機器で、選択回路50の対応する走査によって「ナビゲータエコー」として選択され、この時間でオンにされる修正制御区間60によって受信される。A/D変換器61内のエコー信号のディジタル化後、修正プロセッサ62で位相勾配の振幅および極性が両方のエコーの各々で算出され、それによって横磁化の位相勾配のV成分およびW成分を得る。位相勾配はエコーの時間シフトΔtに比例し、これはたとえば、実際のエコー最大値と、このエコー最大値が位相勾配の誤りの際に現われるであろう基準時点trefとの間の時間差の測定によって検出できる。
【0060】
算出した位相勾配のV成分から、このV成分を補償するために、V方向に印加する傾斜磁場パルスの時間積分(持続時間全体の振幅)がどれだけ大きくなければならないかが計算される。同様に、算出した位相勾配のW成分から、このW成分を補償するために、W方向に印加する傾斜磁場パルスの時間積分がどれだけ大きくなければならないかが計算される。修正する傾斜磁場パルスの時間積分の計算は次式によって行うことができる:
【0061】
【数7】
【0062】
(式中、Gnavは該当するナビゲータエコーN1もしくはN2中の傾斜磁場の振幅である)。次に駆動回路63が電源ユニット22を駆動するようにし、こうして、勾配コイル12、13および14は、対応して修正する傾斜磁場パルスC1およびC2を時点t6でV方向もしくはW方向に発生する。結果的に、対象の回転運動によって惹起される横磁化の位相勾配のV成分およびW成分、つまり「第1」位の位相変化のV成分およびW成分が消滅する。
【0063】
対象の並進運動によって惹起される位相シフトの修正つまり「第0」位の位相修正のために、全スピンの位相を同時に必要な程度で変化させなければならない。そのために様々なやり方がある。第1の本発明による方法は、被修正位相シフトの方向および量に応じて、B0領域を一時的に増幅または減衰することである。そのために好ましくは同様に時点t6でBzコイル11aを利用して、帰属する電源ユニット22aによって制御されて、対応する大きさの磁場パルスC0を印加することができ、その時間積分(持続時間全体の場の強さBの振幅)を同様に修正プロセッサ62でナビゲータエコーから、しかも次式によって計算することができる。
【0064】
【数8】
【0065】
(式中、ΔΦはエコーを拡散強調なしにもちうる基準位相Φrefに対する、該当するナビゲータエコーの位相シフトである)。
【0066】
第0位の位相修正の第2の本発明による方法は、特定のHFパルスの位相を画像化シーケンス時またはその前に変化させることである。このシーケンスがHF再焦点合せで作動する場合(たとえばRAREシーケンスのように)、第0位の位相修正は、ΔΦ+πまたはΔΦ−π分だけ再焦点合せHFパルスの位相の変化によって達成することができる。
【0067】
Δtを測定する基準時点trefおよびΔΦを測定する基準位相Φrefは、計算または実験によって決定できる。基準時点trefの決定はたとえば、ナビゲータ勾配エコーが誘発する交替勾配パルスシーケンスにわたる常時間積分が初めて零に戻る時点を検出または計算することによって行うことができる。基準位相の決定は、MR機器の一定の較正によって行うことができ、それによってスピンエコーの位相(時点t4)は常時計算可能である。この位相は、並進運動が存在しないときは、ナビゲータエコーを有する位相に相当し、それによって基準位相になる。
【0068】
基準量trefおよびΦrefの純実験的決定は、独立の基準予備実験を利用して行うことができ、ここでナビゲータエコーは有効実験と同じ方法で発生されるが、拡散勾配はない、または無視できるほど弱い。この場合、続く有効実験で時間シフトΔtおよび位相シフトΔΦを拡散強調ナビゲータエコーで決定するために、最大値の時点と各ナビゲータエコーの実位相とがそれぞれ量trefおよびΦrefとして測定および記憶される。基準予備実験は、画像化シーケンス有りまたは無しで実施され、望ましい場合は個々の結果を平均するため数回繰り返されうる。
【0069】
拡散強調の方法が一義的な方向をもたないとき、たとえば拡散テンソルの軌跡をただ1回の実験で測定する方法の場合などは、3次元K空間をナビゲータで走査する必要が生じうる。そのために第3ナビゲータエコーN3をU方向への周波数符号化により発生させ、そこから派生する修正傾斜磁場パルスC3を、図5に点線で示したように前記方向へ発生させなければならない。
【0070】
図6は、拡散強調、ナビゲータ発生および運動修正の図5に示すシーケンスを、RARE画像化シーケンスと組み合せたものを例示する。図6でGS、GRおよびGPで表した行は、画像化シーケンスの対象走査方向での傾斜磁場を示す。つまり層方向(S方向)、読取方向(R方向)および位相符号化方向(P方向)の勾配である。
【0071】
図6により、90°HF励起パルスが時点t0で、層勾配としてのGS勾配の存在下に層選択パルスとして印加され、それによって横磁化は、S方向と垂直な平面を有する薄層内部でのみ励起される。HF励起パルスの終了後、層勾配の極性はその遮断前に一時的に反転され、こうして勾配によって生じたスピンの焦点ぼけを元に戻す。
【0072】
次いで拡散強調、ナビゲータ発生および運動修正が上記図5を利用して説明したように続くが、ただし、拡散強調シーケンスの両方の180°HFパルスが層選択パルスとしてそれぞれGS勾配の存在下に印加される。
【0073】
さらに、図示した例の場合において拡散勾配の方向(図5のU方向)は、画像化シーケンス内の対象走査のS方向に等しく、それによってアーチファクトを惹起する位相勾配のV成分およびW成分はまさに画像平面内にあり、つまりR方向およびP方向の成分として処理できる。それによって図5の場合はナビゲータエコーN1およびN2がR方向もしくはP方向に符号化され、修正する傾斜磁場パルスC1およびC2はR方向もしくはP方向に印加される。
【0074】
それに続き、修正制御区間60の遮断と、制御装置30内の傾斜磁場制御の再投入とにより、実際の画像化シーケンス、本例ではN回連続する周期のサイクルをもつRAREシーケンスが生じる。RAREシーケンスの第1サイクル前に、時点t7でもう1つのいわゆる“Read−Dephase”傾斜磁場パルスがR方向に印加され、これはRAREシーケンスの有効エコーEが各取得窓の中心に入ることを確実にする。各RAREサイクルは通常、層選択的なHF再焦点合せパルスから始まり、次にR方向への位相符号化傾斜磁場パルスと、R方向に進む読取勾配パルスの存在下の再焦点合せスピンエコーの検出とが続き、位相符号化を元に戻すP方向への巻戻勾配パルスが続く。位相符号化パルスおよび巻戻パルスの振幅は、画像が再構成されるK空間の異なる行を満たすためにサイクルごとに変化される。全ての前記プロセスは慣例の方法でコンピュータ40と図4に示したMR機器の制御部30とによって進行する。
【0075】
上に図6を利用して説明した全シーケンスにより、種々の生体内実験を健常者のヒトの脳で実施した。MR機器として、傾斜磁場45mT/mを320μs以内に切替えることができるブルーカー(Bruker)社の型式“3T/100Medspec”を使用した。HF励起および測定のために送信機/受信機15に直径280mmの鳥かご形共振体を使用した。撮像は同時に撮像したEKGとの時間基準でトリガした。
【0076】
修正制御区間60(図4)に対して、修正プロセッサ62を形成したパーソナルコンピュータの監視下に専用のA/D変換器61による実時間データ測定および処理用の独立の基板を使用した。駆動回路63には16ビットD/A変換器を使用した。
【0077】
拡散強調準備シーケンスは、92msの全エコー時間2τ2で実施した。拡散強調はb値804s/mm2に固定した。何度も繰返した基準予備実験において、無視しうる拡散強調をもつデータセットを予め取得し、このように得たナビゲータエコーは、修正の計算用の基準量として、位相とエコー最大値の時間との平均値を提供するために平均値をとった。
【0078】
修正制御区間でのエコーデータの走査は、周波数104kHzと、解像度14ビットとで行った。それぞれのエコー最大値の位置は、二次3点補間法によって決定した。拡散強調ナビゲータエコーでの位相シフトおよび位相勾配は、前記基準によって測定した。第1ナビゲータエコーは、第0位の修正計算に使用され、両方のナビゲータエコーにおける測定された位相勾配の強度は、R方向およびP方向における2つの修正の傾斜磁場パルスの振幅計算に使用された。
【0079】
好ましくは、ここに報告した場合で生じるように、得られたナビゲータエコーは、その振幅がノイズレベルより一定の最少範囲以上にある(ここに報告した場合では10倍以上)場合にのみ実際に修正に考慮される。EKGベースのトリガでは、これが通常予想される。
【0080】
前記構成により、800μs以内にナビゲータエコーをディジタル化し、修正の磁場パルスを計算し、かつ出力することが可能である。Bzコイル11a(図4)としては、使用したMR機器にはいずれにせよ存在する渦電流修正コイルを使用した。修正パルスの出力が、実際の画像化シーケンスで使用されたいずれの傾斜磁場パルスとも一致しないようにした。しかし基本的に、修正パルスは画像化シーケンスのそれぞれの第1傾斜磁場パルスに加算することができる。全ての修正パルスの持続時間は1msに固定され、それによって測定および修正に要する全時間は2ms未満になった。この場合に使用した再焦点合せおよび脱焦点合せ勾配パルスを含む両方のナビゲータエコーの発生に要する全時間は5.6msになった。
【0081】
それに続くRARE画像化シーケンスは、好ましくはフリップ角度120°をもつガウスのHF再焦点合せパルスの使用下に実施した。こうして、対象への出力結合があまりにも高くなる危険なしに、より短い繰返し時間が可能となり、シーケンス内部でより多くのエコーを取得することができる。層厚は5mmに指定し、RAREシーケンスのエコーデータは装置専用のコンピュータ40を利用して取得帯域幅25kHzで読取り、K空間に256x256行列の形で書き込んだ。RARE係数(励起あたりのエコー数)は16、RAREシーケンスのエコー時間は18.8msになった。
【0082】
図7の左側は、前記機器およびシーケンスパラメータをもつ拡散強調および運動修正したRAREシーケンスの使用下の健常者の脳の層のMR写真であり、トリガはEKGのR波の検出後400msで行った。右図は、比較のためにEKGベーストリガを含む左図の場合と同じパラメータを用いたが、運動修正をオフにして撮像した同じ対象領域の撮像である。ここに現れる運動アーチファクトは、明らかに重大である。それに対し左図は実質的にアーチファクトがなく、明らかに脳梁の2つの部分、脳梁膨大部および、中心線で高明度構造としての大鉗子が現れている。さらに脳幹神経節(特に尾状核の頭部)の部分は、両側に低明度構造として識別可能である。内包は全部分(前部および後部頭蓋ならびに膝部)で良好に同定可能であり、視丘も同様である。
【0083】
当然のことながら、上で図6を利用して説明した実施例のほかに、別の実施形態または変形も本発明思想の枠内で可能である。拡散強調準備シーケンスの形成に関しては、任意の別の変形、たとえば図1に示したように[1]によるStejskal−Tanner実験の標準型式、または図3に示したようにスピンエコーの代わりに拡散強調誘発エコーの発生による別形を使用することができる。
【0084】
当然のことながら、拡散勾配の方向が画像化シーケンスのS方向と一致せず、それに対して多少斜めのときは、これら勾配は対象走査のR方向およびP方向の成分を有してもよい。このような場合は、拡散勾配の方向と垂直の平面は、当然のことながらR−P画像平面とは一致しない。それにもかかわらず、いくつかの場合には、修正傾斜磁場をこの平面の方向にのみ印加するだけで充分でありうる。しかしいずれの場合でも、ナビゲータエコーの周波数符号化の方向と、修正傾斜磁場の方向とが正確に拡散勾配の方向と垂直の平面内にあるならば、より良好な結果を得ることができる。この場合、周波数符号化勾配と修正勾配はS方向、R方向およびP方向への各成分を有することができる。
【0085】
ナビゲータエコーとして、図6に示した勾配エコーの代わりにスピンエコーまたは誘発エコーを取得することができる。ナビゲータエコーが第0位の位相修正の計算のためにのみ考慮される限り、周波数符号化は当然のことながら不要である。
【0086】
すでに示したように、本発明はRARE画像化シーケンスに制限されない。つまり本発明によるオンライン修正は、たとえばGRASE([16]参照)またはスピンエコーEPI([17]参照)など、HF励起後にHF再焦点合せを伴って作動する任意の別のスピンエコー画像化シーケンスと組合せても使用することができる。第0位の位相修正は、上述のようにΔΦ±π分の再焦点合せパルスの位相変化によって生じさせられうる。
【0087】
さらに同様に、本発明は、たとえばすでに述べたシーケンスFLASHおよびSTEAMのように、拡散強調後の新しいHF励起パルスで始まる画像化シーケンスと組み合せても適用可能である。しかしながらこの場合は、画像化シーケンスの開始前の最後のスピンエコーの時点で、横磁化を縦軸上で回転するフリップ角度90°を有するDEFTパルスを導入する必要がある。第0位の位相修正のために、この90°DEFTパルスだけが位相変化ΔΦを受ける必要がある。
【0088】
図8はN個の部分実験(図右側)からなる或るFLASH画像化シーケンスを例示し、これは、それぞれ層選択HF励起パルスα<90°と、再焦点合せ極性反転によるS方向の層勾配と、部分実験ごとに変化されるP方向の位相符号化と、極性反転が有効エコーEとして勾配エコーを惹起するR方向の読取勾配とを有する。
【0089】
図8記載の例で拡散強調は、図1に示したStejskal−Tanner実験を利用して行われ、拡散勾配は図6の場合のようにS方向へ印加される。時点t0で印加した90°励起パルスに時間間隔τ1後に180°再焦点合せパルスが続き、それによって時点te=t0+2τ2でスピンエコーの中心が現れ、ここで90°DEFTパルスは、横磁化をX−Y平面から戻して縦Z軸へ進めるように印加される。そのために必要なDEFTパルスの位相は、公知のように、先行するHFパルスの位相に依存する。可能な位相方式(+x、+y、−x)を図8に記載する。スピンエコーの分枝の増加中、可能な限りteの直前で、両方のナビゲータエコーN1およびN2が、図6の場合と同様に、R方向およびP方向の周波数符号化された勾配エコーとして発生される。次にこれらナビゲータエコーから、第1位の位相修正のための、R方向もしくはP方向における、位相勾配を補償する傾斜磁場パルスC1およびC2と、第0位の位相修正のためのB2磁場パルスC0とを、上で図5および6を利用して説明したものと同じ方法で算出および励起できる。上述のように、第0位の修正は代替的にΔΦ分だけDEFTパルスの位相を変化させることによっても行うことができる。
【0090】
上に図5、6および8を利用して説明した例において、被修正位相勾配の算出は2つだけの垂直軸上のK空間内の、それぞれの修正平面の走査によって行われる(図5の場合はVおよびW;図6および8の場合はRおよびP)。これは事情によっては不充分であることがある。特に相対的に位相勾配が大きく、この勾配の方向付けが2軸の一方と一致しないとき、修正を導出するために、ナビゲータエコーの一方の強度が低すぎることがある。このような場合は、[19]からそれ自体公知であるように、好ましくは螺旋状のナビゲータ走査方式によってK空間を平面的に走査することがより良好である。座標原点に対してK空間内で最大信号強度を有するシフトから、励起されるべき修正傾斜磁場を正確に指定するために、位相勾配の方向および総量をいずれの場合も正確に算出することができる。走査のために任意の別の走査方式を使用することもできる。
【0091】
本発明による「オンライン」修正の原理は、2次元画像平面の内部の位置選択が2つの定常空間方向での組み合せた周波数符号化および位相符号化によって行われ、画像再構成がK空間の2次元フーリエ変換(2D−FT)によって行われる走査方法に制限されない。本発明は同様に、別のすでに上述の[18]からそれ自体公知である螺旋状走査にも、または位相符号化ではなく、部分実験ごとに段階的に回転した読取勾配が使用される、「投影復元」(“Projection Reconstruction”)(PR)にも適用可能である。
【0092】
一般的に本発明は、画像の再構成に使用される有効エコーの誘発前に、被写像対象で励起した横磁化が拡散強調されるほとんどあらゆる磁気共鳴画像化方法で実現することができる。要約して言えば、本発明の原理は、拡散強調横磁化の中で対象物の運動によって発生して再構成像内にアーチファクトを引き起こす妨害位相変化を、有効エコーの誘発前に発生されるナビゲータ信号の分析によって測定し、前記測定の結果を使用することにより、測定した位相変化が補償されるように修正介入によってオンラインで横磁化の位相特性を変化させることにある。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】拡散強調の準備実験の異なる形態の時間図である。
【図2】拡散強調の準備実験の異なる形態の時間図である。
【図3】拡散強調の準備実験の異なる形態の時間図である。
【図4】概略的かつ部分的にブロック形式で示した、本発明による方法の実施のための装置を備えたMR画像化機器の構造である。
【図5】共通の時間軸上の線図における、後続の測定過程および修正過程を伴う拡散強調準備実験シーケンス用のHFパルスおよび磁場パルスならびに取得したナビゲータ信号のシーケンスである。
【図6】共通の時間軸上の線図における、拡散強調準備実験シーケンス、測定シーケンスおよび修正シーケンスならびにRARE画像化シーケンスの、HFパルスおよび磁場パルスならびにMR信号である。
【図7】本発明による修正有りおよび無しで撮像した、それぞれ同じ対象領域の2枚の断面画像である。
【図8】共通の時間軸上の線図における、拡散強調準備実験シーケンス、測定シーケンスおよび修正シーケンスならびにFLASH画像化シーケンスの、HFパルスおよび磁場パルスならびにMR信号である。
【0001】
本発明は、磁気共鳴(MR)による対象物の局所解像検査に関し、特定的には、請求項1の序文に従い、拡散現象を際立たせて、選択した局所領域内の対象のMR挙動の空間的分布を表わす画像表示用のデータを取得する方法に関する。本発明の目的はさらに、この方法の実施のための装置である。
【背景技術】
【0002】
以下の明細書では、先行技術の記載および評価の際、一般的に入手可能の専門文献中の対応する該当箇所を挙げる。
【0003】
[1] E.O.Stejskal, J.E.Tanner. “Spin diffusion measurements: spin echoes in the presence of a time−dependent field gradient”. J Chem Phys, 42:288−292, 1965.
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[7] J.Henning, A.Nauerth, H.Friedburg. “RARE imaging: a fast imaging method for clinical MR”. Magn Reson Imag, 3:823−833, 1986.
[8] W.H.Perman, M.Gado, J.C.Sandstrom. “DPSF: snapshot FLASH diffusion/perfusion imaging”. In: Proceedings: 9th Annual Meeting of the Society of Magnetic Resonance in Medicine; New York, page 309, 1990.
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[10] K.D.Merboldt, W.Haenicke, H.Bruhn,
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[12] D.G.Norris, P.Boernert, T.Reese, D.Leibfritz. “On the application of ultra−fast RARE experiments”. Magn Reson Med, 27:142−164, 1992.
[13] D.G.Norris, P.Boernert. “Coherence and interference in ultra−fast RARE experiments” J Magn Reson A, 105:123−127, 1993.
[14] F.Schick. “SPLICE: sub−second diffusion−sensitive mr imaging using a modified fast spin−echo acquisition mode”. Magn Reson Med, 38:638−644, 1997.
[15] G.Wider, V.Doetsch, K.Wuethrich. “Self compensating pulsed magnetic−field gradients for short recovery times” J Magn Reson A, 108:255−258, 1994.
[16] K.Oshio, D.A.Feinberg “GRASE (Gradient and spin−echo) imaging: a novel fast MRI technique”. Magn Reson Med, 20(2):344−9, August 1991.
[17] F.Schmitt, M.K.Stehling, R.Turner.
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上記該当箇所は、明細書本文中において、鉤括弧[]で上記参照番号を記載して表される。
【0004】
一般的なMR画像化方法では、調べようとする対象領域つまり「サンプル」が静磁場Boの中に配置され、選択した周波数にある少なくとも1つの電磁高周波パルス(HFパルス)と、それに続く、異なる空間方向での傾斜磁場のパルスとのシーケンスにさらされ、こうしてHF励起によりエコーが現れ、これらエコーがMR信号として検出されてサンプルの特徴の解明を与える。
【0005】
HFパルスのエネルギー含量は、平衡にあるスピン(縦磁化)との比における、励起されMR信号を送信できるスピン(横磁化)の量を決定する。この比の逆正接がHFパルスのフリップ角度と呼ばれる。
【0006】
スピンの共鳴周波数、およびこれに従い、励起するHFパルスと測定可能のMR信号との周波数は、特に局所磁場強度によって決定される。従って局所解像のために、全ての画像化方法において、信号検出中にいわゆる「読取勾配」(Read Gradient)が選択した空間方向で刻印され、これにより、この方向に沿った異なる場所に信号中のその都度異なる周波数を割り当てる(周波数符号化)。フーリエ変換によって、異なる周波数を分離でき、これに伴い異なる場所の寄与を分離できる。この方法により、「読取方向」(略:R方向)とも呼ばれる該当する空間方向での局所解像が可能になる。
【0007】
好ましくは読取方向と直交する第2の空間方向での局所解像のために、通常は被検信号の出現前に一時的に勾配が前記方向で刻印され、このためサンプル中で励起された振動(スピン)が、該当する空間方向に沿って位相においてずらされる。エコーごとのこの「位相符号化勾配」の時間積分の段階的変化によって、ある場所に由来する信号寄与の位相がエコーごとに変化する。「位相符号化方向」(略:P方向)とも呼ばれる前記方向に沿った異なる場所の信号寄与は、エコーの連続番号に関しフーリエ変換によって互いに分離することができる。周波数と位相は互いに別個に2つの空間座標(R方向およびP方向)に沿った位置に依存しているので、対象の2次元画像を再構成することができる。
【0008】
好ましくはR方向およびP方向の平面と直交し、「層方向」(略:S方向)とも呼ばれる第3空間方向での局所選択は、励起した周波数選択HFパルス中の前記方向への勾配の印加によって行われる。この「層勾配」によって、対象内の層が励起のために選択される。
【0009】
ほとんどの一般的なMR画像化方法は、前記の組み合せによる周波数符号化および位相符号化によって作動する。たとえば2次元N行画像を表示するには、順々にN個のエコーが生成され、ここで各エコーは別の位相符号化を有し、このNエコーシーケンスの各エコーが同じ方法で読取勾配によって周波数符号化され、MR信号として検出される。検出した信号の走査値から2次元データ行列、いわゆるK空間が形成され、その各々の並び、すなわち「行」が別の周波数符号化エコーに割り当てられ、該当するエコーの走査値を含む。行方向はK空間の周波数軸とも呼ばれる。それと直交するK空間の軸は位相座標としてスケーリングされる。すなわちこの軸に沿った並びの位置は、位相符号化勾配の積分によって決定される。このように構成したデータ行列は次に2次元フーリエ変換(2D−FT)にかけられ、こうして画像の画素値を得る。
【0010】
これほど一般的ではない他のMR画像化方法(投影再構成、スパイラル法による撮像)でも2次元K空間を走査するが、位相符号化方向と読取勾配方向との間の厳密な分離がこの方法でなくされている。この方法では一般的に、K空間は、直角でない定角軌道において非等間隔で走査される。従って、この方法のためには他の画像構成法も使用しなければならない。
【0011】
MR信号では3種類の方式が区別される。いわゆる「スピンエコー信号」は、第1HF励起パルス後一定時間で印加される付加的なHFパルスを利用する磁場不均質効果の再焦点合せにより生じる。いわゆる「勾配エコー信号」は、傾斜磁場(通常は読取勾配)の極性反転によって発生され、それによってこの勾配のそれまでの作用によって惹起された位相のずれの再焦点合せが行われる。いわゆる「誘発エコー」は、180°以外のフリップ角度を有する少なくとも3つのHFパルスのシーケンスによって発生する。
【0012】
N行画像の撮像に必要な全エコーシーケンスは、多種多様なMR部分実験によって発生させることができ、ここで各部分実験は、HFパルスおよび傾斜磁場切換過程のただ1回のシーケンスから、または同じシーケンスの複数回の繰返しによって構成されうる。
【0013】
磁気共鳴によって分析できるサンプルの特徴には、HFパルスによって干渉可能のスピンの密度のほかに、スピン磁化の異なる緩和時間定数、とりわけスピン格子緩和時間T1、スピン−スピン緩和時間T2および有効スピン−スピン緩和時間T2*が含まれる。またサンプル中の肉眼で見える流動現象、さらには拡散過程もまた、MR画像化方法によって可視化できる特徴である。MRシーケンスの種類、ならびにシーケンス内のHFパルスおよび勾配パルスの振幅関係および時間関係を意図的に選択することによって、発生するMR信号もしくはエコーの強度が、それぞれ特定の選択されたサンプルの特徴にかなりの程度依存するようにできる。こうして、画像であって、そのコントラストが該当の特徴によって「強調」されている画像を発生することができる。
【0014】
最近10年間で、拡散強調MR画像化方法が、たとえば脳梗塞の早期発見に重要性を増している。MR信号の拡散強調には種々のやり方がある。標準の方法は、1965年のStejskal−Tanner実験に基づく([1]参照)。これは、90°励起パルスと、それに続く180°再焦点合せパルスとを有するスピンエコーシーケンスに関するものであり、再焦点合せパルスの前後に振幅Gおよび持続時間δの勾配パルスが1つずつ印加され、添付図面の図1に示したように、第1勾配パルスの開始から第2勾配パルスの開始までの時間間隔はΔに等しくなる。拡散強調予備実験の変形例を図2および3に示す。図2は、各々が振幅Gと持続時間δとを有する2組の両極拡散勾配を有する二重スピンエコー予備実験であり、ここでΔは、第1組の第1勾配の開始から第2組の第1勾配の開始までの時間であり、aは各組の両勾配間の間隔の持続時間である。図3は誘発したエコーで作動する予備実験を示し、ここでは、連続する3つの90°HFパルスが印加される。第2HFパルスの前かつ第3HFパルスの後に、振幅Gおよび持続時間δの拡散勾配が1つずつ印加され、第1勾配パルスの開始から第2勾配パルスの開始までの間隔はΔに等しくなる。
【0015】
上記および類似の予備実験により、観察した容積中で拡散によって生じる分子運動は、次式
【0016】
【数1】
【0017】
(式中、Dは拡散定数である)に基づき、MR信号の振幅減衰を引き起こす。量b(いわゆるb値)は、それぞれの予備実験のパラメータおよびジャイロ磁気比γに依存する。図1および3に記載の例には次式が当てはまる。
【0018】
【数2】
【0019】
図2に記載の例には次式が当てはまる。
【0020】
【数3】
【0021】
有用な拡散強調、つまり拡散に由来する良好に識別可能な減衰を得るためには、一般的に500〜1000s/mm2の範囲のb値が必要である。たとえば図1による予備実験については、量定値G=40mT/m、δ=20msおよびΔ=30msで、陽子の場合580s/mm2のb値が達成される。しかしまた周知のように、拡散強調シーケンスはコヒーレント運動に対して敏感である。肉眼で見えるほどサンプルが運動すると、MR信号中には局所速度νに依存する位相変化が生じる。図1および3に記載の例には位相に関して次式が当てはまる。
【0022】
【数4】
【0023】
図2に記載の例には次式が当てはまる。
【0024】
【数5】
【0025】
上記の量定例を基礎におくと、肉眼で見える速度ν=0.5mm/sの運動時に位相変化はπに等しくなる。
【0026】
剛体の運動は、並進運動のベクトルと回転運動のベクトルとを示せば完全に記述可能である。回転運動は、空間的に対象上を進むMR信号の位相勾配を引き起こし、この勾配を記述するベクトルは次式
【0027】
【数6】
【0028】
サンプルの肉眼で見える運動は、多くの場合、特に対象が生きているときは除外できない。ヒトおよび動物の生体内検査では、意図的および生理的に惹起される運動(たとえば呼吸もしくは心拍による)を妨げることはできない。このような運動は、検査する対象領域に関して剛体の運動と比較可能であり、つまり「固体運動(Massivbewegungen)」である。該運動は一般的に、拡散強調MR実験が反応できる分子運動(10μm/100msのオーダー)よりもはるかに大きい。この場合、拡散は常にMR信号の低下のみを引き起こし、位相変化はないのに対し、剛体の肉眼で見える運動は、並進運動時には位相シフトを惹起し、回転運動時には位相分布中の勾配を惹起する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
拡散強調MR画像化方法のために、何らかの拡散強調予備実験、たとえば図1〜3に示した予備実験のうち1つの挿入によって従来のMR画像化シーケンスに変更を加えることができる。画像化シーケンスの場合、上記の運動による位相変化は、再構成した画像中にアーチファクトを惹起しうる妨害量である。つまり前記位相変化は状況により、局所解像のためにMR信号中に取り込まれる(位相符号化)位相情報と干渉することがあり、その結果、再構成した画像中にたとえば偽像のような妨害現象が見えるようになる。従って拡散強調MR画像化方法では、運動による位相変化が画像表示に与える影響を最小限にすることが望ましい。そのためにさまざまな方策が考えられる。すなわち、(a)それ自体、固体運動に対して敏感でない画像化シーケンスの適用、(b)補助措置によって固体運動に対しほぼ非鋭敏にされうる画像化シーケンスの適用、(c)運動による位相変化の影響の修正方法である。
【0030】
一般に用いられる運動非鋭敏性のシーケンスは、いわゆる「速度補償」を伴うシーケンスであり、これは、速度による位相拡散によって惹起される望ましくない信号ロスおよび望ましくない位相変化をなくすためにしばしば使用される([2]および[3]参照)。基本的に、あらゆる所望の時間的微分(部位それ自体、速度、加速度、加速度変化等)までの補償を達成することが可能である。しかしこの速度補償の技術によって、拡散のための感度すなわち拡散強調の強さが低下し、それによって画像中の拡散コントラストが比較的弱くなる。
【0031】
第2の運動非鋭敏性の画像化方法としてはいわゆるEPI(Echo Planar Imaging)を挙げることができ、ここでは、1回のHF励起から、読取勾配の極性の急速な交互変化によるエコーの急速なシーケンスが発生され、これは20〜80msの非常に短い時間間隔内で生じることができ、かつ生じなければならず、これにより運動が全く影響を及ぼさないようにする。しかしこのようなEPIによって撮像された画像の空間解像度は、続けて検出可能なエコーの数が非常に限られているので低くなるが、それは、当然短い有効スピン−スピン緩和時間T2*の時間定数によってエコー振幅が下がるからである。
【0032】
当然のことながら、位相変化と干渉しうる位相符号化が全く適用されない画像化方法もまた、運動によるMR信号の位相変化に対してあまり敏感ではない。これには「投影再構成(Projection Reconstuction)」(PR)および「ライン走査(Line Scanning)」(LS)として知られる技術が含まれる。PR法の場合、エコーごとに読取勾配の方向がそれぞれ1角度ステップ分だけ回転され、その結果エコーは、異なる視角からのサンプル容積体の連続的投影(X線コンピュータ断層撮像における投影に類似)を含み、次にここから全画像の画素を計算することができる。基本的にPR法は多種多様なMRシーケンスで使用することができ、そこで通常使用される位相符号化の代わりとなる。しかしながら、画像をぼやけさせる不均質性に対し画像品質がかなり敏感であることが欠点である。前記LS法の場合、2つの直交する層勾配を用いて、ライン投影として画像化が1次元で行われる。2次元の画像表示への拡張は、複数の平行のラインの取得によって行うことができる。しかしこの方法の欠点は、長い繰返し時間を必要とすること、および、拡散強調の際に、位相符号化により作動する画像化に比べ、撮影したラインの数をNとすると係数√N分だけ測定感度の損失をもたらすことである。
【0033】
EPIのほかに、現在MR画像化のために幅広く使用される他の取得技術は、実質的に2つしかない。すなわち名称FLASHとして知られるシーケンス(およびその変形したもの)([4]、[5]、[6]参照)および名称RAREとして知られるシーケンス(しばしばファーストスピンエコーまたはターボスピンエコーとも呼ばれる)([7]参照)である。しかしながら、従来これらシーケンスのいずれによっても、対象の固体運動の出現時にアーチファクトのない拡散強調画像を得ることはできなかった。但し、後述するように或る妥協をする場合は別である。
【0034】
FLASHは、それぞれフリップ角<90°による励起と、それに続く、読取勾配の極性反転によるエコー発生とを含む、短い繰返し時間TR<<T1による部分実験のシーケンスからなる。ここでは励起とエコー取得との間で効果的な拡散強調を挿入する機会はほとんどないが、それは、この場合エコー時間TEが長すぎ、T2*よりはるかに長くなり、Bo領域の不均質性が明らかなアーチファクトを引き起こしうるからである。
【0035】
FLASHシーケンスの拡散強調の手法は、縦軸の方向に進まなければならない準備的磁化であろう。すなわち古典的なStejskal−Tannerシーケンスを使用する場合、横磁化は90°HFパルスを利用して再び縦方向へ後進させなければならない(“Driven Equilibrium”、それ自体DEFTシーケンスとして知られる。[8]参照)。しかしながら生じうる対象の固体運動は、後進の90°パルスが印加される前に磁化の位相を変化させるので、直接的な信号ロスが生じる。この問題の[9]に提案された公知の解決案は、最後の90°パルスの直前に、位相がずれる勾配パルスをDEFTシーケンスの中に挿入し、励起とエコー取得との間において、等しいパルス面積の勾配パルス(振幅にわたる時間積分)をFLASHシーケンスの中に挿入することである。これによりMR信号は完全に運動から独立となるが、残念ながら信号強度(測定感度)もほぼ半減する。
【0036】
FLASHの拡散強調のもう1つのやり方は、誘発エコーの発生用の準備シーケンス、いわゆるSTEAMシーケンスを使用し、ここで標準STEAMシーケンスの最後の90°パルスの代わりに、連続するFLASH部分実験を挿入する。この場合、拡散強調には2つの公知の提案がある。第1案([10]参照)は、「混合時間」(mixing time)TMがSTEAMシーケンス内でT1により制限されるがT2では制限されず、それによって拡散強調において、対応するスピンエコーシーケンスの場合よりはるかに大きい値Δを選ぶことが可能であるという事実を利用する。従って同じb値を達成するために両方の変数Gおよびδは、上記式2により、エコー時間の大きすぎる延長なしにFLASHシーケンスの中へ拡散強調勾配を挿入できる程度にまで縮小させることができる。第2案([11]参照)では、STEAMシーケンスにおける初めの2つの90°パルスの間に、完全な拡散強調のために両極勾配パルスを挿入し、FLASHシーケンス自体を変更させずにおく。しかし残念ながら、誘発エコーの利用もやはり、信号強度の50%ロスをもたらす。
【0037】
RAREは、90°パルス後に励起された横磁化を、連続するHFパルスの連鎖によって何度も再焦点合せして、スピンエコーの対応する連鎖を発生させる、高速スピンエコーシーケンスである。このようなシーケンスは、横磁化と再焦点合せHFパルスの位相との正確な位相関係を規定するCarr−Purcell−Meiboom−Gillの条件(いわゆるCPMG条件)が満たされている場合にのみ、アーチファクトなしの画像を提供することができる。つまり、拡散強調準備実験がアーチファクトをもたらす可能性があることが容易に分かる。これら再焦点合せHFパルスが純粋な180°パルスであるならば、磁化の位相を画像再構成前に修正することも可能であろう。しかしながらこれは、利用されるHFパルスがほんの僅かであるエコーシーケンスの場合でない限り非現実的である。但し、特別の付加的措置が講じられる場合は別である。拡散強調画像は、16までの再焦点合せHFパルスによるエコーシーケンスで得られた。そのフリップ角が180°未満のときは、偶数パリティのエコー群と奇数パリティのエコー群との間の干渉が信号ロスをもたらす。この問題を解決するための公知の案では、両群の一方を消去し、このようにCPMG条件を満たすことの問題をなくし([12]、[13]参照)または両群を別々に取得する([14]参照)。これは全て、2分の1に低減されるシーケンス全体の測定感度に影響を及ぼす。
【0038】
さらに、対象の固体運動の望ましくない効果を修正することによって、運動非鋭敏性のシーケンスを使用したり、または運動鋭敏性のシーケンスを特別の措置によって運動非鋭敏性にしたりすることへと制限される必要をなくす方法も公知である。最も重要な修正方法は、いわゆる「ナビゲータエコー」の使用を含む。この方法の基本をなす考えは、各拡散強調実験と組み合せてナビゲータ実験を挿入し、付加的なエコーを前記ナビゲータエコーとして位相符号化なしに取得することにある。選択されたナビゲータエコーにおいて測定された位相シフトは、次に実際の画像化シーケンスのエコー中の位相を修正するためにに使用される。これは並進運動の補償には充分である。しかし読取勾配の方向と平行に位相勾配を生じさせる回転運動は第1位の位相修正を必要とし、前記方向と直交する位相勾配により、修正不能の信号ロスが生じる。そのため従来は、拡散強調勾配が位相符号化勾配の方向と平行である場合にのみナビゲータエコーによる修正を用いることが勧められていた。しかしながらこれはいくつかの画像化シーケンスにとり不可能な制約である。
【0039】
2次元ナビゲータ実験を利用すれば、より包括的な修正が実現可能である。それによって、位相符号化勾配の方向にある、運動による位相勾配を補償することも可能になる。この修正は、取得したデータが遡及的にK空間内の「正確な」位置に、すなわち運動によって発生した位相勾配と位相符号化勾配との合計に相当する座標に移動されることによって行われる。等間隔行列へのK空間内の格子の換算(“Regridding”)の後、画像再構成を行うことができる。しかしNyquistの定理が満たされる保証はないが、それは、位相勾配が拡散強調と運動との各組み合わせごとに異なりうるからである。上記式6は、回転運動によって発生した位相勾配があることになる平面を定義する。この回転運動の効果を完全に修正するためには、たとえば螺旋状走査を利用して、この平面の全体を走査することが最善である。多くの場合、2つの直交するナビゲータ選択を用いるだけで充分である。しかしながら、K空間の中心が回転運動によって大きく両軸から離れた場所へ移動するときは、それによって発生する信号ロスが修正全体を無効にしうる。
【0040】
つまり上述のように、拡散強調MR画像化方法における運動修正の多くの公知の方法では、回復不能の信号ロスを受け入れなければならない。本発明の課題は、拡散強調MR画像化方法におけるナビゲータ情報によって動作する運動修正のために、この種のロスがほぼ回避される技術を提供することである。、本発明に従いこの課題は、請求項1に要約した方法特徴によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0041】
従って本発明の出発点は、選択した対象領域内における対象の磁気共鳴挙動の空間的な分布を表わす、画像表示用のデータの取得方法であって、前記対象領域が定常かつ可能な限り均質の縦方向の磁場に配置され、かつ異なった空間方向でのHFパルスおよび傾斜磁場パルスのシーケンスにさらされ、こうして定常の磁場を横切る磁化についての、位置に依存する符号化された一連の有効エコーが現われ、前記有効エコーが、表示されるべき画像の再構成用のデータセットとして取得され、横磁化を励起するHFパルスと有効エコーの誘発との間に拡散強調シーケンスが挿入され、前記拡散強調シーケンスが、前記選択した対象領域内の拡散過程に依存する横磁化の減衰をもたらし、前記拡散強調された横磁化からエコー発生によりナビゲータ信号が発生され、前記ナビゲータ信号の特性が、前記対象の動きで生じる画像アーチファクトの修正用の情報として用いられる、データ取得方法である。本発明は、ナビゲータ信号の位相特性における、前記画像アーチファクトを引起こしうる妨害量のうち少なくとも1つが、有効エコーの誘発前に測定され、有効エコーが誘発される横磁化の位相特性を、測定された量の補償のために変化させるために、前記測定の結果が用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
本発明は、拡散強調の場合に対象物の運動によって持ち込まれた位相変化を「オンライン」で修正する、つまりK空間内で書き込む局所解像の画像情報を含むMR有効信号の取得後でなくても修正する方法を提供する。つまり有効信号は、その取得時にすでに運動による妨害成分から解放されているため、運動による画像アーチファクトの抑制のために画像再構成時のデータの操作がもはや不要になる。従ってこのような操作に結びつく欠点、特にNyquistの定理の非履行の危険性および付加的な換算アルゴリズムの負担が省かれる。
【0043】
本発明は、画像化シーケンスの多種多様の方式、従来危惧されていた拡散強調の運動アーチファクトのため入手可能でない方式、または妥協によって運動非鋭敏性にされなければならなかった方式の使用を可能にする。特に50%信号ロスを容認するような妥協をする必要がなくなる。特に拡散強調RAREシーケンスの場合に、本発明による修正方法は、対象の固体運動にもかかわらず、全てのHF再焦点合せパルスのCPMG条件を満たすことができるという付加的な長所を有する。この条件の非履行は周知のように、取得後の後からの位相修正によって修正できない不可逆的な信号ロスを生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明による方法を実施するための装置の本質的な特徴は請求項17に記載されている。本発明の好ましい実施形態はそれぞれ従属請求項に記載する。
【0045】
本発明のより詳細な説明のために、以下、まず有利な実施形態を付属の図面を利用して説明する。この実施形態はRAREシーケンスによる拡散強調MR画像化での本発明による修正方法の適用を含むが、これは一例にすぎず、本発明は当然のことながらこれに制限されない。
【0046】
図示した時間線図は実寸どおりに描かれていないことを述べておく。すなわち個々の時間部分も振幅も、その実際の相互の大きさの割合に忠実に描いていない。
【0047】
本発明による方法は、大幅に簡略化したブロック図で図4に示すようなMR機器によって実施できる。図示したMR機器は、測定ステーション10、電源部20、制御部30およびコンピュータ40を含む。測定ステーション10は、一般に行われているように、一定の均質な(「縦方向の」)B0領域を発生する磁石11と、3つのコイルセット12、13、14とを含むことができ、これらはB0領域に3つの勾配Gx、GyおよびGzを刻印する磁場を発生できるように空間的に配置されて巻かれ、これら勾配のうち通常1つ(Gz)はB0領域と平行に、そして他の2つ(GxおよびGy)はB0領域と垂直に、かつ互いに垂直に向けられる。コイルセット12、13、14の選択した見本の、組合せた同時的な励起によって、結果としての傾斜磁場を、それぞれ選択可能の強度で任意の空間方向に発生させることができる。
【0048】
測定ステーション10内にはさらに、HFパルス、特に横磁化の励起と再焦点合せとに必要なHFパルスが伝達されるコイル配列15を設けている。このHFコイル15は一般的に、対象から放出されたMR信号の受信にも利用される。電源部20は、B0磁石11用の電源ユニット21、勾配コイル12、13、14用の電源ユニット22および、コイル15用のHFパルスを供給する高周波発生器23を含む。制御部30は、それぞれの勾配コイルに供給される電流の持続時間および振幅、ならびにHFパルスの持続時間、振幅、周波数、位相および包絡線を制御する。さらに制御部30は、選択した時間周期で、かつ図示したゲート回路50で表した選択した走査周波数で、コンピュータ40への、HFコイル15から受信したMR信号の選択を制御する。選択した走査値がディジタル化され、K空間を形成するメモリに記憶される。ディジタル化に必要なA/D変換器およびメモリはコンピュータ40に内蔵することができる。
【0049】
この形式のここまで記載したMR設備は公知であり、市場で入手できるため、装置上の詳細のさらに詳しい説明は不要である。新規かつ本発明に従い形成されるのは、選択回路50の出力部から、勾配コイル電源ユニット22と、付加的なコイル11a用の電源ユニット22aとに通じる、付加的な修正制御区間60である。このコイル11aは、検査される対象領域でB0領域と平行であり前記領域全体に一様な場の強さを有する均質な磁場Bzを励起時に発生するように配置され、こうしてB0領域を選択的に(極性に応じ)増加または減少させる。
【0050】
付加的な制御区間60は選択式にオンにすることができ、この制御区間はコンピュータ40と同様に選択回路50から供給されたMR信号を受信し、運動による位相変化の本発明による修正に用いられる。この制御区間は図示した例の場合で専用のA/D変換器61、修正プロセッサ62および、コイル電源ユニット22および22a用のドライバ回路もしくは駆動回路63を含む。制御区間60は独立のハードウエアによって形成してもよく、または全部または一部について制御部30の中に内蔵しても、もしくはコンピュータ40の部分を共に利用してもよい。
【0051】
コンピュータ40は、K空間メモリの中に書込まれたデータから、数学的変換によって画像再生用の画素行列を得る。HFパルス用の時間、周波数、位相および振幅のパラメータの量定と、準備シーケンスおよび画像化シーケンスにおける傾斜磁場用の駆動信号の発生と、選択回路50の作動とのための制御部30はそれぞれ、データ取得するプロセスが、その都度選択した本発明による方法の実施形態に従って進行するように、プログラミングされる。当然のことながら、制御部30も同様に、全部または一部を、コンピュータ40に内蔵可能である。
【0052】
本発明による方法の実施のために、被検対象はコイル11、11a、12、13、14によって取り囲まれた空間の中に持ち込まれ、HFコイル15は被検対象がその影響領域にあるように配置される。次いで、制御部30に供給された選択したプログラムに従ってHF発生器23、コイル電源ユニット22、22aおよび選択回路50が制御され、選択したシーケンス用の必要なHF、Bzおよび勾配のパルスを印加し、現れるエコー信号を選択する。
【0053】
図5に示した例において、対象における選択した領域内にスピンの横磁化を励起するために、第1の時点t0で90°のフリップ角度をもつHF励起パルスが発生される。拡散強調がそれに続く。図示した場合では、それ自体公知([15]参照)であるように、渦電流の影響を最小限に抑制するために、両極拡散勾配制御および二重スピンエコーによる図2に示す実験が拡散強調シーケンスとして選択されている。初めに、一般的にU方向と呼ばれる何らかの任意の所望の空間方向に第1「拡散勾配」パルスが印加される。時点t1=t0+τ1で180°HFパルスが続き、次いでU方向に第2拡散勾配パルスが続く。渦電流の観点から、第1拡散勾配パルスを可能な限りこのHFパルスの前で印加し、第2拡散勾配パルスをこのHFパルスの直後に印加することが有利である。時点t4=t0+2τ1で第1スピンエコーの最大値が現れる(図示せず)。t1から測定して、長さτ2>τ1の別の間隔後に拡散勾配パルスと180°HFパルスの同じシーケンスが繰り返される。時点t0+2τ2で第2エコー信号(図示せず)の最大値が第1スピンエコーのスピンエコーとして現れる。
【0054】
各々の拡散強調シーケンスによって、励起した横磁化は、上記式1に従い、所望の、拡散定数Dに依存する減衰を受けるが、残念ながら望ましくない運動依存性の位相変化も受け、これは並進運動に起因する位相シフトと、回転運動に起因する位相勾配とから構成されうる。図5に示した例において、上記式5による位相シフトと、上記式6による位相勾配とが記述されている。望ましい減衰も望ましくない位相変化も上記第2スピンエコーにおいて明らかとなる。
【0055】
前記の望ましくない横磁化の位相変化(位相シフトおよび位相勾配)は、後続の画像化シーケンスによって取得されるデータの画像において運動によるアーチファクトを惹起しうる妨害量である。たとえばRAREのようないくつかの画像化シーケンスでは、場合によっては修正する必要がないほど影響が小さい位相勾配よりも、位相シフトははるかに強いアーチファクトを引き起こす。しかし図5には位相シフトも位相勾配も補償する措置を示している。
【0056】
上記式6により、対象の回転運動はU方向(拡散勾配の空間方向)に垂直の、以下「修正平面」と呼ばれる平面内に位相勾配を惹起する。その結果、位相勾配の総量と方向がこの修正平面内で算出され、補償のために対応する大きさの傾斜磁場が反対方向に印加される。補償されるべき位相勾配の総量および方向は、修正平面に割り当てられたK空間内で、最大信号強度のシフトのベクトルによって識別可能である。このシフトベクトルは前記K空間の走査によって算出できる。ほとんどの実際の場合では、2つの互いに垂直に位置し原点を通る軸上で走査するだけで充分である。そのため図5に示した例では以下のように行われる。
【0057】
U方向に垂直の修正平面内に2次元デカルト座標系が定義され、その軸方向がVおよびWと呼ばれる。位相勾配のこの方向に進む成分(V成分およびW成分)は互いに独立して測定される。
【0058】
位相勾配のV成分およびW成分の測定のために、準備シーケンスの第2スピンエコー中に相前後してt4の直前および直後の時点t3およびt5で2つの勾配エコーN1およびN2が発生し、その第1の勾配エコーは印加と、それに続くV方向(Gv勾配)への傾斜磁場の極性転換とによって発生する。この勾配切換による再焦点合せエコーN1は、V方向で位置に依存して周波数符号化されている。第2勾配エコーN2は、印加と、それに続くW方向(Gw勾配)への傾斜磁場の極性転換とによって発生し、W方向で位置に依存して周波数符号化される。両方の傾斜磁場は、その時間積分をそれぞれ零にするために、その遮断前にもう1回反転される。
【0059】
両方の勾配エコーN1およびN2は、図4に示したMR機器で、選択回路50の対応する走査によって「ナビゲータエコー」として選択され、この時間でオンにされる修正制御区間60によって受信される。A/D変換器61内のエコー信号のディジタル化後、修正プロセッサ62で位相勾配の振幅および極性が両方のエコーの各々で算出され、それによって横磁化の位相勾配のV成分およびW成分を得る。位相勾配はエコーの時間シフトΔtに比例し、これはたとえば、実際のエコー最大値と、このエコー最大値が位相勾配の誤りの際に現われるであろう基準時点trefとの間の時間差の測定によって検出できる。
【0060】
算出した位相勾配のV成分から、このV成分を補償するために、V方向に印加する傾斜磁場パルスの時間積分(持続時間全体の振幅)がどれだけ大きくなければならないかが計算される。同様に、算出した位相勾配のW成分から、このW成分を補償するために、W方向に印加する傾斜磁場パルスの時間積分がどれだけ大きくなければならないかが計算される。修正する傾斜磁場パルスの時間積分の計算は次式によって行うことができる:
【0061】
【数7】
【0062】
(式中、Gnavは該当するナビゲータエコーN1もしくはN2中の傾斜磁場の振幅である)。次に駆動回路63が電源ユニット22を駆動するようにし、こうして、勾配コイル12、13および14は、対応して修正する傾斜磁場パルスC1およびC2を時点t6でV方向もしくはW方向に発生する。結果的に、対象の回転運動によって惹起される横磁化の位相勾配のV成分およびW成分、つまり「第1」位の位相変化のV成分およびW成分が消滅する。
【0063】
対象の並進運動によって惹起される位相シフトの修正つまり「第0」位の位相修正のために、全スピンの位相を同時に必要な程度で変化させなければならない。そのために様々なやり方がある。第1の本発明による方法は、被修正位相シフトの方向および量に応じて、B0領域を一時的に増幅または減衰することである。そのために好ましくは同様に時点t6でBzコイル11aを利用して、帰属する電源ユニット22aによって制御されて、対応する大きさの磁場パルスC0を印加することができ、その時間積分(持続時間全体の場の強さBの振幅)を同様に修正プロセッサ62でナビゲータエコーから、しかも次式によって計算することができる。
【0064】
【数8】
【0065】
(式中、ΔΦはエコーを拡散強調なしにもちうる基準位相Φrefに対する、該当するナビゲータエコーの位相シフトである)。
【0066】
第0位の位相修正の第2の本発明による方法は、特定のHFパルスの位相を画像化シーケンス時またはその前に変化させることである。このシーケンスがHF再焦点合せで作動する場合(たとえばRAREシーケンスのように)、第0位の位相修正は、ΔΦ+πまたはΔΦ−π分だけ再焦点合せHFパルスの位相の変化によって達成することができる。
【0067】
Δtを測定する基準時点trefおよびΔΦを測定する基準位相Φrefは、計算または実験によって決定できる。基準時点trefの決定はたとえば、ナビゲータ勾配エコーが誘発する交替勾配パルスシーケンスにわたる常時間積分が初めて零に戻る時点を検出または計算することによって行うことができる。基準位相の決定は、MR機器の一定の較正によって行うことができ、それによってスピンエコーの位相(時点t4)は常時計算可能である。この位相は、並進運動が存在しないときは、ナビゲータエコーを有する位相に相当し、それによって基準位相になる。
【0068】
基準量trefおよびΦrefの純実験的決定は、独立の基準予備実験を利用して行うことができ、ここでナビゲータエコーは有効実験と同じ方法で発生されるが、拡散勾配はない、または無視できるほど弱い。この場合、続く有効実験で時間シフトΔtおよび位相シフトΔΦを拡散強調ナビゲータエコーで決定するために、最大値の時点と各ナビゲータエコーの実位相とがそれぞれ量trefおよびΦrefとして測定および記憶される。基準予備実験は、画像化シーケンス有りまたは無しで実施され、望ましい場合は個々の結果を平均するため数回繰り返されうる。
【0069】
拡散強調の方法が一義的な方向をもたないとき、たとえば拡散テンソルの軌跡をただ1回の実験で測定する方法の場合などは、3次元K空間をナビゲータで走査する必要が生じうる。そのために第3ナビゲータエコーN3をU方向への周波数符号化により発生させ、そこから派生する修正傾斜磁場パルスC3を、図5に点線で示したように前記方向へ発生させなければならない。
【0070】
図6は、拡散強調、ナビゲータ発生および運動修正の図5に示すシーケンスを、RARE画像化シーケンスと組み合せたものを例示する。図6でGS、GRおよびGPで表した行は、画像化シーケンスの対象走査方向での傾斜磁場を示す。つまり層方向(S方向)、読取方向(R方向)および位相符号化方向(P方向)の勾配である。
【0071】
図6により、90°HF励起パルスが時点t0で、層勾配としてのGS勾配の存在下に層選択パルスとして印加され、それによって横磁化は、S方向と垂直な平面を有する薄層内部でのみ励起される。HF励起パルスの終了後、層勾配の極性はその遮断前に一時的に反転され、こうして勾配によって生じたスピンの焦点ぼけを元に戻す。
【0072】
次いで拡散強調、ナビゲータ発生および運動修正が上記図5を利用して説明したように続くが、ただし、拡散強調シーケンスの両方の180°HFパルスが層選択パルスとしてそれぞれGS勾配の存在下に印加される。
【0073】
さらに、図示した例の場合において拡散勾配の方向(図5のU方向)は、画像化シーケンス内の対象走査のS方向に等しく、それによってアーチファクトを惹起する位相勾配のV成分およびW成分はまさに画像平面内にあり、つまりR方向およびP方向の成分として処理できる。それによって図5の場合はナビゲータエコーN1およびN2がR方向もしくはP方向に符号化され、修正する傾斜磁場パルスC1およびC2はR方向もしくはP方向に印加される。
【0074】
それに続き、修正制御区間60の遮断と、制御装置30内の傾斜磁場制御の再投入とにより、実際の画像化シーケンス、本例ではN回連続する周期のサイクルをもつRAREシーケンスが生じる。RAREシーケンスの第1サイクル前に、時点t7でもう1つのいわゆる“Read−Dephase”傾斜磁場パルスがR方向に印加され、これはRAREシーケンスの有効エコーEが各取得窓の中心に入ることを確実にする。各RAREサイクルは通常、層選択的なHF再焦点合せパルスから始まり、次にR方向への位相符号化傾斜磁場パルスと、R方向に進む読取勾配パルスの存在下の再焦点合せスピンエコーの検出とが続き、位相符号化を元に戻すP方向への巻戻勾配パルスが続く。位相符号化パルスおよび巻戻パルスの振幅は、画像が再構成されるK空間の異なる行を満たすためにサイクルごとに変化される。全ての前記プロセスは慣例の方法でコンピュータ40と図4に示したMR機器の制御部30とによって進行する。
【0075】
上に図6を利用して説明した全シーケンスにより、種々の生体内実験を健常者のヒトの脳で実施した。MR機器として、傾斜磁場45mT/mを320μs以内に切替えることができるブルーカー(Bruker)社の型式“3T/100Medspec”を使用した。HF励起および測定のために送信機/受信機15に直径280mmの鳥かご形共振体を使用した。撮像は同時に撮像したEKGとの時間基準でトリガした。
【0076】
修正制御区間60(図4)に対して、修正プロセッサ62を形成したパーソナルコンピュータの監視下に専用のA/D変換器61による実時間データ測定および処理用の独立の基板を使用した。駆動回路63には16ビットD/A変換器を使用した。
【0077】
拡散強調準備シーケンスは、92msの全エコー時間2τ2で実施した。拡散強調はb値804s/mm2に固定した。何度も繰返した基準予備実験において、無視しうる拡散強調をもつデータセットを予め取得し、このように得たナビゲータエコーは、修正の計算用の基準量として、位相とエコー最大値の時間との平均値を提供するために平均値をとった。
【0078】
修正制御区間でのエコーデータの走査は、周波数104kHzと、解像度14ビットとで行った。それぞれのエコー最大値の位置は、二次3点補間法によって決定した。拡散強調ナビゲータエコーでの位相シフトおよび位相勾配は、前記基準によって測定した。第1ナビゲータエコーは、第0位の修正計算に使用され、両方のナビゲータエコーにおける測定された位相勾配の強度は、R方向およびP方向における2つの修正の傾斜磁場パルスの振幅計算に使用された。
【0079】
好ましくは、ここに報告した場合で生じるように、得られたナビゲータエコーは、その振幅がノイズレベルより一定の最少範囲以上にある(ここに報告した場合では10倍以上)場合にのみ実際に修正に考慮される。EKGベースのトリガでは、これが通常予想される。
【0080】
前記構成により、800μs以内にナビゲータエコーをディジタル化し、修正の磁場パルスを計算し、かつ出力することが可能である。Bzコイル11a(図4)としては、使用したMR機器にはいずれにせよ存在する渦電流修正コイルを使用した。修正パルスの出力が、実際の画像化シーケンスで使用されたいずれの傾斜磁場パルスとも一致しないようにした。しかし基本的に、修正パルスは画像化シーケンスのそれぞれの第1傾斜磁場パルスに加算することができる。全ての修正パルスの持続時間は1msに固定され、それによって測定および修正に要する全時間は2ms未満になった。この場合に使用した再焦点合せおよび脱焦点合せ勾配パルスを含む両方のナビゲータエコーの発生に要する全時間は5.6msになった。
【0081】
それに続くRARE画像化シーケンスは、好ましくはフリップ角度120°をもつガウスのHF再焦点合せパルスの使用下に実施した。こうして、対象への出力結合があまりにも高くなる危険なしに、より短い繰返し時間が可能となり、シーケンス内部でより多くのエコーを取得することができる。層厚は5mmに指定し、RAREシーケンスのエコーデータは装置専用のコンピュータ40を利用して取得帯域幅25kHzで読取り、K空間に256x256行列の形で書き込んだ。RARE係数(励起あたりのエコー数)は16、RAREシーケンスのエコー時間は18.8msになった。
【0082】
図7の左側は、前記機器およびシーケンスパラメータをもつ拡散強調および運動修正したRAREシーケンスの使用下の健常者の脳の層のMR写真であり、トリガはEKGのR波の検出後400msで行った。右図は、比較のためにEKGベーストリガを含む左図の場合と同じパラメータを用いたが、運動修正をオフにして撮像した同じ対象領域の撮像である。ここに現れる運動アーチファクトは、明らかに重大である。それに対し左図は実質的にアーチファクトがなく、明らかに脳梁の2つの部分、脳梁膨大部および、中心線で高明度構造としての大鉗子が現れている。さらに脳幹神経節(特に尾状核の頭部)の部分は、両側に低明度構造として識別可能である。内包は全部分(前部および後部頭蓋ならびに膝部)で良好に同定可能であり、視丘も同様である。
【0083】
当然のことながら、上で図6を利用して説明した実施例のほかに、別の実施形態または変形も本発明思想の枠内で可能である。拡散強調準備シーケンスの形成に関しては、任意の別の変形、たとえば図1に示したように[1]によるStejskal−Tanner実験の標準型式、または図3に示したようにスピンエコーの代わりに拡散強調誘発エコーの発生による別形を使用することができる。
【0084】
当然のことながら、拡散勾配の方向が画像化シーケンスのS方向と一致せず、それに対して多少斜めのときは、これら勾配は対象走査のR方向およびP方向の成分を有してもよい。このような場合は、拡散勾配の方向と垂直の平面は、当然のことながらR−P画像平面とは一致しない。それにもかかわらず、いくつかの場合には、修正傾斜磁場をこの平面の方向にのみ印加するだけで充分でありうる。しかしいずれの場合でも、ナビゲータエコーの周波数符号化の方向と、修正傾斜磁場の方向とが正確に拡散勾配の方向と垂直の平面内にあるならば、より良好な結果を得ることができる。この場合、周波数符号化勾配と修正勾配はS方向、R方向およびP方向への各成分を有することができる。
【0085】
ナビゲータエコーとして、図6に示した勾配エコーの代わりにスピンエコーまたは誘発エコーを取得することができる。ナビゲータエコーが第0位の位相修正の計算のためにのみ考慮される限り、周波数符号化は当然のことながら不要である。
【0086】
すでに示したように、本発明はRARE画像化シーケンスに制限されない。つまり本発明によるオンライン修正は、たとえばGRASE([16]参照)またはスピンエコーEPI([17]参照)など、HF励起後にHF再焦点合せを伴って作動する任意の別のスピンエコー画像化シーケンスと組合せても使用することができる。第0位の位相修正は、上述のようにΔΦ±π分の再焦点合せパルスの位相変化によって生じさせられうる。
【0087】
さらに同様に、本発明は、たとえばすでに述べたシーケンスFLASHおよびSTEAMのように、拡散強調後の新しいHF励起パルスで始まる画像化シーケンスと組み合せても適用可能である。しかしながらこの場合は、画像化シーケンスの開始前の最後のスピンエコーの時点で、横磁化を縦軸上で回転するフリップ角度90°を有するDEFTパルスを導入する必要がある。第0位の位相修正のために、この90°DEFTパルスだけが位相変化ΔΦを受ける必要がある。
【0088】
図8はN個の部分実験(図右側)からなる或るFLASH画像化シーケンスを例示し、これは、それぞれ層選択HF励起パルスα<90°と、再焦点合せ極性反転によるS方向の層勾配と、部分実験ごとに変化されるP方向の位相符号化と、極性反転が有効エコーEとして勾配エコーを惹起するR方向の読取勾配とを有する。
【0089】
図8記載の例で拡散強調は、図1に示したStejskal−Tanner実験を利用して行われ、拡散勾配は図6の場合のようにS方向へ印加される。時点t0で印加した90°励起パルスに時間間隔τ1後に180°再焦点合せパルスが続き、それによって時点te=t0+2τ2でスピンエコーの中心が現れ、ここで90°DEFTパルスは、横磁化をX−Y平面から戻して縦Z軸へ進めるように印加される。そのために必要なDEFTパルスの位相は、公知のように、先行するHFパルスの位相に依存する。可能な位相方式(+x、+y、−x)を図8に記載する。スピンエコーの分枝の増加中、可能な限りteの直前で、両方のナビゲータエコーN1およびN2が、図6の場合と同様に、R方向およびP方向の周波数符号化された勾配エコーとして発生される。次にこれらナビゲータエコーから、第1位の位相修正のための、R方向もしくはP方向における、位相勾配を補償する傾斜磁場パルスC1およびC2と、第0位の位相修正のためのB2磁場パルスC0とを、上で図5および6を利用して説明したものと同じ方法で算出および励起できる。上述のように、第0位の修正は代替的にΔΦ分だけDEFTパルスの位相を変化させることによっても行うことができる。
【0090】
上に図5、6および8を利用して説明した例において、被修正位相勾配の算出は2つだけの垂直軸上のK空間内の、それぞれの修正平面の走査によって行われる(図5の場合はVおよびW;図6および8の場合はRおよびP)。これは事情によっては不充分であることがある。特に相対的に位相勾配が大きく、この勾配の方向付けが2軸の一方と一致しないとき、修正を導出するために、ナビゲータエコーの一方の強度が低すぎることがある。このような場合は、[19]からそれ自体公知であるように、好ましくは螺旋状のナビゲータ走査方式によってK空間を平面的に走査することがより良好である。座標原点に対してK空間内で最大信号強度を有するシフトから、励起されるべき修正傾斜磁場を正確に指定するために、位相勾配の方向および総量をいずれの場合も正確に算出することができる。走査のために任意の別の走査方式を使用することもできる。
【0091】
本発明による「オンライン」修正の原理は、2次元画像平面の内部の位置選択が2つの定常空間方向での組み合せた周波数符号化および位相符号化によって行われ、画像再構成がK空間の2次元フーリエ変換(2D−FT)によって行われる走査方法に制限されない。本発明は同様に、別のすでに上述の[18]からそれ自体公知である螺旋状走査にも、または位相符号化ではなく、部分実験ごとに段階的に回転した読取勾配が使用される、「投影復元」(“Projection Reconstruction”)(PR)にも適用可能である。
【0092】
一般的に本発明は、画像の再構成に使用される有効エコーの誘発前に、被写像対象で励起した横磁化が拡散強調されるほとんどあらゆる磁気共鳴画像化方法で実現することができる。要約して言えば、本発明の原理は、拡散強調横磁化の中で対象物の運動によって発生して再構成像内にアーチファクトを引き起こす妨害位相変化を、有効エコーの誘発前に発生されるナビゲータ信号の分析によって測定し、前記測定の結果を使用することにより、測定した位相変化が補償されるように修正介入によってオンラインで横磁化の位相特性を変化させることにある。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】拡散強調の準備実験の異なる形態の時間図である。
【図2】拡散強調の準備実験の異なる形態の時間図である。
【図3】拡散強調の準備実験の異なる形態の時間図である。
【図4】概略的かつ部分的にブロック形式で示した、本発明による方法の実施のための装置を備えたMR画像化機器の構造である。
【図5】共通の時間軸上の線図における、後続の測定過程および修正過程を伴う拡散強調準備実験シーケンス用のHFパルスおよび磁場パルスならびに取得したナビゲータ信号のシーケンスである。
【図6】共通の時間軸上の線図における、拡散強調準備実験シーケンス、測定シーケンスおよび修正シーケンスならびにRARE画像化シーケンスの、HFパルスおよび磁場パルスならびにMR信号である。
【図7】本発明による修正有りおよび無しで撮像した、それぞれ同じ対象領域の2枚の断面画像である。
【図8】共通の時間軸上の線図における、拡散強調準備実験シーケンス、測定シーケンスおよび修正シーケンスならびにFLASH画像化シーケンスの、HFパルスおよび磁場パルスならびにMR信号である。
Claims (32)
- 選択した対象領域内における対象の磁気共鳴挙動の空間的な分布を表わす、画像表示用のデータの取得方法であって、前記対象領域は定常かつ可能な限り均質の縦磁場に配置され、かつ異なった空間方向でのHFパルスおよび傾斜磁場パルスのシーケンスにさらされ、こうして定常の磁場を横切る磁化についての、位置に依存する符号化された一連の有効エコー(E)が現われ、前記有効エコーは表示されるべき画像の再構成用のデータセットとして取得され、
横磁化を励起するHFパルスと有効エコー(E)の誘発との間に拡散強調シーケンスが挿入され、前記拡散強調シーケンスは、前記選択した対象領域内の拡散過程に依存する横磁化の減衰をもたらし、
前記拡散強調された横磁化からエコー発生(N1、N2、N3)によりナビゲータ信号が発生され、前記ナビゲータ信号の特性は、前記対象の動きで生じる画像アーチファクトの修正用の情報として用いられ、
前記方法は、
ナビゲータ信号(N1、N2、N3)の位相特性における、前記画像アーチファクトを引起こしうる妨害量のうち少なくとも1つが、有効エコー(E)の誘発前に測定され、
有効エコーが誘発される横磁化の位相特性を、測定された量の補償のために変化させるために、前記測定の結果が用いられることを特徴とする、方法。 - 妨害量としてナビゲータ信号(たとえばN1)内の第0位の位相シフトが、拡散強調なしまたは無視しうる弱い拡散強調で生じる基準位相を基準にして測定され、
前記位相シフトを補償するような大きさにした均質の磁場パルス(C0)が定常の縦磁場の方向に印加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 - 妨害量として第0位の位相シフトΔΦが、拡散強調なしまたは無視しうる弱い拡散強調で生じる基準位相を基準にして測定され、
後続のHFパルスの位相が、測定した位相シフトΔΦを補償する程度で変化されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 - 有効エコー(E)が再焦点合せHFパルスを用いて誘発され、
前記HF再焦点合せパルスの位相がそれぞれΔΦ+πまたはΔΦ−π分だけ変化されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。 - 有効エコーのための横磁化が、拡散強調後に発生した少なくとも1つのHF励起パルスによって新たに励起され、
有効エコーのための横磁化の初回の新たな励起前に、フリップ角度90°を有するHFパルスが印加され、前記HFパルスがそれまでの横磁化を縦方向へ押戻し(DEFTパルス)、前記HFパルスの位相がΔΦ分だけシフトされることを特徴とする、請求項3に記載の方法。 - 無視しうる弱い拡散強調とともに、または拡散強調なしで、先行する少なくとも1つの基準実験で発生される対応するナビゲータ信号の位相の測定によって、基準位相が算出されることを特徴とする、請求項2から請求項5のいずれかに記載の方法。
- 妨害量として横磁化の位相の空間勾配が測定され、
前記位相勾配を補償するような大きさにした傾斜磁場パルス(C1、C2、C3)が印加されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の方法。 - ナビゲータ信号として少なくとも2つのナビゲータエコー(N1、N2、N3)が発生さ
れ、前記ナビゲータエコーの各々が、前記エコーに正確に割り当てられた空間方向で、位置に依存して周波数符号化され、かつ検出され、
各々の検出したナビゲータエコー(N1、N2、N3)から、その都度割り当てられた空間方向へ進む横磁化の位相勾配が算出され、
割り当てられた空間方向の各々において、前記方向のために算出した横磁化の位相勾配を補償する傾斜磁場パルス(C1、C2、C3)がその都度発生されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。 - 異なり、かつ好ましくは互いに垂直の空間方向で、拡散強調のために印加した傾斜磁場の方向と垂直である平面において、2つのナビゲータエコー(N1、N2)が周波数符号化されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- 異なり、かつ好ましくは互いに垂直の空間方向で、被表示画像平面に相当する平面において、2つのナビゲータエコー(N1、N2)が周波数符号化されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- 第3ナビゲータエコー(N3)が、別の2つのナビゲータエコー(N1、N2)の周波数符号化方向の平面と垂直である空間方向で周波数符号化されることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
- 位相勾配の算出のために、拡散強調なしまたは無視しうる弱い拡散強調時に最大値が現れうる基準時点に対して、該当するナビゲータエコー(N1、N2、N3)の最大値の時間シフトΔtが測定され、
位相勾配を補償する傾斜磁場パルス(C1、C2、C3)の持続時間の振幅の時間積分が−Δt・Gnav(式中Gnavはナビゲータエコーを周波数符号化する傾斜磁場の振幅である)と等しく量定されることを特徴とする、請求項8から請求項11のいずれかに記載の方法。 - 少なくとも1つの先行する基準実験で無視しうる弱い拡散強調でまたは拡散強調なしで発生される対応するナビゲータエコーの最大値の時点の測定によって基準時点が算出されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
- 拡散強調のために印加した傾斜磁場の方向と垂直である平面のK空間の面全体にわたってナビゲータ信号が走査され、
座標原点に対する前記K空間内の最大信号強度の場所が有するシフトから、横磁化の位相勾配の総量および方向が算出されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。 - 被表示画像平面に相当する平面のK空間の面全体にわたりナビゲータ信号が走査され、
座標原点に対する前記K空間内の最大信号強度の場所が有するシフトから、横磁化の位相勾配の総量および方向が算出されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。 - K空間の面全体にわたる走査が螺旋状走査であることを特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
- 選択した局所領域内における、対象の磁気共鳴挙動の空間分布を表わす画像表示用データを取得するための装置であって、
被検対象領域内に縦軸に沿って均質な磁場を発生させる手段(11、11a、21、22a)と、
対象領域に作用するHFパルスを発生させる手段(15、23)と、
対象領域内に異なる空間方向で傾斜磁場を発生させる手段(12、13、14、22)と、
対象領域から出る磁気共鳴信号を選択する手段(50)と、
制御手段(30、40、60)とを備え、前記制御手段はその動作時に、対象領域がHFパルスおよび傾斜磁場パルスのシーケンスにさらされるように、HFパルスおよび傾斜磁場の発生と、磁気共鳴信号の選択とを制御し、こうして、定常の磁場に対する横磁化の、位置に依存して符号化された有効エコー(E)のシーケンスを誘発し、前記有効エコーは被表示画像の再構成用のデータセットを形成し、前記制御手段はさらに、選択した対象領域内の拡散過程に依存する横磁化の減衰を引き起こす拡散強調シーケンスを、横磁化を励起するHFパルスと有効エコー(E)の誘発との間に挿入し、かつエコー発生(N1、N2、N3)により前記拡散強調横磁化からナビゲータ信号を誘発し、前記ナビゲータ信号の特性は、対象の運動によって生じる画像アーチファクトの修正用の情報を含み、
前記装置は、制御手段(30、40、60)の動作時に、
− ナビゲータ信号(N1、N2、N3)の位相特性における、前記画像アーチファクトを惹起しうる妨害量のうち少なくとも1つが、有効エコー(E)の誘発の前に測定され、
− 有効エコーが誘発される横磁化の位相特性が、それぞれ測定された妨害量の補償のために変化される、前記制御手段の構成を特徴とする装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 妨害量としてナビゲータ信号(たとえばN1)内の第0位の位相シフトが、拡散強調なしまたは無視しうる弱い拡散強調で生じる基準位相を基準にして測定され、
− 前記位相シフトを補償するような大きさにした均質の磁場パルス(C0)が定常の縦磁場の方向で印加される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項17に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 妨害量として第0位の位相シフトΔΦが、拡散強調なしまたは無視しうる弱い拡散強調で生じる基準位相を基準にして測定され、
− 後続のHFパルスの位相が、測定した位相シフトΔΦを補償する程度で変化される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項17に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 有効エコー(E)が再焦点合せHFパルスを用いて誘発され、
− 前記HF再焦点合せパルスの位相がそれぞれΔΦ+πまたはΔΦ−π分だけ変化される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項19に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 有効エコーのための横磁化が、拡散強調後に発生した少なくとも1つのHF励起パルスによって新たに励起され、
− 有効エコーのための横磁化の初回の新たな励起前に、フリップ角度90°を有するHFパルスが印加され、前記HFパルスがそれまでの横磁化を縦方向へ押戻し(DEFTパルス)、前記HFパルスの位相がΔΦ分だけシフトされる、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項19に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 無視しうる弱い拡散強調とともに、または拡散強調なしで、先行する少なくとも1つの基準実験で発生される対応するナビゲータ信号の位相の測定によって基準位相が算出される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項18から請求項21のいずれかに記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 妨害量として横磁化の位相の空間勾配が測定され、
− 前記位相勾配を補償するような大きさにした傾斜磁場パルス(C1、C2、C3)が印加される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項17から請求項22のいずれかに記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− ナビゲータ信号として少なくとも2つのナビゲータエコー(N1、N2、N3)が発生され、前記ナビゲータエコーの各々が、前記エコーに正確に割り当てられた空間方向で、位置に依存して周波数符号化され、かつ検出され、
− 各々の検出したナビゲータエコー(N1、N2、N3)から、その都度割り当てられた空間方向へ進む横磁化の位相勾配が算出され、
− 割り当てられた空間方向の各々において、前記方向のために算出した横磁化の位相勾配を補償する傾斜磁場パルス(C1、C2、C3)がその都度発生される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項23に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 異なり、かつ好ましくは互いに垂直の空間方向で、拡散強調のために印加した傾斜磁場の方向と垂直である平面において、2つのナビゲータエコー(N1、N2)が周波数符号化される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項24に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 異なり、かつ好ましくは互いに垂直の空間方向で、被表示画像平面に相当する平面において、2つのナビゲータエコー(N1、N2)が周波数符号化される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項24に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 第3ナビゲータエコー(N3)が、別の2つのナビゲータエコー(N1、N2)の周波数符号化方向の平面と垂直である空間方向で周波数符号化される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項25または26に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 位相勾配の算出のために、拡散強調なしまたは無視しうる弱い拡散強調時に最大値が現れうる基準時点に対して、該当するナビゲータエコー(N1、N2、N3)の最大値の時間シフトΔtが測定され、
− 位相勾配を補償する傾斜磁場パルス(C1、C2、C3)の持続時間の振幅の時間積分が−Δt・Gnav(式中、Gnavはナビゲータエコーを周波数符号化する傾斜磁場の振幅である)と等しく量定される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項24から請求項27のいずれかに記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 少なくとも1つの先行する基準実験で無視しうる弱い拡散強調でまたは拡散強調なしで発生される対応するナビゲータエコーの最大値の時点の測定によって基準時点が算出される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項28に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 拡散強調のために印加した傾斜磁場の方向に垂直である平面のK空間の面全体にわたりナビゲータ信号が走査され、
− 座標原点に対する前記K空間内の最大信号強度の場所が有するシフトから、横磁化の位相勾配の総量および方向が算出される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項23に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− 被表示画像平面に相当する平面のK空間の面全体にわたりナビゲータ信号が走査され、
− 座標原点に対する前記K空間内の最大信号強度の場所が有するシフトから、横磁化の位相勾配の総量および方向が算出される、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項23に記載の装置。 - 制御手段(30、40、60)の動作時に、
− K空間の面全体にわたる走査が螺旋状走査である、前記制御手段の構成を特徴とする、請求項30または31に記載の装置。
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