JP2004338686A - 建設機械用キャブ - Google Patents
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Abstract
【課題】支柱に作用する荷重を分散させることにより、床板、支柱の強度を低く抑えて軽量化し、生産性の向上、製造コストの低減を図る。
【解決手段】床板12の左側部位に立設された後左支柱17と右側部位に立設された後右支柱19との間に支柱連結部材28を設け、この支柱連結部材28により床板12よりも上側の位置で各支柱17,19を連結する構成としている。従って、支柱17,19に左,右方向から荷重が作用した場合には、支柱連結部材28により荷重を分散して受承し、支柱17,19の下端部と床板12との取付部分への荷重の集中を防止することができる。これにより、床板12、支柱16〜19等には薄肉な安価な材料を使用でき、また補強箇所を少なくできるから、組立作業性の向上、製造コストの低減等を図ることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】床板12の左側部位に立設された後左支柱17と右側部位に立設された後右支柱19との間に支柱連結部材28を設け、この支柱連結部材28により床板12よりも上側の位置で各支柱17,19を連結する構成としている。従って、支柱17,19に左,右方向から荷重が作用した場合には、支柱連結部材28により荷重を分散して受承し、支柱17,19の下端部と床板12との取付部分への荷重の集中を防止することができる。これにより、床板12、支柱16〜19等には薄肉な安価な材料を使用でき、また補強箇所を少なくできるから、組立作業性の向上、製造コストの低減等を図ることができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばホイールローダ、油圧ショベル、油圧クレーン等に用いて好適な建設機械用キャブに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械としては、ホイールローダ、油圧ショベル、油圧クレーン等があり、これら建設機械は、自走可能な車体と、該車体の前側に設けられた作業装置とにより大略構成され、車体にはオペレータが乗車するキャブが搭載されている。
【0003】
ここで、キャブは、運転室を画成するもので、その内部にはオペレータが着座する運転席、走行用のステアリングホイールとペダル、作業用の操作レバー等が配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−26947号公報
【0005】
ここで、キャブは、底面を構成するほぼ平坦な床板を有し、該床板の左側部位と右側部位部には、前,後方向に離間して複数本の支柱が立設されている。また、床板の下側には、キャブを車体側に支持するための支持ブラケットが複数箇所に設けられ、該各支持ブラケットは振動等を緩和する取付マウントを介して車体側に取付けられている。さらに、キャブには、運転室を囲むように外面板が設けられ、該外面板は床板、各支柱等に取付けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術によるものでは、キャブの支持構造をなす各支柱は、その下端部だけが床板に取付けられているから、例えばキャブの左,右方向から荷重が作用したときには、支柱の下端部と床板との取付部分に荷重が集中してしまう。
【0007】
そこで、従来技術によるキャブは、床板と支柱の板厚を厚くしたり、床板と支柱との間に補強部材を設けたりして左,右方向からの荷重に対する強度を高めている。しかし、このように各部品の板厚を厚くしたり、補強部材を設けると、キャブ全体の重量が重くなる、組立作業性が悪くなる、製造コストが嵩むという問題が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、支柱に作用する荷重を分散させることにより、床板、支柱の強度を低く抑えて軽量化し、生産性の向上、製造コストの低減を図ることができるようにした建設機械用キャブを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の建設機械用キャブは、底面を構成する床板と、該床板の左側部位に立設された前,後の左支柱と、前記床板の右側部位に立設された前,後の右支柱とを備えている。
【0010】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、左支柱と右支柱との間には、床板よりも上側の位置で左,右方向に延びる支柱連結部材を設け、該支柱連結部材により左支柱と右支柱とを連結する構成としたことにある。
【0011】
このように構成したことにより、例えば左支柱に荷重が作用した場合には、床板よりも上側の位置で支柱連結部材が荷重の一部を受承し、また支柱連結部材を介して右支柱も荷重を受承することができるから、左支柱に作用する荷重を分散し、該左支柱の下端部と床板との間に作用する荷重を低減することができる。
【0012】
請求項2の発明によると、支柱連結部材は、支柱の高さ寸法中間点よりも下側に配設する構成としたことにある。これにより、支柱連結部材はキャブ内の下側寄りで邪魔にならない位置に配置することができる。また、後方の視界も良好にすることができる。
【0013】
請求項3の発明によると、支柱連結部材は、後左支柱と後右支柱との間に設ける構成としたことにある。これにより、支柱連結部材はキャブ内の後側寄りで邪魔にならない位置に配置することができる。
【0014】
請求項4の発明によると、床板の下側には車体側に取付けられる支持ブラケットを設け、該支持ブラケットは各支柱に対応する位置に配置する構成としたことにある。これにより、支柱に作用する荷重は、床板を挟んで直接的に支持ブラケットに伝えることができるから、床板の強度を低く設定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械用キャブを、ホイールローダに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図5に従って詳細に説明する。
【0016】
図1において、1は本実施の形態による建設機械の具体例として示されるホイールローダで、該ホイールローダ1は、後部車体2と、該後部車体2の前側に連結された前部車体3と、該前部車体3に俯仰動可能に取付けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0017】
ここで、後部車体2の前側には、前,後方向に離間した位置で左,右方向に張出すように例えば4個のキャブ支持台5(図5中に左後位置の1個のみ図示)が設けられ、該各キャブ支持台5には、後述のキャブ11が取付マウント34を介して支持されている。また、後部車体2には、キャブ11の後側に位置し、外装カバー6に覆われてエンジン、油圧ポンプ(いずれも図示せず)等が搭載されている。また、後部車体2には、左,右両側に位置して後輪7(左側のみ図示)が設けられている。
【0018】
一方、前部車体3は、後部車体2の前端部に左,右方向に回動可能に連結され、その前側位置には作業装置4が取付けられている。また、前部車体3には、左,右両側に位置して前輪8(左側のみ図示)が設けられている。そして、前部車体3は、ステアリングホイール(図示せず)を操作したときに左,右方向に揺動し、走行方向を変えるものである。
【0019】
さらに、作業装置4は、前部車体3に俯仰動可能に取付けられたアーム4Aと、該アーム4Aの先端部に回動可能に取付けられたローダバケット4Bとにより大略構成されている。
【0020】
次に、11は後部車体2の前側位置に搭載されたキャブで、該キャブ11は、オペレータが乗車する運転室を画成するもので、内部には運転席、ステアリングホイール、走行用ペダル、作業用レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。そして、キャブ11は、後述の床板12、支柱16〜19、支柱連結部材28、支持ブラケット29〜32、外面板33等により大略構成されている。
【0021】
12はキャブ11の底面を構成する床板で、該床板12は、図3に示す如く、例えば厚肉な鉄板等を用い、前側の角隅部が切欠かれた長方形状の板体として形成されている。また、床板12の下面側には、前,後方向に離間して左,右方向に延びる床下補強部材12A,12Bと、左,右方向に端縁部に沿って前,後方向に延びる床下補強部材12C,12Dとが溶接手段を用いて固着されている。さらに、床板12の左,右両端部には、上面側に位置して後述のベースプレート13,14が取付けられ、下面側に位置して後述の支持ブラケット29〜32が取付けられている。
【0022】
13は床板12の左端部に設けられた左ベースプレート、14は床板12の右端部に設けられた右ベースプレートで、該各ベースプレート13,14は、床板12の一部を構成するもので、前,後方向に延びる板体として形成されている。そして、ベースプレート13,14は、床板12の左端部,右端部に複数個のボルト15を用いて固定されている。また、ベースプレート13,14は、後述の支柱16,17,18,19を床板12に固定するもので、その上面に支柱16〜19の下端部が例えば溶接手段を用いて固着されている。
【0023】
16は左ベースプレート13の前側位置に立設された前左支柱で、該前左支柱16は、上,下方向に延びる断面長方形状をした鉄製の角パイプ材からなり、その下端部が左ベースプレート13に例えば溶接手段を用いて固着されている。
【0024】
17は前左支柱16の後側に間隔をもって左ベースプレート13に立設された後左支柱で、該後左支柱17は、前左支柱16よりも太い断面正方形状した鉄製の角パイプ材からなり、その下端部が左ベースプレート13に溶接手段を用いて固着されている。これにより、後左支柱17は、後述の後右支柱19と共に、キャブ11を支えるメインの支柱を構成している。
【0025】
18は右ベースプレート14の前側位置に立設された前右支柱で、該前右支柱18は、前左支柱16と同様に、断面長方形状した鉄製の角パイプ材からなり、その下端部が右ベースプレート14に溶接されている。
【0026】
19は前右支柱18の後側に間隔をもって右ベースプレート14に立設された後右支柱で、該後右支柱19は、後左支柱17と同様に、太い断面正方形状した鉄製の角パイプ材からなり、その下端部が右ベースプレート14に溶接されている。
【0027】
20は前側上方に設けられた前横梁で、該前横梁20は、左,右方向に延び、その端部が前左支柱16の上部と前右支柱18の上部とに溶接手段を用いて固着されている。
【0028】
21は後側上方に設けられた後横梁で、該後横梁21は、左,右方向に延びた中間部分が後側に突出するように屈曲して形成され、その端部が後左支柱17の上部と後右支柱19の上部とに溶接手段を用いて固着されている。
【0029】
22は左側上方に設けられた左横梁で、該左横梁22は、前,後方向に延びて設けられ、その端部が前左支柱16の上部と後左支柱17の上部とに溶接されている。
【0030】
また、23は右側上方に設けられた右横梁で、該右横梁23は、前,後方向に延びて設けられ、その端部が前右支柱18の上部と後右支柱19の上部とに溶接されている。
【0031】
24は左ベースプレート13と後左支柱17の下側との間に設けられた左側の下側補強部材で、該下側補強部材24は、左ベースプレート13(床板12)に対して後左支柱17が倒れないように強度を高めるもので、主に前,後方向の倒れ強度を高めるものである。そして、下側補強部材24は、後左支柱17の前側に位置して該後左支柱17の前面と左ベースプレート13の上面とに溶接されている。
【0032】
また、25は右ベースプレート14と後右支柱19の下側との間に設けられた右側の下側補強部材で、該下側補強部材25は、左側の下側補強部材24と同様に、右ベースプレート14に対する後右支柱19の倒れ強度を高めるもので、後右支柱19の前面と右ベースプレート14の上面とに溶接されている。
【0033】
26は後左支柱17の上側と後横梁21との間に設けられた左側の上側補強部材、27は後右支柱19の上側と後横梁21の右端部との間に設けられた右側の上側補強部材で、該各上側補強部材26,27は、後横梁21を下側から支持し、後述する外面板33の天井面部33D後部の強度を高めるものである。そして、上側補強部材26は、支柱17,19の上側と後横梁21の端部側とに溶接されている。
【0034】
次に、28は後左支柱17と後右支柱19との間に設けられた支柱連結部材で、該支柱連結部材28は、左,右方向に延びる断面長方形状した鉄製の角パイプ部材、チャンネル材等により横梁として形成されている。また、支柱連結部材28は、床板12よりも上側に位置し、その端部を後左支柱17と後右支柱19とに溶接手段を用いて固着することにより、各支柱17,19をH状に連結して左,右方向の荷重に対する強度を高めている。これにより、支柱連結部材28は、後側の支柱17,19に作用する荷重を分散し、該支柱17,19と床板12との間の取付部分に荷重が集中するのを防止するものである。
【0035】
ここで、支柱連結部材28は、図4に示すように、床板12から後述する外面板33の天井面部33Dまでの高さ寸法に相当する支柱17,19の高さ寸法を、中間点Cを挟んだ寸法2H1としたときに、床板12に対する支柱連結部材28の取付高さ寸法H2が高さ寸法H1(中間点C)よりも小さく(H2<H1)なる位置、好ましくは1/5H1<H2<1/2H1の範囲に配置されている。これにより、支柱連結部材28は、キャブ11内の下側寄りに配置することで、キャブ11内で邪魔になることもなく、また後方の視界も良好にすることができる。
【0036】
そして、支柱連結部材28は、例えば後左支柱17に左,右方向の荷重が作用した場合に、床板12よりも上側の位置で荷重の一部を受承することができる。また、支柱連結部材28は、後右支柱19に連結されているから、後左支柱17に作用した荷重を後右支柱19にも受承させることができる。これにより、後左支柱17に作用する荷重を分散し、該後左支柱17の下端部と床板12との間に作用する荷重を低減することができる。
【0037】
29は床板12の下面側の前寄りに位置して該床板12の左側部位に設けられた前左支持ブラケットで、該前左支持ブラケット29は、前左支柱16に対応するように、例えば前左支柱16のほぼ真下位置に配設されている。また、前左支持ブラケット29は、縦板29A、横板29B等からなるボックス形状をなし、その横板29Bにはマウント取付穴29Cが形成されている。そして、前左支持ブラケット29は、マウント取付穴29Cに取付けられる取付マウント(図示せず)を介して後部車体2側のキャブ支持台に支持されている。
【0038】
30は床板12の下面側の後寄りに位置して該床板12の左側部位に設けられた後左支持ブラケットで、該後左支持ブラケット30は、図5に示すように、後左支柱17に対応するように、例えば後左支柱17のほぼ真下位置に配設されている。また、後左支持ブラケット30は、例えば3枚の縦板30A、背面板30Bおよび横板30Cからなるボックス形状をなし、その横板30Cにはマウント取付穴30Dが形成されている。そして、後左支持ブラケット30は、マウント取付穴30Dに後述の取付マウント34を取付けることにより、該取付マウント34を介して後部車体2側のキャブ支持台5に支持されている。
【0039】
一方、31は床板12の下面側の前寄りに位置して該床板12の右側部位に設けられた前右支持ブラケットで、該前右支持ブラケット31は、前右支柱18に対応するように、例えば前右支柱18のほぼ真下位置に配設されている。また、前右支持ブラケット31は、前述した前左支持ブラケット29と同様に、縦板31A、横板31B等によりボックス形状をなし、取付マウント(図示せず)を介して後部車体2側のキャブ支持台に支持されている。
【0040】
32は床板12の下面側の後寄りに位置して該床板12の右側部位に設けられた後右支持ブラケットで、該後右支持ブラケット32は、後右支柱19に対応するように、例えば後右支柱19のほぼ真下位置に配設されている。また、後右支持ブラケット32は、前述した後左支持ブラケット30と同様に、例えば3枚の縦板32A、背面板32Bおよび横板32Cによりボックス形状をなし、取付マウントを介して後部車体2側のキャブ支持台に支持されている。
【0041】
ここで、支持ブラケット29,30,31,32は、対応する支柱16,17,18,19のほぼ真下に位置するように床板12に溶接手段を用いて固着しているから、該支持ブラケット29〜32は、支柱16〜19に作用する荷重を床板12等を挟んで直接的に受承することができる。この構造とすることにより、床板12には、薄肉な強度の低い材料を使用することができる。
【0042】
33はキャブ11の外面を構成し、床板12上に運転室を画成する外面板で、該外面板33は、図1、図2に示す如く、前面部33A、後面部33B、左側面部33C、右側面部(図示せず)、天井面部33Dによりボックス形状に形成されている。また、左側面部33Cには、ドア33Eが開閉可能に取付けられている。そして、外面板33は、床板12、支柱16〜19、梁20〜23等に適宜に取付けられている。
【0043】
34は後左支持ブラケット30に設けられた取付マウントで、該取付マウント34は、キャブ11を後部車体2に防振状態で取付けるものである。そして、取付マウント34は、後左支持ブラケット30のマウント取付穴30Dに取付けられ、下向きに突出したねじ部34Aが後部車体2のキャブ支持台5に連結されている。なお、取付マウント34は、他の支持ブラケット29,31,32にも同様に取付けられている。
【0044】
本実施の形態によるホイールローダ1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0045】
キャブ11内に乗込んで運転席に着座したオペレータは、ステアリングホイール、走行用ペダル等を操作することにより走行することができる。また、作業用レバー等を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の積込み作業等を行なうことができる。
【0046】
ここで、オペレータが乗車するキャブ11は、例えばホイールローダ1が転倒した場合を想定し、左,右方向から作用する荷重に耐える必要がある。これに対し、本実施の形態では、キャブ11のメインの支柱を構成する後左支柱17と後右支柱19とを連結する支柱連結部材28を設けることにより、キャブ11は左,右方向から作用する荷重に耐えることができる。
【0047】
具体的には、キャブ11を左側から押圧するように荷重が作用した場合、この荷重は後左支柱17に作用する。しかし、後左支柱17は、支柱連結部材28により後右支柱19に連結されることで高強度に形成されているから、この構造により荷重の一部を受承することができる。また、荷重の一部を後右支柱19にも受承させることができる。これにより、荷重を分散させて十分な耐久性を得ることができる。
【0048】
かくして、本実施の形態によれば、後左支柱17と後右支柱19とを床板12よりも上側の位置で支柱連結部材28により連結することにより、キャブ11に左,右方向から荷重が作用した場合でも、この荷重を分散して受承することができる。これにより、従来技術で述べたように支柱17,19の下端部と床板12(ベースプレート13,14)との取付部分に荷重が集中するのを防止することができる。
【0049】
これにより、キャブ11の支持構造をなす床板12、支柱16〜19、梁20〜23等には、薄肉な強度の低い材料を使用することができる。また、キャブ11には前,後方向の荷重に対する補強部材24〜27だけを設ける構成とすることができる。
【0050】
この結果、キャブ11全体の重量、個々の部品の重量を軽減することができ、また部品点数も少なくすることができるから、組立作業性を向上することができ、また製造コストも低減することができる。さらに、キャブ11を軽量化することにより、揺れや振動を容易に抑えることができ、乗り心地を良好にすることができる。
【0051】
また、支柱連結部材28は、図4に示すように、床板12に対する取付高さ寸法H2を、支柱17,19の高さ寸法2H1の半分の寸法H1よりも下側(H2<H1)となる位置、好ましくは1/5H1<H2<1/2H1の範囲に設定している。従って、支柱連結部材28は、キャブ11内の下側寄りで邪魔にならない位置に配設することができる。また、キャブ11の後方の視界も良好にすることができる。
【0052】
また、支柱連結部材28は、後側の支柱17,19間に設けているから、支柱連結部材28をキャブ11内で後側寄りの邪魔にならない位置に配置することができ、キャブ11内のスペースを効率よく使用することができる。
【0053】
さらに、キャブ11を後部車体2側に取付けるための支持ブラケット29〜32は、支柱16〜19のほぼ真下位置に配設しているから、支柱16〜19に作用する荷重は、床板12を挟んで直接的に支持ブラケット29〜32に伝えることができる。従って、床板12は、支柱16〜19に作用する荷重により変形し難くなるから、該床板12には薄肉な強度の低い材料を用いることができ、組立作業性の向上、製造コストの低減等を図ることができる。
【0054】
なお、実施の形態では、キャブ11には床板12の左,右に2本ずつ、合計4本の支柱16,17,18,19を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限ることはなく、例えば支柱を左,右に3本ずつ合計6本設ける構成としてもよい。また、支柱を5本または7本以上設ける構成としてもよい。
【0055】
さらに、実施の形態では、建設機械用キャブとしてホイールローダ1のキャブ11を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械用キャブにも広く適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、左支柱と右支柱との間には、床板よりも上側の位置で左,右方向に延びる支柱連結部材を設け、該支柱連結部材により左支柱と右支柱とを連結する構成としている。従って、例えば左支柱に荷重が作用した場合には、床板よりも上側の位置で支柱連結部材が荷重の一部を受承し、また支柱連結部材を介して右支柱も荷重を受承することができる。これにより、支柱連結部材は、左支柱に作用する荷重を分散し、該左支柱の下端部と床板との間に作用する荷重を低減することができるから、床板、支柱等を薄肉な強度の低い材料により形成することができ、補強部材も削減することができる。
【0057】
この結果、床板、支柱等の重量を軽減することができ、また部品点数も少なくすることができるから、組立作業性を向上することができる。また、製造コストも低減することができる。さらに、軽量化することで揺れや振動を容易に抑えることができ、乗り心地を良好にすることができる。
【0058】
請求項2の発明によれば、支柱連結部材は、支柱の高さ寸法中間点よりも下側に配設する構成としているので、支柱連結部材をキャブ内の下側寄りで邪魔にならない位置に配置することができる。また、後方の視界も良好にすることができる。
【0059】
請求項3の発明によれば、支柱連結部材は、後左支柱と後右支柱との間に設ける構成としているので、支柱連結部材はキャブ内の後側寄りで邪魔にならない位置に配置することができ、キャブ内のスペースを効率よく使用することができる。
【0060】
請求項4の発明によれば、床板の下側には車体側に取付けられる支持ブラケットを設け、該支持ブラケットは各支柱に対応する位置に配置する構成としているので、支柱に作用する荷重は、床板を挟んで直接的に支持ブラケットに伝えることができるから、床板の強度を低く設定することができる。これにより、床板を薄肉に形成することができ、組立作業性の向上、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るキャブを搭載したホイールローダを示す正面図である。
【図2】図1中のキャブを拡大して示す外観斜視図である。
【図3】キャブの支持構造を示す外観斜視図である。
【図4】キャブの支持構造を図3中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】床板、後左支柱、後左支持ブラケットの取付関係を拡大して示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ホイールローダ(建設機械)
11 キャブ
12 床板
13,14 ベースプレート
16 前左支柱
17 後左支柱
18 前右支柱
19 後右支柱
28 支柱連結部材
29,30,31,32 支持ブラケット
2H1 支柱の高さ寸法
H2 支柱連結部材の取付高さ寸法
C 支柱の高さ寸法の中間点
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばホイールローダ、油圧ショベル、油圧クレーン等に用いて好適な建設機械用キャブに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、建設機械としては、ホイールローダ、油圧ショベル、油圧クレーン等があり、これら建設機械は、自走可能な車体と、該車体の前側に設けられた作業装置とにより大略構成され、車体にはオペレータが乗車するキャブが搭載されている。
【0003】
ここで、キャブは、運転室を画成するもので、その内部にはオペレータが着座する運転席、走行用のステアリングホイールとペダル、作業用の操作レバー等が配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−26947号公報
【0005】
ここで、キャブは、底面を構成するほぼ平坦な床板を有し、該床板の左側部位と右側部位部には、前,後方向に離間して複数本の支柱が立設されている。また、床板の下側には、キャブを車体側に支持するための支持ブラケットが複数箇所に設けられ、該各支持ブラケットは振動等を緩和する取付マウントを介して車体側に取付けられている。さらに、キャブには、運転室を囲むように外面板が設けられ、該外面板は床板、各支柱等に取付けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術によるものでは、キャブの支持構造をなす各支柱は、その下端部だけが床板に取付けられているから、例えばキャブの左,右方向から荷重が作用したときには、支柱の下端部と床板との取付部分に荷重が集中してしまう。
【0007】
そこで、従来技術によるキャブは、床板と支柱の板厚を厚くしたり、床板と支柱との間に補強部材を設けたりして左,右方向からの荷重に対する強度を高めている。しかし、このように各部品の板厚を厚くしたり、補強部材を設けると、キャブ全体の重量が重くなる、組立作業性が悪くなる、製造コストが嵩むという問題が生じてしまう。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、支柱に作用する荷重を分散させることにより、床板、支柱の強度を低く抑えて軽量化し、生産性の向上、製造コストの低減を図ることができるようにした建設機械用キャブを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の建設機械用キャブは、底面を構成する床板と、該床板の左側部位に立設された前,後の左支柱と、前記床板の右側部位に立設された前,後の右支柱とを備えている。
【0010】
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、左支柱と右支柱との間には、床板よりも上側の位置で左,右方向に延びる支柱連結部材を設け、該支柱連結部材により左支柱と右支柱とを連結する構成としたことにある。
【0011】
このように構成したことにより、例えば左支柱に荷重が作用した場合には、床板よりも上側の位置で支柱連結部材が荷重の一部を受承し、また支柱連結部材を介して右支柱も荷重を受承することができるから、左支柱に作用する荷重を分散し、該左支柱の下端部と床板との間に作用する荷重を低減することができる。
【0012】
請求項2の発明によると、支柱連結部材は、支柱の高さ寸法中間点よりも下側に配設する構成としたことにある。これにより、支柱連結部材はキャブ内の下側寄りで邪魔にならない位置に配置することができる。また、後方の視界も良好にすることができる。
【0013】
請求項3の発明によると、支柱連結部材は、後左支柱と後右支柱との間に設ける構成としたことにある。これにより、支柱連結部材はキャブ内の後側寄りで邪魔にならない位置に配置することができる。
【0014】
請求項4の発明によると、床板の下側には車体側に取付けられる支持ブラケットを設け、該支持ブラケットは各支柱に対応する位置に配置する構成としたことにある。これにより、支柱に作用する荷重は、床板を挟んで直接的に支持ブラケットに伝えることができるから、床板の強度を低く設定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械用キャブを、ホイールローダに適用した場合を例に挙げ、図1ないし図5に従って詳細に説明する。
【0016】
図1において、1は本実施の形態による建設機械の具体例として示されるホイールローダで、該ホイールローダ1は、後部車体2と、該後部車体2の前側に連結された前部車体3と、該前部車体3に俯仰動可能に取付けられた作業装置4とにより大略構成されている。
【0017】
ここで、後部車体2の前側には、前,後方向に離間した位置で左,右方向に張出すように例えば4個のキャブ支持台5(図5中に左後位置の1個のみ図示)が設けられ、該各キャブ支持台5には、後述のキャブ11が取付マウント34を介して支持されている。また、後部車体2には、キャブ11の後側に位置し、外装カバー6に覆われてエンジン、油圧ポンプ(いずれも図示せず)等が搭載されている。また、後部車体2には、左,右両側に位置して後輪7(左側のみ図示)が設けられている。
【0018】
一方、前部車体3は、後部車体2の前端部に左,右方向に回動可能に連結され、その前側位置には作業装置4が取付けられている。また、前部車体3には、左,右両側に位置して前輪8(左側のみ図示)が設けられている。そして、前部車体3は、ステアリングホイール(図示せず)を操作したときに左,右方向に揺動し、走行方向を変えるものである。
【0019】
さらに、作業装置4は、前部車体3に俯仰動可能に取付けられたアーム4Aと、該アーム4Aの先端部に回動可能に取付けられたローダバケット4Bとにより大略構成されている。
【0020】
次に、11は後部車体2の前側位置に搭載されたキャブで、該キャブ11は、オペレータが乗車する運転室を画成するもので、内部には運転席、ステアリングホイール、走行用ペダル、作業用レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。そして、キャブ11は、後述の床板12、支柱16〜19、支柱連結部材28、支持ブラケット29〜32、外面板33等により大略構成されている。
【0021】
12はキャブ11の底面を構成する床板で、該床板12は、図3に示す如く、例えば厚肉な鉄板等を用い、前側の角隅部が切欠かれた長方形状の板体として形成されている。また、床板12の下面側には、前,後方向に離間して左,右方向に延びる床下補強部材12A,12Bと、左,右方向に端縁部に沿って前,後方向に延びる床下補強部材12C,12Dとが溶接手段を用いて固着されている。さらに、床板12の左,右両端部には、上面側に位置して後述のベースプレート13,14が取付けられ、下面側に位置して後述の支持ブラケット29〜32が取付けられている。
【0022】
13は床板12の左端部に設けられた左ベースプレート、14は床板12の右端部に設けられた右ベースプレートで、該各ベースプレート13,14は、床板12の一部を構成するもので、前,後方向に延びる板体として形成されている。そして、ベースプレート13,14は、床板12の左端部,右端部に複数個のボルト15を用いて固定されている。また、ベースプレート13,14は、後述の支柱16,17,18,19を床板12に固定するもので、その上面に支柱16〜19の下端部が例えば溶接手段を用いて固着されている。
【0023】
16は左ベースプレート13の前側位置に立設された前左支柱で、該前左支柱16は、上,下方向に延びる断面長方形状をした鉄製の角パイプ材からなり、その下端部が左ベースプレート13に例えば溶接手段を用いて固着されている。
【0024】
17は前左支柱16の後側に間隔をもって左ベースプレート13に立設された後左支柱で、該後左支柱17は、前左支柱16よりも太い断面正方形状した鉄製の角パイプ材からなり、その下端部が左ベースプレート13に溶接手段を用いて固着されている。これにより、後左支柱17は、後述の後右支柱19と共に、キャブ11を支えるメインの支柱を構成している。
【0025】
18は右ベースプレート14の前側位置に立設された前右支柱で、該前右支柱18は、前左支柱16と同様に、断面長方形状した鉄製の角パイプ材からなり、その下端部が右ベースプレート14に溶接されている。
【0026】
19は前右支柱18の後側に間隔をもって右ベースプレート14に立設された後右支柱で、該後右支柱19は、後左支柱17と同様に、太い断面正方形状した鉄製の角パイプ材からなり、その下端部が右ベースプレート14に溶接されている。
【0027】
20は前側上方に設けられた前横梁で、該前横梁20は、左,右方向に延び、その端部が前左支柱16の上部と前右支柱18の上部とに溶接手段を用いて固着されている。
【0028】
21は後側上方に設けられた後横梁で、該後横梁21は、左,右方向に延びた中間部分が後側に突出するように屈曲して形成され、その端部が後左支柱17の上部と後右支柱19の上部とに溶接手段を用いて固着されている。
【0029】
22は左側上方に設けられた左横梁で、該左横梁22は、前,後方向に延びて設けられ、その端部が前左支柱16の上部と後左支柱17の上部とに溶接されている。
【0030】
また、23は右側上方に設けられた右横梁で、該右横梁23は、前,後方向に延びて設けられ、その端部が前右支柱18の上部と後右支柱19の上部とに溶接されている。
【0031】
24は左ベースプレート13と後左支柱17の下側との間に設けられた左側の下側補強部材で、該下側補強部材24は、左ベースプレート13(床板12)に対して後左支柱17が倒れないように強度を高めるもので、主に前,後方向の倒れ強度を高めるものである。そして、下側補強部材24は、後左支柱17の前側に位置して該後左支柱17の前面と左ベースプレート13の上面とに溶接されている。
【0032】
また、25は右ベースプレート14と後右支柱19の下側との間に設けられた右側の下側補強部材で、該下側補強部材25は、左側の下側補強部材24と同様に、右ベースプレート14に対する後右支柱19の倒れ強度を高めるもので、後右支柱19の前面と右ベースプレート14の上面とに溶接されている。
【0033】
26は後左支柱17の上側と後横梁21との間に設けられた左側の上側補強部材、27は後右支柱19の上側と後横梁21の右端部との間に設けられた右側の上側補強部材で、該各上側補強部材26,27は、後横梁21を下側から支持し、後述する外面板33の天井面部33D後部の強度を高めるものである。そして、上側補強部材26は、支柱17,19の上側と後横梁21の端部側とに溶接されている。
【0034】
次に、28は後左支柱17と後右支柱19との間に設けられた支柱連結部材で、該支柱連結部材28は、左,右方向に延びる断面長方形状した鉄製の角パイプ部材、チャンネル材等により横梁として形成されている。また、支柱連結部材28は、床板12よりも上側に位置し、その端部を後左支柱17と後右支柱19とに溶接手段を用いて固着することにより、各支柱17,19をH状に連結して左,右方向の荷重に対する強度を高めている。これにより、支柱連結部材28は、後側の支柱17,19に作用する荷重を分散し、該支柱17,19と床板12との間の取付部分に荷重が集中するのを防止するものである。
【0035】
ここで、支柱連結部材28は、図4に示すように、床板12から後述する外面板33の天井面部33Dまでの高さ寸法に相当する支柱17,19の高さ寸法を、中間点Cを挟んだ寸法2H1としたときに、床板12に対する支柱連結部材28の取付高さ寸法H2が高さ寸法H1(中間点C)よりも小さく(H2<H1)なる位置、好ましくは1/5H1<H2<1/2H1の範囲に配置されている。これにより、支柱連結部材28は、キャブ11内の下側寄りに配置することで、キャブ11内で邪魔になることもなく、また後方の視界も良好にすることができる。
【0036】
そして、支柱連結部材28は、例えば後左支柱17に左,右方向の荷重が作用した場合に、床板12よりも上側の位置で荷重の一部を受承することができる。また、支柱連結部材28は、後右支柱19に連結されているから、後左支柱17に作用した荷重を後右支柱19にも受承させることができる。これにより、後左支柱17に作用する荷重を分散し、該後左支柱17の下端部と床板12との間に作用する荷重を低減することができる。
【0037】
29は床板12の下面側の前寄りに位置して該床板12の左側部位に設けられた前左支持ブラケットで、該前左支持ブラケット29は、前左支柱16に対応するように、例えば前左支柱16のほぼ真下位置に配設されている。また、前左支持ブラケット29は、縦板29A、横板29B等からなるボックス形状をなし、その横板29Bにはマウント取付穴29Cが形成されている。そして、前左支持ブラケット29は、マウント取付穴29Cに取付けられる取付マウント(図示せず)を介して後部車体2側のキャブ支持台に支持されている。
【0038】
30は床板12の下面側の後寄りに位置して該床板12の左側部位に設けられた後左支持ブラケットで、該後左支持ブラケット30は、図5に示すように、後左支柱17に対応するように、例えば後左支柱17のほぼ真下位置に配設されている。また、後左支持ブラケット30は、例えば3枚の縦板30A、背面板30Bおよび横板30Cからなるボックス形状をなし、その横板30Cにはマウント取付穴30Dが形成されている。そして、後左支持ブラケット30は、マウント取付穴30Dに後述の取付マウント34を取付けることにより、該取付マウント34を介して後部車体2側のキャブ支持台5に支持されている。
【0039】
一方、31は床板12の下面側の前寄りに位置して該床板12の右側部位に設けられた前右支持ブラケットで、該前右支持ブラケット31は、前右支柱18に対応するように、例えば前右支柱18のほぼ真下位置に配設されている。また、前右支持ブラケット31は、前述した前左支持ブラケット29と同様に、縦板31A、横板31B等によりボックス形状をなし、取付マウント(図示せず)を介して後部車体2側のキャブ支持台に支持されている。
【0040】
32は床板12の下面側の後寄りに位置して該床板12の右側部位に設けられた後右支持ブラケットで、該後右支持ブラケット32は、後右支柱19に対応するように、例えば後右支柱19のほぼ真下位置に配設されている。また、後右支持ブラケット32は、前述した後左支持ブラケット30と同様に、例えば3枚の縦板32A、背面板32Bおよび横板32Cによりボックス形状をなし、取付マウントを介して後部車体2側のキャブ支持台に支持されている。
【0041】
ここで、支持ブラケット29,30,31,32は、対応する支柱16,17,18,19のほぼ真下に位置するように床板12に溶接手段を用いて固着しているから、該支持ブラケット29〜32は、支柱16〜19に作用する荷重を床板12等を挟んで直接的に受承することができる。この構造とすることにより、床板12には、薄肉な強度の低い材料を使用することができる。
【0042】
33はキャブ11の外面を構成し、床板12上に運転室を画成する外面板で、該外面板33は、図1、図2に示す如く、前面部33A、後面部33B、左側面部33C、右側面部(図示せず)、天井面部33Dによりボックス形状に形成されている。また、左側面部33Cには、ドア33Eが開閉可能に取付けられている。そして、外面板33は、床板12、支柱16〜19、梁20〜23等に適宜に取付けられている。
【0043】
34は後左支持ブラケット30に設けられた取付マウントで、該取付マウント34は、キャブ11を後部車体2に防振状態で取付けるものである。そして、取付マウント34は、後左支持ブラケット30のマウント取付穴30Dに取付けられ、下向きに突出したねじ部34Aが後部車体2のキャブ支持台5に連結されている。なお、取付マウント34は、他の支持ブラケット29,31,32にも同様に取付けられている。
【0044】
本実施の形態によるホイールローダ1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0045】
キャブ11内に乗込んで運転席に着座したオペレータは、ステアリングホイール、走行用ペダル等を操作することにより走行することができる。また、作業用レバー等を操作することにより、作業装置4を俯仰動させて土砂の積込み作業等を行なうことができる。
【0046】
ここで、オペレータが乗車するキャブ11は、例えばホイールローダ1が転倒した場合を想定し、左,右方向から作用する荷重に耐える必要がある。これに対し、本実施の形態では、キャブ11のメインの支柱を構成する後左支柱17と後右支柱19とを連結する支柱連結部材28を設けることにより、キャブ11は左,右方向から作用する荷重に耐えることができる。
【0047】
具体的には、キャブ11を左側から押圧するように荷重が作用した場合、この荷重は後左支柱17に作用する。しかし、後左支柱17は、支柱連結部材28により後右支柱19に連結されることで高強度に形成されているから、この構造により荷重の一部を受承することができる。また、荷重の一部を後右支柱19にも受承させることができる。これにより、荷重を分散させて十分な耐久性を得ることができる。
【0048】
かくして、本実施の形態によれば、後左支柱17と後右支柱19とを床板12よりも上側の位置で支柱連結部材28により連結することにより、キャブ11に左,右方向から荷重が作用した場合でも、この荷重を分散して受承することができる。これにより、従来技術で述べたように支柱17,19の下端部と床板12(ベースプレート13,14)との取付部分に荷重が集中するのを防止することができる。
【0049】
これにより、キャブ11の支持構造をなす床板12、支柱16〜19、梁20〜23等には、薄肉な強度の低い材料を使用することができる。また、キャブ11には前,後方向の荷重に対する補強部材24〜27だけを設ける構成とすることができる。
【0050】
この結果、キャブ11全体の重量、個々の部品の重量を軽減することができ、また部品点数も少なくすることができるから、組立作業性を向上することができ、また製造コストも低減することができる。さらに、キャブ11を軽量化することにより、揺れや振動を容易に抑えることができ、乗り心地を良好にすることができる。
【0051】
また、支柱連結部材28は、図4に示すように、床板12に対する取付高さ寸法H2を、支柱17,19の高さ寸法2H1の半分の寸法H1よりも下側(H2<H1)となる位置、好ましくは1/5H1<H2<1/2H1の範囲に設定している。従って、支柱連結部材28は、キャブ11内の下側寄りで邪魔にならない位置に配設することができる。また、キャブ11の後方の視界も良好にすることができる。
【0052】
また、支柱連結部材28は、後側の支柱17,19間に設けているから、支柱連結部材28をキャブ11内で後側寄りの邪魔にならない位置に配置することができ、キャブ11内のスペースを効率よく使用することができる。
【0053】
さらに、キャブ11を後部車体2側に取付けるための支持ブラケット29〜32は、支柱16〜19のほぼ真下位置に配設しているから、支柱16〜19に作用する荷重は、床板12を挟んで直接的に支持ブラケット29〜32に伝えることができる。従って、床板12は、支柱16〜19に作用する荷重により変形し難くなるから、該床板12には薄肉な強度の低い材料を用いることができ、組立作業性の向上、製造コストの低減等を図ることができる。
【0054】
なお、実施の形態では、キャブ11には床板12の左,右に2本ずつ、合計4本の支柱16,17,18,19を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限ることはなく、例えば支柱を左,右に3本ずつ合計6本設ける構成としてもよい。また、支柱を5本または7本以上設ける構成としてもよい。
【0055】
さらに、実施の形態では、建設機械用キャブとしてホイールローダ1のキャブ11を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械用キャブにも広く適用することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、左支柱と右支柱との間には、床板よりも上側の位置で左,右方向に延びる支柱連結部材を設け、該支柱連結部材により左支柱と右支柱とを連結する構成としている。従って、例えば左支柱に荷重が作用した場合には、床板よりも上側の位置で支柱連結部材が荷重の一部を受承し、また支柱連結部材を介して右支柱も荷重を受承することができる。これにより、支柱連結部材は、左支柱に作用する荷重を分散し、該左支柱の下端部と床板との間に作用する荷重を低減することができるから、床板、支柱等を薄肉な強度の低い材料により形成することができ、補強部材も削減することができる。
【0057】
この結果、床板、支柱等の重量を軽減することができ、また部品点数も少なくすることができるから、組立作業性を向上することができる。また、製造コストも低減することができる。さらに、軽量化することで揺れや振動を容易に抑えることができ、乗り心地を良好にすることができる。
【0058】
請求項2の発明によれば、支柱連結部材は、支柱の高さ寸法中間点よりも下側に配設する構成としているので、支柱連結部材をキャブ内の下側寄りで邪魔にならない位置に配置することができる。また、後方の視界も良好にすることができる。
【0059】
請求項3の発明によれば、支柱連結部材は、後左支柱と後右支柱との間に設ける構成としているので、支柱連結部材はキャブ内の後側寄りで邪魔にならない位置に配置することができ、キャブ内のスペースを効率よく使用することができる。
【0060】
請求項4の発明によれば、床板の下側には車体側に取付けられる支持ブラケットを設け、該支持ブラケットは各支柱に対応する位置に配置する構成としているので、支柱に作用する荷重は、床板を挟んで直接的に支持ブラケットに伝えることができるから、床板の強度を低く設定することができる。これにより、床板を薄肉に形成することができ、組立作業性の向上、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るキャブを搭載したホイールローダを示す正面図である。
【図2】図1中のキャブを拡大して示す外観斜視図である。
【図3】キャブの支持構造を示す外観斜視図である。
【図4】キャブの支持構造を図3中の矢示IV−IV方向からみた断面図である。
【図5】床板、後左支柱、後左支持ブラケットの取付関係を拡大して示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 ホイールローダ(建設機械)
11 キャブ
12 床板
13,14 ベースプレート
16 前左支柱
17 後左支柱
18 前右支柱
19 後右支柱
28 支柱連結部材
29,30,31,32 支持ブラケット
2H1 支柱の高さ寸法
H2 支柱連結部材の取付高さ寸法
C 支柱の高さ寸法の中間点
Claims (4)
- 底面を構成する床板と、該床板の左側部位に立設された前,後の左支柱と、前記床板の右側部位に立設された前,後の右支柱とを備えてなる建設機械用キャブにおいて、
前記左支柱と右支柱との間には、前記床板よりも上側の位置で左,右方向に延びる支柱連結部材を設け、該支柱連結部材により前記左支柱と右支柱とを連結する構成としたことを特徴とする建設機械用キャブ。 - 前記支柱連結部材は、前記支柱の高さ寸法中間点よりも下側に配設する構成としてなる請求項1に記載の建設機械用キャブ。
- 前記支柱連結部材は、前記後左支柱と後右支柱との間に設ける構成としてなる請求項1または2に記載の建設機械用キャブ。
- 前記床板の下側には車体側に取付けられる支持ブラケットを設け、該支持ブラケットは前記各支柱に対応する位置に配置する構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械用キャブ。
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