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JP2004327085A - カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法 Download PDF

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JP2004327085A
JP2004327085A JP2003116121A JP2003116121A JP2004327085A JP 2004327085 A JP2004327085 A JP 2004327085A JP 2003116121 A JP2003116121 A JP 2003116121A JP 2003116121 A JP2003116121 A JP 2003116121A JP 2004327085 A JP2004327085 A JP 2004327085A
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carbon nanotubes
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electron
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JP2003116121A
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Tetsuya Inoue
鉄也 井上
Hiroyuki Daiku
博之 大工
Jirou Ishibe
二朗 石辺
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Hitachi Zosen Corp
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Hitachi Zosen Corp
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Abstract

【課題】均一な電子放出、低い電圧での駆動および長寿命化を達成することができる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子を提供する。
【解決手段】ガラス基板1 上に化学蒸着装置2 を用いて触媒金属として鉄3 を蒸着させ、鉄粒子からなる薄膜4 を形成した。次いで、薄膜に沿って移動するレーザー装置5 を用いて薄膜4 にレーザー光を照射し、除去部6 を形成した。除去部の形成は、薄膜を多数のドット7 が散在するパターンにパターニングするように、行った。次いで、パターニングされた薄膜上に化学蒸着装置8 を用いてカーボンナノチューブ9 を成長させた。この化学蒸着法の原料ガスはアセチレン(C)ガスで、ヘリウムガスで希釈された状態で供給した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法に関する。カーボンナノチューブは、カーボン原子が網目状に結合してできた極微細な単層または多層の筒(チューブ)状の物質である。カーボンナノチューブを用いた電子放出素子は、フィールドエミッション型フラットパネルディスプレイ(FED)や、X線源、電子線リソグラフィー、表示・照明器具、ガス分解装置、殺菌・消毒装置などに応用される。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、シリコンやモリブデンで作られたスピント型エミッターやダイヤモンド薄膜などの従来の電子放出素材に比べて、電流密度、駆動電圧、頑健さ、寿命などの特性において総合的に優れており、FED用電子源として現在最も有望視されている。これは、カーボンナノチューブが大きなアスペクト比(長さと直径の比)と鋭い先端とを持ち、化学的に安定で機械的にも強靱であり、しかも、高温での安定性に優れているなど、電界放出素子の材料として有利な物理化学的性質を備えているからである。
【0003】
従来、FEDパネルスクリーン印刷によりカーボンナノチューブ陰極を形成したが試作されている(非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】
「機能材料」、2001年5月号、Vol.21 No.5、42−43頁。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
スクリーン印刷によりカーボンナノチューブ陰極を形成した上記従来のFEDパネルでは、一本一本のカーボンナノチューブの向きがバラバラであるため、電界を掛けた際に一本一本のカーボンナノチューブにかかる電界が不均一となり、結果として電界放出が不均一となり、表示画面が粗くかつ輝度が不十分であるという問題があった。
【0006】
スクリーン印刷法に代えて、シリコンやガラスの基板に触媒金属の薄膜をパターニングしておき、それを種結晶としてCVD法によりブラシ状にカーボンナノチューブを成長させ、これを電子放出素子に適用しようとする試みも行われている。しかし、CVD法により成長したブラシ状カーボンナノチューブは互いに絡まり合いつつ横に曲がりながら成長するため、1本1本のカーボンナノチューブが高さの不揃いなものとなり、そのようなカーボンナノチューブを用いた電子放出素子では、多数のチューブ先端を等しく電気的に利用することができず、電子の均一な放出が不可能である。
【0007】
本発明の目的は、上記のような実状に鑑み、均一な電子放出、低い電圧での駆動および長寿命化を達成することができる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、基板上に触媒金属粒子からなる薄膜を形成し、該薄膜にレーザー光を薄膜に沿って移動させながら照射して除去部を形成することにより薄膜を所望のパターンにパターニングし、次いでパターニングされた薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法である。
【0009】
第2の発明は、基板上に触媒金属の錯体またはアルコキシドを含む液層を形成し、該液層にレーザー光または集光した光を液層に沿って移動させながら照射して錯体またはアルコキシドを分解することにより、基板上に所望のパターンで触媒金属粒子群を形成して固着し、次いで液層の非照射部を洗い流し、得られた触媒金属粒子群に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法である。
【0010】
第3の発明は、基板上に触媒金属の錯体またはアルコキシドを含む液層を形成し、該液膜にレーザー光または集光した光を、所定のパターンで透孔を有する多孔マスクを介して、液層に沿って移動させながら照射して錯体またはアルコキシドを分解することにより、基板上に所望のパターンで触媒金属粒子群を形成して固着し、次いで液層の非照射部を洗い流し、得られた触媒金属粒子群に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法である。
【0011】
第4の発明は、基板上に触媒金属粒子からなる薄膜を形成し、該薄膜の上に絶縁物層を形成し、絶縁物層の上に所定のパターンで透孔を有する多孔マスクを施し、次いで絶縁物層の非マスク部を取り除き、露出された触媒金属粒子薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法である。
【0012】
第5の発明は、基板上に化学蒸着法により触媒金属粒子からなる薄膜を形成し、該薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させるに当たり、触媒金属粒子の蒸着を不活性ガス雰囲気で行う、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法である。
【0013】
第6の発明は、基板上に成長させたカーボンナノチューブ層にレーザー光照射により除去部を形成することにより同層を所望のパターンにパターニングし、次いでパターニングされたカーボンナノチューブ残存部を有する基板の上に電子放出用の金属を蒸着し、得られた金属蒸着層の上に絶縁層を形成し、金属蒸着層と絶縁層からなる層状物の表面を研削してカーボンナノチューブの先端面を層状物研削面に露出させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
基板上に触媒金属粒子からなる薄膜を形成し、該薄膜にレーザー光を薄膜に沿って移動させながら照射して除去部を形成することにより薄膜を所望のパターンにパターニングし、次いでパターニングされた薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる第1発明の方法において、基板は触媒粒子を支持するものであればよく、触媒粒子が濡れにくいものが好ましく、シリコン基板やガラス基板であってよい。基板表面全体に触媒粒子からなる薄膜を形成するには、触媒金属またはその錯体等の化合物の溶液をスプレーや刷毛で基板に塗布した後、プラズマ照射または加熱する方法、あるいは、同触媒をクラスター銃で打ち付け、乾燥させ、必要であれば加熱する方法、金属を化学蒸着させる方法等が採用できる。薄膜にレーザー光照射により除去部を形成する際、除去部の形成は、例えば薄膜を多数のドットが散在するパターンにパターニングするように、行われる。ただし、パターンはこれに限定されず、例えば格子状等であってもよい。
【0016】
パターニングされた薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる工程では、原料ガスは通常はアセチレン(C)ガスであるが、メタンガス、エタンガスのような他の脂肪族炭化水素ガスであってもよい。原料ガスはヘリウムやアルゴン、キセノンのような不活性ガスで希釈された状態で原料ガス供給管を経て反応容器内に供給してもよい。触媒金属は、鉄、コバルト、ニッケルなどであり、例えば鉄カルボニル錯体(ペンタカルボニル鉄等)のような錯体の形態、金属アルコキシド(Fe(OEt)等)の形態等をとることができる。金属錯体や金属アルコキシドは溶液で供給されてもよい。溶媒はアセトン、アルコール等であってよい。触媒金属溶液はそのまま触媒金属溶液供給管を経て化学蒸着装置に供給してもよいし、ヘリウムやアルゴン、キセノンのような不活性ガスで希釈した状態で同装置内に噴霧してもよい。化学蒸着法の操作条件は、好ましくは、大気圧下で、温度700〜800℃、時間1〜10分である。
【0017】
なお、第1発明のように基板上に形成した触媒金属粒子からなる薄膜をレーザー光照射により所望のパターンにパターニングする代わりに、化学蒸着法によるカーボンナノチューブ成長工程の前または後に基板上に触媒金属粒子からなる薄膜を刃物を用いて所望のパターンに除去することもできる。
【0018】
基板上に触媒金属の錯体またはアルコキシドを含む液層を形成し、該液層にレーザー光または集光した光を液層に沿って移動させながら照射して錯体またはアルコキシドを分解することにより、基板上に所望のパターンで触媒金属粒子群を形成して固着し、次いで液層の非照射部を洗い流し、得られた触媒金属粒子群に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる第2の発明において、触媒金属の錯体またはアルコキシドを含む液は、アセトン、アルコールのような溶媒を用いて調製される。液中の金属錯体またはアルコキシド濃度は好ましくは1〜10重量%である。基板上に上記液層を形成するには、触媒金属の錯体またはアルコキシドを含む液を基板上に滴下した後、スピンコートを施す方法が好ましい。レーザー光または集光した光(プラズマを含む)をオン・オフしながら液層に沿って移動させると共に液層に照射する。この結果、照射部では液層は乾燥され、触媒金属の錯体またはアルコキシドは分解される。分解の結果、例えばペンタカルボニル鉄のような鉄カルボニル錯体ではカルボニル配位子が飛び、鉄の微粒子が基板上に分散状に残る。Fe(OEt)のような金属アルコキシドではアルコキシド基が飛び、鉄の微粒子が基板上に分散状に残る。次いで液層の非照射部をアセトン等を用いて洗い流す。第2発明のその他の構成は第1発明について述べたものと同じであってよい。
【0019】
基板上に触媒金属の錯体またはアルコキシドを含む液層を形成し、該液膜にレーザー光または集光した光を、所定のパターンで透孔を有する多孔マスクを介して、液層に沿って移動させながら照射して錯体またはアルコキシドを分解することにより、基板上に所望のパターンで触媒金属粒子群を形成して固着し、次いで液層の非照射部を洗い流し、得られた触媒金属粒子群に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる第3発明において、多孔マスクは 製のものであってよい。多孔マスクの透孔パターンは、基板上に形成する固着触媒金属粒子群の例えばドット・パターンに合致するように、設けられる。レーザー光または集光した光(プラズマを含む)をオンの状態で液層に沿って移動させると共に液層に照射する。第3発明のその他の構成は第2発明について述べたものと同じであってよい。
【0020】
基板上に触媒金属粒子からなる薄膜を形成し、該薄膜の上に絶縁物層を形成し、絶縁物層の上に所定のパターンで透孔を有する多孔マスクを施し、次いで絶縁物層の非マスク部を取り除き、露出された触媒金属粒子薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる第4発明において、絶縁物には二酸化珪素のような耐熱性の良いものが好ましい。絶縁物層の形成は化学蒸着法で行うのが一般的であるがこれに限定されない。絶縁物層の厚さは好ましくは1〜10μmである。絶縁物層の非マスク部を取り除くには、エッチング処理液を用いるウエットエッチング、非マスク部に反応性イオンをぶつけるドライエッチング等が適用できる。絶縁物層の残存部は、得られた電子放出素子を用いて構成されたFEDにおいて、ゲート電極を設置するのに用いられる。第4発明のその他の構成は第1〜3発明について述べたものと同じであってよい。
【0021】
基板上に化学蒸着法により触媒金属粒子からなる薄膜を形成し、該薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させるに当たり、触媒金属粒子の蒸着を不活性ガス雰囲気で行う第5発明において、不活性ガスはヘリウム、アルゴン、キセノン等であってよい。薄膜上にカーボンナノチューブを成長させる化学蒸着法の圧力条件は、通常は10−6〜10−7Torrであるが、この発明方法では10−3〜10−4Torrの不活性ガス雰囲気で化学蒸着を行う。その結果、蒸気化された金属は飛散中に不活性ガスに衝突して急激に冷却され、微細な金属粒子が生じる。第5発明のその他の構成は第1〜4発明について述べたものと同じであってよい。
【0022】
基板上に成長させたカーボンナノチューブ層にレーザー光照射により除去部を形成することにより同層を所望のパターンにパターニングし、次いでパターニングされたカーボンナノチューブ層を有する基板の上に電子放出用の金属を蒸着し、得られた金属蒸着層の上に絶縁層を形成し、金属蒸着層と絶縁層からなる層状物の表面部を研削してカーボンナノチューブの先端面を層状物研削面に露出させる第6発明において、レーザー光照射によりカーボンナノチューブ層に除去部を形成するには、頂壁にレーザー光発生装置を備えた密閉チャンバー内に前後方向および左右方向に移動可能なテーブルを配置し、その上に、カーボンナノチューブ層を有する基板を載置し、チャンバー内をヘリウム、アルゴン、キセノン等の不活性ガス雰囲気とし、テーブルを適宜移動させながらカーボンナノチューブ層にレーザー光を照射する。不活性ガス雰囲気の代わりにチャンバー内を水で満たしレーザーとして可視光レーザーまたはYAGレーザーを用いてもよい。このようにレーザー光照射を用いてカーボンナノチューブ層に除去部を形成すると、カーボンナノチューブが熱で分解したり、酸化される恐れがない。電子放出用の金属としてはリチウムのようなアルカリ金属、アルミニウムのような導電性金属が好ましい。電子放出用の金属は、電子放出時にカーボンナノチューブの先端が高温で酸化されるのを防いでこれを保護すると共に、金属の先端からも電子を放出する働きをする。第6発明のその他の構成は第1〜5発明について述べたものと同じであってよい。
【0023】
本発明の方法により製造されたカーボンナノチューブを用いた電子放出素子はFEDの素子として特に好適である。
【0024】
本発明の方法により製造されたカーボンナノチューブを用いた電子放出素子は、下記関係式[I] が成立するものであることが好ましい。
【0025】
5×D≦L≦100×D ……[I]
(式中、DはFEDのカーボンナノチューブまたはその束の直径、Lはカーボンナノチューブまたはその束の各センター間の間隔を意味する。)
Dは通常30〜50nmである。Lの上限(100×D)はFEDの蛍光層の赤色部(R)、緑部(G)および黒色部(B)の各幅方向サイズから規定される値である。間隔Lが関係式[I] を満たす範囲にあれば、カーボンナノチューブの1本1本の先端から電子を放出できる。
【0026】
カーボンナノチューブの長さは好ましくは1〜10μm、直径は好ましくは20〜30nm、カーボンナノチューブ相互間の間隔は好ましくは100〜150nmである。
【0027】
つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0028】
実施例1(第1発明)
図1において、ガラス基板(1) 上に化学蒸着装置(2) を用いて触媒金属として鉄(3) を蒸着させ、鉄粒子からなる薄膜(4) を形成した。次いで、薄膜に沿って移動するレーザー装置(5) を用いて薄膜(4) にレーザー光を照射し、除去部(6) を形成した。除去部の形成は、薄膜を多数のドット(7) が散在するパターンにパターニングするように、行った。次いで、パターニングされた薄膜上に化学蒸着装置(8) を用いてカーボンナノチューブ(9) を成長させた。この化学蒸着法の原料ガスはアセチレン(C)ガスで、ヘリウムガスで希釈された状態で供給した。化学蒸着法の操作条件は、大気圧下で温度700〜800℃、時間1分であった。長さ2〜3μm、カーボンナノチューブ束直径10μm、同束の各センター間の間隔50μmのカーボンナノチューブをガラス基板(1) 上に有する電子放出素子が得られた。
【0029】
実施例2(第2発明)
図2において、ガラス基板(1) 上に、触媒金属の錯体としてペンタカルボニル鉄を5重量%含むアセトン溶液を滴下した後、スピンコート(3000rpm、20sec)を施し、液層(21)を形成した。次いで、液層に沿って移動するレーザー装置(5) を用いてこれをオン・オフしながら液層(21)にレーザー光を照射し、錯体を分解することにより、図3に示すようにガラス基板(1) 上に所望のパターンで分散した鉄粒子群(22)を形成して固着させた。次いで液層の非照射部(21a) をアセトンで洗い流した。得られた触媒金属粒子群(22)に実施例1と同様の操作で化学蒸着装置(8) を用いてカーボンナノチューブ(9) を成長させた。長さ2〜3μm、カーボンナノチューブ束直径10μm、同束の各センター間の間隔50μmのカーボンナノチューブをガラス基板(1) 上に有する電子放出素子が得られた。
【0030】
実施例3(第3発明)
図4において、ガラス基板(1) 上に、触媒金属の錯体としてペンタカルボニル鉄を5重量%含むアセトン溶液を滴下した後、スピンコート(3000rpm、20sec)を施し、液層(21)を形成した。次いで、液層に沿って移動するレーザー装置(5) を用いてこれをオンにした状態で、所定のドット・パターンで透孔を有するステンレス鋼製の多孔マスク(23)を介して、液層(21)にレーザー光を照射し、錯体を分解することにより、ガラス基板(1) 上に所望のパターンで分散した鉄粒子群(22)を形成して固着させた。次いで液層の非照射部(21a) をアセトンで洗い流した。得られた触媒金属粒子群(22)に実施例1と同様の操作で化学蒸着装置(8) を用いてカーボンナノチューブ(9) を成長させた。長さ2〜3μm、カーボンナノチューブ束直径10μm、同束の各センター間の間隔50μmのカーボンナノチューブをガラス基板(1) 上に有する電子放出素子が得られた。
【0031】
実施例4(第4発明)
図5において、ガラス基板(1) 上に化学蒸着装置(2) を用いて触媒金属として鉄(3) を蒸着させ、鉄粒子からなる薄膜(4) を形成した。次いで、薄膜(4) の上に化学蒸着装置(11)を用いて絶縁物として二酸化珪素(12)を蒸着させ、二酸化珪素からなる厚さ1μmの絶縁物層(13)を形成した。絶縁物層(13)の上に所定のドット・パターンで透孔を有する多孔マスク(23)を施し、次いでウエットエッチング法により絶縁物層(13)の非マスク部を取り除いた。つぎに、非マスク部の除去により露出された鉄粒子からなる薄膜(4) の露出部(4a)上に、実施例1と同様の操作で化学蒸着装置(8) を用いてカーボンナノチューブ(9) を成長させた。長さ2〜3μm、カーボンナノチューブ束直径10μm、同束の各センター間の間隔50μmのカーボンナノチューブをガラス基板(1) 上に有する電子放出素子が得られた。絶縁物層(13)の残存部(13a) は、得られた電子放出素子を用いて構成されたFEDにおいて、ゲート電極を設置するのに用いられる。
【0032】
実施例5(第5発明)
ガラス基板上に初期真空度10−6Torrの反応容器にヘリウムを注入して10−3〜10−4Torrのヘリウム雰囲気で3秒間化学蒸着法により触媒金属として鉄を蒸着させ、鉄粒子からなる薄膜を形成した。その結果、蒸気化された鉄は飛散中にヘリウムガスに衝突して急激に冷却され、微細な鉄粒子が生じた。得られた微細粒子からなる薄膜に実施例1と同様の操作で化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させた。長さ2〜3μm、カーボンナノチューブ束直径20〜30μm、同束の各センター間の間隔100〜200nmのカーボンナノチューブをガラス基板(1) 上に有する電子放出素子が得られた。
【0033】
実施例6(第6発明)
図6において、頂壁にレーザー装置(5) を備えた密閉チャンバー(14)内に前後方向および左右方向に移動可能なテーブル(15)を配置した。テーブル(15)の上に、予めカーボンナノチューブ(9) を成長させておいたガラス基板(1) を載置し、チャンバー(14)内をヘリウム雰囲気とし、テーブル(15)を適宜移動させながらカーボンナノチューブ(9) の層にレーザー光を照射することによりカーボンナノチューブ除去部(9a)を形成した。こうしてカーボンナノチューブ(9) の層を所望のパターンにパターニングした後、パターニングされたカーボンナノチューブ(9) を有するガラス基板(1) の上に電子放出用の金属としてリチウムを蒸着した。さらに、得られた厚さ20nmの金属蒸着層(16)の上に絶縁物として二酸化珪素からなる厚さ1μmの絶縁物層(17)を化学蒸着法で形成した。その後、金属蒸着層(16)と絶縁物層(17)からなる層状物(18)の表面部を研削機(19)で研削してカーボンナノチューブ(9) の先端面を金属蒸着層(16)の研削面に露出させた。絶縁物層(17)の残存部(17a) は、得られた電子放出素子を用いて構成されたFEDにおいて、ゲート電極を設置するのに用いられる。
【0034】
性能評価
実施例1〜4、6で得られた電子放出素子は、いずれも、カーボンナノチューブの束の直径D=10μm、カーボンナノチューブ束の各センター間の間隔L=50μmのものであり、実施例5で得られた電子放出素子は、カーボンナノチューブの束の直径D=20〜30μm、カーボンナノチューブ束の各センター間の間隔L=100〜200nmのものであり、下記関係式[I]
5×D≦L≦100×D ……[I]
を満たすものであった。
【0035】
L/Dとエミッタ電流の関係を図7のグラフに示し、FEDのカーボンナノチューブまたはその束の直径Dとカーボンナノチューブまたはその束の各センター間の間隔Lの状態を図8に示す。
【0036】
実施例1〜6で得られた電子放出素子をFEDの電極に適用して、電子放出特性を調べたところ、これは下記のように電極として良好な特性を示した。すなわち、パターンが、カーボンナノチューブの束径=10μm、カーボンナノチューブの束ピッチ=60μm、カーボンナノチューブの高さ=10μmであるカーボンナノチューブを、図9に示すFEDにおけるカーボンナノチューブ・エミッターに適用し、その電子放出特性を調べた結果、10mA/cm を放出するのに要する印加電圧は実施例1〜3および5では200V、実施例4では250Vという低い値であった。なお、図9中、(31)はアノード電極、(32)はカソード板、(33)は絶縁物スペーサ、(34)はカーボンナノチューブ・エミッター、(35)はガラス板、(36)はアノード電極、(37)は蛍光材料、(38)は基板である。
【0037】
【発明の効果】
本発明によると、カーボンナノチューブの成長高さを均一に揃えることができ、その結果、構築したFEDにおいて均一な電子放出、低い電圧での駆動および長寿命化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の工程を示すフローシートである。
【図2】実施例2の工程を示すフローシートである。
【図3】実施例2のガラス基板上鉄粒子群を示す概略図である。
【図4】実施例3の工程を示すフローシートである。
【図5】実施例4の工程を示すフローシートである。
【図6】実施例6の工程を示すフローシートである。
【図7】L/Dとエミッタ電流の関係を図7のグラフである。
【図8】FEDのカーボンナノチューブまたはその束の直径Dとカーボンナノチューブまたはその束の各センター間の間隔Lの状態を示す概略図である。
【図9】FEDの概略図である。
【符号の説明】
(1): ガラス基板
(2)(8) : 化学蒸着装置
(3): 鉄
(4): 薄膜
(5): レーザー装置
(6): 除去部
(7): ドット
(9): カーボンナノチューブ
(11):化学蒸着装置
(12):二酸化珪素
(13):絶縁物層
(4a):露出部
(13a): 残存部
(14):密閉チャンバー
(15):テーブル
(9a):カーボンナノチューブ除去部
(16):金属蒸着層
(17):絶縁物層
(17a):残存部
(18):層状物
(19):研削機
(21):液層
(21a): 非照射部
(22):鉄粒子群
(22):触媒金属粒子群
(23):多孔マスク

Claims (9)

  1. 基板上に触媒金属粒子からなる薄膜を形成し、該薄膜にレーザー光を薄膜に沿って移動させながら照射して除去部を形成することにより薄膜を所望のパターンにパターニングし、次いでパターニングされた薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法。
  2. 基板上に触媒金属の錯体またはアルコキシドを含む液層を形成し、該液層にレーザー光または集光した光を液層に沿って移動させながら照射して錯体またはアルコキシドを分解することにより、基板上に所望のパターンで触媒金属粒子群を形成して固着し、次いで液層の非照射部を洗い流し、得られた触媒金属粒子群に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法。
  3. 基板上に触媒金属の錯体またはアルコキシドを含む液層を形成し、該液膜にレーザー光または集光した光を、所定のパターンで透孔を有する多孔マスクを介して、液層に沿って移動させながら照射して錯体またはアルコキシドを分解することにより、基板上に所望のパターンで触媒金属粒子群を形成して固着し、次いで液層の非照射部を洗い流し、得られた触媒金属粒子群に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法。
  4. 基板上に触媒金属粒子からなる薄膜を形成し、該薄膜の上に絶縁物層を形成し、絶縁物層の上に所定のパターンで透孔を有する多孔マスクを施し、次いで絶縁物層の非マスク部を取り除き、露出された触媒金属粒子薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法。
  5. 基板上に化学蒸着法により触媒金属粒子からなる薄膜を形成し、該薄膜上に化学蒸着法によりカーボンナノチューブを成長させるに当たり、触媒金属粒子の蒸着を不活性ガス雰囲気で行う、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法。
  6. 基板上に成長させたカーボンナノチューブ層にレーザー光照射により除去部を形成することにより同層を所望のパターンにパターニングし、次いでパターニングされたカーボンナノチューブ残存部を有する基板の上に電子放出用の金属を蒸着し、得られた金属蒸着層の上に絶縁層を形成し、金属蒸着層と絶縁層からなる層状物の表面を研削してカーボンナノチューブの先端面を層状物研削面に露出させる、カーボンナノチューブを用いた電子放出素子の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の方法により製造されたカーボンナノチューブを用いた電子放出素子。
  8. 請求項9記載の電子放出素子を具備するフィールドエミッション型フラットパネルディスプレイ。
  9. 下記関係式[I] が成立する、請求項8記載のフィールドエミッション型フラットパネルディスプレイ。
    5×D≦L≦100×D ……[I]
    (式中、DはFEDのカーボンナノチューブまたはその束の直径、Lはカーボンナノチューブまたはその束の各センター間の間隔を意味する。)
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