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JP2004524578A - 集積されたアブソーバを備えた波長変換器 - Google Patents

集積されたアブソーバを備えた波長変換器 Download PDF

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JP2004524578A JP2002579882A JP2002579882A JP2004524578A JP 2004524578 A JP2004524578 A JP 2004524578A JP 2002579882 A JP2002579882 A JP 2002579882A JP 2002579882 A JP2002579882 A JP 2002579882A JP 2004524578 A JP2004524578 A JP 2004524578A
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Abstract

特に波長分割多重通信システムにおいて役立つ光波長変換器であって、マッハツェンダ干渉計(52)の1つのアーム(36)に半導体接合(54)を備え、第1波長(λ1)のデータ信号と第2波長(λ2)のプローブ信号とが互いに反対方向にアームを伝播する。接合に逆バイアスを印加してアバランシェ増倍を起こし、データ信号を選択的に吸収することにより、データ信号に印加したデータに基づいてプローブ信号の位相を変調する。位相変調されたプローブ信号を非変調プローブ信号にぶつけることにより、光キャリアの波長を変換する。可同調レーザ(60)は選択可能な波長のプローブ信号を発生する。まず、データ信号をクロスゲイン変調(90)により他の信号とは帯域外の第3波長(λ3)に変換し、その後プローブ信号と相互作用させる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、光波長変換器に係り、特に、光スイッチング素子に組み込む光波長変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号の波長変換、特に、光キャリアをデータ信号で変調する光通信システムにおけるそれは、絶えず問題を提示してきた。データ信号を保持しながら、そのデータに対応する中間電気信号に変換する必要なく光キャリアの波長を変換することが求められる。
波長変換は、交換光ネットワークの容量および柔軟性の著しい増大に対して提案されてきた。例えば、石英ファイバが1525乃至1575nm帯域内で、それぞれが分離したデータ信号を有する多数の分離した光キャリアを伝送する波長分割多重方式(WDM)が、以前より知られている。現在、電子データ信号は、約10乃至40ギガビット/秒(Gbs)に限定されているが、これらのデータ伝送速度にWDMチャネル数W(ここでWは80以上に達する)を掛けた場合、1本のファイバの総データ容量は1テラビット/秒(Tbs)を上回る。このような高いデータ伝送速度は、より多くの形式の可視データが通信ネットワークに集中し始めるにつれ必要になると予想される。
【0003】
しかし、現代の通信システムは、1組のユーザを分ける一般的な多くの交換ノードによってその端部においてユーザと接続する複雑なネットワークに基づいている。主な例は、インターネットプロトコル(IP)に準拠するインターネットである。信号はネットワークのノード経由でルーティングする必要があり、選択的ルーティングには、これを実行するルータがノードに必要である。従来から、ルータは、電子スイッチ、一般的にはクロスバースイッチを基礎としてきた。結果として、WDM信号を、光学的に逆多重化し、電気的に検知し、電気的に交換し、個々の光キャリアに印加し、コンポネント信号を個々の適正な方向に送る前に光学的に多重化する必要がある。つまり、光信号の再生は、現在使用可能なルータを用いて実行しなければならない。この設計だと、驚異的に増大する光チャネルに追いつけない。
【0004】
ネットワークのノードに位置する波長クロスコネクト(WXC)が、その波長に基づいて個々のWDM信号をリダイレクトする完全光WDM通信ネットワークが提案されている。
しかし、従来のWXCは、IPネットワークおよび他のフレキシブル通信ネットワークに特有なパケットの存続時間よりはるかに長いスイッチング時間を必要とする。さらに、WXCはデータ信号のキャリア波長を維持するため、波長識別子を使用して多数のユーザの組の間に信号を送ることにより、大きなネットワークにとっては重大な、ネットワークの異なる部分での波長再利用におけるネットワーク管理問題が起こる。
【0005】
これらの問題の多くは、波長変換器を使用すれば解消できる。“WDMネットワークアプリケーションのための波長変換技術”光波技術ジャーナル、14巻、第6号、1996年6月、955〜966ページにおいて、私は、いくつかの波長変換器用のネットワークアプリケーションと、これを実行するいくつかの方法について述べている。2000年2月29日に出願された米国仮出願第60/185,640号と、2000年9月1日に出願された米国特許出願第09/654,384号において、私は、ペタビット/秒(1015ビット/秒)の処理性能を持つ、波長変換器を備えた光ルータについて述べている。この特許出願は、参照によって本明細書にそっくりそのまま組み込まれている。
【0006】
図1に示すスイッチング構造10は、上述の高速光ルータで使用することができ、K入力光チャネル12(通常は光ファイバ)上のWDM信号を任意のK出力光チャネル14にスイッチする。各入力ファイバ12に結合する光デマルチプレクサ16は、光WDM信号をW個の波長成分に分離する。入力波長変換器18は、各デマルチプレクサ出力上の光キャリアの波長を、信号がWK×WK波長ルータ20に入力される前に、多数の波長のうちの選択された1つに変換する。波長ルータ20は、1またはそれ以上のアレイ導波路回折格子(AWG)として使用され、任意の入力ポートから任意の出力ポートへの入力信号のスイッチング方向を、入力波長変換器18が与える入力信号のキャリア波長によって完全に決定する受動素子である。ここで留意すべきは、許容されるスイッチングパスの数に制限がある場合、波長ルータ20のサイズを小さくできることである。波長ルータ20の各出力ポートは、キャリア波長を、出力チャネル14のWDM波長コームが決定する新しい値に自由に変換する各出力波長変換器22に接続する。光マルチプレクサ24はW個の波長キャリアを受信し、接続する光出力チャネル14に結集させる。
【0007】
前述の特許出願に記載された光ルータの容量および柔軟性を獲得するため、波長変換器18および22は、任意のWDM波長間でスイッチ可能でなければならず、パケット長(通常はランダムな長さ、例えば、48バイトまたは1.5キロバイト)の期間よりあまり長くない時間でできなければならない。ノードにおいてある程度の信号遅延は許容されるが、ネットワーク上の低信号レイテンシのためにはこれを最小化すべきである。
【0008】
光スイッチングに適用できる波長変換器の1つの型は、ゲート波長変換器であり、これは前掲の私の技術論文において簡単に説明され、図2にその概略平面図が示されたマッハツェンダ干渉計変換器において使用できる。変換器30には、2つのアーム36および38の形をした導光板を有するマッハツェンダ干渉計34が形成されたInP光電子チップ32を集積する。順バイアスをかけた半導体光増幅器(SOA)を両アーム36および38の活性領域40および42に形成する。順バイアスとは、正の電圧+Vを、通常接地されているn型側に対応する半導体ダイオードのp型側に印加することである。活性領域40および42にあるものを含む、例示されたすべての導波路が、光キャリアの帯域を通じてシングルモードである。キャリア波長λ1の光データ信号を、データ信号を上方アーム36のみに供給するように構成された、上方アームの一端にある導波路結合器に入力する。波長λ2の無変調プローブ信号を、上方アーム36の別の一端にあるもう1つの結合器に入力する。ここで留意すべきは、プローブ信号はλ1データ信号に対して逆方向に進むことである。結合器はプローブ信号を上方アーム36と下方アーム38とに分割する。2つのアーム36および38を通った後、プローブ信号は、出力導波路44の左にある光結合器によって再結合される。
【0009】
2つのアーム36、38内にある光増幅器は光飽和状態ま0たはその近辺で作動するので、λ1光データ信号のオン状態の電力が上方活性領域40を通過すると、λ1信号電力が通過していない下方活性領域42に位相変化が起きる。λ1光データ信号のオフ状態では、2つの活性領域40と42の間に位相差はない。差動バイアシングにより2つの活性領域40と42の間に時不変位相差が生じることもある。位相差の一時的変化が誘発される結果、λ2プローブ信号は、λ1光データ信号の変調状態に依存して、2つのマッハツェンダアーム36および38において位相差を経験する。λ2プローブ信号源の反対側の、マッハツェンダ干渉計の端部にある導波路結合器は、2つのλ2信号を受信し、出力導波路44上で結合する。2つのアーム間の相対的位相差に基づいて、2つの信号は建設的または破壊的に干渉し、その結果、出力導波路44上に、λ1キャリアがもともと持っていたデータ信号に基づいて変調したキャリア周波数λ2のλ2光データ信号が発生する。
【0010】
しかし、このタイプのマッハツェンダ波長変換器には、いくつかの欠点がある。この変換器は、過剰な電力を消費し、約300mAの増幅器バイアス電流と、約500mWの電力を必要とする。実用的な光ルータには多数の波長変換器が必要であることを考えると、大きな電力は、電力量に関する問題を提示し、1つの光電子チップに集積できる変換器の数を制限する。さらに、このタイプの波長変換器のデータ転送速度は、半導体増幅器のダイナミクスにより制限され、一般的なInP光電子チップにおける0.1乃至1nsのレスポンスタイムを有する。したがって、10Gbsのシングルチャネルデータ転送速度がせいぜい限界で、40Gbsの速度は、約100mWの非常に高い光強度を第2波長のプローブ信号に使用しない限り達成不可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、変調を維持しながらキャリア波長を変換でき、電力消費レベルの低い光波長変換器が求められる。また、このような変換器が、変換される光信号の変調速度を増大できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
光波長変換器は、逆バイアスが印加された半導体接合を有する干渉計を含む。第1波長の第1光信号は、データ信号に基づいて変調され、逆バイアスが印加された接合を通過する第2波長の非変調第2光信号として、逆バイアスが印加された接合を通過する。結果として生じる第2光信号を非変調第2光信号と結合し、データ信号に基づいて変調された第2光信号を作り出す。第1および第2光信号は、逆バイアスが印加された接合を互いに反対方向に伝わることが望ましい。
半導体接合は、第1および第2波長より短い波長の光バンドギャップを有することが望ましい。また、半導体接合に逆バイアスを印加し、例えば、少なくとも10の増倍率でアバランシェ増倍を引き起こすことが望ましい。
【0013】
第1の実施の形態では、干渉計は、2つのアームを有するマッハツェンダ干渉計であり、各アームは逆バイアスが印加された半導体接合を有する。第1光信号は1つのアームのみを通過し、第2光信号は2つのアームに分かれる。その後、第2光信号は再結合する。
半導体光増幅器は、第1光信号が干渉計に入る前に増幅する。
可同調ダイオードレーザは第2光信号を供給する。
光増幅器および可同調ダイオードレーザの一方または両方を、干渉計および半導体接合と同じ光電子チップ上に集積する。このような素子をチップ上に複数組集積する。
【0014】
最初、光入力信号は第3の固定波長の中間信号に変換された後、干渉計に到達する。第3波長は、第1および第2光信号のどちらの波長よりも短いことが望ましい。初めの波長変換をクロスゲイン変調により行うことが望ましい。
干渉計を、既述した素子の一部または全部とともに、同じ光電子チップ上に集積することが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の波長変換器50を図3の概略図に示す。この波長変換器は、従来技術の干渉計34と同様のマッハツェンダ干渉計52を含む。しかし、活性領域を増幅させるのではなく、負にDCバイアスをかけた(-V1および-V2)アバランシェ吸収領域54および56を含む。2つの負のバイアスは、他にも理由はあるが、アーム36および38間に制御された一定の位相差を作り出すために数パーセント異なる。アバランシェ吸収領域54および56は、図1の増幅活性領域40および42と根本的に異なる。
【0016】
pnまたはpin構造または他の半導体接合を、n型層に対してp型層に負のバイアスをかけることによって所望の型の光アブソーバにすることができる。すなわち、ダイオードアブソーバに負のバイアスをかけ、対照的に増幅器に正のバイアスをかける。光に照らされていないダイオード接合に逆バイアスを印加すると、光のない接合を電流がほとんど流れない。逆バイアスp型層およびn型層の間に電荷空乏帯ができ、これは、真性つまりi型層を含む。しかし、光が空乏帯を通過するとき、光子が空乏帯で吸収され、異なる電荷を帯びた電子および正孔を引き付けるようにバイアスをかけた層に拡散する電子正孔ができる。その結果、光電流が生じるが、本発明には直接の利害関係はない。
【0017】
吸収量は、光量子のエネルギに依存するが、光の自由空間波長に反比例する。まず、材料のバンドギャップEgより小さいエネルギを有する光の吸収はない。ここでの材料は、InGaAsPで、そのバンドギャップを約1.55μmの赤外バンドにやや近くなるように選択する。材料のバンドギャップEgは、しばしば光ルミネセンス波長により測定される。実際、第3および第4III-V半導体材料の組成は、正確な組成よりむしろ光ルミネセンス波長により特定されることが多い。
【0018】
しかし、単純なバンドギャップモデルと対照的に、バンドギャップより小さな光エネルギの場合には光吸収が起こることがある。比較的小さなバイアスを接合に印加した場合の、吸収係数α対光波長(光子エネルギの逆)の一般的なプロット57を図4に示す。吸収波長は、吸収係数の逆、すなわち1/αである。Egより小さいエネルギの光(より長い波長)の場合、吸収は相対的に少ない。というのは、光が、バンドギャップに及ぶほどに電子または正孔を励起させるのに十分なエネルギを有することができないからである。しかし、いくらかの吸収はある。いくつかのメカニズムが、通常、指数関数型テールとしてモデル化された、バンドギャップに及ぶ高エネルギ吸収テール58について説明している。Foygel他著“p-n接合の分野におけるサブバンドギャップ光電気吸収(Sub-band gap optical electro-absorption in the filed of a p-n junction)”(Physica Status Solidi(b), vol.203, pp.255-264, 1997)は、指数関数型テールは、三角形のバイアス電位プロフィルの一部を突き抜ける電子が関与するバイアス接合におけるフランツ-ケルディシュ効果によるものであると説明する。一方、Satske他著“In1-xGaxP1-yAsy/InPダブルヘテロ構造の吸収および電界吸収スペクトル(Absorption and electroabsorption spectra of an In1-xGaxP1-yAsy/InP double heterostructure)”Journal of Applied Physics, vol.63, no.11, 1 June 1988, pp.5485-5490は、指数関数型テールは、励起子によるものであると説明している。
【0019】
しかし、接合に強く逆バイアスが印加されている場合、空乏帯は広く、空乏帯内の電界は高い。結果として、各pおよびn型層が引き付けるように1つの光子が作り出す電子および正孔のそれぞれは、格子内の原子に結合した電子または正孔と衝突するのに十分なエネルギを得やすいので、原子をイオン化し、追加的な電子および正孔を作り出す。バイアスが十分に高いと、この効果は増し、各光子に対して大きな数の電子正孔対を作り出す。この数を増倍率Mと呼ぶ。本発明において有益な増倍率Mの値は、20乃至100である。アバランシェ状態の電子および正孔は、同様に広範囲の光子相互作用エネルギとは別の広範囲のエネルギで増える傾向があり、指数関数型テール58は、アバランシェ状態においては、光エネルギまたは波長に対して比較的一定な平らなテール領域59に切替わる。
【0020】
本発明の波長変換器50の吸収領域54および56は、平らなテール領域59で動作する。増倍率がかなり高いアバランシェ状態では、プローブ電力のレベルを有意な出力信号が存在しない程度まで下げる吸収がなく、自由電荷密度が高いので、通過光の位相に変化を生じさせる屈折率に大きな影響をもたらす。吸収領域54および56全体の吸収は、20%位とする必要がある。というのは、ほぼ同じ電力の変換光信号を発生するのに比較的低いポンプパワーが必要だからである。図2の飽和増幅モードではなく吸収モードで動作させることの利点は、波長変換された光信号のデータ転送速度を高めることができるスイッチング回数を少なくすることである。導波路およびバイアス電圧の設計によって、逆バイアスアバランシェダイオードの応答時間は、飽和光増幅器が100乃至1000psであるのに対し、通常10乃至40psの範囲である。結果として、本発明の波長変換器は、高度光通信ネットワークに必要な10Gbs以上のデータ転送速度で動作可能である。
【0021】
図3に示した2つの吸収領域54および56のそれぞれに印加される2つの負のバイアス-V1と-V2の差を使用して、2つのマッハツェンダ干渉計アーム36および38間の位相差を制御する。波長変換器は、反転モードと非反転モードの2つの異なるモードで動作する。反転モードでは、明るい光信号を暗い光信号に変換し、逆もまた同様である。反転モードが得られるのは、2つの干渉計アーム36と38の位相が、等しい(V1=V2)か、または2πの倍数だけ異なる時である。変換が起こるのは、λ1光データ信号が無い場合、λ2光プローブ信号の2つの成分が同位相の2つのアーム36および38を出て、建設的に結合して暗い入力光信号の代わりに明るい出力光信号を発生するためである。非反転モードの動作は、論理的動作上の理由で好ましい。また、非反転はレーザチャープの効果を減ずる。非反転モードが得られるのは、2つのアーム36と38の位相が、πまたはその奇数倍だけ異なる時である。一方、位相差が0またはπの偶数倍である反転モードでは、明信号と暗信号間の変換は起こらない。
【0022】
以下で説明する実施例で、アブソーバからは離れているが、半導体光増幅器を含む導波路コアが選択されると、通常長距離ファイバ通信ネットワークで使用する1525乃至1575nmの信号帯域幅における増幅を可能にする1650nmの光ルミネセンス波長(バンドギャップ)が得られる。しかし、導波路コアが吸収領域内にある構成が選択されると、1250nmのバンドギャップが得られ、1525乃至1575nmのキャリア帯域を平らな吸収テールに位置付ける。他のアブソーババンドギャップ波長も、例えば、キャリア帯域の中心の約67%乃至90%である1000乃至1450nmの範囲で考えられる。キャリア帯域のより長い波長部分を使用しさえすれば、アブソーババンドギャップ波長は、任意のキャリア波長より短い限り、1550nmにまで及ぶ。少し別な表現をすれば、InPに格子整合するInGaAsPの場合、アブソーバ組成およびバンドギャップは1.0Q乃至1.55Qに相当する。
【0023】
図3に戻って説明する。吸収領域54および56は、飽和増幅器の約10分の1という比較的低い電力しか必要としない。したがって、チップ32上には、さらに他の素子を集積することも可能である。λ2プローブ信号を発生する可同調半導体ダイオードレーザ60を一体化することもできる。発振波長λ2は、例えば1525乃至1575nmの間の動作帯域内で任意の波長となるように選択できる。前述の特許出願には、InPチップ32に可同調ダイオードレーザなどの他の素子を一体化できる実施例が記載されている。このようなレーザは、約1nsで波長を切換えることができる。このような速い波長調整により、光電子変換や光信号の長期保存をする必要なく、光パケットの光スイッチングが可能となる。比較的短い光ファイバは十分な信号遅延をもたらし、その結果、パケットヘッダを復号化しパケットのあて先アドレスを決定することと、レーザ波長をパケットあて先に対応するように再同調することが可能となる。1525-1575nmシリカ伝送帯域では、受動導波路とレーザおよび増幅領域両方の導波路コアは、1650nmの光ルミネセンスピークを持ちInPに格子整合する第4組成InGaAsPを持つことができる。
【0024】
図3の波長変換器50は、λ1光データ信号およびλ2プローブ信号が吸収領域54を反対方向に伝播するように設計されている。この反対伝播により、フィルタやアイソレータの必要性が減少する。しかし、可同調レーザ60をマッハツェンダ干渉計から出たλ1放射から分離する必要がある。しかし、その必要性は半導体光増幅器を使用する波長変換器と比べて低い。というのは、λ1放射は増幅されるというよりむしろ部分的に吸収されるからである。適切な分離またはフィルタリングを行えば、2つの信号λ1およびλ2が吸収領域54を共伝播(同方向の伝播)することが、波長変換において効果的になるだろう。
【0025】
また、マッハツェンダ干渉計に入る前にλ1信号を増幅する半導体光増幅器62を備えることが望ましい。その利得領域はλ2プローブレーザ60と同様である。この光増幅器62は、図1の2つの飽和光増幅器が300μmの長さであるのに対し、約50μmの長さを有するので、電力消費がそれほど多くない。電力消費を抑えるという観点から、プローブレーザ60および半導体光増幅器62のどちらかまたは両方をマッハツェンダと同じチップ50に集積してもよい。両方使用する場合、キャリア波長λ1の光データ信号をキャリア波長λ2の光データ信号に変換する2ポート波長変換器となる。
【0026】
以上で述べた連続的な集積化は、セクション間の費用のかかるピグテールを回避するのに特に役立つ。また、低電力消費のおかげで、1つのチップに複数の波長変換器を組み込むことが可能になる。図5の概略図に示すように、1個のInP光電子チップ32にはN個(Nは1より大きい)のセクションがあり、各セクションは可同調半導体レーザ60、逆バイアスが印加された吸収領域54および56を備えたマッハツェンダ干渉計52、半導体光増幅器62を備える。各セクション(i)は、波長λ1 (i)の信号を受信し、波長λ2 (i)の信号を出力する。複製されたセクションは同じ設計であり、同調波長λ2 (i)を選択する個々の制御線だけが異なり、入力波長がセクション間で異なることが期待されている。しかし、注目すべきは、出力波長変換器では、波長変換器から出力される波長が、信号を同時に多重化する前、通常一定の関係で異なる限り、波長ルータから入力される波長が同じである設計でもよいことである。集積度が図5のものより高くても低くてもよい。例えば、レーザ60および/または光増幅器62を外部に配置してもよい。一方、図1のデマルチプレクサ16またはマルチプレクサ24を図5のチップ32に組み込むことは有利である。必要なら図1の回路全体を1個のチップに集積してもよい。
【0027】
アバランシェアブソーバの簡単な例を図6の軸方向断面図に示す。埋め込みヘテロ構造の導波路構造を高濃度にドーピングしたn型InP基板上に成長させる。1525乃至1575nm帯域を通じてシングルモードの導波路は、n型InPの下方クラッド層72、真性InGaAsPのコア層74、およびp型InPの上方クラッド層76を含む。コア層74は、幅約2μm、厚さ約0.8μmで、InPに格子整合するInGaAsP組成で、アブソーバに対し約1250nmの光ルミネセンス波長を有する。FeドープInPの絶縁層78が再生し、電気的遮蔽を提供する。p+型コンタクト層80をp型上方クラッド層76上にパターン形成し、n型下方クラッド層72に負のバイアスを印加できるようにする。この導波路構造は、図の平面に対し垂直に広がり、半導体構造は、導波路に導かれた光が接合を垂直に通過するように垂直に広がる。増幅器およびレーザを含む活性導波路の他の部分の構造は、コア組成およびバイアスを除いて同様である。しかし、マッハツェンダの大部分およびチップの残部を構成する受動導波路のためにp型層76および80を除去することが望ましい。その代わりにi-InGaAsPコア層74の上にもFeドープInPの絶縁層78を再生する。
【0028】
アバランシェへテロ構造導波路のより詳細な垂直構造を表1にまとめる。
【0029】
【表1】
Figure 2004524578
InP基板を次の4つの層とともにエピタキシャルに積層する。活性層は、InPに格子整合する非ドープ第4組成InGaAsPで、1.3μmにおいて光ルミネセンスピークを持つ、つまりInGaAsP組成表記1.30Qである。導波路の横方向が定義された後、上部p型層に覆われる。結果として、両クラッド層がドーピングされ、逆バイアスを印加できるダイオード構造が形成される。
【0030】
表2には、半導体光増幅器の高性能な垂直構造を、表3には、6周期多重量子井戸(MQW)領域の1周期の構造をまとめた。量子井戸は歪んでいる。
【0031】
【表2】
Figure 2004524578
【0032】
【表3】
Figure 2004524578
この構造は、1.56μmの順バイアス下で光ルミネセンスピークを作り出す。しかし、このような構造には、複雑な製造工程と再生が必要となる。なぜなら、アバランシェダイオードを形成する工程を統合しなければならないからである。
【0033】
表4には、製造を単純化する垂直成長構造をまとめた。
【0034】
【表4】
Figure 2004524578
【0035】
上の2つの層は、半導体光増幅器およびレーザダイオードの利得層を形成する。これらは、光利得を必要としないチップ部分においてエッチング除去される。アバランシェアブソーバを含む活性導波路領域の場合、p型=2×1017cm-3にドーピングされたInP層が、光利得層の一部を形成する20nm非ドープInP層上と、受動導波路とアバランシェダイオードの両方のコア層を形成する、1.25QInGaAsP層上の20nmn型層上の両方に再生する。
【0036】
表5には、6MQW周期の各周期が前記表3の構造を有する別の構造をまとめた。この構造は、1.56μmで光ルミネセンスピークを産出する表2の量子井戸と表4の単純化された処理とを結合する。この構造は、他の領域で剥離された活性量子井戸層と、受動導波路とアバランシェダイオードの両方のための1.15QInGaAsPコア層を含む。
【0037】
【表5】
Figure 2004524578
【0038】
図3の光電子回路の変更により、本発明が実現する通信ネットワークで期待される入力波長λ1の変換を受けて波長変換器の分光応答が平坦化される。図7に示す波長変換器50'では、入力半導体光増幅器62において増幅されたλ1光信号はカプラを通過して、入力半導体光増幅器62と同じ型のクロスゲイン半導体光増幅器90の片側に伝播する。固定波長ダイオードレーザ92は、波長λ3の光をクロスゲイン増幅器90の別端に放射する。図1の従来技術の波長変換器について説明したように、クロスゲイン増幅器90は飽和状態またはその近辺で作動し、その結果、混変調により、λ1光信号に印加されたデータ信号がλ3光信号に移される、すなわち波長変換が起こる。次にλ3光信号の一部は、付加光カプラを通過して吸収領域54へ進入する。それから、図3の実施の形態とまったく同様に、λ3光信号のキャリア波長をλ2に変換し、λ2光信号として出力する。
【0039】
λ3波長は、光ネットワーク波長の最短波長、例えば1525nmより短くなるように選択することが望ましい。
この設計はいくつかの利点を有する。より短い波長λ3は、増幅器90におけるクロスゲイン変調を減少させるが、吸収領域54においてより効果的に吸収される。固定波長λ3はまた、入力波長λ1に関係なく一定の光強度が吸収領域54に入力されるようにする。
【0040】
λ3に同調された波長ブロッキング分布ブラッグ反射(DBR)フィルタ94を、λ2励起レーザ60とマッハツェンダ干渉計の間に配置し、より複雑な方向アイソレータを置換える。同様に、λ3プローブ波長がλ1入力信号の波長範囲外にある場合、λ3に同調された別のDBRフィルタ96を、クロスゲイン光増幅器90と入力光増幅器62との間に配置し、入力光増幅器62からのλ3ポンプ信号をブロックする。λ3レーザ92の絶縁は、固定波長制御であるため、より簡単である。
λ1およびλ2の帯域外の中間周波数λ3を使用すれば、信号を入力と出力とに分離する複雑なアイソレータや近接するフィルタを必要とすることなく、図2の従来技術の波長変換器30と同様の飽和利得波長変換が利用できる。
【0041】
図1の光スイッチング構造10は、入力波長変換器18用にクロスゲイン変調を含む図7の波長変換器50'を使用し、出力波長変換器22用に図3のよりシンプルな波長変換器50を使用することが望ましい。変換器50および50'については、2つの吸収領域54および56に印加されるバイアス電圧-V1および-V2を、入力および出力波長変換器18および22の両方が反転モードで作動するように設定する。しかし、波長変換器50'のクロスゲイン光増幅器90で達成されるクロスゲイン波長変換そのものは、反転動作であり、マッハツェンダ部分で達成される波長変換は非反転動作であり、したがって、レーザチャープは負である。同様に、非反転モードの出力波長変換器22の動作は、レーザチャープの効果を減ずる。非反転動作は負のレーザチャープパラメータを提供し、一方、ファイバ波長分散は正である。
以上、波長変換器についてマッハツェンダ干渉計とのからみで説明してきたが、本発明のアブソーバを差動位相および波長変換の達成に適用できる他のタイプの干渉計もある。
【0042】
以上の説明は光ルータとのからみでなされたが、本発明の波長変換器は他の目的で使用できる。例えば、固定波長WDM通信ネットワークにおける波長交差接続には、追加的にキャリア波長変換機能が備えられている。したがって、波長割当てはネットワークの単一のレッグにのみ準拠し、レッグ間で調整する必要はない。したがって、波長再利用は問題にならない。特に、波長変換器をWDM通信ネットワークの異なる部分間に配置することにより、異なる部分内のトラフィック管理を簡素化できる。また、本発明の波長変換器により、アレイ導波路回折格子などの波長ルータを単一のWDM波長コームに適合するように設計しながら、WDM波長コームを自由に選べるようになる。また、この波長変換器により、ノード間にWDM波長を登録する必要性が減少する。
したがって、本発明によれば、一般的なパケット長より短い、およそ1ナノ秒のスイッチング時間での波長変換が可能となる。したがって、信号の光ルーティングが可能となる。また、より多くの部品を1つのチップに集積化可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の波長変換器を用いた光ルータのスイッチング構造を示す概略図。
【図2】従来技術によるマッハツェンダ干渉計型ゲート波長変換器を示す概略図。
【図3】本発明によるマッハツェンダ干渉計型ゲート波長変換器を示す概略図。
【図4】逆バイアスが印加された半導体接合における光吸収のバンドギャップテールを示すグラフ。
【図5】多数の干渉計および関連素子が集積された、波長分割多重通信システム用に構成された光電子チップの概略図。
【図6】本発明で使用する光導波路モデルの概略断面図。
【図7】中間波長への混変調波長変換を追加的に含む波長変換用光電子チップを示す概略図。

Claims (27)

  1. 波長変換器であって、
    第1波長の第1光データ信号を第1入力ポートで受信し、第2波長の第1光プローブ信号を第2入力ポートで受信し、前記第2入力ポートからの伝送路に沿って結合された出力ポートを有する干渉計と、
    前記伝送路に沿って配置された、逆バイアスが印加された半導体接合とからなり、
    前記データ信号および前記プローブ信号が前記接合を通過する時に前記データ信号を少なくとも部分的に吸収することによって、前記プローブ信号が、前記データ信号によって引き起こされる位相シフトを受けることを特徴とする波長変換器。
  2. 請求項1に記載の波長変換器において、
    前記接合にバイアスを印加してアバランシェ増倍を起こさせることを特徴とする波長変換器。
  3. 請求項2に記載の波長変換器において、
    前記アバランシェ増倍が少なくとも10の増倍率を有することを特徴とする波長変換器。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の波長変換器において、
    前記第1および第2波長が、1525乃至1575nmの範囲にあることを特徴とする波長変換器。
  5. 請求項4に記載の波長変換器において、
    前記半導体接合が、1000乃至1550nmの光ルミネセンス波長を有するInGaAsPからなる吸収領域を含むことを特徴とする波長変換器。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の波長変換器において、
    前記半導体接合が、前記第1波長より短い光ルミネセンス波長を有することを特徴とする波長変換器。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の波長変換器において、
    前記干渉計および前記半導体接合と同じ光電子チップ上に集積され、前記干渉計に入る前に前記光データ信号を増幅するように配置された半導体光増幅器をさらに含むことを特徴とする波長変換器。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の波長変換器において、
    前記光プローブ信号を発生し、前記第2波長をある波長域で予め選択された値に同調可能な可同調レーザをさらに含むことを特徴とする波長変換器。
  9. 請求項8に記載の波長変換器において、
    前記波長域が1520乃至1575nmであることを特徴とする波長変換器。
  10. 請求項8または9に記載の波長変換器において、
    前記可同調レーザを前記干渉計と同じ光電子チップ上に集積することを特徴とする波長変換器。
  11. 請求項1乃至10の何れかに記載の波長変換器において、
    前記第1波長の第2プローブ信号を発生するレーザと、
    前記第2プローブ信号と第3波長の第3光データ信号とを受信し、前記第2プローブ信号と前記第3光データ信号との相互作用により前記第1光データ信号を発生する半導体増幅器と、をさらに含むことを特徴とする波長変換器。
  12. 請求項11に記載の波長変換器において、
    前記第1波長が、前記第2および第3波長のどちらよりも短いことを特徴とする波長変換器。
  13. 波長変換器であって、
    第1アームおよび第2アームを有するマッハツェンダ干渉計と、
    前記第2アームと結合せずに前記第1アームと結合する、光データ信号用の第1入力ポートと、
    前記第1および第2アームと結合し、前記データ信号およびプローブ信号が前記第1アームを伝播するように構成された、前記光プローブ信号用の第2入力ポートと、
    前記マッハツェンダ干渉計の前記第1入力ポートと同じ側で前記第1および第2アームの結合出力を受信する出力ポートと、
    前記第1アームに配置された第1の逆バイアスが印加された半導体接合と、を含むことを特徴とする波長変換器。
  14. 請求項13に記載の波長変換器において、
    前記データ信号およびプローブ信号は、前記第1アームを互いに反対方向に伝播することを特徴とする波長変換器。
  15. 請求項13または14に記載の波長変換器において、
    前記第2アームに配置された第2の逆バイアスが印加された半導体接合をさらに含むことを特徴とする波長変換器。
  16. 請求項15に記載の波長変換器において、
    前記第1および第2接合にバイアスを印加してそれぞれにアバランシェ増倍を起こさせることを特徴とする波長変換器。
  17. 請求項16に記載の波長変換器において、
    前記アバランシェ増倍が少なくとも10の増倍率を有することを特徴とする波長変換器。
  18. 請求項13乃至17の何れかに記載の波長変換器において、
    前記光データ信号を第1波長の第1光キャリアに印加し、前記光プローブ信号が第2波長を有することを特徴とする波長変換器。
  19. 請求項18に記載の波長変換器において、
    前記第1および第2波長が1525乃至1575nmの範囲にあることを特徴とする波長変換器。
  20. 請求項19に記載の波長変換器において、
    前記第1半導体接合が、1000乃至1550nmの光ルミネセンス波長を有するInGaAsPからなる吸収領域を含むことを特徴とする波長変換器。
  21. 請求項18乃至20の何れかに記載の波長変換器において、
    前記第1半導体接合が、前記第1波長より短い光ルミネセンス波長を有することを特徴とする波長変換器。
  22. 請求項13乃至21の何れかに記載の波長変換器において、
    前記マッハツェンダ干渉計および前記第1半導体接合と同じ光電子チップ上に集積され、ある波長帯内で選択可能な波長の前記光プローブ信号を発生できる可同調レーザをさらに含むことを特徴とする波長変換器。
  23. 請求項13乃至21の何れかに記載の波長変換器において、
    前記マッハツェンダ干渉計および前記第1半導体接合と同じ光電子チップ上に集積され、前記第1入力ポートと前記第1アームの間に位置して前記光データ信号を増幅する半導体光増幅器をさらに含むことを特徴とする波長変換器。
  24. 波長変換器であって、
    第1光波長のキャリア信号を有する第1光信号を第1入力ポートで受信し、第2光波長の第2光信号を第2入力ポートで受信し、前記第2入力ポートからの伝送路に沿って結合された出力ポートを有する干渉計と、
    前記伝送路に沿って配置され、前記第1および第2光波長より短い光ルミネセンス波長を有する半導体接合と、を含み、
    前記第1および第2光信号は前記半導体接合を伝播することを特徴とする波長変換器。
  25. 請求項24に記載の波長変換器において、
    前記第1光信号に印加したデータ信号に基づいて選択的に前記第2光信号の位相をシフトすることを特徴とする波長変換器。
  26. 請求項24または25に記載の波長変換器において、
    前記第1および第2波長が1525乃至1575nmの範囲にあることを特徴とする波長変換器。
  27. 請求項26に記載の波長変換器において、
    前記半導体接合が、1000乃至1550nmの光ルミネセンス波長を有するInGaAsPからなる吸収領域を含むことを特徴とする波長変換器。
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