JP2004325858A - 転写装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】転写ベルトの下部にファンを複数個対角に設けられており、転写ベルトの非通紙領域には、送風した外気が当たらないように、保護部材を設けるとともに、ファンから送風した外気が転写装置外部にもれないように密閉部材を設ける。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法を用いる複写機、レーザプリンタ等の画像形成装置において感光体上のトナー像を用紙に転写する転写装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法を用いるカット紙レーザプリンタや複写機の転写装置では、用紙の搬送と転写の目的を兼ねて、誘電体ベルトや絶縁ドラムからなる転写材を用いる方式がある。この方式では、誘電体ベルトの裏面から電荷を与えることによってベルト表面に電荷を誘起させて、この電荷で用紙を吸着搬送し、ドラム上に形成された画像を用紙に転写する。このように静電的に用紙を吸着して搬送するので、接地された金属板(シールド)内に発生するコロナ放電によって転写剥離を行うコロトロン転写方式と比較して、簡単な構成で、薄紙から厚紙まで、安定して用紙を転写搬送できるというメリットがある。しかしながら、転写ベルトをコロナ放電で帯電させる方式では、発生したオゾンによってワイヤ表面に生成物が生じたり、オゾンによってベルトの材質が劣化することがある。オゾンによってワイヤが生成物で汚れると、コロナ放電が不均一になるので、部分的に転写ベルトが帯電せず、転写時に、濃度むらのような画像の欠陥を引き起こす。
【0003】
また、転写ベルトは、一定の張力を張った状態で、常に裏面からワイヤによって発生するオゾンにさらされているので、長期にわたり、オゾンにさらされるとベルト抵抗値が低下し、ひどい場合は、ひび割れなどが発生する。ひび割れに至らなくても、抵抗値の変更によっては、転写ベルトの表面が均一に帯電しないので、画像濃度低下などの画質の劣化を招く。
【0004】
このように、オゾンがうまく排出されないとワイヤ汚れやベルトの劣化による画質の欠陥が短期間に発生するので、部品を頻繁に交換せざるを得なくなり、装置を維持するためのコストが高くなるという結果につながる。
【0005】
従来から、転写ベルト内部空間にファンによって空気を送り込む方法が知られており、転写ベルトの内部空間のオゾンを排気開口から外部に排出する排気ファンを設け、ベルトに囲繞された内部空間で転写器から発生するオゾンをファンにより排気開口から外部に排出する方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】
特開平09−080993号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来から公知であるファンによって空気を送り込む方式では、ファンの風量が、十分でないと、転写ベルト内部に気流の偏りを生じ、そのためオゾン排出機能が低下することが考えられる。また、風量の大きなファンを使用しても、外気を取り入れる入り口側では、十分な風量が得られるが、入り口から遠ざかるに従い、徐々に風量が低下する箇所ができてしまう。このため、オゾンを効果的に排出できないばかりか、風量の低下した箇所から、転写ベルト近辺に浮遊しているトナーや紙粉を吸い込み、転写ベルト内部の部品を汚すことにもつながる。
【0007】
一方、ベルト内部で発生したオゾンを吸引する方式では、転写ベルト内部の空気を吸引するためのダクト、配管部品や吸引した空気をろ過するフィルターが必要となるが、フィルターを設置することによって圧損が増えるので、必然的に風量の大きなファンとする必要があり、吸引部から離れるに従い、内部の空気を吸引する効果が低下し、場所によっては、効果が得られないことが考えられる。また、排気ファンにより転写ベルト内部の空気を吸引すると、内部空間では、圧力の低下が生じ、その結果、開口部から空気が進入するので、印刷装置内部の浮遊したトナーや紙粉を吸引すれば、逆に転写ベルト装置内部の部品を汚すことにも繋がりかねない。このように、転写ベルト内部の空気を吸引する方式では、装置が複雑になり、尚且つ転写ベルト内部で発生したオゾン排出の性能が十分得られない可能性がある。そのうえ、転写ベルトをはじめとする部品を交換する場合、ダクトや配管部品を外さなければならず、保守時間の増加に繋がる。
【0008】
そこで、本発明では、装置の構成を複雑にすることなく、オゾンによるワイヤ、転写ベルトの劣化を効果的に防ぎ、転写ベルトの長寿命化を図ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、転写ベルトの裏面にトナーと逆極性の電荷を付与することによって、用紙を吸着搬送し、感光体上に形成したトナー像を用紙に転写する転写装置において、転写ベルトを収納する転写装置の転写ベルトと対向した位置に、ファンを複数設け、これらによって送風された空気によって転写ベルト内部に気流を形成し、前記気流によって転写ベルト内部で発生したオゾンを排出することを特徴とする。これにより、風量の低下する部分では、もう一方のファンが補うので、気流の偏りを防止し、また、これによって外気が転写ベルト内部に均一に流れるようになるので、内部で発生したオゾンを排出するとともに、外部からトナー、紙粉のような異物の進入を防ぐことができる。
【0010】
また、前記転写装置において、転写ベルトの非通紙領域にファンから送風された空気が直接当たることを防止する保護部材をファンに設けると共に、送風した空気が転写装置外部に漏れることを防止する密閉部材を設けることを特徴とする。
【0011】
さらに、前記転写装置において、転写ベルト内部の容積VBm3に対して、1個あたりのファンの風量をVFm3/sec、ファンの数量をn個としたとき、n×VF≧VBの関係を満足することを特徴とする。これにより、転写ベルト内部の容積に対して、風量の不足することがなく気流の偏りを防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を電子写真法を用いるレーザプリンタに適用した実施例について、図1を用いて以下説明する。
【0013】
複写機、レーザプリンタ等で用いられている有機光導電体(OPC)の場合、感光体1は、帯電器2のコロナ放電によって表面を−極性に帯電する。レーザプリンタで多用されている反転現像方式では、半導体レーザ等の光学系3によって潜像が形成され、現像機4によって感光体1表面の電位と同極性である−極性トナー5を感光体1上に付着させる。詳細は、省略するが、用紙走行機構によって搬送された用紙6は、ガイド板7まで案内された後、転写ベルト8に至る。
【0014】
転写ベルト8は、駆動ローラ10と従動ローラ11によって両端を支持され、駆動ローラ10が回転することによって矢印方向に回転する。転写ベルト8内部の転写器9から発生したコロナ放電によって、転写ベルト8表面には、トナー5と逆極性の電荷が発生する。この電荷によって用紙6は、転写ベルト8に吸着され、トナー5を転写し、搬送する。転写ベルト8によって搬送された用紙6は、この後、転写ベルト8から剥離されるが、この時に発生する剥離放電によって、トナーが飛散し、機内汚れの原因となるので、除電器12から用紙の裏面にトナーと逆極性の電荷を付与することで防いでいる。
【0015】
転写ベルト8の背面にはファン13を設け、送風された空気が、転写ベルト8内部のステー14に当たることによって、さらに転写ベルト8内部へと送られる。この転写ベルト8内部へと送られる空気は、現像機4からは、比較的離れているため、トナーなどが浮遊していることは少ないが、両面印刷を行う際、用紙が走行する機構部が近辺にあり、紙粉等が浮遊していることが考えられるので、フィルター15を介して異物を除去している。また、ダクトを介して装置外部から外気を取り入れること構成とすることがより好適である。フィルター15取り付け部16には、空気を取り入れるための吸い込み穴が設けられている。
【0016】
トナー5を転写された用紙6は、その後、定着機17で定着され、排紙部に至る。一方、転写後の残留した感光体1上のトナーは、プレチャージ18、イレーズランプ19を経てクリーナ20で清掃される。クリーナ20は、詳細を省略するが、除去したトナーをブロアで吸引する方式を採用している。
【0017】
転写装置21は、図2のように、転写ベルト保持装置22と収納装置23が独立して構成されている。転写ベルト保持装置22は転写ベルト8、駆動ローラ10、従動ローラ11、転写器9、ステー14等からなる構成部品を両サイドから金属板のサイドプレート24a,24bで挟み込む構成としている。収納装置23は、金属板フレーム25の他に転写器9に高電圧を供給する高圧給電部26等から構成される。転写ベルト8を交換する場合には、本体から転写ベルト保持装置22のみを取り外して行う。
【0018】
図3は、収納装置23に転写ベルト8を実装した状態の転写ベルト8の位置27、転写ベルト保持装置22の端部すなわちサイドプレート24a,24bの位置28a,28bを示したものである。前述したように、ファンによって、転写ベルト8内部に送風する方式では、気流の偏りを生じやすいので、オゾンを効果的に排出できないばかりか、転写ベルト内部の部品を汚す問題があった。
【0019】
そこで、本発明では、収納装置21のフロント側にファン13a、リア側にそれぞれファン13bを1個ずつ設置し、対角をなすようにしている。ファン13a,13bから送られた空気は、転写ベルト8(転写ベルト実装位置27)と転写ベルト保持装置端部の位置28との隙間29a,29bから取り入れられ、ステー14に当たることにより、転写ベルト8内部へと送られる。これによって転写ベルト8の内部に、矢印A,Bのような気流が発生するので、内部で発生したオゾンを排出するとともに、外部からトナーや紙粉のような異物の進入を防ぐことができる。
【0020】
前述したようにクリーナ20は、ブロアで吸引する方式であるので、トナーの飛散する現像機4やオゾンの発生する帯電器2周辺には、吸引ブロアから分岐した吸引ダクトを設けて吸引している。転写ベルト8から排出されたオゾンも、図示は省略するが、転写ベルト8近辺に設けられた吸引ダクトによって吸引され、その後、オゾンフィルタで回収される。クリーナ20に吸引ブロアを用いない方式であれば、排出されたオゾンをファンを用いて吸引することも可能である。
【0021】
近年、カラープリンタでは、複数色の現像システムを用紙に転写するため、長尺の転写ベルトを用いる方式があるが、このような場合にも、ファンの風量を適度にし複数個対角に設ければ、本発明の効果が得られる。具体的には、転写ベルト8内部の容積VBm3に対して、1個あたりのファンの風量をVFm3/sec、ファンの数量をn個としたとき、n×VF≧VBの関係を満足する条件であれば、転写ベルト8の容積に対して、ファンの風量が不足することがなく、気流の偏りを生じることがない。ここで、転写ベルト8内部の容積VBm3は、転写ベルトを取りつけた状態での内周の面積をS、長手方向の長さをLとした時に、VB=S×Lとした。
【0022】
図4は、図3に用紙サイズの位置関係を追加して表したものである。
【0023】
本実施例では、フロント側の用紙走行位置30を基準にして用紙を横送りして搬送している。従って、A3、A4サイズの場合、リア側の用紙端部は、31の位置となるが、B4、B5サイズのように幅の狭い用紙を印刷する場合は、32のような位置になる。
【0024】
本実施例のように、転写ベルト8の下部にファン13a,13bを設ける場合は実装スペースの点から有効であるが、B4,B5サイズのような幅狭用紙を印刷した場合、転写ベルト8のリア側の非通紙領域33bは、常に感光体2と接触しているので、感光体1上のかぶりトナーが転写ベルト8上に直接転写されることになる。その部分にファン13bから送風した空気が当たると、トナーを吹き飛ばし、転写ベルト8内部に入り、内部汚れを引き起こす。
【0025】
このため、ファン13a,13bにはダクトを設けて、空気の取り入れ口まで案内するのが理想であるが、ダクトを設けるとコストアップとなり、更に転写ベルト8交換の際に取り外しが必要となり、保守に手間がかかることが考えられる。
【0026】
そこで、本発明では、非通紙領域33bにファン13bから送られた風が当たらないように、板状の保護部品34をファン13bに取りつけている。この保護部品34は、板金などで製作してもよいが、ポリエステルフィルムのようなものであれば、安価にすることができ、ファン24bの取りつけネジ35を利用して取りつけることが可能である。
【0027】
本実施例では、用紙走行位置の基準がフロント側であるので、フロント側の非通紙領域33aは、リア側の非通紙領域33bと比較すると狭いため、保護部材34をファン13bのみ取りつけているが、もう一方のファン13aにも同一形状の保護部材34を取りつけることも可能である。
【0028】
また、用紙走行の基準によっては、フロント側のみあるいは、両方向に取りつけることも効果がある。図5は、用紙の中央を基準として走行する方式における実施例を示した。転写ベルト8の中央37を用紙走行の基準としているので、A3,A4サイズの用紙端部位置38a,38bと比較するとB4,B5サイズの走行位置39a,39bは、内側を走行することになる。従って、この場合、フロント、リア側の両方に保護部材34を設ける構成にすると良い。
【0029】
本実施例のファン13a,13bの両端部では、送風された空気が転写ベルト8外部にもれる構造となっている。送風された空気が外部に漏れ、感光体1などに当たると感光体1表面に付着したトナーや紙粉を吹き飛ばし、これが転写装置21近辺に浮遊するとファン13a,13bによって転写ベルト8内に送られ内部汚れを引き起こすことがある。ここで、収納装置23の形状を工夫して密閉する方式も考えられるが、形状によっては転写ベルト保持装置22を取り付ける時に干渉して邪魔になったりすることがある。そこで、本発明では、収納装置23と転写ベルト保持装置22の隙間を設け、その隙間を密閉部材36によりシールし、外部に空気が漏れるのを防いでいる。
【0030】
また、図6に示すように、保護部材34を保護部材の代替形状40として、ファン13から転写ベルト8外部に空気が漏れないようにし、密閉部材36は不要である。そして、隙間を完全にシールするために、例えば、スポンジのような弾性部材をサイドプレート24a,24bと突き当てる構成とすれば、隙間を密閉してシールされ、転写ベルト保持装置18と干渉しても逃げることができる構成となり、取り付け時に妨げとなることもない。
【0031】
このように、本発明では、収納装置23の転写ベルト8に対向した場所にファンを設置できるので、スペースを大きく取ることも不要であるうえ、転写ベルト8交換時にもファン13を取り外す必要もない。
【0032】
なお、本発明では、転写器によって転写ベルトを帯電させる方式における実施例を示したが、転写器の代替として、スポンジローラあるいは、帯電ブラシを用いる方式もある。転写器に比べてオゾンの発生は少ないものの、これら方式にも内部汚れを防止することに関し本発明は有効である。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、装置の構成を複雑にすることなく、オゾンによる転写ベルトの劣化を防ぐことができるので、転写ベルトの長寿命化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を表したレーザプリンタの構成である。
【図2】本発明の転写装置の構成を表した図である。
【図3】収納装置と転写ベルト、転写ベルト保持装置の位置関係を表した図である。
【図4】収納装置と転写ベルト、用紙サイズの位置関係を表した図である。
【図5】転写ベルトの中央を用紙走行の基準とした方式における収納装置と転写ベルト、用紙サイズの位置関係を表した図である。
【図6】保護部材の別方式を表した図である。
【符号の説明】
1は感光体、2は帯電器、3は光学系、4は現像機、5はトナー、6は用紙、7はガイド板、8は転写ベルト、9は転写器、10は駆動ローラ、11は従動ローラ、12は除電器、13はファン、14はステー、15はフィルター、16はフィルター取りつけ部、17は定着機、18はプレチャージ、19はイレーズランプ、20はクリーナ、21は転写装置、22は転写ベルト保持装置、23は収納装置、24はサイドプレート、25は金属板フレーム、26は高圧給電部、27は転写ベルト実装位置、28は転写ベルト保持装置22の端部の位置、29は隙間、30は用紙走行位置、31はA3、A4サイズ用紙端部位置、32はB4、B5サイズ用紙端部位置、33は非通紙領域、34は保護部材、35は取りつけネジ、36は密閉部材、37は中央、38はA3,A4サイズの用紙端部位置、39はB4,B5サイズ用紙端部位置、40は保護部材の代替形状である。
Claims (3)
- 転写ベルトの裏面にトナーと逆極性の電荷を付与することによって、用紙を吸着搬送し、感光体上に形成したトナー像を用紙に転写する転写装置において、転写ベルトを収納する転写装置の転写ベルトと対向した位置に、ファンを複数設け、これらによって送風された空気によって転写ベルト内部に気流を形成し、前記気流によって転写ベルト内部で発生したオゾンを排出することを特徴とする転写装置。
- 前記転写装置において、転写ベルトの非通紙領域にファンから送風された空気が直接当たることを防止する保護部材をファンに設けると共に、送風した空気が転写装置外部に漏れることを防止する密閉部材を設けることを特徴とする請求項1記載の転写装置。
- 前記転写装置において、転写ベルト内部の容積VBm3に対して、1個あたりのファンの風量をVFm3/sec、ファンの数量をn個としたとき、n×VF≧VBの関係を満足することを特徴とする請求項1記載の転写装置。
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